Home/ 経済 経済 自民も公明も連合の「お仲間」 今や企業に「賃上げ」を求める政党ばかり【後編】 2022.05.25 http://hrp-newsfile.jp/2022/4274/ HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆最低賃金が上がり続ければ、企業は雇用を抑制し、社員を解雇する 政治家は人気取りのために、最低賃金の引上げに熱心です。 しかし、この制度には、もともと欠陥があります。 最低賃金を強制的に高値で固定すると企業は雇用増に尻込みします。この場合、賃金の水準を市場にまかせた時には就職できた人の中で、不採用になる人が出てくるのです。 日商と東商の調査でも、最低賃金の引上げが「経営に影響あり」と答えた企業の対応策には、採用の抑制と社員の削減があげられていました。 例えば、40円の引上げがなされた場合、2割の企業が正社員の削減と採用の抑制を行うと答えました。非正規社員の削減と採用の抑制を行うと答えた企業は3割にのぼります。 業績が伸びない中で「最低賃金の引上げ」に対応した場合、社員を解雇したり、採用を減らさなければいけなくなるのは、当然のことです。 (※解雇と採用抑制を行うと答えた企業の割合) ・30円引き上げの場合:正規社員の削減と採用の抑制を行う企業が15%/非正規社員の削減と採用の抑制を行う企業が27% ・40円引き上げの場合:正規社員の削減と採用の抑制を行う企業が23%/非正規社員の削減と採用の抑制を行う企業が30% ◆デメリットが多すぎるので、最低賃金の引上げは「ぬか喜び」政策にすぎない 雇用の抑制のほかにも、企業には、最低賃金の引上げへの対策があります。 しかし、それは、どれも、誰かの痛みを伴います。 「設備投資の抑制」を行えば、企業の未来の発展が犠牲になります。 「製品・サービス価格の値上げ」を行えば、消費者の負担が増えます。 「正社員の残業時間の削減」を行えば、今いる社員が稼げるお金が減ります。 結局、最低賃金の引上げで給料が増えても、他のデメリットが大きいので、メリットは相殺されてしまうのです。 人件費で経営が圧迫され、倒産する企業が増えれば、むしろマイナスのほうが大きくなっていきます。 ◆企業経営に介入したがる「社会主義政策」にNOを! 大川隆法党総裁は、自民党の賃上げ路線に対して、企業に「賃上げをさせると、企業は赤字になり、倒産していく」と批判しました(『資本主義の未来』幸福の科学出版)。 また、政府が消費税を増税しながら企業に賃上げを要請したことについて、「そんなことができるのであれば、国民が全員、国家公務員になっているという状態でしょう」と指摘していました。(企業は)「最低賃金を上げたら、できるだけ少ない人数で働かせるようにする」とも述べていたのです(『忍耐の時代の経営戦略』幸福の科学出版)。 「最低賃金」の引き上げを通して政治が市場経済に介入してくると、企業経営の自由が奪われていきます。 その路線を推し進めていくと、倒産が増え、社会主義経済に近づいていくのです。 労働組合の「お仲間」になった既成の政党の経済政策には、社会主義的な考え方が入り込んでいます。 しかし、幸福実現党は、長らく経済界への賃上げ要請や最低賃金の引き上げなど、政府による企業経営への介入に反対してきました。 「国の介入、あるいは地方自治体の介入は最小限にとどめるべきです」(大川隆法著『人の温もりの経済学』) 今の日本では「賃上げ」を公約し、国民の歓心を買う政治家と、賃上げの負担を担う経営者の間に、埋めがたい落差が生まれています。 政治家の人気取り政策のために、日本の民間雇用の7割を担う中小企業を押しつぶしてはなりません。 幸福実現党は、神の見えざる手を機能させる経済を目指し、労働者と経営者の双方の幸福のために、適正な賃金が実現する雇用政策の実現を目指してまいります。 【参照】 ・大川隆法著『人の温もりの経済学』幸福の科学出版 ・大川隆法著『資本主義の未来』幸福の科学出版 ・大川隆法著『忍耐の時代の経営戦略』幸福の科学出版 ・厚生労働省「令和3年度地域別最低賃金改定状況」 ・日本・東京商工会議所「『最低賃金引上げの影響および中小企業の賃上げに関する調査』調査結果」 自民も公明も連合の「お仲間」 今や企業に「賃上げ」を求める政党ばかり【前編】 2022.05.24 http://hrp-newsfile.jp/2022/4273/ HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆自民も公明も連合の「お仲間」 4月から5月にかけて、労働組合と政党との交流が盛んになっています。 4月18日には、労働組合の中央組織である「連合」の芳野友子会長が、自民党本部の政策会合に出席し、「ぜひ自民党にも力を貸していただきたい」と訴えました。 5月13日には、公明党の竹内政調会長と連合の清水秀行事務局長が会談。竹内氏は「賃金を持続的にあげられる構造にもっていかないといけない」と述べています。 近年、自民党は賃上げに熱心なので、ながらく野党を支持してきた連合の会長が自民党本部の会合に参加できるようになりました。 公明党に対しても、連合は、昨年の衆院選では東京12区の公明党候補を支援しています。 連合は、もともと立憲民主党や国民民主党などを支援してきましたが、最近は、与党にも積極的に働きかけています。 今や、自民党や公明党も、連合の「お仲間」なのです。 ◆与野党のほとんどが「賃上げ」を公約 実際に、自民党の麻生副総裁は、「連合の話を一番聞いているのは自民だ。