Home/ 経済 経済 混合診療の解禁から医療産業の発展を 2016.12.13 HS政経塾 第6期生 野村昌央 ◆4月に創設された「患者申出療養制度」 皆さんは「混合診療」という言葉をご存じでしょうか。 医療保険の効かない医療行為(自由診療)を行う時、保険が適用される医療行為(点滴や入院費用など)を一緒に受けることを「混合診療」と言います。 これまでは混合診療は一部しか認められておらず、自由診療を受ける場合は、保険が適用される医療行為も全額自己負担となっていました。 今年2016年の4月から「患者申出療養制度」が創設され、保険の効かない先進医療などについて患者の希望を起点とした申し入れから、厚労省の審査を経て混合診療の承認を得ることができるようになりました。 医師会などからは、「混合診療の拡大につながる」と懸念が示されてきましたが、こうした反対などから、まだまだ混合診療の解禁は遠いというのが現実です。 ◆混合診療で考えられるメリットとデメリットは? なぜ混合診療の拡大は懸念されるのでしょうか。 混合診療の拡大で、「医療では患者側は医師の勧める治療が効果的かどうか判断できないため、よけいな医療行為が増える」「粗悪な医療行為が保険診療と一緒に行われる可能性」「自由診療を受けられる人と受けられない人の間に医療格差が生まれる可能性」などのデメリットが生じると言われています。 しかし、混合診療の規制緩和はがんじがらめの規制でガラパゴス化していると言われる日本の医療産業の発展に不可欠です。 混合診療の規制緩和によって、自由診療を受けるための患者負担が減ると同時に、自由診療部分におけるサービスの多様化が可能となれば、自由診療部分における市場が活性化していきます。 市場の活性化によって様々なニーズに応える医療機器や新薬の開発、サービスの向上、医師の技術の向上などが期待されます。 また、自由診療分野の民間保険の市場も拡大していきます。 ◆デメリットは解消できるの? まず、医療の質を評価するための情報公開を進めます。 現在公開される情報は、平均在院日数や救急受入件数などのプロセス部分での評価指標がほとんどです。 例えば「○○の手術件数」や、所属医師の実績を公開することで、医療機関の質の評価をできるようにします。 こうした情報が公開されることで、保険会社が医療機関の不正や経営努力を怠っていないかどうかを監視できるようになります。 これによって保険会社を通じて「どの医療機関がよいのか」を知ることができます。 同時に、中医協などの機関が不正を監査し、罰則規定を設けることで、数字の改ざんなどの医療機関と保険会社の癒着を防ぎます。 混合診療拡大での医療格差の問題については、自由診療を受けやすくなるという点では共通しているため、日本においては大きな問題とはならないと考えられます。 ◆混合診療の解禁から医療産業の発展を このままでは、日本の医療費負担はさらに増えていきます。しかし、財政難から将来的に医療保険の範囲は小さくなっていくと予想されます。 医療制度のあり方を見直し、産業を成長させ、自助努力と健康増進を基礎とした抜本的な制度改革を行っていかなくてはなりません。また、社会保険制度と福祉制度を一緒くたにせず、分けて考えることも必要です。 混合診療の拡大は日本の医療産業のサービスの多様化と市場の拡大という点において、発展の道を拓きます。 そのためにもまずは、一定の機能を有する病院、例えば臨床研修指定病院などで混合診療を認めていくことから始めていく必要があります。 これによって選択の自由を拡大し、医療産業の活性化を行っていくべきであると考えます。 「規制緩和で医療を輸出産業に」 http://hrp-newsfile.jp/2016/2946/ 21世紀、日本の宇宙計画【1】――月と火星に植民都市を! 2016.12.08 HS政経塾第2期卒塾生 川辺賢一 ◆人類の宇宙開発は進んでいるか? 今月9日、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を届ける国産・宇宙輸送機「こうのとり」を積んだ国産のH2Bロケットが打ち上げられます。 今回打ち上げられる「こうのとり」には、ISSにある日本の実験棟「きぼう」から放出される超小型衛星7機やISSの運用に不可欠な国産新型バッテリー等が積み込まれ、まさに日本の夢と希望を乗せて高度400kmの宇宙に飛び立ちます。 日本を始め、こうした宇宙開発のニュースに触れ、胸躍る思いをされる方も多いのではないでしょうか。筆者もその一人です。 一方で、世界中で宇宙開発に関するニュースが日常茶飯事のように流れるなか、果たして私たちが子供の頃に映画や漫画で夢を見た「21世紀には誰もが宇宙旅行に行け、月や惑星に保養や探検に出かけられる」そんな未来が近づいている感じはするでしょうか。筆者にはいまいち感じられません。 これまで宇宙に行ったことがある人は一体、何人でしょうか。 頭数でたったの550人程度(高度100kmの弾道飛行も含む)です。 また月に行ったことがある人は何人でしょうか。 たったの12人です。私たちが一般に知ることができる情報によれば、アポロ計画以来、人類の月面着陸は1度も果たされていないからです。 その点、アポロが月に行き、ボイジャーが太陽系外惑星に旅立った米ソ冷戦期の方が、良くも悪くも、人類にとって宇宙が近づいている感じがしたのではないでしょうか。 かつて世界の理系エリートたちは、宇宙開発を始め、産業科学分野の研究に従事して国家産業の屋台骨を形成しました。 しかし2000年代になると、産業科学分野から離れ、金融マネーゲームの世界に従事する理系エリートたちが多くなりました。 むろん経済の心臓血管である金融業の発展は、今後も経済社会の発展に不可欠でしょう。 しかし、世界の理系エリートたちが過度に金融マネーゲームに偏重した結果が、2008年の金融危機であり、今の金利がゼロに貼り付いた瀕死状態の資本主義経済ではないでしょうか。 今こそ、新しい実業・企業群の勃興に通じる産業科学の発展と、そのための人材供給、資本の投下が必要です。 そこで幸福実現党は、未来産業分野やインフラ分野に今後10年間で200兆円の投資をすべきだと政策提言しているのです。 ◆宇宙開発の意義と可能性 なかでも宇宙産業に関しては、市場規模が2005年から2014年までの10年間で、年平均9.6%も成長し(1,767億㌦から3,300億㌦)、新興国経済をも超える成長率を示します。 