Home/ 経済 経済 真なる財政再建への道 ~財政規律至上主義の愚~ 2014.04.01 文/幸福実現党岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆麻生財務大臣の本音 4月1日よりいよいよ消費税が8%に増税されました。 麻生財務大臣は、消費税の8%への引き上げについて1日の閣議後会見で、駆け込み需要の反動減など、景気の動向に関しては「この数カ月間が正念場」とした上で、「(消費税率が)10%になれるような経済情勢・景気というものを今年度4月~6月期以降に作り上げておく必要がある」と消費税率10%に向けた環境整備の必要性を訴えました。(ANNニュース4/1) 麻生財務大臣は図らずも本音を吐露しました。それは、来年10月から予定されている消費税10%への増税が出来るための条件整備として、景気対策を打つというのです。 今回の消費増税の決断の根拠となった昨年4~6月期の実質成長率の数値も、財務官僚が公共投資の集中的な発注で人為的に作ったものと言われています。(ザ・リバティー5月号 田村秀男氏インタビュー「消費増税は愚策 アベノミクスは日本再生ビジョンを示せ」) このように政府の「増税ありき」のむき出しの情念は、どこから生まれているのでしょうか。 ◆財政規律至上主義の愚 その一つとして、財政規律至上主義とでもいうべき「国の財政が一番大事。国の財政さえ健全なら日本は大丈夫」という考え方があるのではないでしょうか。 国家財政が破綻したら元も子もない、国民生活も破綻するということです。 土居丈朗慶大経済学部教授等を起草者として、財政制度等審議会より昨年11月末、麻生財務大臣に対し「平成26年度予算の編成等に関する建議」が提出されました。 この建議書が、現在の財政運営を規定しています。この建議では、財政健全化を着実に進めるに当たっては、いたずらに自然増収に期待するべきではない。 我が国の財政の現状では、歳出削減と増税による歳入改革の両方を実行しなければならず、経済成長のみで財政健全化を実現させることは不可能と認識しなければならないと結論付けています。 幸福実現党が訴えている「経済成長による税収増」で財政健全化を図るという考えを「不可能」と否定しています。 この考えの違いは、究極的には、国の財政を第一とみるか、民間企業の経営を第一とみるかの違いといえます。これはすなわち大きな政府をとるか、小さな政府をとるかの違いでもあります。 国を優先した場合、増税で民間が苦しんでも財政規律を守らなければならないという考えになります。民間を優先した場合、減税で民間を富ませ、民間の富の創造・蓄積により国の財政も豊かになるという考えになります。 ◆全企業黒字化による財政再建 幸福実現党は、国家の繁栄のためにこそ、民間の富の創造、蓄積が大切と考えます。それが小さな政府を目指すということの意味でもあります。 幸福実現党大川隆法総裁は、幸福の科学グループ創始者兼総裁でもありますが、来年開学を予定している幸福の科学大学に経営成功学部を創設する予定です。 現在の経営学の成果は、7割以上の赤字企業の存在です。これが意味するところは、現在の経営学は「節税学」あるいは「脱税学」である可能性が極めて高いということであります。 よって幸福の科学大学経営成功学部では、10割の企業が黒字体質になる方法を学問化することを目的とします。 これは、わが国の法人税収の飛躍的増大への道でもあります。増税ではなく、企業の黒字化、発展による税収増への道です。 今、必要なのは、明るい未来展望であります。未来展望があれば、人々の投資意欲は高まります。それがデフレ脱却への真の道筋です。 財政規律至上主義者は、わかり易くいえば「経理屋さん」の目線であり、未来志向の企画提案を予算がないとして潰す役回りであります。 幸福実現党は、新しい学問成果を果敢に政策に取り入れ、未来を切り開いていく所存であります。国家の発展は、民間の発展なくしてあり得ないのであります。 デフレから未だ完全に脱却していない現在、消費増税を始めとする社会保険料アップ、光熱費アップ、等々国民負担が急速に増大しています。これは民間の発展を阻害するマイナス要因でしかありません。 民間の収支の改善をこそ政府は優先すべきです。さすれば、国の財政も必ず再建されるのです。 ※参考文献 「経営成功学とは何か」 大川隆法著 「日本を救うもう一つの中国包囲網」~アメリカと中国の新しい関係に備えて~ 2014.03.29 文/幸福実現党山形県本部副代表 城取良太 ◆アメリカと中国における「通貨同盟」 アメリカ・ワシントン情勢に詳しい日高義樹氏の新著『アメリカの大変化を知らない日本人(PHP研究所)』第1章において「アメリカと中国の間に通貨同盟が成立した」と日本人にとって驚くべき事実が明らかになっております。 要するに、人民元が安いレートでドルとペッグされ、人民元がドルによって国際通貨としての価値を保証されたことで、天然資源等を海外から大量に輸入している中国にとって望ましい状況が到来したと言えます。 この背景には、巨額の財政赤字に苦しむアメリカの姿があり、ドルを基軸通貨として維持するために中国に対してとったぎりぎりの妥協策であったようです。 一方、ドルも人民元の持つ将来性によって保障されたことや、新しい予算削減法などによって急速に財政赤字が減ったことで、ドルは完全に復権し、景気の回復や株価及び債権の値上がりを呼び込み、アメリカにおいて新しい経済環境が出来つつあると日高氏は見ております。 ◆アメリカの極東外交における「複眼思考」 実質的な米中の通貨同盟の成立によって、「日米安保体制」VS「中国の覇権主義」という一面的な見方は出来なくなり、日本にとって大きな変化を迎えつつあることが予想されます。 