Home/ 須藤有紀 須藤有紀 執筆者:須藤有紀 ■進む高等教育無償化――その前に必要な経済・教育政策 2018.03.16 ※はじめに ■「外国人による不当な目的の土地買収等を規制するための署名」について 先日発信致しました幸福実現党北海道本部の「外国人による不当な目的の土地買収等を規制するための署名」の用紙について【PDF版】をダウンロードできるように致しました。 引き続き、皆様のご協力お願い申し上げます。 【署名用紙PDF版】 https://info.hr-party.jp/files/2018/03/16022358/qsomtegp.pdf 【お送り先】 〒005-0814 札幌市南区川沿14条1丁目6-28 小沼方 幸福実現党 北海道本部 【締め切り】平成30年7月31日必着 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 下記より、本日のニュースファイルをお送りいたします。 ■進む高等教育無償化――その前に必要な経済・教育政策 HS政経塾6期生 須藤有紀 ◆主な教育無償化案 昨年掲げられた政府の看板政策、「人づくり革命」では、目玉として「教育無償化」が掲げられました。 安倍首相は、「どんなに貧しい家庭に育っても家庭の経済事情に左右されずに夢に向かって進める社会をつくらなければならない(※1)」と語っており、待機児童問題や、大卒と高卒の所得差などを挙げ、教育機会均等や所得格差是正などを謳っています。 しかし、本当に、教育無償化でこれらの問題が解決するのでしょうか。 今回は、高等教育(大学、専門学校等)無償化に的を絞って検討していきます。 ◆高等教育無償化の内容 高等教育無償化が必要だとされる論拠を調べてみると、大きくは下記の2点にまとめられます。 (1)教育費の負担感増 ・大学進学率は増加しているのに、収入は減少傾向。 (2)所得格差による教育格差(負のスパイラル) ・高等教育を受けた人とそうでない人の収入格差がある。 ・塾に通わせる余裕がない低所得家庭は、低学歴になる傾向がある。 平成29年度の学校基本調査によると、平成29年3月には、大学・短大・専門学校への現役進学率は71%となっています。 平成9年の現役進学率は40.7%だったので、20年で30%も増加しています。 これに対し、児童のいる世帯の平均所得額は、平成8年に781.6万円だったのに対し、平成22年は658.1万円、平成26年は712.9万円でした。 また、受験生の塾費用(大学入学前1年間の学校外学習費)は平均64.9万円と、国公立大学の年間授業料平均67.5万円とほぼ同額です。 子どもにはできるだけ高い学歴を身につけさせたいと考える保護者が大半(※2)な中、学校教育だけでは不十分だと考えられていることが分かります。 問題の根本原因は、経済不振と公教育の質低下にあるのです。 ◆幸福実現党の政策 幸福実現党は、消費税率5%への引き下げや法人実効税率の10%台への減税など、大胆な減税や規制緩和を基調とした政策実施を掲げています。経済活性化を重視し、まずは日本を豊かにしようと考えているのです。 そして、教員制度改革や学校設立の自由化、飛び級・飛び入学制度の導入や塾を学校として認めるなど、教育の多様化と充実を掲げています。 また土曜授業を復活させ、教育内容と授業時間をゆとり教育導入以前の水準に戻します。 子供たちの学力向上を可能とする公教育を実現し、家庭の教育費負担の軽減を図ります。ただ税金を投入することだけが、問題解決の方法ではありません。 まずは「小さな政府」で民間の力を生かし、経済を活性化させ、教育の自由性を広げることで、質を向上させるべきだと考えます。 (※1) 9月8日、内閣官房の人生100年時代構想推進室の看板掛けにての発言。 (※2) 「『学校外教育活動に関する調査2017』データブック」(ベネッセ教育総合研究所 2017年10月31日発行)によれば、64.4%。 【参考】 2017年9月8日付日経新聞 …安倍首相発言について https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS08H4A_Y7A900C1EA3000/ 平成28年度の国民生活基礎調査の概況(厚生労働省) …子供を持つ世帯の平均所得の推移 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/16.pdf 北朝鮮が弾道ミサイル発射準備?――日本は「撃たせない」選択を! 2017.09.05 北朝鮮が弾道ミサイル発射準備?――日本は「撃たせない」選択を! HS政経塾6期生 須藤有紀 ◆米韓が防衛力を強化 9月4日、アメリカと韓国は、米軍の原子力空母や戦略爆撃の朝鮮半島沖派遣に向けた協議に入ったと、韓国国防省が国会の国防委員会で明らかにしました。 同省は、北朝鮮によるICBM(大陸間弾道ミサイル)再発射の可能性があるとして、THAAD(高高度防衛ミサイル)の発射台4基を、南部星州に追加配備することも発表しました。 北朝鮮の6回目の核実験を受けて、米韓の緊張は増しています。 ◆日本に向けて再びミサイル発射? 日本も他人ごとではいられません。 8月に金正恩朝鮮労働党委員長が、太平洋を目標に「弾道ミサイルの発射訓練を多く行う」などと表明していることから、核の脅威をアメリカに誇示するため、再び日本に向けてミサイルを発射する可能性もあります。 韓国の情報機関である国家情報院によると、北朝鮮が行った6回目の核実験では、咸鏡北道豊渓里(ハムギョンブクトプンゲリ)にある核実験場の「2番坑道」が使われたと言います。 2番坑道は今回の実験で陥没した可能性がありますが、現在核実験場には1度も使われていない3番坑道の準備がほぼ完了し、4番坑道が整備中となっています。 次のミサイル発射に向けて、着々と準備が進められているのです。 ◆与野党が非難決議 この緊迫した情勢の中、日本政府は国民を守るための決断をできずにいます。 