Home/ 経済 経済 宇宙産業ビックバン―日本の経済成長を支える100兆円産業へ【後編】 2018.07.27 宇宙産業ビックバン―日本の経済成長を支える100兆円産業へ【後編】 幸福実現党 広報本部チーフ 西野 晃 ◆将来を悲観視する若い研究者たち―研究環境の整備の必要性 日本の経済成長を考える上では、技術力不足・人材不足も課題です。 日本経済新聞の調査では、20代~40代の研究者141人を対象に実施したアンケートで、約8割が「日本の科学技術の競争力が低下した」と回答しました。 同じく、2030年頃の日本の科学技術力の見通しを聞いたところ、約7割が「人材の空洞化が一段と進む」と回答し、将来を悲観視した意見が多数を占めました。 現在、宇宙産業に関わる日本の従業員数は1万人程度、主要ベンチャー企業では合計で260人程度となっています。 一方、大学・大学院の航空宇宙課程からは年間2400人規模の学生が卒業しますが、宇宙産業へ就職する学生は1割未満です。 他産業からの転職組も僅かなため、人材の流動性の低さや最適配置の問題が懸念とされています。 政府は「宇宙ビジネス投資マッチング・プラットフォーム(S-Matching)」などの開設や、宇宙ビジネスアイデアコンテスト「S-Booster」の開催等を通じて、より多くの研究者・企業・アイデアと投資家とのマッチング・事業化支援を図っており、施策の速やかな実行が望まれます。 日本経済新聞の調査・大学「論文の生産性」で世界トップだったシンガポール・南洋理工大学では、人工知能(AI)やバイオなど戦略分野を明確にし、高給を提示して有力研究者を呼び寄せています。 日本も長期的な視野で研究できる環境や研究者の研究時間が確保出来る環境の整備を進め、外国人技術者やインターン(学生)の活用、宇宙研究の広報活動による人材の呼び込み、大学と企業が連携した職業教育システムの構築にも取り組むべきです。 ◆宇宙強国化を進める中国―抑止力となる科学技術力 昨今、国際社会が混迷する中で各国の軍事力が注目される機会も増えてきました。 例えば、中国では2030年までに米国と並ぶ宇宙強国になるという計画を進めており、近年の宇宙進出は目覚ましいものがあります。 2015年には空軍と宇宙開発を統合した空天軍が創設され、中国の宇宙戦略はいよいよ開発段階から実践段階に移行、2016年に中国の宇宙事業60周年を迎えたことを契機に「サイバー空間での軍事的優位を確立するための宇宙戦略」という方針が明らかとなりました。 2020年には火星探査機の打ち上げ、2022年には中国版宇宙ステーションの運用開始まで予定されています。 自民党の宇宙・海洋開発特別委員会は今年、宇宙における安全保障の基本方針を定めた「国家安全保障宇宙戦略」の策定を政府に求める提言案を示しました。 その際、宇宙も含めた軍備を進める中国の脅威などを念頭に、自衛隊の対応能力について、「危機的に不足している」と明記しています。 現在、米国が中国に対して行っている関税発動も、中国への最新技術の流出を防ぐ事が理由の一つとされています。同様に日本の技術者の人材流出も心配されています。 日本の人材流出を防ぎ科学技術力を高める事は、同時に国防にもつながります。中国の軍事的脅威に対する抑止力となるものです。 ◆日本は世界の潮流に乗り遅れるな こういった防衛技術は民間に転用する事によって新たな技術革新を生み出し、産業競争力の強化と経済の活性化にもつながります。 巨大航空機メーカー市場を二分するボーイング社の生産拠点がある米シアトルには、航空宇宙産業クラスターが形成されています。 現在では、ワシントン大学が供給源となって、AIの研究開発で世界最先端のビジネス生態系も形成されつつあります。 このボーイング社は先日、マッハ5で飛行する「極・超音速機」の実用化を目指すと表明しました。世界の主要都市に2~3時間で到達出来るとする、非常に野心的な構想を掲げています。 同様にもう一つの巨大航空機メーカーであるエアバス社の生産拠点がある仏トゥールーズには、フランス国立宇宙研究センターがあります。ここはヨーロッパ各国が共同で設立した欧州宇宙機関(ESA)で中心的な役割を果たしています。 日本も戦略的に宇宙産業を集積させた地域的な取り組みが必要です。例えば特区の活用です。 愛知県や岐阜県、三重県など5県にまたがる地域には、国家戦略総合特区「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」があります。 このエリアは、将来的には東京・名古屋・大阪を結ぶリニア中央新幹線の沿線となる地域で、更なる発展が見込まれます。 岐阜大で航空宇宙産業の人材育成に向けた技術センターを設置する動きもありますが、航空・宇宙産業に特化した大学新設も視野に入れながら、「技術立国・日本」の成長・発展を牽引する宇宙産業エコシステムを構想することも可能でしょう。 その際に人口減少化時代を見据えて、世界中の優秀な外国人技術者を大規模に受け入れられる東海道(東京・名古屋・大阪)メガロポリス新都市計画構想案を検討しても良いかもしれません。 前出のマスク氏は「人類を火星に移住させる」と夢を語り、ベゾス氏も「数百万人が宇宙で暮らし働く時代を創る」とビジョンを掲げます。 日本もこの潮流に乗り遅れてはいけません。世界は今、宇宙産業黎明期の真っ只中にあります。私たちはその宇宙時代の幕開けの瞬間に立ち会おうとしているのです。 (参考) ■竹内一正「世界をつくり変える男 イーロン・マスク」 ■石田真康「宇宙ビジネス入門」 ■大貫美鈴「宇宙ビジネスの衝撃」 ■宇宙産業ビジョン2030について―内閣府 http://www8.cao.go.jp/space/vision/vision.html ■内閣府特命担当大臣記者会見要旨―内閣府 http://www.cao.go.jp/minister/1711_m_matsuyama/index.html#press ■ビジネスの“生態系”がもたらす5つの変化―ハーバード・ビジネス・レビュー http://www.dhbr.net/articles/-/3493 ■宇宙ビジネス投資マッチング・プラットフォーム―内閣府 http://www8.cao.go.jp/space/s-net/s-matching/index.html ■スペース・ニューエコノミー創造ネットワーク―内閣府 http://www8.cao.go.jp/space/s-net/s-net.html ■宇宙イノベーションパートナーシップ―JAXA新事業促進部 (http://aerospacebiz.jaxa.jp/solution/j-sparc/) ■アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区―内閣府地方創生推進事務局 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/sogotoc/toc_ichiran/toc_page/k5_koukuuutyuu.html ■科学技術「競争力低下」8割、若手研究者アンケート、研究時間と予算が不足(ニッポンの革新力)―日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30138080V00C18A5EA2000/ ■土壌を鍛えろ(1)日本苦戦、100位内に4校、大学「論文の生産性」、アジア勢と差拡大(ニッポンの革新力)―日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO31313440T00C18A6TJC000/ ■防衛省 宇宙統括部門を 「自衛隊の対応力 不足」 自民委が提言案―読売新聞 https://news.infoseek.co.jp/topics/20180426_yol_oyt1t50016/ ■ボーイング「極・超音速機」はマッハ5、相次ぐ開発構想―日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33175540Z10C18A7X11000/ ■岐阜大で航空宇宙産業の人材育成を―朝日新聞 https://www.asahi.com/articles/CMTW1807202200001.html 宇宙産業ビックバン――日本の経済成長を支える100兆円産業へ【前編】 2018.07.26 宇宙産業ビックバン――日本の経済成長を支える100兆円産業へ【前編】 幸福実現党 広報本部チーフ 西野 晃 ◆新たな宇宙開発の潮流が始まった―世界を驚嘆させたイーロン・マスク氏 タイ北部で、洞窟に閉じ込められていた13人の少年たちが7月10日に無事救出されました。救助活動が困難を極める中、協力を名乗り出て世界中で大きな話題となった人物がいます。 アメリカの実業家、イーロン・マスク氏です。電気自動車会社のテスラモーターズ社や、国際宇宙ステーションへのロケット輸送を担っているスペースX社のCEOとしても有名です。 マスク氏が作った宇宙ロケットは、NASAが作るロケットの10分の1ほどの費用で製造されています。通常のロケットは燃料がなくなると切り離されて地球に落下しますが、スペースX社のファルコン9ロケットは回収が可能で、最低でも10回は再利用出来る設計となっています。 そのため、大きなコストダウンに成功したのです。民間企業による宇宙進出を大きく前進させたマスク氏の偉業に世界中が驚嘆しました。 このような、「New Space」とも言われる新たな宇宙開発の潮流が世界で始まっています。 ◆各国で進む宇宙産業への支援体制 この大きな流れが始まったのが2005年のアメリカ政府による政策変更です。 スペースシャトルの後継機の開発を民間に任せて、NASAは一顧客として民間ベンチャーから打ち上げサービスを購入するという大転換を行いました。 国家事業から民間主導へと進み始めた事により、商機を見出した投資家や事業家達によって市場が拡大し始めます。 米国の場合、ベンチャー企業が成長出来る素地があります。例えば、冒頭のマスク氏が呼びかければ、マスク効果と呼ばれるような、多くの資金や技術者が集まります。 起業したばかりのスタートアップ企業に対して、投資会社(VC)やエンジェル(個人投資家)による支援体制が整っているからです。 宇宙ベンチャー企業への投資額も全世界で伸びており、2014年に約500億円だったのが、2016年には約3000億円へと拡大しています。 アマゾン設立者のジェフ・ベゾス氏は、自身が設立した航空宇宙企業米ブルーオリジンに毎年1000億円の投資を行うと発表しました。 欧州・ルクセンブルクは、既に巨額のリスクマネーを供給し、法整備や規制環境などを整えて企業誘致を積極的に展開中で、今年には同国初となる宇宙機関の創設を計画しています。 石油依存型経済から脱却し投資収益と知識集約型産業に基づく国家建設を目指しているサウジアラビア政府は、宇宙旅行サービスを目指す米ヴァージン・ギャラクティックに1000億円の投資を行う予定で、宇宙エンターテイメント産業を構築することも視野に入れております。 オーストラリアでも宇宙機関が発足し、今後4年間で同機関の活動や国際協力のために約45億円の予算が計上されました。併せて宇宙利用の予算として同国の地球科学局にも約288億円が割り当てられています。 ◆日本経済の主力エンジンに 2018年4月のIMFによる見通しでは、世界経済の成長率は2018年・2019年共に3.9%に達する見込みです。 一方、宇宙産業の世界での市場規模は、2010年に27兆円だったのが、2016年には38兆円へと拡大しており、成長率は5年間で5%に達します。このペースで進めば2030年代には約70兆円以上に達すると言われています。 100兆円市場に向かって成長する宇宙産業ですが、同規模の市場と言えば自動車産業やIT産業など様々です。 非常に大きな経済効果を発揮する産業が新たに誕生すれば、日本の経済成長を一段と加速させるチャンスでもあるため、日本も負けてはいられません。 日本では、2009年6月に策定された「宇宙基本計画」の中で、宇宙政策を「研究開発主導から高い技術力の上に立った利用ニーズ主導に転換」することが明示されました。 それを受けて、官僚システムの中心が、文部科学省から経済産業省に移管したことによって、ベンチャー企業やこれまで宇宙と関係のなかった異業種企業の参入が本格的に加速しています。 日本の宇宙関係の国家予算は3550億円、対して米国の予算は約5兆円と10倍以上の差があります。 国内市場規模は1.2兆円となっており、各種インフラ・金融・医療・物流などと比較するとまだ小規模と言えます。 日本政府は2018年度から5年間、日本政策投資銀行や官民ファンドの産業革新機構を通じて、1000億円規模のリスクマネーを民間宇宙ビジネスに投入する方針を明らかにしました。 宇宙産業に関わる日本のベンチャー企業は現在20社程度ですが、ボトルネックであった資金調達の環境も改善されつつあります。 日本の自動車メーカーや航空事業者・玩具メーカーといった「非宇宙系企業」が、スポンサーシップやパートナーシップ等で参画するといった日本独自の動きも起こり始めています。 国債の発行などによって宇宙産業への投資を集中的に行うとともに、国は一定程度を支え、民間主導の産業振興が行われる環境整備を急ぐべきです。 幸福実現党では、高付加価値の未来産業に対して、10年以内に100兆円を投資し、振興を図ることを提案しております。宇宙産業もその一つです。日本経済の主力エンジンの一つとして期待される成長産業として積極的に取り組む必要があると考えます。 (参考) ■竹内一正「世界をつくり変える男 イーロン・マスク」 ■石田真康「宇宙ビジネス入門」 ■大貫美鈴「宇宙ビジネスの衝撃」 ■平成29年度宇宙関係予算案について―内閣府 http://www8.cao.go.jp/space/budget/h29/fy29yosan.pdf ■宇宙産業ビジョン2030について―内閣府 http://www8.cao.go.jp/space/vision/vision.html ■世界経済見通し―IMF https://www.imf.org/ja/Publications/WEO/Issues/2018/03/20/world-economic-outlook-april-2018 ■内閣府特命担当大臣記者会見要旨―内閣府 http://www.cao.go.jp/minister/1711_m_matsuyama/index.html#press ■成功者が語る「米国ベンチャー企業の必達条件」―PRESIDENT Online http://president.jp/articles/-/13885 ■「マスクがやるなら」 リスクに乗る者たち―日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31604420R10C18A6000000/ ■宇宙政策、ビジネス重視に 政府の工程表見直し―日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31816140V10C18A6TJM000/ ■宇宙ベンチャー、成功する?-奥平和行編集委員―日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32489600S8A700C1I10000/ 「ユーロ」の行く末――ギリシャからイタリアへ 2018.07.17 「ユーロ」の行く末――ギリシャからイタリアへ HS政経塾 第7期生 安原 宏史(やすはら ひろし) ◆イタリア発の経済混乱 2018年3月4日。イタリアの総選挙で与党民主党が惨敗、コメディアン出身のディマイオ氏率いる「五つ星運動」と「同盟」の連立政権が誕生しました。 両政党ともEU懐疑派です。新首相のコンテ氏は、内閣発足時の所信表明演説の中で、最低所得保障導入(ベーシック・インカム)と減税に向けた税制改革など、両立しがたい政策を掲げました。(※1) 結果、急激なイタリア国債売りが進み、金利が急上昇、市場が混乱しました。今後、EU離脱に加え、イタリア発の経済危機にも備える必要がありそうです。 ◆欧州危機のからくり イタリアの経済危機はどう発生し、どう波及するのでしょうか。その鍵はイタリアの経済規模と債務の大きさです。 イタリアはギリシャの約10倍のGDP(約210兆円、2017年時点※2)です。債務は約265兆円(2016年時点※3)で、EUで1位、世界第4位の大きさです。 金融危機対応のための欧州システムであるESM(欧州安定メカニズム)準備金は約100兆円ですが、これを超えたらユーロ圏では対処不能、世界的規模の恐慌となる可能性があります。 国債の金利が7%近くなると、いわゆるジャンク債(紙切れ)扱いされ、デフォルト(債務不履行)の懸念が高まります。金利が上がれば上がるほど、債務国の財政負担はますます厳しくなり、新規国債発行も買い手がつきません。 国債は売られる一方で資金調達の術なく、破産状態に陥ります。これがユーロ危機のからくりです。 ◆ユーロ圏の抱える「構造的な問題」―為替変動と各国経済の乖離― ギリシャ、イタリア、スペイン、フランスなどの南欧では、財政赤字対GDP比3%以内、累積債務残高対GDP比60%以内などのEUが定める厳しい財政規律をクリアできずにおります。 この財政規律達成のためにも、国内産業育成による経済成長が必要です。 しかし問題なのが共通通貨ユーロというシステムです。共通通貨ユーロを採用するユーロ圏各国の金融政策はECB(欧州中央銀行)が一括で行い、各国経済に応じた独自の金融政策はとれません。 通常、各国の経済の強さに応じて為替は変動しますが、ユーロ圏各国では「ユーロ圏の経済力」として為替が推移します。 ドイツのような経済強国では、本来の為替より低く推移し、ギリシャのような経済弱少国では、本来の為替より高く推移します。 ドイツは輸出に有利、ギリシャは輸出に不利だと言えます。発展途上国の成長モデルでは輸出増が大切な要素ですが、ドイツ製の割安で質のいい製品ばかりを消費者が好むなど、国内産業が成長していきません。 ◆ユーロ圏の抱える「構造的な問題」―各国バラバラの財政政策― また、金融政策は統一にも関わらず、財政政策が各国独自である点も問題です。先に述べたイタリアの例が顕著です。 ただバラバラといってもルールはあり、ユーロ圏は財政面でも厳しい規律を求め、基準を超すとペナルティがあります。当然、バラマキや年金、雇用や労働規制についての構造改革は必要です。 しかし結果として、減税や公共投資なども絞られ、有効需要の創出まで削がれてしまいます。国内経済の成長戦略が採りづらいのが問題です。 ◆ヨーロッパ合衆国構想とユーロ圏の行く末 ただ、もしユーロ圏が金融・財政政策とも均一であれば、この危機を超えられるかもしれません。 つまり、ユーロ圏の各国が日本の都道府県やアメリカの州のような位置付けとなり、全体として合衆国的に動くということです。 ただ、そのためには財政政策の決定権等を中央に移譲せねばならず、国の主権放棄と言えます。それを各国が呑めるかといえば、現実的に考えて難しいのではないでしょうか。 思うに、EUの前身であるECができた時に英国首相サッチャーが参加を拒否したのは、主権の放棄につながると直感的に感じたからではないでしょうか。(※4) 結局ユーロ圏がユーロ圏である限り、改革不能な問題をはらみ続けております。未来にEUや共通通貨ユーロがあるかどうか―。 それは、(1)危機は構造上の問題 (2)EU合衆国実現の見通しも限りなく厳しい、ということから、「ユーロ圏はどこかのタイミングで体制の崩壊に繋がる可能性がある」と言わざるをえません。 【参考文献】 白井さゆり2011「ユーロ・リスク」 藤原章生2010「ギリシャ危機の真実 ルポ『破綻』国家を行く」 ※1日本経済新聞2018年6月5日「イタリア新首相『我々はポピュリズム政権』 上院で所信表明」 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31416050V00C18A6FF8000/ ※2世界銀行データバンク https://data.worldbank.org/indicator/NY.GDP.MKTP.CD?year_high_desc=true ※3IMFデータバンク http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2018/01/weodata/weorept.aspx?sy=2016&ey=2023&scsm=1&ssd=1&sort=country&ds=.&br=1&pr1.x=30&pr1.y=10&c=122%2C941%2C124%2C946%2C423%2C137%2C939%2C181%2C172%2C138%2C132%2C182%2C134%2C936%2C174%2C961%2C178%2C184%2C136&s=GGXWDN&grp=0&a= ※4大川隆法著「サッチャーのスピリチュアル・メッセージ」9「EUの失敗」は予測していたP.113 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=933 移民を受け入れ、豊かで魅力ある日本にするために 2018.07.13 移民を受け入れ、豊かで魅力ある日本にするために 幸福実現党・東京都本部江東地区代表 HS政経塾第5期卒塾生 表なつこ ◆減り続ける日本人と、増える国内の外国人 今月11日、総務省が人口動態調査を発表しました。 