Home/ 経済 経済 GX(グリーン・トランスフォーメーション)で日本壊滅。中国だけが得する驚愕の中身とは?【後編】 2022.08.12 https://youtu.be/usNSYF8TXcU 幸福実現党党首 釈量子 ◆GXは壮大なムダ そもそも、政府が思い描いているような、官民合わせて150兆円の「GX投資」が行われたとしても、企業、あるいは国にとっては経済成長につながるどころか、マイナスの方が大きいことは間違いありません。 「グリーン」関連だけは一部儲かるところもあるかもしれませんが、全体的に見れば、企業の利益が増えるわけでもなければ、国の成長につながるわけでもありません。 むしろ、成長を大きく阻害する要因に他なりません。 企業にとっては、確かに、「GXに向けて動いている」あるいは、「環境を意識した投資、いわゆる『ESG投資』の『E』に配慮している」と言えば、今の日本なら、企業イメージの向上につながって、一時的に株価が吊り上がることもあるかもしれません。 しかし、実体のある「富」を生み出さなければ、株価もいずれは下がります。 むしろウクライナ危機以降、欧米金融機関では、ESG投資の見直しを始めており、安全保障を重視して化石燃料の価値を再評価しています。 現在、最も株価が上昇しているのは石油や天然ガスなどの銘柄です。 そもそも、「炭素税」を提唱した米国の経済学者W・ノードハウスは、排出量を実質ゼロにするために必要となるコストは全世界で50兆ドル以上となり、(排出量を実質ゼロにせず)地球の平均気温が3度上昇した時の経済損失の10倍以上になるとしています。 つまり、お金をかけてCO2排出を抑えたところで、経済的な意味は全くないのです。 グリーン投資は全く割に合わないグリーン投資を非効率な投資を、政府が主導することは、まさに「政府の失敗」です。 投資の是非は民間が自由に判断し、政府は脱炭素政策を撤廃して、こんな無駄なお金を使うことをやめ、もっと政府が「減量」しなければなりません。 ◆中国だけが得するGX さらに、GX戦略で想定している脱炭素実現に向けた「10年間で150兆円の投資」を見ると、かなりの資金が中国に流出する点にも言及しなければなりません。 現在、太陽光パネルの中でも最も安価であり、大量に普及しているのが「多結晶シリコン方式」です。 この心臓部にあたる多結晶シリコンの8割が中国製であり、さらにその半分が新疆ウイグル自治区で生産されているのです。全世界で見れば、同シリコンのウイグル産のシェアは約45%と推計されています。 電源の脱炭素化のうち「原子力」だけはサプライチェーンのほとんどが国内にあり、再稼働をするだけで国内の産業に莫大なお金が回り始め、海外からの燃料の輸入を削減できます。 その意味では、最も費用対効果の大きな経済政策は、原発再稼働と言えます。 しかし、太陽光や風力では、中国製品の輸入が進むだけであり、日本の産業にはほとんどお金が回りません。 こうして中国企業の太陽光や風力が国内で増えていき、中国製品が多く接続されることは、サイバー攻撃に対して弱い体制をつくることにもなり、経済安全保障上の重大な問題が懸念されます。 ◆GX で日本壊滅 このように見ましても、温暖化が仮に真実だとしても、グリーン投資やGX戦略は無駄だということがおわかり頂けたかと存じます。 そもそも、CO2により温暖化が進んでいるとする説は、科学的根拠がなく、フェイクとも考えられています。 「気候危機」を叫ぶ環境活動家のグレタ・トゥーンベリ氏が広告塔となって、世界は「脱炭素」一色に染まりました。 「我先に」とグリーン投資の拡大がブームとなっていますが、儲かるのは中国と関連するグローバル金融機関だけであり、日本とそのほかの西側先進諸国は、没落の道に歩むことになります。 そして特に、物価高の今、行うべきは、脱炭素ではなく、原発再稼働に他なりません。 しかし、ウクライナ危機以降、欧米先進国の議論もかなり変わり始めていて、「脱炭素」の看板は下ろせないものの、脱炭素一辺倒から安全保障重視に変わりつつあります。 また、投資家もグリーンだけでは儲けられなくなり、化石燃料株が見直されています。いまこのタイミングで「グリーン」に固執する日本の政府は、かなりの周回遅れとも言えます。 日本が奈落の底に落ちる前に、今こそ、軌道修正を図るべきではないでしょうか。 GX(グリーン・トランスフォーメーション)で日本壊滅。中国だけが得する驚愕の中身とは?【前編】 2022.08.11 https://youtu.be/usNSYF8TXcU 幸福実現党党首 釈量子 ◆GXとは何か 今回は、現在、政府が進めるGX(グリーン・トランスフォーメーション)戦略について考えて参ります。 7月27日、政府は岸田総理を議長とする「GX実行会議」の初会合を開き、GX実行推進担当大臣として、萩生田光一経済産業相を担当大臣に任命する人事も発表されました。 「GX」とは、2020年10月の臨時国会で「脱炭素社会の実現を目指す」と宣言して以降、市場で注目を集めるようになった言葉です。 2050年までの脱炭素、カーボンニュートラルの実現に向けて、温室効果ガスの排出につながる化石燃料などの使用を、再生可能エネルギーなどに転換することで、社会の変革を目指すと理解されています。 世界が脱炭素に向かう流れは避けられないと考え、政府や経団連は、CO2を減らすことを成長の機会ととらえて、官民連携で成長戦略の柱にしようとしています。 このGXは、岸田政権が目指す「新しい資本主義」の目玉政策にもなっています。 しかし、脱炭素には莫大なコストがかかります。政府が言うように産業構造を根底から作り変えれば、自動車はじめ製造業の方々は失業するのではないかと戦々恐々としています。 基幹産業を潰し、新たな雇用を生み出すことができるのかは切実な問題です。 ◆増税につながるGX 岸田政権は、GXの実現には、今後10年間で官民合わせて150兆円規模の投資が必要としています。これはGDPの3分の1弱くらいですので、かなり大規模になります。 政府は20兆円の資金を財源に、「GX経済移行債」、いわゆる「GX国債」を発行するとしています。 日本には既に1200兆円を超える政府の借金があるのに、さらに新しい国債を発行しようとしているわけです。 GX実行会議のメンバーの一人、経済学者・伊藤元重東大名誉教授は、民間企業の投資を引き出す「呼び水」として、「GX国債を発行した分は増税などで償還する仕組みをつくる」と述べています。 