Home/ 釈 量子 釈 量子 執筆者:釈 量子 幸福実現党党首 日本企業で進む「脱中国」3つの理由【前編】 2022.10.04 https://youtu.be/yQ0bqUImVno 幸福実現党党首 釈量子 ◆脱中国の動き 韓国や米国に比べて対中依存度が高い日本ですが、いよいよ日本企業の脱中国の動きが強くなってきました。 自動車メーカーのホンダは、現在、二輪、四輪、エンジン工場などホンダの生産拠点は日本や中国、米国、カナダなど24カ国に及びます。 今後、上海のロックダウンで生産に影響が出たことを受けて、中国からの部品供給を東南アジアやインドなどにシフトできるか検討すると言われています。 また、マツダは上海のロックダウンや半導体不足の影響で、4~6月期の販売台数が前年同期比で34%も減少しました。 今後、国内での部品生産を増やし、日本国内で安定した生産活動を行う予定です。 他にも、資生堂はこの3年間で国内工場を6か所に倍増させました。「SHISEIDO」「エリクシール」といった主力商品は、ほぼ全てが国内生産になると言います。 資生堂は、品質の高さを重要視し、信頼の高い「メイド・イン・ジャパン」を売りにするつもりで、こうした企業が相次いでいます。 ◆中国撤退を決めた三つの理由 以前、尖閣諸島を国有化した際に、激しい反日デモや不買運動が起きました。 これを中国特有の「チャイナリスク」と呼びました。しかしここにきて中国の新たなリスクが顕在化しています。 (1)ゼロコロナ政策 一点目は、ゼロコロナ政策です。中国の習近平氏は、「ゼロコロナ政策」を採用し、新型コロナを完全に封じ込めるため、私権を無視し、隔離を強行しました。 中国の上海では3月末から約2ヶ月間、新型コロナ拡大によるロックダウンが行われ、日本企業の生産活動を制約し、大きな損害を与えました。 企業経営に大きな影響を与える政策が、強権のもとでいとも簡単に行われたのを見て、日本企業は中国リスクを実感したわけです。 ちなみに現在も、四川省の成都など、中国人口3億人をカバーする地域でロックダウンが行われています。 中国の電力不足も影響し、今年夏、中国は記録的な猛暑によって電力需要が増大するとともに、雨不足で水力発電量が減少しました。 中国政府は対策として、電力使用量が多い工場に生産の一時停止を通知しました。8月中旬、四川省にあるトヨタ自動車の工場の生産も一時停止しました。 (2)経済安全保障 二点目は、経済安全保障です。現在、米中対立が激しさを増す中、日本でも経済安全保障の観点から技術流出に対する意識が高まっています。 特に、先端技術を持つ日本企業にとっては、経済安全保障は重要な課題です。なぜなら、技術・データの流出が日本企業の優位性や日本の安全保障に与える影響が大きいからです。 そんな中、中国政府は昨年9月、中国でのデータの取り扱いを規制する「データ安全法」を施行しました。 これは、企業が持つデータの管理を強化するものです。同法では対象とするデータの具体例として工業、通信、交通、金融、資源、ヘルスケア、教育、技術などを挙げており、これらが主な監視対象となります。 日本企業は経済安全保障の観点から、技術流出や機密情報が漏えいすることを警戒しているわけです。 また、中国政府は、ハイテク製品の開発や設計などの全工程を中国国内で行うことを事実上強制する新たな規制を導入することを検討しています。 現在、複合機やプリンターといった事務機器を対象としていますが、今後は半導体などのハイテク製品まで範囲を広げることを検討しています。 この規制が導入されれば、日本で商品開発を行い、中国で組み立てるような企業は、中国で販売できなくなります。 (後編につづく) 海上封鎖で食料断絶?台湾情勢の緊迫化で迫る日本の食料危機【後編】 2022.08.29 https://youtu.be/ugpWvLgFYns 幸福実現党党首 釈量子 ◆危機の時代に求められる農政のイノベーションを! 安倍政権で掲げられた成長戦略の1つの柱でもあった農業分野ですが、改革は遅々として進んでいないのが実情でしょう。 2020年度版の「食料・農業・農村基本計画」においては、それまでの「主業農家や法人を中心に大規模化していく」という方針を撤回し、「担い手の多様化」という言葉でまとめられ農政改革は「後退」を始めていると考えられます。 また、2018年には建前上廃止となった減反政策ですが、コメ農業が盛んな地域ほど、未だに減反がまかり通っているのが現状です。その中心となるのが、食用の米から飼料米、エサ米への転作です。 飼料自給率も低い日本にとって、「国産化」と最もらしいことを掲げていますが、コメは飼料にするには高コストで向かないと考えるのが世界基準です。 