Home/ 経済 経済 違反者は50万円以下の罰金?――天下の悪法「プラスチック新法」 2022.04.12 https://youtu.be/HFX_vkuXjVY 幸福実現党党首 釈量子 ◆4月1日施行の「プラ新法」とは 4月1日から「プラスチック資源循環促進法(プラ新法)」が施行されました。 同法は、プラスチックの過剰消費の抑制や、環境問題への意識付けを目的としたもので、事業者や自治体に、製品の設計からプラゴミの処理まで、プラスチックの量を減らす取り組みを促すものです。 2020年6月から、「容器包装リサイクル法」に基づき、「レジ袋の有料化」が始まりましたが、今回の新法は、「プラスチック」という素材そのものをターゲットに削減を促す法律です。 プラスチックの世界の生産量は、1950年は200万トンでしたが、2015年には3億8,100万トンで、70年で200倍近くも増加えており生活に根付いています。 日本政府は、2030年までに使い捨てプラスチック製品を累積で25%排出抑制するなど、野心的な現実離れした目標を掲げました。 指定のプラスチック製品を5トン以上、無償で提供する企業は、削減に取り組まない場合は最悪、社名が公表され、50万円以下の罰金となります。 もちろん、5トン以上指定のプラスチックを提供しない業者も削減に取り組むことが求められます。 有料化の対象として、フォーク、スプーン、マドラー、歯ブラシ、ハンガーなど12品目のプラスチック製品を規制しています。 ◆企業の負担拡大 企業は、有料化するか、プラスチックの使用量が少ない製品に替えるなど、とにかくプラスチックの使用量を削減しなければいけません。 某大手ホテルチェーンでは歯ブラシやクシ、ひげ剃りなど、プラ製の使い捨てアメニティを客室に置くのをやめて、希望者には竹製のハブラシやヒゲソリなどを有料で売るそうです。 某大手飲食店は、植物由来のバイオマス配合のプラに切り替えも考えていますが、しかしプラ製のものと比べてコストは2倍以上かかります。木製に切り替えれば負担はさらに重くなります。 コンビニは、持ち手に一部穴を開けてプラスチック使用量を削減した軽量スプーンと併用し、木製に一部切り替えるという、苦肉の策で対応するところもあるようです。 ◆政府の規制拡大 この法律の問題は、規制する具体的な内容が政府の命令で決められるというところで、今回対象となったプラスチック製品12品目は今後拡大する可能性大です。 罰金の対象となる「5トン以上」も、法律ではなく、政府が決めています。 法律を通すのは時間がかかりますが、政令は法律に決められた範囲内ならば、政府の指先一つでルールが決められます。 ちなみにレジ袋有料化の際にレジ袋製造大手企業は、有料化前後で売上高が激減し、今年の1月に希望退職者を募るという報道がありました。 今回、プラスチックという素材が対象となると、業界や日本の産業、消費活動にもレジ袋とは比較にならない影響があるでしょう。 他にも同法律は、プラスチック削減の確認するために企業に報告を求めたり、倉庫や事務所に立ち入り、帳簿や書類などを検査することができます。 このような政府が経済を強く規制するようなやり方は警戒が必要だと思います。 ◆炭素全体主義 日本で消費した原油のうち、プラスチック生産に使われたのはわずか2.7%で、ほとんどは、自動車や火力発電所で使われています。 ちなみに、2019年の日本の温室効果ガスの内訳を見ると、農林水産業によるものが3.9%あり、その内訳は牛などのメタンガスを含むゲップ(家畜消化管内発酵)です。 原油比2.7%のプラスチックで規制するなら、農林水産業を対象にして、ゲップが少ない牛への品種改良を義務付けて、ゲップの量を報告させる新しい法律ができても文句は言えません。 つまり、地球温暖化を名目に、国民の自由をどんどんと縛ろうとする「炭素全体主義」と言うべき動きが進んでいるわけです。 これが、「プラ新法」の正体と言えます。 ◆壮大な無駄 こうした法律は、無駄な仕事をどんどん増やしていきます。 「プラ新法」の運用のめに、監査や立ち入りなどをする人員が増え、事実上、環境省の雇用対策のための法律ではないかと言わざるを得ません。 また今回の法律と合わせて、「グリーンライフ・ポイント」なる環境配慮の行動にポイントを与える制度が4月から始まり、101億円の予算が投じられます。 更に、この法律に対応するための設備投資や実証実験に今年と昨年の補正予算で136億円が費やされています。これも壮大な無駄でしょう。 以上、今回は脱炭素の観点から、プラスチック新法の問題点を述べました。次回は「海洋ゴミ削減」の観点から見ていきたいと思います。 【Society5.0】国が進めるムーンショット事業は本当に大丈夫!? 2022.03.17 https://youtu.be/52C0H56uKgo 幸福実現党党首 釈量子 ◆「Society 5.0」とは 今回は、政府が進める科学技術政策「Society 5.0」について考えます。 「Society 5.0」は、2016年1月に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」で、我が国が目指すべき未来社会の姿として、初めて提唱されました。 人類社会は「狩猟社会」(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)と発展を遂げてきました。 そして、5番目の未来社会像として、政府が掲げたのが「Society 5.0」です。 内閣府のホームページでは、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義しています。 Society 5.0の一環として国が進める「ムーンショット」事業があります。 ムーンショット事業には9つあり1番目が、「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現する」、というものです。 ムーンショット目標1 https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/sub1.html ◆ムーンショット事業の危険性 具体事例として挙げられているのが「アバター」です。「アバター」とは、自分の分身のことで、サンスクリット語のアバターラ「化身」の意味から来ています。 「ムーンショット事業」では、ロボット技術などを使って、リアルな三次元空間で、一人ひとりが好きなアバターを何台も操作できる社会を目指しています。 実際に、脳に直接、プラグや電極を差し込んだり、チップを埋め込んだりして操作する方法が、世界各国で研究されています。 中国では、すでにハトの脳に微小電極をインプラントして動きをコントロールしたり、電極を埋め込まれた実験用ラットが、直接人間の脳から信号を受け複雑な迷路から抜け出る実験に成功したと言われています。 