民間投資を引き出す「呼び水」というのは、官民連携の際に公的支出を正当化する、いわば政府の「決まり文句」です。 脱炭素が本当に経済成長につながるなら、公的支出などなくても、民間企業は勝手に投資してどんどん脱炭素が進むはずです。 しかし、おそらく脱炭素に130兆円もの民間投資を引き出すことは不可能で、「GX国債」を追加で発行して、政府債務がさらに膨らむことになりかねません。 当然、債務を返していくために、「GX実行会議」でも、いわゆる「大型炭素税」の導入も議論に上がっていました。 炭素税というのは、その名の通り、石炭・石油・天然ガス等の化石燃料にCO2の含有量に応じて払わされる税金です。 現在でも、「炭素税」に当たる税金は存在します。化石燃料に石油石炭税が課税されており、その中に炭素税に当たる「地球温暖化対策のための税」、いわゆる「温対税」が平成24年10月1日から導入されています。 1トンのCO2あたり289円、税収約2,600億円の規模です。このほかに、自動車の燃料には揮発油税が課税されています。課税規模は約2.1兆円です。 こうした「炭素税」に加え、化石燃料などに対する税金がさらに上積みになることになります。 このように課税が増えていけば、電気料金の高騰はもちろんのこと、鉄鋼、セメント、石油化学、自動車など、日本の製造業の全てにそのコストが重くのしかかり、日本の製造業を直撃します。 政府は「GX国債」を呼び水にして、経済成長を期待しているようですが、こんなに高コストでは日本の製造業は海外に移転してしまい雇用も失われ、日本経済は崩壊してしまいます。 インフレで生活必需品等、物価が高騰し、さらに生活がより厳しくなるのは避けられません。 (後編につづく) マイナンバーカードで金融資産への課税の流れにSTOP! 2022.08.02 http://hrp-newsfile.jp/2022/4339/ HS政経塾 坂本和佳 ◆強まる個人情報の紐づけ 政府は「誰一人として取り残されることなく、多様な幸せが実現できる社会」という理想を掲げ、デジタル化の大きな肝いりの政策としてマイナンバー制度を導入しています。 今年の6月から始まった「マイナポイント事業第二弾」では、マイナンバーカード取得で5,000ポイント。健康保険証としての利用申し込みで7,500ポイント。公金受け取口座の登録で7,500ポイントが付与され、これらすべての手続きを行うと20,000円分のポイントがもらえます。 また、予算規模は1兆8000億円で第1弾(約2500億円)の約7倍にも上ります。 政府は、健康保険証と一体化した「マイナ保険証」の利用推進で、将来的に現行の保険証の原則廃止を目指し(※1)、来年度からマイナンバーカードの交付率を地方交付税の算定に反映させることも検討しています(※2)。 政府の思い通りになるように、明らかに権力を拡大し、強制力を強めています。 ◆預金口座とマイナンバーの紐づけで、個人資産は丸裸に ここで注目したいのが、平成30年から始まっているマイナンバー(個人番号)と預貯金口座の紐付けの問題です。さらなるマイナンバーの活用拡大のため、昨年新たに法改正がなされました。 その結果、金融機関は預貯金者等の情報をマイナンバーによって管理する義務が課せられました。個人の預貯金口座の紐づけは義務ではないとは言いながら、金融機関には管理の方法にマイナンバーを使うことが義務づけられています。(※3) これにより銀行口座開設時にマイナンバーの紐づけを許せば、他行の預貯金口座でも名寄せして個人の資産を丸裸にできるのです。 その目的は、行政機関などの税務調査や生活保護などの資産調査への回答を行うためと言っていますが(※4)、使用方法は明らかに行政から個人資産へのアプローチです。 また法律の改正によっても、その強制力は徐々に強まっています。なぜ今マイナンバーと預貯金口座の紐づけを進めているのでしょうか。 ◆個人資産把握から金融資産課税の可能性 それは、政府の政策の中に、金融資産課税の構想があるからだと考えられます。岸田首相は総裁就任時から金融所得課税の強化に言及しています。金融所得課税とは、利子所得、配当所得、株式等譲渡所得への所得課税のことで、労働所得等への課税とは異なり、一律20%の比例税率での分離課税というものです。 現在諸々の給付金や税金・社会保険料の計算は給与所得ベースに行われており、金融所得額は考慮されていません。 高所得者ほど株式や不動産など給与所得以外にも収入源を持つ場合が多いため、このマイナンバーと預貯金口座の紐づけをすることで、今までの給与所得と金融所得を一まとめにしてより正確な資産を把握することができます。 そうすれば公平で平等な税制にするという大義名分を掲げ、資産全部を合算して累進課税をかける可能性は非常に高いのです。 しかしこれを実行すれば、資産家等が税負担の回避を目的に、金融資産等の所在地を金融所得課税負担の軽い国に移すようになり、その結果、金融所得課税負担の重い我が国では投資の減少や税源の喪失、税負担への不公平感の高まり等の弊害が起きてしまいます。 個人の私有財産に課税し、豊かな者には累進課税を取り入れて所得の再分配に回す流れは、より完全な結果平等を目指す、社会主義への道なのです。 ◆日本は自由の大国を目指せ マイナンバー制度は、もはや国民の個人情報すべてを、権力の肥大化した大きな政府の下に置くためのインフラになっています。 知らぬ間に国家に個人情報や資産、健康状態まで管理されるようになれば、簡単に全体主義、国家社会主義へと導かれます。 その結果やってくるのは「自由の死滅」です。資産把握ができるマイナンバーの紐づけを許してしまえば、そこからさらなる増税政策を招きます。 必要なのは、個人の自由をしっかりと守ることです。国家からの監視、管理強化の流れで、個人資産を把握され、さらには活動規制、言論統制や思想統制につながりかねないマイナンバー制度にはしっかりと戦っていくべきです。 そしてもう一つ必要なのが、政府のやらなくていい仕事をやめることです。政府は今、マイナンバー制度の普及に国家予算一兆円以上をかけています。国の予算も国民の血税です。これも政府の無駄仕事なのではないでしょうか。 また高い税金をかけ、資産家を国から締め出すような政策をしていては、国家繁栄の道は遠ざかります。国民の自由を守るため、そして社会主義、全体主義の流れから守るため、今こそマイナンバー制度による国民管理にはNO!