Home/ エネルギー政策 エネルギー政策 エネルギー政策に冷静で公平な議論を 2012.07.11 日本のエネルギー政策にとって大事な月となる7月。 全国では脱原発や再稼働に対するデモが行われています。また、昨年話題をさらった静岡県の浜岡原発ですが、現在は市民運動家が中心となって再稼働を県民投票によって決める動きが鮮明になっています(投票を呼びかけるサイト⇒http://bit.ly/OZutt0)。 県内の首長レベルでも脱原発を正式に表明する方も増えており、浜岡原発が位置する御前崎市の隣の牧之原市議会では、浜岡原発の永久停止が主張されており、県民の間でも支持する勢力が増えています。 日本国憲法では「思想・信条の自由」と「表現の自由」が保障されています。私は上記の動きがあること自体は否定しません。 ただ、一連の動きには注意も必要です。主要論点は下記の三点です。 第一の問題点は、浜岡原発の再稼働は静岡県だけの問題ではないことです。中部電力のサービスエリアでは、静岡県東部の富士川以西全域と愛知県、長野県、岐阜県、三重県の5県にまたがっています。 浜岡原発は東海地方の電力供給に関わる問題であるため、静岡県民だけの意見を反映するには無理があります。全国では、沖縄電力と北海道電力以外は複数都府県にまたがっていますので、他の地域でも同じ問題が生じるでしょう。 第二に、原発の停止は「電気事業法」や「原子炉等規制法」に基づいて行われるべきです。法令に違反していない原発を強制的に止めることの方が法令違反と言えます。 現政権は法的根拠がないことを承知で、原発を停止するのではなく、「お願い」という形をとり、電力会社が自主的に再稼働を行わない状態が続いています。 したがって、県民投票によって反対が多数を占めたとしても、本来は再稼働を禁止する法的根拠はありませんが、このままでは中部電力が「自主的に」再稼働を停止する状態が続くと思われます。 一人あたりの県民所得でみたら、愛知県は2位、静岡県は3位の経済圏です。同時に、東海地方には、トヨタをはじめ世界的に有名なメーカーと関連企業が点在しており、日本経済の「中心地」としての重要な役割があります。 東海地方の住民の生活と国益の観点を考慮すれば、県民投票という手段をとるのではなく、政府は責任を持って浜岡原発を再稼働する英断をしなければなりません。 繰り返しますが、浜岡原発再稼働は静岡県だけの問題ではありません。東海地方、並びに国家のエネルギー政策の視点から検討されるのが筋です。 第三に、経済と安全保障面での配慮です。(当論点は全国共通の課題) わが国は「資源希少国」です。エネルギー自給率は、原子力発電を除くとわずか4%です。原子力発電を含めた場合も20%以下です。このまま、全国で脱原発となれば火力依存が高まり、電気代の高騰に加え、電力会社の天然ガスや石油輸入が増えます。 それまで国内に電力を供給して利益を上げていたものが、輸入の急増という形で利益が減るわけです。年間数兆円の国富流出は、GDPの減少や企業の海外移転、失業の問題に結びつくのです。 あるいは、ホルムズ海峡や台湾海峡などのシーレーン上での紛争が起きれば、原油輸入の80%以上を中東に依存しているわが国では、安全保障面上の危機にも直面します。 最悪のケースでは、脱原発と再生可能エネルギーの大量導入による電気料金の上昇、原油やガス価格の高騰、慢性的な増税に日本経済が襲われた場合、一般物価が上昇するインフレと不況が同時に襲うスタグフレーションとなることです。 中東情勢にもよりますが、こうした最悪のリスクも考慮する必要があるでしょう。 これまで見てきたように、エネルギー問題は、発電技術を含めた経済的効果や国防的観点、放射線防護、法律論など複数の専門的視点から考える必要があります。 しかしながら、メディアでは放射線防護ないし放射能の恐怖だけが喧伝されています。これでは公平な議論ができません。 一方、7月2日から31日までの期間で政府が募集しているパブリックコメントを募集しています。こちらは、国民の声を幅広く集めていく上では重要な活動となります。(募集要項⇒http://goo.gl/4DkBh、パブリックコメント投稿フォーム⇒http://goo.gl/KkbPU) 読者の皆様は、どうか巷間の情報だけではなく、今回の論点などを参考にしながら、是非、パブリックコメントに参加してみてください。 そして、今後増えると予想される住民投票や県民投票が行われる際には、総合的な視点から議論がされているか否かをチェックすべきです。(文責・中野雄太) 「脱原発」に向けた政府の茶番――真のエネルギー政策論議を喚起せよ! 2012.07.08 関西電力は7月5日、大飯原発3号機の発電を開始し、送電を始めました。 9日にもフル稼働に到達し、それによって8月の関電管内のピーク時における電力不足は14.9%から9.2%へ縮小する見込みです。 3号機のフル稼働により、関電管内は2010年夏に比べた節電目標を15%から10%に引き下げますが、依然、綱渡り状態は続きます。需給が厳しい九州は10%、四国と北海道も7%の目標をそれぞれ維持します。(7/7 中国新聞⇒http://goo.gl/dKOJg) そのような中、大飯原発の再稼働に反対する抗議活動が、6月末から7月にかけての金曜日に首相官邸前で行われてきました。 特に、再稼働直前の6月29日には抗議行動を激化させ、官邸前から霞が関への車道が人で埋め尽くされました(主催者発表は20万人、警視庁発表は約1万7000人)。 以前より、虎視眈々と日本から国防の要となる原子力エネルギーを排除しようとして来た左翼勢力は、菅前首相の「脱原発」路線に乗じた形で日本の世論を乗っ取り、「全原発廃止」に追い込もうとしているのです。 