また、これまでの宇宙開発の結果、私たちの暮らしは格段に便利になりました。 身近な例では衛星測位システムによりカーナビ始め、船舶や航空機、ドローン、建設重機用ロボット等のナビゲーションや自立制御が可能になり、その他様々な人工衛星により、BS等の衛星放送や気象予報、地球観測データの蓄積が可能となりました。 人工衛星以外でも、例えば、宇宙船用に開発された耐熱性材料は、厨房用器具や腕時計、野球スパイク等にも応用され、宇宙観測カメラの駆動技術は医療用・顕微鏡のスタンド技術にも応用され、宇宙技術が民生品にスピンオフした事例は、あらゆる分野に数え切れないほどあるのです。 筆者自身、人工衛星から地球を観測するための特殊な画像取得システムを、医療や製造業、建設業、食品管理、美容、その他に応用可能な計測機器としてスピンオフさせたベンチャーに勤務していた経験があります。 また高度400kmにある国際宇宙ステーションにおいては、無浮遊・無沈降・無対流の微小重力環境を利用して、物理化学や生命科学分野の様々な実験が行われており、材料や医薬分野等で新しい製品開発につながる研究が進められております。 つまり日本が世界を率いて宇宙開発を進めていくことで、瀕死状態の資本主義経済を救い、日本と地球すべての平和と発展・繁栄を導いていくことができるのです。 ◆21世紀、宇宙開発の目標――月と火星に植民都市を では私たち日本人は、どのような目標を持ち、21世紀の宇宙計画を構想すべきなのでしょうか。 幸福実現党の大川隆法総裁は、1995年の講演「愛、悟り、そして地球」のなかで「私は、『21世紀中に、つまり今から百年以内に、月と火星に植民都市を建設する』ということを、日本は国家目標として持つべきだと思います」と述べております。 また、米宇宙開発ベンチャー・スペースX社のイーロン・マスク氏は、早ければ2022年に火星移住を開始し、40~100年かけて火星に100万人が住む自立した文明都市を築く構想を発表しております。 そして人類の未来について、「多惑星に生きる種になり、宇宙を飛び回る文明人になるか」、「1つの惑星にしがみついたまま、何らかの惨事を経て絶滅に至るか」の2つに1つだと訴えております。 火星は人類未踏の地であり、地球に最も近い惑星です。 そして火星には窒素や水素など、月にはほとんどない地球型生命の活動に必要な軽い元素が多く存在すると言われます。 すでにうっすらとした二酸化炭素も大気としてあり、植物が育つ可能性もあります。 その他の惑星や衛星等、人類の宇宙進出の夢は無限に広がっていきますが、まずは人類の他惑星進出のための橋頭保として、人類の火星移住、そのための宇宙輸送手段システムの確立、火星の地球化・都市建設に向けて、日本が主体的に取り組み、21世紀中に成し遂げていくことが必要です。 そのための具体的な課題を一つ一つクリアしていくなかで、宇宙開発に限らず、その他あらゆる産業で応用可能な新しい製品やエネルギー源、そして新しい企業群がいくつも派生してくる可能性があるからです。 次回HRPニュースファイルでは、人類の火星文明建設に必要な課題と現状について報告させて頂きます。 「増税ありきの税制」は国民経済をダメにする――今、必要な税制の考え方 2016.12.06 HS政経塾5期生 水野善丈 ◆消費増税を延期した一方で、増える国民負担率 先月、消費税率10%への引き上げが2017年4月から19年10月に再延期する税制改正関連法が決まりました。 しかし、ホッとする間もなく、ジワジワと国民負担率が増加の一途をたどっているのをお気づきでしょうか。 現在、国会では2017年度税制改正案の内容が決められており、今後の税制のあり方について議論がなされています。 その中では、消費増税を見送った分、その他の分野での増税や減税の廃止、社会保険料のアップなどが盛り込まれています。 小泉純一郎首相の時代にも、消費税を上げないことになっていましたが、財務省は所得税・住民税の定率現在撤廃、年金保険料の引き上げなどを実施し、政権が代わる時には国民負担が年間13兆円も増えていた事例もあるようです。(週刊ポスト2016/12/16より) ◆細かな増税で混乱する民間市場 例えば、新築のタワーマンションにかかる固定資産税、相続税の税率の引き上げがあります。 近年、相続税対策のため、金融資産を持っているより不動産に変えておく流れがあり、都心の高層マンションの高層階の物件は、取引価格が高いため、相続税の節税として売れ行きが好調でした。 その節税に目をつけて、中間階から1階上がるごとに税率が約0.25%上がり、高層階にいけばいくほど税金がかかるようになりました。 その他にも、売れているビール類(発泡酒など)への増税やエコカー減税の対象車種を大幅に減らす、廃止されるはずだった自動車取得税も存続することになり、財務官僚の取れるところから取ろうとする姿勢が垣間みえます。 税収欲しさの増税政策に、民間は振り回され、市場では混乱がおき、未来に向けて構想を組み立てることが難しくなっているのです。 ◆「税率増で税収は増えない」 しかし、増税ありきの政策では、景気が良くならず結果的には税収も増えることはありません。 実際に、消費増税がなされた2016年度上期の一般会計ベースの税収も7年ぶりに前年比の4.8%減少し、百貨店などの減収が目立つように個人消費も冷え込んで景気は回復していません。 そもそも、税収の式は、「税収=税率×名目GDP×税収弾性率(※)」で示されるように、いくら税率を上げても経済成長せず名目GDPが減ってしまえば、税収は増えません。 (※)税収弾性率:経済成長によって税収がどの程度増えるかを示している。例えば、「名目GDPが1%上がったときに税収が何%増えるか」ということ。 逆に、消費減税などで個人消費を活発にし、景気回復をすることで、個人所得を増やし、赤字企業を減らし法人税を増やすことで、最終的に自然増収を目指す方向もあるのです。 つまり、増税ありきの議論で税制を進めていく政府の考え方自体に問題があるのです。 ◆自由を基盤とした政策を持つ幸福実現党 幸福実現党は、後者の増税ではなく、減税による景気回復を最優先し、税収増を目指す政策を訴えています。 実はこの方向では、政府の不要な市場介入を減らし、国民の自由闊達な経済活動を促した上で、国家の財政健全化される国民・政府の両者にとっても良い政策であるのです。 