賃上げを経団連や経営者に一番言っているのも自民だ」(3/27)と言っています。 野党よりも労働組合の声を聴いていると自慢しているわけです。 今や与党と野党が入り乱れて、「賃上げ」を競うようになったので、ほとんどの政党が労働組合の「お仲間」になりました。 賃金の水準は、市場における需要と供給と、企業経営の状況に応じて決まるものなのに、政治家がしゃしゃり出て、「私たちが賃金を上げる」と大きな声を上げています。 法律を使い、企業経営の状況にお構いなく、人気取りのために最低賃金を引き上げるのですから、経営者から見れば、迷惑な話です。 現時点(5月下旬)で、自民、公明、立民、国民民主、共産の5党が考える最低賃金についてのプランを見ると、時給1000円と時給1500円で二分されています。 【時給1000円】 ・自民党:早期で1000円以上の実現(全国加重平均)、2020年代に全ての都道府県で最低賃金1000円に挑戦する(自民党雇用問題調査会が5/10に緊急提言) ・公明党:年率3%以上をメドに引き上げ、2020年代前半には全国で1000円超の実現(加重平均)、2020年代半ばには47都道府県の半数以上で1000円以上へと引き上げる(2021衆院選公約) ・国民民主:全国どこでも時給1000円以上を早期に実現(2021衆院選公約) 【時給1500円】 ・立憲民主:最低賃金時給1500円を将来的な目標に(2021衆院選公約) ・共産党:時間額1500円の全国一律最低賃金の実現(全労連の評議員会が1/26に提言) 各党は賃上げを前回の参院選でも公約し、2019年に901円だった全国平均の最低賃金額は、現在、930円にまで引き上げられています(*加重平均額) (※維新の党は最低賃金という仕組みに賛同していないので賃上げ公約がない。れいわ新選組は全国一律最低賃金1500円) ◆中小企業の多くは経営に苦しみながら賃上げに対応している 立憲民主党と共産党は最低賃金1500円を掲げました。 これは、今の1.6倍以上なので、あまりにも高すぎる数字です。 中小企業の負担にお構いなく、強制的な賃上げを一気に進めれば、人件費の負担増で企業の倒産が増えるでしょう。 自民党、公明党、国民民主党は早期に1000円を実現しようとしています。 これは、現在の賃上げ路線を加速しようとする動きです。 しかし、賃上げを推進する前に、最近の最低賃金引上げが、中小企業にどのように受け止められているかを知る必要があります。 全企業数のうち中小企業が占める割合は99%以上を占めているからです。 ここで、日商と東商の調査を見てみましょう。 (*日本・東京商工会議所「『最低賃金引上げの影響および中小企業の賃上げに関する調査』調査結果」2022/4/5 を参照。小数点以下の数字は四捨五入) そこでは、「最低賃金は近年3%台の大幅な引上げが続き、多くの中小企業・小規模事業者から、経営実態を十分に考慮した審議が行われていない」という企業からの苦情が紹介されていました。 この調査では、以下の4点が明らかになっています。 (1)今の最低賃金が「負担になっている」(*)と答えた企業の割合は7割近く(65%)にのぼりました。特に、コロナで被害を受けた「宿泊・飲食業」では9割(91%)がそう答えています。(※「負担になっている」=「大いに負担になっている」と「多少は負担になっている」の合計) (2)前回(21年10月)の最低賃金引上げの後、4割(40%)の企業が強制的に賃金を上げざるをえなくなりました。 (3)(賃上げなどで)人件費が増えても対策がとれない企業は4割(42%)にのぼります。 (4)2022年度に「賃上げを実施予定」と回答した企業の割合は5割に迫る勢い(46%)。「賃上げを実施予定」と答えた企業のうち、7割(69%)が、業績の改善がないことを認めています。 要するに、法律で最低賃金が引き上げられた結果、多くの中小企業は、経営に苦しみながら、賃上げに対応しなければいけなくなったのです。 (後編につづく) 緊急経済対策で日本人は奴隷化する?困窮者給付2つの問題点【後編】 2022.05.13 https://youtu.be/pdBf7NYdvDc (4月28日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆困窮者の給付金のもう一つの問題 次に、困窮者給付金は給付の仕方に問題があります。 今回の給付金は、「真に生活に困っている方々への支援」として、いわゆる「プッシュ型」で給付します。 プッシュ型とは、一言で言えば、「押込み型」あるいは「押しつけ型」です。つまり、こちらで手続きしなくても政府が勝手にお金を振り込んでくれる、大変便利な制度です。 これに対して、プル型は「自己申告型」です。お金を受け取るためには、自分で動いて手続きをしなくてはいけません。 申告不要で迅速に手続きができるので、コロナ禍以降、メディアは「プッシュ型」をもてはやしています。 しかし、行政が国民一人ひとりのニーズを把握することは不可能なので、プッシュ型では「真に生活に困っている方々」だけに支援を行うことはできません。 今回の場合で言えば、なぜ低所得で子どもがいる世帯限定なのか、なぜ子ども一人あたり5万円なのかを説明できません。 そうすると、国民同士の不公平感が出てくるので、私にもお金を出せという話になります。 今後、経済の状態が一層悪くなれば、国民全員へのプッシュ型給付という話も出てくるかもしれません。 ◆日本人の自由を守るために しかし、プッシュ型の給付金は、基本的にマイナンバーと結びつき、国民の監視や資産への課税につながっていくため、非常に危険なものです。 政府は表向きにはあまり言いませんが、申請なしに給付を可能にすると言って、マイナンバーを推進すると、行政が国民の銀行の口座番号を把握したり、ゆくゆくは全銀行口座の紐づけなどを通じて所得状況や資産などを一元管理できるようになります。 ちなみに、紙のお金を無くして、全てを電子マネーにしてしまえば、タンス預金もできなくなるので、完璧です。 承認もしないで、判子もつかず、書類も書かず、「年収が幾ら、貯金が幾ら以上の人からは一律五十パーセントの税金を取って、恵まれない一千万世帯に、自動的に振り込む」ということが原理的に可能になります。 タダでお金がもらえることは嬉しいかもしれませんが、その後に待っているのは、地獄です。 こうした恐怖の世界が到来したら、それは今の監視国家の中国や北朝鮮と何ら変わらない国になってしまいます。 幸福実現党としては、こうした事態は何としても防がなくてはいけないと考えています。 やむを得ない事情の方への支援は必要かもしれませんが、政府の監視が前提となるプッシュ型はやめて、原則プル型での支援に限定していくことが、日本人の自由を守るために大切です。 ◆「勤勉の精神」こそ、道を切り拓く力 大川隆法党総裁の『正義の法』で次のように説かれています。 「私は、基本的には、「魚を与えるよりは、『魚の釣り方』を教えるほうが正しい」という考えを持っています。魚を与えても、持っている魚は必ず尽き、手持ちの魚はなくなります。しかし、「魚の釣り方」を教えたら、教えられた側は、一生、魚を釣ることができるのです」 この魚の釣り方という意味で言うと、「勤勉の精神」を身につければ、これは一生を通じた宝となって、道を切り拓く力となります。 教育の現場では、努力が報われることを教えていくことが重要です。そして政府は、減税や規制緩和を通して、「勤勉な努力による、自由とその成果を認める」社会を創っていくべきです。 緊急経済対策で日本人は奴隷化する?困窮者給付2つの問題点【前編】 2022.05.12 https://youtu.be/pdBf7NYdvDc (4月28日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆一時給付金ではなく雇用拡大を 4月26日、政府は物価上昇への緊急対策ですが、「ガソリンなどの原油価格への対策」「生活困窮者への支援」「中小企業への支援」「エネルギー・食料などへの安定供給」の4つの柱を掲げ、6.2兆円の国費を投じることを決めました。 今回は、特に「生活困窮者への支援」に給付金を出すことの是非に焦点を絞ってみたいと思います。 「低所得の子育て世帯へ、子ども一人あたり5万円給付」は、困っている家庭にはありがたいかもしれません。しかし、給付金は一時しのぎにしかなりません。 朝日新聞デジタルが26日の記事で今回の5万円支給に対する、あるシングルマザーの声を紹介しています。 「(給付金は)非常に助かる話です。ただ、それだけでは問題解決にはなりません。目先の5万円より、安定した収入を長く確保できる雇用が必要です」 ◆手厚い補助金をすれば下がる実質賃金 雇用の重要性としては、今回の緊急対策でも「中小企業への支援」を柱としていますが、ただし「賃上げをしたら、税金を安くする、補助金を上げる」という対策です。 安倍政権から行ってきた政府主導の政策でも、なかなか賃金は上昇しませんでした。実際に物価上昇を考慮した実質賃金は長期的には下がっています。 リーマンショックとコロナ不況の2つに共通していることは、不況に対して政府が大量の国費を投じたにもかかわらず、実質賃金は下落しました。 ◆企業の活力を奪う補助金 実質賃金が上がっていくためには、企業が付加価値の高い仕事、つまり、お客さんの役に立つ仕事を増やしていかなければいけません。 しかし、例えば飲食店は面倒なコロナの休業補助金の申請で、1円の富も生まない政府とのやりとりで、経営資源がどんどん浪費されていきます。 しかも、いざ支給されたのは数カ月後で、目の前のお店の危機に全く間に合わなかったという話はたくさんあります。 ひどい場合は、政府に取り入って補助金をたくさんもらったり、自分の企業に有利な規制をするよう政府と癒着していきます。 ◆経済を停滞させる電力自由化 最近の事例では、太陽光発電の事業者が気候変動対策のためと言って、土砂崩れが起きそうな場所でもどんどんソーラーパネルを敷き詰めています。 さらに、固定価格買取制度FITで、高い電気を国民に無理やり買わせ、2020年段階では、日本全体で2.4兆円も負担しており、一人あたり約2万円です。 それだけではなく、電力の自由化と称して、太陽光発電が苦手な安定供給の問題を、大手電力系の送配電部門に押し付ける規制を法制化しました。 つまり、規制や補助金で、政府の権限は大きくなり、利権が生まれてきます。こうなると、国の経済が停滞して、賃金が上がるどころの話ではなくなります。 ◆「働き方改革」の実態は「働かせない改革」 他にも「働き方改革」の規制で、労務管理が大変になり社会保険労務士の仕事は増えたそうです。 しかし「働き方改革」の実態は、国民を「働かせない改革」で、残業などで長く働いてお金を稼ぐ手段を奪ってしまいました。 約340万人の雇用(全体の5.6%に相当)を抱える運送業では、「働き方改革」によって、ドライバー不足がより深刻になり悲鳴も上がっています。 重ねて、コロナ・パンデミックに入ってからは、感染症対策の名目で、過剰な規制が課されています。 ◆いらない仕事の減量を 今、やるべき緊急対策は、無駄な仕事を政府がやるのではなく、いらない仕事を減量していくことで、民間がより付加価値の高い仕事に集中できるようにするためです。 そうすれば、自ずと雇用も増え、賃金も上がっていくでしょう。 ただ現在は円安の状況なので、中国資本が日本を経済面から侵略しないよう、外資の規制はしっかりとやるべきです。利権を温存させる理由に外資規制が使われないように注意しなければいけません。 (後編につづく) 止まらない円安と物価高騰。真犯人はいったい誰なのか? 【後編】 2022.05.08 https://youtu.be/kmKtTK4-gjE (4月21日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆レーガン政権に学ぶインフレを止める方法 1円もかからず、また、増税もすることなく、インフレを止める方法があります。 それが、「減量」です。政府に、無駄な仕事は断固させないことです。そして、無駄な政府の仕事や規制を撤廃していくことです。 実例として、40年前、アメリカのインフレを止めたレーガン政権があります。 当時のアメリカもまさにガソリン代が高すぎ、上限価格が規制されていました。レーガン大統領は就任初日になんと、この規制を撤廃してしまいました。 すると何が起こったのか。政府に統制されることなく自由に儲けられるということで、企業がやる気を出して、石油の開発に励んだ結果、かえって値段が下がりました。 このようにレーガン政権は、やらなくてよい規制を減量することで、企業の生産性を高め、過度なインフレを克服していきました。 これは現在の世界的な悪いインフレの解決に、非常に参考になります。 ◆緑のインフレとは アメリカではバイデン政権のバラマキ以外にもインフレになった理由があります。 CO2排出に規制をかけた結果、コストが上がってしまう、環境規制のシンボルカラーである緑のインフレです。 トランプ政権下で減量したエネルギー関係の規制を復活させてしまい、これが世界的にガソリンや天然ガスが不足している理由のひとつと言われています。 40年前のレーガン政権の取り組みについては、ラッファー教授の『「大きな政府」は国を滅ぼす』に詳しく出ています。 以上、今のアメリカにとってもインフレ解決のカギを握るのが、エネルギー関連の規制です。 ◆エネルギー価格上昇の解決策 日本は、まず「原発を動かさない」という規制を減量して、原発再稼働にアクセルを踏むべきです。 さらに、再生可能エネルギーを高額で買わなければいけない固定価格買取制度FITの規制を完全廃止し、石炭火力発電を縮小する規制を減量すれば、電気代は間違いなく下がります。 ガソリン価格については、選挙前で「ガソリン税ゼロ」とか「バラマキ」を言う政党ばかりですが、「脱炭素」の動きをやめれば、確実に下がります。 石油不足になっている背景には、脱炭素でCO2が悪者になり、原油の開発をしても割が合わないため、世界的に開発が停滞しているからです。 エネルギーの価格上昇を解決するためには、地球温暖化のCO2犯人説は間違いだと訴え、パリ条約を凍結していくことが重要です。 早くロシアとウクライナを停戦させて、ロシアの石炭輸入禁止はいち早く撤回して、石炭確保に動く必要があります。 既存の政治家たちは、お金をさらにばらまいて、脱炭素の名目でエネルギー規制を強め、ロシアとの関係を悪化させています。このままでは、どんどんインフレが進むことは間違いありません。 バラマキでは本当の意味で国民の苦しみを救うことにはならず、長期的には経済をもっと悪化させてしまうのです。 こうした「自民フレーション」「自民・公明インフレ」を止めるためには、無駄なことをしない、メタボな日本を大胆に「減量」させないと死んでしまいます。 幸福実現党は、バラマキ政策に明確に反対を訴えている、日本で唯一の政党です。 やらなくていい政府の仕事や規制を減量し、経済の自由を拡大します。それによって稼げる仕事が増え、国民の「勤勉の精神」を引き出して経済成長を目指そうとしているのです。 参考図書 『減量の経済学』大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2709 『「大きな政府」は国を滅ぼす』著者 アーサー・B.ラッファー/ザ・リバティ編集部 訳 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2779 止まらない円安と物価高騰。真犯人はいったい誰なのか? 【前編】 2022.05.07 https://youtu.be/kmKtTK4-gjE (4月21日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆自公、野党のバラマキ思考 現在、ガソリン価格を中心として、記録的な「モノの値上がり」が続いています。モノの値段が上がっても、共に給料も増えていけばいいのですが、そうではありません。 給料が増えず、モノの値段だけが上がっていくため、国民の生活を苦しくします。これを「悪いインフレ」、いわゆる「コストプッシュ型」と言います。 「モノの値上がり」の対策として、4月26日に岸田総理が次のような「総合緊急対策」を発表しました。 事業規模は13兆円で、ガソリンの基準価格を「当面168円に引き下げる」としたうえで、石油元売り会社への補助金の上限を、現在の1リットルあたり25円から35円に引き上げる。 