Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 産業界の「米中戦争」――カギを握るのは日本と韓国【前編】 2020.07.02 https://youtu.be/XXe6Moz8R9c 幸福実現党党首 釈量子 ◆トランプ大統領のG11構想の思惑とは…? 今回は「産業界における米中戦争の勝敗のカギを握るのは日本と韓国」というテーマです。 5月末、トランプ大統領から突如G11構想について、以下のような発言が飛び出しました。 「現行のG7の枠組みは世界の状況を適切に反映しておらず、極めて時代遅れだ。ロシア、オーストラリア、インド、韓国を招待して、G10またはG11にしたい」というものです。 この発言に大喜びしたのが、文在寅大統領の側近でもある李秀赫(イ・スヒョク)駐米韓国大使です。 李大使は「新たな世界秩序を形成・管理していくにあたり、参加できる招待状を得たのと同じ」。また、「韓国は(米中双方から)選択を強いられる国ではなく、選択できる国だという自負心を持っている」と、かなり不用意な発言をしてしまいました。 これに対しては、韓国国内からも「米中の確執が広がる敏感な時期に、外交的に不適切だ」という批判が出たほどです。 ◆韓国に踏み絵を迫る米国 もちろん、アメリカがG11構想を持ち出したのは韓国のご機嫌を取るためではありません。 狙いは「中国と韓国の引き離し」です。 G11構想に先立って、米国は、日韓を含む有志国とサプライチェーンの再編を推進する「経済繁栄ネットワーク(EPN=Economic Prosperity Network)」構想を表明しています。 EPN構想とは、次世代通信システム「5G」を含む、幅広い分野において、自由主義陣営でサプライチェーンを構築しようとするもので、要するに「反中経済同盟」です。 李駐米大使の発言の後、米国は韓国外交部と電話会談を行い、「経済繁栄ネットワーク」について説明して、参加を公式に要求したと言われています。 米国が韓国に対して「米国と中国、どちらを選ぶのですか?」と踏み絵を迫ったと見ることもできます。 ◆米国が中国と韓国を引き離したい真相 米国が韓国を引き込もうとする最大の要因は、韓国最大の企業サムスンの首根っこを押さえたいからでしょう。 米国は以前から、5Gから中国企業のファーウェイを外すよう、他国に迫ってきました。 なぜなら、このファーウェイが5Gを構築する上で外せないのがサムスンの技術だからです。 「7nm(ナノ)プロセス技術」という超細密な技術を持っているのは、現在のところ、台湾企業の「TSMC」と韓国の「サムスン」だけです。 この技術レベルの半導体がなければ、次世代通信規格の5GやAIは製造できません。 スマホが5G規格になれば、「超高速」「大容量」「同時多接続」となり、今度産業分野でも、IoTや自動運転技術などに拡大し、更に、安全保障分野、軍事での活用も見込まれています。 実際に、TSMCの技術を利用して製造した米国半導体大手のザイリンクスの製品は、米軍の最新鋭ステルス戦闘機「F35」などにも使われています。 要するに、TSMCとサムスンを中国に取られてしまうと、技術面で米国は敗北してしまうわけです。 ◆ファーウェイから距離を取る台湾企業のTSMC 昨年5月になされた米国での輸出規制によって、米国製品が25%以上含まれている製品は、自由に輸出できないことになっていました。 しかし、今後は規制が更に厳格化し、米国製品が10%以上含まれるものから禁輸対象となる見込みです。 この方針を受け、TSMCは、ファーウェイからの新規受注を停止しました。 その理由は、TSMCが米企業の半導体製造装置を使用しているためです。 更に、米国はTSMCに対して、軍事用半導体を米国内で製造するように要請し、より微細な5㎚プロセスの工場をアリゾナ州に建設するプロジェクトが進んでいます。 後編では、サムスンの動向から見て参ります。 (つづく) トランプ10分スピーチは、対中国宣戦布告【後編】 2020.06.25 https://youtu.be/ZG49YGnVTaY (5月30日収録) 幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆中国の銀行に対するスイフト利用停止 前半では、トランプ大統領の10分スピーチの意味や香港を守るアメリカ議会の気概について説明しました 今回の10分スピーチには入っていませんが、今後入ってくるのではないかと予想されているのは「中国の銀行のスイフトの利用停止」です。 銀行は国際的な資金決済するために、国債銀行間通信協会SWIFT(スイフト)のコードを持っています。これがないと貿易はできません。 この国際的な金融ネットワークから中国を締め出そうという手段が「中国の銀行のスイフトの利用停止」です。今後具体案として出てくる可能性があります。 ◆WHO から脱退 もう一つ重要な柱は、「WHO から脱退」をトランプ大統領が明言しました。 WHOは、今回のウイルスに関して国際社会の中で最初にWHOに警告をした台湾の警告を無視し、それから中国国内で勇気を持ってこれを警告した医師も無視しました。 その結果、アメリカでも10万人が犠牲になりました。WHOは中国の完全なコントロール下にあり、WHO にアメリカは年間5億ドルも拠出してきたのです。 アメリカはWHOから脱退し、台湾が参加できる新たな国際的保険機構に軸足を移すことになると思われます。 ◆中国人の入国禁止 さらに、「中国人の入国禁止」です。国家安全保障上のリスクがある中国人をアメリカから締め出すということです。 