また、こうした通貨同盟を背景に、中国は人民元安という状況を維持し、安い製品をアメリカや日本、東南アジアへと売り込める体制を手にしたことで、本来は「経済的中国包囲網」であったはずのTPP(環太平洋パートナーシップ)が有名無実化する恐れも出てきたともいえます。 もちろん、軍事的にはアメリカと中国は対峙関係にあり、現時点で日米安保体制を破棄するなどということは今までの日米関係から考え難いことではあります。 しかし、アメリカはこの極東情勢において「日本との軍事同盟」、そして「中国との通貨同盟」という複眼思考で臨みつつあることは確かです。 そして、現在のアメリカの経済状況からすれば、通貨同盟に力を入れざるを得ず、これからの情勢次第では日本の安全保障体制の舵取りは極めて難しくなってくると考えられます。 ◆中国の海洋進出によって脅かされる日本のエネルギー安全保障 現に、2015年から本格的に動き出す沖縄海兵隊のグアム移転、また在韓米軍も2015年12月には削減される見込みで、「アジア重視」を堅持する国防戦略を採りながらも、アメリカは極東から軍事力を引き始めることになります。 その際、安全保障上日本にとって最も大きな懸念としてまず生じるのは、中国海軍によるシーレーン封鎖によるエネルギー確保の問題であります。 日本は長年、原油の大半をシーレーンリスクを負う中東に依存してきた経緯があり、最近では輸入先の多様化により比率は下がっているものの、原発稼働ゼロの影響で中東への絶対的な依存度は高まっているといえます。 戦前の歴史を振り返っても、日本が石油の重要性を見抜けなかった一方、アメリカによる石油の対日禁輸、そして第2次大戦が始まってからは「タンカーを沈めることを潜水艦の最優先目標とせよ」という命令があったくらい、アメリカによって徹底的に石油の輸入を封じられ、エネルギー資源の軽視によって敗北したといっても過言ではありません。 今こそエネルギーの自活は国家存続の肝であるという前提に立ち、日本にとって唯一の自活できるエネルギー資源と言ってもよい原子力発電の再稼働を急ぎ、海外へのエネルギー依存度を減らすことです。 また、クリミア併合によってアメリカやEUから経済制裁を受けているロシアに対しても、欧米諸国との歩調を合わせつつも、近年関係を深めてきたロシアと資源分野での連携を更に強め、シーレーンリスクを負わないエネルギー確保を目指すべきです。 ◆日本が考えるべき「第二の中国包囲網」 またロシア同様、日本が更なる関係の深化を図るべき国の一つとしてインドが挙げられます。 昨年、日本の天皇皇后両陛下が53年ぶりとなるインドへの歴史的訪問を果たしたことは記憶に新しいですが、この10年のシン政権において、インドと日本は緊密な戦略的連携を築いてきました。 この背景にはアジアにおける両国の最大のライバルである中国が、経済的にも軍事的にも力を増してきた事実があり、特に海洋安全保障における協力体制の更なる深化が検討されています。 冒頭で紹介した「米中通貨同盟」の成立など、これからの国際社会はより複雑化する様相を呈しております。 日本外交も「複眼思考」を持ち、TPPによるアメリカ主導の「中国包囲網」とは一線を画した、日印露による「第2の中国包囲網」を機能させ、日本のエネルギー安保、海洋安保をより強化するべきです。 日本のマスコミを揺るがす消費増税について 2014.03.28 文/政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆4月1日の消費増税が近づき、日本のマスコミでも特集開始 あと3日で消費増税が始まります。日本のマスコミもここに来て突如、特集を組んで増税後の具体的な値上がりについて報道するようになりました。 本来であれば、昨年の9月から10月にかけて、安倍総理が決断する時期に報道しなければならないはずです。しかし当時は、アベノミクスの影響として好況であり、増税やむなし、という論調でありました。 一方、海外のメディアでは昨年からすでに核心をついた報道が行われています。2013年9月13日のイギリスの経済紙「Financial Times」では、次の見出しで報道されました。 「安倍首相の戦略は1997年の消費増税の悪い記憶を思い出させる」 「消費増税により消費が減退し、最近の景気回復は止まってしまうのか」 (いずれも原文は英語) さらに2013年9月16日「International Herald Tribune」では、 「経済の専門家、増税計画が日本の経済成長を止めるのではと懸念」 「消費増税が個人消費の盛り上がりを潰してしまうのではないかと彼ら(専門家)は述べている」(いずれも原文は英語) との見出しで「安倍総理の増税の決断が最悪のタイミングであり、日本の景気回復の根幹を崩しかねない」と報じています。 海外では当たり前のように行われてきたこのような議論が、日本国内ではほとんどなされなかった事が残念です。 ◆家計支出の削減はどこから? 昨年10月、安倍総理が「消費増税」の決断をしてからもマスコミは相変わらず「アベノミクス」による経済成長に焦点を当ててきました。 残念ながら、景気は今年に入ってから、その勢いに陰りが出ており、日経平均株価も年初から比較すると下落の傾向性が止まらない状況です。 来週からは増税が始まるのですが、すでに消費景気の冷え込みが見え始めています。外食、自動販売機、切手等々、日常のあらゆる暮らしの中に増税が影響してきます。 今回の増税には「軽減項目」はないので、当然その中に「新聞紙」も入ります。 確認したところでは、大手新聞も、消費増税をきっかけとして値上げに踏み切ります。朝日新聞は、宅配の新聞に限り3,925円から4,037円へと110円の値上げとなるほか、中日新聞は、駅売りの販売価格を110円から130円へと20年ぶりの値上げとなります。 