低所得の子育て世帯に対し、子ども1人あたり5万円の給付金をプッシュ型で支給することなどです。 「総合緊急対策」の発表前に公明党は、補正予算を選挙前に組むべきだと主張し、また野党に至っては20兆円規模の緊急経済対策を提言していました。 しかし、モノの値上がり、「インフレ」に対して、バラマキは逆効果になりかねません。 ◆アメリカのインフレの例 アメリカのインフレは、日本より悪く、3月には消費者物価指数が前の年の同じ月と比べて、8.5%上昇しました。これは1981年12月以来、約40年ぶりのことです。 この記録的な値上がりをバイデン政権は「ロシアのプーチンのせいだ」と言い張っています。しかし、インフレはロシアの特殊軍事作戦より前に始まっていました。 (参考)アメリカ合衆国労働省労働統計局 https://www.bls.gov/news.release/pdf/cpi.pdf 実際に、バイデン氏肝いりの1.9兆ドル(約200兆円)の経済対策が両院で可決させ、バラマキを開始すると、インフレ率は跳ね上がっています。 ◆日本でインフレが進む原因 なぜ、バラマキでインフレが進むのでしょうか。バラマキでお金が増えるとお金の価値は下がるので、モノの値段が高くなります。 巷で出回っている1万円札が増えると、その分1万円札の価値は無くなっていきます。このように、単純にお金を配るバラマキでは、インフレは解決できません。それどころか、更に悪化しかねません。 さらに日本の場合、バラマキのもっと大きな弊害は円安です。円安は確実にコストを押し上げます。 日本は石油を海外の輸入に頼っています。石油などエネルギー資源は、電気や物流などなどすべてにかかってくるので、円安になるとそれだけ物価が上がります。 ガソリン価格が1Lで1ドルなら、円が1ドル100円の場合100円で買えますが、1ドル200円になれば、同じ1Lでも200円かかるので、2倍になってしまいます。 ◆円安の原因 政府に1200兆円もの莫大な借金があっても維持できると考えているのは、金利がゼロだからです。 利子率ゼロは、お金を返す政府からすれば得ですが、お金を貸す側の投資家からすれば魅力がありません。だから、投資家は利子率が高い、米国の国債を買いたいと思うわけです。 足元の10年ものの長期国債金利を見てみると、日本はゼロ金利政策で0.2パーセント台で、アメリカは、4月19日段階で2.94%。日本とは10倍以上の開きがあります。 これだけ差があれば、円からドルにお金が流れ込んでいくので円安となります。円安になると、石油の輸入代も高く、ガソリン代が値上がりしインフレとなります。 しかし、アメリカと同じように、日本も金利を上げればよいというわけにはいきません。日本には1200兆円という借金があり、下手に金利を上げると利払いが追い付かなくなって、財政破綻になりかねないからです。 つまり、日銀の黒田総裁は円安を止めようにも「万策尽きた」という状況にあります。バラマキをすればするほど借金は膨らみ、利上げができずさらなる円安を招きます。 その後に待っているのは、さらなる物価高騰、あるいは大増税です。そうなれば結局、生活が苦しい人がもっと増え、さらに悪循環に陥るのです。 しかし、実は1円もかからず、また、増税もすることなく、インフレを止める方法があります。この解決策を後編で述べていきます。 (後編につづく) 非接種者が支払う「罰金」制度?怒りの声に「イベントワクワク」見送り【後編】 2022.04.25 https://youtu.be/u3PBOpFvfkY 幸福実現党党首 釈量子 ◆ワクチン接種と経済対策の矛盾 前編に引き続き、「ワクチン接種と経済対策を結び付ける」政策の問題点についてですが、まず、「コロナ感染対策」にはなりません。 ワクチン接種は、感染症対策として万能ではないことは、厚生労働省も、「ワクチン接種後でも新型コロナウイルスに感染する場合はあります」「免疫がついても発症予防効果は100%ではありません」と認めています。 厚生労働省 https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/effect/ ワクチン接種をしても、感染を広げてしまう可能性は十分あるわけです。 ですから、「ブロック割」「県民割」あるいは、ワクチン接種を条件とした「GoToトラベル」は「感染症対策」にはなりません。 さらに言えば、ワクチン接種の目的は「免疫」の獲得です。 それなら、コロナに感染したことで得られた「免疫」の獲得を評価せず、「ブロック割」の条件に認めないのは矛盾しています。 ◆実質、ワクチン非接種者への「罰金」 こうした不条理にもとづく「ブロック割」などは、「国民を分断」します。 ワクチンは体質上、接種できない人もいます。また、自分の判断で「打たない」という人もいます。 命や健康にかかわる問題は、それこそ個人の自由な判断が認められなければなりません。 政府は、「陰性証明も認めている」と政府は弁明するかもしれませんが、PCR検査には数万円の自己負担がかかり、著しい不公平が生じます。 こうしたことに国民の血税が使われるのは、不適切です。 税金はワクチン接種者もワクチン非接種者も支払うものですが、ブロック割やGoToトラベルを使えるのはワクチン接種者のみです。 つまり、大きな目で見れば、ワクチン接種者の「旅行代金」を、ワクチン非接種者が支払ってあげているという制度が、「ブロック割」「GoToトラベル」だということです。 これは、実質的にはワクチン非接種者への「罰金」以外の何者でもありません。 ◆副反応や後遺症の被害 これが、不公平感につながり、国民の分断を招いていきます。それでもなお、接種を推し進めれば、これからは本当に、「強制接種」という状況になっていきます。 今後3回目、4回目を「強制する」ということになれば、自由や民主主義を尊重しているはずの日本において、これは大問題です。 コロナ感染による死亡や後遺症も報告される一方で、ワクチンによる重篤な副反応や後遺症の被害も増加しています。 ある報道番組では、ワクチン接種13分後から10ヵ月以上後遺症に苦しみ続けた女性が登場し、吐き気や頭痛などで苦しみ、医療費やタクシー代は60万円に上ると語っていました。 こうした被害は相次いでいますが、因果関係が認められることはほとんどなく、認められるとしてもかなりの時間がかかります。つまり、救済措置は事実上ありません。 「県民割」や「ブロック割」でワクチン接種を推進しても、その後の健康被害に責任を取らず、補助金で経済的利益を釣るという政治の姿勢は、選挙対策のバラマキだとしてもあまりにも無責任で、恐ろしいと言わざるを得ません。 こんな無駄なお金を使うくらいなら、ワクチン被害に遭われた方への救済をもっと真剣に考えてはどうでしょう。 「救済制度はあります」と、政府はワクチン接種を勧め、実際は「因果関係は証明できない」と言って、なかなか動かない。これを世間一般は「だましている」というのです。 リスクの検証が不十分なまま接種を推進し、ワクチン後遺症を招いたことは間違いのない事実です。こうした問題の責任を政府は取るべきです。 ◆政府は中国の責任追及を 政府が責任を持ってほしいのは、コロナ発生源である中国への責任追及です。人民解放軍は、生物兵器の研究を行っており、人工のものである痕跡は専門家からいくつも指摘されました。 ステルス性の高い生物兵器を次々と撒かれるなら、ワクチンでは対抗できないし、コロナ・パンデミックを終わらせることはできません。中国の責任追及こそ、最大の感染症対策と言えます。 これを疎かにして、感染症対策と称して政府の権力を膨らませていけば、中国のような独裁国家・全体主義国家に近づいていくわけで、中国の思うつぼです。 やらなくてよい仕事は減らし、国民の自由を広げる政治を実現するべきです。 その意味でも、GoTo + ワクチン接種というのは天下の愚策だし、無駄な政策そのもので、減量していくべきです。 非接種者が支払う「罰金」制度?怒りの声に「イベントワクワク」見送り【前編】 2022.04.24 https://youtu.be/u3PBOpFvfkY 幸福実現党党首 釈量子 ◆ネットで炎上「イベントワクワク割」 4月に入って、政府は、「コロナ感染症対策」と「経済の両立」を目指して「イベントワクワク割」を打ち出しました。 「イベントワクワク割」は、ワクチン接種や陰性証明を条件に、スポーツなどのイベントのチケット代を割り引く制度です。 ねらいは、なかなか進まない若者の3回目のワクチン接種の推進です。 しかし、4月13日、岸田総理は、「イベントワクワク割」を「現時点で直ちに始めることは考えていない」と、一時的な見送りに追い込まれました。 理由は、世論の声です。 若い世代でも接種が進むとともに、「ワクチン後遺症」で苦しむ人が続出していており、「ワクワク」という名称等に批判の声が高まり、Twitterでも炎上しました。 ◆計画は半年前、すでに実施も 「イベントワクワク割」が、報道されたのは4月6日からですが、計画自体は半年近く前からありました。 「特許情報プラットフォーム」によると、昨年11月18日に、経済産業大臣名で、4種類が出願され「わくわり」「ワク割」「イベントワクワク」「イベントワクワク割」が商標登録申請されていたのです。 この「イベントワクワク割」は、「GoToキャンペーン」の一つで「GoToイベント」にワクチン接種の条件を加えたものです。 実際には、「GoToキャンペーン」の一つである「GoToトラベル」予算で、すでに各県で「県民割」あるいは「ブロック割」として、事実上始まっています。 ◆「県民割」「ブロック割」とは 「県民割」は、GoToトラベルが2020年末に感染拡大を受けて停止してから、「県内の移動であれば大丈夫だろう」と、翌21年4月から始まった補助金政策です。 これが今年に入ったあたりで、ワクチンの2回接種や陰性証明が利用の条件になりました。 今年3月25日には、「GoToトラベル」の再開に先立って、県単位から、近畿や関東などのブロック単位に拡大することを国交省管轄の観光庁が発表し、利用条件も3回接種と陰性証明に、アップデートされました。 「県民割」「ブロック割」は、既に4月1日から4月29日の期間終了まで割引が適用されるのですが、全国の知事たちの熱い要望もあり、政府は5月末までこの制度を延長する方針です。 ですから、ワクチン接種等を条件として、特定の業界にお金を補助する制度は既に始まっているわけです。これも「バラマキ」です。 ◆バラマキ政策の中身 「県民割」「ブロック割」は、行代金の50%を最大で5000円まで国がお金を出してくれます。場合によっては、県がさらに上乗せする場合もあります。 例えば、三重県の「みえ得トラベルクーポン」は、県内旅行の宿泊料金などが最大で実質7000円割引されます。さらにお土産や飲食店で使えるクーポン券2000円。ほとんど無料で旅行にいけます。 こうした、「お得な」サービスを支えるのは、私たちの血税です。 21年4月に「県民割」が始まるとき、「GoToトラベル」予算から3000億円が充てられました。