中国の留学生や大学院生、研究者はアメリカ政府からビザを許可されアメリカで生活していますが、彼らがやっていることはアメリカの技術を盗むことです。 彼らは完全に中国政府によって雇われている国家のスパイです。対象者は約3000人いると言われていますが、ビザの停止を行うと言っています。 悪の帝国をいつまでも許さない。国益のためでなくビジネスのために移民を無制限に入れてはならないという考え方です。 ちなみに幸福実現党も、国益のためでなくビジネスの利益のために移民を無制限に入れることには反対です。 ◆ビジネスより国益の優先を 幸福実現党の大川隆法党総裁の著作『繁栄への決断』のなかで次のように書いています。 「安い人件費で日本を通さず、ほかのところに売るというのは、企業のグローバル化によって税金逃れの体制を意味します。これを国内に税金を払ってくれる体制と戻す必要がある。薄れてしまった愛国心を企業に取り戻してほしい。」 グローバリズムとは、企業の利益のほうが国の国益よりも上に立つという考え方です。 企業の利益になるのだったら国境がなくてもいいのではないか。そして、人件費が安い国に企業が出て行ってしまう。 結局、税金を自国で払わなくても済むようになる。もしくは、人件費が安いから、外国人にどんどんビザを与えて来て日本に来てもらう。 人件費が安ければビジネスの利益にはなるでしょう。しかし国益にはなりません。 ましてや日本にとって反日的な国からどんどん移民を入れた場合、アメリカと同じように技術や特許を取られ、それで苦しい目に遭っている企業は日本にたくさんあるはずです。 日本の企業に愛国心を取り戻してもらって、安易に海外に出て行くのではなく、日本で日本人を雇ってもらう。幸福実現党はそちらの方を強く訴えています。 これは「愛国心」と「倫理観」の問題です。トランプ大統領が10間スピーチで言っているのは、中国のような「自国民を抑圧する国に対し、お金のために魂を売っていいのか」ということです。 これは日本にとってもいえることであると思うのです。 トランプ10分スピーチは、対中国宣戦布告【前編】 2020.06.24 https://youtu.be/ZG49YGnVTaY 幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆トランプ大統領10分スピーチの意味 5月29日、ホワイトハウスでトランプ大統領がスピーチを行いました。 わずか10分のスピーチですが、今回はこのスピーチの意義と重要性について共有したいと思います。 ちなみに、この「10分スピーチ」は、対中国宣戦布告というもので、トランプ大統領のTwitterから映像をみることができます。 【5月30日Twitter】Donald J. Trump https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1266455834457968640?s=20 20世紀には歴史的なスピーチがありました。 たとえば、アメリカのレーガン大統領が行った「Mr.ゴルバチョフ、この壁を壊そう」というスピーチは、米ソ冷戦を終わらせるものでした。 また、イギリスのチャーチル首相は、ドイツのヒットラーに対して「我々は絶対に屈服しない」という歴史的な名文句を残しています。 今回のトランプ大統領の10分のスピーチも同じように歴史を刻んだスピーチになったかもしれません。 米国の保守の人たちはものすごい興奮を持って、トランプ大統領のスピーチを歓迎しています。 その背景にあるのは、今のアメリカの深刻な状態です。 ◆トランプ大統領スピーチの背景 先日、ニューヨーク・タイムズは日曜版第1面に、「ウイルスによって亡くなったアメリカ人が10万人になろうとしている」という見出しで、その10万人の名前を載せました。 それも名前だけではなく出身地と職業と、例えば「オーケストラの指揮者でたぐいまれな素晴らしい音を聞き分ける耳を持った人」とか、「心からお母さんと国を愛していた」とか、その人の特徴を一言ずつ載せています。 そのウイルスは自然に発生したのではなく、もしかしたら中国によって意図的に広められたものかもしれない。 だとすると、中国によって自国民が殺されたということになるわけです。 ◆香港が「一国一制度」になる危機感 その中で中国は香港に対して「国家安全法」という法律も決めました。これは香港の自由を奪い、中国共産党政府に楯突く人は、すぐに逮捕できる法律です。 1997年の香港の返還式の際、イギリス国旗と植民地時代の香港の国旗を静かに下し、中国の国旗と新しい香港の国旗を揚げる儀式が行われました。 10分スピーチでトランプ大統領は、次のようにスピーチしています。 「香港は、中国の未来のはずだった。世界は、『香港を見れば中国の未来が分かる』と酔いしれていた。香港が中国の過去のような姿になるとは思っていなかった。」 そして、トランプ大統領は「香港の一国二制度が、一国一制度になってしまった」と言いました。 ◆香港を守るアメリカ議会の気概 トランプ大統領のスピーチ前、5月27日にポンペイオ国務長官もアメリカの議会で重要な報告をしていました。 「香港はもはや中国からの自治権を持っていない。中国共産党が香港に約束した自治を否定する中で、苦しむ香港の人々をアメリカは支持する」と。 この意味は、アメリカの外務省にあたる国務省が「香港の優遇措置は継続困難との見解をアメリカの議会に伝達した」ということです。 国務省が議会に対して「もう香港には自治権はありませんので、香港の自治が前提にあってアメリカ政府が香港に与えていた優遇措置は継続困難」と伝えたのです。 