Home/ 記事配信 記事配信 尖閣国有化の卑劣な裏密約~無責任な空手形を連発する野田政権は即時下野せよ!~ 2012.09.08 民主党代表選では、野田首相の有力な対立候補と目されていた細野豪志環境相に続いて馬淵氏も不出馬となり、野田首相の民主党代表再選は確実になりました。(9/8 時事「野田首相の再選確実=馬淵氏も不出馬」) 野田首相は9月7日、今国会を締め括る記者会見において「私には、こうした国政の重要な諸課題を中途半端な形で放置することはできません。この未完の一体改革や道半ばの震災復興をはじめ、日本が抱えている残された課題とこれからも格闘し、克服していく」と述べ、政権続投の意志を強調しました。(9/7 官邸記者会見) しかし、今国会の実態を見れば、政府提出法案の成立率は57.5%。過去20年で最低だった2010年の54.5%に次ぐ低レベルです。 結局、今国会で決まったのは、国民を苦しめ、不況を深刻化する「消費税増税」のみであり、いかに野田首相が無能かは明らかです。 国民生活に直結する赤字国債発行法案は廃案となり、予算の財源確保はメドが立たない状況です。 また、領土問題解決のための領海警察法や、違憲状態を解消するための選挙制度改革法などの重要法案を中途半端に放置して来たのは、他ならぬ野田内閣であったはずです。震災復興も遅々として進んでいません。 さらに、「税と社会保障の一体改革」も名ばかりで、社会保障に関する内容は無く、消費増税が決定しただけで、すでに、さらなる消費増税が必要であることが検討されています。 自らを「ドジョウ」と自称して、泥臭く、市民に寄り添う誠実な政治姿勢を演じていますが、そもそも消費増税をしないことをマニフェストに掲げて政権を得ておきながら、平然と国民との約束を破り、信も問うことなく、このまま続けようと言うこと自体、不誠実そのもの、厚顔無恥も甚だしい。 誠実さを装いながら、傲岸不遜に詭弁を繰り返す、野田首相をこれ以上、看過することは出来ません。 このような国民への背信行為の中でも、特に重大な問題となるのが、9月5日、国が尖閣諸島を購入することが報じられた「尖閣諸島の国有化」に関してです。(9/5 朝日「尖閣、国が購入で合意20.5億円都知事にも伝達」⇒http://www.asahi.com/politics/update/0905/TKY201209040777.html) 野田首相は8月24日の記者会見で「国家が果たすべき最大の責任、それは平和を守り、国民の安全を保障することです」と述べており、今回の「尖閣国有化」を国防のための英断かと思われましたが、真実は正反対であることが明らかです。 実は、尖閣諸島の国有化は「東京都が実効支配をしない」ために、中国に配慮して、国が購入を取り付けたという、驚くべき事実が報道されています。(9/5 夕刊フジ「政府“尖閣購入”は売国行為!中国に屈して実効支配強めず」⇒http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120905/plt1209051811008-n1.htm) 国際政治学者の藤井厳喜氏は「国民の税金を使って、最悪の決断をした。野田首相は自分が何をしているのか分かっているのか。これでは、『売国宰相』と呼ばれても仕方ない」と述べています。(同上) 評論家の青山繁晴氏も、対中弱腰の外務省や岡田副総理による圧力で、野田首相が「国有化はするが、尖閣諸島に施設は作らない」という決定に至ったことを明かしています。(youtube⇒http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=U9NjcOWFYBc&gl=JP) 実際、日中関係筋は、中国側が尖閣諸島について(1)上陸しない、(2)調査しない、(3)開発をしないことを日本側が受け入れれば、国有化を黙認する交渉があったことを指摘しています。(9/1 東京「中国、尖閣問題で要求『上陸・調査・開発しない』」) 自国の領土を「上陸・調査・開発しない」と約束するのは、主権放棄、実効支配の放棄そのものです。 野田首相は「尖閣国有化」で保守層の支持を集めたい考えですが、卑劣な国民への背信行為を断じて許すことは出来ません。 このような政治の不作為の隙を突いて「日本に新政権が誕生する前に、つまり年内に中国が何かを仕掛けてくる恐れがある」ことを情報当局者が指摘しており、まさに、領土問題・国防問題は、待った無しの切迫した状態にあります。 このような状況であるにも拘わらず、野田首相は8日の記者会見で、尖閣諸島の施設整備について、「尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持管理をするという観点が第一」と応答する危機感の無さで、実効支配を強める姿勢は皆無です。 「尖閣諸島の国有化」以外にも、「原発ゼロ」、「公務員への協約締結権付与」、「人権委員会の設置」など、国益を大きく損ねる法案を審議し、押し進めようとしています。 本当にこのような状況を許していて良いのでしょうか。無責任な空手形を連発して、選挙対策を弄する野田政権は即時下野すべきです。(文責・小川俊介) 終わらないシリアの悲劇~日本はどのように向き合うべきか~ 2012.09.07 「シリアの悲劇」がまだ終わりを見せません。 在英の反体制派組織「シリア人権観測所」は2日、内戦状態に陥ったシリアの8月の死者数が5440人に上ったと発表しました。 昨年3月に民主化デモが本格化して以来、1カ月間の死者数としては過去最悪の数字で、これまでの死者数は一般市民約1万8500人を含む約2万6000人に達しています。(9/3 毎日「シリア:8月死者5440人 昨春以来最悪」) なぜ、シリア情勢はこのように混迷を深めているのでしょうか? 最大の理由は、シリアの国力低下に伴う、中東全体のパワーバランスの崩壊です。 