これがどんどん延長されていくので、いずれ予算は尽きます。 足りなくなれば、今年度の「GoToトラベル」予算、約1.3兆円から充当されます。国土交通省の通常の予算は毎年およそ6兆円前後で、1.3兆円は非常に大きなお金です。 しかも、こんな血税を投入しながら、成果を挙げていると言えるでしょうか。 ◆血税投入の経済効果 GoToトラベルには、2.8兆円、あるいは3.7兆円の経済効果があったと言われますが、ホテルや旅館に泊まった人の数がコロナ禍でどう変わっていったのでしょうか。 2020年の1月にコロナ・パンデミックが発生して以降、急激に宿泊者数が減りました。そして、緊急事態宣言が解除してから回復しています。 このときに、7月下旬から始まったGoToトラベルが大きく貢献したとよく言われます。 しかし、緊急事態宣言が完全に解除された6月から既に宿泊者数は急激に回復に向かったのであって、GoToトラベルで、突如勢いが上向いたわけではありません。 GoToトラベルをやらなくても、観光産業は回復していたはずです。 ◆中小ホテルの経営を圧迫 反対に「GoToトラベル」は、割引を使って普段は泊まれない高級ホテルに予約が偏り、「中小の経営を圧迫する」という不条理を生みました。 せっかく回復しても、政府の「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」が適用されると、また元の木阿弥です。 はっきり言えば、GoToトラベルのような政策は、経済政策としては不適切であり、何もしないほうがいいのではないでしょうか。 (後編につづく) 倫理観に国家が介入「パワハラ防止法」ハラスメントで裁判沙汰も【前編】 2022.04.16 https://youtu.be/SVRu3pKazlU 幸福実現党党首 釈量子 ◆4月全面スタート「パワハラ防止法」とは 4月から、いわゆる「パワハラ防止法」(正式名称:改正労働施策総合推進法)が全面スタートとなりました。 この法律が始まったのが2020年6月からで、このときは大企業のみが義務の対象でしたが、この春からは中小企業へも対策が義務付けられるようになりました。 今回の法律で定められたパワハラの定義とは、以下の3点です。 (1)優越的な関係を背景とした言動 (2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの (3)労働者の就業環境が害される そして上記(1)から(3)までの要素を全て満たすもの 例えば、みんなの前で「辞めてしまえ!」と怒鳴りつければ、これはパワハラと認定される可能性があります。 怒鳴るという行為は「仕事上必要ない」と考えられ、定義(2)の「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」と判断されてしまうわけです。 また、会社の宴会で若手に余興をやらせて、場は大盛り上がりと思っていたら、実は「あんなことはやりなくなかった」と、後でパワハラと断罪されることもありえます。 これは、上司から「やれ」と言われたら断れないということで、特に定義(1)の「優越的な関係を背景とした言動」にひっかかってくるわけです。 実際に、会社の研修会などで、パワハラと認められた裁判事例は出ており、例えば、2015年に大分地裁は、うさぎの耳型のコスチュームを着させたということで、60代女性に対し、20万円の支払いを命じています。 ◆何でもかんでもハラスメントになる時代 ちなみに、「自分は関係ないか」と思う若手の方もいるかもしれませんが、若手の平社員もハラスメントをする可能性があります。 例えば「テクノロジー・ハラスメント」いわゆる「テクハラ」です。 IT機器に弱い目上の先輩たちに「こんな簡単なこともできなくて、よくこれまで仕事ができましたね」などと言ってしまったら、テクハラ認定になりえます。 この他にも、年齢を理由とした嫌がらせをする「エイジ・ハラスメント」(エイハラ)。 恋人がいる人が自分の恋愛や結婚の価値観を人に押し付ける「ラブ・ハラスメント」(ラブハラ)など何でもかんでも「ハラスメント」になる時代です。 ◆厚生労働省が示したパワハラの6つの類型 今回のパワハラ防止法に併せて厚生労働省は、以下の通り、パワハラの6つの類型を示しました。 (1)身体的な攻撃 (2)精神的な攻撃 (3)人間関係からの切り離し (4)過大な要求 (5)過小な要求 (6)個の侵害 こちらは厚生労働省が過去のパワハラ裁判を元に、分類をまとめたものになりますが、非常に広い範囲を対象としているようです。 例えば、専門家は、部下の指導するため机を叩いたり、椅子を蹴ったりすると威嚇をしたということで、(2)の「精神的な攻撃」として、パワハラと認定される可能性があると指摘しています。 また、(6)の「個の侵害」は、要はプライバシーの侵害になるため、部下の女性に対し「子どもはまだ?」と聞くこともNGです。 ちなみに、「30才を過ぎているのに結婚していない人は信用できない」という価値観を披露してもパワハラとなり得ます。 これらのパワハラの多くは、以前から、裁判でパワハラと認定されたことがあるケースです。 ◆パワハラ防止法の問題点 今回の法律の肝は、6つの類型が明記されたこと、企業に対して、パワハラ防止の取り組みを義務付けたことです。 罰則はないのですが、違反した場合、勧告が行われ、それを無視すると会社名が公表されてしまいます。 そして、この法律の問題点は、具体的な取り組み違反の内容は、「指針」という形で、すべて政府に丸投げしているところです。 