の声を上げなければいけません。 【脚注】 ※1 厚生労働省「第151回社会保障審議会医療保険部会(ペーパレス)資料」 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000942380.pdf ※2 内閣官房「デジタル田園都市国家構想基本方針」 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/pdf/20220607_honbun.pdf ※3 デジタル庁「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」 https://www.digital.go.jp/laws/ ※4 一般社団法人 全国銀行協会「マイナンバー周知リーフレット」より https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/article/F/8188_leaflet_01.pdf 最低賃金引き上げで大失敗した韓国。日本は同じ過ちを犯すのか? 【後編】 2022.07.17 https://youtu.be/u6TMrDCReOM 幸福実現党党首 釈量子 ◆企業の価値創造を後押しする4つの提言 前編では、最低賃金引き上げで大失敗した韓国の例を紹介し、その問題点を明らかにしました。後編では日本の雇用を創出し、賃金をアップさせるために必要な4つの提言を紹介します。 (1)シュレーダー政権に学ぶ雇用の自由化 ここで参考にすべきはドイツのシュレーダー政権です。 ドイツには少子高齢化と東西ドイツ統一の影響で失業者が増加し、2003年には10年ぶりのマイナス成長に陥っていました。 これを立て直すためにシュレーダー政権は、まず法人税を大幅減税し、企業の活力を取り戻しました。さらに、生活保護の条件を厳しくする一方で、民間を巻き込んだ細やかな就労支援を行いました。 もう一つは、正社員の解雇規制を緩和しましたことです。企業側は解雇が難しいと、会社と合わない社員がいたとしても雇い続けなくてはならず、正社員の雇用に慎重になります。その結果、若者の非正規雇用が増えるのです。 つまり、解雇規制を緩和しないと、正社員と非正規雇用の格差がかえって開いていきます。日本では今もこれが続いているわけです。 ここにシュレーダー政権がメスを入れ、ただ、解雇の際には一定額の補償金を労働者がもらえるようにして、ひとつの会社でうまくいかなかったとしても、新しいチャンスを与えたわけです。 こうした一連の改革で、新しい産業に人材が集中するようになり、ドイツの発展の原動力になりました。このように、日本でも、政府の権限を減量し、自由に働ける環境を整える必要があります。 (2)カジノや観光客頼みではなく、質素倹約して必要なものに投資 2つ目は、カジノや観光客頼みのアベノミクス型の「観光やカジノで一時的な消費を増やせば経済は良くなる」というような甘い考え方ではなく、質素倹約して、本当に必要なものに投資していく精神が重要になります。 政府主導でカジノを誘致したり、旅行のための補助金を出したりすることで、かえって民間企業の自由な活動が阻害されることもあります。 このようなバラマキ型の予算は全部ストップさせるべきです。 (3)日本の技術を守るためにスパイ防止法制定 3つ目は、日本の付加価値を守る、技術を守る政策です。つまり、スパイ防止法の制定が必要です。 日本は資源のない国ですから、技術力は経済の生命線です。 例えば、虎の子の技術の「新幹線」です。中国の巨大市場に目がくらんで売り込んだ結果、技術ごと盗まれて、中国の国際特許にされてしまいました。 日本の国富を守るために、こうした技術流出は何としても防がなければなりません。 (4)電力の安定供給を実現 4つ目は、安定した電気など質の高いインフラの供給です。 規制緩和は大切ですが、インフラ系の自由化については、進め方を誤ると、いざというとき大変です。 例えば、アメリカのテキサス州は、規制も少なくて「ビジネスがしやすい州」として多くの企業が本社を移して経済成長率が上がっている州です。 しかし、電力自由化を進めた結果、2021年の大寒波で2万9千人の1週間の電気料金が100万円に爆増しました。 日本でも、国民の電気料金が上昇した原因の一つが電力の自由化です。いろんな再エネ業者が大量に参入しました。しかし、再エネ発電は不安定なので、安定供給に責任を持てません。 代わりに送電網を管理する会社が安定供給に責任を持つようになりましたが、急に電力需要が増えた時のバックアップ電源を常に持っておくと経営が成り立たなくなります。 その結果、国民は真夏に節電を強いられ、自由に電気を使えなくなりました。 ですから、インフラという国民の命を握る部分については、自由に対する責任を担保するような制度にしていくべきです。 具体的には、電力自由化はやめて、原発再稼働を急ぎ、再エネ固定価格買い取り制度(FIT)を廃止すると共に、次世代原発や石炭火力発電の建設を政府としてバックアップし、安定して電力を共有できる体制を築きます。 こうして、「すべての人が自由意志に基づいて勤勉に働ける体制」を整えていきます。 ◆若い人は本を読もう 今回は賃金をアップさせるための根本的な解決策について提言しました。 他党が主張しているような、企業に負担をかけて最低賃金を無理に上げるとか、税金で雇用を増やすといった政策は即効性があるように見えて、早晩行き詰まり、あとから厳しい反作用が来ます。 しばらくは大変厳しい時代が続くでしょう。お金や時間を浪費させるのではなく、堅実に富を増やしていく道が求められます。 それは、企業だけでなく、個人にも当てはまります。 最近、若い人が電車の中で、スマホのゲームやSNSに夢中になっている姿を見かけますが、厳しい時代だからこそ、自分自身にしっかりと投資して、自分の付加価値を上げていくことが大切です。 そこでお勧めしたいのが、読書です。それによって智慧を増やしていくことです。 幸福の科学グループの大川隆法総裁は、3000書突破記念講演会『なお、一歩を進める』におきまして次のように語っています。 「これから先、むしろ本をしっかり読んでいる人が新しい付加価値をつけて出世していく時代になると思います。」 知恵を蓄積しなければ、「お金さえ配れば満足するだろう」という政治家に騙され続け、ネットを通してGAFAなどに時間を奪われ続けてしまいます。 