シリアの国力低下に伴い、シリアと友好的でなかった国々は、シリアをコントロールできる絶好の機会と考え、逆にシリアと友好的な国々はシリアの現政権の崩壊が自国の生存を脅かすことに繋がると考えるようになりました。 その結果、周辺国が各々の思惑に基づき、政権側・反政府側双方に対して支援が行われ、シリアの内戦がエスカレーションの一途を辿って来たのです。 それぞれの国が死活的な国益をかけて政権側・反政府側を支援しており、この構造を変えることは容易ではないため、内戦は今後とも続くものと考えられます。 では、シリアの問題を解決するためにどのような策を取ればよいのでしょうか? 国際連合などの国際組織は実質上、役に立たないことがこれまでの経過で明確です。 国連では、国連安保理の分裂や先日イランのテヘランで行われた非同盟諸国会議の非難合戦の様相からも分かる通り、各国はすでに共同歩調を取れなくなっています。(9/5 日経「非同盟会議に透けた米国・イランのせめぎ合い」) 国際連合などの国際組織が役に立たなくなっている今、アメリカによる武力介入が各所から求められていますが、アメリカとしては軍事介入を行いづらい状況にあります。 そもそも、オバマ米政権は国連を中心にした「対話による停戦」という青写真を描いて来ましたが、その枠組みは事実上崩壊しました。 オバマ政権は機能不全に陥った国連の枠組みに最後までこだわり、シリア問題と距離を置く姿勢を鮮明にしています。(8/18 日経) 米国が軍事介入を避けている理由としては、アメリカが武力介入した場合、イランの先鋭化を招き、ペルシャ湾情勢の悪化を引き起こす危険への配慮と共に、現在、大統領選挙の最中であること、アメリカの財政事情が厳しいこと等の米国の内政事情も挙げられます。 このことについて、幸福実現党の大川隆法名誉総裁は9月2日、福岡市で「国を守る宗教の力」と題する講演を行い、次のように述べています。 「今、シリアでは政府軍が民衆を殺していますが、オバマ大統領は金が惜しくてあまり介入したくない。しかし、死者数からみて、これで介入しなかったらアメリカとしての使命を放棄しています。 それだけ国力が弱っているのであれば、日本と中国、北朝鮮、あるいは韓国との間で国際紛争が起きたときにも、アメリカは同じような態度を取る可能性が高いと考えなければいけません。」 これまでの米国であれば、「世界の警察官」として、確実にシリアに軍事介入している場面ですが、シリアと距離を置く米国の姿勢を見れば、日本は日米同盟を基軸としつつも、「自分の国は自分で守る」という自主防衛を強化していくことが急務だと言えます。 では、今後、日本としてはシリア問題の解決に向け、どのような支援を行うべきでしょうか。 日本としては、現在、進行している内戦そのものに介入するよりも、内戦後の支援を行なうべきであり、その内容はシリアの経済基盤を回復させ、シリアが経済的に発展できるきっかけとなるような支援が望ましいと考えます。 アラブ諸国の革命の真の原因は経済政策の失敗によるものだからです。 また、内戦が反政府側の勝利に終わったとしても、シリアの政治的安定を図ることは、アラブ諸国の革命のその後を見ると非常に難しいと言わざるを得ません。 日本としての支援は長期化を見越して戦略的に行うべきです。日本がこれまで行って来た支援のように、安易に金銭だけを渡したりすることは反政府勢力の分裂による第二の内戦を助長する恐れがあります。 また、南スーダンで行っているように、自衛隊をインフラ整備に派遣することはシリア人の仕事を奪う結果となります。日本としてはシリア自身の「自助努力」を促す方向で、現在から支援計画を練り込むべきです。(文責・黒川白雲) 都市の未来と「垂直都市ビル」構想 2012.09.06 東京スカイツリーの「高さ」が人々の人気となってますが、関西の新名所「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区、地下5階地上60階)が2014年春の開業を目指して建設が進められています。⇒http://www.abenoharukas-300.com/ 「あべのハルカス」は今年8月30日に最終的な高度となる300mに到達し、横浜ランドマークタワー(横浜市西区、296m)を抜いて、ビルとして日本一の高さになりました。 ハルカスには複合商業ビルとして、近畿百貨店本店や大阪マリオット都ホテルの他、多機能オフィス、美術館などが入ります。 さらには、大阪市立病院など医療機関を集めた「メディカルフロア」や、複数大学のサテライトキャンパスなどを設置した「キャンパスフロア」もできる予定です。 このような「複合型ビル」は、「職」「住」「遊」「学」などといった都市としての機能を備え、小さな町や村と同等の能力を持っているという意味で「垂直都市ビル」と言って良いでしょう。 日本のように国土が狭く、さらに数少ない平野部に人口が集中している国(国土の約25%に人口の9割が住んでいる)にとって、「垂直都市ビル」というのは非常に合理的な施設です。 事実、多くの人々が集まる施設である「六本木ヒルズ」「東京ミッドタウン」や、今年オープンした「渋谷ヒカリエ」、また現在建設中の「環状2号プロジェクト(地下5階・地上53階建)」などは、様々な都市機能を備えた複合型ビルです。 高層の複合型ビルを建てていくという昨今の傾向が、なぜ理に適った戦略と言えるかについて、東京をはじめとする大都市が抱える課題を踏まえ、3つの切り口から解説させて頂きます。 (1)少子高齢化 日本は近代化を図る過程で、都市機能を分化し、用途を純化していきました。まず、都市がスプロール化(無秩序に拡大していく現象)し、その結果ドーナツ化現象が起きた結果、首都圏では毎日、「民族大移動」が繰り返されています。 この移動にかかる時間は、平均2時間を超え、生涯計算をすると、合計4年間以上、通勤・通学に費やすことになります。サラリーマンは、友人、知人、家族とゆっくり過ごす時間や、自己啓発の時間を奪われているのです。 