危機感を持っている消費者はすでに家計の防衛に入り、可能な支出の削減に入っているようですが、4月以降さらなる削減として、上記に掲げた新聞購読料も入る可能性があり、新聞社にとって経営危機が訪れようとしています。 新聞社自身が分かっているとおり、長期デフレ下の中での値上げということは販売上、極めて厳しいのです。 マスコミは本来、安倍総理が決断する前までに、経済に及ぼす影響をしっかりと伝えなければならなかったのです。それがこの時期、自らの身に及ぶことになりました。 ◆もう一つの動き「マイナンバー法」に要注意 また、消費増税に関連して、「マイナンバー法」の動向についても注目しなければなりません。 去る3月18日の日経新聞1面によると、政府は預金口座にマイナンバーの登録を義務付ける方向で銀行界との調整に入っています。 「脱税、マネーロンダリングを防止する」という大義名分はもっともに聞こえますが、財務省はこの他に、「国家が個人財産を管理する」ことも一つの目的として意図しているとも言え、注意が必要です。 これは、消費増税の隠された目的でもある「国家社会主義」への道にも大きく関係しています。このような動きが着々と進められていることについて、広範囲に報道されていませんが、注意深くしなければなりません。 ◆社会保障に使われる保障はない また、政府・自民党や民主党等は「増える社会保障費のために増税しなければならない」と主張していますが、現在の議論を見る限り、本当に消費増税分が社会保障費に充てられるかははっきりと決まっていません。 そうであれば、「福祉目的税」となるべきなのですが、増税分の支出について、はっきりと社会保障費として規定されているわけではないこともお伝えいたします。 ◆日銀は「2%成長」を忘れたのか 昨年は、日銀の「異次元緩和」なる金融緩和の結果、株価の上昇と消費景気の拡大、さらには2020年東京オリンピックの開催決定などの要素が重なり好況を感じさせる一年でありました。 その立役者であった黒田日銀総裁は、就任直後の意気込みは大変強く、実質GDP「2%成長」を掲げ、日本経済も活気を持つようになりました。 しかし昨年9月、消費増税の議論に関して、財務省寄りの発言を行ってからはやや存在感が薄くなり、そして、本当に2%成長を目指そうとしているのか、疑問に感じられるようになりました。 それに関連して、先日の日銀金融政策決定会合後の記者会見で「現在の失業率3.7%は完全雇用に極めて近い」と発言し、日本経済が安定しているとの認識を示しました。しかし、特に地方においては、雇用は地域の最重要課題の一つとして取り上げられています。 数字以上の厳しい実態がある中で、日銀の考えが本当に実態に即しているものなのか、大きな疑問が残ります。 かつて民主党政権時代、まじめに「増税によって景気がよくなる」と言った首相がいました。 現在の日銀総裁について、まさか「増税によってGDP2%が達成できる」と考えてはいないとは思いますが、いずれにしても今後の日本経済について危機感が薄いことは事実です。 ◆鹿児島補選でも消費増税の是非が争点に この消費増税の是非については、来る4月15日告示の衆院鹿児島2区補選でも大きな争点となることは間違いありません。 消費増税施行後の初の国政選挙として、国民がどのような判断をするのか、この結果が注目されるところです。 幸福実現党は、今後も一貫して消費増税反対を掲げて、がんばってまいります! 中国から祖国を守る台湾学生の勇気! 2014.03.26 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆台湾の学生が、中台協定に反発 中台間で昨年締結された「サービス貿易協定」の撤回を要求する台湾の学生らが、23日に立法院(国会)を占拠し、数百メートル離れた行政院(内閣)にも突入、警察に強制排除される事態に発展しました。(読売3/25) 朝日新聞では、「台湾の警察が24日未明に、行政院に突入した学生や市民らを約5時間かけて強制排除、警官隊がこん棒や盾で市民らを殴る場面もあり、現場は混乱。市民や警官に100人余りのけが人が出た」と報じました。 さらに「行政院への突入は立法院の周辺にいた学生が独自に呼びかけたもので、立法院の議場内の学生は占拠を続けている。台湾大学などの学生会は警察の強制排除を『暴力による鎮圧』と批判し、授業をボイコットするよう呼びかけた」と報じています。 朝日新聞を読む限りでは、学生が暴徒のように報じられ、なぜこのような行動に出たのかの詳しい情報が抜け落ちています。 ◆学生の反発の理由 学生の「貿易協定」反対の不満が爆発し、立法院議場を占拠した理由は、3月17日、立法院で「貿易協定」の議論が白熱し、「3カ月審議して立法院として反対の結論を出せなかった場合には審議終了として、行政院(政府)が当初提案の通りに手続きを進めることができる」という規定のもとに「審議終了」を宣言したからです。 (サーチナ3・24 http://news.searchina.net/id/1527741) 読売新聞では、学生の反発の理由を以下のように報じています。 「学生らが法を犯して実力行使に訴える背景には、域内総生産(GDP)の7割を占める台湾のサービス産業が規制緩和されることで、台湾が経済的に中国にのみ込まれるとの不安感が高まったからだ」(読売3/25) そして学生は、「警察が動かなければ、我々も動かないぞ」「民主主義を守り、サービス貿易を撤回しろ」と訴えていると報じています。 ついに学生の占拠から一週間たった3月25日、馬英九総統が学生の代表を総統府に招き対話をする考えを示しました。今後の動向に注視したいと思います。 