現に、人間が食べるようなコシヒカリを豚用の飼料米として生産しているケースもあると言われています。 そしてこれ全部、国民の税金です。同等の金額(約950億円)で、6倍以上の飼料用トウモロコシを輸入できるほどの高コストぶりです。 危機の時代に自給体制は必要ではありますが、コスト感覚のなさは相変わらずです。では、日本農政のイノベーションに何が必要なのでしょうか? ◆日本農政のイノベーション (1)コメの増産 まず一刻も早く求められるのは、コメの生産調整の完全撤廃です。失われた水田を可能な限り、少しずつ取り戻し、思い切りコメの増産に舵を切るべきです。 また、海外向けにどんどん輸出すべきです。このように国内需要を大きく超えた生産余力を有することが、危機の時代には国民の命を救う備蓄の役割を果たすことになるのです。 畑作では同じ農作物を作り続けると、収量の減少や病害虫の発生など「連作障害」が起こりますが、稲作では「連作障害」は起きません。 また、小麦などと異なり、食べるのに加工する必要もありません。食料安全保障上、安定性が高く、危機の時代に最適な穀物こそコメだと言えます。 また、ただでさえ穀物市場は生産量に比べ、取引量が少なく「薄い市場」ですが、コメ取引は小麦の4分の1と、極めて「薄い」商品です。 コメの生産潜在力を多分に持つ日本は、有事において国際社会で大きな影響力を発揮することも可能です。 (2)戦略的な穀物備蓄 またコメ増産と共に、急がれるのは戦略的な食糧(穀物)備蓄体制の構築でしょう。 現時点で、コメについては約100万トンが政府備蓄、約270~280万トンは民間が抱える在庫と言われています。 しかし、もって半年、全国民がコメしか食べられない状況と仮定すれば、2~3か月程度分しかありません。 少なくとも年単位の兵糧攻めに耐えられるだけの備蓄体制は必要ではないでしょうか。同時に、小麦(現状2.3か月分)、大豆、トウモロコシなど(現状は飼料向け100万トン)を大量に輸入して備蓄しておく必要があります。特に、たんぱく質の供給源として大豆の備蓄は必須だと言えるでしょう。 仮に、減反政策に投じられる財源(3500億円)が活用できるならば、約2,000億円を備蓄設備とコメ以外の小麦や大豆、トウモロコシの輸入拡大に振り分ける方がはるかに効果的でしょう。 同時に、天候不順による不作などで経営が苦しくなる主業農家に限定して、EUが行っているような直接支払いなどのセーフティーネットを構築することで、日本の安全保障を食料面で支えてくれている農家を本当の意味で守ることが出来ます。 これは約1,500億円で実現できると、キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁氏が試算されています。 最後に付け加えるならば、食料生産に不可欠な肥料の確保です。 前回の動画同様、肥料自給率ほぼゼロ%の日本はその多くをロシアや中国、ベラルーシなどに依存しており、ロシアを敵性国に回したことで肥料の確保が大変厳しい状況です。 堆肥を最大限活用しようと努力する自治体が早くも出始めていますが、国を挙げての食料増産となれば、化学肥料は必要不可欠です。 肥料の自国生産が困難ならば、何とかロシアからの輸入再開の糸口を見つける外交努力を行うべきです。 また、シーレーンリスクを負わないロシアとの関係改善を果たせれば、肥料のみならず、大豆やとうもろこしなど、不足が見込まれる穀物の確保にもつながるかもしれません。 ◆今こそ農政の転換を図る時 冒頭でも申し上げましたが、いつ何時、日本が有事のど真ん中に立たされてもおかしくない状況がすぐそこまできています。 そんな中、軍事防衛においても、エネルギー・食料など兵站面においても、不安が山積なのが日本という国です。 現時点で本当に食料輸入が途絶すると、終戦直後の食料事情よりも、酷い状況になるとも言われており、先ほどの山下一仁氏によれば、餓死者は国民の半数にあたる6000万人に上るという試算が出ているくらいです。 この危機の時代に一刻も早く、一部の既得権益を守るだけの世界でも異常な農政から、日本国民の豊かさと生命を守り抜く、あるべき農政への転換を図るところから始めるべきではないでしょうか。 海上封鎖で食料断絶?台湾情勢の緊迫化で迫る日本の食料危機【中編】 2022.08.28 https://youtu.be/ugpWvLgFYns 幸福実現党党首 釈量子 ◆失った水田面積は四国一つ分!?コメの生産調整(減反)の驚くべき実態 終戦直後の900万トンから一時は1400万トンを超えるまでコメの生産力を拡大した日本でしたが、1970年頃から価格維持を目的としたコメの減反が始まり、なんと今では700万トンまで半減しています。 減反に応じ、他の作物に転作するコメ農家に、補助金を支払うことで生産量の調整を図っていきました。