そして議会の了承を取り、その上でトランプ大統領はこのスピーチを行ったのです。 ◆香港の「優遇措置を見直し」 優遇措置は、「一国二制度」で香港の自由と自治が守られていることが前提だったのですが、それがなくなったとアメリカ政府は公式に表明しました。それは自動的に香港の貿易上の「優遇措置を剥奪」するということです。 具体的には、香港政府高官の「ビザの制限」や、香港政府高官がアメリカに持っている「金融資産の凍結」です。 さらには、香港からアメリカへの「輸入品に関税を導入」することです。 実は香港の優遇措置の見直しは、中国にとって打撃なのではなく、香港やアメリカの企業にとっても打撃です。 それまで香港にあるアメリカ企業約1300社が香港を中心に東南アジアで利益を上げてきたからです。 つまり、アメリカは自国の企業にとっても大きな打撃があることを分かった上で、香港の「優遇措置を見直し」を発表したわけです。 (つづく) トランプ大統領の対中報復開始!日本はどうする?【後編】 2020.06.07 https://youtu.be/rr2mI57hFfs (5月19日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆世界に広がる中国賠償責任論 前編では、米トランプ政権が繰り出した「対中報復の3連打」を述べましたが、新たな中国制裁としてコロナの損害賠償で責任を取らせようという動きもあります。 5月1日、ワシントン・ポスト紙は、「アメリカの政府高官が、中国に金銭的な賠償を要求する可能性を検討し始めている」と報じました。 米国では、すでに中国政府や武漢の病毒研究所の関係者などを相手にネバダ州、フロリダ州、テキサス州で、弁護士組織や企業が集団訴訟を立ち上げています。 さらに、ミズーリ州では4月21日、州の司法長官が、「中国政府は新型コロナの危険性について嘘をつき隠蔽した」として、損害賠償請求の訴訟を起こしています。 もちろん、「中国という国家を訴えることができるのか」という議論もあります。 通常、裁判では「主権免除の原則」があり、「国家は外国の裁判権に服さない」という国際法上のルールがあります。 しかしアメリカでは、2016年に「テロ支援者制裁法」が成立したことがありました。 これは2001年9・11のハイジャック犯19人のうち、15人がサウジアラビア国籍だったことから、「主権免除の原則」の例外を認めて、テロの犠牲者がサウジ政府を訴えることができる道を拓きました。 今回のコロナでも、共和党トム・コットン上院議員らが、同様の趣旨の法律を作成しようと動いています。 他にも、中国に賠償を求める動きは世界にも広がっていて、フランス国際ラジオFRIによると4月29日の段階で、「コロナに対して世界8か国が、中国に100兆ドルの損害賠償を求めていて中国が激怒している」と報じました。 それによると、「アメリカ、イギリス、イタリア、ドイツ、エジプト、インド、ナイジェリア、オーストラリア」の8ヵ国で、賠償金額の合計は100兆ドル(約1京1000兆円)を上回り、中国の7年分のGDPに相当する額に達するとのことです。 加えて、「中国共産党幹部のアメリカ国内資産の凍結」という方法もあります。これまでもアメリカはイランや北朝鮮の政府高官、団体、企業などアメリカ国内の資産を凍結しています。 中国共産党の幹部は、莫大な資産をドルに換えて、海外に移転させており、カリフォルニアやニューヨークに数多くの不動産を所有していると言われています。これらを差し押さえることはかなりの効果があります。 ◆日本はどうすべきか? では日本はどうすべきでしょうか。二つあります。 1つめは、「中国マネーに対する警戒強化」です。 アメリカがファーウェイの切り離しに動く中、中国は技術力のある日本企業に目を向けてくるのは間違いありません。 欧米ではコロナショックで株価の下がった自国の企業を、中国による買収から守るために防衛策を強化しています。 日本も、法律上の規制と、企業への資金支援の両面から、中国による買収防止策を強化すべきです。 2つめは、「対中包囲網の構築」です。 中国国家安全省が4月初旬、中国の有力シンクタンク「中国現代国際関係研究所(CICIR)」の報告書を中国政府指導部に提出しました。 報告書によると、「世界的に高まる反中感情が、1989年の天安門事件以来の水準に悪化する恐れがある。アメリカが新型コロナ対応を巡り中国への反発をあおり、中国政府はアメリカとの武力衝突という最悪のシナリオも想定する必要がある」と指摘したようです。 中国はこうした情勢分析のもとで、「中国包囲網の結束」を破るために、天安門事件の時と同じように、日本の取り込みにかかると思われます。 天安門事件の後、国際的非難を浴びた中国に対して、国際社会復帰の道を拓いたのは、ほかならぬ日本の対中外交でした。 歴史の汚点を二度とつくってはならないと思います。 日本は、中国では経済的利益を得て、米国には安全保障をお願いする、という「両天秤外交」から、きっぱり決別すべきです。 今こそ、アメリカを中心に、自由・民主・信仰といった価値を重んじる国々による「中国包囲網」の中で、日本は、アジアのリーダーとしての役割を果たすべきです。 トランプ大統領の対中報復開始!日本はどうする?【前編】 2020.06.06 https://youtu.be/rr2mI57hFfs (5月19日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆米トランプ政権が進める対中制裁 今回は、トランプ政権が中国に対して新型コロナウイルスの感染拡大の責任を取らせるために進めている対中政策についてお話をしたいと思います。 