その弊害や歪みが色々なところで出ており、その一つが、「少子化」であり、かつ、現在、進行している「高齢化」に対応できていない都市構造なのです。 このように「水平拡張」していった都市構造を見直す必要があります。そのカギとなるのが「垂直都市ビル」です。 この様々な機能を持ったビルは、「住み、かつ働く街」であり、ライフ&ワークスタイルも全く違ったものになり、女性や高齢者の社会参加も容易になり、子育てもしやすい環境が実現されます。 「垂直都市ビル」を建設してくことは「職住分離型→職住接近型」へと都市構造を変えていくことになります。 (2)インフラの更新 日本のインフラなどの公共施設の多くが、高度成長期、特に東京五輪前後の時期に建設が進められました。その多くが、これから耐用年数と言われる50年を超え、建て替えの時期を迎えようとしています。 老朽化により通行禁止となった15m以上の橋は今年4月で217と統計のある08年の8割増で、通行規制されている橋も1162と08年より7割も増えました。 この他にも下水道の老朽化による道路の陥没が頻発しているなど、状況はかなり切迫しています。公共施設を更新するのに必要な費用は、今後50年で400兆円にのぼると試算されています。(8/27 日経「老いる公共施設」) 日本の都市は、今までの延長線上のその場しのぎの工事ではなく、将来を見据えて投資していかねばなりません。 都市の機能を縦に揃えた垂直都市ビルにインフラを集約し管理・運営する方が高効率になり、メンテナンスや更新も非常にし易くなります。 (3)防災対策 垂直都市ビルは災害時にも非常に強いのです。例えば、六本木ヒルズでは、震度7の大規模地震に耐えられるよう設計されているうえ、地震でライフラインがストップしても、仕事や生活を継続できる設備や物資を備えています。 森タワーの地下には巨大な発電所があり、ヒルズ内の施設の電気や冷暖房を賄っています。東京全体が停電になっても、六本木ヒルズだけは電気を通常通り提供されているのです。 また、10万人分の備蓄倉庫や非常用井戸なども備え、周辺からの避難民や帰宅難民を受け入れることが出来ます。 現在、日本にはたくさんの木造住宅密集地域(木密地域)があります。東京においても、山手線の外周部を中心に広範に分布しています。 この木密地域は道路や公園等の都市基盤が不十分なことに加え、老朽化した木造建築物が多いことから、「首都直下地震による東京の被害想定」(2006年東京都防災会議)においても、倒壊・火災など大きな被害が想定されています。 これらの地域の建物を鉄筋コンクリート仕様などに建て替え、不燃化に膨大な予算を費やすよりも、効率的でかつ防災性も高い街づくり(=垂直都市ビル)を考えるべきです。 近年になって、前出のような高層の複合型ビルが建てられてきていますが、依然として日本の都市は空中を活用できていません。 具体例を挙げるならば、東京都区内の建物の平均階数が2.5階に比べて、ニューヨークでは平均15階、パリでは6階建てです(『超高層ビルの秘密』尾島俊雄著)。 東京は「平面的過密・立体過疎」の都市だと言えます。日本の中心である東京でもこのような状況ですから、他の都市はさらにこの傾向が顕著です。 高層ビルを建てれば良い、というわけではありません。しかし、今はせっかくの土地を無秩序に利用し、閉塞感が漂っています。 「垂直都市ビル」は現代における最先端技術の結晶であり、適切に建てることによって、新しい概念や文化が生まれてきます。 うつむきがちの日本が、再び空を見上げられるために、この「垂直都市ビル構想」を提案したいと思います。 TPPと農業問題 2012.09.05 消費税増税法案以外ははっきりと結論を下せない野田首相。 今週末ロシアのウラジオストクで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でTPP(環太平洋経済連携協定)参加表明を見送ることが決まったのが8月29日。表向きは参加に対して詳細が煮詰まっていないとされていますが、党内を中心とした反対勢力を融和するのが狙いだと考えられます。 TPPは農業問題だけではなく、国際貿易と法律論、環境問題、労働問題など幅広い論点が網羅されています。ただ、一言で言えば、TPPを通じてアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)と呼ばれる広域の自由貿易圏を創設することが最大の狙いです。2010年横浜APECでは、FTAAP実現に向けた方向性が改めて確認されました。 さて、HRPニュースファイルではTPP問題に関して、「デフレとの関連」「ISD条項」「医療制度」「知的財産権」問題を扱ってきましたが、今回は農業問題を取り上げます。 TPPに参加すると農業が壊滅するという意見があります。 農林水産省の試算では、関税や輸入課徴金の撤廃により農業生産額8.5兆円のうち4.1兆円(そのうち米は2兆円)減少するとされます。また、食料自給率は40%から14%に低下するため、食糧安全保障上問題があるとします(2011年度は39%)。あくまでも政府が対策を施さない場合の試算であるため鵜呑みはできませんが、国民に与える印象は強いものがあります。 食料自給率はカロリーベースで表示されており、1960年頃には約80%あったものが、50年後には半分にまで低下しました。 『TPP興国論』の著者である松田学氏によれば、日本人の食生活が洋風化したことを指摘しています。米や野菜中心の食生活から肉食に変わることで家畜のエサとなる穀物の輸入が増えます。この値はカロリー自給率から差し引かれます。既に、飼料用の穀物の輸入関税は低くなっているため、自給率を下げる要因になっているわけです(104p)。 実は、カロリーベースの食料自給率は日本の農水省が編み出した統計であり、他国では採用していません。本来ならば生産額の自給率を使用するのが筋ですが、対応する日本の値は66%になります!→農水省のHP参照 韓国でもカロリーベースとしての自給率は使用していますが、日本のように「食糧安全保障」という国策としては使用していません。 