一方で中国政府は、台湾側に立法院の占拠問題が「適切な解決」を得られない場合は、中国の対台湾政策トップの訪台を無期限に延長すると伝えています。(読売3/26) では、中国はどんな意図を持って台湾に接近しているのでしょうか。 ◆中国による台湾自治区化 中国軍事専門家・平松茂雄氏は、「中国は、2020年めどの『台湾統一』へ向けて着実に動いている。2021年は中国共産党結党100周年だから、その記念の祝杯を、台北で挙げようというのが当面の目的である」と指摘しています。(産経2011/6/24) 中国も武力による台湾併合は、国際社会からの非難を受けるとわかっています。最終的に武力による併合も否定はできませんが、しかし経済面からの台湾併合は、国際社会も容易に非難できません。それが中国の台湾併合の戦略です。 2008年に馬英九政権は、対中融和路線を掲げ、経済を中心に急速に中国との交流を拡大し、今年2月11日には、1949年の分断後、初めて中国と台湾当局による閣僚級の経済協力等を協議する会談が南京で開催されました。こうして着実に中国による台湾自治区化への道が進行していたのです。 ◆台湾は日本の生命線 今回の「貿易協定」反対派の主張には、台湾側の印刷出版業を大陸資本に開放する内容が盛り込まれているので、「言論の自由が損なわれる」との意見もあります。(サーチナ3/19 http://news.searchina.net/id/1527356) 近年、台湾は親中派が増え、このまま中国に飲み込まれてしまうのだろうかと危惧していましたが、今回の勇気ある学生の行動に、台湾を力で飲み込もうとする共産国家中国の野心から自国の独立を守ろうとする若い力が台湾にあることを知りました。 日本にとって台湾は運命共同体です。なぜなら台湾が中国の手中に落ちれば、日本のシーレーンは中国に簡単に脅かされるようになり、日本の経済は干上がってしまうからです。 日本のマスコミも、ほとんど関心を示していませんが、台湾は日本の生命線です。是非、今回の報道を機に、日本の国民は台湾に関心を持ち、民主主義を愛する台湾の学生と連帯すべきではないでしょうか。 着陸料などの公租公課の引き下げで、航空利用促進へ 2014.03.24 文/HS政経塾3期生 瀬戸優一 ◆着陸料の引き下げへ 国土交通省は、2014年度から国内線において航空会社が支払う着陸料の算出において、新たな制度を導入します。これまでの着陸料は、着陸する航空機のトン数、騒音値と着陸回数を基本に計算され、その金額を航空会社に請求する仕組みでした。 例えば現行の基準の場合、ジャンボ機と呼ばれるB747-400(569人乗りの場合)では、約270t、騒音値96で着陸料は444,700円となります。(国土交通省『空港・航空管制の運営について』) こうした現行の着陸料では、旅客の少ないシーズンにおいて航空会社に対する負担が大きくなってしまうため、航空機の重量に応じて計算するこれまでの方式に加え、旅客数が減るほど着陸料が下がるような仕組みを取り入れることになったわけです。 シーズン要因に加え、景気悪化などによって旅客が減少した場合でも、それに応じて着陸料を減らすことができ、航空会社の負担を抑えられるようになります。 さらに本年1月には、国が管理する28の空港のうち、航空会社が支払う羽田空港を除いた地方都市に存在する各地方空港の着陸料を、新規就航や増便に限って3年間30~80%割り引く方針も決まりました。 航空会社の負担を軽減し地方路線の拡大につなげる狙いがあり、今秋のダイヤ改正に合わせて実施されることとなっています。 ただし、これは地元自治体と航空会社が効果的な集客策を提示することが条件となっているため、全ての空港が引き下げを認められるわけではありません。 とはいえ、従来の着陸料を考えれば大きな決定であり、路線増につながるものであると言えるのではないでしょうか。 ◆日本の着陸料 日本の空港における着陸料は、世界と比べても高水準にあると言われています。空港使用料の中に含まれる着陸料は、国際水準の2~3倍であるとされているためです。 もちろん、空港に着陸しその空港を使用する場合、着陸料だけではなく様々な費用がかかります。ボーディングブリッジ(飛行機と空港をつなぐ橋)の使用料など空港設備の利用料も含めたトータルの料金で比較した場合、日本よりも割高になる国が存在することも事実です。 しかし、高い着陸料は航空会社にとっての負担になるだけではなく、利用者の支払う金額にも関わることであり、競争力の面で見てもマイナス面が多く存在します。 そもそも着陸料や航空機燃料税なども含めた公租公課と呼ばれる租税は、利用者負担の原則によって行われています。この原則は、航空機の利用がまだ一部の富裕層に限られていた時代の名残といわれ、航空利用者のための設備費用は、利用者自身が拠出すべきであるとする考えに基づいているのです。 また空港は着陸料とテナント料を主な財源としており、特に滑走路などの国が管理している部分の維持には着陸料が使用されているため、引き下げが難しい面があるとも言われてきました。 ◆減税で日本の活性化へ 航空業界は、ハイシーズンとローシーズンの差が大きく、世界の様々な事件にも影響を受けるため、機体重量を基にした一律の税金というものは負担が大きいと言えます。 さらにはまもなく4月から消費税の増税が行われることもあり、さらに影響を受けることも考えられます。それを考えると今回の着陸料引き下げは当然行うべき措置であるとも言えるのです。 今後日本が航空利用者を増やし、また各国の航空会社の誘致を考えるにあたり、航空に関わる公租公課の引き下げを行っていく必要があると言えます。消費税率についても、利用者が減ってしまえば税収も下がることから、空港運営に影響が出かねません。 