5月5日、米国のムニューチン財務長官は、「トランプ大統領が情報機関と共に中国の新型コロナウイルスに関するデータを精査している。そして中国を罰するための選択肢を検討している」と述べました。 そして、5月半ばトランプ政権が「対中報復の3連打」を繰り出しました。 (1)「金融制裁」の動き これまで、米中は関税や輸出の禁止などの貿易分野で「つばぜりあい」を行ってきましたが、アメリカはいよいよ資本規制に踏み出しました。 5月13日、アメリカの「公務員年金基金」が中国株への運用を無期延期すると発表しました。 アメリカには「連邦退職貯蓄(FRTIB)」という連邦職員や軍人の年金運用の基金があり、2017年に利益を拡大するため今年2020年半ばから中国株をより多く買う方針を決めていました。 しかし、直前に延期することになったというのが今回の方針決定です。 例えば、昨年からマルコルビオ上院議員のような対中強硬派は、中国の監視カメラ大手「ハイクビジョン」(杭州海康威視数字技術)や軍需企業などに公的年金を投資するのはいかがなものかと強く主張していました。 当初の予定では500億ドル(約5兆3000億円)を中国株に運用することになっており、そのまま運用していたら中国株に約50億ドル(約5,300億円)のお金が流れたはずでした。 (2)中国への断交宣言予告 5月14日にはトランプ大統領が「FOXニュース」に出演して爆弾発言を行いました。 「中国とのすべての関係を断ち切ることもあり得る」と。これは「断交宣言の予告」ともれるような発言だったと思います。 その時、「中国企業がアメリカの会計基準の採用を義務付けられれば、上場先を米国以外の市場に移す公算が大きい」と発言し、これもかなり踏み込んだ発言でした。 中国企業はアメリカの企業に比べ情報開示が甘く、これまで問題視されていたのです。 中国の企業は財務諸表やガバナンスなど、中国共産党との結びつきが明らかになるのが嫌なこともあるのか、これまでアメリカの会計基準に厳密には従ってこなかったのです。 トランプ大統領の発言は、ずばりウォール街から中国企業を締め出すのが狙いです。 もちろん、決定したわけではありません(5月19日現在)が、選択肢の一つに入っているのは間違いありません。 (3)ファーウェイの生命線を断つ 翌日15日も大きな動きがありました。 米中貿易戦争の主戦場であるハイテク分野で、ついに「ファーウェイ」(HUAWEI)の生命線を断つ動きがありました。 アメリカ商務省が「ファーウェイがアメリカの技術を活用して海外で半導体を開発することを制限する」と発表しています。 トランプ政権は、ファーウェイを「エンティティリスト」、つまり「禁輸措置対象のブラックリスト」に入れ、米国企業、あるいは海外企業でもアメリカ製品が25%以上含まれた製品を輸出することを禁止しました。 ところが抜け道があり、ファーウェイは台湾の半導体受託製造会社であるTSMC(台湾セミコンダクタ・マニュファクチャ・カンパニー)などに生産を委託して、台湾で製造した半導体を自社製品としてスマホやタブレットなどで使ってきました。 台湾のTSMCは、アメリカの技術やソフトを利用して製造された半導体製造装置を使って、ファーウェイ向けの半導体を生産していましたが、今回これもダメだということになりました。 ファーウェイはこれを予想しており、中国のシンセンを本拠地とする子会社のハイシリコンという会社で半導体の自前化に力を入れてきましたが、技術的にはTSMCのような最先端のレベルまでは到達していません。 今回の新しいルールの導入で、ファーウェイに半導体を供給するためには、アメリカ商務省の事前の許可が必要になるので、TSMCはついにファーウェイからの受託を停止しました。 さらに、アメリカは極めて戦略的な取り組みもしています。最近、台湾TSMCは、アリゾナ州に、建設費120億ドル(約1兆3000億円)の工場の計画を発表しました。 TSMCの半導体は、ステルス戦闘機F-35にも使用されているのですが、なんとコロナウイルスよりも小さい超微細な製造プロセスの半導体を製造する予定です。 TSMCレベルの半導体製造工場は、台湾以外ではアメリカが初めてです。 アメリカは中国への技術流出を防ぐとともに、自国内に経済と安全保障のカギとなる分野の供給網を確立しようとしているのです。 ちなみにTSMCレベルの最先端半導体を製造できるのはサムスンぐらいで、今後中国がサムスンを取り込むのか、韓国の動向も注目されます。 (つづく) 世界の工場は中国からインドに。日本も台湾を参考に国内回帰を。 2020.05.29 https://www.youtube.com/watch?v=YFj84vVAbhI 幸福実現党広報本部長補佐 畠山元太朗 ◆世界の工場は中国からインドに 米中貿易戦争が始まって以来、中国に進出している企業はチャイナリスクを意識し、脱中国を進めてきました。 しかし、トランプ政権がコロナウイルス感染拡大に関する中国への責任追及を強め、米中対立が激化するなか、脱中国の動きが広がっています。 インドの「Economic Times」によると、アップルは今後5年間でインド国内のiPhone生産施設の大幅な拡大に動いています。 アップルの主力製品であるiPhoneの大半は台湾の「鴻海(ホンハイ)精密工業」が、中国本土にある工場で製造しています。 アップルのサプライチェーンは、本社は設計・マーケティングを担当し、ソニーなどの高品質の部品を各国から調達し、中国の工場で最終製品の組み立てを行っていました。 