若い人が、そうした考えであっては国家存続の危機です。刻一刻と変化する、この厳しい国際情勢の中で、日本の国を守り、発展させていくためには、勤勉の精神で、勤勉革命を起こしていくしかありません。 最低賃金引き上げで大失敗した韓国。日本は同じ過ちを犯すのか? 【前編】 2022.07.16 https://youtu.be/u6TMrDCReOM 幸福実現党党首 釈量子 ◆最低賃金引き上げで大失敗した韓国 先の参院選では、多くの政党が最低賃金の引き上げを政策として掲げました。 しかし、幸福実現党は、最低賃金の引き上げには反対です。その理由は、最低賃金の引き上げは、若い人達の就労のチャンスを奪うことになるからです。 ギリギリのところで経営している企業にとって、最低賃金を強制的に引き上げるとなれば、誰かの首を斬らないと経営が厳しくなります。 その場合、給料に見合わない働きをしている若手から首を斬られる可能性が高いわけです。 そうした反作用が実際に起きたのが韓国です。 文在寅前大統領は、2017年の就任のとき、5年間で最低賃金を5倍にするという目標を掲げました。1年目には16.4%引き上げ、5年間の任期中に累計41.6%上げました。 その結果、何が起きたかというと。不況と若者の大量失業です。 GDPの成長は低迷し、所得下位20%世帯の月平均所得は2017年第4四半期から、2019年第4四半期には、日本円で月収が2万円近く減少しました。 失業率を見ると、2021年は3.0%と一見、低く見えるのですが、これは税金を使って無理やりバイト雇用を充実させたからだと元駐韓国特命全権大使の武藤正敏氏が指摘しています。 それも、この税金主導のバイト雇用で増やしたのは、シニア層ばかりで、若者の失業率は7.8%と高く、失業者の3人に1人が若者世代でした。 参院選で、最低賃金引上げを訴えている政党は、単純な引上げだけではなく、賃上げを政府が負担するもので2つのパターンがあります。 ◆補助金による賃上げ 1つ目は、れいわ新選組などが提言している補助金による賃上げです。賃金引上げによって生じる企業の負担を、政府に負担させるもので、つまり、バラマキです。 人件費分を政府が負担するというなら、これは公務員を増やすことと同じであり、行きつく先は企業の国有化で、旧ソ連などの共産主義の国と変わりません。 政府がお金を負担してくれるなら、企業も労働者も新しい価値を生み出したり、給料に見合った働きをしたりする必要がなくなります。 れいわ型の補助金による賃上げは国民の勤勉の精神を破壊しかねない極めて危険な政策で、日本を没落させてしまいます。 ◆助成金による賃上げ 「賃金をあげて、生産性も上げた企業に補助金をあげ、減税をする」というタイプもあります。 そのひとつが「業務改善助成金特例コース」です。コロナ禍で特に業績が厳しい中小企業を対象にして、賃金を引き上げ、設備投資などを行った場合に補助金を支給します、というものです。 ただし、賃金を引き上げた人数によって支給額が変わったり、投資の内容や条件などが細かく決められたりしている複雑な制度で、かえって企業の仕事の邪魔になってしまいます。 結局、政府が民間に介入するやり方では、賃金は上がりません。その証拠に、政府の支出が増えれば増えるほど、実質賃金が減っていきます。 なぜなら、お客様のためによいサービスや製品を生み出すことではなく、補助金をもらうことに民間のお金や時間を使うことになるからです。 政府が賃上げのためにすべきことは、「企業がビジネスしやすい環境を創り、企業が成長する後押しをする」ことです。 ◆勤勉に働ける体制を 幸福実現党は、法人税の実効税率を10%台にすることを掲げています。 複雑な条件を付けずに、まずは10%台に引き下げることで、企業は自由に使えるお金が増やし、節税など、余計な仕事に力を入れなくてもよくなります。 実際、トランプ政権で、法人税を10%台にしたことで、従業員の給料やボーナスは上がりました。 ◆企業の新たな価値創造を後押し ただし、法人税の減税だけでは不十分です。 未来の見通しが明るくなければなりません。今後も日本が繁栄していくという見通しが見えなければ、企業は新しいチャレンジをしません。 そして何より、日本を豊かにしたいという志を持つ人たちが増え、勤勉に働いてこそ新たな価値は生まれます。 豊田佐吉や松下幸之助など、日本経済を発展させてきた人物は、多くの人を便利にしたい、日本を豊かな国にしたいという志を立てて努力を重ねてこられた方ばかりです。 そうした人物を育み、応援できるよう、幸福実現党は、すべての人が自由意志に基づいて勤勉に働ける体制をつくりたいと考えています。後編では、そのために必要な4つの提言を致します。 (後編につづく) 急騰する食料・エネルギー価格。待ったなしの物価高対策 2022.07.15 https://youtu.be/UEq9-GpV31M 幸福実現党党首 釈量子 ◆深刻化する物価高 4月26日、政府は物価高対策として、低所得者層やひとり親世帯に現金を給付するなど、総額6兆2000億円の緊急対策を決定しました。 これはあくまで生活支援であって、物価高対策ではありません。むしろ、政府支出は更なる物価高要因になる可能性があります。 5月の消費者物価は生鮮食品を除いたものが2.1%の上昇。総合だと2.5%の上昇です。 しかし、電気代は18.6%、ガソリンは13.1%、生鮮食品は12.3%。皆さんの生活必需品の多くは、10%以上値上がりしています。(※1) 小麦は5月時点で15.4%(前年同月比)で値上がりしています(※2)が、これは昨年夏の北米での干ばつなどが主な原因で、ウクライナ戦争による本格的な値上がりは秋以降と言われています。 日本の主食である米は、自給率こそほぼ100%ですが、肥料の99%は海外からの輸入です。ある米作農家は、次のように言っています。 「次年度以降、肥料価格は倍以上となる。さらに、中国も肥料の輸出制限をしていて、トラクターの燃料代も上がっている。販売価格を大幅に上げるしか、生き延びる道はない。」 夏の猛暑、その先にはエネルギー需要が増える冬があり、さらにエネルギー問題も深刻化するでしょう。(※3) ◆幸福実現党の3つの物価高対策 幸福実現党は物価高対策について3つの提案を致します。 (1)原発再稼働とFITの廃止 まず、一つ目に政府の責任のもと、原発再稼働をさせることで電力の供給不足を解消することです。 