その結果、厚生労働省は就業規則の改定や相談窓口の設置など、具体的には条文には書いていない10種類の取り組みを企業に対して義務付けました。 これは中小企業には重い負担です。 ほかにも男女雇用機会均等法では「セクハラ」が、育児・介護休業法では「マタハラ・ケアハラ」が同じように指針という形で細かく規制されています。 こういう形の規制は気を付けないと「言葉狩り」のように広がる可能性があります。 何がハラスメントになるかを政府が決めるようになっていくと、中国のような個人個人に「社会信用スコア」をつけて、善悪の基準を管理しようとしている全体主義国に近づいていくと言えます。 (後編につづく) 脱炭素の嘘を斬る――最新研究からわかる海洋汚染の実態 2022.04.13 https://youtu.be/cjtRhJHYXuY 幸福実現党党首 釈量子 ◆プラスチックによる海洋汚染 前回は、4月から施行された「プラスチック新法」の問題点を指摘してきました。 ■違反者は50万円以下の罰金?――天下の悪法「プラスチック新法」 http://hrp-newsfile.jp/2022/4248/ 「プラスチック新法」ができた背景には、気候変動の問題に加え、プラスチックごみによる海洋汚染があります。 プラスチックによる海洋汚染は2000年代に入ってから劇的に増加し、最近では、5ミリ以下のマイクロプラスチックが魚などに蓄積されていることが問題視されています。 自然に分解されず長期にわたって残留する性質が高いプラスチックごみを廃絶するため、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」が2004年に締結し、現在152か国が加盟しています。 ◆日本のサイクルの現状 日本が廃棄している国民1人当たりのプラスチックごみの量は世界第2位、年間32kgに相当します。(※国連環境計画UNEPの報告書2018年より) しかし、日本は「分別収集」においては世界トップクラスで、国連の報告書(2018年)でも「見習うべきだ」とされています。 日本のプラスチックリサイクル率はどうなっているかというと、84%(プラスチック循環利用協会 2016年)ですが、この数字をどう見るかです。 リサイクルの方法は大きく3種類あます。その84%の内訳は、ケミカルリサイクル(4%)、マテリアルリサイクル(23%)、サーマルリサイクル(約57%)です。 「ケミカルリサイクル」は、プラスチックを科学的に分解し油化して、再び製品に戻すリサイクル技術です。 ペットボトルをペットボトルにするなど、「水平リサイクル」とも呼ばれます。 「マテリアルリサイクル」は、プラスチックのまま熱で溶かして形を変える再利用ですが、品質は落ちます。 「サーマルリサイクル」は、燃やした時に発生する熱を回収してエネルギーとして利用することです。 つまり、ゴミを処理場で燃やすときに、一緒に発電し、熱をボイラーや温水プールに使っています。 ゴミ発電は、バイオマス発電に分類されるので、再生可能エネルギーの一種です。 2019年度の実績では、バイオマス発電の38%分、再生可能エネルギーの5%分で、それだけ、石炭や天然ガスの使用量が減ります。 ◆「燃やす」選択肢の妥当性 「脱炭素」に突っ走る欧州では、「サーマルリサイクル」を認めていないため、日本のリサイクル率は低い評価となります。 しかし、ケミカルリサイクルやマテリアルサイクルがサーマルリサイクルと比べ環境に優しいのかと言えば決してそうではありません。 理由は、これらのリサイクルは、リサイクルする間に大量の電気を使うからです。 特にマテリアルリサイクルは、エネルギーの削減効果はサーマルリサイクルの3分の1程度です。 ですから、資源が乏しい日本としては、EUの環境全体主義に負けることなく、主張すべきことは主張して、自国の利益を守るべきです。 サーマルリサイクルは日本の得意分野で、「焼却とエネルギー回収」は加盟国平均20%を超え71%でダントツの1位です。 日本は「燃やす」という選択肢を、断固、維持すべきです。 そもそも、海のプラゴミの大きな割合は漁のアミやブイによるものなので、陸の上でいくら分別しても効果は限定的です。 ◆新たな解決策 また定説として、プラスチックは高分子構造で水が浸み込みにくく、微生物が食物にできないので、分解するのが難しいとされてきました。 しかし、2021年10月、スウェーデン・チャルマース工科大学の研究チームは、世界各地で「プラスチックを分解する細菌」が出現していることを発表し、注目されています。 地中海や南太平洋など汚染が深刻な場所に、多くのプラスチック分解酵素が存在することがわかったということです。 他にも、プラスチックの海中での分解は、地上の百倍、千倍かかると言われてきましたが、世界で初めて日本の企業「カネカ」が海中でも分解できる素材を開発しました。 ◆日本の産業を守るために 経済全般に無理な目標を押しつけることで、産業そのものを破壊していくことは断固反対です。 脱炭素も、異論・反論を許さないという風潮がありますが、同様の現象が、ここにもあるように思います。 幸福実現党としては、こうした要らない法律は、今すぐ無くして、やらなくてよい仕事を「減量」していくべきだと考えます。 日本経済を「脱炭素地獄」に続き「脱プラ地獄」に突き落とさないためにも、冷静になって、プラスチックを目の敵にするような空気をつくってはなりません。 すべてを表示する « Previous 1 … 4 5 6 7 8 … 78 Next »