しかし、米中貿易戦争が激化する中、生産拠点を分散化するためにインドに工場を建設しました。 今回の生産設備拡大が行われると、今後5年間でiPhoneの5分の1はインド製になります。 インド政府高官によれば、今後5年間で400億ドル(約4兆3000億円)の収益を生み出すとコメントしています。 さらに、インド政府は中国からの生産拠点移転を検討する米国企業の誘致に本腰を入れています。 4月だけで、米製薬大手(アボット・ラボラトリーズ)を含む1,000社以上と協議しました。 インドではモディ首相のもとで「Make in India」を掲げ、インド製造業の振興を図っていますが、米中対立を契機に一気に進めたいという狙いがあります。 インドは中国に並ぶ「人口大国」ですが、年齢構成がはるかに若いという特徴があります。 国連統計によれば、2015年の年齢中央値は、中国36.7歳に対し、インド26.8歳です。 また、平均的な所得水準、賃金水準が低いので、「若くて、安くて、豊富な労働力」があります。 これが、インドが、中国に代わる「世界の工場」の地位を受け継ぐ可能性が高いと言われる大きな理由です。 ただ、インド経済の弱点もあります。国家財政が弱いので、「インフラが未整備」という点があります。製造業を振興するためには、「莫大なインフラ投資」が必要になります。 例えば、電力の安定供給は不可欠なので、電力インフラが重要です。停電がよく起こるようでは工場を安定して稼働できません。 物流インフラも大事です。雨季の洪水で物流が止まるようでは、製造大国にはなりません。 この点、日本は新幹線型の高速鉄道や地下鉄などの交通インフラで技術提供していますが、今後大きな需要が見込まれます。 金融機関が中長期債を発行するなどしてバックアップしながら、日本経済の成長戦略の一環として取り組みつつ、日印関係強化を図るべきかと思います。 ◆ベトナム、EUと自由貿易協定(FTA)を結ぶ また、アップルは「脱中国」の一環として、「ヘッドフォン」をベトナムで生産する予定です。 中国の代替国として、インドとベトナムが有力候補で挙げられますが、そのベトナムは5月中にEUとの自由貿易協定(FTA)を締結します。 今後10年かけて双方の輸出品の殆ど全ての(99%)関税を撤廃します。ベトナムは中国、バングラディッシュに次ぐ世界3位の衣料品輸出大国です。 今後、輸出の約2割を占める衣料品や履物の輸出拡大が期待できるとともに、今後ますます脱中国に動く企業の受け皿になっていくでしょう。 ◆日本も台湾を参考に国内回帰を さらに、台湾の製造業が中国から国内回帰する動きを強めています。 2019年1月からの投資額はハイテク分野を中心に7600億台湾ドル(約2兆7000億円)に達しました。単純計算で、対中投資の5倍強のペースです。 台湾の国内回帰の成功には、台湾政府の後押しが効いています。蔡英文政権は2019年1月、新たな優遇策を発表しました。 工場用地の紹介や外国人労働者の雇用規制の緩和、民間融資の金利一部肩代わりなどです。 中国で2年以上の投資実績があり、米中貿易摩擦の影響を受けるなどの条件を満たす企業が対象です。 2期目の就任式で、蔡英文総統は「世界に信頼されるサイバーセキュリティなどの産業供給網を築く」と話し、日米欧との連携を深めて中国依存を加速する姿勢を鮮明にしました。 以上、脱中国の動きとして、(1)インドや東南アジアへの分散化、(2)企業の国内回帰を見てきました。 トランプ政権はインド太平洋戦略を掲げ、中国を外した国際的なサプライチェーン構築を急いでいます。 日本は日本企業の国内回帰を推し進めつつ、自由や民主主義、信仰の価値観を共有するインドや東南アジアの国々との連携を強くし、アジアのリーダーとしての役割を果たさなくてはなりません。 新型コロナで、一帯一路崩壊へ。タンザニア大統領「中国の融資条件は、酔っ払いにしか受け入れられない」 2020.05.03 https://www.youtube.com/watch?v=vf7o9BZd8b0 幸福実現党広報本部長補佐 畠山元太朗 ◆タンザニア大統領が一帯一路離脱宣言 アフリカでは今、中国に対する反発が強まっています。 アフリカ東海岸にタンザニアという国があります。タンザニアは、ダイヤモンドや金、ウランやニッケルなどのレアメタル、レアアースを産出する資源国であり、中国の一帯一路構想にとって重要拠点と位置付けられてきました。 しかし、タンザニアのジョン・マグフリ大統領は「コロナ感染対策のために、バガモヨ市にある港湾建設に関わる中国への借金100億ドルを中止する」と発表しました。 昨年6月、前大統領が締結した港湾プロジェクトの内容に関して、中国側の要求に無理があることに怒りを露わにし、計画を停止していました。 しかし、今回はさらに一歩踏み込んで、新型コロナ感染拡大の責任がある中国への借金を、感染症対策予算に充当するというものです。 アフリカでは、他の国々の間でも中国への反発が強くなっています。一番大きな影響を与えたのは、中国広東省広州のナイジェリア人居住区でコロナのクラスターが発生し、黒人差別が行われたという出来事です。 例えば、大家から家を追い出されたり、ホテルから退去を命じられる。抵抗すれば、警察を呼ばれ、拘束され、屈辱的な尋問を受ける。黒人女性がデパートに入店することを拒否されるケースもあったようです。 ナイジェリア外相は「われわれは身の回りの物を持って、路上で寝起きしているナイジェリア人の映像を見た。もちろん、本国にいる私たちにとって痛ましくてならないものだ」と発言。同政府も「容認できない」と中国を非難しました。 