今後世界的にも需要増が見込まれる航空分野において、日本が国際競争力を失わず、さらに活性化していくためにも、公租公課及び消費税、法人税等の各種税金の引き下げを行っていくべきであると言えます。 東日本大地震から3年――被災地の復興事業と課題 連載第2回 2014.03.23 文/幸福実現党 総務会長兼出版局長 矢内筆勝 《ゴーストタウンのまま放置されている福島の被災地》 先週に引き続き、東日本大震災から3年目の被災地の現状をご報告いたします。今回は、津波の被害に加えて、福島第一原発の事故が発生した福島県です。 津波で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の三県の中で、福島県の復興の現状は、他の2県とはかなり違っています。 岩手、宮城県が文字通りの「震災(地震、津波)からの復興」であるのに対して、福島県はそうした震災に加えて、「原発事故からの復興」が大きな課題としてのしかかっているからです。 しかも、「目に見えない放射線への恐怖」と「政府や東京電力への不信」、そして「マスコミによる風評被害」など、原発事故による後遺症が深く、重く、県民と国民に浸透し、復興の流れを押し止めています。 3月10日、私たちは内陸部の福島市から伊達市、そして沿岸部の相馬市、そして放射線の被害が高かったとされる南相馬市、浪江町を車で視察しました。 ◆現在の避難指示区域 それぞれの地域の復興状況は、政府が定めた「避難指示区域」の線引きによって、全く違います。避難指示区域は、放射線レベルが高い地域から、三つに分けられています。 避難指示区域(平成26年4月1日時点) http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/kinkyu.html#shiji (1)「帰還困難区域」:5年間を経過してもなお、年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれのある、年間積算線量が50ミリシーベルトを超えている地域。 (2)「居住制限区域」:年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるおそれがあり、住民の被ばく線量を低減する観点から引き続き避難の継続を求める地域。 (3』「避難指示解除準備区域」:年間積算線量が20ミリシーベルト以下となることが確実であることが確認された区域。 これらの地域の住人は全員、事故当時の民主党政権によって強制避難させられました。 現在も実に13万5000人もの人たちが、自宅には戻れず、仮設住宅などの避難生活を強いられています(その内4万8000人は県外に避難しています)。 そうした人たちは、自宅への宿泊は禁じられており、家の掃除や修理のために戻れる時間等も、それぞれ厳重に規制されています。 現地を車で走ると、その指定地域によって、風景や復興現状は一変します。 ◆相馬市と南相馬市 福島市、伊達市は避難指示区域外であり、内陸部のため津波の影響もなく、震災の傷跡はほとんどなく、いわゆる「風評被害」を除けば、市民生活は通常に戻っています。(これは今回紹介する「避難指示区域」以外は、福島県の全ての市町村に当てはまります。) 相馬市は、「避難指示区域」外であり、放射線ではなく、津波の被害が甚大だった地域です。津波で家を流された住民以外の市民は自宅で生活しているため、沿岸部の瓦礫撤去や町の整備もかなり進み、相馬港の食堂も営業を再開するなど、ようやく復興に向けた動きが見えてきています。 相馬市 http://www.mapion.co.jp/m/37.802546504690504_140.9193213223777_5/ ただ、原発の汚染水問題によって漁業の操業が禁じられており、たとえ再開しても「風評」によって販売の可能性が閉ざされていることなど、今も続く原発事故と放射線の影響が、地元の人たちの暮らしと仕事、産業の再生を阻んでいます。(この問題については、後日ご報告いたします) そして南相馬市は、南側の三分の一が、放射線の影響による「避難指示解除準備区」に指定されており、海岸沿いの津波の被害が大きかった地域です。 南相馬市 http://www.mapion.co.jp/m/37.6391277_140.9606861_5/ その一帯に入ると、町には住民の姿は全くなく、大部分の家は被災した当時のまま放置され、まさに「ゴーストタウン状態」です。田んぼや畑の瓦礫の処理は始まっていますが、津波に流された車が逆さまになったまま放置されている所も残っています。 要するに、住民の帰宅と居住が許されていない「避難指示区域」に指定されているため、最低限の瓦礫処理がなされただけで、全く復興は始まっていないのです。. http://yanai-hissho.hr-party.jp/files/2014/03/DSC_0141.jpg それは、浪江町や飯館村など、「避難指示区域」に指定された周辺の全ての市町村も同じです。 ◆居住困難地区 さらに南下して、福島第一原発のある双葉町まで近づくと、そこは「居住困難地区」に指定されているため、道路には車の通行を止めるゲート(検問所)が設置され、原発関係者や行政関係者以外、許可がなければ住人であっても、一般人は一切侵入できません。 つまり、政府の指定した三つの種類の広大な「避難指示区域」の中は、復興どころか、「人っ子ひとりいない、ゴーストタウン」のまま、三年間放置されてきたというのが、福島の被災地の現状なのです。 避難指示区域 http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/kinkyu.html#shiji 人がいなければ、復興が進むはずはありません。 