5日午前には閉会中審査を行い、政府側は、「軍事行動を排除しない米国を支える姿勢を強調し、経済制裁とあわせて北朝鮮への圧力を強め、対話に向かわせる」という従来の答弁を繰り返すのみでした。 これでは北朝鮮の軍事行動を抑えることはできません。 憲法9条によって武力を放棄している日本は、北朝鮮に武力で対抗することができないため、非難や抗議を重ねたところで「どうせ口だけだろう」と相手にされないのです。 銃を持った強盗に、丸腰の人間が抵抗できないように、口だけで国を守ることはできないのです。 ◆今必要なこと 北朝鮮のミサイル発射を止めるために、今必要なのは、北朝鮮に対して抑止力を強化することです。 具体的には、 (1)憲法前文の「平和を愛する諸国民」に、北朝鮮はあてはまらないとし、憲法9条適用除外をすること。 (2)非核三原則を撤廃し、米原子力潜水艦の国内停泊や核シェアリング、自衛隊の核装備で抑止力強化をはかること。同時に、核シェルターの設置を早急に進めること。 (3)防衛費を臨時増額し、早急にミサイル防衛体制を強化すること。 などです。 日本政府は、同じような議論を繰り返すのではなく、北朝鮮の脅威から国民を守るためにはどうしたら良いのか、北朝鮮にミサイルを撃たせない方法は何か、といったことを具体的に考えるべきです。 そして、上記3点について、実行を早急に決断すべきです。 いみじくも、日本国を任された日本の政治家であるならば、政治家生命より国民の生命を守るため、勇断をしていただきたいと、切に願います。 【参考】 北朝鮮、弾道ミサイル発射の兆候 韓国国防省など報告(9/4朝日新聞デジタル) http://www.asahi.com/articles/ASK9452PGK94UHBI019.html 米朝の偶発事態を懸念、対話求める声も 衆院閉会中審査(9/5朝日新聞デジタル) http://www.asahi.com/articles/ASK9524DPK95UTFK002.html 高等教育無償化 2017.07.20 高等教育無償化 HS政経塾6期生 須藤有紀 ◆「みんなにチャンス!構想会議」発足 安倍首相は6月19日、通常国会閉会を受けて官邸で記者会見を行い、「みんなにチャンス!構想会議」を7月に発足させると表明しました。 これは1億総活躍社会実現に向けた人材育成への投資を強化するため、「人づくり改革」を検討する有識者会議であり、担当相も設置すると言います。(6月19日産経新聞Web版) 安倍首相が年内国会提出を目指している憲法改正案のうち、目玉のひとつが「高等教育無償化」です。 この高等教育無償化も「人づくり改革」の一環であり、まさに「みんなにチャンス」を与えるための政策として位置づけられるようです。 ◆STOP!安易な無償化 結論から申し上げるならば、高等教育無償化はやめるべきです。 詳しくは、7月1日発行の和田みな執筆による、「教育の一律無償化は憲法改正に盛り込むべきではない」もご参照頂きたいのですが(http://hrp-newsfile.jp/2017/3217/)、高等教育を無償化するなら、奨学金の拡充をした方が良い、というのが私の意見です。 ◆日本の奨学制度 現在、日本の奨学制度で代表的なのは、日本学生支援機構(JASSO)による奨学制度です。財源は基本的には返還された奨学金ですが、国からの支出によっても賄われています。 JASSOが提示する奨学金には、貸与型(無利息、利息付、利息付で一時増額の3種類)と、今年度から開始した給付型(主に貧困層の学生に対し、月2~4万支給)の大きく2種類があります。 奨学金の返済義務を負うのは学生本人であるため、借りる際には通学している高校での成績や、学習意欲などが考慮されます。 例えば、無利息貸与型奨学金を希望する場合、高校1年生から奨学金申込時までの成績平均が、3.5以上(5段階評価)なければいけません。 また、JASSO以外では、都道府県や自治体が行っている「沖縄県国際交流・人材育成財団」や「東大阪市奨学金」、企業等が主催する「コカ・コーラ教育・環境財団」などの奨学制度があります。 しかし、日本の奨学制度は外国に比べれば、まだまだ多様性に乏しく、利用しやすいものとは言えません。 特に、給付型奨学金は種類や金額が少ない点が指摘されています。 ◆アメリカの奨学制度 それでは、他国の奨学制度はどうなっているのでしょうか。 奨学制度が充実している国として、代表的なのはアメリカです。 日本の奨学金は、多くの場合返済義務や金利のある「loan」ですが、アメリカの奨学金は、普通返済義務がありません。 そして、「どこから支払われるか」で、以下の通り分類されます。 ・federal(連邦政府が提供する奨学金・給付金) ・non federal(連邦政府以外が提供する奨学金・給付金) ・state(各州政府が提供する奨学金・給付金) ・institutional(組織が提供する奨学金・給付金) ・employer aid(雇用者への援助として企業が提供する奨学金・給付金) 連邦政府は「学生経済支援政策」を打ち出しており、ペル奨学金を始めとする大規模な給付奨学金、学生ローンなどの貸与奨学金のほかに、大学内や公共機関でのアルバイトを通じて報酬を出すワークスタディや、内国歳入庁の所轄する教育費の減税措置などを行っているようです。 ◆アメリカの大学の奨学金制度 また、その他に各大学が学内で行っている奨学制度も充実しています。 2008年には、ハーバード大学が年収6万ドル以下の家庭の学部生に対し、年間3.8万ドルの学費を免除することを決定。 年収6万~18万ドルの家庭も、「学費の拠出は最大で年収の10%まで」としました。 また、スタンフォード大学も年収6万ドル以下の家庭の学部生に対し、学費と寮費、計5万ドルを免除。 年収10万ドル以下の家庭には、学費だけ免除する方針を打ち出しています。 各大学は、莫大な寄附基金を資金源に、資産運用を行っています。