この点を鋭く指摘しているのが月刊雑誌「農業経営者」副編集長の浅川芳裕氏です。同氏は、カロリーベースの自給率の計算根拠を農水省に問いただしたところ、「食糧安全保障上の機密上」出せないと返答されたようです。 その裏には、農水省が日本の農業が弱いという印象を植え付け、保護を正当化している意図を感じざるを得ません。→http://bit.ly/OabdLI そして、日本の農業問題を議論するには米の減反政策に触れざるを得ません。 1970年以降から継続している減反政策により、減反面積は水田全体の約4割強にあたる100万ヘクタールにも達しました。加えて、供給を制限したことで米価は高くなっています。 『農業ビックバンの経済学』の著書である山下一仁氏によれば、減反対策で年間約2千億円、累計約7兆円の補助金が拠出されている点を指摘しています(120p参照)。 減反をやめて増産すれば、それだけで米価は下がります。加えて、余剰米は輸出にまわすこともできます。さすれば、食糧自給率向上にも有利になると思われるのですが、減反政策を撤回する方針は今のところ出ていません。 一方、世界的にも悪名高い米の関税率は778%。その代償として、日本政府は国内消費量8%にあたる77万トンの米を輸入する「ミニマムアクセス」が課されています。主な使用目的は海外への食糧援助。1万トン当たりの保管料は約1億円ですので77億円の税金が使われている計算です。過去の在庫量を入れた累計額は500億円以上にのぼります。 要するに、国民は高い米の価格だけではなく、米の保管料にも税負担を強いられているわけです。 こうした愚かな政策をするくらいなら、減反の廃止とTPP参加による関税撤廃に向けた交渉をしていく方がよほど健全です。 日本の世界5位の農業大国です。 神戸牛や松坂牛のように、海外でも売れる商品もあります。日本の農産物の品質は高く評価されており、今後も数多くの農産品を輸出商品へと変えることは夢物語ではありません。 巷間では、耕作放棄地や農業従事者の高齢化と跡継ぎ問題などがクローズアップされており、衰退産業の代名詞のように扱われていますが、議論のほとんどは農業の保護です。 むしろ今必要なのは、浅川氏が別の論文で述べているように、農業の経営黒字化のインセンティブを働かせることにあります。そのためには、競争原理を導入して補助金漬けの体質を改善する必要がありますが、TPPがその端緒となります。→http://bit.ly/PZY4mV TPPには、全参加国の同意と約10年間の協議期間が許されているのですから、過度に恐れる必要はありません。 幸福実現党としても、「日本の農業は弱い」という農業版自虐史観を脱却し、減反などの社会主義的な政府介入を撤廃していくことが不可欠だと考えます。そして、「強い農業」を実現するためにも、TPPを通じて市場競争を強めていく中に、日本農業の再生への道があると考える次第です。(文責:中野雄太) 情報問屋・大マスコミの堕落~8/10以前と8/10以降~ 2012.09.04 8月10日、消費税増税を柱とする社会保障・税一体改革関連法が、民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決、成立しましたが、その前後で消費税に関する報道内容が明らかに変化しました。 もとより増税の必要性の理由に関しても、当初は「日本の財政赤字を放置しておくと、ギリシャのように破綻する」という報道がもっぱらなされていました。 特に、日銀筋からは「消費税増税を行うことは、日本は財政赤字を放置しないという国際社会に対する国民の意志表示であり、これにより通貨の信認、ひいては日本国債の信認を得られる」とあたかも消費税増税による財政再建が国民の意志であるかの如きメッセージが発信され、報道機関はこれらを無批判に垂れ流しました。 また、日本の財政を家計に例え、「一人当たり750万円の借金を抱えている。孫子の代にツケを残すな」という論点で主要マスコミは一斉に報道し「財政再建まったなし」という認識を定着させました。(2/10 日経「国の借金 過去大958兆円 1人当たり750万円」) しかし、幸福実現党を含め、少なからぬ政治家、学者、評論家等より、「日本とギリシャは状況が全く違う」「日本はギリシャのように破綻しない」という議論が活発になされると、今度は、消費税増税の目的を「社会保障のために充てる」と論点をすり替えました。 さらに消費税そのものが景気に与える問題点に関する報道も変化しました。 8月10日以前は、消費税の逆進性(低所得者ほど税の負担割合が増える)の問題に関しては、「給付付税額控除(消費税負担分を低所得者に還付する制度)で対応できる」とさかんに報道されました。 この報道は「消費税が増税されても低所得者層の方々はご安心ください」というメッセージであり、事実上、消費税増税を推進するという「提灯報道」でした。 この他、8月10日以前に比較的多く報道されたものに、「現行の日本の消費税率5%は、諸外国と比べて低い」という論があります。 このことについても、単に課税率を比較するだけで、諸外国の消費税(付加価値税)の軽減税率や課税免除について触れていない不公正・不正確な報道が見られました。 このように8月10日以前の報道は、総じて消費税増税の必要性を訴える内容のものが大半でした。 HRPニュースファイルでは、「消費税増税が消費不況をもたらし、税収が増えるどころか減る可能性が高い。そして、不況をもたらし、失業者を増やし、その結果自殺者も増える可能性がある」と訴えて来ました。 個別には、「中小零細企業は消費税増税分を販売価格に転嫁できない。多くの中小零細企業の倒産・廃業を招く」と警告を発し続けて参りました。 しかし、8月10日以前は、こうした現実の切実な問題は、大マスコミと政治家、官僚の増税翼賛体制の下、無視されてきました。 