また、イーロン・マスク氏が立ち上げたNeuralink(ニューラリンク)は、2021年4月、サルがコントローラーを使わず思考だけでピンポンゲームをプレイする映像を公開しました。 ◆日本の「ムーンショット事業」 では日本では、何を目指すかというと次のような技術です。 (1)自分の精神状態をスマホで把握できるようになる スマホで見られるということは、ほかの人も見られるということで、プライバシーの問題になりかねません。 (2)自分の過去の記憶からの解放される VR空間で過去のトラウマの事件をやり直し克服するというものです。 (3)自分の「やる気」のコントロール 脳を直接、電気で刺激し、うつ状態を和らげることを目指しているようですが、これも、人の心を操作できる可能性を否定できません。 今でさえ、サイバー攻撃が大変だと言われているのですから、アバターが不可欠になった社会の被害はもっと深刻になるでしょう。 前述したトラウマ修正プログラムは、社会からの抹殺もボタン一つ、人々の価値観を自在に操ることもできるようになるかもしれません。 そうしたインフラを管理するような企業や国家は、GAFAの比ではない権力が集中することになります。記憶の改ざんや精神の操作もできるなら、「洗脳」は簡単です。 ◆絶対に譲れない「人間の尊厳」 しかし、「絶対に譲れない一線」となるのが「人間の尊厳」です。人間の尊厳の根拠は、神が人間を創られたということです。その中心が、人の心であり、心こそが人間の「最後の砦」です。 唯物論に陥ってテクノロジーが暴走するとどうなるか。それが中国共産党政権のAI監視社会のような、この世の地獄です。 唯物論、科学万能主義で、神も仏の否定する先にあるものは、恐ろしい未来です。ですから、科学技術が進歩しても、それに釣り合うだけの霊性、精神性が人間にはどうしても必要です。 日本も「文部省」が「科学技術省」と一緒になった「文科省」以降、唯物的な、いわゆる科学万能主義が強くなってきています。 すでに、学校現場でも「知識教育」が「テクノロジー」と結びついて、若い世代でも「心」が何か分からないという人が増えています。 人工知能が進化してくと、人間の働きを代用するようになるので、人間はいらない社会がくると考える人が出てきています。 ◆教育の大事な役割 2017年、坂本龍馬や吉田松陰のような日本の誇りとなる偉人を教科書から削除する提言を発表し、波紋を広げています。 「歴史的な確定できる業績として、何があったかがはっきりしない」という「科学的な思考」が歴史の分野や宗教の分野にまで入り込んできています。 そうした科学的思考では、「AIに対抗する人材を養成する」と言っても、限界があります。 吉田松陰の「万巻の書を読むに非ざるよりは、寧んぞ千秋の人たるを得ん」という言葉が遺っています。 つまり、「万巻の書を読まずして、どうして千秋の人(千年も後に名前が遺るような人)になれようか」ということですが、こうした和歌を見ると、知識的だけで人を育てる方ではなかったことがよく分かります。 「かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂」の句には、自分の生死を超えて、世のため、人のために尽くそうという尊い「心」が現れていると感じられます。 この三十一文字が、当時の維新の志士たちの魂を震わせ、世の中を変えていく人材になっていきました。 このように心はAIが進化しても、千年経っても万年経っても絶対に届かない世界だということが言えるのではないかと思います。 自分がどんな人間になっていくのか。あるいはどんな使命のために自分が生まれてきたのか。そうした事を深く考えさせ、そして意志であるとか、志を持たせていく、そしてその心を練り込んでいくことが大切です。 科学が暴走して人類が不幸に陥らないために、未来産業も「人のぬくもり」の価値を高める方向で研究されるべきだと思います。 そもそも一流の科学者が、すべて神の世界を探究するという命題の下で様々な学問を進めてきたということも決して無視してはいけないことかと思います。 この科学技術が唯物論に立つことがないよう、私たちは声を上げていきたいと思っております。 岸田氏vs高市氏の財政再建論争!必要なのは、緊縮財政でも積極財政でもなく、健全財政 2022.01.09 http://hrp-newsfile.jp/2022/4189/ 幸福実現党 政務調査会 藤森智博 ◆年初から盛り上がりを見せる財政再建論争 1月7日付の毎日新聞の報道が話題となっています。岸田文雄首相が財政再建を重視し、財政赤字に慎重であるのに対し、同じく自民党の高市早苗政調会長が噛みつきました。 高市氏は、積極財政を掲げ、コロナ禍を克服していくためには、政府がお金を出して、経済を回す必要があると考えています。 与党の政調会長と総理の路線対立が大きく表面化したのは珍しいと言えるでしょう。「背景にあるのは、単なる二人の軋轢でもなければ、政策論争でもなく、権力闘争の一環だ」という報道もあります。高市氏の背後に安倍元総理がいることを御存知の方も多いでしょう。 岸田氏は、総理就任後、安倍氏の言うことを聞かなくなったばかりか、盟友の麻生氏を取り込み、安倍氏を孤立させ追い込んでいると見る向きもあります。 これについて、ここでは深く立ち入りませんが、今夏の参院選に向けて、財政政策をめぐる議論が過熱していくことが予想されます。本稿では、あるべき財政政策について検討してみます。 ◆緊縮財政の問題:経済を犠牲にしてでも、とにかく財政再建 岸田氏の「緊縮財政」から見てみましょう。この考えは、財務省の伝統的な考えと共通しています。先般の衆院選前に話題となった財務次官の「矢野論文」は典型的な緊縮財政論でしょう。 しかし、「緊縮財政」はともすれば嫌がられます。なぜ嫌がられるかと言えば、国民の生活よりも政府の財政再建を優先するからです。2010年代の2度の消費増税がその典型例でしょう。 財政再建の美名のもと、国民が貧しくなる増税を行いました。それにもかかわらず、日本の累積債務は減るどころか逆に増えてしまいました。 ここから緊縮財政論に言えることは、「国民あっての国家であって、その逆ではない」ということです。 マクロ経済でもって、「これだけ増税すれば、これだけ税収が増える」と計算しても、国民の生活が疲弊してしまえば、国力が落ち、やがて税収は減っていきます。 結局、税収増を目指すあまり、経済を犠牲にしてはならないのです。 ◆積極財政の問題:ワイズスペンディング(賢い支出)が欠けている 次に高市氏の積極財政です。積極財政では、政府がお金を出して経済を回すことを考えます。特に日本は、長期にわたるデフレに苦しんでいるので、需要の不足を国家が補ってあげようと考えます。 積極財政については、昨年12月13日の衆院予算委員会で高市氏と岸田氏が舌戦を繰り広げました。 高市氏は「まずは、積極財政で皆様が働く場所、事業主体を守り抜き、成長への道筋を示すことによって、雇用と所得を増やし、消費マインドを改善させ、最終的には税収も増える形をつくる」と発言しました。 