Home/ 記事配信 記事配信 迫りくる首都直下地震――「防災大国ニッポン」を目指せ! 2012.04.27 日本は火山列島であり、マグマの上に浮かんでいる国です。東大震研究所は今年1月、首都圏でM7級の直下型地震が4年以内に70%の確率で起きる可能性があるとの予測を発表しています(⇒http://goo.gl/fsgZv)。首都圏の防災対策は急務です。 東京都防災会議は4月18日、地震被害想定を6年ぶりに更新し、首都直下地震が起これば、都内の建物の約1割に相当する30万棟が全壊・焼失し、約9,700人が死亡するとの予測を発表しました。(4/18毎日「首都直下地震:最大死者9700人 都防災会議想定見直し」⇒http://goo.gl/v6VsG) 東京の防災上の最大の弱点が「火災」であることは「江戸」の頃より変わりません。死者の4割強、建物被害の6割強を火災被害が占めると予測されています。 その理由は、23区西部や南西部、東部の下町を中心に、約1万6千ヘクタールの木造の家屋がひしめく「木造住宅密集地」、いわゆる「木密(もくみつ)」が広がっていることにあります。(4/20 朝日社説「首都直下地震―燃えない街への工夫を」) 木密では山手線の内側2個分もの土地に150万世帯が暮らしています。木密は戦後、東京の都市整備がなされないまま、急激な人口増加に伴う敷地の細分化、建物の高密化等が進んだために形成されて来ました。先進国の諸都市と比べても防災対策は非常に脆弱な状況にあります。 木密では地震で倒壊する家屋が多いのみならず、一旦、火災が起きれば、火は一気に燃え広がります。狭い道路や行き止まり、未接道敷地が多く、消防車が駆けつけにくい上、大地震で大渋滞や道路の寸断、建造物の崩壊等があった場合、消防車が駆けつけることは極めて困難です。 街の防火対策には、延焼を防止するための広幅道路や公園等の整備、耐火住宅への建て替えが急務ですが、木密の街では高齢化が急速に進展しており、高齢者の方々は建て替えや引越しを厭うケースが多く、防火対策が進んでいないのが現状です。 木密の居住者の中は「地震や火災が来たらあきらめる」と自己責任を主張する方もいらっしゃいますが、自らのみならず、延焼の拡大によって多くの人々をも火災に巻き込むことを考えれば、「公共の福祉」の観点から、ある程度の私権制限はやむを得ないと考えます。 政府や都はこれまで「自己責任論」の立場を重視し、私権制限に慎重な立場で木密を放置して来ましたが、東日本大震災を受け、東京都は方針を一転し、今年1月、耐火住宅への建て替えを強制的に進める「木密地域不燃化10年プロジェクト」を打ち出しました。⇒http://goo.gl/Il0qr 具体的には、都は「特区」に指定したエリアで建て替え助成金をアップし、固定資産税を減免する一方、建て替えに同意しない人がいても土地収用法に基づく強制収用を適用し、延焼防止のため道路も広げる予定です。(4/19 読売「首都地震、都が強制収用も…不燃対策に私権の壁」⇒http://goo.gl/mRbmk) 平時においては、政府・行政機関による「私権制限」は慎重であるべきですが、防災・復興に向けては政府や自治体は「事なかれ主義」で逃げることなく、住民に対して十分に説明責任を果たした上で、迅速かつ柔軟な防災インフラの整備を推し進めるべです。 また、首都の防災機能を高めると共に、東京の国家機能のバックアップとなる「副首都」を関西圏等の適地に建設し、巨大災害で日本列島が政経両面で即死状態にならないような国家ビジョンの検討が急務です。(参照:WEDGE2012年5月号 小川和久著「東日本大震災の反省を踏まえ、副首都構想を推進すべし」) 民主党は「コンクリートから人へ」を掲げていますが、日本列島は常に地震や火山活動などの巨大災害に見舞われる可能性に直面しているため、強固な防災インフラの整備が急務です。 その財源は景気を悪化させる安易な増税によるのではなく、デフレ克服を兼ねた国債の日銀引き受けや、PFI等を活用した民間資金を用い、強力なリーダーシップで「防災大国ニッポン」を築いていくべきです。(文責・黒川白雲) 都の尖閣諸島購入――根本解決は憲法改正である。 2012.04.26 石原都知事の尖閣諸島購入に関して、都に寄せられた意見の9割が賛成だということを4月25日付の産経が報じています(4/25 産経「都の尖閣購入計画 9割支持 都に4日で3500件、すでに寄付も」⇒http://goo.gl/y7esG)。 「政府はあてにできない」「石原知事にしかできない」「実現を祈っています」という賛成意見が寄せられると共に、尖閣購入のための寄付も約30件、数十万円が集まっているそうです。 石原都知事は当時駐日大使をしていたモンデール氏の「尖閣諸島の帰属に関する実行を伴う国際紛争が起きた場合、日米安保は発動しない」という発言を強く非難。 その後、ウォルフォウィッツ米国防副長官と会談した際に、日米公式協定資料を持ち出して日米安保の対象に尖閣諸島が含まれることを確認するなど、一貫して尖閣諸島を中国から守る姿勢を貫いてきました。 こういった石原都知事に対する国民の支持が高まっていることは、国民の国防意識の向上として一定の評価をすることができます。 しかし、尖閣諸島の危機の本質にはもっと深刻な問題があります。第一の問題は、国家が「国土を守る」という、最も重要な責務を果たしていない点です。 石原都知事の尖閣購入の発言があって、国でも尖閣諸島の購入が議論される様子でしたが、5月中旬に野田首相の訪中を控え、その論調も後退しています(4/22 産経「都の尖閣購入計画 焦る民主党政権 日中関係懸念で国購入に異論も」⇒http://goo.gl/QA1Jw)。 