さらに、FIT(固定価格買取制度)を廃止すれば、電気料金を1割以上減らすことが可能です。このFITの廃止と原発の即時再稼働で電気代を抑制できれば、製造コストも抑えることができます。 (2)停戦を仲介しロシア制裁を終わらせる 供給不足を終わらせるには、ロシアへの制裁を止めなければなりません。これが2点目になります。 西側諸国は資源国のロシアに制裁を加えて、自分の首を自分で絞めています。日本はウクライナ戦争の停戦を仲介し、世界的なロシア制裁を終わらせることです。 (3)円安の解決 3番目は円安の解決です。 円が安くなると、その分、輸入代が高くなります。円安の大きな原因の一つは、日米の金利差が拡大していることが挙げられます。 ですから、金利が高いドルの方が人気となって、円が売られて、円安になります。つまり、円安を止めるには利上げという話にもなるのですが、そう簡単にはできません。 政府と地方の借金は1200兆円を超え、金利が1%増えると利払い費が約10兆円も増えるからです。(※4) 貿易赤字が続けば円が流出し、円安はさらに進むという悪循環となります。これを正すには企業活動を活性化させなければいけません。 つまり、円安を正すには、企業に活力を取り戻し、政府の借金を減らさなければいけません。これを両立できる方法が一つだけあります。 ◆政府の減量を それが、政府の減量です。政府の減量とは、政府の予算の規模を小さくして、権限も小さくし、民間でできることは民間に任せることです。 具体的に以下の無駄な省庁を廃止します。 ・二重行政のデジタル庁(0.47兆円)や内閣府(4.38兆円)は廃止。これで約5兆円を減量(※5)。 ・プラスチックのレジ袋を有料化し、無理に米を30%配合したレジ袋を使わせたりするような無駄な規制ばかりつくる環境省も無くします。これでさらに約3兆円を減量(※6)。 ・子ども家庭庁や感染症危機管理庁などの新しい省庁もストップします。 ・厚生労働省にもメスを入れ、120兆円以上ある社会保障の中の無駄を減量し、国民の皆様の社会保険料を減らしていきます。 こうして財政赤字は徐々に減っていき、マイナス金利を止め、金融をゆっくりと正常化させることで円安を止め、インフレという見えない税金を退治します。 政府の減量は規制の減量にもつながります。 例えば脱炭素政策といったエネルギー規制、減反や新規参入を阻む農地規制などの農業の規制を減らし、エネルギーと食糧の自給率を高め、危機に強い日本をつくりあげます。 つまり、政府の仕事を減量し、無駄な規制や予算をなくすことで、企業に元気を取り戻し、円の実力を高めるという根本的な治療が必要です。 バラマキや一時的な減税という対症療法ではなく、日本の抜本的な立て直しが今、必要なのです。 【参考】 (※1) 2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)5月分 総務省(令和4年6月24日) https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf (※2) 08年の再来?足元で加速「世界食料危機」の深刻度 ウクライナ侵攻で小麦やコメ、肥料価格も高騰 東洋経済2022/05/17 https://toyokeizai.net/articles/-/589544 (※3) ロシアからガスを絞られて、焦ったドイツ「石炭火力を2024年までフル稼働」の衝撃 CO2は「毒ガス」ではなかったのか? 2022.06.24 現代ビジネス https://gendai.ismedia.jp/articles/-/96711?imp=0&utm_source=pocket_mylist (※4) 【数字は語る】インフレで金利や成長率が上昇すると財政で何が起こるのか 週刊ダイヤモンド(2022年5月14日発行) https://cigs.canon/article/20220523_6771.html (※5) 令 和 4 年度デジタル庁所管 一般会計歳出予算各目明細書 https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/f4f6b57f-7779-4950-bbb5-07a265cb1d8f/20220125_budget_01.pdf 令和4年度予算(案)の概要 https://www.cao.go.jp/yosan/soshiki/r04/yosan_gai_r04.pdf (※6) 令 和 4 年度環境省所管 一般会計歳出予算各目明細書 https://www.env.go.jp/content/900470740.pdf コロナの医療対策に16兆円超の国費!?感染抑止効果はあったのか?【後編】 2022.07.14 https://youtu.be/hvyVUzLuYdE 幸福実現党党首 釈量子 前編では、コロナ対策16兆円が有効に使われたのかについて検証しました。 では、どのようなコロナ対策を進めるべきだったのでしょうか。幸福実現党としては、次のように提言したいと思います。 ◆ワクチンの有料化 まず、接種を希望する低所得者層を除いて、ワクチンは原則、有料化します。希望者が一定以上の自己負担をする方が国の財政の負担は少なく、無駄も減らせたはずです。 自己負担で接種を受けることになれば、接種をすることに慎重な判断が働き、ワクチンに対する正しい情報を求める声もより強くなるはずです。 さらに今回のようなワクチン接種をした日付が不明な人を「未接種」に分類するような事実上の改ざんに対してより厳しい目が向けられることになります。 またワクチンは、どんなものであっても副作用は一定の割合で生じます。実際に医療機関から報告があった数だけで、これまでに1700人を超える人が、ワクチンの接種直後に亡くなっています。 有料化すれば、副作用で亡くなった方々への補償や後遺症対策の原資に充てることもできたでしょう。 ◆感染症法の分類を5類相当に 次に、感染症法の分類を5類にすることです。 新しい感染症で対応に試行錯誤した医療現場の負担は大変なものだったとは思いますが、多くの国民が一番不安に思ったことは、感染して苦しんでいても病院になかなかアクセスできなかったことです。 日本は医師が少ないと言われていますが、毎年10万人の肺炎による死者が出ているのに、医療が逼迫して問題になったことはありませんでした。コロナ肺炎の死者は2年で2万人以下です。 