そのため、「お上頼み」ではない独自の奨学金制度が実現しているのです。 ◆奨学金以外の学費軽減方法 上述した通り多様な奨学制度があるアメリカですが、奨学制度以外に学費を軽減する方法も存在します。 それが、Advanced Placementに代表される「高大接続システム」です。 簡単に言えば高校に通いながら大学の単位を先取りできる制度であり、大学卒業までの期間を短縮することが可能です。 アメリカの高校が単位制を採用しており、飛び級を容認しているために行える事ではありますが、才能ある学生を伸ばす上で有効な手段なのではないでしょうか。 ◆「無償化」ではない「チャンスの平等」を! ただ一律に高等教育を無償化したからといって、皆に平等にチャンスが訪れるわけではありません。むしろ更なる教育の質の低下を招きかねません。 真にチャンスの平等を実現し、才能ある学生を伸ばそうと考えるならば、無償化で3兆円もの予算をバラ撒く前に、給付型奨学制度のさらなる充実や、教育制度の見直しを図るべきではないでしょうか。 日本の更なる繁栄のため、教育の向上は不可欠です。 社会主義的平等主義を捨て、発展的観点から「人づくり改革」を行って頂きたいと思います。 【参考】 米国製エリートは本当にすごいのか? 著:佐々木紀彦 出版:東洋経済新報社 アメリカの才能教育 著:松村暢隆 出版:東信堂 日本学生支援機構HP、調査資料等 「米国の奨学金政策をめぐる最近の動向」国立国会図書館レファレンス 平成27年8月号 著:国立国会図書館調査及び立法考査局次長 寺倉憲一 http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9484228_po_077502.pdf?contentNo=1 教育勅語を捉えなおす 2017.04.11 教育勅語を捉えなおす HS政経塾6期生 須藤有紀 ◆教育勅語を巡る議論 このほど、安倍内閣が「教育勅語」について、「憲法や教育基本法に反しない形」で教材として使用を認めるとの閣議決定を行いました。 これに対し、特に、朝日新聞、日経新聞、東京新聞が強く反対の意を示しています(4月5日東京新聞社説、4月9日日経新聞社説、同日朝日新聞朝刊二面など)。 その主な理由は、(1)軍国主義思想への危惧、(2)国民主権と相容れない皇道主義的文言、(3)戦前回帰への危惧、の3点にあるようです。 ◆「教育勅語=軍国主義」は本当か? それでは、教育勅語は本当に軍国主義教育を行うことを目指していたのでしょうか? よく言われるのは、教育勅語の中心思想が「一旦緩急アラバ義勇公ニ奉シ 以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スベシ」にあります。 つまり、「もし一たび国家に重大な事変が起こったならば、正しい勇気をもって、お国の為に真心をつくし そうして天地が永遠につづくと同じように、限りなく栄えてゆく日本の国の運命を助けなければならない(明治神宮訳)」 という考え方にある、ということです。 これをもって、教育勅語が「国家が非常事態に陥った時には天皇のために身命を賭すことが、不変の真理であると国民に植え付けた(4月5日東京新聞社説)」などと批判されています。 ◆教育勅語の中で示される「教育の淵源」 しかし、これは誤解です。 教育勅語の前半部分をよく読んでみましょう。 「教育ノ淵源亦実ニ此ニ存ス」、「教育の一番大切な根本はここにある」という文があります。 これが指しているのは、「我ガ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ」の一文です。 つまり、教育勅語の中で明確に、「一番大切な教育の根本は、忠孝の考え方ですよ」ということを謳っているのです。 ◆教育勅語成立の背景 終戦直後の昭和22年7月衆議院本会議答弁で、森戸辰夫大臣は「この教育勅語は、決して軍國主義、超國家主義、あるいは極端なる國家主義を主張するものではございません。」と答弁しています。 時の文部大臣が、教育勅語自体には軍国主義、超国家主義的な方向に向かうような意図はなかったということを述べているのです。 むしろ、そうした誤解や歪曲を避けるべく、中心的な起草者である井上毅は、教育勅語作成に取り掛かる前に、作成の条件をいくつか挙げています。 中でも注目すべきは、「政事上の命令とは区別し、社会上の君主の著作広告として看ざるべからず」の一文です。 「(天皇のお言葉として出される勅語は国が上から押し付けるかたちを避けるべきである)勅語は命令ではなく、天皇の社会的著作として扱われるべき」という考えだったのです。 そして、その考え方が実践された証拠に、教育勅語には御名御璽(お名前とご印鑑)があるのみで大臣の副署はなく、違反した際の罰則規定も設けられておりません。 故に、政治上の命令、法令として出されたものではなく、あくまでも道徳的教育の指針として出されたものであったのです。 このことからも、教育勅語はあくまでも、天皇の威を借りた道徳的啓蒙の一貫であったことが見て取れます。 ◆教育勅語も見直しを! 確かに、「爾臣民」など、教育勅語がその文言の端々に、封建主義的風味を残している点は否定できません。 しかし、「父母二孝二 兄弟二友二」などという徳目が、普遍の道徳的真理を内包していることもまた事実です。 そして、今日行われている道徳教育の学習指導要領と、教育勅語に盛り込まれている徳目を比較してみれば、その大部分が一致しています。 政府が言うように、「勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導」は「不適切」であるかもしれませんが、憲法や教育基本法に反しないような配慮があれば「教材として用いることは問題としない」というのは正しい言い分ではないでしょうか。 ◆新しい価値観を教育に! 日本の教育は、占領軍であるGHQによって教育勅語を排除された後、根本的な価値観たる魂が抜け殻のまま、今日まで続いてきました。 