また、尖閣諸島の所有者が変わっても、政府が「尖閣諸島への上陸不許可」という弱腰方針を取り続ける限り、実効支配強化には繋がりません。 幸福実現党は2009年の立党当時、民主党政権になれば国防の危機が訪れると警鐘を鳴らしてきました。 2010年の尖閣諸島沖における「漁船衝突事故」において、民主党は巡視船にぶつかってきた中国漁船の船長を不起訴で送還してしまうといった失態を犯し、その警告が正しいものであったということが明らかになりました。 政権交代をしたからといって、国家防衛の責任が国から無くなることはありません。イギリスで労働党が勝ったからといって、アメリカで民主党が勝ったからといって、国が国家の主権を放棄したり、国防の義務を怠るということはありません。 しかし、日本では、国防の問題が「政争の具」となっています。やはり、その根本的な原因は「自分の国を自分で守る」どころか、「自分の手足を縛っている」憲法9条にあるのではないでしょうか。 憲法で首相に国家防衛の責任があることを明示していれば、どのような政党が政権に就こうと国家防衛の責任を果たさなければなりません。国民と領土と主権を守るための基礎的な責務を果たすためには、憲法9条の改正が必要です。 中国共産党政府は強い意志をもって「尖閣諸島の領有」を主張しています。日本政府が尖閣諸島の主権を守る強い意志と能力を持たなければ、たとえ尖閣諸島が個人所有であろうが、都有地であろうが、領土を失う危険は去りません。 第二の問題は、政治の正式なプロセスを踏まないまま、問題が進展している点です。 石原都知事の行動が善意から生まれたものであることは疑いませんが、一地方の首長である石原都知事が、国が対処すべき国防問題について介入しなければならない状態にあるのは問題です。 石原都知事のように物事に白黒をつけ、自分の意見をはっきりと打ち出す統率型のリーダーは議院内閣制のもとでは出にくいと言われています。 議員内閣制のもとで選ばれやすいのは、党派の利害を調整する融和型のリーダーです。しかし、融和型のリーダーでは外交に際し、強気の態度で交渉に臨めません。 また、国防問題や原子力発電所の再稼働の問題など、国論を二分する問題に関して判断をすることができません。何も解決できない首相に対して、発言力・行動力のある地方の首長が国の問題に介入しています。 都による尖閣諸島の所有は短期的に見れば中国に対し気概を示す行動と取れ、プラスの面も大きいですが、発言力の強い首長が正式なプロセスを経ず、国政に介入してくることが増えれば、国全体が間違った方向に動いてしまうこともありえます。 石原氏自身、尖閣諸島の購入について「国が万全の態勢を敷くならいつでも下がる」「ほんとは国が買い上げたらいいと思う」と述べていますが、本来、中国の覇権主義を阻止する主体は都庁ではなく、政府であるべきです。 尖閣諸島の危機については、一自治体ではなく、国がリーダーシップを取って解決すべきであり、「都による尖閣購入」という対症療法では、本当の意味での解決には至りません。 政府は強力なリーダーシップを発揮し、尖閣諸島の主権を守る強い意志を示し、正々堂々と改憲議論を進めていくべきです。(文責・伊藤希望) デフレ脱却で景気回復しない?週刊ダイヤモンドの新常識を検証するパート2 2012.04.25 インフレ税を持ち出すことは正しいとは言えない 先週に引き続いて、週刊ダイヤモンド4月14日特大号で紹介されている新常識を検証したいと思います。 今回は、新常識10「デフレ脱却で景気は回復しない」と新常識11「金融緩和でデフレは解決しない」の2つに絞って話を進めていきます。 まず、42ページに「インフレは税である」とし、年率5%のインフレは消費税5%課されるのと同義としています。従って、インフレ路線にもっていくことは、「増税に増税を重ねるに等しい」と主張します。 確かに、経済学には「インフレ税」という言葉があります。インフレとなれば、金融資産の実質価値が目減りするのは事実です。金融政策によって大量の通貨を発行すれば通貨価値下落と物価上昇が起こります。最も極端なケースがハイパーインフレです。 インフレ税とは、税金をかけていないにも関わらず、政府債務がインフレによって目減りすることを指します。ただ、この議論にはもう少し冷静さが必要です。 例えば、経済成長によって賃金や物価が上昇することはあります。 マクロ経済学では、実質GDPという考え方がありますが、名目GDPからインフレ率を引いた値を指します。名目GDP成長率が4%でインフレ率が2%ならば、実質GDPは2%となります。数値を入れ替えれば、マイナス2%となりことは容易に導けます。 GDPとインフレが同率であれば、消費者の購買力は不変です。要するに、インフレが生じてもGDPがそれ以上に増えれば、購買力は上がるのです。ですので、一概にインフレが悪いとするのは片手落ちです。 そもそも、インフレ税の話は、多大な債務を抱えていて、実際にインフレとなっている国で見られる現象であり、デフレの日本経済に当てはめることは正しいとは言えません。 そして、3%から4%程度のマイルドなインフレへと導くリフレ路線(同誌はリフレ派に懐疑的)には、インフレが加熱しないようにインフレ目標政策を課すことを主張しています。 リフレ派は、十分にインフレの弊害を考慮した上で、景気回復と経済成長を優先しているわけです。リフレ派の狙いは、「インフレ税」の効果よりも「成長による税収増」にあります。 問題は低成長にある 42ページには、政府がデフレ宣言した01年から06年の企業収益が伸びていること、一方賃金が増えていないことを触れています。