こうした「脱原発の空気」に対して、京都大学原子炉実験所・山名元教授は「『原子力性悪説』を前提としたメディア報道など、正当な議論を排除するような『異常な言論空間』が形成されてしまっている」と警鐘を鳴らしています。(6/15 産経「原発『不信と否定の空気』変えよ」⇒http://goo.gl/FE9aI) エネルギー政策は国家を支える基盤です。しかし、今の日本は、「魔女狩り」的な感情的な原発への「不信と否定の空気」の中で、政治においても、マスコミや言論においても、冷静なエネルギー政策論議がなされていません。 幸福実現党が主張して来たように、「脱原発」は(1)電気料金の大幅な値上げ、(2)電力供給の不安定化・脆弱化、(3)産業の国外移転の加速、(4)GDPの減少と失業者の増大、(5)エネルギー安全保障の崩壊等をもたらしますが、こうしたことがほとんど議論されていません。 こうした中、政府の「エネルギー・環境会議」が6月29日に、今後の原発政策について、2030年のエネルギー・環境に関する「3つの選択肢」(原発依存度を基準に、①原発ゼロシナリオ、②原発15%シナリオ、③原発20~25%シナリオ)を取りまとめました。⇒http://goo.gl/qXUad 議事録を調べると、元々選択肢にあった原発依存度「35%」の案は、5月28日の案までは残っているのですが、6月5日以降は消されています。「脱原発依存を掲げる政府方針と合わない」という理由で、大勢を占める左翼系の委員が強く反対したことが原因です。 国民の意見を聞く前に、原発を維持・増強していく選択肢自体を消したことは大問題であり、「脱原発ありき」の茶番劇であることを露呈しています。 その結果、いずれのシナリオを選んだとしても、原発の発電減少分を再生可能エネルギーで補っているため、発電コストが14.1円/kWh~15.1円/kWhと大幅に膨らみます(参考:8.6円/kWh(2010年))。 また、地球環境産業技術研究機構(RITE)の試算によれば、上記シナリオの場合、GDPは自然対比(原発維持した場合との比較)28~45兆円も減少する見込みです。 また、いずれのシナリオも、実質経済成長率を2010年代は1.1%、2020年代は0.8%と低成長を前提としており、その結果、節電も1割も進むとしています。 これは大問題であり、経済成長率が仮定を上回った場合、電力不足が発生することを意味します。電源の開発は10年も20年もかかりますので、経済成長が起きてから建設を始めても手遅れになります。 また、この選択肢では、エネルギーの補給路が有事の際に絶たれる可能性をほとんど想定していません。「エネルギー安全保障」という国家の最重要事項を考慮していない欠陥シナリオであることは明白です。 国家戦略室は、この「3つの選択肢」について、年7月2日から7月31日までの間、意見(パブリックコメント)を募集するとしています。(募集要項⇒http://goo.gl/4DkBh、パブリックコメント投稿フォーム⇒http://goo.gl/KkbPU) 国民からのパブリックコメントを元に、エネルギー・環境会議が8月に2030年までのエネルギー政策を定める「革新的エネルギー・環境戦略」を答申し、政府が最終決定する予定です。 この選択が、2030年までの日本のエネルギー政策を決定します。エネルギー政策の選択を誤れば日本の没落は避けられません。 私たち国民は、政府が誤った選択をしないよう、しっかりと意見を伝えていく必要があります。(文責・佐々木勝浩) 政府はドイツの再生可能エネルギー「固定価格買取制度」の失敗に学べ! 2012.06.29 7月1日から再生可能エネルギーの「固定価格買取制度」が施行されます。 同制度は、太陽光や風力などの再生可能エネルギー(自然エネルギー)により発電された電力を、電力会社が全量、固定価格で買い取ることを義務づける制度です。 太陽光発電による電力の買取価格は1kWh当たり42円(cf:現在の電気料金約20円/kWh)と高めに設定されており、この制度をビジネスチャンスと捉えて発電事業に参入する企業が相次いでいます。(6/29「太陽光発電事業への参入相次ぐ、全量買取制度を受けて」⇒http://goo.gl/aS6Ux) 同制度は菅直人前首相の「置き土産」であり、「脱原発」を進め、再生可能エネルギーを普及・拡大することを目的としています。 同制度は再生可能エネルギーを育成する意義はあるものの、その問題点としては、火力や原子力の発電コストに比べて買取価格が大幅に割高であることが挙げられます。 メガソーラー事業を進めている孫正義氏らの要望(「最低でも税抜き40円/kWh」)等もあり、建設費や運転維持費に利益率6~8%を上乗せするよう算定されているためです。 割高になる分は「太陽光発電促進付加金(太陽光サーチャージ)」として電気料金に上乗せされ、消費者や企業が負担することになります。 その結果、経産省推計では今年度の買い取り総額は300億円を超え、2013年度以降に稼働する分の買い取り総額は400億円を超える見通しとなっています。(6/28 日経「再生エネ新設増加、電気料金上昇の懸念」⇒http://goo.gl/rBhmT) 今後、再生可能エネルギーの導入量が増えれば、電力インフラの追加投資も必要となり、電気料金の上昇を招き、日本経済の競争力を低下させる要因となり得ます。 「固定価格買取制度」の手本となったドイツでは、2002年から本格的に同制度を実施。電源構成に占める再生可能エネルギーの割合が20%に急増しました(日本は1%台)。 しかし、同制度によって、買い取りの負担額は130億ユーロ(約1兆3千億円)に達し、今年の一世帯当たりの負担額は年間200ユーロ(約2万円)になると推定されています。