もちろん、その時々の様々な要因も重なり、すべてがうまくいく訳ではありませんが、長期的に見ても、国民の自由が担保されることは間違いありません。 それは、現在の日本のような、マイナンバー制度や出国税などを強いて、高い税金から逃げようとする国民の資産を国家が監視し、税金による罰則を与えるような国家になる必要は全くないことを示しています。 ◆米トランプ大統領と共通の政策を持つ幸福実現党 また、幸福実現党の減税政策を行おうとしているのが、来年より発足する米ドナルド・トランプ大統領であります。 トランプ大統領は、法人税の大幅減税(最高税率を現行の35%から15%へ)や所得税の税率適用区分の簡素化(現行の7段階から3段階へ)と税率の大幅引き下げ(12%、25%、33%の3段階へ)、および各種控除の拡充(子育て費用)、相続税の廃止などの減税政策を中心に、アメリカ国内に企業誘致を進めて、強い経済のアメリカを取り戻そうとしています。 現在、様々なメディアで賛否両論がありますが、この政策でアメリカ経済が復活したならば、日本としても現在の増税路線の税制を反省し、幸福実現党が示してきた「安い税金」「小さな政府」の方向へシフトする日が必ず来るでしょう。 < 参考資料> 週刊ポスト(2016/12/16) 注目の「山口会談」の行方と、今後の日露関係について 2016.12.04 幸福実現党・政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆北方領土返還の期待がトーンダウン 今月の半ばに、ロシアのプーチン大統領が安倍首相の地元である山口県を訪問し、日露首脳会談が行われます。 一時は「北方領土返還」への期待が高まったものの、ASEAN首脳会議でプーチン氏は「日本に北方領土を売ることはない」と断言するなど、現時点の両首脳の発信を見る限りややトーンダウンしております。 ◆プーチン大統領が安倍首相に期待した事 北方領土問題は1990年代の橋本首相・エリツィン大統領の時代にも返還への期待がありましたが、あっさりと裏切られました。 元々、旧ソ連及びロシアは多民族国家で、ソ連が崩壊した最大の理由が国内の最大の共和国であったロシアの離脱であり、ロシアにとっても共和国を構成している幾つかの民族の分離独立が、将来的に自国の存続を脅かす可能性があるということに、大きな警戒を持っています。 本来、北方領土との関連は異なりますが、少なくとも、元々「北方領土は我が国の領土」と主張しているロシアが何の理由もなしに、日本に譲歩するとは思えません。 しかし、プーチン氏が日本側に北方領土返還への期待を抱かせる事となったのは、現在の「ウクライナ問題」や「中東問題」など、ロシアが欧米と明確な対決状態にある中、先進国の中で、ロシアとの関係強化を図ることができる数少ない国が日本と見られていたからでしょう。 また、米国大統領選挙の行方も9月の時点ではオバマ政権の外交方針を継承すると思われたヒラリー氏勝利の公算が大きく、今後も米ロ関係は緊張状態にある事が予想されたことも、日露親善への舵が切られた大きな理由の一つと言えるでしょう。 ところが、11月の米国トランプ氏勝利により米ロ関係の劇的な変化が予想されます。 そして、もう一つ、永田町では12月の日露会談で、「北方領土返還」となった場合に内閣支持率が急上昇する事を見込んで「衆院解散説」が一気に流れ、政治家としての信義を重んじるプーチン大統領の心証を害した可能性があります。 プーチン氏としては、選挙の道具として使おうとした安倍首相・自民党政府に対し、不満や怒りを持ったとしてもおかしくはないでしょう。 少なくとも、現在は大いに盛り上がった北方領土返還の話は一気に冷え込む事になりました。この責任の一端は安倍首相・自民党が負わなければならないでしょう。 ◆米トランプ大統領誕生でロシアの外交も大きく変わる さて、先ほども述べましたが、米国大統領選挙でトランプ氏が当選したことは、プーチン氏に大きな影響を与える事になります。 両氏はお互いを認め合っており、今後の米ロ関係の緊張が緩和し、世界情勢は比較的安定の方向に向かう事が予想されるからです。 中東でのシリア問題、IS問題は両国の対話により、何らかの解決の糸口が見つかる事になるでしょう。 一方、米国オバマ政権下では「敵の敵は味方」の理論で進展しかかっていた中露関係は、今後停滞することが予想されます。 元々両国は、清朝の時代から国境線を挟んでの緊張が続き、お互いを国益上、最も注意すべき国家と考えてきました。 オバマ政権下の8年間は、ロシアも比較的中国との関係強化につとめ、米国を牽制してきましたが、少なくとも来年以降、中国の習近平主席は、米国はもちろん、ロシアにも注意を払う必要が強まり、東アジアでの覇権主義拡大の動きが止まるものと思われます。 上記の通り、今後は米ロ両国の信頼が深まることは間違いないのですが、それとともに、ロシア側から見た日露関係は、残念ながら相対的に重要度が低下することは覚悟しなければならず、この事も北方領土返還のトーンダウンの大きな原因の一つと言えます。 しかし、中国に対する米ロ両国の対応がより厳しいものとなり、日本にとって、安全保障上の最大の懸念である中国の覇権主義の動きが今後緩和されていくという意味では当然、是とすべきでしょう。 ◆まず、ロシアとの大胆な経済協力から ロシアという国の体制は、よくも悪くも一人の指導者の判断が国の方向を左右します。 プーチン氏のこれまでの言動を見る限り、彼なりの論理の中で、明確な支持・不支持の判断を行い、その判断に基づいて鉄の意志力で実行します。 日本に対しては少なくとも明確に否定的な判断をしていないことは事実で、日露関係をさらに強化することは、中国への牽制になると同時に、日本のさらなる繁栄の為に必要なことであります。 その為には、すでに議論されている、サハリン油田とパイプラインでつなぐ構想や、東京~北海道~サハリン~間宮海峡~ユーラシア大陸~シベリア~モスクワを新幹線で繋ぐ高速鉄道網構想については、ロシアでは大いに歓迎されるでしょう。 参考:ザ・リバティ 2017年1月号 「プーチンの『世界物流革命』~北方領土解決の鍵は鉄道にあり~」 このような大胆な経済協力を推進することが今後の日露両国の国益に適うとともに、共産党支配の中国が進める覇権主義を食い止める大きな防波堤になるのです。 米国トランプ大統領の時代に入る今だからこそ、日露両国が更なる友好関係を強化するチャンスであると思います。 