一面の真実を含んでいますが、注意が必要です。 特にこの10年間は、主要先進国の平均成長率は4%。下位2国はドイツ(2%)と日本(0%)でした。つまり、デフレ脱却=物価の下落が止まったとしても、単純に日本経済が低成長だったために景気回復の実感がないというのが真相です。 さらに、デフレは、継続的な物価の下落だと正しく紹介しているにも関わらず、食料価格が上昇していることを持ち出しています。物価水準とは、多数の財を加重平均して指数化しているものであって、特定の財価格上昇をもって「デフレとは言えない」というのは経済学の初歩を無視した暴論です。 金融緩和は効果がある 新常識11は金融緩和の効果を否定しています。実際、白川方明日銀総裁は、『現代の金融政策』(日本経済新聞出版社)で触れているように、極めて量的緩和政策には懐疑的な意見の持ち主です(日銀系エコノミストもほぼ同じ意見)。 しかしながら、事実はしっかりとみるべきです。たかが1%の事実上のインフレ目標値を提示しただけ株価の上昇と為替レートが円安に振れました。 FRBの金融緩和に効果がないと言っても、失業率が下がり始めていることや、デフレに陥っていないことは無視できません。⇒参考論点http://bit.ly/IsPMQM ノーベル経済学者であり、マネタリストとのトップでもあったM・フリードマンは、金融政策は最速で半年たって効果が表れ、数年後になることもあることを指摘しています。金融緩和にはタイムラグがある以上、現時点で金融緩和がデフレ脱却に無効だとすることはできません。 結局、週刊ダイヤモンドが提示する新常識は、あまりにも説得力に欠けます。本来、常識とは、理論と実証研究、そして歴史検証によって固まるのが普通です。 金融政策の効果は、まだまだ学問的にも現実にも検証が必要な時であり、常識にするには時期尚早だと言えましょう。(文責・中野雄太) 政府は原発を再稼働し、電力の安定供給を死守せよ!――無責任な「脱原発」は使命の放棄である。 2012.04.24 関西電力は23日、再稼働が急がれている大飯原子力発電所を含む管内全11基の原発が停止したままだと、様々な対策を講じても今年夏の電力供給が最大で19.3%不足するという見通しを発表しました。(4/24 日経「夏の電力不足、関電は最大19.3% 20%超の節電要請も」⇒http://goo.gl/T4zTn) 2,535万kwの供給力に対し、今夏のピーク需要見通しは3,030万kwと495万kw(原発5基分)の不足を予測し、昨夏比で20%超の節電要請を打ち出す可能性も出てきました。昨夏比20%超の節電になれば、関電圏内に住む人々にとって大変な負担となります。 経団連は23日、電力供給不安による企業への影響調査を発表し、製造業の71%が「生産を減らす」、69%が「収益が減る」と回答。料金上昇も重なった場合は96%が「収益が減る」としています。(4/24 日経「電力供給不安で7割が『生産減』」⇒http://goo.gl/5yBBa) 一方で、大阪市の橋下徹市長は今夏の関西の電力危機について「計画停電もあり得ると腹を決めれば、電力供給体制を変えられる第一歩になる」と極めて無責任な発言を繰り返しています。(4/1 産経「『計画停電もあり得ると腹を決めれば』橋下市長が脱原発へ覚悟訴え」⇒http://goo.gl/1MOrh) 橋下市長は「電力の安定供給」という「電気の質」は、企業にとって生命線であることを理解していません。電力中央研究所による需要家調査(2007)によりますと、事業所の約半数は電気料金の安さより供給信頼度の高さを重視しているといいます。 ある中堅の金型メーカー社長は「政府は絶対に計画停電をしないように策を講じるべき」といいます。金型は液体の中で一か月程度の時間をかけて徐々に作られ、途中で電気が止まれば不良品になります。作り直せば最大で二か月余計にかかり、こんな納期遅れを起こせば、中国などの競合他社との競争に負けてしまうと警鐘を鳴らしています。 計画停電のような大規模停電だけでなく、半導体工場は一秒未満の瞬時電圧低下で約一億円の損害が発生するといいます。 また、橋下市長は関西電力大飯原発の再稼働は反対とした上で「(関電の)原発が全部止まっている状況でも、明日あさって関西府県民が死ぬ状況になるわけじゃない。ピーク時にちょっと我慢して乗り越えられる」と暴論を展開しています。(出典:同上) 評論家でもこのような発言が目立ちますが、「ピーク時にちょっと我慢すれば良い」というのは「机上の空論」に過ぎません。 現実には、リアルタイムにピーク時の需要をカットすることは困難なため、結果的に広域的・長期的な節電は避けられないことは昨夏、経験して来たことです。 供給予備率が低下すれば、最悪の場合、大規模停電が発生します。一般に、供給予備率は8~10%程度が適正で、3%を切ると大規模停電のリスクが高くなると言われています。「ピーク時にちょっと我慢」して乗り越えられるものではありません。 橋下市長は、こうした電力の基礎知識さえ持たずに、日本の「国家解体」を目指している左翼勢力による「脱原発論」に煽られ、市民の生活や経済活動に大きな責任を持つ「市長」の立場で「脱原発」を煽っているのです。 英国原子力公社(UKAEA)のバーバラ・ジャッジ名誉会長が、資源が極めて乏しい日本のエネルギー事情を踏まえ、「エネルギー安全保障上、原子力発電は必要だ」「日本は他国に命運を委ねるような道を歩むべきではない」との考えを示していますが、これは幸福実現党の考えと全く同じです。