その結果が教育の混乱と荒廃です。 今こそ、教育勅語に代わる精神的な支柱を、教育に打ち立てるべきではないでしょうか。 宗教アレルギーを乗り越え、教育勅語を越えた普遍的真理を内包する価値基準を打ち立てることが、政治と教育をめぐる混乱を収める唯一の道であると考えます。 学習指導要領改訂案、「竹島」と「領土」と「歴史」 2017.02.21 HS政経塾6期生 須藤有紀 ◆新しい学習指導要領案 2月14日に、文部科学省は、幼稚園教育要領と、小・中学校学習指導要領の改訂案を発表しました。 改訂案の中では、(1)「社会に拓かれた教育課程」の重視、(2)知識の理解の質をさらに高め、確かな学力を育成、(3)豊かな心、健やかな体の育成、の3点を基本的な考え方として、各教科の改善事項が述べられています。 その中でも特に注目したいのが、小学校第5学年の「内容の取扱い」です。 ◆初!学習指導要領に「竹島・尖閣」 第5学年の「3内容の取扱い」では、「『領土の範囲』については、竹島や北方領土、尖閣諸島が我が国固有の領土であることに触れること」と、「竹島・尖閣」に関する記述が登場しました。 2014年の指導要領解説書改訂の際、竹島・尖閣を「固有の領土」と明記したため、小中学校の社会の教科書には竹島・尖閣に関する記載がありますが、学習指導要領で竹島・尖閣に触れるのは初めてです(日経新聞Web版2017年2月15日)。 ◆竹島は明確に「日本」だ! そもそも竹島が我が国固有の領土であることは、地図や資料によって明らかにされています。 外務省によれば、「日本人が政府(江戸幕府)公認の下,鬱陵島に渡る際,竹島を航行の目標として,また船がかり(停泊地)として利用するとともに,あしかやあわびなどの漁猟にも利用」しており、「遅くとも17世紀半ばには」竹島に対する領有権は確立していたと言います。 また、サン・フランシスコ平和条約締結の際、韓国は条約を起草していたアメリカに「日本が放棄すべき地域に竹島を加える」ように求めていましたが、アメリカは「竹島は朝鮮の一部として取り扱われたことはなく日本領である」として、「韓国の要請を明確に拒絶」しています。 ◆かすめ取られた竹島 以上のように、竹島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも対外的にも明白です。 そうであるにも関わらず、1952年、韓国はいわゆる「李承晩ライン」を一方的に設定し、そのライン内に竹島を取り込みました。 そして、竹島に警備隊員などを常駐させ、宿舎や監視所、灯台、接岸施設などを構築してきたのです。 2012年には、現職大統領として初めて李明博大統領(当時)も竹島に上陸し、2016年には「共に民主党」前代表の文在寅氏や、韓国国会議員団10名が上陸するなど、政治的パフォーマンスの場として、竹島が使われることも度々起きています。 これは明らかに国際法違反であり、領土侵犯行為です。 ◆抗議「パフォーマンス」は、もう十分です 日本はこうした事件が起きるたびに「抗議」を行っているようですが、残念ながら効き目は全くありません。 韓国の態度からも、日本が「ナメられている」ことがよく分かります。 日本の抗議が抗議のための抗議であり、口で言う以外に何の実行力もないことが分かっているからでしょう。 事実、日本は憲法9条によって戦力保持が禁止されています。口での抗議以外に、対抗手段はありません。 まず、国民一人一人が「我が国の領土」に対する意識を持つこと。その上で、「我が国の領土」をしっかりと守るという強い意識を共有し、実行力を持つ必要があります。 ◆領土だけでなく、歴史教育も見直しを! 韓国との問題は領土だけでなく、従軍慰安婦等の歴史認識においても深刻です。 今回の学習指導要領改訂では、残念ながら小学校社会における第二次世界大戦に関連する改訂は見受けられませんでしたが、幸福実現党がかねてから主張しているように、韓国側が主張する慰安婦強制連行等は決してありませんでした。 日本の歴史教育は、大勢において未だに自虐史観から脱することができておらず、誤った認識のもとに行われています。 戦後70年を越えた今、GHQによるWGIPの呪縛から、日本は早く解放されるべきです。 「竹島・尖閣」を我が国固有の領土として明記するだけでなく、こうした歴史認識においても、学習指導要領改訂を行うべきであると考えます。 【参考】 ◆小学校学習指導要領改訂案 第5学年 社会 2内容 (1)我が国の国土の様子と国民生活について、学習の問題を追及・解決する活動を通して、次の事項を身に付けることができるように指導する。 ア 次のような知識及び技能を身に付けること。 (ア)世界における我が国の国土の位置、国土の構成、領土の範囲などを大まかに理解すること。 ◆外務省HP「日本の領土をめぐる情勢」 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/takeshima/gaiyo.html 〇日経新聞 2/15「竹島・尖閣諸島を明記 「我が国固有の領土」 学習指導要領案」 www.nikkei.com/article/DGXLZO12920630U7A210C1CR8000/ 大学教育への規制強化。日本に学問の自由を! 2017.01.03 HS政経塾第6期生 須藤有紀 ◆危機に陥る私立大学!その報道、気になります 2016年8月4日、四年制私立大学のうち、44.5%が定員割れを起こしているということが、日本私立学校振興・共済事業団(私学共済)の調査で分かりました。 前年比1.3ポイント増となっており、特に「小規模校や地方にある大学で定員割れが多い傾向」であると言います。(同日20:08日経新聞電子版) そして、この報道以来、私立大学の運営や国公立大学との格差是正についてなど、大学の在り方についての「大変気になる」報道が、見受けられるようになりました。 ◆それ、学問の自由をじわじわ侵害していません? 