これは、令和三年度の過去最大となった補正予算についての見解ですが、積極財政の考え方がよく表れていると言えるでしょう。 積極財政は、国民生活のために国家が一肌脱いでくれるわけですから、一見素晴らしく感じます。増税や社会保障費などの歳出削減を言わなくてよくなるので、政治家としても大変ありがたい考え方と言えるでしょう。 しかし、積極財政派に決定的に欠けているのは「ワイズスペンディング」(賢い支出)の観点です。流行りのMMT論もそうですが、支出の中身の部分をなおざりにして、支出額のみに着目する傾向は強いです。 ◆今の政府にワイズスペンディングはできない もちろん、積極財政派の方もワイズスペンディングの大切さは訴えています。 先ほど紹介した高市氏も、同予算委員会で「ワイズスペンディングを前提に効果的な財政出動と成長戦略を大胆に講じていただき、雇用と所得と消費を増やし、結果的に税収増にもつながるお取組みをお願いしたい」と発言しました。ワイズスペンディングと言えば、誰も反対はできないでしょう。 しかし、ここには大きな落とし穴があります。それは「政府の自称『ワイズスペンディング』が本当に賢いのか」という問題です。 民間企業であれば、自由市場において、厳しい競争に晒されます。「売れるか売れないか」あるいは「倒産するかしないか」という結果をつきつけられるので、判断能力は磨かれていきます。 一方、行政の特徴は「無謬性」にあると古くから言われています。これは、「行政は間違った判断をしない」ということです。 つまり、官僚は昔から「ワイズスペンディング」だったことになります。しかし、現実は間違いだらけだったので、日本の借金は積み上がっていったわけです。 結局、民間企業のような競争も無く、間違いを認めたがらない政府にワイズスペンディングなどできるわけがないのです。それは、高市氏がワイズスペンディングを唱えた補正予算を見るだけで分かります。 補正予算では、岸田総理が掲げた「新しい資本主義」を名目にしたものが253項目ありましたが、「ごった煮」状態で、「ワイズ」とは程遠いものです。例えば、「新しい資本主義」を起動するために「良好で緑豊かな都市空間の形成等のための国営公園事業に必要な経費」として39億円近い予算がつけられました。 国営公園の整備は分かりますが、なぜ「新しい資本主義」につながるのかはさっぱり分かりません。これはあくまで一例ですが、このような問題は数多くあるわけです。 ◆やらなくてよい仕事はやめて、国家は「健全財政」を目指せ このように、多額のお金が政府にあっても、有効に使われないことが多すぎるのです。 これを改めるためには、やらなくてよい仕事を無くしていくと同時に、民間の経営の考え方を政府に入れていく必要があります。 ハンコのデジタル化も結構ですが、行政のハンコを押す判断スピードを上げて、許認可行政を改めない限り、生産性の向上は困難でしょう。そうした生産性の向上ができなければ、国家の経済成長も期待できません。 これらを言い換えれば、国家の「健全財政」を目指すということでもあります。 「自助努力により無駄を排し、優れた商品やサービスを提供することで発展していく」という民間では当たり前の考え方を実践することが今の政府に求められる財政政策です。 増税とケチで国民を苦しめる「緊縮財政」と、放漫経営で将来の危機を招く「積極財政」は採るべき道ではないと考えます。 政府は「やるべき仕事」として、国民の安全を守る「治安・国防」を中心に予算を集中すると同時に、規制緩和を通じて、政府の膨大な仕事を減量していくべきでしょう。 過去最大規模の補正予算36兆円――今、求められる政府の仕事」とは?【後編】 2021.12.16 https://youtu.be/bNSrKLa0m54 (12月9日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆コロナウィルスは本当にエボラ並みか?ワクチンに効果はあるのか? コロナ感染で、自宅待機中に症状が悪化して亡くなる方も多かったのですが、普通の町医者がきめ細かな診療を早期にできるようにするべきです。 その為には、ペストやエボラ出血熱など1類並みの分類をやめて、季節性インフルエンザ並の5類相当にすれば、「幽霊病床」向けの数兆円は不要になります。 オミクロン株への警戒感もありますが、厳しい規制をかけ続ければ、かえって医療現場に負荷をかけることになるので、フレキシブルに対応できるようにすべきだと思います。 またワクチンに関して、補正予算では接種体制の整備や接種の実施に、約1.3兆円が組まれています。 幸福実現党は、ワクチン接種に反対の立場を採っているわけではありません。 しかし、ワクチンに本当に効果があるなら、命のお金が一番高いので、みんな有料でも打つはずです。 経済的支援が必要な人は無料で打てるようにしてもいいかもしれませんが、無料をいいことに、強制的に接種をした結果、死亡するケース、また心筋炎など重篤な副反応が生じてもろくに補償もしないことに対して、政府への不信感が高まっています。 ◆「新しい資本主義」の内実 更に、岸田首相肝煎りの「新しい資本主義」も無駄だらけではないかと思います。 今回の補正予算では「新しい資本主義の起動」と銘打って、約8.3兆円計上されております。 財務省ホームページで公開されている内訳を見ると、全部足しても6兆円に達しないので、残り2兆円の使い方がよくわからない不思議な予算なのですが、どうやら新しい資本主義の成長戦略の大きな柱の一つは、「クリーンエネルギーへの投資」のようです。 岸田首相が、所信表明演説でも述べていた「クリーンエネルギー」は、アンモニアや水素でした。 アンモニア(NH3)や水素(H2)は、二酸化炭素(CO2)が含まれていないので、「これを燃やしてもクリーンだし、既存の火力発電の設備も使える」という算段かと思います。 しかし水素やアンモニアの原料として、石炭や天然ガスを使うため、製造段階でCO2が発生します。 結果的に、水素やアンモニアは「なんちゃってクリーンエネルギー」というのが実態です。 ◆気候変動対策より、エネルギー安全保障の確立を 石炭や天然ガスをそのまま燃焼させて、電力を得るのに比べて、わざわざ水素やアンモニアに変化させるので、エネルギーロスが生じます。 石炭や天然ガスから「水素」に変化させると、エネルギーの約半分を消費してしまうということなので、 こうした電力を推進していくと、絶対に電気料金はさらに値上がりするわけです。 今までも申し上げてきた通り、「地球温暖化説」はフェイクですので、無駄を排除すれば、政府は石炭火力発電など、「化石燃料を今後も利用し続ける」と宣言して、安く安定したエネルギー供給体制を作り上げることが肝要かと思います。 もし「気候変動対策をしていない」と批判されるならば「日本の火力発電の技術は世界一で、非常にクリーンだ。そして日本の技術によって、安く空気中の二酸化炭素を捕まえる技術を開発中だ」とでも言えばいいかもしれません。 ◆デフレ下における成長は可能か? 