Home/ 経済 経済 米中新冷戦の鍵となる「個人情報」――プライバシーとイノベーションの両立を目指せ! 2018.11.18 米中新冷戦の鍵となる「個人情報」――プライバシーとイノベーションの両立を目指せ! HS政経塾8期生 藤森智博 ◆「データを制する者は世界を制する」 この言葉は、中国の巨大IT企業アリババの創業者・馬雲(ジャック・マー)氏が語ったものです。 これを体現するかの如く、アリババは「データ」によって急成長し、現段階では5億人以上の個人情報を手がけています。2018年8月末時点で世界7位の時価総額を誇ります。 アリババのビジネスは、ネットとリアルを橋かけするものです。 「アリペイ」という新しい支払いシステムによって中国で爆発的にキャッシュレス経済を普及させました。現在は街全体をネットでつなぎ、人工知能(AI)で効率的な管理を実現する「スマートシティ」を手がけています。 中国ではこのようなIT技術の飛躍的な進化とともに国家の監視が強まっています。 矢野経済研究所によると、監視カメラの世界市場のうち、半分以上が中国を占め、2018年の1年間で3500万台近くの監視カメラが中国で売買されています。 この監視カメラと「顔認証」の技術を組み合わせて、国民一人ひとりの人間関係まで調べ上げることができるのです。 ◆アメリカに迫る最先端の技術 また、中国は自動運転などの技術でアメリカに迫っています。世界に先駆けて、運転席のない自動運転バス「アポロン」の公道投入に成功しました。 もちろん、まだ「アメリカ超え」には至っていません。公道試験の累計走行距離はアポロンの1万キロメートルを超える程度で、最大手のGoogle系ウェイモの1600万キロメートルには及びません。 しかし、本格的に市場投入が始まれば、逆転の可能性もあります。個人情報を国家で自由に扱える中国のほうが、走行記録の収集はたやすいでしょう。 走行記録からは、私生活が分かるため、重要な個人情報ですが、そのような情報を元手にして、AIのさらなるイノベーションも可能です。 ◆中国に対抗するため欧米諸国に必要なこと このような中国に日本や欧米諸国が対抗していくためには、個人が情報を預けられる「信頼」の構築と「イノベーション」を両立できる環境の両立が不可避です。 欧米諸国では、プライバシー意識の高まりから、個人情報を大量に扱う巨大IT企業に厳しい視線が向けられています。日本でも今年10月、8700万人の個人情報が流出したFacebookに対して行政指導が行われました。 ◆EUで施行された強力な個人情報保護法 EUでは個人情報を保護するための「一般データ保護規則(GDPR)」が今年5月25日に施行されました。GDPRは、プライバシーを守るための強力な権利を個人に保障しているという点で優れています。 一方で、細かすぎるルールや、中小企業も対象とした一律的な厳しい規制、2000万ユーロ(日本円で約26億円)か、世界売上高4%のいずれか高い方という高額な制裁金などが自由を抑制し、イノベーションを後退させてしまう懸念もあります。 トランプ政権のロス商務長官も、5月末にフィナンシャル・タイムズにてGDPRを「不要な貿易障壁」と評しました。 ◆「プライバシー」と「イノベーション」の両立を目指すアメリカ GDPRなどの動きを受け、アメリカでは、連邦全体のプライバシールールを作ろうという動きが強まっています。 9月下旬には、商務省管轄の国家電気通信管理局(NTIA)が、高度なプライバシー保護に向けた新しいアプローチを発表。11月9日まで広く意見を募集しました。 新しいアプローチは、「リスクベースマネジメント」を核とすることで、イノベーションができる柔軟性と個人のプライバシー保護の両立を目指しています。 扱う個人情報の「重要性」や「量」に応じた責任を追求する一方で、その責任の果たし方については一律的な規制は設けず、自由を重んじています。 これに対し、世界中から寄せられたコメントは200以上に及び、GDPRに携わる欧州委員会をはじめ、肯定的な意見が目立ちました。 従って、アメリカでは、この新しいアプローチを基にした統一的なルールが作られていくと言えるしょう。 ◆日本も「リスクベース」のアプローチを 日本では、現在、総務省を中心として「情報銀行」など個人が自分の情報をコントロールできる取り組みが進んでいます。 しかし、中身を紐解いてみると、「市場を育てる」のではなく、「国家主導で市場を作っていく」という社会主義的姿勢が目立ちます。 一方、個人情報保護法などの基礎となるルールも不十分です。 現行法の水準では、GDPRと違い、個人は企業から自分が預けたデータを取り戻せません。情報銀行より前に、環境整備が急務と言えましょう。 個人の権利と企業のイノベーションの両立には、法の明快さと柔軟性が不可欠です。 幸福実現党は「リスクベース」のアプローチから個人情報保護法を改正することで、「データ保護体制」で日米と連携し、中国の「デジタル共産主義」に対抗していきます。 参照 ・『チャイナ・イノベーション』(李智慧著、日経BP刊) ・『EU一般データ保護規則』(宮下紘著、勁草書房刊) ・矢野研究所HP https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/1868 ・日本経済新聞社 https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181116&ng=DGKKZO37736220U8A111C1EA1000 https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181117&ng=DGKKZO37736270U8A111C1EA1000 ・フィナンシャル・タイムズ https://www.ft.com/content/9d261f44-6255-11e8-bdd1-cc0534df682c ・NTIA https://www.ntia.doc.gov/files/ntia/publications/fr-rfc-consumer-privacy-09262018.pdf https://www.ntia.doc.gov/press-release/2018/ntia-releases-comments-proposed-approach-protecting-consumer-privacy ・総務省 http://www.soumu.go.jp/main_content/000559366.pdf 政調会ニューズレターNo.18「首相による消費増税表明について」【概要版・後編】 2018.11.09 政調会ニューズレターNo.18「首相による消費増税表明について」【概要版・後編】 幸福実現党 政務調査会 *ニューズレター全文は、党HP(https://info.hr-party.jp/2018/7564/#_No18)に掲載しております。 