(4/20 産経⇒http://goo.gl/vu5a2) つきましては、幸福実現党は「原発の再稼動を求める市民集会・デモ」に参加し、一刻も早い原発の再稼動を政府に求めて参ります。ぜひ、多くの皆様のご参加をお待ちしております。(明日4月25日(水)11:00~ 大阪市役所東側 中ノ島 剣先公園集合⇒http://goo.gl/xCYpv) 4月21日、野田首相はベトナムのズン首相と会談し、ベトナムでの原発建設計画に対する日本の協力推進を重ねて確認しました。(4/22 東京「ベトナム原発 建設協力確認 首脳会談で首相」⇒http://goo.gl/aQGok) 両政府は2010年10月、ベトナムの原子炉二基の建設を日本側が受注することで合意しています。ズン首相は、日本側がベトナムで最先端の技術を使って、最も安全な原発を建設することに期待を表明しました。 アメリカは、東北大震災発災後に34年ぶりに原発の着工を決定しました。東芝の子会社の製品が使われます。今回、アメリカで原発建設が再開されることになったのは、「日本の技術を使えば、マグニチュード9.0の大地震にも大丈夫だ」という信頼感が生じたからだと考えられます。(『Will』4月号 渡部昇一著「原発興国論!」参照) 実際、震源地に最も近かった東北電力女川原発は、原子炉は地震後すべて自動停止し、冷温停止と呼ばれる安全な状態になりました。そこで敷地内の体育館等を開放して最大約360名の避難者を収容し、食事等の提供がなされました。女川原発も、福島第一原発も原子炉は、大地震に耐えたのです。この耐震性の信頼度は世界が認識しました。 日本の原子力発電技術は「世界最高」と認められています。情緒的脱原発論でなく、事実を直視すべきです。 福島第一原発事故で放射線被ばくによる死者はゼロです。福島県民の被ばく線量は、健康被害も全く見られないレベルです。警戒区域の多くは、もっと早くに帰れたはずです。そもそも避難する必要もなかったという意見もあります。(『福島 嘘と真実』高田純(札幌医科大学医療人育成センター教養教育研究部門教授)参照) 日本政府は引き続き、原子力発電を基幹電力の柱とし、我が国のみならず、世界の原発の安全の向上に寄与すべきです。(文責・加納 有輝彦) 学力把握は教育に不可欠~学力テストへの全員参加で学力を引き上げよ! 2012.04.23 [HRPニュースファイル248]「子どもの学力向上は学校(教員)の責務である~学力テスト実施・結果の公開義務付けを~」で湊侑子氏が指摘している通り、今月17日、全国学力テストが行われ、抽出から外れても自主参加を希望する学校が後を絶たず、参加率は81.2%となり、1回目の73.5%を大きく上回りました。 全校参加した都道府県も、前回から8県増え、21県になりました。ここまで自主参加校が増えた背景には、学力低下への不安などがあります。国は、実態との乖離を数字からも分析し、早急に政策を見直すべきです。 2007年に全員参加方式でスタートした学力テストは、民主党政権になり、コスト削減を理由に、10年度から約3割の学校を抽出する方式に変更しています。 「全国一斉に同一テストを課すことで、課題克服など学力向上に活用しよう」との現場のニーズに応えていたにもかかわらず、民主党は「事業仕分け」してしまいました。 民主党の有力支持母体である日教組が「過度の競争を招く」と、学力テストに反対してきたことも大きかったのでしょう。 文科省は「来年度はいったん全員参加方式で実施するものの、再び抽出方式に戻し、全員参加は数年に一度にする」などと信じられないことをいっていますが、こんな中途半端なやり方が一番迷惑です。 こんな中、毎日新聞の社説は「学力課題をつかむには抽出で足る。改善に具体的にどう取り組み、成果を積み上げていくかに直結させなければ、テストの意味はない」として、 抽出制度の維持を主張しています。(4/23 毎日「社説:学力テスト 今後に生かしてこそ」⇒http://goo.gl/VzQPJ) しかし、そもそも抽出方式では、全体の大雑把な傾向は分かっても、市町村や学校別のデータは分からず、各学校が学力面での位置づけを正確に知ることができず、したがって検証しようがないのが現実です。 小中学校の勉強は、現状の学力を把握し、そこから、学校そして家庭での学習量が増えれば「縁起の理法」の通り、結果が出てきます。 15歳を対象に、読解力、数学知識、科学知識の学習到達度を調査する、国際学習到達度調査(PISA)が3年に一度、継続して行われています。 日本は2000年には、数学1位、科学2位、読解力8位という高順位でした。しかし、2006年には数学10位、科学6位、読解力15位にまで下がりました。誰の目にも明らかなのは、小中学校で実質的に2002年度から実施された「ゆとり教育」の影響です。 韓国など、国を上げて教育に力を入れているのは「教育の低下が国力の衰退につながる」ことを明確に意識しているからです。 現在の子供たちに対する教育の内容によって、国のワン・ゼネレーション後の未来が規定されます。ますますグローバル化される未来社会で、国際競争力を維持するには教育の力がどれほど大切か計りしれません。 学力テストが「競争を煽る」「学校の序列化につながる」など、議論している場合ではありません。 私たち大人が、福沢諭吉の「学問のすすめ」の精神に戻って、「学問で身を立てよ。学問は人格を変化させ、向上させ、世の中の富を増やすのだ」という考えをもう一度持って、この国の教育を考えていくべきではないでしょうか。 「教育によって新しく生まれ変った人たちが次の世代を担っていく」という考えの下、私は教育の力をどこまでも信じています。(文責・竜の口法子) 北朝鮮の新たな脅威に備えよ!