(日本政策研究センター『明日への選択』6月号「ドイツに見る再エネ法の悲惨な結末」) その結果、企業や家庭が負担に耐えられなくなり、ドイツ政府は今年2月、太陽光発電の買い取り価格を20%~30%引き下げるとともに、全量買取制度を13年から廃止する方針を打ち出しました。(2/28 電気新聞「独、太陽光全量買取13年廃止へ 買取負担重荷に」) 一方、日本では6月29日、野田首相も出席した「エネルギー・環境会議」が、2030年における3つの選択肢(原発依存度を基準に、(1)ゼロシナリオ、(2)15シナリオ、(3)20~25シナリオ)を打ち出し、原発依存度を0~25%に引き下げると共に、再生可能エネルギー(水力を含む)を25~35%に引き上げる案を提示しました。⇒http://goo.gl/qXUad 同計画は、固定価格買取制度が再生エネルギーの普及を下支えするという見立てですが、複数の委員が「目標設定が課題」と語気を強めています。(6/26 産経「再生エネ 負担増、供給に難」) ドイツのように風力に恵まれ、酪農と連動したバイオマスが盛んな国であっても、再生可能エネルギー促進政策が挫折し、大幅な見直しが迫られているのが現状です。 政府はドイツの失敗の教訓から、「固定価格買取制度」によって、再生可能エネルギーが急速に低コストで大量供給できるわけではないこと、原発の代替とはなり得ないことを学ぶべきです。 中東情勢や南シナ海情勢等、国際情勢がますます不安定さを増す中、海外からの輸入に頼る火力発電への依存増加もリスクを伴います。 エネルギー安全保障、安定供給、コストの面からも、政府は原発の再稼働を迅速に進めるべきです。(文責・黒川白雲) 原発再稼働に見る民主党政権の統治能力の欠如――政府は他の原発の再稼働を即刻、決断せよ! 2012.06.19 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働が、16日正式に決まりました。しかし、3、4号機が両方フル稼働するまでには6週間が必要なため、7月中に電力不足に陥る危険性は排除できません。 関電は7月2日以降に準備している「計画停電」の設定は維持し、引き続き供給力不足に備えます。関電管内の企業は依然として、計画停電のリスクを抱え続けており、政府の決断は遅きに失したと言わざるを得ません。(6/16 日刊工業新聞「7月末フル稼働は不透明、計画停電への備え必要」⇒http://goo.gl/90u65) また、大阪市の橋下市長や、滋賀県の嘉田知事は「電力不足なら今年の夏だけで期間限定で再稼働を行うべき」と要請しましたが、野田首相は「場限定の再稼働では国民の生活は守れない」と語り、今夏に限定した再稼働を否定しました。(6/9 読売⇒http://goo.gl/44ZFa) 橋下市長の大阪市のピーク電力時に限って「原発の再稼働を許してやっても良い」という矮小な御都合主義は論外であり、日本全体を考えれば「夏限定」と言っている余裕はなく、野田首相のメッセージは至極当然なのですが、いかんせん遅すぎました。 今年の夏は東日本大震災発災後、二度目の夏であり、このような電力不足は100%予見されていたにもかかわらず、その間、民主党政権が行ったことは、法的根拠のない浜岡原発の停止要請、突然の全原発へのストレステスト実施の決定等により、結局、最も避けるべきであった全原発全停止の事態に至らしめました。 このように迷走した挙句、時間切れ直前で、なし崩し的に原発再稼働を決定する。しかも、大飯原発3、4号機を除く52基の原発については、現在のところ、再稼働の目処は全く立っていません。 現在、保安院がストレステストの審査が終わった四国電力伊方原発3号機、北海道電力泊原発1、2号機、九州電力川内原発1、2号機、北陸電力志賀原発2号機等が次の再稼働の候補に挙がってます。(6/19 日経BP⇒http://goo.gl/d6vyH) 次の原発の再稼働は9月に発足する原子力規制委員会が打ち出す安全基準によって判断されることになります。(同上) 原子力規制委員会は、経済産業省原子力安全・保安院や原子力安全委員会などを集約し、独立性を高めた三条委員会として規制委員会を設置して原子力安全規制行政の一元化を図るというものです。(6/18 電気新聞⇒http://goo.gl/5VVZc) 規制委員会は委員長を含めて5人の委員で構成されますが、細野大臣はその条件として高い専門性と共に、「危機管理ができる人格」を挙げました。(NHKクローズアップ現代6/18) これは、危機管理が出来ない異常人格者により日本の原子力行政が危機に晒されたことへの反省であることは明らかでしょう。あえて名前は明記しません。 2011年は前年に比べて4.4兆円も燃料(原油・LNG・石炭)の輸入金額が増えています。2011年の日本の貿易収支は2.5兆円の赤字となり、31年ぶりの赤字に陥りましたが、赤字の最大の要因は「脱原発」による燃料輸入コストの増大です。(2/3 みずほ総研⇒http://goo.gl/3hKUr) すなわち、民主党政権が原発の再稼働を決定しないという怠慢・放置・無作為により、日本から日々100億円以上の国富が流出しているのです。 残る52基の原発に関しては、政府は安全が確認された原子力発電所より即刻、再稼働を決断し、ほとんどの原発が停止している異常事態からいち早く脱すべきです。(文責・加納有輝彦) 政治家はエネルギー問題から逃げるな! 2012.05.07 5月5日深夜、全国の原発50基が全て停止し、日本から42年ぶりに「原子の火」が消えました。 原子力の電力使用量に占める割合は42年前は僅か2%でしたが、直近では原子力は29.2% を占めていました(『エネルギー白書2010』)。