安倍首相は、先月月15日臨時閣議で2019年10月に消費税率を8%から10%へ引き上げることを改めて表明しました。 今回は、増税と連動して行われる経済対策について、ポイントを整理します。 ◆経済対策の罠 安倍首相は増税表明の際、「あらゆる政策を総動員し、経済に影響を及ぼさないように全力で対応する」と述べ、増税が個人消費に与える影響を抑えるための万全の対策を急ぐよう指示しました。 今回、経済対策として幼児教育・保育の無償化のほか、軽減税率の導入、中小店舗でキャッシュレス決裁を行った時のポイント還元、住宅購入時のポイント還元・住宅ローン減税の拡充などが検討されています。 このような一連の経済対策が行われるのであれば、「何のための増税なのか」というのが率直なところでしょう。 期間限定の経済対策については、駆け込み需要とその後の反動減を少しでも抑えようという狙いがあると思われますが、消費増税の影響は中長期に及ぶため、増税前後の短期的な現象が経済に与える影響を少しでも抑えようとするのは筋違いと言えます。 いずれにせよ、バラマキによる増税や複雑な税制の導入は、経済活動の自由の領域を狭めさせるほか、経済の歪みにもつながっていき、国の発展の阻害要因そのものとなります。 やはり、小さな政府・安い税金を心掛けるとともに、シンプルで公平な税制の構築を志向すべきです。 以下、補足点を列挙します。 ★軽減税率 増税で標準税率が10%になるのに対し、軽減税率は、酒類や外食を除く飲食料品、定期購読の新聞については税率を8%に据え置くとする制度です。 「スーパーやコンビニで買う食料品を持ち帰れば軽減税率が適用されるが、イートインコーナーなど店内で飲食する場合には適用されない」といった例があるように、どのような商品や消費形態が軽減税率の対象になるかが非常にわかりにくいと指摘されています。 そのほか、標準税率、軽減税率のどちらを適用するかを恣意的に判断できるようになるという意味で、政府は新しい権限を手にすることになり、この点にも非常に大きな問題を見出せます。政府による「恣意性」を排すには、消費税は一律5%に戻すのが得策と言えるのではないでしょうか。 また、消費税は事務手続き上、非常に複雑な税であると言われています(注2)。現在、軽減税率に対して準備を行っている中小企業は約8割に留まるとされていますが(注3)、来年、税率変更に加えて軽減税率が導入されることになると、企業は一層の負担を強いられることになります。 同様の制度を実施している欧州では、すでに課題が大きいとして制度を廃止すべきとの議論もあるようです。今、日本があえて軽減税率を導入する合理的な理由は見当たりません。 (注2)企業が行うすべての取引に消費税がかかるわけではないため、企業は消費税の納入に際しては、仕入れ、売上含めた全取引を「課税取引」「非課税取引」「不課税取引」に分類しなければならない。企業にとって多大な事務的負担を要している。 (注3)日本商工会議所「中小企業における消費税の価格転嫁および軽減税率の準備状況等に関する実態調査(第5回)」(2018年9月28日)より ★キャッシュレス決裁時のポイント還元 商店街の小売店など資本金の少ない中小店舗を対象に、クレジットカードなどのキャッシュレス決済を行った際に、期間限定で2%のポイント還元を行うとする支援策も検討されています。 ここには「キャッシュレス経済」の普及促進の狙いも垣間見られますが、クレジットカードや電子マネーなどに対応するレジを導入するための企業側の費用負担は大きいものです。政府が設備投資を行う企業に補助を行うとしても、そこに血税を使う正当性はあると言えるでしょうか。 キャッシュレスになじみのない高齢者などを考慮して「プレミアム付き商品券」を発行すべきとの意見も政権与党にはありますが、これも本質的な議論とは言い難いものがあります。 ★防災・減災対策 増税による需要喚起策の一環として、防災・減災対策に向けたインフラ整備費用が、第2次補正予算案、2019年度当初予算案に計上される見込みとなっています(注4)。 わが国では、高度経済成長期に建設されたインフラが「使用期限」を迎えており、修繕・補修の必要に迫られていますが、これまで、社会保障の財政予算が拡大する中で公共投資に対する予算が削減される傾向にありました。 防災・減災対策などをはじめとするインフラ整備に対して積極的な姿勢がとられていることについては評価できますが、インフラは国の資産になるほか、経済成長にもつながるものであることから、その整備に向けては増税実施の有無にかかわらず、国債発行をためらうことなく積極的に実施すべきと考えます。 (注4)今月15日には、西日本豪雨への対応など、今年相次いだ災害からの復興関連の歳出を中心とした第一次補正予算(9,356億円)が閣議決定されている。 (終わり) 政調会ニューズレターNo.18「首相による消費増税表明について」【概要版・前編】 2018.11.07 政調会ニューズレターNo.18「首相による消費増税表明について」【概要版・前編】 幸福実現党 政務調査会 *ニューズレター全文は、党HP(https://info.hr-party.jp/2018/7564/#_No18)に掲載しております。 安倍首相は、先月15日臨時閣議で2019年10月に消費税率を8%から10%へ引き上げることを改めて表明しました。 このタイミングでの増税表明は、企業に軽減税率の導入に向けた準備を促すなどの狙いがあるとみられますが、そもそも、消費増税は経済に大きな打撃を与え、「健全財政」の観点からも実施すべきではありません。 以下、ポイントにまとめます。 ◆そもそも、国の債務1,100兆円は自民党政権により積み上げられてきたもの 消費増税に対する議論は「財政健全化や社会保障の充実に向けては増税が不可欠」との考え方が前提となって進められていますが、そもそも、国の債務が1,100兆円という天文学的な額に及んでいるのは、政府・自民党によるこれまでの失政、バラマキ政治によるものに他なりません。 健全財政に向けては、覚悟をもって取り組むべきなのは言うまでもありませんが、借金をこしらえた政府が国民にツケを支払わせようとしている事実については、見過ごすことはできません。 ◆消費増税の中止と、税率5%への引き下げを 本格的に成長軌道に乗っていない今増税を行えば、成長率を鈍化、あるいはマイナスに転じさせることにつながり、かえって財政状況を悪化させることにつながるでしょう。 日銀は、来年10月に予定されている消費税率10%への増税を行った場合、2020年度の家計負担の増分が2.2兆円になり、前回の増税時の4分の1程度になると試算していますが(注1)、消費増税のインパクトを決して過小評価すべきではありません。 政府はリーマン・ショック級の経済危機が起こらない限り増税を実施するという立場ですが、消費増税こそリーマン・ショック級の経済危機のトリガーになりかねないと言っても過言ではなく、早期のデフレ脱却、中長期の経済成長を実現するためには、消費増税の中止と、税率5%への引き下げこそ行うべきです。 また、政府は、増税による税収の一部を幼児教育・保育の無償化への財源に充てるとしていますが、増税・バラマキは日本を「大きな政府」へと向かわせ、国を一層の停滞に直面させることにつながりかねません。 消費減税こそ全ての家計に恩恵をもたらせ、最も望ましい福祉と言えるのです。 (注1) 日本銀行「経済・物価情勢の展望(2018年4月)」より ◆「健全財政」に向けて 財政の健全化に向けては、国際標準として用いられている「累積債務残高/GDP(GDPに占める債務残高の割合)」をわが国も財政健全化の指標としながら、経済成長による自然増収を達成して中長期的な財政再建の達成を図るべきです。 成長に向けては、消費税増税の中止と税率5%への引き下げなどといった大胆な減税政策、徹底的な規制緩和を行うことはもとより、交通インフラ、新たな基幹産業など、経済成長に資する分野への大胆投資を実行する必要があります。 同時に、政府の「バラマキ」に当たる無駄な財政支出については削減を図り、「メリハリある財政」を行う必要があります。行政機関のスリム化に向けた組織・事務事業の抜本的な見直しなどを含め、今こそ「健全財政」向けて、議論を進めていくべきでしょう。 (後編に続く) 消費増税まで1年。それでも本当に増税しますか。 2018.10.11 消費増税まで1年。それでも本当に増税しますか。 HS政経塾 担当チーフ 古川裕三 ◆税制改正の議論が本格化 第四次安倍内閣が発足し、2019年度の税制改正に向けた議論が本格化しています。もちろん、その議論の焦点は、いまから1年後の10月に10%へ引き上げられる消費税についてです。 住宅、自動車を筆頭に、耐久消費財ほど消費税の負担も重いため、駆け込み需要と増税後の消費の冷え込みが予想されます。 そうした増税後の消費者の「買え控え」を防ぐため、政府はその対策に躍起になっています。 ◆政府の検討案 今回の税制改正の議論では、住宅については、現在の10年間で合計最大500万円軽くなる住宅ローン減税の減税幅の拡充や期限の延長が検討されているほか、一定の条件を満たした住宅購入者に最大50万円支給する「すまい給付金」の給付額引き上げなども議論されています。 また、自動車についても、自動車を取得した年にかかる燃費課税と自動車税を増税後は当面ゼロにするなどの案が出されています。 さらには、企業の設備投資を支援する優遇税制が終了期限を迎えるため、期限を延長するかどうかも焦点となります。 その他、低所得の年金生活者に毎月5000円を支給する制度の実施前倒しや、キャッシュレス決済をした消費者にポイントを付与すること、小売店の「消費税還元セール」の宣伝・広告を解禁することなども検討されています。 ◆軽減税率の導入に3000億円不足 来年の消費税引き上げ時には、食料品などには軽減税率が導入される予定ですが、その導入に必要な予算が約1兆円とされているなか、残り3000億円の財源の目途が立っていないといいます。 ただ、今回の軽減税率とセットでインボイス方式の導入が義務付けられていますが、これにより政府は、免税事業者となっている小規模事業者を狙い撃ちして納税額を増やし、それを財源の一つとしているわけです。 免税事業者を納税事業者に変えることによって納税者を増やそうという魂胆なわけですが、小規模事業者を消費税によって「いじめる」と、倒産件数は増え、日本経済を支えるプレイヤーがいなくなり、GDPは減少の一途をたどることになります。 ちなみにインボイス方式とは課税事業者が発行する税額表(インボイス)に記載された税額のみを控除することができる方式です。 インボイス導入後、免税事業者が仕入税額控除を受けられるようにするためにはインボイスを発行する必要が出てきます。 インボイスの発行は免税事業者ではできないため、今まで消費税を納めていなかった事業者は、「生き残る」ために消費税を納める課税事業者にならないといけません。 小規模事業者は、消費税を納めることで利益が圧迫されると共に、過大な事務負担を強いられることになるでしょう。 ◆そして、また、バラマキ 2014年4月に消費税が8%へ引き上げられた際、政府は5.5兆円の補正予算を組んで景気対策を打ちました。 具体的には、低所得の住民税非課税世帯に一人当たり1万~1万5千円の現金給付や児童手当を一人当たり1万円の上乗せをして「バラマキ」ました。 この効果は乏しく、実質GDP成長率は14年4月~6月は前期比マイナス1.8%と、駆け込み需要の反動減による景気の腰折れが鮮明となりました。 今回も数兆円規模の景気対策という名の「バラマキ」を実施するでしょうが、同じ轍を踏むことになるでしょう。 ◆一番の解決策は、「増税しない」こと 事業者を苦しめ、消費者を苦しめ、日本経済の活力を奪う消費税の増税には断固、反対です。 ばらまいても、一時しのぎにしかすぎません。ばらまくくらいなら最初から、増税しなければよいのです。 幸福実現党は、財政再建は増税によってではなく、名目GDP成長率を上げる事でなしていくのが筋であると兼ねてより訴え続けています。 増税によって消費を止めるのではなく、減税によって消費を促してGDPも増やし、税収も上げます。増税なき財政再建です。 前日銀副総裁の岩田規久男氏は、次のように指摘しています。 「日本は20年間デフレで名目成長率が上がらず、その間、インフレ目標政策を導入した諸外国は名目GDPの3~4%成長を達成し、財政も大幅に改善しました。もし日本が1990年代から量的・質的金融緩和を行っていたら、やはり名目3~4%成長となり、いまごろは1000兆円を超える規模の名目GDPになっていたはずです。」(『Voice』8月号寄稿「消費増税は再延期せよ」より) さらには、財政再建は、デフレ脱却が最優先であり、増税をカレンダー通りに行うことで果たせるものではないことを氏は強調しています。 