また、アフリカの約20か国が共同書簡を作成し、草案段階では「明らかな人権侵害」と明記しています。 他にも、エジプトやナイジェリアの弁護士が、新型コロナの賠償金を求める訴訟を起こしています。アフリカで、ここまで中国に対する反発が強まったのは初めてです。 ◆米共和党上院議員が中国の一帯一路阻止に動く また、4月26日、アメリカの共和党上院議員16名が「一帯一路構想のもと、中国に多額の借金を抱える新興国を守れ」という趣旨の共同声明を発表しました。 声明では「我々は、国務省や財務省に対して、IMF(国際通貨基金)やWB(世界銀行)が新興国に追加支援を行うにあたり、中国の一帯一路構想の下で行われた融資内容を検討するよう求めた。中国の融資は、国際基準に合致していない」と書かれています。 4月13日、IMF国際通貨基金は、最貧国の内、25か国に対して債務返済猶予を発表しました。猶予措置には、自然災害やパンデミック(感染症の世界的流行)の際に対応する「大災害抑制・救済基金(CCRT)」を活用します。 アメリカは資金拠出の一部を担っていますが、アメリカ国民の税金が原資になっている以上、IMFの新興国援助の形で中国の一帯一路を助けるようなことがあってはいけないと、共和党上院議員は考えているわけです。 さらに、トランプ政権に対して、中国金融機関による融資内容の透明性を高めさせるとともに、国際基準に合わない契約条件を見直すよう圧力をかけることを求めています。 中国が火事場泥棒的に、借金を返せない新興国から港湾等の資産や鉱物資源の権益を収奪しないように強く牽制したものです。 今回、日本は新興国支援として1億ドル(約110億円)の資金をIMFに提供しています。 今後、日本は資金提供のみに甘んじず、米国との連携を強化しながら、アジア、アフリカへの中長期的な融資を通して積極的に関与し、自由や民主主義、信仰の価値観を共有する国々を増やしていく必要があります。 武漢ウイルス感染拡大。米国で高まる中国賠償責任論。 2020.05.02 https://www.youtube.com/watch?v=0sRCc6fdFLo&t=154s 幸福実現党広報本部長補佐 畠山元太朗 ◆米国ミズーリ州が中国を提訴 アメリカでは中国発新型コロナウイルス拡大による被害が大きく、中国に責任を問う世論が高まっています。4月3日~5日に行われた米国ハリス世論調査によると、「中国政府に責任がある77%」「中国が賠償金を支払うべき54%」となっています。 4月21日には、ミズーリ州のシュミット司法長官が連邦地裁に中国を提訴しました。 これまで、中国政府の初期対応に問題があったとして、フロリダ州、テキサス州、ネバダ州で個人や企業が中国を相手取った訴えを起こしましたが、公的機関である州当局が訴えたのは初めてです。 通常、主権免除の原則があり、外国政府を相手取った訴訟を行うことはできませんが、今回の訴訟を契機に、米国議会に法整備を促し、新型コロナ犠牲者にも、中国に対する損害賠償を請求する道を拓くことも狙いとしてあります。 実際に、2016年には「テロ支援者制裁法」が成立し、主権免除の例外が認められ、9.11犠牲者がサウジアラビアを相手取った訴訟を起こしています。 ◆共和党を中心に中国賠償責任論を推進 中国に責任を負わせる方法は他にもあります。 ニューメキシコ州の上院議員候補者であるGavin Clarkson氏は「トランプ大統領とムニューチン財務長官は、中国共産党が保有している1.1兆ドル(約120兆円)の米国債を賠償に充てるべきだ。財務省は今後、中国が米国債の購入・保有・売却を禁止し、適用範囲を政府高官にも広げるべきだ」と主張しています。 また、アメリカ合衆国弁護士のJohn Yoo氏は、2001年~2003年までブッシュ政権の法律顧問も務めた方ですが、国際機関の強制力の弱さを指摘した上で、関税などの経済制裁に加え、「トランプ政権は中国国有企業の資産を差し押さえるべきだ。」 「中国は一帯一路構想のもとで、アフリカや東欧、ラテンアメリカで数十億ドルの貸付を行い、払えない国の港湾や施設を収奪している。米国はこれらの資産を差し押さえ、コロナ賠償金として借金帳消しにすべきだ」と論じています。 議員の中にも、同様の考え方を持つ方々がいます。Marsha Blackburn氏(共和党・上院議員)は「米国は中国に債務免除を求めるべき」、Josh Hawley(共和党・上院議員)は「米国民が新型コロナで被った被害について、中国共産党に損害賠償請求できるようにしたい」と訴えています。 アメリカでは共和党が中心となり、中国賠償責任論を推し進めています。今後、日本は中国の顔色を伺う八方美人外交ではなく、正義に基づく、筋の通った外交を展開しなくてはなりません。 コロナ禍で迫りくる世界規模の食糧危機?【後編】 2020.04.27 https://youtu.be/v3mP3sfvLNo 幸福実現党党首 釈量子 ◆日本の脆弱な食糧自給体制 このような未曽有の食糧危機に対して、日本はどのように対処すればよいのか、まず、日本の現状を確認してみます。 日本の食糧自給率を見ると、穀物の大半を輸入に頼っていることがわかります。 コメに関しての自給率はほぼ100%ではありますが、家畜の餌にする飼料用穀物の自給率は、28%しかありません。 各国からの輸入が止まった場合、コメ以外の穀物が食べられなくなるだけでなく、家畜用のエサがなくなってしまうので、タンパク源である豚や牛の生産に影響が出るわけです。 ◆食糧確保のため日本が取るべき道:(1)減反の実質的廃止 日本がまず行うべきことの一つは、「減反を実質的に廃止する」ということです。 