2016年10月25日には、私大と国公立の格差を指摘したうえで、日本私学共済の河田理事長が、「国公私立の役割分担や規模、資金投入の在り方について国はグランドデザインを作るべきだ」と指摘しました(同日日経新聞朝刊)。 2016年12月22日には、私学共済が私学経営情報センターなど共に、全国700の私大・短大の資産運用の実態調査に乗り出すと報じられました(同日12:30日経新聞電子版)。 そして、2016年12月22日には、同日閣議決定した「地方創世の総合戦略の改訂版で、東京への大学新設を抑制する具体案を来夏までに検討する方針を打ち出した」と言います(2016年12月28日日経新聞朝刊)。 バラバラに見れば、「そうなんだ」で終わってしまうような内容ですが、こうして並べてみると一定の動きが見えてきます。 すなわち、政府の教育(特に大学教育)に対する規制強化の動きです。 ◆そもそも私立大学とは そもそも、私立大学の始まりは私学・私塾でした。 1858年福澤諭吉創立の慶應義塾大学や、1875年新島襄創立の同志社大学などを端緒とし、創立者の精神や創立の理念に添った独自の教育が行われていました。 慶應義塾大学は「ふるいしきたりや慣習にとらわれない教育」を基本とし、「独立」や「実学」など、今も受け継がれる建学の精神を掲げて教育を行いました。 「其目的は我日本国中に於ける気品の泉源、智徳の模範たらんことを期し」ており、「躬行実践、以て全社会の先導者たらんことを欲するものなり」という福澤の精神は、今も慶應義塾大学の中で受け継がれ、理念に掲げられています。 育てたい人材像を明確にし、私塾として、人を育てることに熱中した福澤の情熱が垣間見えるようです。 ◆国家と私学の関係 私塾なら当然、国からの補助金は出ておりません。 私学の設立が認められたのは、1874年文部省布達、1879年発布の教育令が初めてであり、それも届け出手続きにより設置・廃止が自由にできるというものでした。 それが1896年の民法施行と文部省令により、諸学校令1条に該当する学校は法人格を取得できるようになり、私学の法人化が進むこととなります。 さらに1911年の改正私立学校令で財団法人の設立義務化による「財政基盤の確保」が求められるようになるなど、私立大学に対する「条件」が付与されるようになります(「学校法人と私立学校」長峰毅著1985)。 それでも、国からの助成金を出し国の意向を受けた教育を行うよう、「指導」されるといったことはありませんでした。 「官製大学」とは違い、国の予算を充てる代わりに国の意向を受けた教育ではなく、財政も教育内容も、オリジナルを貫いていたのです。 ◆変わりつつある私立大学 現在、財源が確保されている代わりに、国の意向を受けた教育を行う国立大学と、独自に財源調達を図る代わりに、独自の教育を貫いてきた私学が、ここへきて大きく変容しようとしています。 定員割れや経営難など、私学の苦しみの声は増えています。 その一方、公立化によって黒字転換する私学が出始め、「予算があって学費が安くなって、「公立」という名前がつけば学生が集まる」という例ができつつあります。 上述した3つの記事は、そうした私学の声を反映し、国が「救済措置」をとろうと動き始めていることを示唆するものです。 ◆学問の自由を守れ! しかし、安易に国がグランドデザインを決め、私学の在り方を定義して、補助を行うことが本当に日本のためになるのでしょうか。 「読み・書き・そろばん」を含む基礎知識を教える義務教育とは違い、大学はより高次な研究を行って付加価値を生むためにあるものです。 どれだけ付加価値を生み、世の中に貢献しているかということは、国が決めることではなく自由競争の中で決まることです。 地方での教育機会均等や地方創世の美名の下、私学助成金を増やしていけば、教育の質はどんどん低下していきます。 そして、私学に対する関与が強まれば、「学問の自由」が侵害されます。 むしろ、2014年に教育内容に踏み込んで、大学設立を不認可にした例もあったように、学問の自由の侵害は既に始まっていると言えます。 必要なのは自由です。 自由競争を良しとし、市場原理を尊重する勇気です。 私学全体を統制し、教育に対する規制強化につながるような現在の動きには断固として反対し、警鐘を鳴らし続けたいと思います。 月面基地の早期建設をめざして 2016.11.08 HS政経塾6期生 須藤有紀 ◆宇宙でも?迫りくる中国の脅威! 先月17日、中国は1ヵ月の長期任務を目標とした、有人宇宙船「神舟11号」の打ち上げを行ないました。またその2日後、中国時間の19日午前3時31分、地球から393キロ離れた軌道上で、実験室「天宮2号」へのドッキングにも成功しました。 現在、中国の宇宙開発技術、打上経験、実績は、アメリカや旧ソ連を含むロシアにははるかに及んでいません。 しかし、着々とその差を縮めて来ています。 習近平国家主席は、2030年に「宇宙強国」となることを目標に掲げています。 中国政府も宇宙計画を優先課題と位置づけ、2018年には独自の宇宙ステーション「コアモジュール」を打ち上げ、2022年に稼働を計画しています。 また、2017年には月面の土壌サンプル採取を計画し、2018年には月面裏側への着陸を計画するなど、月探査に意欲を見せています。 こうした中国の動きに対して、日本はなかなか宇宙開発に乗りきることが出来ていません。 ◆本気でやるなら、「プログラム的探査」 元日経BP記者でノン・フィクションライターの松浦晋也氏は、日本の宇宙開発の問題点は特に「プログラム的探査」の欠如にあると指摘しています。 プログラム的探査とは、長期的な計画に基づいて、戦略的に行われる探査の事です。 月探査で言えば、大まかには以下のようになります。 (1)月の周りを回って月表面の情報を集める探査機を打ち上げる。 (2)月に着陸する。 (3)月を走り回って情報を集めるローバーを送り込む。 (4)月の物質を収集し、持って帰る「サンプル・リターン」を行う。 (5)有人探査を行う。 