日本の基幹電力を担うまでに育て上げた原子力技術をここで捨ててしまってはなりません。 日本にとって、火力発電偏重は大きなリスクを伴います。火力の燃料となる石炭、石油は多くを中東に依存しています。イラン政府は経済制裁に対抗して、ホルムズ海峡を封鎖する恐れがあります。 そもそも原発を重視するきっかけは、73年の第一次石油危機だったはずです。中国の南シナ海侵攻とシーレーンの危機も含め、シーレーンの不安定な状況を考えると、火力偏重のリスクは極めて高いと言えます。 現在、原発の肩代わりをする全国の火力発電所の多くは運転開始から40年以上経過し、老朽化が進み、故障による急停止におびえながらフル稼働が続いています。 もし、火力発電所が急停止したら、大規模停電の引き金となりかねません。現に、2月3日、九州電力の新大分火力発電所の設備のトラブルで、一瞬にして230万kWの供給力が脱落し、計画停電の危機に面しました。⇒http://goo.gl/60212 また、太陽光、風力、地熱、水力、風力等の再生可能エネルギーで原発による電力発電を代替することは不可能ですし、高いコストを伴います。7月から始まる「再生可能エネルギー固定価格買取制度」は高い国民負担を伴います。 また、「脱原発」は企業の海外移転を加速させます。韓国の電気料金は日本の4割で、法人税も日本の40%に対して24%、国際競争力では徹底的に不利です。これでは「産業の空洞化」を促しているようなものです。 世界を見渡せば、福島の事故後も、ドイツ、イタリア、スイスを除き、脱原発の動きは広まっていません。それは原子力エネルギーに対する信頼に変わりがないからです。「原発の技術的リスクは克服できる」というのが主要国の判断です。 米国では、スリーマイルアイランド原発事故後、原発の新規着工はありませんでしたが、昨年末、約30年ぶりに原発新規着工が発表され、東芝の子会社が設計することとなりました。(2011/12/29「米、30年ぶり原発新規着工へ東芝子会社が設計」⇒http://goo.gl/x7CSs) 中国は今後、大々的に原発を建設すると公言しています。民主党の細野原発相は5月5日、中国の原発を視察しましたが、中国が原発を海外の政治家に公開するのは異例で、中国は日本の技術協力を求める意図があると見られています。 海外諸国が日本の原子力技術を活用して、原発建設を進める中、日本だけが左翼やマスコミのいいなりに「原発ゼロ」にして済む問題ではありません。 方向性は全く逆です。技術を結集し、日本に世界最高の原子炉をつくるべきです。 そして、日本は原子力発電の技術を徹底的に磨き上げ、世界に貢献すべきです。「人口百億人時代」に向け、「エネルギー危機」が危惧される中、日本の原発技術に世界の期待が集まっています。 今こそ、政治家は責任をもって、原発再稼働について責任を持って決断を下すべきです。 大阪市の橋下徹市長は4月24日、藤村修官房長官と会談し、「政治家が安全性の判断を主導するのは絶対におかしい」と述べ、早期の再稼働に反対する考えを表明しました。⇒http://goo.gl/uuR0d では、橋下市長は一体、誰が最終的に再稼働の判断すべきだと考えているのでしょうか? 幸福実現党が4月25日に大阪市における「原発の再稼動を求める市民集会・デモ」に協賛参加した翌日、橋下市長は「府県民の皆さんに負担をお願いします。(中略)それが無理だったら、原発の再稼働をやるしかないと思いますよ」と述べています。⇒http://goo.gl/bpTQ6 これは幸福実現党の主張を受けて、橋本市長が原発再稼働の余地を打ち出したものと見られますが、同時に、原発の再稼働を決めるのは「府県民の皆さん」であり、政治家や首長ではないという、巧みな「責任転嫁」が見られます。 専門家や官僚、市民の声を聞いた上で、最終的に原発の再稼働を判断し、責任を負うのは「政治家の責務」です。 橋下市長をはじめ、原発再稼働の判断責任は政治家にはないと述べ、判断から逃げたり、市民に再稼働の判断責任を押し付けようとする政治家ばかりです。「一体、日本に責任ある政治家はいないのか」と疑いたくなります。 最後に、民主党政権に言いたいことは、「原発問題をイデオロギー論争にすりかえてはならない」ということです。 民主党には、菅前首相をはじめ、「左翼活動家」が数多く存在しています。2011年8月6日、広島原爆の日、菅前首相は挨拶で「原発に依存しない社会」を目指すとして「脱原発」を繰り返しました。 しかし、「原爆」問題と「原発」は違います。原発は「イデオロギー」ではなく、「エネルギー」の問題です。 原発の是非を含むエネルギー政策は、国家の根幹を揺るがす大問題であることを認識し、政治家はこの問題から決して目を背けてはなりません。(文責・竜の口法子) 政府は原発を再稼働し、電力の安定供給を死守せよ!――無責任な「脱原発」は使命の放棄である。 2012.04.24 関西電力は23日、再稼働が急がれている大飯原子力発電所を含む管内全11基の原発が停止したままだと、様々な対策を講じても今年夏の電力供給が最大で19.3%不足するという見通しを発表しました。(4/24 日経「夏の電力不足、関電は最大19.3% 20%超の節電要請も」⇒http://goo.gl/T4zTn) 2,535万kwの供給力に対し、今夏のピーク需要見通しは3,030万kwと495万kw(原発5基分)の不足を予測し、昨夏比で20%超の節電要請を打ち出す可能性も出てきました。昨夏比20%超の節電になれば、関電圏内に住む人々にとって大変な負担となります。 経団連は23日、電力供給不安による企業への影響調査を発表し、製造業の71%が「生産を減らす」、69%が「収益が減る」と回答。