それによると、2018年1月1日現在の日本人の総人口は、前年より37万4055人減の、1億2520万9603人(0.3%減)です。減少幅は過去最大です。 年齢別では、労働力とみなされる「生産年齢人口」の15~64歳が、初めて全体の50%台に突入しました。 対して、日本人と外国人の合計に占める外国人の割合は増加の一方で、外国人を調査対象に加えた2013年以降で最高の249万7959人となりました。 国内では、人手不足に悩む企業が、海外からの技能実習生や留学生を雇う動きが広がっています。(※1) ◆「外国人材は移民ではない」? 日本の矛盾 先月15日、政府は「経済財政運営と改革の基本方針2018(骨太の方針2018)」を閣議決定しました。 「外国人材の受入れを拡大するための新たな在留資格をつくる」など、外国人材の受け入れを今後も進める方針が明記されています。 ですが同時に、その受け入れ拡大について「移民政策とは異なるものとして」という文言が入っています。 政府は、「労働力として外国人材は受け入れるが、これは移民政策ではない」と主張しているのです。 しかし、国連の定義では、移民とは「通常の居住地以外の国に移動し、その国に12ヶ月以上住む人」とされています。 「移民政策ではない」と政府が言う理由は、政権支持層の多くが移民反対派だからだ、などと指摘されています。 移民政策に詳しい多くの有識者からは、「事実上の移民政策なのに、単なる『労働力』としてしか外国人材を見ていない」「定住を前提にするべきだ」という批判や提言が出ています。(※2) 定住が認められた移民は国内で旺盛に消費してくれますが、認められない外国人は消費を抑えて母国にお金を持ち帰ろうとするために、日本経済への貢献があまり期待できない、という指摘もあります。 ◆他国の失敗・成功事例に学ぶ ここで、ドイツ(大きくは欧州)の移民政策の事例を見ていきたいと思います。 ・失敗(1)定住を想定せず受け入れた 1950年代~70年代、ドイツは深刻な労働力不足に陥り、「ゲストワーカー」という短期の外国人労働者を受け入れましたが、人手不足の常態化によって、外国人労働者は家族を呼び寄せドイツ国内に定住していきました。 しかし、ドイツ政府は「彼らは移民ではない」というタテマエを貫いたため、法的な保護を受けない中途半端な立場の移民が増加しました。 ・失敗(2)「多文化主義」をとりすぎた 今度は、移民の言語や文化を尊重するリベラルな「多文化主義」がとられました。 しかしその結果、移民は自分たちのコミュニティを作り、受け入れ国となじもうとしない、社会の断絶が生まれてしまいました。 ・成功事例 以上の反省から、現在は、「インターカルチュラル(異文化間交流)」政策がとられるようになっています。 これは、移民コミュニティと受け入れ側のコミュニティの間で積極的に交流を行い、相互理解を深めるところが特徴です。 また、移民のもたらす新たな文化を、地域活性化のテコにしようと考える点も特徴的です。 ドイツでは、母国で取得した資格がドイツでも有効、ドイツ語能力の強化支援、生活面のカウンセリング、移民の起業支援などの、社会統合政策がとられています。 異文化間交流が進んでいるイタリアのレッジョエミリア市副市長は、「自分たちと彼ら」ではなく、「われわれレッジョエミリア市民」という一体感が大事だ、と語っています。 また、おもしろい事例としてカナダでは、求める移民の人材像を各州が明確にし、それに合った基準や項目を設けて移民を公募しています。 オンライン上の事前審査で、移住の可否と、申請者に適応した移民プログラムが提示されるそうです。 ◆移民受け入れマインドの醸成を 以上のような他国の事例を見ると、「移民ではなく労働者」という扱いのまま、彼らの母国文化や日本での暮らしのことを考えないでいると、日本もドイツなど欧州がたどった失敗を踏襲してしまいかねない恐れがあります。 日本には、1995年の阪神淡路大震災から生まれた、多文化共生という取り組みがあります。 在外外国人に震災時の支援をすることから始まり、今では多くの自治体がこの取り組みに基づき外国人住民との共生を進めています。 移民は、日本の成長に必要だから来てもらうものです。 移民の受け入れは、親日国から段階的に進めていくべきであり、なし崩し的に受け入れるのでは将来に不安が残ります。 外国人に国内で労働してもらうのなら、日本は腹を括って、「一緒に、豊かで魅力ある日本をつくろう」と、受け入れのマインドをつくるべきではないでしょうか。 【参考文献】 毛受敏浩 (2017)『限界国家』 朝日新書 ※1朝日新聞デジタル2018年7月11日「日本人37万人減、総務省人口調査 外国人は最大の増加」 https://www.asahi.com/articles/ASL7C4DZ0L7CUTFK00C.html ※2 ・ハーバービジネスオンライン2018年6月20日「安倍政権による事実上の移民受け入れ宣言 『骨太の方針』の『骨なし』っぷり」 https://hbol.jp/168632 ・西日本新聞2018年6月18日 「外国人就労拡大『定住前提に支援を』 教授に聞く政府方針の課題」 https://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/425498/ ・現代ビジネス2018年6月13日「日本政府はなぜ『移民政策ではない』という呪文を唱え続けるのか」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56081 RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用した行政の効率改善に向けて 2018.06.14 RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用した行政の効率改善に向けて 幸福実現党公認 薩摩川内市議会議員 松澤 力 ◆喫緊の課題である日本の行政関係機関の業務効率化 内閣府「平成28年版高齢社会白書」によると、2025年に日本の人口は700万人減少し、15歳から64歳の生産年齢人口が約7,000万人まで落ち込むと懸念されています。 生産労働人口が減少する中、日本が国際競争力を強化するには効率改善による生産性向上が必要です。 欧米各国では行政にもデジタル化が進められている中、日本では中央官庁や地方自治体の行政関係機関の業務効率化の遅れが指摘されています。 特に人口減少が著しい地域では行政の業務を大きく見直すことが喫緊の課題となっており、デジタル業務支援の必要性も増しています。 ◆業務効率化で注目されるRPA 日本や欧米の先進的な企業では、デジタル業務の生産性を高めて競争力を生み出す取り組みの一つとして、RPAに注目が集まっています。 