それを妨げているのが、福島原発事故で発生した、「多くの人が被ばくし、現在も一帯を汚染し続けている」とされる“放射線汚染”の問題です。次回は、福島県の復興を止めている、放射線問題の現状と実態について、報告します。 <映像レポート> 3.11 復興のつち音~福島~ http://www.youtube.com/watch?v=iYJoQm2OuHo 対ロシア包囲網ではなく、対中包囲網の形成を! 2014.03.20 文/HS政経塾スタッフ・遠藤明成 ◆ロシア包囲網づくりを進める欧米主要国 プーチン大統領がクリミア併合を決めた日(3/18)に、アメリカはオランダ・ハーグにて24日に開催される核保安サミットに合わせて、ロシアを除いた日英仏など6ヶ国(G7)を首脳会談に招待すると発表しました。(朝日朝刊3/20) 通常、G8首脳会談には、アメリカ、日本、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、ロシアの首脳が集まりますが、米国は、ロシアを除外した「G7」会談開催を意図しており、イギリスのキャメロン首相も「ロシアがこれ以上の措置を取ればG8永久追放を議論すべき」と発言しました。 欧米主要国は、対ロシア包囲網をつくり始めているのです。 ◆冷戦期の戦争と「ウクライナ危機」の違い ウクライナ危機に関する報道では、「第二の冷戦の始まり」とよく言われますが、必ずしも、こうした見方は専門家たちに共有されていません。 読売新聞のインタビューで、アメリカのブルッキングス研究所・米欧センターのフィオナ・ヒル氏は、プーチン大統領が、西側とは「非常に異なる価値観を持っている」ことを認めつつも、現在の危機を「イデオロギー対立」と見る情勢判断を否定し、ロシアは、「周辺国を掌握し続け、国家再興を果たすこと」を目指していると答えていました。(読売朝刊3/19) 冷戦期には、朝鮮戦争やベトナム戦争、キューバ危機など、イデオロギーを背景にした戦争が「全世界各地」で起きましたが、今回の戦いは「ロシアと周辺国」との地域紛争なのです。(今のロシアが獲得を目指しているのは地域覇権であり、世界の覇権ではない) ◆欧米とロシアの間にある現在の日本の立ち位置とは 菅官房長官は、18日に、「G7のなかの一つとして足並みをそろえしっかり対応する」と述べ、ロシアに対して、「ビザ緩和協議の停止や、新投資協定や宇宙協定など」の締結交渉の開始凍結の意を表明しました。(ロイター通信3/18) 世界の主要国の動きを見ると、アメリカやEU諸国はロシア政府関係者の資産凍結等の制裁を打ち出し(ロイター通信3/18)、中国はロシア擁護の側に回り、インドは中立の立場を守っています。(産経3/20) アメリカとの同盟関係がある日本はインドのように中立の立場を取り難いのですが、かといって中国に加えてロシアまで敵に回すのは賢明ではありません。 そのため、現在の安倍政権は、北方領土返還交渉等も念頭に置き、「弱い制裁」の段階に止めているわけです。 ◆日本に必要なのは、長期的な対ロシア外交戦略 G7首脳会談では日本に制裁強化が要請される見込みですが、この判断には長期的な視野が必要です。 今後、短期的には欧米諸国が主導する対露制裁の強化が一つのトレンドになるでしょうが、過去の経済制裁の歴史を見る限り、それが長く続くとは考えにくいからです。 ▽例1:米国はインドが98年に核実験をした後の経済制裁を01年に解除 (9.11以降の国際情勢の変化のため。05年には米印原子力協定が成立) ▽例2:米国は天安門事件(89年)後に中国へ経済制裁。しかし94年に元安・ドル高政策で緩和路線に転向。(公式には01年に制裁終了) 今後、プーチン大統領が再選されれば2024年まで政権が続きますが(二期12年)、経済制裁は同政権の寿命の半分も続かないかもしれません。日本は、こうした視野を持って、欧米の政権が全て交替した後も存続するプーチン政権との付き合い方を考えなければならないのです。 ◆必要なのは、対露包囲網ではなく、対中包囲網 3月16日に発刊された『「忍耐の時代」の外交戦略 チャーチルの霊言』(幸福の科学出版刊)では、日本はロシアよりも中国の覇権主義を警戒すべきであり、対中包囲網の一環として、日露の協力関係が必要だと説かれています。(http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1126) 現在はロシアが危険視されていますが、チベットやウィグル、南モンゴルへの侵略の後、人権弾圧、核戦力強化と不透明な軍拡を続ける中国に対して、何も制裁措置を取らない欧米諸国の判断はバランスを欠いています。 G7首脳会談で日本は制裁強化を要請されるでしょうが、対ロシア制裁は、欧米諸国への「付き合い」として、軽度な段階に止めておき、日露関係が長く停止するレベルにまで強化することは避けるべきでしょう。 そして、欧米の対露制裁と親中外交の不均衡の是正と、歴史認識問題への対抗策を兼ねて、今後、日本は国際社会に向けて、「天安門事件」に対する中国政府の説明責任の存在を訴えるべきです。(ロシアに比べて、中国の暗部は欧米圏に周知されていないため) 日本は西側諸国の一員であり続けなければいけませんが、その中で、長期的な視野の下に、日露関係も含めた対中包囲網を形成するための布石を打つ必要があるからです。 「正しい政治」を取り戻すために! 2014.03.19 文/幸福実現党鹿児島県本部副代表 HS政経塾4期生 松澤力 徳洲会の公職選挙法事件で徳田毅氏が議員辞職したことに伴い、衆院鹿児島2区補欠選挙が4月15日(火)告示、4月27日(日)投開票の予定で実施されます。 ◆衆院鹿児島2区補欠選挙の争点は何か 先週13日、原子力規制委員会は、川内原発の安全審査を優先的に進め、審査に合格すれば夏にも再稼働1号となる公算が大きくなりました。 