こうした政策についても、「新しい選択」としての幸福実現党が訴え続けています。皆さまのご支援、心よりお願い申し上げます。 クールジャパン戦略を本当に「クール」にするために 2016.12.01 HS政経塾2期卒塾生服部まさみ ◆多額の国費を投じても成果は出ず、無駄使いの温床になっている 自民党は先月、慰安婦問題や記憶遺産登録などで中国や韓国が仕掛ける「歴史戦」に対して「我が国の『正しい姿』の発信を拡充するために関連予算」を増額するように安倍首相に要望を提出することを決定しました。 また、北朝鮮の核・ミサイル開発や、中国の東シナ海、南シナ海への海洋進出に対して「我が国の国益を増進するため、外交実施体制を一層拡充することが不可欠」とし、在外公館における戦略的な対外発信、国際テロへの対応強化を理由に外務省職員の定員を現在の約6千人から英国並みの6500人に増やすことも提言しています。(11月23日産経新聞) 安倍政権になってから戦略的な対外発信として、これまでも予算や人員が大幅に増えました。しかし、予算が増える一方で、多額の国費を投じているが成果は出ず、無駄使いの温床になっているというのです。 アニメや映画などのコンテンツ、食、観光、伝統工芸など日本の魅力を海外に発信し、産業の成長を目指すクールジャパン戦略。安倍政権下で力を入れて取り組んできた政策のひとつです。 しかし、60億円の投資決定を受けたにもかかわらず、公開はおろか、撮影に至った作品が一本も存在しない官製映画会社。投資を受けずとも、自力で海外進出できる特定の大手企業や、株主として参加している企業に対して「利権化」しているともいえるルール違反の投資を行う官民ファンド。地方自治体の自称「クールジャパン」と名前がつく事業には何でも予算や補助金を出すなど、雑誌『Wedge』12月号では、「クールジャパンの不都合な真実」という衝撃の実態が浮き彫りになっています。 ◆クールジャパン戦略が「クール」じゃない原因 クールジャパン戦略が「クール」じゃない原因は何でしょうか。 ひとつは、政府が主体となって介入しすぎていること、もうひとつは、明確な国家目標(ゴール)がなく、パフォーマンスとしてバラマキ政策になっていることです。 そもそもクールジャパンと言われるアニメや食などの日本文化の魅力は、民間が主体で、世界に広がり、自然にブームが起きました。 そのブームに乗っかるように、いや、ブームが過ぎてからクールジャパン戦略として、経産省、外務省、農水省など各省庁横断のプロジェクトが発足し、司令塔の役割を内閣府・知的財産戦略推進事務局が担っています。 政府は役所と変わらないような機関を立ち上げ、予算を投入したり、関係省庁の人員を増やすことを「成果」とし、仕事をやっているように見せているのですが、客観的に事業として成り立っているか、世界市場に受け入れられているかは考えられていないのです。 最終的には、「お金を、どこが幾ら、ばら撒くか」という発想の下、選挙で勝つためのパフォーマンスや票が取れる団体に、必要であろうが、なかろうが予算や補助金を出して選挙に勝てるシステムをつくっているだけと言っても過言ではありません。 アベノミクスが方向性は良かったけれど失敗したように、クールジャパン戦略も世界に通用するコンテンツを使って、国のイメージを上げ、日本のファンを増やし、経済成長や外交政策に結びつけるという理念の下、成長しそうな分野に国が積極的に投資をしていく、官民一体となってプロジェクトを発足し、ファンドも運用していくなどその方向性は間違っていません。 しかし、思うように効果を上げていないのは、アベノミクスが失敗したことと同じで、あまりにも政府が経済に介入し、民間企業を元気にする政策とブレーキをかける政策とベクトルの違うものを同時に行っているからです。 前述した「歴史戦」に関しても、河野・村山談話以上の安倍談話を発表しておきながら、「我が国の『正しい姿』の発信を拡充するため」に関連予算を増額するという矛盾。 同じ海外からの留学生を受け入れるとしても、国からの補助金をもらってスパイ養成所と化している大学もあれば、国からの補助金は受けず、自前で海外まで足を運んで入学説明会を行ったり、現地の学校と提携して優秀な学生を採用し、国際社会で活躍する人材を育てている専門学校もあります。 また、ある地方自治体の「忍者」をPRする自称「クールジャパン」事業で、わずか年4万件のホームページ閲覧数を獲得するために、2350万もの国費が投入されている一方で、補助金はなく、自分たちで資金を集めながら本来の日本がもつ地域の歴史や文化を活かした、民間主導の宿泊施設の取り組みが海外から注目され多くの外国人で満室になっている事例もあります。やはり、なにかがおかしいのです。 ◆クールジャパンを本当に「クール」にするために クールジャパンを本当に「クール」にするために国は何をするべきなのでしょうか。私は今一度、クールジャパン戦略そのものをもう一度、根本から見直すべきだと思います。 アニメや食、伝統文化は日本の大きな魅力です。しかし、それだけが「クールジャパン」なのでしょうか? 少し、視点を変えてみれば、日本の農業、水、海洋資源、新幹線、リニアモーターカー、安全な原発の技術など産業分野にも世界に誇れる技術がたくさん眠っています。 日本全国にリニア新幹線が通ったら世界の人はなんというでしょうか?日本が有人宇宙ロケットの打ち上げに成功したら世界はどんな反応をするでしょうか?きっと、「クール!ジャパン!」と注目されるでしょう。 今のクールジャパン戦略は民間でできることをわざわざ政府が主導で行っています。 そうではなく、民間だけではリスクが大きすぎるけれど、将来、必ず国益につながるような未来産業に優先して投資をしていく戦略にシフトした方がこの国の魅力は増すのではないでしょうか。 また、日本の国として未来の国家ビジョン、国家目標を示すことが、民間もどの方向に進めば良いかが分かり、安心して事業を起こせますし、日本の大きな夢が魅力となり、海外から投資を呼び込むことにもつながっていくはずです。 日本は、歴史上、数多くの奇跡を起こしてきた国です。日本は、普遍的価値のあるメッセージや誇るべきものを数多く持っています。 日本から様々な考え方や意見を世界に発信し、世界の人々に「あるべき姿」や指針を示すことこそ、本当の「クールジャパン」戦略であり、私たちが目指すべき未来なのです。 