しかし、8月10日以降は、驚くべきことに、大マスコミは、消費税増税が惹起する大不況の可能性、中小企業において価格転嫁が困難な問題等について、一斉に報道を始めました。 これは、増税翼賛体制の一翼を担って、増税を推進してきた大マスコミの「アリバイ工作」の一環であることは明らかです。 「アリバイ工作」とは、消費税増税が引き起こす問題点の指摘もちゃんと報道しましたよということです。 しかし、消費税増税法案の成立に邪魔にならないように8月10日以降というカッコ付の報道です。 この日本の大マスコミの堕落の本質は何か。8月31日発刊『松下幸之助の未来経済リーディング』(大川隆法著、幸福の科学出版刊)に、ズバリその本質が説かれています。 現在のマスコミの機能について「政府に媚を売って情報を取り、それを卸し、国民に売っているだけの商売人。それだけの機能。こういう情報問屋は、現代のインターネット社会では、もうすぐ潰される時代に入る」と喝破しています。 本来、自由な情報の流通を、阻害しているのが「情報問屋」たる政商・大マスコミです。今後、「政商」と化したマスコミは、インターネットの浸透により淘汰されていくことは間違いありません。 幸福実現党は、国民生活の繁栄のために、堂々と正論を展開して参ります。(文責・加納有輝彦) 日本は「独立国家」として、独自の戦略を打ち出せ! 2012.09.03 8月15日、アメリカの知日派によって発表された報告書「日米同盟:アジアにおける安定の礎」、通称「アーミテージレポート」が発表されました。⇒http://csis.org/files/publication/120810_Armitage_USJapanAlliance_Web.pdf 本レポートについては、「第3次アーミテージ報告」――今こそ、日米同盟を基軸として、世界の平和と繁栄を築く時!でも紹介されていますが、本レポートを読む限り、対中国抑止戦略に「日本とロシアの協調関係」について、全く触れられていないことが気になります。 本レポートは「対日政策の勧告・提言書の性格も併せ持っている」ものであり、非常に重要です。(8/16 産経) 本レポートは、日本に対して、インド、オーストラリア、フィリピン、台湾との関係の重要性について指摘しており、また、韓国との協力関係についても多く言及があります(これは当然、対北朝鮮戦略上でも重要な関係だからです)。 確かに、これらの国々との協力関係は非常に重要ではありますが、幸福実現党としては、『The Liberty』10月号でも指摘されているように、「ロシア」との関係を良好に保つことも非常に重要であると考えます。 アメリカからすると、ロシアは基本的にEUと対峙するヨーロッパ方面の国だという認識の方が強く、中国の覇権主義にさらされる東アジア情勢の平和安定にとって、「必ずしもロシアはキーポイントではない」という認識なのかもしれません。 少なくとも、中国の覇権戦略にロシアが軍事行動等を共にするとは、あまり考えていないものと思われます。 確かに、ロシアは現在、東アジア方面に向けて、領土拡張の野望は持ち合わせているとは思えません。また、中露の関係も問題がないわけではありません。 ただ、日本としては、今後、中国と尖閣諸島を巡る争いが悪化した場合、ロシアもその動きに便乗し、北方領土の実効支配を強化する等の行為に出てくるなど、北からはロシア、南からは中国、そして日本海側からは北朝鮮や韓国から同時に圧力をかけられたり、侵略的行動に出られ、力を分散させられるような事態を避けなくてはなりません。 やはり、日本としてはロシアと敵対関係にならないよう、友好関係を構築しておくことは非常に重要です。 今後、幸福実現党が主張しているように、ロシアとの友好関係を築き、中国に対する抑止力向上を図る戦略を取る場合、アメリカとの見解の相違が問題として浮上する可能性があります。 少なくとも、日米同盟が日本外交の基軸であることを押さえた上で、ロシア外交の戦略を立てるべきです。 アメリカとの関係を盤石のものにしておかなければ、逆にアメリカの不信を買い、日米同盟の大きな危機を招く可能性もあるからです。 その上で、日本は自らの安全保障にとって「ロシアとの友好関係が重要である」という独自の認識に立ち、外交努力を尽くすべきです。 また、エネルギー関係では、メタンハイドレートの開発についても、同レポートは「日本とアメリカが協力して開発を進めるべき」と述べていますが、日本のメタンハイドレートは「日本の中心の南側(Methane hydrate deposits off south-central Japan)」にあると表現されています。 これは経産省主導で予算をつけて開発中の「南海トラフ」にあるメタンハイドレートを意味していますが、実はアメリカは、韓国が「我が国固有の領土」である竹島近海で進めているメタンハイドレートの研究開発に出資しています。(青山繁晴著『ぼくらの祖国』p266) また、現在、調査が進むにつれ、日本海側にもメタンハイドレートが多く埋蔵されており、むしろ日本海側の方が開発が容易で、実用化が早いことが指摘されています。 同レポートが、日本海側のメタンハイドレートに触れなかったのは、渦中の「竹島」近海で、韓国が進めているメタンハイドレート開発に米国が協力しているからではないかとの疑問も湧いてきます。 仮に、彼らが確信的に「日本海側」のメタンハイドレートへの言及を避けたのだとすれば、日本海側に目を向けさせたくなかったということです。 アーミテージ氏が主導で書き上げたレポートですので、全体的に非常に親日的で、ある意味で日本に対する「善意」に溢れた文章のように見えますが、彼らは当然、アメリカの国益のために、日本とどう付き合うべきかを考えています。 日本は独立国として、毅然たる外交戦略を持ち、行動すべきです。(HS政経塾第2期生 兼 幸福実現党東京第5区支部長 曽我周作) 【内なる国難】「人権救済法案」の危険性 2012.09.02 2012年8月、この熱い夏に起こった2つの国難「韓国大統領の竹島上陸」と「香港の保釣(ほちょう)活動家の尖閣上陸」は、日本にとって屈辱的な事件として歴史に刻まれることになるでしょう。 