―ミサイル再発射と核実験を阻止せよ! 2012.04.22 4月13日、北朝鮮が発射したミサイルは失敗に終わりました。しかし、田中防衛相が米韓メディアの第一報に遅れること30分後、ようやく「飛翔体が発射されたと確認した」と発表、致命的な判断の遅れは野党や国民からも厳しく批判されています。 民主党政権は、今回のミサイル失敗で幸いにも人的被害が出なかったため、胸を撫で下ろしていることでしょう。 しかし、次の危機はそこまで迫っています。 北朝鮮は今月13日、「銀河3号」の発射に失敗した後「国家の経済発展に欠かせない各種の実用衛星を引き続き打ち上げる(17日の外務省声明)」とミサイルの次なる打ち上げの意向を公の場で表明しています。(4/21 朝鮮日報⇒http://goo.gl/mO0G2) 実際、韓国政府筋は20日、北朝鮮が13日に長距離弾道ミサイルを発射した東倉里発射場の施設内に、もう1基のミサイルが残されていることを明らかにしました。(4/20 夕刊フジ「北朝鮮、発射場にミサイルもう1基!失敗したものとは別」⇒http://goo.gl/wYD3A) それとは別に、韓国国防省筋は「北は13日の発射実験前に、(日本海側の発射場から)別の新衛星を打ち上げる計画があることを明らかにしている。衛星打ち上げとは名ばかりで、先日発射したテポドン2号の改良型とは別の新ミサイルの実験になるはずだ」と発表しています。 「コリア・レポート」編集長の辺真一氏は、「25日には朝鮮人民軍創建80周年の節目を迎える。早ければその日がXデーになる」のではないかと指摘しています。(4/16 夕刊フジ「北朝鮮に不気味な動き!“新ミサイル”日本へ向けて25日発射か」⇒http://goo.gl/dVTX0) 北朝鮮の新ミサイルの設置場所は、日本海に面した北東部の「舞水端里」(ムスダンリ)の発射場で、1998年と2009年にもここからミサイルを発射しました。 よって日本列島に向けて発射される可能性は否定できず、これまでもあらゆる記念日に軍事行動を行ってきた北朝鮮に対して日本は警戒を緩めるべきではありません。 更に、朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」は、今回の長距離弾道ミサイルの発射は「今年から始まった宇宙開発5カ年計画の最初の段階だ」と伝え、計画の初期段階のため、失敗もやむを得ないと強調。開発を引き続き行う意向を示しています。(4/16 産経「北ミサイル発射は宇宙5カ年計画の第1段階」⇒http://goo.gl/v7tVV) 「ミサイルの再発射」と合わせて、もう一方で警戒しなくてはならないのが「核実験」です。過去2回、核実験を行った咸鏡北道吉州郡豊渓里で、3回目の核実験の準備を事実上完了したことが分かっています。 韓米両国の情報当局は坑道の周辺に積み上げられた土砂の量を偵察衛星で測定して作業の進捗度を推定。同消息筋は「技術的には2週間以内の核実験が可能な状態だ」と話しています。(4/21朝鮮日報「北朝鮮、3回目の核実験の準備を完了か」⇒http://goo.gl/zXI1v) 北朝鮮のミサイルは失敗に終わりましたが、日本の危機は去ったわけではありません。今回のミサイル発射失敗で、金正恩氏の威信が大きく揺らいだため、名誉挽回に向け、ミサイル再発射や核実験を急いでいると見られます。 日本は更なる警戒と、米韓と連携した北朝鮮の「ミサイル発射」「核実験」を阻止する歩みを止めてはなりません。(文責・佐々木勝浩) グローバル人材を養成し、日本の国際競争力を高めよ! 2012.04.21 大学における学力低下や国際競争力の劣化が国家的課題とされ、東京大学が「秋入学」を提言する中、「入学時期の変更だけで、国際化、国際競争力を獲得できるのか」という疑問や反発の声が上がってきています。 国立大学協会総会では、平野大阪大総長が「秋入学が独り歩きしている。教育の中身の改革議論がうやむやになってはならない」とくぎを刺し、京大の松本総長も慎重な立場です。 清水東大副学長は「建設的な批判が多いと思っている。秋入学だけで何かが変わるというわけでないというのは全くその通り」と語るなど、実現への課題は山積しています。(3/29 産経「秋入学 足並みに乱れ」⇒ http://goo.gl/RwI7a) 政府は2020年までに年間30万人の留学生を受け入れる「留学生30万人計画」(http://goo.gl/4uCPE)を発表していますが、日本における留学生の受け入れ体制は未だ不十分な状態にあり、様々な課題が指摘されています。 日本留学においては、一般的に、渡日してまず日本語学校に入学し、日本語などを1~2年間学習した後、大学などを受験するケースが多く、一番大きな障壁は「日本語教育」であるとも言われています。 英国は、1999年のブレア首相による留学生受け入れ拡大政策の下、ブリティッシュ・カウンシル(英会話スクール)を110カ国に置き、7300人の職員を配置したことが功を奏し、2020年までに87万人(3倍増)、130億ポンド(約1兆6640億円)の経済効果が見込まれています。(4/3 JBpress 村田博信氏「留学生の受け入れ、日本の大学はどこまで本気か、どうすればグローバル人材の育成ができるのか」⇒http://goo.gl/nqWDR) 日本も英国に倣って、物価の高い日本に来日してからではなく、世界各国で「日本語教育」を積極的に実施するなどして、日本の経済力相応に、日本語が「準公用語」と扱われるための努力が必要です。 そうであってこそ、日本に優秀な人材が集結して、大学での研究業績を世界的に発信していく、世界的な影響力を持つことが出来るのです。 