日本の新聞は軽減税率の適用を受けているがために、政府から口止め料をもらっているようなものですから、正面を切って消費税の減税を主張することができません。 幸福実現党は今後とも「真なるマスコミ」の機能を果たし、国民の利益、国益を守るために、正々堂々の論陣で戦ってまいります。 参照 ・10/4日付 日本経済新聞、読売新聞 ・『Voice』8月号 ・財務省ホームページ ・消費税の納税を免除される「免税事業者」とは? https://keiei.freee.co.jp/2016/10/13/shohizei_menzeijigyosha/ ・『松下幸之助の未来経済リーディング』(大川隆法著) ・『未来への国家戦略』(大川隆法著) 「私たちの命や暮らしを支える」原発の大切さ――北海道大停電から学ぶエネルギーのあり方 2018.09.26 「私たちの命や暮らしを支える」原発の大切さ――北海道大停電から学ぶエネルギーのあり方 幸福実現党 東京都本部江東地区代表 HS政経塾第5期卒塾生 おもてなつこ ◆北海道地震に伴う大停電 9月6日の「平成30年北海道胆振東部地震」で、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。 また、現地の皆様や、復旧に尽力しておられるすべての方の安全をお祈り申し上げます。 今回のテーマは、地震当日に起きた北海道の大停電についてです。 地震の影響で道内全域が一時停電(ブラックアウト)する、日本初の由々しき事態となりました。 なぜこのようなことが起きたのでしょうか? 原発を止めて火力発電のみに頼っていたことが、大きな理由です。 ◆今回の停電の仕組み 今回の停電の仕組みを説明します。 道内全域の電力需要量(約310万キロワット)のうち、約半分を担っていた苫東厚真火力発電所の近くで、震度7の地震が発生。揺れを検知し同発電所は緊急停止。北海道全体で電気の供給能力は半分になりました。 地震に遭われた住民の方々は、照明やテレビをつけ地震情報を確認しようとし、普段よりも電力需要が増しました。 電気は、需要に対して同じ量を同時に発電しなくては、送電することができません。 半減した供給能力では、増加した需要の負荷に耐えられず、ブラックアウトを起こしてしまったのです。 一方、苫東厚真火力発電所より供給量の大きい、北海道の泊原子力発電所(現在停止中)は、強固な岩盤に直付けされた、耐震性の強固なつくりです。(原子力発電所には、一般の建築物より厳しい耐震性が課せられています。) 「今回の地震では泊原発も外部電源を失った」と報じたメディアもありますが、外部電源が途絶えたのはブラックアウトによるものです。それも、すぐに非常用電源が立ち上がっており、安全性に問題はありませんでした。(※1) 東日本大震災後、国内の原子力発電所は、そのほとんどが運転を停止していますが、泊原発が稼働していれば、苫東厚真の火力発電所が停止しても、原発の出力で補えていた可能性が高いのです。(※2) ◆必要な視点「エネルギーミックス」と「バックアップ電源」 電力は、社会の基盤中の基盤です。 様々な発電方法やバックアップの発電所で、供給が滞らないよう調整されています。 たとえば太陽光などの再生可能エネルギーは、季節や天候によって発電量が左右され、需要に対する供給の調整ができないので、バックアップとして、出力調整が可能な火力発電所などが準備されなくてはなりません。(※3) これまでは、出力の大きい原発が稼働し、もし原発が止まった場合にも、古くなって引退した火力発電所などがすぐさま稼働して不足分を補う、という形になっていました。 「3.11以降、全国のほとんどの原発が停止した後は、上記の『非常時の体制』がずっと続いていた」と言えるでしょう。 ◆原発がない体制の危険性は、ずっと指摘されていた 反原発の根拠として、「原子力発電なしでも電気は足りているではないか」という主張があります。 それに対して、心ある電力関係者各位は、次のように訴えてきました。 「それは、本来バックアップだった電源が代わりに稼働しているからだ。もし電力需要が増えれば、出力が足りなくなる危険性がある。供給能力には常に余分なゆとりが必要なのだ。『原発なしでも電気は足りる』と、安易に考えるのは危険だ。」(※4) 彼らが訴えていたことの意味が、今回のブラックアウトで理解できたのではないでしょうか。 ◆原発のデメリットを克服する様々な施策 原発反対の方からは、原子力廃棄物の処理を問題視する声もありますが、廃棄の技術は年々向上しています。 ロシアなどでは、廃棄物の有害度を下げる期間が100万年から300年と、1/330に短縮され、廃棄物量も1/7に減る「高速炉」の研究が進められています。(※5) また、万一の事故時でも放射能漏れを防ぐ「フィルタベント」の開発も進められています。 原子力エネルギーは密度が高く、原子炉に燃料を入れたら4~5年程度は発電し続けますし、大量の電気を作れます。 エネルギーを作り出す資源が極端に少ない日本(エネルギー自給率4%)にとっては、ありがたい存在なのです。 関係者の方々は、原子力にもデメリットがあることを認め、それでも日本にこの能力が必要だと考えるからこそ、技術を向上させデメリットの縮小に努めています。 「地震を起こす活断層が近くにないことを証明せよ」と、電力会社に無理難題を求める原子力規制委員会や、「原発の放射能で人の命を危険にさらすな」と反原発を訴える方々は、「原発が動いていないことで、生命や生活を危険にさらされる人がいること」に対し、責任を持つべきです。 幸福実現党は、適正に安全性の確認された原子力発電所の再稼働は、我が国の人々が幸福に暮らしていくために必要だと、これからも訴えてまいります。 【幸福実現党】 ・平成30年北海道胆振東部地震 被災者支援募金開始のお知らせ https://info.hr-party.jp/2018/7132/ ・幸福実現党政務調査会エネルギー部会 原子力規制員会に「原子力規制行政の適正化を求める要望書」を提出 https://info.hr-party.jp/2018/7189/ ※1 奈良林直(東京工業大学特任教授)2018.9.12「全道停電は泊原発の停止も一因」 国家基本問題研究所. https://jinf.jp/feedback/archives/23439 ※2澤田哲生2018.09.07「北海道地震、未曽有の大停電は菅直人にも責任がある」 IRONNA. https://ironna.jp/article/10652?p=1 ※3 日本のエネルギー‐2017年度版‐ 経済産業省・資源エネルギー庁 http://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/pdf/energy_in_japan2017.pdf ※4 澤昭裕(2012)『知らないではすまされない、エネルギーの話』WAC. ※5 関西電力HP. 