「竹島上陸」「尖閣上陸」のように、外から自国の領土に上陸される屈辱は、ある意味で分かりやすいもので、今回の2つの国難は、日本国民の国防意識を喚起したことも事実です。 しかし、「外からの2つの国難」とは別に、国内では、同時にもう一つ、「内なる国難」が迫っています。 いわゆる「闇法案」と呼ばれる「人権救済法案」の国会提出の動きが密かに進もうとしています。 野田首相は8月23日の衆院予算委員会で、今国会中の提出に向け法案作業を急ぐ意向を表明、29日には法務部門会議を開き、人権侵害救済機関「人権委員会」を法務省の外局に新設する人権救済機関設置法案(人権救済法案)を了承しました。 政府・民主党は法案の今国会中の提出を目指していますが、会期末が迫っており、事実上、成立は不可能と見られています。(8/29 産経「人権救済法案を今国会提出へ、成立は不可能」⇒http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120829/stt12082923340016-n1.htm) 成立が不可能にもかかわらず、国会提出を急ぐのは「次期衆院選で人権団体の票を得るため」と見られています。(同上) しかし、「人権救済法案」は、自公政権の時から「人権擁護法案」「人権侵害法案」等、批判を受ける度に名称を変えて、虎視眈々と成立を目指す民主・自民・公明を中心とする売国議員達の動きがあり、全く油断できません。 今後も、いつ国会に提出されてもおかしくありません。 9月1日の産経抄には「人権救済法案」の問題点として、以下の指摘がなされています。 ▼人権委員会は独立性が高く、コントロールできる大臣がいない。偏った人物が委員長に選ばれれば、どうなるか。すべての市町村に配置される委員会直属の人権擁護委員が、「どこかに差別はないか」とウの目タカの目で見回る監視社会になりかねない。 ▼ことに問題なのは、委員会が「深刻な人権侵害」と認定すれば、勧告のみならず警察や検察ばりに出頭要請や立ち入り検査もできるようになることである。何よりも救済対象となる「不当な差別、虐待」の定義が曖昧なのだ。 ▼小欄は先週、竹島に上陸しただけでなく、天皇陛下に謝罪を求めた韓国の李明博大統領が反省するまで「韓国製のモノは買わない」と書いた。法案が成立すれば、「不当な差別的言動」と解釈され、委員会に呼び出されてこっぴどく叱られるやもしれぬ。 産経抄が指摘するように、本法案の最大の問題は「人権」の定義が曖昧で、もし、左翼・売国奴が人権委員にが入り込んだ場合、正当な言論活動を行なっている団体や個人に対する言論弾圧がなされる危険性があります。 また、市町村には人権擁護委員が置かれ、その規定には日本国籍の有無がないため、外国人が人権擁護委員に就任した場合、中国の軍拡に対する正当な批判や、韓国大統領の竹島不法上陸や従軍慰安婦の強制連行を否定しただけで、「人権侵害(民族差別)」として、「言論弾圧」される可能性が出てきます。 つまり、日本を敵視している韓国人や中国人達が人権擁護委員に就任し、日本の法律で日本人を合法的に言論弾圧をできるのです。 ちなみに、すでに「人権委員会」がある韓国では、人権委員会に持ち込まれた事件総数の14700件のうち、85パーセントが「虚偽」か「事実ではない」として却下されています。(『こんなに危ない「人権委員会」』日本政策研究センター発刊) 問題は「虚偽」の告発として却下されても、人権委員会から調査などを受けたという「風評被害」が調査を受けた個人に残り、社会的な信用を失い兼ねず、それこそが「新たな人権侵害」につながっていくことにあります。 「人権救済法案」こそが、最大の「人権侵害」をもたらす危険性が高いのです。 今回は、幸いにも法案成立は不可能と見られますが、人権団体の票目当て、あるいは在日外国人の支援目当ての民主・自民・公明を中心とする多くの売国議員達が密かに「人権救済法案」の国会の通過を目論んでいることを忘れてはなりません。 「竹島上陸」「尖閣上陸」のように外からの侵略だけではなく、内からの日本人弾圧を招きかねない売国法案を断固阻止して参りましょう!(文責・佐々木勝浩) 防災の日:大規模投資で安心して暮らせる日本を 2012.08.31 9月1日の「防災の日」を前に、8月30日、南海トラフの巨大地震が発生した場合、死者が32万3000人に達することを五大紙が1面で報道しました。 これは2004年のスマトラ島沖地震の28万人を超える「世界最大規模の被害」となります。 この2000年間で4回起きた東日本大震災クラスの地震の後に、南海トラフでの地震が3回発生しています。(藤井聡『劣等強靭化論』※ちなみに首都圏では4回中4回、100%の割合で地震が発生しています。) 南海トラフ巨大地震では製造業の心臓部である東海地方の被害が大きいため、経済的な被害は「最低でも270兆円の経済的な被害が見込まれる。大まかだが300兆円から900兆円とみるべきだ」と関西大学の河田恵昭教授は指摘しています(朝日新聞2面) 甚大な被害が予想される一方、迅速な避難と耐震化で32万人の死者を約6万1千人にまで減らすことができるとも指摘されました。 特に、地震発生の10分後に7割の人が避難をはじめ、津波避難ビルに逃げ込むことができれば、津波による死者数は8割減らすことができます。 自治体は一定の高さの公共施設やマンション等を「津波避難ビル」として指定しており、東日本大震災以降は津波の被害が甚大になると言われている地域を中心に2倍以上に増えております。(読売2面。※静岡、三重、和歌山、徳島、高知、大分、宮崎の7県で約1100カ所から約2500カ所へ) それでも避難ビルの絶対数は不足していることから公共施設を中心に避難ビルを増やしていく必要があると言えます。 京都大学大学院教授の藤井聡氏は防災・減災インフラを初めとして、日本を強靭化するために10年間で10兆円から20兆円の投資を行うことを提唱しています。 