日本の製造業復活に向けて—大胆な法人税改革の実施を 2016.11.27 HS政経塾第4期卒塾生 西邑拓真 ◆日本経済の「牽引車」である製造業 安倍政権は現在、2020年ごろにGDPを600兆円に増やす目標を掲げているものの、いまだ低成長に喘いでいるのが現状です。 安倍政権が発足してまもなく4年が経過しようとしていますが、安倍政権の経済政策は、「アベノミクス」第一の矢である金融緩和策に大きく重点が置かれていますが、本格的な経済成長を実現するには、「いかに実体経済をよくするか」という視点が欠かせません。 ここで、戦後経済を振り返ってみると、日本の戦後復興期、高度経済成長期、その後の安定成長期の中で、産業構造の変化は見られたものの、概して言えば、製造業が日本経済を大きく牽引してきました(吉川・宮川, 2009参照)。 現在でも、製造業はGDPのおよそ2割と、サービス業と並んで最大の割合を占めています。また、それだけでなく、製造業は生産・雇用への波及効果が高い産業であるため、製造業が回復することによって日本経済の復活の道筋をつけることができるようになります。 こうしたことを考えても、今、日本経済の再起を考える上では、製造業の重要性を再認識し、その復活を期すための最大限の努力を行う必要があるでしょう。 ◆「六重苦」にあえいできた日本の製造業 では、製造業の再起を図るためには、どのような政策を実施する必要があるのでしょうか。 近年、日本の製造業は、行き過ぎた円高、法人実効税率の高さ、経済連携協定への対応の遅れ、厳しい環境規制、エネルギーコストの上昇、労働規制・人手不足からなる、いわゆる「六重苦」にあえいでいると言われています。 「六重苦」の一つである「超円高」は改善されているものの、他の項目に関しては、まだ課題が残されている状況にあります。 本稿では、製造業復活を喫すべく、特に「法人税」のあり方に焦点を当てて、議論を進めてまいります。 ◆法人税減税の効果 法人税減税の効果は、「立地競争力」が向上するところに求めることができます。 立地競争力というのは、企業が拠点などの立地選択を行う際の、国・地域が持つ競争力のことを指します。例えば、ある地域において、事業コストが高かったり、規制が厳格すぎる場合、企業は他の地域に拠点を置く方が事業を行う際に、より大きなメリットを享受することができます。したがって、「その地域の立地競争力は低い」ということになります。 経済産業省「海外事業活動基本調査」によると、2013年の日本の製造業企業の海外生産比率は22.9%と比較的高い水準が記録されています。企業にとっての事業コストを削減させる法人税減税を実施することで、国の立地競争力が高まり、国内企業がこれ以上に海外流出することを食い止めることができるでしょう。 また、これにより、企業の利益の国内への還流や国内雇用の増大、さらには、国内製造業の知識や情報、ノウハウといった貴重な経営資源が国外へスピルオーバー(流出、波及)することを避けることも期待できます。 一方で、立地競争力の向上で、国外企業による国内投資が喚起されることも指摘できるでしょう。これにより、先ほどとは反対に、国外企業の経営資源が国内へスピルオーバーすることも期待でき、国内外の貴重な経営資源を国に蓄積することも可能となります。 ◆国際的な法人税減税競争の機運 今月8日に行われた米国大統領選に勝利したトランプ氏は、来年1月の就任後の100日間で、法人税率を現行の35%から15%へ一気に引き下げるなどして、「経済成長を加速させていき、最強の経済をつくる」としています。 これまで、米国企業は節税策として、法人税率が12.5%に設定されているアイルランドをはじめとした「租税回避地(tax haven)」への投資を活発化させ、そこを拠点としてきました。 今回、トランプ氏は、大胆な減税策を打ち出すことで、海外事業における利益や、米国企業の莫大な(2兆ドルとも言われる)貯蓄額をアメリカに還流させようとしているわけです。 また、EU離脱が決まっている英国においては、2020年までに法人税を現行の20%から17%に引き下げることが決まっていますが、EU離脱が国内経済へ悪影響を及ぼすことが懸念されています。こうした中、今月21日、英国のメイ首相が「法人税をG20で最低水準にする」と述べたことで、法人税の更なる引き下げが行われる可能性が浮上したわけです。 では、日本の法人税はどうでしょうか。日本の法人実効税率は、2014年3月に34.62%でしたが、法人税減税策により2016年度に29.97%に引き下げられ、2018年度には29.74%となる予定となっています。 確かに、安倍政権の中で法人税改革が取り組まれ、税率が「20%台」に引き下げられたことは事実ですが、国の立地競争力確保という観点を踏まえて法人税減税策が打ち出されている各国の動向を見た場合、まだまだ十分な改革が行なわれているわけではないというのが実際のところです。 ◆大胆な法人税改革の実施を 日本が立地競争力を高め、企業が日本で事業を行うことのメリットを享受するためには、法人税を10%台へ減税するなど、思い切った減税策が必要です。 法人税改革を進め、「小さな政府・安い税金」国家が実現した時、ものづくり大国・日本が復活し、再度、高度経済成長への軌道が見えてくるのではないでしょうか。 参考文献 吉川洋・宮川修子, 2009, 『産業構造の変化と戦後日本の経済成長』,RIETI Discussion Paper Series 09-J-024. 次世代に向けたインフラの進化を 2016.11.24 HS政経塾第2期卒塾生 曽我周作 ◆老朽化するインフラ 近年、笹子トンネルの崩落事故などを契機に、インフラの老朽化の問題が注目されるようになってきました。私達は普段、車や電車で橋を通過する時も、安全で当然のものだという認識をもっているものです。しかし、インフラの老朽化を放置していては、その「安全神話」が崩れることになります。 アメリカでも、老朽化したインフラの問題が深刻化してきており、ミネアポリスの高速道路の崩落や、シアトルの高速道路の陸橋の崩落、メリーランド州の高速道路の陸橋からのコンクリート片落下などが近年起こり、「アメリカにある橋の4分の1が構造的欠陥を抱えるか、老朽化し、2013年の時点で、平均で建設されてから42年が経過し、しかも建設時の想定を大幅に上回る負荷の交通量に耐えている」(※『フォーリン・アフェアーズ・リポート 2016年11月号』「アメリカのインフラを再建するには」アーロン・クライン より)と言われています。 