以上、「無駄」を削る話をしてきましたが、必ずしも「経済が縮小する」ということを意味するわけではありません。 それがこの度、幸福実現党の大川隆法党総裁が発刊する『減量の経済学』第三章において、通説である「デフレ=不況」という考え方について、実は「デフレ下でも成長は可能だ」と紹介されています。 実際、2020年の新規上場企業は過去最高でした。 コロナ禍で倒産や廃業が増え、大企業の倒産も予想される厳しい時代ではありますが、 新しく生まれてくる会社もたくさんあるわけです。 こうした時代に生き残り、繁栄を実現するためにはどうするのか。 「やらなくてよい仕事はするな」という副題の通り、「無駄なことを削り、新しい付加価値を増やしていく」ことしかありません。 ◆望まれる日本型資本主義の復活 キーワードは「勤勉の精神」であり、ひとつ人物像をあげれば、二宮尊徳の精神でもあります。 岸田首相は「財政の健全化」と演説でもちらっと触れ、またご著書の『岸田ビジョン』の中で、ご自身がやりたいのは「日本型資本主義の復活だ」とも語っておられます。 「1200兆円の財政赤字をいつまでに、どうするのか」を考えるのが、二宮尊徳流かと思いますし、徳ある人物が命懸けで行ったような、壮絶な仕事をなさりたいということであれば、 国家の存続を懸けたヒントはまさにこの一冊にあります。 岸田首相の「新しい資本主義」については「そんなのが分かればノーベル賞ものだ」という声もありますが、この書籍から本当の「新しい資本主義の風景」が見えて参ります。 ぜひ年末年始、「新しい未来を創らん!」とする志のある方は、ぜひお読みいただければと思います。 過去最大規模の補正予算36兆円――今、求められる政府の仕事とは?【前編】 2021.12.15 https://youtu.be/bNSrKLa0m54 (12月9日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆「例外中の例外」が常態化する日本の財政状況 12月6日、岸田首相は、過去最大規模の補正予算の成立に向けて、臨時国会に臨みました。 所信表明演説の冒頭では「屋根を修理するなら、日が照っているうちに限る」というケネディ大統領の言葉を引いて、コロナ対策や経済回復に向け、一日でも早く手を打たないといけないということを、訴えておられました。 また「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」と銘打ち、総額55.7兆円の財政支出を計画しており、この額は、過去最大規模となります。 だいたい、日本政府の税収が60兆円くらいなので、今回の補正予算は、来年度の予算分を先食いするようなものです。 財務省が、財政の赤字拡大は止まらないことを「ワニの口」に例えて、入ってくるお金(歳入)よりも、はるかに多くのお金を使っていた(歳出)わけですが、コロナ禍で天井をぶち抜くような予算を組んでおりますので、もはやワニのあごが外れそうな状況です。 2021年度は、昨年のとびぬけた一般会計歳出147.9兆円から、一気に元に戻して、106.6兆円の予定でしたが、今回の補正予算によって、142.6兆円とほぼ横ばいとなりました。 また、国債発行額も、当初予定の43.6兆円が、65.7兆円に跳ね上がっています。 コロナ禍で「例外中の例外」のはずが、気が付いたら今年もで、これが常態化すると「気は確かか?」と財務次官が造反論文を書きたくなるのも、分からなくないような、極めて恐ろしい状態です。 ◆債務拡大の先に待ち受ける増税の未来 一方、こうした過去最大規模の予算と聞いて、「頼もしい!」と思う日本人がいるのも事実ですが、既に日本の財政赤字は1200兆円もあります。 こういうと「いや大丈夫だ。日本政府は金融資産があるし、世界一の対外純資産もある。国債は円建てだし、家計の金融資産も1900兆円を超えているから平気だ」と言う方もいます。 しかし、債務がここまで天文学的な数字となり、これから高齢化が進行すれば、家計の資産も取り崩す一方となるわけです。 これでひとたび信用不安が起きたら、国債が暴落する可能性は十分あるわけですが、そうならないよう、政府は増税の準備に余念がありません。 例えば、預貯金口座とマイナンバーを紐づけて、給付金受け取り用で政府のオンラインシステムに登録すれば「7500円分のポイントが付きますよ」と言っています。 逆にマイナンバーは増税のインフラとなり、ザックリ持っていかれるのも時間の問題でしょう。 そこで「もう、いい加減にしてくれ!」と考える皆さま方と共に、今回の補正予算に関して「無駄づかい」を少し指摘させて頂こうと思います。 ◆バラマキは「票の買収」 まず、筆頭に挙げられるのが「バラマキ」です。 公明党肝煎りの公約だった「18歳以下の子どもへの10万円給付」ですが、約2兆円、消費税1%分の税収が使われることになります。 当初は「10万円の給付のうち、半分の5万円をクーポンで」と言っていましたが、クーポンだと現金給付に比べて900億円を超える莫大な事務費がかかることが判明し、ここに批判が噴出、現在は「全額現金給付」の方向になっています。 これに関して、一般的には「なぜ18歳以下なのか。なぜ10万円なのか、大人も配れ」だとか、保守言論人の中には「ドケチだ」と批判する方もいましたが、私たちはそもそも、政治が恣意的に対象を選び、現金を懐に入れるのは、もはや「下の下」、政策ではなく、ズバリ「票の買収」だと考えます。 何より、働かないでお金が手に入るようになると、必ずまたもらえないかと思うもので、結果的に国民の働く意欲を奪ってしまいます。 「施しは愛ではない」ということを考えれば、バラマキは本当に最低なことかもしれません。 また、無駄遣いという意味では「時短要請に応じた飲食店等への協力金等」に約6.5兆円もムダです。 そもそも時短要請をしなければかからないお金ですし、世界的に見ても、ロックダウンの効果を疑問視する人はたくさんいるので、そろそろやめてはどうかと思います。 ◆コロナ対策の中にある大きな無駄づかいとは? コロナ対策費も、感染症拡大防止に18.6兆円の予算を組んでおり、うち2兆円以上が、新型コロナ用の病床確保などに使われます。 しかし、夏の流行では、補助金をもらいながら、コロナ患者を受け入れない、いわゆる「幽霊病床」が問題となりました。 菅政権では、病院がコロナ患者のためにベットを空ければ、ICUの場合、1床あたり1日最大43万円以上、普通の病床でも1日最大7万円以上がもらえる仕組みを作っていました。 「幽霊病床」対策として、岸田政権は病床使用率を調べ、一定基準よりコロナ向けにベットが使われていなければ、補助額を「3割減らす」と決めました。 では「なぜ3割減か?」といえば、これズバリ適当ということかと思います。 そもそも日本は病院のベット数は世界一であるにもかかわらず、莫大な税金をつぎ込まなくてはいけないというのは、本当にバカバカしい話です。 (後編につづく) 膨れ上がる政府の借金! インフレ・ファーストは時代遅れ 2021.12.12 幸福実現党政務調査会 藤森智博 ◆インフレを期待し、36兆円まで膨れ上がった補正予算 現在、臨時国会にて、令和3年度補正予算が審議されています。その額なんと36兆円。過去最大の補正予算のようです。 ここまで予算が膨らんだ理由を考える際に、鍵を握るのが、GDPギャップです。GDPギャップとは、需要と供給力の差のことです。 お店側が「これだけ売りたい!(売れる能力がある!)」というのに対し、お客さんが「お財布事情も考えて、これだけ買いたい!」という需要と供給の差を日本全国規模で見たものになります。 どうやら、今回の補正予算では、政府は、財政出動によって需要不足を補い、GDPギャップをプラマイゼロにする狙いがあるようです。 11月15日の自民党政務調査会全体会議では「(政府が直接支出する)真水ベースで30兆円規模が必要だ」というような大規模な財政支出を求める意見が噴出したと言われています。 これは、7-9月期のGDP1次速報から試算されたGDPギャップ27兆円とも対応しているでしょう。 さらに、GDPギャップがプラスになれば、インフレに転じる可能性があります。 安倍政権以来、「2%程度のインフレになれば、好循環が生まれる」と考えられているので、インフレを目指して、支出を増やしていった結果、補正予算は36兆円まで膨れ上がったと言えるでしょう。 ちなみに、2%の超過需要を発生させるには、+11兆円で、計38兆円以上が必要になるとも試算されます。 もちろん、政府の財政支出でお金をバラまいても、例えば何も買わず、貯金する人もいたりするので、今回の補正予算がインフレを確実にするわけではありません。 ◆燃料代などが高騰しているため、「円安」路線は命取りになりかねない しかし、ここで、お伝えしたいことは、そもそもインフレありきの経済成長路線を見直さなければいけない時代に突入しつつあるということです。 御存知の方も多いかと思いますが、現在、世界はインフレと景気の停滞が同時に進行する「スタグフレーション」を警戒しています。 アメリカでは、11月の消費者物価指数が前年同月比で6.8%上昇となりました。1年前と比べて、モノの値段が6.8%上昇したということですが、これは約39年ぶりの高水準です。 また、EUのユーロ圏では、11月の統計で、物価が4.9%上昇したと報告されています。アメリカでは、高インフレを警戒し、FRB(アメリカの中央銀行)が、金融緩和を縮小させています。 インフレの原因は景気が回復している以上に、ガソリンやガスなどの燃料代が高騰したり、パンデミックによる渡航制限などのさまざまな規制によって、モノの供給が滞っているからだと言われています。 こうした事情であれば、日本も無関係ではいられません。それは企業物価指数を見れば分かります。 企業物価指数とは、企業が購入する物価の変動を示す指標です。例えば、車などの消費者が買う商品を作る前に、企業は、素材や部品を輸入したり、他の企業から買ったりします。 そうした企業の間で売買する物価を見れば、今後、消費者が買う商品の物価がどうなっていくか、ある程度予測できるわけです。 実は、日本の企業物価指数は、記録的に上昇しており、11月には9.0%台に突入しました。これは、高インフレに苦しんでいるアメリカと大きく変わりません。 アメリカは値上げに踏み切る一方で、日本の場合、景気の動きが弱く、素材の価格上昇を商品に転嫁できません。 給料が上がっていないので、値上がりしたら物が売れなくなってしまいます。上げして売れなくなるかという「進むも地獄、退くも地獄」という状況と言えます。 ◆インフレを建前に、お金をバラまけば、円安を招き、かえって企業を苦しめる こういう状況だと、「企業が値段を上げても売れるように、政府がお金をばらまけばいい」という発想もあるかもしれません。 しかし、それでは問題は解決されません。アベノミクスを思い出してほしいと思います。 アベノミクスは「第一の矢」で金融緩和をして国債を刷り、「第二の矢」で財政政策という形でお金をばらまきました。 そして、一連の政策の結果、円安が起きました。民主党政権時代の円高が、瞬く間に円安となり、空前の株価上昇となっていきました。 しかし、現在はこの円安が企業を苦しめています。 円安は輸出の際には有利ですが、現在は燃料代や原料など、輸入品の値段が上昇していることが、企業物価指数を押し上げています。円安が深刻になれば、材料の調達が困難になり、さらに企業を苦しめることになります。 お金をバラまき、需要を創出して企業を助けようとしても、それによって円安が進めば、問題は解決しないということが言えます。 ◆日本企業を立て直すために必要なことは、適切な「規制緩和」と「減税」 結局、この逆風を乗り切るには、輸入品そのものを安くするか、企業の生産性そのものを上げて、逆境に強い体質にしていかなくてはいけません。 前者については、脱炭素をやめ、化石燃料に再投資したり、ロックダウンなどの必要以上の規制を撤廃していくことが重要になりますが、世界レベルの問題も含むため、日本一国の取り組みでは限界があります。 一方、後者については、政府の施策の余地は大きいです。政府をスリム化して、不要な仕事を無くせば、行政手続きで企業が浪費していた時間を「創造」できます。 また、必然的に、税金を多くとる必要が無くなるので、減税して人々の暮らしも楽になります。従って、「規制緩和」と「減税」こそが今考えるべきことなのです。 対して、今までの自民党政権のように、インフレを目指して富の創出につながらない財政出動を重ねれば、無駄な仕事をたくさん生み出し、生産性はむしろ下がっていくはずです。 今までの「インフレ・ファースト」の考え方では、もはや時代の変化に対応できないのです。 成長戦略インサイト(9)「バラマキ合戦」の行き着く先は 2021.10.29 http://hrp-newsfile.jp/2021/4172/ 幸福実現党成長戦略部会 西邑拓真 ――衆院選(今月31日投開票)における各党の政策について 財務省の事務次官が某誌で揶揄したように、この選挙戦はやはり「バラマキ合戦」と言って間違いありません。 現金給付策や子育て支援策として、立憲民主党が「低所得者向けに年額12万円の給付策」、公明党が「18歳までを対象とする一律10万円相当の給付」、共産党が「収入減少者に対して、一人当たり10万円を基本とする給付金」、日本維新の会が「教育の全過程の完全無償化」、国民民主党が「一人当たり一律10万円と、低所得者には追加で10万円の給付策などと、バラマキのオンパレードとなっています。 そして、日本の債務が既に1200兆円超という、大変な危機的状況にあるにもかかわらず、各党は概ね、こうした政策の財源には国債の発行分を充てるとしており、財政状況が一層悪化することを危惧します。 自民党の岸田文雄総裁が衆院選に入る前に、金融所得課税強化に言及したほか、立民が法人税の累進課税の導入や所得税の最高税率引き上げなどを訴えています。 