「減反政策」とは元来、米価が下がり、農家が困窮することを防ぐことを目的に、生産調整を行って米価を維持し、生産調整の達成度に応じて農村に補助金を配る仕組みです。 「頑張らなければお金をもらえる」のはおかしいしと批判が高まり、半世紀近く続いた減反政策は2018年には廃止になっていますが「事実上の減反」はまだ続いています。 その象徴となるのが「転作補助金」で、食用のお米をつくる代わりに、大豆や麦をつくったら10アール(1反)あたり3万5千円、飼料米をつくった場合は、10万5千円もの補助金を出しており、今までの減反補助金よりも高額と言えます。 しかし、食糧危機が来るかもしれないという今、そんな余裕はなく、食用のコメづくりの生産性を高めるか、あるいは「飼料用穀物」の生産に力を入れていくことが必要です。 ◆食糧確保のため日本が取るべき道:(2)飼料用穀物の国産化 飼料用穀物については、補助金をもらうためではなく、国内の畜産農家に売るために、戦略的に作っていくことが大事だと思います。 現時点では、飼料用トウモロコシは、ほとんど米国から輸入していますが、日米貿易交渉において、日本は米国の余ったトウモロコシを買う代わりに、自動車への高い関税を免れたとも言われています。 確かに、非常に政治的でデリケートな分野だとも考えられますので、日本としては食用のコメづくりを守ることを最優先とし、いま国を挙げてトウモロコシ生産を推進する必要はないでしょう。 しかし、先ほどお伝えした通り、中国がヨトウムシによる被害によって、「トウモロコシ」が大打撃を受けている今、世界の19.3%を生産していた中国において、仮に収穫量が半分になったら、世界のトウモロコシの需給バランスが大きく崩れる可能性があります。 また、もし米国が飼料用のトウモロコシの輸出制限を始めた場合、豚や牛などのエサがなくなってしまいます。 北海道などで作られている乳製品の需給にも影響が出てきますし、現代人にとっては「肉なし、乳製品なし」の生活は考えられないでしょう。 ◆飼料用トウモロコシを国産化する有効性 以上のように、日本においても飼料用穀物を生産できる体制を作っておく必要があるということです。 確かに、飼料用のコメもいいのですが、豚や牛のエサは、穀物をバランスよく与えてあげる必要があるため、100%コメで育てることは難しく、やはりトウモロコシも必要です。 それから、農地あたりの生産量とコストについて、飼料用のコメの場合、10アール当たり556kg、コストは10万円以上かかりますが、飼料用のトウモロコシは10アール当たり1000kg収穫でき、コストは3万5千円しかかからず、しかも手間がかかりません。 またトウモロコシは二毛作と二期作が可能で、もしトウモロコシが余ったら、食糧不足に陥った国々へ輸出もしやすいため、日本でも飼料用トウモロコシを育てておくのもいいのではないかと思います。 他にも大豆の自給率は6%しかないので、今後ニーズが高くなる可能性は高いです。 日本国内の「飼料用穀物の備蓄」はメーカー独自の在庫をあわせて100万トンありますが、万が一、輸出が止まったら、すぐにピンチに陥りますので、国内で生産できる体制を作っておく必要があるわけです。 ◆食糧確保のため日本が取るべき道:(3)未来型農業への投資 今回のコロナ禍への対処策として、農林水産省は失業者に対して、農業を受け皿にするための支援を検討しているようです。 仕事を失った人たちが地域の農業で働けるよう、研修や宿泊の費用を支援して転職を促し、農家の人手不足を解消する狙いです。まさにジョブ・クリエーションです。 そうであれば、更に踏み込んで未来型農業への道を開き、「稼げる農業」を目指す若い世代の参入を促すべきではないでしょうか。 「リモートセンシング」や「GPS誘導付き自動運転トラクター」「ドローン」など、最先端の農業技術を組み合わせる「スマート農業」を進め、少人数で大きな農地を管理できる農業によって、生産性も格段に高まります。 「植物工場」も注目で、天候不順にも強く、世界にも輸出できます。 今後、世界的に「農業用水」が不足する時代になると言われており、「水」の節約、そして中国に輸入依存している「肥料」の節約にもつながります。 世界三大投資家の一人と言われるジム・ロジャーズ氏は「日本で今後伸びる産業の一つは農業。ライバルが少ない今、15年後には大儲けできるかもしれない」とも述べています。 ◆食糧確保のため日本が取るべき道:(4)農地法の改正 そのためにも、農地に関する規制は緩和すべきで、農業に新規参入しようとする企業や個人を締め出してきた「農地法」は改正すべきです。 「食糧自給率を上げる」と言う観点からも、また「稼ぐ農業」という視点からも、生産性を高めるための環境づくりをすべきです。 例えば、現在でも株式会社が農業に参入する際には賃貸でしか農地を得ることができず、農業生産法人を設立しても、農地を所有するには、構成員の4分の3以上、役員の過半数以上が農業従事者でなければいけないといったルールもあります。 これでは、大手の食品会社などが自前の農地を持って農産物を育てるようなことは難しいでしょう。 ◆食糧危機に貢献できる世界のリーダー国家を目指せ! 最悪のケースとして、「食料自給力」という考え方もあります。 これは国内のすべての農地、耕作放棄地や、花など、食物にならない農地をフルに活用した場合、どれだけのカロリーを生産できるかという指標で、芋を中心に植えると、国民が必要なカロリーがほぼ満たせるそうです。 しかし、これでは本当に戦時中と同じような食生活になるので、それが嫌なら、今から備えておくべきです。 日本には既に農業分野で高い技術力があります。 