一方で、大学が国際競争力を目指しているのに反して、「内向き思考」となっている若者の実態が報告されています。 「海外に留学したい」と考えている日本の高校生の割合は46%で、日米中韓4カ国中で最も低かったことが4日、日本青少年研究所の調査で分かりました。⇒http://goo.gl/U7jkU 「留学したい」としたのは、韓国82%、中国58%、米国53%、日本46%の順。期間では、日本は「1年以上2年未満」が最多ですが、米中韓では「2年以上」が多数を占めています。(4/4 産経「留学希望の高校生46% 利点感じず米中韓より低く」⇒http://goo.gl/62z9G) グローバル人材のニーズが非常に高まっている中で、実際に海外留学する日本人の数は、2004年度の年間8万2945人をピークに毎年減少傾向にあります。 2009年秋にハーバード大学に入学した日本人学生はたったの1人だけ。また、同年の留学生666人の中で日本人は5人でした。韓国42人、中国36人、シンガポール22人、インド20人に比べると雲泥の差です。 EUは「エラスムス計画」を通じて、学生の10人に1人は自国以外での留学経験を持たせ、「ヨーロッパ人」として育成し、EU加盟国間の学生流動を高めようとしています。 韓国では「グローバルリーダー10万人養成プロジェクト」として、30歳以下の青年を対象に、2013年までの5年間で海外での就業者5万人、海外でのインターンシップ3万人、海外ボランティア2万人を実現させることを推進しています。 現在、韓国の大手企業に就職するにはTOEIC900点以上は当たり前で、最近の大企業はソウル大学のような国内の一流大学よりも、海外の大学出身者を好む傾向にもあるそうです。(前出:4/3 JBpress) 国際競争力の源泉は、世界に通用する「英語力」にあると言えます。日本の若者の内向き思考を打破するためにも、自信を持って英語を語れるレベルを標準化することや、英語でのディベート力を身につける必要があります。 また、文科省の平成24年度予算案を見ると、留学生の「受け入れ」に関しては約332億円で、それに対して「送り出し」は約81億円と約4分の1となっています。 少子化で、希少価値の高まる「人的資源」である日本人の若者への投資を行い、海外経験を通して外国人と伍して勝ち抜いていくことが出来る人材の育成が国力復活に直結します。 今後、日本もTPP参加でグローバル化がより一層進むことが予想されます。日本の繁栄を担うチャレンジ精神に満ちた学生にチャンスを与え、彼らの夢を力強く後押しし、日本の国際競争力を高める「日本開国構想」を持つことが急務です。(文責・小川俊介) 増税の前になすべきことは山ほどある――税金にたかるシロアリたち 2012.04.20 大阪市が競争性のない随意契約で業務委託している外郭団体50団体に、昨年7月現在で市のOB計約1200人が天下りしていることが判明しました。(4/13 毎日「大阪市:随意契約50団体に、OB1200人天下り委託150億円」⇒http://goo.gl/PludU) これらの団体への年間の委託額は150億円を超えており、市は来年度以降、原則、随意契約を廃止し、入札や公募を導入する方針で、これらの団体への天下りや業務委託は大幅に削減される見込みです。 大阪市が20%以上の出資や業務委託をしている外郭団体は計70団体。うち50団体が長年にわたり、随意契約で市から業務を受託していました。 年間7億9000万円で地下鉄の窓口業務などを受託する「交通サービス」には327人が天下り。年間約34億円で市バスの運転や整備を請け負う「大阪運輸振興」には162人が天下りしており、OB36人が在籍する「市建築技術協会」は、市との随意契約が収入の9割以上を占めるということです。 大阪市は天下りが顕著だったために大きな問題になっていますが、こうした外郭団体への天下りや随意契約は、全国の自治体や国家レベルにおいても堂々と横行しているのが現状です。 2009年5月、野党時代の民主党は2007年度の国家公務員の天下り状況に関する衆院の調査結果を公表し、中央省庁が所管する4,504に上る特殊法人や独立行政法人などに再就職した国家公務員OBは2万5245人で、これらの法人に12兆1334億円が交付されていたと発表しました。 野田首相は2009年の総選挙の際、大阪で行なった街頭演説で「消費税5%分の皆さんの税金(注:12兆円)に、天下り法人がぶら下がってるんです。シロアリがたかってるんです。それなのにシロアリを退治しないで、今度は消費税引き上げるんですか?鳩山さんが4年間消費税を引き上げないといったのは、そこなんです」と述べ、「4年間消費税を上げない」と公約しています。 野田首相は自らの公約について「知らぬ存ぜぬ」を決め込み、天下りを放置したまま、消費税増税を強行しようとしています。シロアリ退治しようとして、シロアリになってしまったのが野田首相であり、民主党議員達です。 今回、大阪市では外郭団体への随意契約(競争入札によらずに任意で決定した相手と契約すること)を原則廃止する方針ですが、随意契約は、競争入札より高値になることは必然で、また、必要性の薄い(無い)業務を毎年契約するなどの「税金の無駄遣い」の温床となっています。 また、外郭団体への随意契約が、天下りを受け入れた民間企業に下請けで再委託されるなど、巧妙な税金の流出が指摘されています。 こうした税金の流出の解決策としては、天下りを無くすのがすぐには難しいのであれば、行政と天下り法人との「癒着」(随意契約等)を無くし、入札や公募等を取り入れるしか解決策はありません。 