「カリスマ講師細野真宏の 世界一わかりやすいエネルギーの授業」 http://www.kepco.co.jp/energy_supply/energy/teaching/index.html 【参考文献・記事】 ・The Lierty Web 2018.9.8「台風21号と北海道地震は『脱原発』への警鐘か!?【ザ・リバティキャスト#15】」 https://the-liberty.com/article.php?item_id=14861 ・The Lierty Web 2018.09.09「北海道大停電は全国で起きる 特定の火力発電所に依存する構図は全国共通」 https://the-liberty.com/article.php?item_id=14864 ・ 櫻井よしこ・奈良林直(2017)『それでも原発が必要な理由』WAC. 「森林環境税」には反対!ばらまきで日本林業は再生しない 2018.09.11 「森林環境税」には反対!ばらまきで日本林業は再生しない 幸福実現党 湊 侑子 ◆新たに始まる、「森林環境税」 2018年5月、森林経営管理法が参院本会議において与党などの賛成多数で可決、成立しました。2019年4月から施行されます。 所有者の高齢化や後継者不在などで手入れできない人工林を市町村が意欲ある林業経営者に貸し出す、所有者が分からない森林は市町村が管理すると定めます。 この「森林バンク」のため(森林整備・人材育成・道路整備・機械の購入など)、個人住民税に年1000円が上乗せされ、年間620億円が集められます。これが森林環境税です。 これを特定財源とし、必要とされる市町村に配布します。 ◆「森林環境税」で林業は変わらない 日本の人工林を何とかしなければならないことも、林業を復活させることもたいへん重要な課題です。しかし結論から言うと、今回の森林環境税導入には反対です。 反対の理由は、 (1) 森林量は地域によって異なっているため、都市住民は恩恵が少ない。 (2) 特定財源として目的税化しているため、市町村側は予算獲得・消化のための無駄なばらまき、受注側も予算目的のずさんな仕事が行われる可能性が大きい。成果判定も不明確。 (3) すでに全国8割の都道府県や横浜市において、森林環境税に似た税金が導入され、地方の財源としているため、二重課税となる。 (4) 市町村だけでは人工林管理に対応できない。国としての経営計画が必要。 日本の林業不振の原因は財源ではなく、経営・生産管理思想が入っていないことにあります。 戦後、大きな木材需要があった際、切れば売れるということでずさんな管理の下で国産材が供給された歴史があります。 その結果、安定供給・情報公開をしている外材にユーザー(住宅メーカー)が流れ、国産材の価格が下落。結果、林業は成り立たなくなり人が減り山は荒れていく、という悪循環が起きました。 しかし、戦後植林した人工林は今からが切り時を迎えます。また現在では、経営・生産管理・効率化の下、集約化を進め森林を守りながら高品質・高付加価値な木材を提供する民間企業も出ています。 このような民間企業が地域に存在する地方自治体にとっては、この財源はありがたいものになるでしょう。 しかし多くの地方自治体にとっては、とりあえずの予算消費が続くのが実際のところではないでしょうか。 ◆ばらまきではなく、先進地域の知恵を全国へ 地方自治体の中では、市町村が民間と協力をして研究しつつ、人工林の手入れをすすめつつ林業従事者を増やしている地域もあります。その中の一つが、高知県にある佐川町です。 佐川町では、平成25年度よりこれからの林業の一つの方向性である、自伐型林業(注1)推進計画を策定し、取り組みを始めました。 次年度から、民間に委託して研修を開始し、自伐型推進協議会を発足させました。 その当時の林業担当職員は0.1人でした。農業担当者の一名が、農業の合間のおまけ程度に林業を見ている状況でした。おそらく、全国の地方自治体も同じような状況でしょう。 森林環境税が地方自治体に配分されたとしても、経験・智慧・人がなければ貴重な財源も垂れ流しになります。 佐川町では現在、担当職員3名、臨時職員1名、民間アドバイザー1名をつけ、全国から視察が入るほどになっています。 有名な岡山県西粟倉村の村による民有林の集約・管理方法を学び、登記簿を基に森林所有者に関する情報と森林資源の情報を管理・更新し、関係者との情報共有を行う森林ICTプラットフォームの導入を決めました。 航空機によるレーザー測量を町全域で実施し、樹種別の区分や立木情報などが詳しく分かりました。 山林集約の為には山林保持者216名にアンケートを送付、109名から町による管理希望を取り付けました。 町と所有者とで20年の管理契約を結び、施業委託を自伐型林業者に委託します。民間アドバイザーによる実地研修を林業従事希望者に行い、独り立ちさせます。 その後、委託された地域の木を切り出した売り上げは、自伐型林業者が9割、森林所有者に1割入るようにし、それぞれにメリットがあるようにしています。 このような取り組みを続けることで、新たなる林業従事者が増えつつあります。このように工夫しながら先に進んでいる地方自治体も存在しているのです。 政府は税金を集め、配る前にもっとすべきことがあるはずです。 国としての林業のビジョンを描き、林業を経営として成り立たせるために、成功事例を研究して各地にその遺伝子を入れていくことです。 同じことは消費税増税にも言えます。単なる増税で自分たちの権限を増すだけの政府はもう必要ありません。ビジョンと経営力と知恵こそが未来を切り開くカギなのです。 (注1)自伐型林業とは 基本的には皆伐をせず間伐を繰り返す超長伐期の林業で、1人~数人のグループで施業し、副業から専業まで個人のライフスタイルにあわせた施業ができます。大型・高性能機械は導入せず、設備投資とランニングコストを抑えることで、参入障壁を下げつつ収入を増やします。 地上から空の自動運転車へ。「交通革命」の未来が見えてきた! 2018.08.31 地上から空の自動運転車へ。「交通革命」の未来が見えてきた! 幸福実現党 政務調査会 都市計画・インフラ部会 曽我周作 ◆ついに実用化が見え始めた自動運転 8月27日に自動運転車タクシーの営業走行が世界で初めて行われました。 