こうした安心安全の食をつくる技術を最大限に発揮して、日本の食糧自給率を高める取り組みを今から始めるべきです。 更に歩みを進めて、「世界の人たちをも食べさせる」という気概が必要だと思います。 いま世界はコロナの蔓延で殺気立っており、資源と食糧をめぐって奪い合い、紛争が起きる可能性もあります。 迫りくる「食糧危機」を乗り越え、世界に貢献できるリーダー国家・日本を目指すべく、今後もあらゆる政策を発信していきたいと思います。 コロナ禍で迫りくる世界規模の食糧危機?【前編】 2020.04.26 https://youtu.be/v3mP3sfvLNo 幸福実現党党首 釈量子 ◆コロナ感染拡大で予想される食糧の危機 今回のテーマは、今後予想される食糧危機とその対策をお伝えしたいと思います。 現在、中国発の新型コロナウイルスが世界に広がっており、これ自体、人類にとって大変な脅威ですが、いま別の危機も迫っています。 4月1日、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)、世界貿易機関(WTO)の3機関の事務局長が次のような共同声明を発しました。 「各国の新型コロナウイルス封じ込めのための行動が、食料供給に影響を与えないよう、輸出制限などの措置を取らずに協調する必要がある。」 「食料品入手の可能性への懸念から輸出制限のうねりが起きて国際市場で食料品不足が起きかねない。」 ◆未曾有の食糧危機の要因:(1)コロナで農業に従事する労働者たちが働けなくなる こうした声明が出された背景として考えられるのが、新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるために、国境や都市を封鎖して人の移動を制限したことで、農業分野の人手不足が深刻になっていることです。 米国では、野菜や果物の収穫などはメキシコなどからの外国人労働者に大きく依存しており、この1年間に25万人の外国人に、農業に従事することを認めるビザが発給されていました。 ところが、コロナ騒動で、米国ではビザの発給が停止され、外国人の労働者がアメリカに入国できなくなってしまいました。 欧州でも東欧からの出稼ぎが止まり、農作業に支障が出ています。 日本でも、事実上の働き手になっていた「外国人技能実習生」が、日本に戻って来られないために、収穫が滞っているという悲鳴が上がっています。 ◆未曾有の食糧危機の要因:(2)バッタの襲来(蝗害) 次にバッタの襲来で、蝗害(こうがい)と言われます。 今後の食糧危機を引き起こすものとして、労働者不足だけでなく、東アフリカ、アラビア半島周辺で発生した「サバクトビバッタ」が前例のない規模で大量に発生し、食糧を食い荒らしているという実態があります。 増えた理由ですが、2018年から本年まで、東アフリカでサイクロンが発生し、広範囲で雨が降ったことで緑化、豊富なエサの供給源となったことが直接的な原因とされています。 バッタは草だけではなく、人間の食糧も食べ尽くしながら移動し、成虫となったら卵を産んで、増殖していきます。 東アフリカでは、ケニアやエチオピア、ソマリアで前例のない発生があり、幾つかの群れがウガンダにも移動していると言われており、ソマリアでは「国家非常事態宣言」が出されています。 現在、バッタはパキスタンやインドに到達し、特にパキスタンでは壊滅的な打撃を受けて、食糧価格が高騰、全土に緊急事態宣言を発令し、国際社会に緊急援助を要請しています。 さらに、報道によると、「第1波」の次の「第2波」が繁殖地から飛び立って、既にウガンダなどアフリカ東部で壊滅的な被害をもたらしており、十分な対策をしなければ、第1波の20倍にもなるとの指摘もあります。 対策として各国は農薬を散布しているのですが、神奈川県ぐらいの面積で飛んでいるとされる大群にはとても追いつきません。 そして、このサバクトビバッタがいま中国に迫っています。 ◆未曾有の食糧危機の要因:(3)ヨトウムシの大量発生 更に、中国では「ヨトウムシ(夜盗虫)」という蛾の幼虫で、極めて危険な農業害虫が大量に発生し、深刻な被害が出ています。 昼間は物陰に隠れていて、夜になって活動し、一晩で作物が食べられてしまうと言われており、既に被害面積は九州と四国を足した面積よりも大きい6660平方キロメートルにも達しています。 このヨトウムシはトウモロコシを食べますが、既に農薬に対して抵抗性が付いていて、農薬が効かないという話です。 このヨトウムシ被害の後、もしもサバクトビバッタの大群が中国に入ってきたら、中国で生産している穀物に非常に大きな被害が出ることは明らかです。 ◆未曾有の食糧危機の要因:(4)食料生産国の輸出規制 以上のような労働力不足、害虫等の大量発生の理由から、各国は自国民の食糧を確保するために「輸出規制」を設け始めています。 世界最大の小麦輸出国のロシアは国内供給を優先し、4~6月の穀物輸出量に制限を設けており、ウクライナも小麦の輸出制限を設定しています。 更に、世界最大のコメの輸出国であるインドも、コメや小麦の輸出を制限していますし、世界3位のコメ輸出国であるベトナムも、3月下旬に新たなコメ輸出の契約を停止しました。 冒頭にお伝え通り、FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)、WTO(世界貿易機関)は、過度な輸出制限をしないように各国に求める共同声明を出していますが、今後どうなるか分からないのが実態です。 (つづく) すべてを表示する « Previous 1 … 19 20 21 22 23 … 101 Next »