地元の経済を支えるために安定的でコストの安いエネルギーを確保するため、川内原発が稼動の方向に進んでいることを歓迎したいと思います。 ◆「鹿児島の底力」の発揮を阻む消費増税は反対 今回の選挙の争点は二つです。一つは「日本の経済成長を阻む消費増税」です。 消費増税は、日本経済を根本的に蝕むものであり、幸福実現党は立党以来、消費増税には反対の立場を貫いてきましたが、残念ながら4月1日より施行されることになります。 街中をみると、大手の小売業は「4月から増税、今ならお買い得!」という表示が掲示されており、3月には駆け込み需要があるものの、4月以降の数か月、相当厳しい状況が予想されます。 私は、大手コンビニチェーンの経営企画室に勤務していた経験から消費者の心理を敏感に感じてきましたが、そうした立場からも消費税増税ではなく、減税路線による鹿児島の底力を生かした経済発展を目指すべきであると考えます。 ◆鹿児島、沖縄を中心とする島嶼防衛の強化 二つ目の争点として、離島の安全な生活を守るため、島嶼防衛の強化策です。特に、鹿児島の島嶼部は沖縄と隣接しており、国防の最前線に近い地理的環境にあります。 現在、尖閣諸島を含む空域が中国の「防空識別圏」に入るなど、緊張状態が続いています。また、北朝鮮情勢も予断をゆるさない状況にあります。 安倍政権も国防強化の方向性は打ち出しているものの、今国会の目玉であった「集団的自衛権」の容認について先送りの意思が示されています。 国家を守る政治家として、日米同盟強化につながる集団的自衛権の容認は今国会で行うべき最重要事項です。 ◆「正しい政治」を取り戻せ! 以上、今回の選挙の争点は、「消費増税の是非」「防衛力強化」でありますが、その一方で根本的な政治の在り方を問うものでもあります。 今回の鹿児島2区にお住まいの皆様にとっては、「本来の政治の姿を取り戻してほしい」と願っているはずです。 補選では「理想の実現を目指す政治」「しがらみのない政治」を創る必要があります。そうした意味で、今回の鹿児島補選は、新しい政治に向けての極めて重要な選挙と言えます。 幸福実現党も「正しい政治」を取り戻すため益々の精進を重ねてまいります。 消費不況の足音が聞こえる 2014.03.18 文/幸福実現党岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆実質GDPの下方修正 3月10日、内閣府はGDP(国内総生産)の下方修正を発表しました。 2013年10~12月期の実質GDPの成長率に関し、2月に公表した速報値「前期比0.3%増、年率換算で1.0%増」を「前期比0.2%増、年率換算で0.7%増」に下方修正しました。 日本経済新聞「実質GDP下方修正」(3/10)は、「個人消費と設備投資が速報時の推計よりも少なかった。輸出の伸び悩みが目立ち、景気回復の持続には海外需要の持ち直しが焦点となる」としています。 2013年10~12月期の3ヶ月間を振り返りますと、この間円安が進み、日経平均株価は上がっています。(為替97.88円→105.36円、7.6%円安。株価14,455円→16,294円、12.7%株高) 「円安・株高」を原動力にして来たアベノミクスが、「円安・株高」が進む中で失速したという事を、果たして安倍総理はどう受け止めておられるのでしょうか。 安倍総理のブレーンである浜田宏一・米エール大名誉教授も10~12月の実質GDP成長率の2次速報値が前期比年率0.7%にとどまったことについて「アベノミクスが本当にはうまくいっていない、十分力強くないことの印だと言えるかもしれない」と述べました。(ブルームバーグ3/14) これらの動向は、本年1月24日に閣議決定された「平成26年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」(http://www5.cao.go.jp/keizai1/mitoshi/2014/0124mitoshi.pdf)のアベノミクス「三本の矢」による一体的な取組の政策効果から家計や企業のマインドが改善し、消費等の内需を中心として景気回復の動きが広がっているという楽観的な見通しと齟齬をきたしているのではないでしょうか。 ◆野田前政権時代の水準をも下回った消費者心理 さらに日本経済新聞「2月の消費者態度指数2年5か月ぶり低水準」(3/12)によりますと消費マインドの落ち込みが予想以上であると次のように報道しています。 「内閣府が3/12日発表した2月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比2.2ポイント低下の38.3と3カ月連続で悪化した。2011年9月(38.2)以来2年5カ月ぶりの低水準。(中略)4月の消費増税後に耐久消費財を買い控えようとする心理が働いたことなどが影響した可能性がある。」 2011年9月は、菅元総理が退陣し、第一次野田内閣が誕生した時期で、消費者態度指数が2011年9月以来の水準まで低下したということは、消費者心理が野田前政権時代の水準をも下回って来たということです。 「消費者心理」という点においては、「アベノミクス効果」は完全に剥げ落ちたということになります。(参考Japan was back. ~ 野田政権時代以下まで冷え込んだ消費者心理~ 近藤駿介氏) ◆アベノミクスの正念場 昨年10月に安倍晋三首相が消費税引き上げを決定した際に、日本経済は4%台のGDP成長率を記録していました。しかし、「景気が順調に回復している」という増税の前提は、今や見る影もありません。 このまま増税に突き進めば、新たな不況を招くと同時に、安倍政権が進めるアベノミクスも空中分解する恐れもでてまいりました。