日本で橋の建設がピークに達したのは1970年頃であり、国土交通省の資料によれば、建設後50年を経過した橋梁の割合は2015年時点で18%であり、さらに、10年後の2025年時点では42%になることが見込まれています。アメリカで起きている問題は、日本でも非常に似た状態で発生している感じを受けます。 少なくとも、老朽化したインフラによる事故で、けが人が出たり、人命が失われる事態は避けなければなりません。 そのためには、老朽化したインフラの更新を進めていくことは大切になります。 ◆インフラは経済成長の基盤 しかし、老朽化したインフラを、ただ単に「延命」するだけで良いかといえば、そうではないでしょう。 インフラは人々の生活を支え、経済活動を支えるものです。そして、もちろん災害から人々を守るものであり、国の安全を守るためのものでもあります。 アメリカでは「インフラ整備に向けた連邦政府の投資がピークに達したのは、戦後のアイゼンハワー大統領の時代だった」(※同上)といわれているのですが、そのアイゼンハワー大統領は、インフラ整備が、経済の活性化とともに、国家安全保障にとっても重要だと考え、選挙演説でも「近代的な道路網は国防にとっても、我が国の経済と個人の安全にとっても必要だ」と訴えたといわれています。(※同上) アイゼンハワー大統領にとって、ドイツのアウトバーンを見た経験が、そのような考えをつくる契機になったようです。 日本でも、災害時に物流や人の移動をスピーディかつスムーズに行うことのできるインフラをもっていることが、人々の命を守ることにつながっています。そして同時に安全保障の視点から見てみると、万が一の有事に、インフラがどの程度機能するかということも非常に大切なことになることが分かります。 ともあれ、インフラは、より大きな経済に成長させていくためにも整備すべきものです。田中角栄氏が、日本列島改造論において「移動速度」を上げるための大胆なインフラ整備のビジョンを掲げた視点は、決して古いものではありません。 ◆発展しないインフラが都市の発展を止め、地方を衰退させる 老朽化したインフラの「補修」だけでは、決して成し遂げられないことがあります。 例えば、瀬戸大橋など、それまで「陸路」で繋がっていなかった場所に、そのような橋を建設することで、移動に必要な時間はとてつもなく短縮されることになります。それまで山道のクネクネとした道でしかつながっていなかった場所にトンネルが通ることで、大幅な時間短縮を実現できることもあるでしょう。 インフラを次世代の経済成長を支えられるものにするために「進化」させなければなりません。この視点が抜けてしまうと、インフラへの支出は、単なるストックの維持だけに費やされかねません。インフラの老朽化による更新の必要性を、ある種の奇価とすべきかもしれません。 日本における公共事業関係費は平成10年をピークに大きく減少しております。 ともすれば「公共事業は悪」とみられ、それを縮小すべきだとみられてきました。これは「社会保障は何でも善いもの」とみられがちなのとは対照的です。 しかし、都市部においてもインフラが発展しなければ、その都市の発展を止めてしまうでしょう。そして、地方の特に田舎では少子高齢化と人口減少に苦しみ、衰退の中におかれている場所も多くあるはずです。 ◆新しい視点を持って、移動時間を短縮する、交通革命実現を これからのインフラ投資におけるキーワードは「時間」ではないでしょうか。 北陸に新幹線が開通したのも、これからリニアが建設されるのも、そこで生み出される大きな付加価値は「時間の短縮」です。それが次の経済成長の大きなエンジンになるでしょう。 もちろん大きな投資になります。しかし、これは「消費」や「浪費」ではありません。 幸福実現党は交通革命を起こすための100兆円のインフラ投資を政策に掲げていますが、この投資によって産業が起きたり、経済が成長するのなら、それは単なる借金ではなく「信用を創造するための投資」になります。これは、民間企業だけで十分にできるものではなく、国だからこそ、その実現を早めることができます。国の後押しがあれば、例えばリニアの建設が早まるのは明らかです。 国として、信用の創造に一役買うことができます。国家の経済を成長させる投資になるかどうかが問題です。だからこそ、政府は経済成長のために何が必要かを見極めることが大切です。どうか、有権者の皆様には、明確で夢のある未来ビジョンを持つ幸福実現党の政策に注目頂きたい次第です。 『トランプ大統領』で日米両国の何が変わるのか 2016.11.20 参考「ザ・ファクト」日本に有利?不利? トランプ新大統領の政策を徹底分析する https://www.youtube.com/watch?v=_UbcqOOEzDQ ◆トランプ当選の鍵は「選挙人制度」にあり 米国大統領選挙は、米国内外の多くのマスコミの予想を覆し、トランプ候補の勝利となりました。総投票数で若干劣っていたものの「選挙人」の数においてヒラリー氏を上回っていたために、勝利が決まりました。 米国大統領選挙では、例えばカリフォルニア州は55人、ニューヨーク州は29人などと選挙人数が決まっており、一票でも多い候補がその州の選挙人をすべて獲得するという事になります。 当初はヒラリー候補290、トランプ候補230程度の選挙人獲得が予想されていたので、マスコミはヒラリー圧勝を予想をしていたのです。 しかし、ペンシルバニア州(選挙人20人)、ウィスコンシン州(選挙人10人)など、前回オバマ氏に投票し、その勝利に貢献した地方の白人層及びブルーカラー層が民主党を見限り、トランプ氏へ投票した事が大きかったと分析されています。 ◆トランプの勝因はオバマ大統領にあり それでは、なぜ今回の大統領選挙で上記の有権者がトランプ氏を選択したのでしょうか。 それば、8年間のオバマ大統領による経済政策が間違っていたと判断したからです。彼は、主として以下数点の政策を推進しました。 1、 富裕層と大企業に増税 2、 貧困層優遇、福祉優先 3、 所得の再配分 4、 国民皆保険(いわゆる「オバマケア」) 上記の「社会主義的な」路線をとり続けてきた結果、米国は戦後最低の経済成長率を記録することになってしまいました。 