従来、天下り法人が独占して来た10兆円を上回る契約を民間企業に解放すれば、財政支出の削減と共に、民間マーケットの拡大、ひいては経済成長にも繋がります。 総務省「地方公共団体における民間委託の推進等に関する研究会」の報告書は、自治体が担うべき仕事は「法令により、公務員が実施すべきとされている業務」等に限定し、「民間委託等の効果が十分に発揮されるような環境を整える必要がある」と改善を要請しています。⇒http://goo.gl/8ghBr 「民にできることは民に」は当然のこととして、今、欧米で注目されている「官民連携」(PPP:Public Private Partnership)では、従来、「官」(政府、自治体、外郭団体等)の仕事とされていた公共的な事業を「民」が連携して行う取り組みが始まっており、日本でもPFI、指定管理者制度、市場化テスト(官民競争入札)など様々な取り組みが始まっています。(例:刑務所の民間運営⇒http://goo.gl/Gtc3H) 野田首相は、増税の前になすべきことは山ほどあります。政府や自治体などのあり方を根本的に見直し、「小さな政府」を実現することで、税金の無駄削減、民間経済の活性化の余地は無限にあるのです。(文責・黒川白雲) 子どもの学力向上は学校(教員)の責務である~学力テスト実施・結果の公開義務付けを~ 2012.04.19 文部科学省の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が4月17日より、小学6年と中学3年を対象として、2年ぶりに実施されました。 今回は抽出された約3割の小中学校9709校(約73万2000人)の他に、1万6159校(約105万5000人)が自主参加。全小中学校における参加率は前回(10年)から7.7ポイント増の81.2%となっています。 公立校の参加率では100%が21県と前回から8県増えていますが、一方で愛知県(27.8%)と神奈川県(37.6%)のような参加率が著しく低い県も存在しています。(4/17 毎日「全国学力テスト:2年ぶり実施」⇒http://goo.gl/6TrkA) 通知表が相対評価から絶対評価となり、自分の(子供の)学力がどれくらいなのかわからない生徒と保護者にとって、8割以上の学校が参加する全国学力テストは自分の実力を客観的に知ることができる、数少ないチャンスです。 全国一斉学力テストは2007年に再開されました。1度目は1961~64年にかけて実施されましたが、当時最大勢力であった日教組が組織的に反対。 その理由は、今と変わらず「学力に関する学校間の序列化反対」「児童のテスト点数によって過剰な学校間の競争反対」。全国で反対闘争が相次いだことにより、1965年に全員調査は中止され、その後40年以上かけてやっと再開されました。 09年までは原則全校参加でしたが、民主党政権に代わり、日教組の圧力に屈した結果、10年からは3割抽出方式になっています。 2009年の東京新聞のアンケートによれば、学力テスト結果公表について、保護者の7割が「賛成」、教育委員会の9割が「反対」という結果が出ています。 保護者は「学校選択の基本情報」として公開を欲しており、その理由として、「学力向上は学校(教員)の責務だから」と約6割が答えているにも関わらず、一方の教育委員会は、「学校間の序列化や過度な競争につながる」「公表しなくても指導方法の改善に役立てることができる」と主張しています。 民間においては、限られた予算の中で最高のパフォーマンスが求められます。一方で、特に公教育は予算は要求しますが、満足できる結果を生み出していません。 「費用対効果」を指摘されると、公教育に競争はなじまない、市場原理によって効率的で公平な結果をもたらすことはできないという言い訳をします。 しかし、これらは単なる教育委員会と学校・教師の怠惰であり、競争によって順位をつけられたくないという恐れ・嫉妬心に染まった平等主義であります。 日本国憲法第15条2項には「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」、教育基本法第9条には「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と収容に励み、その職責の遂行に努めなければならない」と定められています。 公務員(教員)は、国民の税金で生活している以上、その成果を国民に示さなければなりません。彼らの成果とは、生徒たちそのものであり、一番わかりやすいものが生徒の成績です。だからこそ、生徒の学力テストの成果の公開は、絶対に行われるべきものなのです。 イギリスでは、1960年から行き過ぎた社会主義思想が大流行し、伝統的価値観を否定する一方で、「児童中心主義教育」が流行。生徒の学力低下、自虐史観の蔓延、社会の腐敗を招きました。 マーガレット・サッチャーは「学校教育に対する最終責任は国がとる」という基本理念の下に、「競争原理導入による学力水準の向上」を柱とする新たな教育政策を打ち出し、約半年間にわたる教師たちのストライキにも負けることなく教育基本法を改正・制定し、イギリス教育を再建しました。 その下にあったのは、「国は子供たちが学ぶ内容をなおざりにするわけにはいかない。彼らは将来の公民なのであり、われわれは彼らに義務を負っている」という強い思いでした。 競争と公開の原理を教育に入れることで、子ども達だけでなく、教員の実力を明らかにし、教員と学校に一層の努力を促すことが、教育改革の第一歩となります。 そのため、学力テストの参加必須はもちろんのこと、市町村単位でのテスト結果の公表の義務化、そして学校ごとや教員(教室)ごとのテスト結果公表を提案します。 