日本は、はやぶさを例外として、ほとんどのプロジェクトが単発です。 月探査においても、jaxaは月探査の長期計画をjaxa案として出していますが、実現はなかなか厳しいようです。 ◆立ちはだかる「予算」の壁 2007年に、日本で初めて月探査のために打ち上げられた月周回衛星「かぐや(SELENE)」は、目覚ましい成果をあげて諸外国から称賛を浴びました。 しかし、その後続機である「SELENE-2」は開発を中断されています。理由は色々と考えられますが、一番は予算の不足だと言われています。 SELENE-2は、月への着陸探査をめざしたプロジェクトでした。 SELENE-2サイエンスチームは、「着陸探査は周回探査に比べても2倍の費用がかかる」とした上で、各国は1000億クラスの予算で実施していると指摘しています。 日本の宇宙開発関連予算は3000億円規模なので、着陸探査だけでもおよそ3分の1の予算規模を必要とすることが分かります。 しかし、現実に中国が月探査に力を入れ、月面基地建設や「宇宙強国」としての地位に色気を示している以上、日本も月探査に積極的にならねばなりません。 有人飛行経験のあるアメリカなどと協力して月への有人飛行を行い、中国をけん制する必要があります。 ◆でっかい理想を掲げて積極投資を! SELENE-2は、成果を最大化するために様々なミッションを担おうとしていましたが、開発を中断され、そのミッションの一部を別プロジェクトが引き継ぐ形となりました。 公募で決まったプロジェクトである、SLIMは、ピンポイント着陸の実証を目的とし、2019年にイプシロンで打ち上げ予定となっています。 SLIM自体は素晴らしいプロジェクトですが、SELENEとは別プロジェクトの単発ミッションです。単発ミッションは、同様の探査プロジェクトの結果が出てから、次のプロジェクトに移るので、移行期間が長くなりがちです。技術継承や人材確保、部品などの面で様々な弊害が生じます。 幸福実現党は、「高付加価値の未来産業(航空・宇宙産業、防衛産業、ロボット産業、新エネルギー開発など)に対し、10年以内に100兆円を投資し、振興を図る」という政策を掲げています。 やはり、こうした大胆な政策を掲げ、単発ミッションではなくプログラム全体に対して、積極的な投資をはかる必要があるのではないでしょうか。 ◆宇宙はフロンティア 宇宙は21世紀のフロンティアです。 宇宙開発の過程で編み出された技術は、私たちの生活に転用され、より便利な物を生み出しています。 カーナビや、Googleマップなどの地図サービス、天気予報などは、衛星を使っていますし、宇宙服の技術を転用した肌着や、高性能の浄水器なども誕生しています。 また、月の資源を利用した建設材料や、フロン3といった新エネルギーの材料の発見も期待されます。 こうした経済的発展可能性の面からも、先述した安全保障の面からも、月面開発は重要です。 日本は国家として、月面基地建設までを視野に入れた月面開発プログラム全体に大規模な予算を投入すべきです。そのためにも、まずは宇宙産業を戦略産業に位置付け、官民ファンドの創設などを検討する必要があります。 日本のさらなる発展のためにも、宇宙開発が一段と進むことを願ってやみません。 (参考) 産経新聞 http://www.sankei.com/life/news/160101/lif1601010006-n5.html 東洋経済 http://toyokeizai.net/articles/-/140675 CNN.com http://www.cnn.co.jp/fringe/35090776.html 「合わせ技は認められないのか~SELENE-2の実情~」 http://www.isas.jaxa.jp/j/researchers/symp/sss13/paper/S2-004.pdf 日経BP http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/matsuura/space/071026_change/ 宇宙に向かって一歩前進?――「超小型衛星」専用ロケット 2016.09.27 HS政経塾6期生 須藤有紀 ◆専用機登場?「超小型衛星」 9月23日の日経新聞朝刊を開くと、「『超小型衛星』利用にはずみ」と題した記事が目に飛び込んで来ました。 打ち上げられる予定の衛星は、東京大学チームが開発した縦横約10センチ、奥行き約30センチと「超小型」。「新たな通信技術を実証するための衛星」ですが、これに「専用ロケット」を使うと言うのです。「超小型衛星」とは、重さが100㎏以下の衛星のことを指します(9月23日日経新聞による)。 大型衛星の開発費用と比べて格段に安く、開発期間も1~2年と短い超小型衛星は、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を秘めています。 ◆「超小型衛星」で広がるチャンス まず、短期間での打ち上げによって宇宙での実験や、民間企業が編み出した宇宙技術のテストなどの技術開発も進めることができます。 大学等での研究もしやすくなり、技術者育成も進みます。 また、安価に大量の衛星を打ち上げることが可能になれば、僻地の通信環境整備や、農作物の育成状況把握、大型店舗の車両数や道路・交通状況など人の動きを把握することによる企業の経営計画・出店計画への活用、投資判断材料など、さまざまな活用が可能になります。 さらに、国際的に問題視されているデブリ(宇宙ゴミ、破壊された衛星の破片など)の回収も可能になります。 地球観測による安全保障上の役割や、防災面での役割も大きく期待できます。 今までの宇宙開発のネックは、主に膨大な経費がかかることと打ち上げ時期が安定しないことでしたが、超小型衛星と専用ロケットはその弱点を補うことが期待されます。 超小型衛星の開発費は従来の衛星の100分の1以下、専用ロケットも日本の主力ロケットの10分の1以下の開発費で賄えるそうです。 