特に「オバマケア」は、当初アメリカ初の国民皆保険制度として、これまで保険に入ることが出来なかった貧困層も加入できるようになり、期待されました。 オバマ政権は将来的保険料が下がることを予想していましたが、逆に大幅な値上がりとなったことが米国民の不信感を増長させた可能性があります。 日本では、自民・民進などの既成政党が、オバマ氏が推進してきたほぼ同様の政策を進め、「失われた20年」とも言われる日本経済の低迷をもたらしています。 一方、トランプ氏に対しては「具体的な政策がない」と批判されてきましたが、彼の発言を注目すると、経済政策として以下4点を挙げることができます。 1、個人と企業に大減税 2、オバマケアを就任初日に廃止 3、インフラへの大規模投資を推進 4、所得の再配分より経済成長重視 上記の政策を通じて、米国経済の復活を有権者が期待したのです。 ◆トランプだと孤立主義になるのか また、外交・安全保障では米国が孤立主義に入るのではないか、と懸念の声も聞かれます。 例えば「日米同盟で日本が米国を助けないのはおかしい」「日本は在日米軍の費用をもっと負担せよ」「さもなければ米軍を撤退させる」等の発言は日本の安全保障を考える上で危機ではないかと感じます。 しかし、トランプ氏の真意は「孤立主義」ではなく「不干渉主義」とも言えるもので、17日に行われた安倍総理との会談でも明確に「日米同盟堅持」の方向で合意をしています。 日本に対する費用負担の話は、ビジネスマンの感覚では、まっとうな主張であり、一方、今まで米国が絶対阻止としてきた日本の核装備は容認へ向かうと思われます。これは日本にとって革命的な出来事です。 さらに広い国際情勢に目を向けると、緊張状態にあったロシアのプーチン大統領とは強い信頼関係を結ぶことで、中東のIS(イスラム国)問題は終息を迎える事になりそうです。 そして、日本・米国・ロシアの関係が強化することで、東アジアの平和が当面続くことにもなりそうです。 トランプ氏はTPPに対して批判的な立場をとるものの、習近平体制で覇権主義を進める中国に対し厳しい対応をとる事になり、日本にとっては安全保障上の脅威が後退する可能性が出てきました。 ◆「幸福実現党」的なトランプの政策で世界の繁栄が見えてきた 勝利が予想されていたヒラリー候補が敗れたということで、選挙当日は世界の株式市場も大きく株価を下げたものの、翌日には大きくリバウンドして現在では上向きのトレンドを維持しています。 元々、共和党内部でもトランプ氏に対する批判は強く、どちらかと言うと、「共和党的」というよりも「幸福実現党的」な経済、安全保障政策を持っているトランプ氏が次期米国大統領に就任することは、米国が再び強い経済力を持つことと同時に、我が日本にとっても失われた20年からの脱却する大きなチャンスであります。 私たち幸福実現党も、日本の更なる繁栄を目指し、経済・安全保障の分野を始め政策の発信を行い、日米両国のさらなる発展に向けて活動を進めて参る所存です。皆さまのさらなるご支援を心よりお願い申し上げます。 儲かる林業の可能性――財政出動の在り方を問う 2016.11.19 幸福実現党・岡山県本部副代表たなべ雄治 ◆林業に未来はあるのか 後継者不足の産業にはいくつかありますが、代名詞の一つと言えるのが林業でしょう。 どうして後継者が不足するのでしょうか。それは、儲からないからです。儲かる限り、後継者は自ずと出てきます。 ではなぜ、林業は儲からないのでしょうか。あるいは、本当に儲からないのでしょうか。現在の林業を儲からなくしている要素がいくつかありますので、見てまいりましょう。 ◆経営規模の制約 山の所有者の方から、冗談半分にこんなことを言われたことがあります。「運び出して売るんだったら、俺の山の木をあげるよ。」と。 お話を伺ってみると、木を切り倒しても運搬に大変コストがかかるのだそうです。林道が整備されていないことがその要因です。 林道を作れば良いのですが、それもなかなか容易ではありません。なぜなら、昨今は山の所有が細切れになっていて、適切なルートで林道を通すことが困難だからです。 近年、所有していても利益にならない山は、遺産相続のたびに深く考えられることもなく気軽に分断されてしまいます。 分断された山の土地は、大変使い難くなります。林道を通したくても、他人の山に勝手に道を作るわけにはまいりません。 運搬に必要以上のコストがかかったら、売れる木材も売れなくなってしまいます。これが問題の一つです。 ◆外材に勝てないのは、値段ではなくて質の問題 たとえ木を安く伐り出すことができたとしても、外材(輸入木材)の値段には太刀打ちできない、という説もあります。 そう思われがちですが、この説は正しくありません。 建築現場で外材が選ばれる理由の一つは、寸法が正確だからです。アジアなどから輸入されてくる外材は、乾燥処理がされているために変形が少なく、木材の寸法が正確なのです。 一方で国産材の7割は乾燥処理がされないまま加工されており、切った後で収縮・変形します。さらに反りなどを補正するための追加工が施され、その結果として国産材の寸法足らずが常態化しています。 また近年は、安定供給という面でも国産材は外材に勝てなくなっています。 外材の方が高価格な場合すらあります。人工乾燥などの設備の整った外材に、国産材は値段ではなく質で負けているということなのです。 ◆財政出動の在り方を考え直そう 現在の林業の多くは補助金に頼っています。間伐については、7~8割を補助金がまかなっています。 しかし、主伐しても売れない材木のための間伐に、税金を投入し続けたところで何かを生み出すわけではありません。財政出動の在り方を考え直すべき時です。 本来、公共投資とは、民間による投資が困難な部門を担うべきものです。 民間の投資が難しいのは、例えば大規模なインフラ投資や、基幹産業の育成、基礎研究への投資や、宇宙開発などの大規模投資など、将来必要とされながらも、すぐに利益を生み出せない部門です。 利益が生まれ始めて市場が形成されたら、そこから先は民間の役目であり、政府は手を引くべきです。 逆に、補助金などをあてにして政府に依存する民間も、自身の役割を勘違いしていると言えるでしょう。 ◆儲かる林業を生み出すための財政出動を 一方で、儲かる林業のモデルとなる、国内林業の成功事例もいくつかあります。 土地の所有権はそのままに、地上権だけを委託してもらって最適な林道を引くなど、山全体での最適な林業経営を実現した岡山県西粟倉村の例があります。 