10年間で100兆円から200兆円を使う大規模な投資となりますが、この投資を行うことによって、地震による損失を減らすことが可能です。 一例を取ると、南海トラフ巨大地震に発生した津波が大阪を襲った場合、100兆や200兆円にものぼる被害が発生すると予想されます。 津波対策には堤防のかさ上げに4兆円から5兆円の投資が必要ですが、この投資により100兆円から200兆円の被害を防ぐことができるのです。(藤井聡『救国のレジリエンス』p.96) 経済的にメリットがあるというだけでなく、この投資により多くの命が助かることはいうまでもありません。 ※なお、自民党も災害対策(国土強靱化)として、10年間で200兆円投資を政策に掲げていますが、幸福実現党は2010年の参院選の時に、200兆円の投資構想をマニフェストに盛り込んでおり、自民党の政策の多くは幸福実現党の「劣化パクリ」と言わざるを得ません。(参照:5/27 The Liberty Web「幸福実現党に続き自民も200兆円大型投資構想」⇒http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4336) さらに、南海トラフ巨大地震では東海道新幹線が寸断される可能性もあるため、中央リニアの開業を前倒しで行うことも重要です。 円高と電力不足で逆風下にある企業ですら、高台移転や防波堤の建設などの震災対策を進めています。ましてや、国民の命を守るためにある政府が、財政赤字を言い訳に防災投資を怠ることは許されません。 幸福実現党は国防だけでなく、防災においても日本を守り抜く所存です。(文責・伊藤希望) 「島嶼防衛」の鉄則 2012.08.30 8月26日に静岡県の東富士演習場で行われた陸上自衛隊の「富士総合火力演習」において、今回初めて島嶼(とうしょ)防衛を想定した演習が行われました。(8/26 産経「富士総合火力演習 中国にらみ島嶼防衛を初めて想定」⇒http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120826/plc12082621460011-n1.htm) 島嶼防衛についての陸上自衛隊の関与については意外に思われる方も多いかと思いますが、これは自衛隊が、陸海空3自衛隊を一体として運用して島嶼防衛を行う「統合作戦(Joint Operation)」を推し進めている現れでもあります。 今回の演習では、海上自衛隊のP-3C対戦哨戒機が敵部隊の潜水艦、艦艇の動静を探り、航空自衛隊のF-2支援戦闘機が対艦ミサイルで侵略部隊を攻撃する役割を演じています。 更に一部の敵部隊に島嶼に上陸を許したと仮定し、陸自部隊が偵察から火砲射撃、突撃、敵部隊の制圧までの一連の作戦行動を行いました。 幸福実現党が主張して来たように、自衛隊が島嶼防衛を重視し始めたことは是として、実際の島嶼防衛において、こうした自衛隊の想定や戦略は果たして有効でしょうか? このことを1982年にイギリスとアルゼンチンとの間で起こったフォークランド紛争を例に挙げて説明したいと思います。 フォークランド諸島を巡るイギリスとアルゼンチンとの争いは、尖閣諸島を巡る日本と中国の争いに非常に似ていると同時に、程度の差こそはあれ、実効支配に置いている国よりも対立している相手国の方がその島に近いという地理的な環境も似ています。 アルゼンチンは地の利を活かして、イギリス海軍がフォークランド諸島に展開していない不在の隙を突いて、フォークランド諸島の周辺海域の制海権を確保し、悠々と上陸作戦を実行しました。 実際にアルゼンチンは1982年3月30日から4月3日にかけてフォークランド諸島に上陸しました(ロザリオ作戦)が、この上陸自体は少数の兵力を用いて秘密裏に行われたもので、自衛隊の想定のように大規模な兵力で堂々と行われたものではありません。 上陸したアルゼンチン軍は、周辺海域に展開するアルゼンチン海軍の空母「ベインティシンコ・デ・マジョ」から兵力の増援を受け、4月2日に東フォークランド島のポート・スタンレーを、4月3日にサウス・ジョージア島を占拠しました。 最終的にはマーガレット・サッチャー首相の決断によりイギリス軍は大規模な動員が行われて激しい戦闘の末、6月14日にフォークランド諸島を奪還しますが、駆逐艦2隻を始めとする艦艇6隻を失うなどイギリス軍の犠牲も少なくありませんでした。 フォークランド紛争で日本が学ぶべきことは、(1)実効支配下に置いている島の周辺の海域をしっかり守る。(2)島を奪還するためには大規模な兵力の動員が必要。(3)島を奪還するためには犠牲が伴う。という3つのポイントです。 自衛隊はこの3つのポイントに関して全くの準備不足です。特に(1)の周辺海域をしっかり守ることについては、先日の香港の活動家が尖閣諸島に上陸したことによって、周辺海域の海上防衛が全くなっていないことを証明してしまいました。 現在、沖縄や尖閣諸島に最も近い護衛艦がある海上自衛隊の基地は1000km強も離れた長崎県の佐世保基地です。これでは尖閣・沖縄有事の際に全く間に合いません。 先の大戦における日本の島嶼防衛は、敵が島嶼に上陸する段階で迎え撃つ、若しくは、内陸に引き込んで、地の利を生かして迎え撃つという発想に基づいています。 一方、英米の島嶼防衛戦略は「外敵の侵攻は海で迎え撃ち、敵には一歩たりとも上陸を許さない」という鉄則に基づいています。 米国も本土を島に見立て、強大な海軍や空軍、更には強力な海兵隊で、敵国に太平洋や大西洋を決して渡らせないという戦略を取っています(日米同盟や米英同盟もその戦略の一環です)。 実際に、第二次世界大戦開戦以降の世界の島嶼攻防戦を緻密に分析すると、島嶼の海岸線や島内陸で防衛する戦略を取った場合、ほとんど全て防衛に失敗しており、侵攻軍が島嶼占領に成功しています。(参照:北村淳著『島嶼防衛』明成社刊) イギリスもフォークランド奪還においては、鉄則通り、周辺海域・空域で圧倒的優勢な立場を確保してから島嶼侵攻を行い、島に立て籠もって侵攻軍を待ち受けて防衛したアルゼンチン軍は敗北しました。 