専用ロケットによって、安価で安定した打ち上げが可能になれば、宇宙分野の遅れが指摘されていた日本も競争力を持てるかもしれません。 ◆ロケットって何だ? そもそもロケットとは、基本的には人工衛星を宇宙に運ぶための使い捨ての道具です。 再利用可能なものとして開発されたスペースシャトルは、使い捨てロケットの4倍近い維持管理費がかかり、実用的ではありませんでした。実用的な再利用可能ロケットは現在、鋭意開発中です。 日本で代表的な「H-llA」ロケットは、下から順にブースター付きの第一弾ロケット、第二弾ロケット、衛星フェアリング(人工衛星を守るためのカバーのようなもの)を組み合わせて構成されています。 積み込んだ液体酸素と液体水素を、燃焼室で燃やすことによってガスを噴射し、噴射するときの推進エネルギーを使って宇宙に出るのです(液体燃料の場合)。 奇跡の帰還を果たして感動を呼んだ「はやぶさ」も、このH-llAロケットによって打ち上げられました。 今まで超小型衛星を打ち上げるためには、(1)大型衛星と一緒に打ち上げてもらう、(2)小型ロケットを利用する、(3)国際宇宙ステーション(ISS)からの放出、という3つの手段しかありませんでした。 大型衛星は開発費用が数百億円に及び、頻繁に打ち上げることが難しいうえに開発も遅れることが多いという問題点があります。 ISSからの放出は、衛星の周回軌道がISSの周回軌道に限られるため、すべての衛星に対応できないという難点があります。 小型ロケットも、イプシロンは打ち上げ費用に50億円程度かかるなど、安価で打ち上げやすいとは言えません。 しかし、超小型衛星専用のミニロケットができれば、こうした問題を解消できる可能性が出てきます。 ◆広がる夢、今後の課題 幸福実現党は、経済政策の中に、未来産業振興として10年以内に100兆円の投資や、産学連携の促進等を盛り込んでいます。 宇宙開発を始めとした新しい産業は、事業効果が大きく、技術革新の可能性があるため、もっと大胆に投資することが重要であると考えているのです。 超小型衛星専用ロケットを機に、日本は「国として産業を育てる」という気概を持ち、明確な方向性を示しつつ官民一体となった宇宙開発に力を注ぐべきではないでしょうか。 宇宙は未知の領域であると同時に、無限の可能性と富を秘めたフロンティアです。日本の未来を拓く上ためにも宇宙関連事業に対する、より積極的な投資をすべきであると思います。 【参考】 三菱重工HP http://www.mhi.co.jp/discover/kids/techno_world/rocket/index.html JAXA はやぶさHP http://spaceinfo.jaxa.jp/hayabusa/index.html 『NASAより宇宙に近い町工場 ―僕らのロケットが飛んだ―』 著:植松努 発行日:2015年12月20日 第1刷 出版:ディスカヴァー携書 規制緩和で待機児童解決を 2016.09.06 HS政経塾6期生 須藤有紀 ◆切実な若いお母さんの声「待機児童、困るんです」 7月末、私はラフォーレ原宿前で簡単な聞き込みを行っていました。 信号待ちや待ち合わせ中の方に声をかけて、「東京都についてお困りのことや、もっとこうなってほしいという改善点など、ありますか?」と聞いて回ったのです。 その中で、一人の若い女性のお声を頂きました。待機児童の問題をどうにかしてほしい、というご意見でした。 「私、いまこのすぐ近くの託児所に子供を預けているんです。認可保育園も申し込んだけど、200人待ちで……。もう子供を預けるお金を稼ぐために仕事してるような状況なんです」 こうした切実な声は、全国にあふれています。 ◆増加する待機児童 9月2日に厚生労働省が発表した待機児童の数は、今年4月時点で昨年より386人多い2万3553人でした。 さらに、自治体が補助している認可外保育園に入所していたり、保護者が育休中だったり、求職活動を休止しているなど、特定の理由で待機児童扱いされていない潜在待機児童は6万7354人に上ると言います。 これを受けて塩崎厚生労働相は、「政府としては2017年度末までの待機児童解消を引き続き目指す」と述べたそうですが(9月2日東京新聞夕刊)、果たしてどこまで可能かは未知数です。 ◆保育士の待遇改善、それで本当に解決ですか? 現在、「待遇が悪い」ことを理由に資格所有者でも保育士にならないケースが多く、子供を預かる保育士の数が圧倒的に不足しているため、政府は保育士の待遇改善による人材確保に励んでいます。 保育園の数がいくら増えても、保育士がいなければ保育園は運営できません。 自治体でも横浜市や川口市などが保育士の待遇改善を求める声を上げており(9月3日日経新聞朝刊)、保育所を経営する民間企業も、入社してから保育士資格を取得できる制度の導入や、初任給の増額などで働き手の確保に奔走しているようです。 しかし、そうした対策によって待機児童の問題が解決できるとは思えません。 いくら保育園が増えても、認可保育園希望者の増加はそれを上回っているからです(官邸HP http://www.kantei.go.jp/jp/headline/taikijido/)。 現在、認可保育園には「定員は20人以上」、「3歳未満児2割以上、2歳未満児1割以上」などという規定があります。 また、「0歳児3人につき1人以上」「1、2歳児6人につき1人以上」など、年齢に合わせて何人以上の保育士資格保持者が必要、という決まりもあります。 大切なお子さんを預かる以上万全を帰すのは当然ですが、基準が厳格すぎたり、細かすぎたりして民間の参入を阻んでいるのも事実です。 こうした「保育士資格」を前提とした改善策だけではなく、資格がなくても保育士としての能力を持った人を採用できる仕組みもまた必要なのではないでしょうか。 ◆「働きたい」声を力に!規制緩和が必要です 今年6月、伊豆の蛭ヶ小島に行った時の事です。お土産物屋で店員さんに、「暮らしていてお困りのことはありませんか。 