つまり、病院にアクセスしやすくするには、現在のコロナの致死率から見れば、感染症法の分類を1類、2類相当から5類相当にすべきです。 1類、2類相当の感染症であれば、医師は診療を断ることができるからです。 もちろん、地域医療を守ろうとして患者を積極的に受け入れた、かかりつけ医や診療所などもありましたが、保健所を通さなければ入院の調整はできない状況にあります。 その結果、保健所が発熱や酸素飽和度だけで入院の可否を決めることになり、さらに一部の病院に重症者から軽症者までが集中し、現場はパンクしました。 また、保健所の方は膨大な感染者の情報の吸い上げでキャパオーバーとなり、医療崩壊に拍車をかけていました。 5類相当にして、初期段階では診療所ベースでかかりつけ医が対応し、入院の可否を判断し、本当に高度な医療を必要とする方を専門的な病院に任せることができます。 そうすることで、早期診療、早期対応ができれば、重症化に迅速に対応できるようになります。 ◆人間の尊厳の問題 安全第一という考えも分かりますが、多額の予算を投じた過剰な対策は、かえって人間の尊厳を踏みにじり、不幸を呼び込むことにもなりかねません。 コロナ禍が始まってから、入院患者や老人ホーム入所者へのお見舞いにも行けず、死に目にも会えず、そのまま火葬場に運ばれるケースも多いようです。 これは、厚生労働省が「必須ではないが、コロナで亡くなった方やその疑いのある方は、24時間以内に火葬することができる」というガイドラインを出しているためです。 「人間はいずれ死ぬ」というある種の諦観を持ち、冷静に「どう生き、どう死んでいくのか」を考えることがいま、とても大切です。 医療法の第1条の2には、「医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持」を旨とし、第1条では、同法の目的を「国民の健康の保持に寄与すること」と定めています。 そうであるならば、コロナの医療体制も、身体の健康だけではなく、「心の健康」にも配慮した「人の温もり」のある対策を実現していくべきではないでしょうか。 「死」というものを考えるにあたって、宗教の存在は避けて通れません。 「死」について知ってはじめて、「生きているその時間を、いかに有意義なものにし、いかに魂の向上のために使えるか」(※1)を考えることができるようになるのではないでしょうか。 幸福実現党は、宗教政党としてまっとうな死生観のもと、あくまで国民の自由を守り抜くコロナ対策を推し進めてまいります。 (※1) 『釈尊の未来予言』大川隆法(著)/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2356 コロナの医療対策に16兆円超の国費!?感染抑止効果はあったのか?【前編】 2022.07.13 https://youtu.be/hvyVUzLuYdE 幸福実現党党首 釈量子 今回は、コロナ対策に投じられた国費の使い道を確認しながら、果たしてそれが有効なお金の使い方だったのかを検証していきたいと思います。 ◆医療供給体制強化に16兆円――その使い道とは? 2020年1月以降、新型コロナ対応の医療体制確保、ワクチン確保などに、少なくとも16兆円の国費が投入されました。 財務省の諮問機関が、4月13日に発表したところによると、16兆円の内訳は次のようになっています。 ・病床確保などの緊急包括支援金、約6.0兆円。 ・ワクチン関連で4.7兆円。(ワクチンの購入、冷凍状態で運搬、ワクチン接種会場の確保や医師等への手当などの費用) ・ワクチンの打ち手を確保するための医療従事者を派遣した医療機関への補助金。 ・治療費の確保やPCR検査体制を整える費用。 なお、コロナ禍が始まってからの経済対策費用は、財政投融資を含む事業規模293兆円に上ります。 他にもコロナの感染拡大に伴う緊急事態宣言の協力金、苦境に陥った中小企業などの支援にも多額の費用が投じられました。 ◆国費を投じた感染対策の効果? コロナの医療体制確保の予算が仮に16兆円だけだったとして、単純計算で国民一人当たり12万円の国費を投じたことになります。これだけの多額の国費を投じた感染対策には効果があったのでしょうか。 ワクチンを打っても感染者は増えたのは事実で、特にオミクロン株などの新しい株には効果が疑問視されていました。 5月には厚生労働省のワクチンデータの集計方法の変更が明らかになり、ワクチン接種を1回目、2回目接種した日付が不明な人を「未接種」に分類して集計していたことが判明しました。 この結果、多くの年代層で、2回接種した人の感染率が、未接種の人の感染率よりも上回りました。つまり、ワクチンを接種した人の方が、接種していない人よりも感染者が多かったことが判明したのです。 心筋炎のリスクも、ワクチン接種者の方が、未接種者よりも高かったことも判明しております。実際、ワクチン後遺症の事例も出てきており、愛知県は独自に相談窓口を設置し、サポートを始めています。 つまり、感染予防効果には疑問があるうえ、接種者の健康に悪影響を与えているというデータが出つつあるわけです。 ◆ワクチン接種の運用に関するムダ 次に、ワクチン接種の運用に関するムダです。 大規模会場で接種したことで、会場費、運営スタッフ、PR費用等が必要になりました。 また、各地で使用期限が過ぎたワクチンが大量廃棄されています。確保されたワクチン8.82億回分に対して、実際に接種された本数は、2.83億回(6/17時点)で、わずか32%です。 接種されていない68%のワクチンのうち、どれくらいが在庫なのか廃棄されたのかは分かっていません。 廃棄量を明らかにする自治体もありますが、厚生労働省は自治体の事務負担を考慮して廃棄量を調査していないからです。 しかし、ワクチンの接種数を報告させるのなら、廃棄量を報告させても、負担はそれほど増えないのではないでしょうか。 要は、廃棄数が明らかになり、批判がでることを恐れているのかもしれません。 ◆病床確保は有効だったのか 次に、病床確保は有効だったのかを検証します。 コロナ対策16兆円のうち、一番お金が投じられた緊急包括支援金です。 その約6.0兆円は主に「病床確保」に使われましたが、補助金だけもらって、実際は患者を受け入れない幽霊病床の問題が起きました。 確かに、ベッドが空いていても医者の手が空いていなければ患者を受け入れることは難しいわけです。しかし、病床使用率が100%でないのに、重症患者がたらいまわしにされる問題も相次ぎました。 