報道によると「千代田区大手町と港区六本木の間の決められたルート、片道約5.3キロメートルを9月8日まで1日4往復する」そうです。(https://jp.reuters.com/article/self-driving-taxi-idJPKCN1LC09E) カルロス・ゴーン氏が『カルロス・ゴーンの経営論』の中で「5年後の自動車は、ゼロ・エミッション、しかも自動運転で走るようになるでしょう」と書かれていて、それが出版されたのは2017年2月のことです。 それからわずか1年半、自動運転タクシーの営業走行が、限定的であるとはいえスタートしたわけです。 今回、これを行った会社は「2020年の完全自動運転による無人タクシーの実用化に生かす考え」といいます。 ゴーン氏が「5年後」と言った未来まで、あと3年程になります。その間に、どこまで自動運転の車の普及が進むのか、非常に楽しみであります。 ◆自動運転を支える3D地図情報 この自動運転を支えると言われるのが3D地図データだと言われています。 自動運転には5つの段階がありますが、いわゆる自動運転といわれるのはレベル3~5の3段階になります。そのレベル3以上の自動運転では3次元位置情報が必須であるといわれています。 その3次元位置情報と、3D地図とを組み合わせて使う必要があるわけです。 この3D地図を完成させていくには膨大な調査が必要とされます。また、日々これは変化しつづけるものなので、更新を続けていかなければなりません。 この膨大な情報に支えられ、完全な自動運転車が私たちの生活に密接した関係にまで入り込んでくることになります。 また、地図大手のゼンリンはドローンの自立飛行実験を、3D地図を利用して行っています。6月2日に行われた実験では、3Dの地図情報を、携帯電話回線を通じて受信しながらの飛行実験も行われ、成功しているようです。 (参考:https://www.nikkei.com/article/DGXLZO17249060S7A600C1LX0000/) 今後の自動運転は、車体面での技術開発に加え、このような3D地図のデータと組み合わされ、さらにそれが通信技術によって支えられていくイメージが浮かんできます。 ◆地上の次は空 8月29日には第一回目の「空の移動革命に向けた官民協議会」が開催され、空飛ぶ車の実現に向けて官民が協力して取組を進める形が出来てきました。 この空飛ぶ車は、地上を走る車で培われる自動運転技術、さらには上記に上げた3D地図の情報や、その通信を支える通信技術や、さらにはその通信を守るサイバーセキュリティ対策が非常に重要なものになると思います。 もしかすると、空を飛ぶ乗り物を支える航空管制の面では、新しい「何か」が発明されるかもしれません。 自由に空を飛ぶ乗り物が出来た場合、非常に便利なものではありますが、同時に安全面の課題は非常に大きなものになるでしょう。 治安対策、テロ対策まで含めて、ルールや技術整備は多くの人の知恵を結集して作られていくと思います。 恐らく、空を飛ぶ車は、その運航の大半が自動運転によるものになるのではないでしょうか。先に紹介したゼンリンの実験も、それを見据えての開発のように感じられます。 多くの人が安心して、これから開発される自動運転車や、空を飛ぶ車を使えるようになるために、政府は思い切った取り組みを進めていくべきでしょう。 空を飛ぶ自動車の方は、現時点ではまず安全に飛行できる車体(機体)の開発が進められていると思いますが、その過程と同時に、安全な運航を支えるインフラが開発され、さらに同時に「あるべきルール」が研究されていきます。 これは完全な「交通革命」であり、しかも官民協議会の資料からみても、わずか30年程先の実現を目指す革命です。しかも日本の大切な基幹産業である自動車産業にも大きなインパクトを与える革命ではないでしょうか。 私達の生活への大きな影響とともに、日本経済の行方を大きく左右する「交通革命」が今まさに進められようとしています。 ◆便利さが幸福を創り出す方向に向かうように 自動運転技術や、空を飛ぶ車が実用化されることは、例えばお年寄りが自動運転の車に乗って買い物に行くことが楽になったり、移動時間が短縮されたり、自動運転車の移動中にはこれまで以上に様々な時間の使い方ができるなど、大いなる可能性があるでしょう。 ただ、このような技術開発が、最終的に多くの人にとって新しい可能性を広げて、幸福を増進させる方向にしていかなければなりません。 この自動運転などの技術も、膨大な情報が扱われ、それは同時に個人に関わる情報にも紐づけられていくことが予想されます。 しかし、「便利さの追求」の裏で、膨大な個人情報が国家やIT関連の企業にデータ保存され、一人ひとりのプライバシーが、知らず知らずのうちに覗き見られるような社会にならないようにしたいものです。 あくまでも人間がAI(人工知能)や「情報の操作」によって支配されることなく、人が人として尊厳をもって生きられるよう、情報社会に潜む危険性も認識したうえで、未来社会のあるべき姿を構想していくべきであると思います。 あなたは今日、どんな一日を過ごしますか?そのクルマに乗って家族と何処に行きますか? あなたの人生の大切な1ページに今日は何を描くのか、それは神様からいただいた「心」を持つ私達自身が決めるものであるべきです。 地産地消と地域農業活性化の新たな拠点づくり 2018.08.28 地産地消と地域農業活性化の新たな拠点づくり 幸福実現党公認 薩摩川内市議会議員 松澤 力 ※今回は、地域再生や農業再生の先進事例として愛媛県今治市の農産物直売所「さいさいきて屋」をご紹介させていただきます。 ◆「さいさいきて屋」のレジ通過1000万人を突破 高齢化による担い手不足や兼業農家・小規模農家の農協離れに伴う集荷量減少に歯止めをかけるため、2007年4月にオープンした愛媛県今治市のJA越智今治農産物直売所「さいさいきて屋」のレジ通過客が2018年3月5日に1000万人を突破しました。(3/6・愛媛新聞) この店舗は、1.6ヘクタールの敷地面積に約500坪の直売所と、その直売所に持ち込まれた農林水産物を活用した料理が食べられる食堂・カフェが併設され、料理教室等が行えるキッチンも整備されています。 さらに、直売所には地元で水揚げされた魚介類の販売所も常設されています。 さいさいきて屋の2016年度の売上高は約22億円でJA運営の直売所で全国3位となっており、2017年の利用客数は、商圏人口が約10万人にもかかわらず、約100万人となっています。