RPA(Robotic・Process・Automation=ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、オフィスなどで人間が手作業で行ってきたことを、ルールエンジン・AI・機械学習などの認知技術を取り入れたロボットに代行してもらうことにより、業務の大部分の自動化や効率化を図る取り組みのことです。(5/9・時事通信) 構造化されたデータを収集・統合し、システム入力するといった単純業務を自動化することが可能になっています。特に以下のような業務は、RPAと相性が良いとされています。 ・一定のルールに従って繰り返し行われる ・構造化されたデータを扱う ・業務プロセスが標準化されている ・プロセス実行に3人以上のリソースが求められる ・ヒューマンエラーが起こりやすい ◆つくば市で「作業時間を8割減らす」RPAの活用 茨城県つくば市は、行政の一部の部署で試行したロボットによる事業所データなどの入力作業について、職員の作業時間を約8割減らす効果が見込めるという実験結果を発表しました。つくば市では9月にもRPAを本格導入する予定です。 市役所の業務には、定型的な作業がありますが、作業量が多いため労働時間を多く費やしているものもあります。特に確定申告時期の税務処理は、多くの時間外労働が担当課職員に課せられている状況にあります。 これらの課題解決のため、RPAを活用することで「作業時間の短縮」と「ミスの少ない正確で的確な処理」の効果が期待されます。 つくば市は2018年1~4月、NTTデータなど3社と契約し、市民税課の5業務、市民窓口課の1業務の計6業務でRPAを試行しました。 その結果、住民税を源泉徴収する事業所のデータを仕分ける作業では、従来450件分に約17時間かかっていましたが、職員の作業時間が約4時間半に短縮しました。 6業務で年間通じてRPAを導入した場合、約511時間から約102時間へと、作業時間の約8割を減らせる見通しになりました。(5/20・毎日新聞) また、つくば市の職員の声として、「処理件数が年々増えていく一方で、対応できる職員数は限られており、RPAによって簡易な入力、確認作業が軽減できてとても助かった。」(市民税課)、「単純な事務作業にかける時間が他の業務に回せるようになるので、ぜひ早期導入を期待します。」(市民窓口課)などの好意的な声が出ています。 ◆地元・薩摩川内市での業務効率化の取り組み 私が市議会議員として活動しております、薩摩川内市においては、今年度から市議会でタブレットを活用した議会活動の取り組みが進んでおり、議会資料のペーパーレス化や資料印刷・製本の作業効率改善が期待されています。 今後、市議会だけでなく、市当局ともタブレット活用で連携した取り組みをすることができれば、更に議会・行政の業務効率改善が見込まれます。 さらに、つくば市のように、薩摩川内市でもRPA活用によって行政の効率改善が可能になります。行政職員の一日の作業時間を減らすことで、今までの作業時間を住民へのサービス向上の取り組みに振り替えることもできます。 今後、日本の行政関係機関の業務効率化のため、RPAを各自治体で活用していくことが求められます。薩摩川内市においても実現していくため更に努力を重ねて参ります。 日本農業の再生――農家の現実とその打開策 2018.05.24 日本農業の再生――農家の現実とその打開策 幸福実現党 広報スタッフ 佐々木勝浩 ◆米作農家の現状 私の実家は福島で、父が米作農家として2ヘクタールほどの農地を営んでいました。 他にも1ヘクタールの稲作を数軒の農家から頼まれ、春の田植えと秋の稲刈りの繁忙期には私も休日に手伝っていたのです。 その父が脳出血で倒れたのは、一昨年の秋、稲刈りシーズンの真っただ中でした。 親戚から連絡を受けて実家に戻ってみると、まだ籾摺り作業(玄米にする作業)と出荷が終わっていません。 それから毎週、実家に戻り父の見舞いをしながら、残りの農作業を従兄や近所の方の協力でやり終えました。 作業の休憩中は、缶コーヒーを飲みながら、次のような何気ない話が始まります。 「ほったらかしで草が茫々にしたら周りの迷惑になるから仕方なく米作りをやっているようなものだ。米は全然儲からない。」 一年で何俵の米が収穫でき売り上げはいくら。そこから機械代と肥料などを支払うと実収入は数十万。これでは生活ができません。 だからみんな別の勤めに出て、田んぼの耕作は誰かにやってもらおうとします。それで父に耕作の依頼が来るわけです。父は何軒かを束ねて収益を上げていたという状況でした。 父のような「米作請負人」がいなければ、田んぼは休耕地となり、そのうち耕作放棄地になっていきます。雑草の根が土深く入っていくと、農地に戻すことは難しくなります。 我が家の農地も例外ではなく、昨年1年間は休耕地にせざるを得ませんでした。幸いに地元の農業委員会の紹介で、今年農地を借りてくれる方が見つかりました。 しかし、最初に言われたのは、「農地の借り手はなかなか見つからない。今は逆にお金を払ってでも農地を借りてもらう時代だ」と。 それでも、休耕地の何の生産性のない草刈りを年に数回やるよりはいいのです。 それに農地を荒らしたまま放置すると固定資産税も上がります。税金を上げることで耕作放棄を防ごうとしているのでしょう。 しかしながら私の実家の周りでも休耕地がどんどん増えており、行く行くは、ここも、あそこも農業はやらないという声を聞いています。 農林水産省の農業労働力に関する統計を見ると、平成22年は260,6万人、27年は209,7万人、28年は192,2万人、平成29年2月時点の概数値は181,6万人と農業従事者は減少傾向にあり、平成29年データでは66%が65歳以上です。(※1) ◆休耕地の打開策 農業就労者が高齢化し減っていく中で、農業経験者の中から休耕地の耕作者を探すことは益々困難になります。 農業委員会の方の話では、最近は他県からの若い世代の新規就農者が増えているそうです。 平成26年は新規就農者数5,7万人のうち1,8万人は44歳以下。平成26年から平成27年の1年間で1,300人も若年層が増加しています。(※2) 増えている理由は、平成21年の農地法の改正の規制緩和で、一般の個人や企業も農地を借りられるようになり、さらに平成27年の農地法の改正では、農業に従事していない企業や個人も農地を所有できるようになったことです。(※3) それでも、休耕地の拡大の勢いに歯止めはかからないでしょう。 農業委員会の方の話では、政府が進めている農地集約は進んでいないそうです。休耕地は虫食い状態でバラバラに離れているので、農地の交換などで集約するのは困難だからです。 どうすればそれを打開できるでしょうか? 農業に従事したい企業に、まとまった農地を提供できれば日本の農業は一気に大規模化できるはずです。 そのためには、国や市町村が農地を買い上げ、工業団地のように企業に提供するとか、不動産の家賃のように貸すとかを考えてもよいのではないでしょうか。 先進的な技術と六次産業化のノウハウがある企業に借りてもらえば、農家も賃貸的な収入が見込めます。 