また、森林組合と山の所有者との信頼関係を築き、受託契約率が100%に近い、京都府の日吉町森林組合があります。 いずれも、権利関係の整理や地籍調査が成功の鍵です。それには、全国に散らばった地権者の同意を取らなければならず、大変な作業となります。 こういう部門こそ、政府は支援すべきでしょう。補助金の投入によりこの作業が進めば、全国各地で大規模かつ統一的な林業経営が実現できます。 あるいは、人工乾燥施設の設備投資への減税も一つの手でしょう。 国民の血税が充てられるわけですから、間伐などの、その場限りの補助金ではなく、将来のビジョンの伴う財政出動であるべきです。 現時点で様々な引っ掛かりがあるのが現在の日本の林業ですが、これらの引っ掛かりを取り除くことで、「儲かる林業」は十分に実現可能なのです。 引っ掛かりを取り除くために、規制緩和と併せて、効果的な財政出動を利用すべきです。 幸福実現党は、選挙のための票の買収と見られかねない財政出動は自粛して、未来ビジョンの伴う財政出動の実現に尽力してまいります。 「契約結婚」から税控除のあり方を考える 2016.11.17 千葉県本部 副代表 古川裕三 ◆「契約結婚」って何? いま、「契約結婚」をテーマにしたドラマが高視聴率で人気を博しています。 家事代行サービスを外部委託している独身男性と、臨時のバイトとして家事代行で働きながら「安定した就職先」を探していた独身女性が、お互いに合理的なメリットを感じて、戸籍上夫婦になる、という設定の漫画を原作とした物語です。 結婚といっても、事実上は、夫(雇用主)が妻(労働者)を雇い、家事全般を仕事として任せて、対価として給料を支払うという雇用関係(=契約結婚)というわけです。 ◆専業主婦の年収っていくら? ドラマの第一話にも出てきましたが、専業主婦の家事・育児を給与に換算すると、年収300万円ほどにも相当すると言われています。 単純に、夫が稼いでくる分の半分は、家事や育児を担う妻の稼ぎであり、夫の年収÷2をすれば妻の年収も計算できるという考え方もありますが、一般的には、家事活動の貨幣評価の方法として、機会費用法(OC法)と、代替費用法(RC-S/RC-G法)と呼ばれる二つの手法があります。 OC法は「家庭内ではなく、会社で働いていた場合のお給料」で換算する手法で、RC-S法は、「家事の内容を市場の類似サービス」に当てはめて換算する方法です。そして、RC-G法は、ずばり家政婦さんのお給料に当てはめて算出します。 ちなみに、2011年、内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部がOC法で算出した一人当たりの年間無償労働評価額は、専業主婦が年齢平均で304.1万円でした。 ◆手取りを減少させる様々な「壁」の存在 日本では、専業主婦の年収300万円にも相当する〝内助の功“への配慮として、配偶者控除の仕組みがあります。 たとえば妻の年間の給与収入が103万円以下の場合、夫の所得から一律38万円が控除されます。(手取りが減らないように103万円以下に収入を抑えようとするいわゆる「103万円の壁」があります。) 加えて、先月より、従業員数が501名以上の企業には、社会保険加入の収入基準が年間130万円から106万円に引き下げられ、「106万円の壁」も出現しました。(参照:HRPニュース~パート主婦を襲う「106万円の壁」~http://hrp-newsfile.jp/2015/2488/) これらの「壁」の存在が、「女性の活躍」を阻害しているとして、政府では見直しの動きが出ていました。 ◆配偶者控除の見直しの動き 14日に開かれた政府の税制調査会が所得税改革の中間報告をまとめ、所得税の配偶者控除について「103万円の壁」を是正するため、配偶者控除の上限を130万円か150万円に引き上げる案などを明記しました。 現案では、現行の配偶者控除の仕組みを維持しながら、103万円を超えて150万円以下までは38万円の控除を適用し、150万円を超えたら徐々に控除額を縮減することを想定しています。 つまりは、141万円まで控除額を縮減して適用するという現行の配偶者特別控除をさらに拡大する形式となります。 ただし、厳しい財政事情を踏まえ、夫の年収が1320万円(「所得」では1100万円)、1120万円(同900万円)を超える場合は制度の対象外とする2案を軸に17年度税制改正大綱に盛り込むことを目指すとしています。 政府税調ではこれまで配偶者控除を廃止し、配偶者の収入がいくらであるかにかかわらず、控除を適用する夫婦控除という新たな仕組みも検討してきましたが、頓挫しています。 当初、夫婦控除は、女性の働き方に中立な仕組みとして有力視されていましたが、控除の対象者が大幅に増え、高所得者だけでなく中所得者まで適用外とする必要があり、大幅な税収減となることや、実質増税となる中所得層から票が逃げることを恐れた与党は早々に見送りを決めました。 ◆勤労税額控除の導入を そもそも、夫婦控除導入の議論や配偶者控除の廃止、拡大といった一連の議論は、女性の就労を阻害している「103万円の壁」を是正することにあるわけですが、就労促進を目的とするならば、英米仏など世界でも10か国以上が採用している「勤労税額控除」を導入するのも一案です。 例えば、アメリカであれば、主として低所得者の勤労意欲の促進を意図して労働を要件に勤労者に税額控除する仕組みを採っています。 控除額は所得の増加とともに増加し、一定の所得で頭打ちとなり、それを超える高所得となると逓減するという制度設計がなされています。 日本でも同様に、手取りの逆転現象を是正すべく、例えば130万円前後で控除額を増加させるようにすれば、就労調整をして手取りが減ることを気にすることなく、働けば働いた分だけ手取りが増えるため、勤労意欲も向上し、就労も増えるはずです。 ポイントは非正規(パート)か正規社員かではなく、「働くこと」そのものにスポットを当てていることです。 これによって、就労を阻害している様々な「壁」を突破し、勤勉に努力すれば報われる、という社会に近づくことができるでしょう。 減税を公約に掲げて見事当選を果たしたアメリカの次期大統領、トランプ氏にならい、日本も「偉大な国」の実現に向けて、大胆な税制改正が必要とされているのではないでしょうか。 すべてを表示する « Previous 1 … 28 29 30 31 32 … 78 Next »