(3/6・愛媛新聞) 平成23年度には様々な取り組みが認められ、日本農業賞の特別部門である第8回食の架け橋賞の大賞を受賞しております。 利用客からは「安全安心な地元の野菜や果実などが豊富」と魅力を語る声が多数出ています。 ◆生産者会員94人のスタートから約1,300人へ さいさいきて屋は、JA越智今治の企画により2000年に小さな直売所としてオープンしました。 当初は、市内中心部に近い住宅地にあった約30坪の空き事務所を改装し、生産者会員94人でのスタート。初年度から当初の想定を上回る売上があり、生産者会員も増加しました。 そして2年後には、郊外にあったAコープを改装して2号店がオープンしました。その後、売上が着実に伸び続け、生産者会員も約800名を突破して店舗も手狭になったため、国道沿いに移転オープンしたのが現在のさいさいきて屋になります。 現在、農産物直売所「さいさいきて屋」に出荷する農家約1,300人のほとんどは、高齢・小規模・兼業農家の方々です。 少量生産の農家に「きゅうり一本でも出してほしい」と呼びかけ、自分たちで育てた新鮮な農産物に値段を設定し自身の名前を付けて販売する喜びに、農家の方々が目覚めました。 また、市場に出荷したくても農産物の出荷量や規格などのハードルに苦しんでおられた少量生産の農家の方々に、販売できる道を開くことになりました。 ◆売れ残りが日本一少ない直売所を目指して さいさいきて屋では、持ち込まれた農林水産物の売れ残りが日本一少ない直売所を目指して取り組みが進んでおりまして、直売所に持ち込まれた農産物を乾燥粉末やペースト加工して、直売所やカフェで様々な商品を開発して販売しております。 また、地元企業と連携し、直売所の持ち込まれた農産物を使用したドレッシング、コロッケ、レトルトカレーなど様々なプライベートブランド商品開発・販売を行う等、地域経済の活性化にも貢献する事業になっています。 直売所の近くに併設されている農地では、子供達用の学童農園、市民に手軽に農業を体験してもらうための市民農園、本格的に農業を仕事にしたいと考えている人向けの貸し出し用ビニールハウス等があり、農産物の生産過程も学ぶことができる施設になっています。 ◆高齢・小規模・兼業農家の方々に「収入」と「生きがい」を提供 さいさいきて屋には営農指導員が常駐して、農産物の栽培指導や栽培講習会を行い、販売促進のためのパッキング講習やPOSシステムの見方から学ぶマーケティング講習なども開催しています。 生産者の方々は、直売所で少しでも良い売場を確保しようと、早朝から行列ができるようになっています。 高齢農家の中には、直売所から毎日配信される自分の商品の売上メールが届くことをとても楽しみにされている方がいるほど、直売所の事業を通して、高齢・小規模・兼業農家の方々に「収入」と「生きがい」を提供しています。 さいさいきて屋の取り組みを通して、農家と消費者を結んで地産地消を推進し、お客様だけでなく農業・地域も活性化する直売所づくりを行っています。 今後、年金・医療・介護などの社会保障費が年々増大していく中、各地域・業界においても、特色や強みを活かしながら、元気でやる気・経験を持っておられる高齢者の方々が生涯現役で仕事ができる働き方を創造していくことは非常に重要であると考えております。 幸福実現党としても、こうした先進事例に学び、今後も地方自治体の自立的な発展を実現していくため、新たな挑戦を続けて参ります。 幸福実現党政務調査会・未来ビジョンの策定に向けて 2018.08.17 幸福実現党政務調査会・成長戦略部会部会長・HS政経塾4期卒塾生 西邑拓真 幸福実現党政務調査会では、成長戦略部会を中心に、日本の目指すべき「未来ビジョン」を検討しています。 その基本的な考え方を、以下のとおりご紹介いたします。 ■幸福実現党政務調査会・未来ビジョンの策定に向けて 平成30年8月16日 幸福実現党 政務調査会 成長戦略部会 https://info.hr-party.jp/2018/6933/ ◆成長戦略ビジョン 〇国力倍増に向けた成長戦略の構築 ・実質成長率3%超(名目成長率5%超)の持続的な経済成長の実現により、早期のGDP倍増、3倍増の達成を目指す。その実現に向け、消費税増税の中止と税率5%への引き下げ、法人実効税率10%台への大幅な引き下げといった大胆な減税政策、徹底的な規制緩和やリニア新幹線などの交通インフラ、新たな基幹産業となりうる分野へ大胆投資を行うなど、国として明確な成長戦略を構築する。 ・移民の受け入れ拡大など人口増に向けた積極的な政策の実施、大胆な未来産業投資・インフラ整備などを進めることで、現行1%未満とされる潜在成長率を、3%程度までに引き上げることを目指す。 〇人口・社会保障 ・人口(とりわけ労働力人口)が国の経済成長の重要な規定要因の一つとなっていることを踏まえると、昨今のわが国の人口減少傾向は国力低下に直結することは言うまでもない。こうした現実が到来することを忌避し、日本は確かな人口増政策を打ち出すべきと考える。 ・世界を牽引し新たな日本モデルを形成するに相応しい「3億人国家」を目指すが、当面は「人口1億5千万人」国家を目標とし、出生率の改善策や、将来的には毎年50万人規模の移民受け入れ策を視野に入れたい。同時に、移民拡大や人口構造の変化に適した環境整備を図るべく、将来的な労働法制のあり方などを検討する。 ・労働力人口を増大させることを念頭に、「安心な社会保障」の実現を目指す。「生涯現役社会」の実現に向け、平均寿命の延伸に合わせた年金受給年齢の引き上げや定年制の延長・撤廃を検討するとともに、「高齢者」の定義見直しを図る。また、「自助と家族の支え合い」をベースにし、年金・医療の制度改革を図り、「積み立て方式」への随時移行を検討する。 〇財政再建・税制 ・国家財政に経営的視点を持って眺めつつ、正しい経済政策と明確な経済成長戦略の実施による経済成長の達成で、中長期的な財政再建・健全財政の実現を目指す。基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化目標を廃止するとともに、「累積債務残高/GDP」を財政再建の指標として採用する。 ・公正かつ安くて簡素な税体系の構築を目指す。消費税・法人税減税を実施すると同時に、所得税に関しても一律減税を図るとともに、過度な累進制度の見直しを図る。中長期的には給付付き税額控除や、フラットタックスを将来的に導入することを検討する。 〇未来産業振興・インフラ整備 ・技術革新や新産業の方向性は、企業などが経済活動を行う中で「自生的」に決まっていくのであり、ベンチャー企業を含めた民間企業こそが新産業を創出する主体なのであると捉える。