このように国や市町村が農地を集約し、工場団地のように企業が参入できるようにすれば、農業の大規模化は一気に進み、地方人口の増加、雇用創出につながるでしょう。 ◆農業は食糧安全保障 最近は中国が国家を上げて有機野菜の生産に力を入れており、近い将来、中国産の有機野菜が日本のスーパーに並ぶ時代が来ます。(※4) かつて中国はレアアースの対日輸出禁止を外交カードに使ったように、今度は食糧が対日圧力のカードになる可能性があります。 農業の再生、国の食料生産量をアップさせることは食糧安全保障にもつながっていくのです。 参考 ※1 農業労働力に関する統計(農林水産省) http://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/08.html#1 ※2 新規就農者調査(平成27年新規就農者調査) http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sinki/ ※3 一般企業の農業への参入状況(平成28年12月末) http://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/sannyu/kigyou_sannyu.html ※4 汚染なき安全な中国の「緑色食品」、世界に浸透(中国メディア サーチナ 2010年10月5日) https://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20101005/Searchina_20101005021.html 経済発展に必要な「愛国心」教育 2018.05.05 経済発展に必要な「愛国心」教育 HS政経塾 第6期卒塾生 坂本麻貴 ◆経済成長時期の見送りとモノづくり産業の人材不足 日本の発展を支える成長産業の半導体において、技術者の枯渇が深刻な問題となっているということが、5月2日付の日経新聞(注1)で報じられました。 記事によると、中国国有企業の長江存儲科技(YMTC)は、自前でフラッシュメモリー開発を進めるため、東芝の技術者をヘッドハンティングしているという記事です。 また、自動車運転技術の普及によって、半導体技術に精通する技術者が要になり、昨年末にはデンソーが東芝の四日市工場から開発チームを引き抜いたことも大きなニュースとなっていました。 そのため、メモリー需要の拡大で東芝が三重県四日市市と岩手県北上市に新製造棟を稼働させる計画で、十分な技術者を確保できず、頭を抱えているというのです。 同じ日の日経新聞で、プライマリー・バランスの黒字化達成を、これまでの目標から5年先送りし、2025年度とする検討に入ったことが報じられました。 日本の経済低迷には、こうした企業の苦悩も一因となっていると考えられます。 ◆プライマリー・バランスの黒字化には「減税」を 政府が目指す目標を実現するには、高い経済成長が必要になります。しかし、実際には簡単ではないようです。これまでも何度か、黒字化達成時期を先送りにしてきています。 今のままの政府の戦略では、結局2025年でも達成できず、2030年、2040年と先延ばしされる可能性も非常に高いと思われます。 幸福実現党は、経済成長させるために、消費税や法人税の減税の必要性を訴えてきました。 具体的には、消費税の税率では、現行の8%から5%へ引き下げるというものです。 5月1日に自民党の若手議員がつくる「日本の未来を考える勉強会」が、消費税率10%への引き上げの凍結をうったえていましたが、「凍結」では8%のままです。 人口が減少傾向にあるからこそ、消費税率を引き下げて、成長していける土台を作らなくてはなりません。 こうした「減税政策」とともに、経済成長のためには、専門技術をもつ人材の育成に力を入れる必要があるということが、この記事からうかがえるのではないでしょうか。 ◆「愛国心」が技術者を育てる 日本を代表する企業であるトヨタ自動車の創始者・豊田佐吉も、パナソニックの創始者である松下幸之助は、「愛国心」をもっていました。(注2) 愛国心について、幸福実現党創立者である大川隆法総裁は次のように指摘しています。 「愛国心というのは、国を発展させる大きな力になります。やはり、富を生産していく人、新しい価値を創造していく人をつくらなければいけません。」 「そのためには、国を愛していなければならないし、『国を愛して立派にしていくことは、よいことだ』と考えて努力することを認めなければいけないのです。」(『教育の使命』)(注3) また、次のようにも指摘しています。 「不況期における、いちばん正しい考え方は『人材教育』です。これが、いちばん効果があるのです。『不況期は人材教育の時期である』と考えたほうがよいでしょう。」 「リーダーであるならば、自分の部下たちをしっかり教育することです。『今は、お客様が大して買ってくれない時期である』と思うならば、教育の時期であると考えて、しっかりと『仕込み』にかかることです。」(『朝の来ない夜はない』)(注4) 国を愛する心が、日本という国で働く誇りにもなります。企業を支える人材を多く養成するためにも、愛国心教育を公教育に取り入れていく必要があるのではないでしょうか。 (注1)5/2日本経済新聞「技術者枯渇 東芝の苦悩 半導体メモリー増産に暗雲」 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO30054380R00C18A5EA1000/ (注2)『かえりみて明日を思う』松下幸之助 著/PHP研究所 (注3)『教育の使命』大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=906 (注4)『朝の来ない夜はない』大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=120 2020年以降、発展していく日本をつくるために 2018.04.29 2020年以降、発展していく日本をつくるために 幸福実現党・東京都本部江東地区代表 HS政経塾第5期卒塾生 表なつこ ◆東京オリンピック開催まであと816日 2020年東京オリンピックの開幕まで、あと816日となりました。(2018年4月30日現在) 今回は、2020年をポイントに、日本経済について考えてみたいと思います。 今から2020年までの二年間は、政府による2016、2017年の財政出動の影響とオリンピック関連需要の効果で、比較的景気の良い状態になると予想されています。 ですが、オリンピック後は需要の減少のため、過去の開催国では、好景気を維持できた国がほとんどありません。 それでなくとも、日本は1000兆円に及ぶ政府の借金や年金問題など、国内経済の未来に不安が尽きません。 2020年の後も日本を好景気にしていくための取り組みが、大きな課題なのです。 そこで、東京オリンピックをきっかけにもう一度景気を良くすることを目指すと同時に、世界に発信できる中身をつくっていくことが必要だと考えます。 ◆景気を良くするために まず、景気をはかる「潜在成長率」について説明します。 