島嶼防衛においては、「敵侵攻軍を少なくとも島嶼周辺海域・空域までの海洋で打ち破り、一歩たりとも海岸線に到達させてはならない。そのためには、敵侵攻軍に島嶼の周辺海域・空域での行動の自由を確保させてはならない」ということが鉄則になります。 自衛隊はこうした戦略や教訓を研究し、海上自衛隊の護衛艦を南西諸島に配備し、尖閣諸島や離島のパトロールを強化すべきです。 今回の富士総合火力演習には、中国や韓国の武官の姿も偵察に訪れていますが、本来、彼らに見せつけるべきは富士総合火力演習のようなショーではなく、尖閣諸島周辺海域における海上自衛隊艦艇の展開、南西諸島への大規模な兵力動員演習であるべきです。 尖閣諸島・離島防衛に向け、日本の「本気」を見せることこそが、中国の暴走を抑止する最大の戦略となるのです。(文責・黒川白雲) 財務省の絶対権力化を許してはならない 2012.08.29 増税の悪影響を直視しよう 8月10日に消費税増税関連法案が成立し、税と社会保障の一体改革の流れは加速していくことになります。 消費税だけではなく、所得税の最高税率の引き上げや相続税の強化も検討されています。加えて、毎年1.3兆円のペースで増加する社会保障問題があります。 本来ならば、「社会保障の選択と集中」と呼ばれるリストラがされてこそ、一体改革としての意味をなすわけですが、政府は社会保障関連の見直しを先送りし、増税だけが先行しました。 仮に今後も増税だけが先行したらどのようになるのでしょうか。 社会保障が専門の学習院大学の鈴木亘教授の見解によると、2025年には消費税率は25%程度、50年には40%近くになると主張。加えて、年金保険料の上昇が加わり、国民生活に多大な負担がかかる点を指摘しています。(4/13 産経「金曜討論」) ※ただし、鈴木教授は、消費税増税と社会保障への目的税化に反対はしているが、相続税や固定資産税と金融資産への課税強化を主張していることには注意。 大和総研の試算によれば、年収500万円の世帯では4年後には年間34万超の負担となることも明記されています。 過去の消費税増税の際には所得税減税などの軽減措置がありましたが、今年から始まった復興増税や社会保険料の上昇、そして子育て世代に重くのしかかる住民税の年少扶養控除も廃止されました。(8/11 夕刊フジ「消費税増税で年34万円の負担増!年収500万円の4人家族」) 要するに、今回は軽減措置もない純粋な増税だということであり、増税の悪影響が出るということです(これまでの動きを見る限り、日銀の金融政策が増税の緩和措置になることはあまり期待できない)。 もちろん、税金は公共サービスを運営するための必要経費です。税率が低く、経済活動に目立った悪影響を及ぼさなければ租税は適切だと言えますが、必要以上に税率が高くなると生産と消費は縮小します。極端なケースは100%の課税です。 いずれにしても、限度を超えた租税は市場経済の破壊手段になりかねません(ミーゼス『ヒューマン・アクション』748p参照)。 新聞紙上では、ようやく増税の悪影響が報道され始めましたが、まだまだ「増税やむなし」だと考えている国民はたくさんいます。法案が可決されたとはいえ、事実を伝える努力はやめるべきではありません。 財務省の絶対権力化に警戒せよ 現在、野田首相の問責決議に血道をあげている野党の自民党と公明党は増税政党です。次の選挙で政権交代が起きても、増税に反対する勢力が多数を占めない限り増税路線は踏襲、財務省の思うつぼとなります。 換言すれば、財務省は霞が関と永田町で絶大な権力を持ち始めたということです。 財務省が絶対権力を持つと、更なる重税国家となることは自明です。 そして、政治家は彼らの傀儡にしか過ぎません。既に、このような傾向は出ています。 野田政権は「直勝内閣」とも呼ばれ、勝栄次郎顧問の操り人形だと揶揄されるほどです。今後も、財務省寄りの人材=増税論者が総理となり続ければ、財務省の絶対権力化は一層強化されることになります。 政府には課税権がありますが、実質上の実務を握っているのは財務省です。財務省は選挙によって選ばれた代表者ではないため、権力が集中することは危険です。 リバタリアンの最高に位置するノーベル経済学者のハイエクは、「単一計画に役立てるように権力を集中すると、権力は単に移転するのではなく、限りなく強大になる」とも指摘します(『隷従への道』184p 東京創元社)。 また、イギリスの歴史家でもあり政治家でもあったアクトン卿は「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」という格言を残しています。 これを現代に当てはめると、財務省と政治家の癒着構造ということになるでしょう。 さらに言えば、増税で調達された資金を補助金として拠出される業界との既得権益が強化されます。永田町と霞が関、そして関連業界の「鉄のトライアングル」が形成されるわけです。 その結果、ますます政府は肥大化し、日本経済には競争力のない産業が温存されることになります。 減税路線=小さな政府への転換を 逆説的ではありますが、現在の日本の肥大化する政府を転換するには減税路線しかありません。 幸福実現党が主張する本格的な減税路線には、不要な税金を排除する「廃税」を含みます。(参照:日本で減税路線は可能か) 複雑で重い税金から、簡素で安い税金へと変えていかない限り、「財務省栄えて国滅ぶ」というシナリオが現実化してしまいます。 その意味で、「財務省からの自由」「重税からの自由」を実現するためにも、増税に反対する議員や経済に強く経営感覚のある議員ならびに候補者が国会に行かなければなりません。 幸福実現党は、その一翼を担うべく、今後も努力精進していく次第です。(文責・中野雄太) すべてを表示する « Previous 1 … 212 213 214 215 216 … 252 Next »