しかし、こうした高所得者層や大企業を狙い撃ちにした増税策を行えば、「分配」を行う前に日本経済は奈落の底へと沈みかねません。 努力して稼いだお金も、多くが税金として政府に持っていかれるのであれば、誰も努力をしなくなります。努力を認めない不公平な社会は絶対に認めるべきではありません。 また、コロナ対策として、自民党は、「選挙後、速やかに数十兆円規模の経済対策を取りまとめる」、立憲民主党は「30兆円以上の補正予算案をただちに編成する」などとしていますが、このような大規模な対策を行う財政的な余力はあるのでしょうか。 営業の自由を奪うなど、これまでの「統制経済」的と言えるコロナ対策の方向を転換し、「民間の知恵」をベースとした感染症対策を前提に、経済を最大限に回して、経済対策に伴う歳出は、必要最小限に抑えるよう努めるべきです(※1)。 (※1)ワクチン接種ありきの経済回復策には反対です。 (「ワクチン接種ありきの行動制限に反対する(党声明)https://info.hr-party.jp/press-release/2021/12038/」参照) ——財政健全化に向けては何が必要か 基本的には、税収を上げる、歳出のあり方を自助の精神に基づいたものに見直す、国家財政にマネジメントの思想を取り入れるといったことが必要と考えます。 税収増には、増税ではなく経済成長が必要です。税収と歳出の推移(※2)を見ると、歳出は増加の一途をたどっているにも関わらず、バブル崩壊以降は、消費税の導入・増税策を行ったにもかかわらず、税収が停滞していることがわかります。 平成の30年間、日本経済は長期デフレに喘いできました。その中で、積極的な財政出動や金融緩和、成長戦略の実施を掲げていたアベノミクスが、デフレ脱却を試みたものの、その達成はかないませんでした。その最大の要因はやはり、二度にわたって消費増税が実施されたことでしょう。 これまでのバラマキ・増税の繰り返しで国の活力が失われ、日本はもはや、かつての「英国病」に突入しているような状況です。 歳出のあり方を抜本的に見直しながら、財政の健全性を担保した上で、一連の減税策を実施し、「小さな政府」の実現でこの国を再起動させる必要があります。 自民党は岸田文雄総裁の下、「成長と分配の両面が必要」とし、「分配によって所得を増やし、消費マインドを改善する」との考え方を打ち出していますが、課税・分配を行うのは「社会主義」政党と言わざるをえず、この考え方では日本経済の回復は遠いものになるでしょう。 (※2)財務省HP「一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移」 https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/003.pdfより ――今回の選挙戦で消費減税を訴えている政党もあるが コロナ禍の今、消費マインドを少しでも回復させるには、消費減税は確かに部分的には一定の効果がある施策と思いますが、一方で、同時に歳出の大幅な見直しをしなければ、短期的には一層の国債発行を余儀なくされ、「小さな政府」の実現が遠のいてしまうことになります。 日本の歳出のうち、最大の項目となっているのが「社会保障給付費」です。 今、少子高齢化が急速に進展していることにより、毎年、およそ1兆円程度以上の歳出増が続いていることが、財政の最大の圧迫要因となっています。 日本が「シルバー民主主義」にある中、どの政党も社会保障の抜本改革に手をつけられないというのが実情ではないでしょうか。 年金制度に関して言えば、わが国では、高齢者をそのときの現役世代で支える「賦課方式」がとられており、これと少子高齢化が重なっていることが、現役世代に相当な負担を強いる形となり、これによって年金財政に税金を投入させざるをえないほか、給付額が世代により大きく異なるという状況が生じているのです。 このような世代間不公平が生じていることで、例えば2000年生まれの人の厚生年金は、払う額よりも受け取る額の方が2,610万円程度少なくなるという試算もあります。 年金というのは「長生き保険」とも位置付けられますが、絶対に損するような保険には誰も入らないはずです。 尚、維新は年金と関連して、ベーシックインカムの導入を掲げていますが、これが実現すると、一層「大きな政府」へと舵を切ることになると危惧します(※3)。 政府の役割として、社会的弱者に対する一定のセーフティネットを確保しつつも、財政の持続可能性も踏まえて、原則として、社会保障を自助の精神に基づいたものへと抜本的に改革すべきと思います。 さらに、健全財政に向けては、国家財政にマネジメントの思想を取り入れて、財政の単年度主義を改めるべきです。 景気が良く、予想外に税収が多かった場合には「内部留保」として翌年以降の危機的な状況に備えて、税収を手元に残していくことを認めるべきです。 これによっても、漸進的に減税策を進めることができ、いずれは無税国家を目指すべきでしょう。 健全財政は国家繁栄と存続の基礎です。経済政策やコロナ対策は本来、健全化に向けた道筋を描いた上で講じるべきものではないでしょうか。 次の政権を担う政党には、「勤勉の精神」をベースとする、本来の「資本主義」を体現するような経済政策の実施で日本経済を復活させ、財政も健全化に向かわせてほしいと願うばかりです。 (※3)幸福実現党政務調査会ニューズレター No.26(2021.9.27) https://info.hr-party.jp/2021/12065/ 参照 中国不動産最大手「恒大集団」破綻危機!中国不動産バブル崩壊寸前! 【後編】 2021.10.06 https://youtu.be/7be7dSBggNs (9月14日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆習近平の摘発は芸能界にも 前編で紹介した企業規制と軌を一にして、芸能界の取り締まりを8月下旬より強化しています。 映画「レッドクリフ」に出演した趙薇さんの作品が動画配信サービスから一斉に削除されました。 ほかにも脱税が指摘された俳優や芸能事務所経営者の摘発が相次いでいます。中国メディアによると、8月末までに取り消された事務所は660に上るというから驚きです。 習氏は来年秋の党大会で3期目入りを実現するため、建国の父・毛沢東が提唱したスローガン「共同富裕」や「文化大革命」の復活を成し遂げ、自らの権力集中を狙っています。 しかし、この動きを突き進んでいくと、中国の「共同富裕」は「共同貧困」に陥り、ソ連崩壊と同じ運命を辿ることになるでしょう。 ◆日本企業は「脱中国」を急げ! アメリカの金融街では、このような中国に投資すべきか否か、議論が対立しています。 アメリカの投資会社ブラックロックは、2021年6月末時点で9.49兆ドル(約1054兆円)を運用する世界最大の運用資産会社ですが、海外投資家のために、中国企業の株式や、中国企業が発行するドル建て債券を購入してきました。 