潜在成長率は、その国の成長度合いを計算する指標であり、 (1)企業の設備(資本) (2)労働力 (3)企業の技術進歩や効率化による生産性 という三つの要素から成り立ちます。 ですが、他の先進国と比べても、日本は長らくこの潜在成長率が低いままです。 なぜなら、資本に関しては、長引く不況で経営陣が慎重になっており、企業の内部留保は高いのに設備投資が進んでいないからです。 労働力も、日本は人口減少の状態で、簡単には増加しません。 したがって、(3)の「企業の技術進歩や効率化による生産性」を上げること、つまり、労働に付加価値をつけることが最後の手段になってきます。 実際に、人口は減っていても成功している地域や企業はたくさんあります。(※1) 要するに、景気上昇のためには、生産性を上げるような創造性が不可欠ということです。 行政には、個人の創造性や社会のニーズに対応し、変化していくことが求められます。 個人においては創造性を発揮し、仕事の付加価値を上げることが必要になります。 例として挙げられるのは、1964年東京オリンピックの際の、新幹線の開通や、後のファミレスにつながるセントラルキッチン方式の食事提供などです。 速さ、大量生産などの付加価値で、社会のイノベーションが起こりました。 また、オリンピック後に景気が後退しなかった1996年アトランタオリンピックの際は、IT革命という、オリンピックとは無関係のところで起こったイノベーションが、景気上昇を担ったと言われています。 ◆他国に語るべき中身をつくるために 日本は長らく世界第二位の経済大国であり、世界的に発言権はあったにもかかわらず、他国に語るべき内容を持っておらず、「エコノミックアニマル」と揶揄された時期もありました。 語るべき精神性のない経済成長では他国に見下される、ということを経験したのです。 他国に見下される状態では、安全に問題が起きます。 今、北朝鮮問題など日本を取り巻く国際環境は危機的な状況にあるため、日本の安全保障を考えることが何にもまして重要です。(※2、※3参照) 国内の創造的な活動によって景気が回復し、内閣支持率が高い数字で安定すれば、憲法9条改正に向けた議論にも取り組みやすくなり、日本の安全が向上するというメリットも考えられるでしょう。 そのために思い出していただきたいのが、日本をつくってきた歴史的偉人の存在です。 日本の未来のために警鐘を鳴らす行動をし続け、斬首刑になるも、志を継ぐ維新の志士を多く生み出した吉田松陰。 薩摩と長州という、反目しあっている勢力を結びつけて江戸の無血開城を実現し、近代日本の幕を上げた坂本龍馬。 経済という面では、貧しいながらも、自分で育てた菜種を収入源に、買った油の灯りで勉強し続け、いくつもの藩の財政再建を成し遂げた二宮尊徳などもいます。 どの偉人たちも、その行いの動機には「将来の多くの人の幸福をつくる」という利他の思いがありました。 ◆自分たちで切り拓く力強い未来ビジョンを持とう 私たちは、景気を良くしていくための行動の中に、精神性を入れなくてはいけないと考えます。 それは例えば、自国の偉人たちから学べる「多くの人の幸福を願って信念を貫く」という精神や、「国を良くしていくのだ」「悪事を考える国を増長させてはいけないのだ」という気概だと思います。 武力をもって侵略的態度をとる独裁国家に負けないよう、東京オリンピックの成功をめざし、その後も好景気の明るい未来を、自分たちで力強く切り拓く日本にしてまいりたいと思います。 【参考文献】 岸博幸 (2018)『オリンピック恐慌』 幻冬舎文庫 ※1 The Liberty 2018年5月号「人口が減っても客は増える」 https://the-liberty.com/article.php?item_id=14264 ※2 JBpress 2018年4月25日 小森義久「北朝鮮に騙されるな! 核兵器開発は完了した」 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52937 ※3 朝鮮半島の非核化――対話だけでは解決できない(前編) http://hrp-newsfile.jp/2018/3339/ 朝鮮半島の非核化――対話だけでは解決できない(後編) http://hrp-newsfile.jp/2018/3341/ 農産物のブランド力強化で風評被害の払拭を! 2018.04.19 農産物のブランド力強化で風評被害の払拭を! 幸福実現党 宮城県本部副代表 HS政経塾第5期卒塾生 油井哲史(ゆいてつし) 3月末、農林水産省が初めて福島県産農産物の流通実態について、調査を行いました。 東日本大震災から7年を経ましたが、風評が根強く残るとともに、他県産に取り扱いを変えた事業者が福島県産に戻す動きが鈍い現状が浮き彫りとなった結果でした。 このように福島県産農産物を取り巻く状況は、まだまだ好転していません。 ◆福島県産農産物の扱い減、安値が続く 首都圏の仲卸業者139社を対象にした福島県産青果物の調査では、原発事故後に取扱量が減ったと答えた事業者はアスパラガスが全体の33%、キュウリは29%、トマトは28%、リンゴは25%、あんぽ柿は24%、桃は23%を占めています。 理由として、「販売先による別産地の指定があるため」が43%、「販売先が福島産以外を希望していると想定されるため」が39%と風評被害の影響がみられます。 さらに取引価格も全国平均との差が開いたままです。 県産米は14年産で10.4%差から16年産では4.9%差と回復傾向にありますが、事故前の価格差が1%程度だったことを考えるとその差が解消されていません。 県産桃は価格差が42.8%から15年産の15.8%まで縮まりましたが、17年産は23.3%と再び拡大しています。 消費者アンケートでも、「安全性に不安がある」と2割近くの回答があったことから、福島県産の悪いイメージがぬぐえておらず、抵抗感が残っています。 福島県産農産物の安全性は、県が放射性物質検査の実施を徹底しています。 米については、「全量全袋検査」を実施しており、このような取り組みは世界でもまれであるため、世界一厳しい基準と検査といわれています。 政府は、県産品の安全性に関する周知を関係省庁と連携して進め、正しい情報発信によるイメージアップ戦略の強化で風評払拭に努めていくことが必要です。 ◆福島県産を選んで頂けるブランド力づくり 一方で、今回の調査から安全性のPRという従来の取り組みだけでは限界があることもわかりました。 「一度外した商品を棚に戻すことは難しい」「業者が福島県産に戻す理由やきっかけを見いだせていない」という回答があったことから、販売棚を取り戻したり、福島県産を選んで頂けるような理由が必要なのです。 つまり、風評被害を乗り切っていくためには、新規に開拓できる商品価値の向上も問われており、福島県産品の付加価値をさらに高めて、選んで頂けるブランド力づくりが求められているのです。 ◆ブランド力強化で風評被害に打ち勝つ 実際に、ブランド力の強化で風評被害からほぼ立ち直った農家も存在します。 