したがって、国は、民間部門が新産業の種を次々に生み出すことができるよう、減税や規制緩和など経済活動の「自由の領域」の拡大に努める必要があると考える。そして、技術革新や産業の発展度合に応じた法整備を随時検討していく。 ・基幹産業化が期待される分野のうち、宇宙産業など、研究開発に巨額の資金を必要とし、民間企業だけに委ねていると投資が充分に行われないような分野に関しては、国は戦略性をもって大胆投資を行い、その振興を図っていく必要がある。 ・中長期的な財政計画と整合性を持たせながら、リニア新幹線の全国整備を含めたハード・インフラの整備と維持・補修を図るとともに、AIや自動運転をはじめとした未来科学の到来を念頭にしたソフト・インフラの整備、物流網のあり方を含めた都市計画について検討を進めていく。 ・農林水産業の魅力向上と国際競争力向上を図る。さらには世界の人口増に伴って生じる食糧危機を回避すべく、陸上養殖技術の向上など新しいカロリー源の開発に向けた支援策を講じる。 〇エネルギー ・GDP倍増に伴う電力需要に見合ったエネルギー・ミックスのあり方について検討を進める。「安価で安定的な電力供給網」の整備を念頭に、原発の再稼働や新増設を進めるとともに、核融合、地熱発電などに対する新エネルギー開発も合理性をもって進める。また、エネルギー安全保障の観点から、エネルギー資源調達の多様化を図っていく。 〇教育 ・日本の未来を開く人材の輩出に向けた教育を実現。国家統制型の教育を改め、教育の自由化を推進して公教育の質向上を促進する。また、道徳・宗教・歴史教育を充実させることで子供たちの人間性、愛国心を育み、企業家教育の充実により起業家精神やリスク管理について学べるようにし、日本経済を牽引する企業家を輩出する土壌を形成する。 ◆国防・外交ビジョン 〇国防の抜本強化 ・国の独立や国民の生命・安全を守り抜くために日米同盟を強固なものとしつつ、誇りある主権国家として、「自分の国は自分で守る」体制構築を図っていく。 ・憲法9条の全面改正や防衛費の持続的拡大、中長期的な防衛装備のあり方の検討などに取り組み、抑止力の抜本的強化を図る。 ・産業競争力強化につながる防衛技術力の向上を念頭に、防衛産業への投資拡大のあり方について検討する。 〇明確な外交戦略の構築 ・安全保障協力や同盟関係の構築、経済・貿易の協力関係の構築、神の正義に基づいた国際ルール作り、戦略的なODAの実施、広報文化外交、民間外交のあり方など、自由、民主、信仰の実現に向けた明確な国家戦略を構築する。 ・日米同盟を基軸としつつも、英国やロシアとの関係強化も図るなど、展開すべき外交戦略を検討する。 〇対中・対北朝鮮 ・地域の平和確保のための最重要課題として、覇権主義にひた走る中国の抑止、人権抑圧的な体制変更に向けて取り組んでいく。 ・日米が結束して、引き続き非核化に向けた対北圧力をかけ続けるとともに、国際社会の監視のもと、着実に非核化プロセスを進展させ、北朝鮮の改革を進めていく。 地方の商店街が抱える問題 2018.08.09 地方の商店街が抱える問題 幸福実現党国防部会会長 新潟県阿賀野市議会議員 横井 基至 ◆商店街の現状 商店街の数は全国的に減少しており、私の地元である新潟県内の商店街数は平成29年では276団体。平成17年は431団体でしたので、ここ12年でなんと約半分に減少しています。 商店街実態調査が行わるのは3年に1回。次に国の調査結果が出るのは平成31年3月ですので、昨年新潟県が調査したデータをもとにさせて頂きます。 また、近年3年間の商店街への来街者数・売上高はいずれも約7割が減少しています。 商店街にシャッターが下りている店舗が増えるどころではなく、商店街そのものがなくなっていっているのが現状です。 この問題をどうやって乗り切ればいいのでしょうか。 商店街がより利用されるためには、魅力ある店舗の充実や大型店との差別化が必要であるとの意見が多い一方、商店街の取り組みはイベント等が大半であり、魅力ある店舗をつくるために必要と考えられる施策、アドバイザーの活用や一店逸品運動、新商品開発などの事業は行われていないのが現状です。 ◆商店街が抱える後継者問題 さらに商店街の抱える問題として、経営者の高齢化による後継者問題、集客力が高い・話題性のある店舗・業種が少ない又は無い、店舗等の老朽化などがあげられています。 地方は就学・就労による中央への流出に歯止めがかからず、後継ぎが県外に出たっきり帰ってこない、また企業に就職をするなど、家族経営や一人店主にとって後継者不足は目の前に迫った大変切実な問題です。 しかし商店街へのアンケートによれば、後継者不足が商店街の抱える問題としてトップに挙がっている割に、後継者育成対策を講じていないと答えた商店街は93.7%でした。 どの自治体も中小企業への事業継続やにぎわい創出のための支援を行っており、成果を出している自治体もありますが、ピンポイントに後継者育成対策というとなかなか難しい問題があります。 後継者問題はその事業を継いで、家族を養えるだけ稼げるかという問題と、家族関係や考え方の問題があり、後者への政治的アプローチは直接行えないので、教育や地域のつながりをつくるなど、現時点では社会環境をじわりじわりと変えていくしかないと思われます。 ◆活性化へ求められる施策 続いて『商店街が行政等に求めること』というアンケートの結果は、「意欲ある個店への支援による商店街の活性化」が56%とトップでした。 続いては補助事業、低利融資、組合員の意識啓発とあり、その次に「特に望むものはない」というのが14%もありました。 長年地元企業のマーケティング部門に関わっている方の話によれば、この「特に望むものはない」の回答にこそ自治体は注目しなければならないということでした。 というのも、これだけ地方の経済が低迷している中、無関心やあきらめに対する意識改革こそ政治主導で行わなければならないのです。 今後の政治は、地方にお金をばらまき、人を中央から地方に戻すだけでは、地方の衰退は止めることはできません。 地方にはそれぞれの事情がありますので、官民一体となりその地域で生活する人々が主体的に考え行動し、どのような未来像を描いていくかにかかっています。 主体となる住民の声と実態を調査し、我がまちの発展の方向性を決め、心に寄り添い、励ましあい、根本的諸問題解決へと必要な施策を講じていく必要があります。 参考:H29年新潟県商店街実態調査 すべてを表示する « Previous 1 … 22 23 24 25 26 … 78 Next »