著名な投資家ジョージ・ソロスは最近、「ウォール・ストリート・ジャーナル」や「フィナンシャルタイムズ」に寄稿し、「ブラックロックの中国投資は失策だ」と指摘しています。 中国に何十億ドルもの資金を投資すれば、顧客に損失を与え、アメリカや他の民主主義国の安全保障上の利益を損なう可能性が高いと述べました。 ソロス氏の主張の主なポイントは、「習氏が極めて国家主義的であり、中国を世界の支配勢力にすることを望んでいること」、そして「富の創造者を一党独裁の支配下に置く決意を持っている」ことです。 その一環として、IT企業への規制強化に加え、民間企業の社長よりも上の地位に、党代表者を置く経営の二重体制を導入していることを挙げました。 3点目は、2022年の党大会で終身制の下で国家主席を続けるために、独裁者として君臨していることです。 中国は習近平のもと一党独裁を維持するためには、少数民族や香港の弾圧も行うし、中国を代表する企業であっても反抗は一切許しません。 2022年の党大会に向けて、台湾侵攻も選択肢に入っていると考えるべきです。 私たちは、中国の不動産バブルは崩壊寸前にあり、習氏の毛沢東回帰路線ではこれ以上の経済成長は望めないと考えるべきです。 日本企業は、中国のバブル崩壊に備え、「脱中国」「製造業の国内回帰」を急がなくてはなりません。政府の後押しも当然必要です。 西側諸国と共通する「自由・民主・信仰」の価値観で、「中国包囲網」を一層強化し、日本も中国の覇権主義を押し止める力強い国にならなければなりません。 中国不動産最大手「恒大集団」破綻危機!中国不動産バブル崩壊寸前! 【前編】 2021.10.05 https://youtu.be/7be7dSBggNs (9月14日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ※9月14日収録された言論チャンネルの要点をまとめたものです。詳しくは、上記のURLから映像をご覧ください。 ◆中国不動産最大手「中国恒大」が破綻危機 中国の不動産バブル崩壊については、これまで何度も話題に上ってきましたが、中国最大手の不動産デベロッパー「中国恒大」が倒産危機に陥り、現実味を帯びてきました。 不動産投資は中国のGDPの1割、建設資材や家電など関連産業を含めるとGDPの3割を占め、中国政府はこれまで力を入れてきました。まさに中国の借金経済の象徴です。 しかし、不動産価格が高騰し、庶民の手が届かない価格になっており、中国でも貧富の格差が大きな問題になっています。 習近平国家主席は「マンションは住むものであって、投機するものではない」と言って、不動産デベロッパーこそがマンション価格を吊り上げている張本人と見なし、昨年より規制を強化しているのです。 この規制強化は、「三条紅線」と言われるもので、負債に上限を設ける3つのレッドラインを設定しました。 総資産に占める負債の割合などで、中国最大手のデベロッパー「中国恒大」は、このレッドラインに引っかかり、新規でお金を借りることが難しくなったことで、手元の現金が急速に不足したわけです。 中国恒大は、不動産バブルの中、多額の借金をしながら各地でマンションを建設し急成長しました。 中国恒大の2020年の住宅販売面積は中国第2位で、最近では電気自動車開発に乗り出すなど、事業を拡大した結果、負債総額は3000億ドル(約33兆円)という前例のない規模になっています。 9月9日時点で、香港証券市場の「中国恒大」の株価は、今年75%も下落しています。今後、中国政府が「中国恒大」の破綻を認めるかどうかが、注目されています。 最悪のシナリオは、格差を広めた極悪人への懲罰として、見せしめ的に破綻させることです。 他に、債権者が投資額の一部を回収できるシナリオがあります。決めるのは中国政府ですが、いずれにせよ兆単位なので、債権者にとって莫大な損失が生じるでしょう。 影響が大きいのは、海外投資家です。「中国恒大」は海外投資家から大量にお金を借りています。 市場は、かなりの確率で倒産する可能性が高いと見ています。9月に入って、格付け会社も相次いで格下げし、「破産の可能性がある」と明言しています。 9月13日のブルームバーグの記事によると、「中国恒大」のドル建て社債は、投資額の「25%回収」が基本シナリオだと述べています。 このシナリオ通りに進むと、運用会社など海外投資家の投資額2兆円のうち、5000億円しか回収できないことになります。 1兆5000億円の損失を埋め合わせるために、株式などの売却に動けば、金融市場、世界経済にも甚大な影響が出ることは避けられません。 ◆習近平の「共同富裕」は「共同貧困」に さて、習近平国家主席は、格差是正のため住宅価格の高騰を抑える政策を打ち出したわけですが、これは、毛沢東が掲げた「共同富裕」というスローガンに通じるものがあります。 習氏は8月17日、経済問題に関する会議で「共同富裕は社会主義の本質的な要求だ」と宣言して、貧富の格差を解消して、社会全体を豊かにするために、高所得層や企業に対して、社会への還元を求めました。 具体的な政策として、「企業への規制強化」と「寄付の強要」があります。 アリババ創業者のジャック・マー氏が昨年秋、「時代錯誤の規制が中国の技術革新を窒息死に追い込む」と発言した後、10月後半には消息不明になっています。 昨年11月、習政権はアリババ傘下の金融会社アント・グループの新規株式公開を延期に追い込みました。 具体的には、アリババに対して独占禁止法違反で約182億元(約3100億円)の罰金を科したほか、米国に上場した中国配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)などネット企業3社に対し、国家安全上の理由でネット規制当局が審査を行いました。 その後もユーザー数が100万人超の中国企業が海外上場する際に当局の審査を義務付けました。企業の呼び出しや指導も相次いでいます。 これらの規制によって、米国に上場している中国企業の時価総額1兆ドル以上を失いました。 また「共同富裕」の提唱を受け、IT大手「テンセント」CEOの馬化騰氏は77億ドル、出前サービス大手「美団」創業者の王興氏は23億ドルの寄付をそれぞれ申し出ました。 今後も、習近平にひれ伏す経営者が続出するだろうと思われます。 (後編に続く) ベーシック・インカムは「亡国への道」 2021.09.28 https://info.hr-party.jp/2021/12065/ 幸福実現党政務調査会ニューズレターNo.26 ◆ベーシック・インカムとは何か ベーシック・インカム(BI; Basic Income)とは、すべての国民に対して、最低限の生活を送るために、一定額のお金を給付する制度のことを言います。 同制度の導入の際は、基礎年金や生活保護などはBIに一元化するのが一般的です。 政府は昨年、国民一人10万円の特別定額給付金を支給しましたが、BIは、この給付金が毎月支払われるようなイメージだと言えます。 