ベッドを空けておきさえすれば、患者を受け入れなくても公金が入る仕組みになっているからです。 新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長が理事長を務める地域医療機能推進機構(JCHO)傘下の東京都内の5つの公的病院では、コロナ病床を183床確保していたのですが、このうち30~50%も使われていないということが批判されたこともあります。 このようにコロナ対策16兆円は、有効に使われたとは言えないのではないでしょうか。 (後編につづく) 大インフレか大恐慌か。究極の2択になる前に、減量を。 2022.07.08 http://hrp-newsfile.jp/2022/4323/ HS政経塾スタッフ 赤塚一範 ◆日本もいつかは利上げを迫られる アメリカ合衆国の中央銀行である、FRB、連邦準備制度理事会は、高いインフレ(5月前年比8.6%)に対処するため、利上げを強行しています。 FRBは、今年3月に0.25%、5月に0.5%、6月に0.75%の金利を引き上げ、今後も更なる利上げを予定しています。他方で、利上げは、景気に悪影響を与えます。 FRBのパウエル議長も、6月22日に上院銀行委員会の公聴会で、景気後退の可能性に言及しており、実際、アメリカでは、株価や仮想通貨の下落、住宅販売の低迷等々、その影響が表れています。 つまり、FRBは、不況になってでもインフレと戦うことを決意したのです。 日本でも、5月の消費者物価指数が2.1%とデフレからインフレに向かいつつあり、インフレが今以上に深刻化してきた場合、日銀は金利を引き上げざるを得ない時期が来るでしょう。 ◆利子操作の反動 本来、利子とは市場で決定されるものであり、政府や中央銀行が操作できるものではありません。 これは、自然利子とか中立利子と呼ばれるもので、貯蓄と投資が一致するように市場で決定されます。 他方で、20世紀の大経済学者ケインズは、貨幣量を増加させることで、短期的に政府や中央銀行は、貨幣利子率を操作できるという理論がつくりあげました。これが「流動性選好論」です。 ケインズの理論とは、本来、市場で決まるはずの利子率なのに、多量に貨幣を供給することで、無理やり低利子にし、企業や個人がお金を借りやすくすることで、経済を良くするという理論なのです。 市場で決まる利子率よりも、無理やり低くするのが低金利政策ですから、長く続ければ、当然その反動がやってきます。その反動が、バブル景気と、その後のインフレや不況なのです。 これは、酒飲みに例えられます。酒を飲めば、気持ちが良くなりますが、翌日二日酔いで頭痛になります。酒が貨幣であり、酔いがバブル景気です。そして、二日酔いの頭痛がインフレや不況なのです。 ◆バラマキがバブルを生み出した 2020年初頭から世界でコロナが流行、経済に混乱が生じ、世界各国の政府と中央銀行は、政府支出を増やし、それを支えるために貨幣の量も増やしました。その結果、バブルが生じました。 たとえば、2020年、日本では、国民一人当たり10万円が配られ、要件を満たせば、中小企業には最大200万円、個人事業主には最大100万円の持続化給付金が配られました。 また、コロナで苦しむ企業に対しコロナ融資(いわゆる無担保・無利子で貸し出すゼロゼロ融資)がなされ、その実行額は40兆円を超えると言われています。 このバラマキの結果が、日本ではコロナ禍にもかかわらず、一時、日経平均株価が3万円を超え、ビットコインは700万円を超えるという現象なのです。 貨幣量を増やしばら撒いた結果、その貨幣が、株やビットコインに流れて、バブルを生み出したのです。 ◆バブルはバラマキ続けないと維持できない このような、バラマキの問題点は、バラマキがなければ成り立たないような経済構造を生み出してしまい、それが更なるバラマキを生み出すということです。 例えば、バラマキによって上昇した、株価やビットコインの価格は金融緩和をやり続けなければ維持できません。 実際、アメリカの株価やビットコインは、FRBが金融緩和を止めた途端、値段が下がっています。 日本株も、何とか株価を維持していますが、それはまだ日銀が金融緩和を継続しているからで、緩和は永遠に続くものではありません。 岸田首相も国民に「貯蓄から投資」と盛んに言っておりますが、これは株価を維持したいからでしょう。 また、最近問題となっているのが2022年夏ごろから徐々に本格化するコロナ融資の返済です。 これによって多くの企業が倒産の危機に瀕しておりますが、今後、場合によっては返済の猶予、減免措置等も検討されるかもしれません。 これはさらなるバラマキであり、結局のところ、バラマキによって生み出された仕事は、バラマキがなければ維持できないのです。 ◆最後は、ハイパーインフレか大恐慌かの2択となる インフレにバラマキで対処するというのは、二日酔いに対して、更に酒を飲むことで対処するようなものなのです。 バラマキは、一部でバブルを生み出し、別の場所ではそれがなければ維持できない雇用を生み出します。 当然、バラマキを止めれば、この問題は解消しますが、それには一時的な不況や失業が生じてしまうため、政治家はさらなるバラマキで対処しようとするのです。 この結果がインフレーションです。 つまり、インフレーションとは、「経済が病気である。これ以上バラマキはいけない」というシグナルであり、不況とは、「歪んだ経済構造が元に戻る市場の自浄作用」なのです。 政府はバラマキ続けることで、不況という自浄作用を阻止しようとしますが、それはインフレの加速を招きます。 政府は、インフレにバラマキで対応しますが、経済構造はさらに歪み、インフレはもっと加速します。 結局のところ行き着く先はハイパーインフレです。インフレが加速してから、バラマキを止めたなら、歪みに歪んだ経済構造はそれに耐えきれず倒壊してしまうでしょう。 これが、大恐慌です。インフレが加速してから止めたのでは遅いのです。 ◆日本は今すぐ減量を 現在の日本のインフレ率は、まだ致命的ではないので、現時点で止めなければなりません。 その為には、現在のインフレにバラマキ(歳出カットのない消費減税、給付金、補助金)で対応するのではなく、政府支出の減量で臨むしかないのです。もちろん、減量には痛みが伴います。 従って、急激な減量ではなく、まずは増量を止めるところから始めるべきでしょう。 