政治に解決してほしい問題はありませんか」と声をかけたところ、「もっと働きたい」との声が返ってきました。そのお店はシルバー人材センターから派遣された人で運営されていて、その方もシルバー人材でした。 「孫は遠くに住んでいて、あまり会うことができないの。でも私は子育ても経験してきた育児のベテランよ。何もすることがないのが一番つらい。別にお金がほしいわけじゃないの。私みたいな年寄りでもお役にたてるなら、保育士さんの代わりに育児したいわ。」 こうしたシルバー人材やボランティアの活用も、保育士資格に拘らずもっと検討すべきではないでしょうか。 ◆民間の力を生かす「幸福実現党」 幸福実現党の政策には、「事業所内託児施設の設置や、託児施設と老人福祉施設の一体化施設の設置をさらなる税制優遇で後押し」するということがあります。 そもそも働きたい女性が増えているのなら、福利厚生の一環として企業が独自に、自社内に安価な託児所を設けることができるのが一番良いはずです。 そのためには、場所と人にかかる規制の見直しや撤廃を行う必要があります。 政府主導で認可保育園を増やすのには、限界があります。それよりはむしろ、規制を緩和することによって解決を図る方が建設的ではないでしょうか。 保育士資格所有者の待遇改善も大切ですが、子育て経験者は講習を受講すれば資格がなくても保育園勤務ができるようになるなど、工夫の余地はあるはずです。 必要なのは規制緩和です。徒に税金を投入するだけでなく、民間の力を生かしつつ、問題解決を図ってくことが大切であると思います。 AIIBから透けて見える中国覇権の危険性 2016.04.26 文/HS政経塾6期生 須藤有紀 ◆「台湾の主権は中国にある」?台湾、猛反発 4月13日の産経新聞に「台湾 インフラ銀不参加」と題した記事が掲載されました。台湾のAIIBへの加盟交渉が、事実上決裂したことを報じたものです。 御存じの方も多いと思いますが、AIIBとは、中国が主導するアジア太平洋地域のインフラ整備を支援する国際金融機関のことです。 アジア太平洋地域には、深刻な投資資金不足からインフラ整備の遅れに悩む国が多いため、AIIBの創設メンバーはアジア太平洋地域だけでも25カ国に及んでいます(現在57カ国が加盟)。 そのAIIBには申請者が主権国家でない場合、「その国際関係に責任を負う加盟国」が同意するか、申請手続きを代行する必要があるという規定があります。 これに基づいてAIIB総裁、金立群(ジン・リーチュン)氏が、「台湾の主権は中国にある」としたうえで、台湾はAIIBに直接申請するのではなく、「中国財政省を通じた申請が必要だ」と明言しました。 「台湾に主権はない」「台湾は中国の一部である」。そう言われたのも同然の出来事に、「台湾の尊厳を損ねる」と台湾財政部は猛反発し、交渉は決裂しました。 ◆台湾の反発はもっともです そもそも台湾と中国の問題は、1949年、共産党と国民党の内戦が終わり、国民党が台湾に敗走したことから始まります。 台湾に渡ってきた国民党(外省人)は、独裁政権を敷き、台湾人(本省人)を迫害しました(白色テロ)。 台湾は国民党独裁政権下にありましたが、1991年に元台湾総統の李登輝氏が「動員戡乱時期臨時条款」を廃止したことにより、憲政が回復し、その後に民主化します。 こうしてやっと民主化に成功した台湾が、今さら中国共産党一党独裁体制の下に入ることなど容認できるはずがありません。 「台湾の主権は中国にある」という中国側のスタンスに反発するのはもっともなことです。 ◆AIIBの隠れた意図 ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、AIIBは融資基準が不明確なうえに、中国が30.34%の融資比率(議決権の26.06%)を有することを受けて、次のように、その危険性を指摘しています。 「(AIIBの運営では)中国共産党政権の利益のための融資が行われる危険性が高い」 「AIIBを中国はまず何よりも自国の経済強化のために活用し、それによって共産党の求心力を維持しようとする」 参考:月刊正論 2015年6月号記事『中国AIIBと対峙する日米の「剣」』 http://ironna.jp/article/1432?p=1 中国によるAIIBの恣意的運営は、台湾と香港の扱いからも覗えます。 AIIBは主権国家としての台湾の正式加盟は認めず、香港の正式加盟は「非主権国としての申請なら問題ない」として承認する方向です。 台湾を、香港と同様に中華人民共和国の中の一地域とみなしているのです。 ◆台湾は国家だ! しかし、アメリカが台湾関係法において台湾を国家に準ずる扱いをしていることや、台湾がWTO(世界貿易機関)、ADB(アジア開発銀行)に正式加盟をしていることなどを見ても、台湾には明らかに独立国家としての実体があります。 一行政特区であるかのように台湾を扱い、主権国家としての台湾のAIIB加盟を退けたのは、中国の政治的思惑が背景にあるためです。 中国は、近い将来台湾を併合しようと考えており、AIIBを利用してその布石を打とうと画策しているのです。 国際金融機関であるはずのAIIBが、そうした中国の覇権主義に基づいた運営をするのであれば、信頼性は大きく失われます。 軍事拡張だけでなく、経済的にも覇権を握ろうとする中国を、何としても食い止めなくてはなりません。 ◆日本が今なすべきこと AIIBは、投資資金額の大きさと比較的簡単に融資が行われることを強調しています。 日本は、日米主導のADB(アジア開発銀行)の融資条件を緩和するなど、AIIBを通じた中国の経済的な覇権主義の拡張を抑えねばなりません。また、軍事面での覇権拡大阻止も重要です。 そのためには、地政学的に重要な位置にある台湾との協力を強化する必要があります。 日本は台湾を主権国家として認めなければなりません。 その道筋をつけるために、台湾にTPP加盟をすすめたり、日台の経済関係を強化したりするなど、協力関係を強化していくことが大切です。 すべてを表示する