福島県いわき市の施設トマト農家・助川農園は、12年産は他県と比較すると数百円程度安い状況だったのが、今ではトマトの産地・栃木県と比較して若干安い程度まで回復しています。 「私たちの努力の問題であり、風評被害のためとは言い切れないと思っています」と代表の助川氏は語ります。 助川農園のトマトは、1994年から「親バカトマト」というブランド名で品質の良いトマトを出荷。土づくりにこだわり、健康な土づくりを目指した結果、病気に負けない健康トマト栽培しています。 減農薬と減化学肥料を実現し、「特別栽培農産物」認証を取得し、一般的なトマトよりも約1.2~1.5倍程度も栄養価が高いのです。 安全性だけをアピールするのみならず、付加価値の高いトマトを作り、どんな気持ちで栽培しているのか実際に見て、感じて、食べていただく機会を増やしました。 その継続が生産者と取引先や消費者の信頼関係が深まり、ブランド力が強まっていきました。このような努力の結果、比較的早く立ち直れたといいます。 ◆ブランドを立ち上げることで風評被害と闘う 新しいブランドを立ち上げるということを通じて、風評被害と闘っている地域もあります。 産業廃棄物投棄事件の影響で「ごみの島」のイメージとなった香川県の豊島。問題が表面化し、その風評被害で地元の農業は大きな打撃を受けました。 地元農家は、正しい情報発信をして、安全性を訴えるとともに、質の良い商品を提供し続けています。 同時に、新たな特産品化を目標にイチゴ栽培を始め、「豊島のイチゴ」としてブランド化を進めています。 産廃の投棄現場からは遠く、安全性に問題はないのですが、「豊島のイチゴは産廃で汚染されていないのか」という問い合わせもあり、産廃のイメージを払拭するのは容易ではないです。 豊島でイチゴ農園を営む多田さんは、「豊島の状況を丁寧に説明することで、得意客もできてきた。」「豊島の名前から逃げたら駄目だ。産廃と戦ったことを伝えるのが島の住民の使命」と語り、イチゴで豊島の農業の再生に結び付けたいという強い決意をもっています。 イチゴの生産だけではなく、自家製イチゴジャムや菓子業者と共同でイチゴのロールケーキ等の開発を進め、多角的な経営に取り組んでいます。 風評払拭のためには安全性の発信を継続していくことが不可欠です。大きな困難を力強く乗り切るには、産地づくりやマーケティング対策、ブランド育成を通じて、新しい福島県産の価値を訴求していくことが求められているのです。 【参考】 河北新報 「福島産農産物/風評払拭へ問われる販売戦略」 2018年4月12日 日本農業新聞 「福島県産流通実態 震災前水準戻らず 安全性不安に2割 農水省初調査」 2018年3月29日 福島民報 「仲卸3割「県産扱い減」 首都圏で風評根強く」 2018年3月29日 福島民報 「【県産品全国調査】流通対策の強化を」 2018年4月4日 産経新聞 「風評払拭し“豊島”取り戻す 産廃撤去終えみかんなどブランド化へ 香川」 2017年6月25日 読売新聞 「風評被害は終わったか…続く被災地農家の挑戦」 2016年3月3日 民間力を活かした働き方改革を! 2018.04.13 民間力を活かした働き方改革を! HS政経塾 第6期卒塾生 野村昌央 ◆進む働き方改革の議論 政府は4月6日、今国会で最重要法案と位置付けていた「働き方改革関連法案」を閣議決定しました。 昨年(平成29年)3月には、安倍首相が議長を務めた「働き方改革実現会議」により、「働き方改革実行計画」がまとめられています。 この計画では「非正規雇用の処遇改善」「賃金引上げと労働生産性向上」「長時間労働の是正」「柔軟な働き方がしやすい環境整備」などの分野についての方向性が示され、現在まで様々な検討が進んでいます。 本稿では「柔軟な働き方」に注目してみたいと思います。 柔軟な働き方の主な内容は、「副業・兼業」「テレワーク」の促進です。(厚生労働省HPより) 副業・兼業を推進することで、一企業の仕事に捉われず幅広く能力を発揮し、同時にスキルアップを図りたいという労働者のニーズに応えることが目的とされています。 また、テレワークとは「情報通信機器を活用した在宅勤務」のことです。在宅での勤務を促進することで、育児や介護と仕事の両立をしやすくする目的です。 ◆柔軟な働き方改革の問題点 これらの改革の、新たな働き方を提案している点については評価できるでしょう。しかし、「仕事の成果ではなく、就労時間に着目していること」に根本的な問題があるように感じられます。 これらの柔軟な働き方は、残業ゼロという考え方をベースとして、労働力を最大限活かすことを想定していますが、残業時間の規制を強化することによって生じる懸念点が2点あります。 1点目は超過した労働時間については嘘の報告をすること。2点目は残業がゼロになることによって、所得の減少が起きることです。 これを補てんするのが「副業・兼業」ということになります。企業自身の仕事の効率化がうまくいかないまま残業規制が強化されれば、被用者の所得は減少し、企業の業績も低下します。 そうなれば副業を余議なくされ、副業のために在宅勤務をしやすくするということになってしまえば、本末転倒といえるのではないでしょうか。 実際に、企業側からは「残業禁止は逆効果である」との意見も出ています。 ◆民間の努力によってこそ多様な働き方ができる 働き方改革については、民間の努力によって成功している例もあります。 例えば、病院です。病院では、医師や看護師の地域偏在による人手不足に悩まされていますし、そもそも女性職員が多いため、一人一人の職員の事情に合わせた働き方のニーズに応えなければなりません。 そこで、フルタイム勤務のほか、就労時間帯や短時間勤務の要望に応えることで子育て中の女性医師が働きやすい環境を整えている病院も増えています。 短時間勤務を利用してもらうことが、子育てが落ち着けばまた戻ってきやすい環境にもなっています。 さらには、こうした働き方に対する周囲の職員の理解も重要です。職員のスキルアップの機会や、能力を発揮する機会を多く設けていくことで、働きやすい環境と同時に、働きがいのある環境も整える工夫がなされています。 ◆規制緩和から民間の力を活かした働き方改革を また日本の労働法は、正社員の解雇に対する規制が強くなっています。 しかし、この正社員の保護が、正社員として雇うことを企業に躊躇させている面もあるのではないでしょうか。 過去記事『「仕事は幸福」という価値観に立脚した労働法制を!』参照 http://hrp-newsfile.jp/2015/2108/ 奴隷的な過重労働は無くしていかなくてはなりません。 しかし、一日8時間労働という言葉に囚われて一律に残業を無くし、経済を衰退させかねない本末転倒の規制強化を行うのではなく、様々な雇用形態を促進し、雇用の流動性を高めていくなかに働きやすい社会が実現されていくのです。 【参考資料】 厚生労働省HP「柔軟な働き方に関する検討会」 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou.html?tid=482129 すべてを表示する « Previous 1 … 23 24 25 26 27 … 78 Next »