これにより、子ども達の学力向上の責任を果たせる学校・教員ほど、評価が上がるようになるでしょう。テスト結果公開は、子どもと保護者の学校選択の大きな材料ともなるのです。 教育において、機会の平等と選択の自由を保障し、彼らの幸福増進に努めなければなりません。日本も、教育改革に真剣に取り組まなければなりません。 未来の日本・世界を創るのは、今教育を受けている子供たちです。教育は「国家100年の計」であり、21世紀の国家ビジョンそのものなのです。(文責・湊侑子(みなと・ゆうこ)) 「消費増税で景気はよくなる?」――週刊ダイヤモンドが主張する「新常識」を検証する 2012.04.18 週刊ダイヤモンド4月14日特大号では「『日本経済』入門」という特集が組まれています。難しい経済問題を図解やグラフなどで作成された力作であり、歯切れがよいので、読み物としてはよくできていると言えます。 しかしながら、手放しでは賞賛できない論点も数多くあります。特に、問題と思われるのが、新常識1の「消費増税で景気はよくなる」という論点です。 32ページには、消費税増税で景気が悪くなるという視点は思い込みに過ぎないとし、「消費税率を引き上げて財政再建を進めることで景気はむしろ上向く」と断定しています。果たして、ここまで強く断定できるものなのでしょうか。詳細を見てみましょう。 まず、97年の消費税増税による景気悪化は認めています。97年4月1日に3%から5%へと引き上げられた消費税ですが、その後の4月から6月は、民間消費はマイナス、企業の設備投資も落ち込みました。 理由は、消費税増税前の「駆け込み需要」の反動だとします。その後、7月から9月期には、これらの数値がプラスに復帰していることを強調し、「消費税増税が景気悪化につながっていなかった」と言いたいわけです。 さらに、10月から12月にかけての消費や設備投資の落ち込みは、アジア通貨危機や11月の山一証券などの破綻が原因であり、消費税増税は関係ないとします。 実際、97年から98年にかけて成長率が落ち込んだのは、消費税増税ではなく、通貨危機と金融危機が原因だとする研究が数多く存在することも事実です。その後の展開もすごいものがあります。 財務省が言うように、日本の財政はギリシャよりも悪い)政府の債務残高対GDP比率を指す)ので、早急な財政再建が必要だと展開します。歳出削減は、年金や医療などの必要不可欠な支出なので簡単にカットできません。 多くのお年寄りは、年金があてにならないために資金を貯めています。彼らを安心させるためにも、増税をして財政再建をすれば、安心して消費に向かう。そうすれば、増税しても景気が良くなるという論法です。 では、本当に額面通り受け取ってよいものなのでしょうか。そして、本当に「新しい常識」と言えるのかを検証してみましょう。 実は、週刊ダイヤモンドの記者が参考にしたと思われる論文を私はつかんでいます。上智大学准教授で財政学者の中里透氏の論文と週刊ダイヤモンドの結論は全く同じです。中里氏の論文はこちら→http://bit.ly/HOvAdq この論文は、著名な財政学者の井堀利宏氏が編集していることからもわかる通り、財務省を含めた増税路線を正当化する政府寄りのグループが発表しているものであり、ある意味で財政学の世界では「常識」になっている内容でもあります。だからこそ、週刊ダイヤモンドは「新常識」とうたっていると思われます。 しかしながら、消費税増税が98年以降の景気停滞の犯人ではないという論理にも、経済学者から一定の疑問が呈されています。 例えば、現在学習院大学特別客員教授の八田達夫氏の研究によれば、消費税増税が住宅や耐久消費財などの消費と投資の減少を招き、さらに通貨危機と金融危機が効果を増幅したと指摘しています(この論文は、財務省サイトから削除されている。財務省にとっては不都合な真実だということだろうか)。 つまり、「消費税増税による影響はあった」と言うことです(前回紹介した片岡剛士氏も八田氏の正当性を述べている)。 さらに言えば、消費税増税後に景気が回復しているわけではないので、この論点には無理がありますし、消費者が増税することによって、安心して消費に回すという前提も短絡的すぎます。要するに、前例がない以上、常識とは言えないということです。 新常識4では「今のやりかたでは財政再建ができないことを認めている」こと、新常識5では「社会保障と税の一体改革はすでに失敗している」とあります。誠に正しいと言えます。そうであるならば、増税がどのようにして国民を安心させると言うのでしょうか。主張に矛盾があります。 そのほか、「デフレ脱却で景気回復できない」(新常識10)とか、「金融緩和でデフレは解決できない」(新常識11)など、いずれも緻密な検証をせずに書かれているものが多く、とても常識と呼ぶまで一般化するレベルではありません。あくまでも、「そのような見方がある」という書き方にとどめるのが常識的な判断です。追加論点→http://diamond.jp/articles/-/17446 「増税が景気を良くする」「金融政策は効果がない」――どちらも、世界標準の経済学の観点から見て正当化できません。もし、日本国内で、「新しい常識」として定着するならば、それは間違った常識認定をされる可能性大です。 その意味で、残念ながら、これらは「本当に使えない(使うべきはない)!経済のツボであり、『新常識』」だと言わざるを得ません。(文責・中野雄太) すべてを表示する « Previous 1 … 226 227 228 229 230 … 253 Next »