料金上昇も重なった場合は96%が「収益が減る」としています。(4/24 日経「電力供給不安で7割が『生産減』」⇒http://goo.gl/5yBBa) 一方で、大阪市の橋下徹市長は今夏の関西の電力危機について「計画停電もあり得ると腹を決めれば、電力供給体制を変えられる第一歩になる」と極めて無責任な発言を繰り返しています。(4/1 産経「『計画停電もあり得ると腹を決めれば』橋下市長が脱原発へ覚悟訴え」⇒http://goo.gl/1MOrh) 橋下市長は「電力の安定供給」という「電気の質」は、企業にとって生命線であることを理解していません。電力中央研究所による需要家調査(2007)によりますと、事業所の約半数は電気料金の安さより供給信頼度の高さを重視しているといいます。 ある中堅の金型メーカー社長は「政府は絶対に計画停電をしないように策を講じるべき」といいます。金型は液体の中で一か月程度の時間をかけて徐々に作られ、途中で電気が止まれば不良品になります。作り直せば最大で二か月余計にかかり、こんな納期遅れを起こせば、中国などの競合他社との競争に負けてしまうと警鐘を鳴らしています。 計画停電のような大規模停電だけでなく、半導体工場は一秒未満の瞬時電圧低下で約一億円の損害が発生するといいます。 また、橋下市長は関西電力大飯原発の再稼働は反対とした上で「(関電の)原発が全部止まっている状況でも、明日あさって関西府県民が死ぬ状況になるわけじゃない。ピーク時にちょっと我慢して乗り越えられる」と暴論を展開しています。(出典:同上) 評論家でもこのような発言が目立ちますが、「ピーク時にちょっと我慢すれば良い」というのは「机上の空論」に過ぎません。 現実には、リアルタイムにピーク時の需要をカットすることは困難なため、結果的に広域的・長期的な節電は避けられないことは昨夏、経験して来たことです。 供給予備率が低下すれば、最悪の場合、大規模停電が発生します。一般に、供給予備率は8~10%程度が適正で、3%を切ると大規模停電のリスクが高くなると言われています。「ピーク時にちょっと我慢」して乗り越えられるものではありません。 橋下市長は、こうした電力の基礎知識さえ持たずに、日本の「国家解体」を目指している左翼勢力による「脱原発論」に煽られ、市民の生活や経済活動に大きな責任を持つ「市長」の立場で「脱原発」を煽っているのです。 英国原子力公社(UKAEA)のバーバラ・ジャッジ名誉会長が、資源が極めて乏しい日本のエネルギー事情を踏まえ、「エネルギー安全保障上、原子力発電は必要だ」「日本は他国に命運を委ねるような道を歩むべきではない」との考えを示していますが、これは幸福実現党の考えと全く同じです。(4/20 産経⇒http://goo.gl/vu5a2) つきましては、幸福実現党は「原発の再稼動を求める市民集会・デモ」に参加し、一刻も早い原発の再稼動を政府に求めて参ります。ぜひ、多くの皆様のご参加をお待ちしております。(明日4月25日(水)11:00~ 大阪市役所東側 中ノ島 剣先公園集合⇒http://goo.gl/xCYpv) 4月21日、野田首相はベトナムのズン首相と会談し、ベトナムでの原発建設計画に対する日本の協力推進を重ねて確認しました。(4/22 東京「ベトナム原発 建設協力確認 首脳会談で首相」⇒http://goo.gl/aQGok) 両政府は2010年10月、ベトナムの原子炉二基の建設を日本側が受注することで合意しています。ズン首相は、日本側がベトナムで最先端の技術を使って、最も安全な原発を建設することに期待を表明しました。 アメリカは、東北大震災発災後に34年ぶりに原発の着工を決定しました。東芝の子会社の製品が使われます。今回、アメリカで原発建設が再開されることになったのは、「日本の技術を使えば、マグニチュード9.0の大地震にも大丈夫だ」という信頼感が生じたからだと考えられます。(『Will』4月号 渡部昇一著「原発興国論!」参照) 実際、震源地に最も近かった東北電力女川原発は、原子炉は地震後すべて自動停止し、冷温停止と呼ばれる安全な状態になりました。そこで敷地内の体育館等を開放して最大約360名の避難者を収容し、食事等の提供がなされました。女川原発も、福島第一原発も原子炉は、大地震に耐えたのです。この耐震性の信頼度は世界が認識しました。 日本の原子力発電技術は「世界最高」と認められています。情緒的脱原発論でなく、事実を直視すべきです。 福島第一原発事故で放射線被ばくによる死者はゼロです。福島県民の被ばく線量は、健康被害も全く見られないレベルです。警戒区域の多くは、もっと早くに帰れたはずです。そもそも避難する必要もなかったという意見もあります。(『福島 嘘と真実』高田純(札幌医科大学医療人育成センター教養教育研究部門教授)参照) 日本政府は引き続き、原子力発電を基幹電力の柱とし、我が国のみならず、世界の原発の安全の向上に寄与すべきです。(文責・加納 有輝彦) 国家存亡の生命線、エネルギー問題を人気投票の材料にしては断じてならない。 2012.04.17 4月13日、野田首相と関係3閣僚は、関西電力の大飯原発3、4号機の再稼働を「妥当」と判断し、福井県に再稼働を求める方針を決定しました。 今回の政府の再稼働の決定に、16日、橋下大阪市長は異議を唱え、「もはや統治能力なし」と民主党政権打倒を掲げ、「再稼働に対して徹底抗戦する」「再稼働の是非を国民の皆さんに決めてもらう」と、再稼働問題を次期衆院選の争点にすると宣言しました。小泉郵政選挙の如く、原発再稼働の是非を問う事実上の国民投票を衆院選挙で行いたいということです。 この「脱原発vs原発推進」という図式は、もともと反原発の菅元首相が構想し、「脱原発」で一点突破全面展開(菅氏が好む戦略の一つ)を図ろうとしていました。