また、原発の再稼働により電力価格を抑えたり、脱炭素規制を撤廃したり等、企業負担を軽くする必要もあるでしょう。 しかし、繰り返しになりますが、現在のインフレに、バラマキで対応してはいけません。それは、ハイパーインフレか、大恐慌かの究極の2択へと進む、地獄への道なのです。 「吉田ドクトリン」から脱却し、九条改正、国防軍編成、防衛産業の育成を目指す【後編】 2022.07.07 http://hrp-newsfile.jp/2022/4321/ HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆「吉田ドクトリン」で日本が失ったもの(2):防衛産業 吉田ドクトリンを信じている人は、軍事にお金を使うことは経済の発展につながらないと考えています。 そうした考えのもとで、再軍備の勧めを断った結果、日本は、国家に不可欠な産業の一つを失いました。 それが、防衛産業です。 三菱重工のように自衛隊の装備をつくる企業はありますが、どの企業も、全体の中でその割合は低く、ほとんどが1割前後にとどまっています。 しかし、米国の防衛大手を見ると、ロッキードマーティンは9割以上が軍需です(71%が国防総省から受注。28%が世界への兵器輸出)。 レイセオンテクノロジーは軍需が65%を占めています(民間向け売り上げは35%)。 欧州を見ても、売り上げを占める軍需の割合は高く、英国のBAEシステムは9割、スウェーデンの国産戦闘機をつくるSAAB (サーブ)は8割あります。 日本には、防衛に特化した大手企業がなく、腰を入れて防衛産業に打ち込みにくい状況が続いているわけです。 2021年度の防衛費をみると、4分の3が現状維持に使われ、残りの4分の1から新規の装備費を出していますが、そのお金も、米国からの装備品購入に回される割合が増え続けています。 日本は、自国に防衛産業を育成しきれていないのですが、防衛装備を他国に依存しながら、自主防衛を実現することはできません。 国際政治アナリストの伊藤貫氏は、米国の兵器は「ブラックボックス」で管理されているので、もし、将来の大統領が「中国とは戦わない」と決めたならば、日本に売った兵器をすべて止めることが可能だとも指摘していました。 F35戦闘機を例にとると、予算が増えない中で米国兵器ばかりを買った場合、日本企業に払うお金が減り、戦闘機の生産基盤を維持できなくなります。 F2戦闘機の生産は終わったため、新しい需要を生み出さなければ、F35を買っている間に国内の技術者が離散し、日本は「戦闘機の作れない国」になってしまうのです。 そうした問題があるので、欧州ではユーロファイター、スウェーデンではグリペンという、自前の戦闘機を作り続けてきました。 防衛産業がなければ「独立」を維持できないからです。 こうした新型戦闘機の開発には「兆」の単位のお金がかかります。 それは、防衛予算の倍増なしには不可能なのです。 ◆防衛産業への投資は未来産業の育成のためにも不可欠 そもそも、軍事にお金を使うことは経済の発展につながらない、という考え方は、正しくありません。 日本でも、戦時中に戦闘機や軍艦、戦車などをつくっていた技術者は、戦後、民生用の航空機や船、自動車などの製造に力を注ぎ、経済発展に大きく貢献しました。 愛国心に満ちた技術者たちの力があって、「重厚長大」産業の復活が早まったのです。 たとえば、ヤンマーディーゼル社の山岡浩二郎社長は、「ヤンマーに入社した旧海軍の技術陣は、それこそそうそうたる顔ぶれであり、ヤンマーが今日あるための大きな礎石であった」と述べています(沢井実『海軍技術者の戦後史』名古屋大学出版)。 新幹線の振動問題を解決したのは、ゼロ戦の飛行を安定させた松平精という技術者です。 当時、新幹線開発を支えた鉄道技術研究所(鉄研)には、1000人もの旧軍技術者が集められていました。 軍事のために用いた技術力は、民間経済のためにも使えるので、軍事費を無駄な浪費と見なすのは、間違った考え方です。 今の社会のインフラをみると、軍事で使われて発展したものが数多くあります。 例えば、その一つが鉄道です。 プロイセンでビスマルクが宰相だった頃、モルトケ将軍は鉄道を用いて兵士をいち早く投入し、普墺戦争、普仏戦争に勝利しました。 鉄道は、社会の基幹インフラとなると同時に、軍の輸送や兵站を支える役割を果たしています。 航空技術は、第一次大戦前は、好事家の趣味程度のレベルでしたが、第二次大戦の頃には主戦力に変貌します。 そして、戦後世界を支える基幹技術となりました。 宇宙ロケットの技術と弾道ミサイルの技術も、かなりの部分が重なります。 原子力は兵器だけでなく、発電においても、エネルギー政策の基幹を担っています。 インターネットも、もとは軍用だったものが、民間に普及し、世界のインフラとなるに至りました。 軍事への投資には、基幹的な技術のレベルを高めるものが数多くあります。 世界の主要国が軍事に投資する中で、日本だけがそのお金を惜しんでいると、世界的な技術開発競争に劣後する危険性が高まるのです。 ◆「吉田ドクトリン」を乗り越え、真の独立、主権回復をめざす 国防軍も、防衛産業も、日本の独立を守るためには、不可欠なものです。 日本が21世紀に、独立国として、大国の責任を果たすためには、吉田ドクトリンから脱却しなければなりません。 憲法九条を抜本改正し、国防軍を編成し、自国の防衛産業を発展させる必要があります。 これがなければ、北朝鮮の核ミサイルや中国の軍拡には対抗できません。 日米同盟を維持しながらも、自主防衛力の強化を進めていかなければなりません。 米国が「世界の警察官」をやめた時代においては、自分の国を自分で守らなければならないからです。 そのために、幸福実現党は「吉田ドクトリン」からの脱却を呼びかけています。 そうであってこそ、日本が真の独立を果たし、主権を回復したと言えるからです。 経済大国となった日本は、いつまでも「一国平和主義、一国繁栄主義」を続けることはできません。 幸福実現党は、「自由・民主・信仰」を守り、中国や北朝鮮などの唯物論国家、一党独裁の国家から、アジアの国々を守るべく、力を尽くしてまいります。 【参考】 ・大川隆法著『国家繁栄の条件』幸福の科学出版 ・岸田文雄『岸田ビジョン』講談社+α新書 ・防衛白書 令和3年度版 ・『SAPIO 2015年10月号』 ・沢井実著『海軍技術者の戦後史』名古屋大学出版 すべてを表示する « Previous 1 2 3 4 5 6 … 78 Next »