最近は特に、コロナ禍にあることや自然災害の多発により、BI導入の機運が高まりつつあり、日本維新の会や国民民主党は、BIを次期衆院選の公約に掲げることを既に表明しています。 国外では、フィンランドで2017年から2018年にまで失業者の一部を対象とする実証実験が行われたほか、2020年にはスペインで低所得世帯を対象とする現金給付制度が導入されるなど、幾つかの事例があります(※1) 。 BIを導入すべきとの論調は、経済的左派のほか、竹中平蔵氏をはじめとする新自由主義者(ネオリベラリスト)の一部も、BIについて積極論を唱えています。 両者には、「社会保障を充実させるべき」「社会保障をより簡素化すべき」といった立脚点の違いがあります(※2)。 果たして、BIの導入は是と言えるのでしょうか。以下、実現可能性と哲学の面から議論を進めます。 ◆ ベーシック・インカムの実現可能性 BIを日本に導入することは財政上、実現可能なのでしょうか。 BIの「給付額」をどのように設定するかについて、論者により様々唱えられていますが、ここでは、国民に一律、年齢に関係なく毎月10万円給付する場合を考えます。 これを成り立たせるために一年間で必要となる予算は、単純計算で、(10万円×12カ月×1億2,000万人)=144兆円となり、2020年度の国家予算、約102兆円(当初予算)を凌ぐ規模感になることがわかります。 BIを導入する際には、基礎年金や生活保護のほか、所得税の各種の控除をBIに整理し、これらを廃止することが可能となります。 鈴木亘氏の試算を用いれば、基礎年金、生活保護費(生活扶助分+住宅扶助分)のほか、所得税にかかる控除分などをカットすることができ、その額は99.5兆円とされます(※3)。 しかし、これでも、BIを導入するときにかかる費用の全てを賄えるわけではなく、44.5兆円もの新たな予算が必要となります。 結局のところ、BIを導入する場合は、大幅な増税策を実施する必要が生じます。 所得税の累進課税強化や法人税の引き上げなど、巨額の財源を確保するには様々な方法があると考えられますが、例えば、消費税の増税でその44.5 兆円分の財源を確保するとなれば、軽減税率を廃止したうえで消費税率を31%にする必要があります。 いずれにしても、BIの導入で国民は結局、大きな負担を強いられることになります。また、今の財政状況を見れば、国債発行を財源にすることも到底考えられません。 尚、日本維新の会は、「日本大改革プラン」の中で、0歳から全国民に対し、月額6万円~10万円を一律給付するとし、その必要財源は約100兆円になるとしています。 しかし、働きたくても働けない人が給付額以上のお金が必要となった場合には、結局のところ、追加分の給付が必要になるとも考えられます。 また、同党は、BIについて、「格差解消のための再分配政策を強化する点で効果的」とし、新たな社会保障の実現に向けて、固定資産税の強化など、資産課税の大幅な強化の必要性を示唆しています(※4)。 確かに、BIを導入して、生活保護制度を無くして資力調査(ミーンズテスト)を不要にするなどして、現今の社会保障制度の維持に伴う行政費用は今より少なく済む部分もあるかもしれません。 しかし、今まで生活保護を受けていなかった人も給付を受けるケースが出るなどして、制度設計次第では歳出が大幅に膨らむことになると言えます。 BIはバラマキ・増税の典型と言ってよく、これを進めた場合は、日本は一層、「大きな政府」へと舵を切ることになります。 尚、今の生活保護制度には「貧困の罠(※5)」が存在し、BIはその解消策になるとされていますが、先述の通り、これは財政的に見ても実現可能とは言えません。 そのため、これについては別途、生活保護者の勤労意欲を減退させないような制度に変更する必要があります。 ◆「働かざる者食うべからず」が人間の基本 様々な理由により、働きたくても働けない人に対して一定のセーフティネットを設けることは、政府の役割と言えます。 しかし、「働けるのに働かない人」にもお金が配られることは本来、是認されるべきではありませんし、富裕層に対しても一律に給付がなされることは愚の骨頂と言えます。 何もせずとも、一定の所得が確保されるのであれば、全く働かないという人が一定の割合で現れてくることでしょう。 結局のところ、BIを実現するとなれば、富裕層をはじめとする、一定以上の所得を持つ人が「大増税」措置を受けて所得は差し引きでマイナスとなり、こうした所得層は、以前より可処分所得が減りかねません。 豊かな人から富を奪い取ってそれをばら撒けば、国全体は「結果平等」の世界へと近づき、誰も努力したり知恵を絞らなくなり、「貧しさの平等」だけが広がります。 また、BIが「無条件」でどの国民にも配られるとしたら、子育てへの責任感を有することなく、「お金欲しさ」に子供を産むという、恐ろしいケースが生じることも否定できません。 個人も国家も、経済発展の礎は「勤勉の精神」であり、「働かざる者食うべからず」というのが大原則であるはずです。 マックス・ウェーバーが資本主義の精神を分析したように、「禁欲や節制をし、勤勉の精神を発揮してお金を貯め、事業に成功することで、神の栄光を地上に現し、世の中を繁栄させる」者こそ、神様から祝福される人間なのです(※6)。 かつて「ゆりかごから墓場まで」というスローガンを掲げた英国は、サッチャーが首相となるまで、停滞の道を歩むことになりました。 日本もBIを導入して「国家社会主義」型の経済をひた走るようになれば、かつての「英国病」のようにますます停滞の道を歩むことになるでしょう。 「国家が国民を養う」という構図となれば、国民の生殺与奪の権は国家が握ることになります。BIの導入はまさに、国家への「隷従への道」であり、「亡国への道」に他なりません。 (※1)BIについて、厳密にいえば、BIの給付額だけでは生活する上で困難をきたす場合は「部分的BI」、年金など、対象者が限定されるものは、「限定BI」と分類される。海外での他の事例は、「欧州の『ベーシックインカム実験』と公的扶助改革」(2021年7月, 国立国会図書館)など参照。ここでの海外の事例は (※2)いずれも、「完全なBI」が導入されているわけではないと言える。 井上智洋『AI時代の新・ベーシックインカム論』(光文社新書, 2018年)等参照。 (※3)鈴木亘『社会保障と財政の危機』(2020年,PHP新書)参照。 (※4)大阪維新の会「政策提言 維新八策」「維新八策を具体化する国家ビジョン 日本大改革プラン」等参照。 (※5)現在の生活保護制度は、受給者が働いて給料を得たとしても、手取り額のほとんどが変化しないという体系となっており、勤労意欲を阻害している。「貧困の罠」は、生活保護から抜け出ようという誘因が働いていないことにより、受給者が貧困から脱却できない状況のことを指す。 (※6)大川隆法『マックス・ウェーバー「職業としての学問」「職業としての政治」を語る』(幸福の科学出版)より。 すべてを表示する « Previous 1 … 5 6 7 8 9 … 78 Next »