今回、全く立場が逆転し、橋下市長にお株を奪われた形になりました。 橋下市長の主張は、政府に対して不信感を抱いている国民にとってある種のカタルシスとなっており、大きな世論誘導の力となっています。 しかし、橋下市長は、具体的に今夏の大阪の電力危機をどのように乗り越えるのか、具体策を示せていません。一市民運動家ならまだしも、大阪市を預かる市長という立場からの「脱原発」運動は極めて無責任であり、ポピュリズムと言わざるを得ません。 国内の電力市場で家庭需要は約3分の1、残り3分の2は産業用、業務用需要です。産業用、業務用需要では節電は容易ではありません。 橋下市長の「計画停電もあり得ると腹を決めれば、電力供給体制を変えられる」との考えに対し、関西経済連合会の松下正幸副会長(パナソニック副会長)は「昨年並みの節電でも困ると言っているのに、計画停電なんてとんでもない。軽々に計画停電と言うべきではない」と強く批判しています。(4/17 読売「橋下氏『計画停電』発言に財界『軽々に言うな』」⇒http://goo.gl/g6reJ) また、昨年は節電で乗り切れたといっても、昨年7月には19基の原発が稼働しており、8月も16基が稼働していました。今夏は、再稼働がなければゼロとなってしまいます。 昨年12月の日本エネルギー経済研究所の予測では、原発ゼロでは7.2%の供給力不足と試算しており、節電して経済活動を抑制すると5.0%の余剰が確保できるとしています。 しかし、節電に加え、経済・生産活動の抑制、そして電力不足で減るGDPと海外流出する燃料費の合計は最大で年間13.6兆円、単純計算で消費税5%分にのぼると同研究所で試算されています。(産經4/8) デフレ経済の中で、もし消費税増税法案が通れば5%の負担増、そして「脱原発」で更に消費税5%分の負担増になるわけです。これは日本経済にとっては壊滅的な打撃となります。 私たちは、偏向したマスコミ報道の喧騒を離れ、エネルギー問題の本質とは何かを考えてみる必要があります。 原子力の目的は、経済、地球環境などいろいろ言われていますが、究極の目的は「国家安全保障」です。日本が他国へのエネルギー依存を減らし、自立した国家として存続するために必要なのが原子力です。また、国防においても原子力技術の保有自体が抑止力となっています。 反原発論者が推奨する再生可能エネルギーは、すべからく分散型エネルギーであり、その根底には国家の否定があるとの指摘もあります。 そう考えると、「道州制」「地域主権」を主張する橋下市長が「脱原発」を主張する魂胆に対し、私たち良識ある国民は注意深く監視していく必要があります。 「国家存亡の生命線、エネルギー問題を人気投票の材料にしては断じてならない」と強く訴えたいと思います。 幸福実現党は、福島第一原発事故を教訓とし、原発の安全性をさらに高め、基幹エネルギーとして引き続き使用していく必要があると考えます。 そして世界最高峰の技術を継承し発展させ世界のリーダーとして原発の安全性の向上に寄与していく使命があると考えます。 事故をおこしたから、失敗したから「全て廃止する」という議論は、個人の選択としてはあり得ても、国家の選択としてはあり得ない、人間の無限の可能性を否定する誤った思想であると考えます。(文責・加納有輝彦) 日本は「世界のリーダー国家」として、エネルギー・情報「インフラ」を整備・輸出せよ! 2012.04.05 電力は日本の「ものづくり」やビジネス活動の根幹です。しかし、現在、国内54基の全原発の停止による電力不足の懸念や、東京電力による電気料金の値上げの問題が、世間を賑わせています。 日本は3.11以前においては想像もしていなかった電力危機に陥っており、政府は「発送電分離」「電力業界のルールの見直し」「風力や太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの拡大」「省エネの促進」等を検討しています。 今後の日本の電力事情の大きなトレンドとして、「賢い送電網」という意味の「スマートグリッド(次世代送電網)」が挙げられます。 ただ、間違えてはならないのが、「脱原発」をお題目のように唱える、「環境左翼」思想(「原発不要論」)のためにスマートグリッドを導入すべきではありません。 電力の安定供給のためには、まだまだ原子力発電は必要です。大切なことは「より便利で効率的な新しい街づくり」のインフラとして導入するべきです。 この「スマートグリッド」は「供給・需要側の双方向性を持つ、電力と情報の新しいインフラ」と定義されています。 すなわち、大規模発電(火力、原子力等)や分散型発電(風力、太陽光等)の電力供給側の情報を統合すると共に、「スマートメーター」によって家庭やオフィス等の電力需要側の情報をリアルタイムに掌握することで、きめ細かな発電が可能になります。 その結果、従来のような無駄な発電は不要になり、エネルギーの効率的利用が可能になります。また、スマートメーターを活用して、時間帯に応じた柔軟な料金メニューを設定する事で、料金インセンティブによる需要抑止(ピークカット)やピークシフト効果も期待されています。 この「スマートグリッド」を導入するポイントとしては、下記3点が挙げられます。 第一に「IT技術を利用した電力系統の管理・制御」です。 家やビル全体のエネルギー供給、需要の状況を総合的に把握し、電気機器や設備を集中的に管理することによって、電力の安定性、効率性を高めることにあります。 第二に「再生可能エネルギーの利用の拡大」です。 既存の技術である火力や原子力と、新たな技術である再生可能エネルギーを融合することにあります。 