(「減速する日本経済 消費増税の根拠はすでに崩れている」The Liberty Web 3/15) 昨年夏、消費増税の是非について有識者の意見を聴く政府主催の「集中点検会合」があり、招聘された70人のうち、約7割の44人が、本年4月に予定通り3%引き上げるべきと主張しました。 筑波大学名誉教授の宍戸駿太郎氏(計量経済学の専門家として日本最大のマクロ計量モデル「DEMIOS」の開発に携わった)は、数少ない反対者として昨年8月27日第2回集中点検会合に参加されました。 宍戸氏は、「消費増税は計量モデルの分析によればデフレを加速させますよ、日本経済がようやく回復し始めたのがまた元に戻りますよ」と増税反対を主張。 「アベノミクスは、第一楽章は素晴らしかったけれども、第二楽章で葬送行進曲のようなことになってしまって、第三楽章はもう収拾不能、世界の笑い者になるだろう」と昨年9月の段階で警鐘を鳴らされました。 (THE FACT http://www.youtube.com/watch?v=aby8vaXWAZY) あれからわずか半年足らずでその兆候が上述の如く表れてまいりました。 ◆消費税率は8%で凍結すべし! 幸福実現党は、2009年立党以来、選挙戦、あるいは政治活動を通して繰り返し消費増税は消費不況を起こすと訴え続けてまいりました。 8%への増税はもはや覆すことは不可能でありますが、なんとしても10%への増税は止めなければならないと考えております。今後とも、皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。 人口増加に向けて世帯課税方式の導入を 2014.03.17 文責:HS政経塾二期生・千葉県本部副代表 古川裕三 ◆世帯課税方式とは 今月6日付の日経新聞に「所得税 抜本改革を議論」と題し、世帯課税所得の導入議論に関する記事が掲載されました。 これは、子供の数が多い程、所得税が減税される税方式で、現在フランスが採用しており、少子化対策の一環としてすでに効果を発揮しています。(N分N乗税制) 具体的には、大人を1、第2子までは0.5、第3子以降は1として世帯の人数を算出し、その数で所得総額を割って課税所得を計算し、そこに所得税率をかけて所得税を決めるというものです。 例えば、年収が700万円の夫婦2人世帯と、子供2人の4人世帯の所得税を比べた場合、この方式を採用するとします。(計算簡略化のため各控除を考えないものとする) 夫婦2人世帯の場合は課税所得が350万円で20%の所得税率が適用され、所得税は70万円であるのに対し、4人家族の場合は課税所得が233万円で10%の所得税率が適用され、23万円弱となります。 さらに子供が3人いる5人世帯の場合だと、所得税は8万円台まで下がります。つまり「高収入・大家族ほど減税幅が大きくなる」のです。 ◆世帯構成の変化 一方、現在の日本の所得税の課税単位は「個人」ですが、家族への配慮として、配偶者控除や各扶養控除などの人的諸控除があります。(※民主党政権下の「控除から手当へ」という方針は現政権でも継続されており、15歳以下の扶養控除は廃止されています。) 特に配偶者控除は、専業主婦の「内助の功」に対する配慮であると言われてきましたが、現実には、専業主婦がパートで働くに際して、夫の扶養から外れないように年収を103万円以内に抑えるという、いわゆる「103万円の壁」があり、女性の働き方は制限されてきました。 2013年版男女共同参画白書によると、共働き世帯が1054万世帯に上るのに対して専業主婦世帯は787万世帯であり、97年に共働き世帯が逆転して以降、その差は開き続けています。 すでに共働き世帯の方がメジャーであるという現実を鑑みても、課税単位を家族に変えるべき時期にきているのではないでしょうか。 ◆世帯課税方式のメリット 本課税方式のメリットは、今までパートで働いていた専業主婦層が、年収の上限を気にすることなく稼げるようになり、世帯年収アップが見込めることです。 また、世帯年収が増えることで子供を増やそうという動機づけにもなるばかりか、世帯人数は多ければ多いほど減税されるので、親の面倒をみようという三世代同居への誘因にもなります。 さらに、生涯現役社会の構築により、シニアでも働いて稼げるようになれば、おじいさんの所得でトリプルインカムも実現できます。 そして、日中は、おばあさんが孫の面倒をみれば、現在、都市部で深刻な待機児童問題の解決にも資するかもしれません。 ◆本課税方式の導入が進まなかった理由 実は、本方式の導入については06年の少子化対策においても議論されていました。 しかしこのときは、課税単位を「個人」から「家族」へ変更するというドラスティックな改革について慎重な意見が多く、また、当時行った本税制の導入効果の試算では、1000万円以下の世帯ではほとんど変化がないか若干増税される場合もあるとのことで、本方式よりも扶養控除の金額を引き上げるほうが現実的ではないかという結論に落ち着きました。 しかし、現在では多くの世帯で適用税率が下がり、減税になる可能性が高いと指摘されています。 ◆国はもっとポジティブな発信を! いずれにせよ、安倍政権が本気で「女性の活躍」を応援しようとするのであれば、本税制の採用は重要度の高い政策項目だといえます。 その際には、政府は国民に対し、「結婚し、家族を増やし、収入を増やすことはいいことだ!」というポジティブなメッセージを発信し、今こそ、「少子化対策」という後ろ向きな姿勢から、「人口増加策」という積極的な政策手段へと舵を切るべきです。 参考文献:『これでいいのか少子化対策』岡田雅暢著 すべてを表示する « Previous 1 … 56 57 58 59 60 … 78 Next »