再生可能エネルギーの多くは天候任せのものが多く発電量の予測がしにくいため、既存の集中型電源と同時に利用するには、双方の発電量を正確につかんで、需給バランスを一致させる必要があります。 予測が難しい自然エネルギーの割合が増えると、電気機器の故障や停電恐れが生じ、一定の「電力品質」を保つことが出来なくなります。現在の電力網のままでは、導入限界は全体の10~20%と言われています。 第三に「エネルギー安全保障レベルの向上」です。 国全体のエネルギー効率を上げ、再生可能エネルギーを導入することにより、石油輸入を減らすことにあります。米国や韓国、シンガポール等では、スマートグリッドを導入するプロジェクトは「エネルギー安全保障」の一環として、はっきり位置づけられています。 スマートグリッドは「次世代送電網」とあるので全てが「新しい技術」なのかというとそうではなく、既にこの言葉が登場する以前から研究開発、導入されているものが多くあります。 「新しい」のは、これらを統合し、イノベーションさせた点にあります。既存の技術と新たな技術を最大限に有効活用するための、エネルギー、情報の「インフラ」なのです。 このようなスマートグリッドを地域に導入し、「スマートシティ(環境配慮型都市)」をつくり出そうという動きは既に始まっています。 2010年に経済産業省が、「次世代エネルギー・社会システム実証地域」として、横浜市、愛知県豊田市、京都府けいはんな学研都市、北九州市の4地域を指定し、実証実験がなされています。 他にも、「スマートシティ」を日本再興の原動力にしようと、被災地の6地域を含む全国11か所の環境未来都市でも取り組みがなされています。 また、世界に目を移してみると、中国を中心にしたアジア諸国、中南米や中東・アフリカ諸国等でも、安定した効率の高い系統の構築に向けて、急速にスマートグリッド導入の気運が高まっています。 世界のエネルギー関連企業やシンクタンク等の調査では、年間約100兆円以上の市場規模に成長すると予測されており、中には、500兆円規模まで成長するという意見もあります。今後、スマートグリッドに端を発するトレンドはますます加速していくでしょう。 日本の取るべき道としては、日本発の「スマートシティ」の国際標準をつくり、それを輸出していくべきです。 新興国が「スマートグリッド」を自ら構築することは非常に困難です。日本は、世界の「リーダー国家」として、エネルギー・情報「インフラ」を輸出していく気概を持つ必要があります。 今こそ「エネルギー安全保障」体制の柱を立てよ! 2012.03.29 現在、中国の尖閣侵攻や北朝鮮の「衛星」打ち上げなど、明らかに日本の安全保障は危機に陥っています。 同時に、日本の一次エネルギーの半分以上を賄っている「原子力」と「火力」という主力エネルギーが危機的状況にあり、「エネルギー安全保障体制」も崩壊しかかっています。 「原子力」に関しては、3月26日には柏崎刈羽原発6号機、5月には北海道の泊原発3号機が定期検査に入るため、国内54基すべてが停止する事態が待っています。 また、3月26日に行われたエネルギー計画に関しての経産省の審議会において、2010年に政府が立てた「2030年に原子力を全体の45%の割合にする」という基本計画から、「最高でも35%、最低だと廃止」という流れに変わり、政府内部も着々と「脱原発」に舵を切りつつあるのが見て取れます。 また「火力」に関しては、原子力発電の全面停止によって原油への依存度が更に高まる中、原油を約9%を依存しているイランに対する国際的な制裁措置、そこから生じるホルムズ海峡におけるリスクは、原油の9割近く、天然ガスの約25%を中東に依存する日本のエネルギー事情を直撃しています。 こうした日本が抱えるエネルギーの「二重苦」は何を引き起こすのでしょうか? まず、ガソリンなどの液体燃料や電気価格の高騰が考えられます。実際、「脱原発」により、電力各社が調達する液化天然ガス(LNG)と石油量が急増し、燃料費は前年同期に比べて1兆4000憶円以上増えています。 また、年間を通じて原発を止めることで、燃料費は3~4兆円増加すると言われています。 これに加えて、更に原油価格の高騰が続くと、国内の国民生活や経済活動に大きな支障が出る程、電気やガソリン等の価格が高騰し、更に中東情勢が劇的に悪化した場合、原油の絶対量不足による電力供給が途絶える可能性も十分にあります。 実際に、大震災以降のこの1年間で、ブラックアウト(大規模停電)寸前の事態を含め、深刻な供給不安はすでに「3回」も発生しているという事実を私達は知らなくてはなりません。(『WEDGE』4月号「3度あった停電の危機」橘川武郎(一橋大学大学院教授)) 一方で、地球環境や人間生活に有害性の高いというレッテルを貼られた「原子力」や「火力」から、「再生可能エネルギー」へのシフトがメディアなどでも大々的に謳われています。 確かに「海洋温度差発電」や「洋上風力発電」など、長期的に考えると非常に有望なエネルギー源もありますが、今の自然エネルギー関連の発電や蓄電の技術では、経済活動のコストに見合う電力を得ることは難しいと言われています。 実際に、福島第一原発事故の影響で「脱原発」を法制化したドイツにおいても、風力発電などを中心とした再生可能エネルギーの普及を急いでいますが、環境破壊とコストの観点から建設が遅れており、原発稼働停止によって電力供給の余裕は無くなりつつある有り様です。 私たち日本は「財政規律や増税、脱原発がトレンド」のEUの国々を模倣することなく、長期的視点と短期的視点をしっかりと見極めることが重要です。 そして、長期的には「火力」や「原子力」に頼らなくても良いクリーンな新エネルギーの開発を目指しながらも、短期的には現実的かつ安定的な「エネルギー安全保障体制」を確立することが先決です。 具体的に、この10年に必要な「エネルギー安全保障体制」のポイントを下記4点述べます。 第一に、「原子力発電を全面的に再開すること」です。 そのためには、政府として最善の原発運用体制を整備する共に、「福島の甲状腺被爆量はチェルノブイリの1000分の1以下であり、健康被害は起きない」(『リバティー』札幌医科大学 高田純教授⇒http://goo.gl/mhh7D)という正確な調査結果を世間に浸透させ、感情論による「脱原発」を一刻も早く終わらせることです。 第二に、「原油供給・備蓄体制の見直すこと」です。 具体的には、ホルムズやマラッカなど海峡リスクが生じないアメリカやカナダ、ブラジルやオーストラリア、ロシアといった資源大国への輸入先の多様化を促進し、高すぎる中東依存度を下げることです。同時に、東北大震災など有事の際に全く無力だった原油の政府備蓄体制を、有事に強い備蓄体制に変革していくことです。 第三には、「原油への依存度低下を目指すこと」です。 具体的には、LNGやシェールガスなど、他の化石燃料へのシフトを急ぎ、原油依存度を下げることです。また、何よりも、日本近海でLNG消費量の14年間分の埋蔵が確認されているメタンハイドレートの実用化を一刻も早くさせることが求められます。 何よりも第四には、「日本の外交力を高めること」です。 資源小国・日本のエネルギー安全保障の安定化を担保するものは、まぎれもなく「外交力」であります。にもかかわらず、内政問題に足を取られて、核サミットという重要な外交な場で成果を出せず、日本の国際的なプレゼンスを低下させ続ける野田首相は言後同断です。 今こそ日本の外交力を高め、エネルギー安全保障体制を確立する「強いトップリーダー」の登場が期待されます。(文責・城取良太) 原発再稼働の重要性は計りしれない。 2012.03.19 全国54基の原発のうち現在、運転中は2基となり、4月には残り2基も運転停止となる見込みです。 東京新聞の東日本大震災一年の全国面接世論調査では、原発の依存度を段階的に下げ、原発をなくす『脱原発』という考え方に「賛成」(44%)、「どちらかというと賛成」(36%)が、あわせて80%に上りました。(3/18 東京) しかし、現在52基が停止中の原発については「電力需給に応じ必要分だけ再稼働を認める」が54%で、現実的には「原発再稼働やむなし」という意見が高まっています。 幸福実現党がこれまで主張してきたように、日本の電力の3割以上を担って来た原発を手放し、化石燃料に依存したエネルギー構成を高めることは、エネルギー安全保障上、大変な危険をもたらします。 現在、懸念が強まっているように、イランがホルムズ海峡を封鎖したり、中国が南シナ海や台湾海峡のシーレーンを封鎖すれば、日本は第二次世界大戦前の対日石油禁輸措置のような国家的危機を迎えることになります。 また、原発停止は電気料金の値上げを招きます。東京電力は4月、32年ぶりに企業向けの電気料金を値上げします。工場やオフィスなど大口の事業者を対象に、平均で17%の値上げを実施します。 東電が値上げする理由は、原発停止で火力発電の比重が高まり、燃料費が増加したためです。 実際、2011年分の貿易統計では、原発停止による火力発電の増強と燃料価格の高騰により、鉱物性燃料(化石燃料)の輸入額は4.4兆円も増加しています。(2012/3 みずほリサーチ⇒⇒http://goo.gl/BmRh9) こうした電気料金の値上げは企業の収益を圧迫し、人件費の削減を促し、賃金が低下し、リストラをもたらします。失業が増えれば不況は深刻化し、赤字企業が増えれば税収減につながります。 また、日本の電気料金は元々、国際的に見ても高い水準にありますが、更に電気料金が値上がりすれば、日本の製造業は海外に移転し、産業の空洞化に拍車がかかることは避けられません。 「脱原発のためには電気料金の値上げも仕方がない」という主張もありますが、値上げは日本経済に打撃を与えます。こうした「悪循環」を防ぐ方法は唯一つ、原発を稼働することです。 また、国防上も、日本は原子力技術を維持し、技術を高めていく必要があります。日本は「唯一の被爆国」として日本が他国に核開発禁止するよう申し入れする権利はあっても、他国が「被爆国日本」に対して、それを主張する権利は全くありません。 将来的には、抑止力の観点からも、日本も原子力空母や原子力潜水艦等を持ったり、周辺国の核装備に対する核抑止力を持つ必要が出てくる可能性もあります。 16日、パリで開幕したフランス最大の書籍展に、作家の大江健三郎氏が参加し、福島第一原発事故に触れ、「一番根本的な倫理は、次の世代が生きる条件を壊さないことだ」などと話し、原発再稼働に向けた政府の動きを批判しました。 大江健三郎氏こそが「北朝鮮の青年の目は澄んでいた。日本の自衛隊に入る青年のいることを恥じる」といった言論活動を展開し、「いまこそ日本の原発を壊せ!」と声を高めてアジり、反原発デモをやらせた人物です。(Will 2012年4月号 渡部昇一「原発興国論!」より) 大江氏に言いたいです。原発を手放さないでいるという選択が、次の世代を守っているのだということを! 「次の世代が生きる条件を壊さない」という願いを壊すのは、北朝鮮や中国の核や軍事拡張だということを! 核エネルギー技術は日々進歩しています。日本人の学習能力の高さから、既に、日本の原発は、世界一安全な基準に達しています。 アメリカも中国もドイツ以外のヨーロッパも原発推進に踏み切ったのは、実際には未曾有の地震に持ちこたえた日本の原発を見たからです。 日本の経済、国防、二つの観点からみても、原発再稼働の重要性は計りしれないのです。(文責・竜の口法子) すべてを表示する « Previous 1 … 14 15 16 17 Next »