が、莫大な財政支出を伴って、自国の主力の穀物生産を減少させた事例は日本以外に見つけることは難しいと言えます。 実際に、米国や中国、インドといった生産国を中心に、この半世紀でコメ生産は3倍規模まで増産、世界全体では3.5倍以上も増産しています。 一方で日本は半減、あまりにも逆行しています。(グラフ)これはコメだけではありません。この半世紀で小麦、トウモロコシなど、他の穀物においても減産している国はほぼ皆無です。 【参考】この国の食糧安保を危うくしたのは誰か https:/cigs.canon/article/20220602_6800.html 【参考】「武力攻撃より食料不足で壊滅」米の生産を減らし続ける日本が抱える本当の危機 https://www.gentosha.jp/article/21521/ また半世紀続いた減反政策によって、失われたものは少なくありません。 まず、農業にとって最も大事な資源である「農地」です。1970年には350万haあった水田のうち、200万haが水田として活用されなくなっています。 200万ha(20,000㎢)は、四国4県分(18,297㎢)よりも広いと考えれば、半世紀で失われてしまった水田は空前絶後の規模だと分かります。 これを取り戻すことは容易なことではありません。 また、「智慧」の喪失です。「たくさん作るな」という指令に等しい減反によって、特に、それまで精力的に取り組んできたコメを沢山作る技術(単収増加)がタブーとなり、失われていきました。 そして、農村からコメ農業への「情熱」「やる気」を失わせた点が、最も大きいでしょう。 コメ作りで生計を立てる主業農家ではなく、会社勤めをしながら、週末に片手間でコメを作るような零細(兼業)農家に補助金を支払うといった、極めて不公平で社会主義的な仕組みを作ったことで、農村から「勤勉の精神」が失われました。 そして、補助金と高い米価、また農地の転用期待、要するに「将来、持っている農地が高く売れるかもしれない」といった期待感などを甘いエサとして、農業を本業とするつもりがない零細(兼業)農家を、大量に農業に引き留めてしまいました。 これこそ農地集約化、大規模化などを阻害し、農業改革が一向に進まない真なる要因だと言えるでしょう。では、なぜこのような不合理極まりない政策が、半世紀もの間、続いてしまったのでしょうか。 それはひとえに、零細・中小農家へのバラマキによる見返りとして、農村に堅固な票田が出来るという農林族議員の利得や金融機能(JAバンク)を柱に経済基盤を拡大し続けた農協組織のお互いの「既得権益」を守りあうという強固な結束があったからです。 ◆もう一つの異常なコメ農政 ~高すぎる関税障壁とその犠牲~ 以上のように、コメの生産調整(減反)によって、莫大な財政支出を行いながらコメの生産量を減らし、高い米価を維持してきました。 いわば国民に対して「税金」と「商品価格」の二重の負担を強制しつつ、自国の食料安全保障を脆弱化するという、国際的には異常すぎる政策が罷り通っています。 しかし、コメ農政の異常さはこれで終わりません。 それが「高すぎる関税」です。コメにかかる関税は従量税で1㎏あたり341円ですが、国内米価となる約240円を100円以上も上回っているわけです。 要するに、輸入される米価が仮に0円/kgでも、341円となるため、誰も買いません。このように、高すぎる関税障壁を築くことで、海外から実質的に輸入されない仕組みを作っています。 関税交渉の時、コメの高い関税を死守するために、バーターとしてほかの物品の完全を下げるなどしているわけですが、この数十年の差し出した犠牲はあまりに多く、莫大な経済的利益が失われたと言っても言い過ぎではないと思います。 ここで、国の農業保護の度合いを観てみたいと思います。 よく日本はアメリカよりも低いと言われていて、フードスタンプなど食糧費の補助をしていますが、OECDの指標でPSE(Producer Support Estimate:生産者支持推定量)という指標があります。 これは財政支出における「納税者負担」と、関税も含めた国内外の価格差から算出する「消費者負担」の合計から算出したものです。 それをみると、2020年時点で日本は40.9%と、アメリカ11.0%、EU19.3%と比べて際立って高く、主要国で3本の指に入る農業保護国となっています。 (https://cigs.canon/article/20220104_6468.html) ただ、日本の場合、農業保護といっても、(主業)農家が守られるのではなく、農協組織と農林系議員の間の「既得権益」が守られるという真実は、何度繰り返してもいい足りないくらいです。 (後編につづく) 海上封鎖で食料断絶?台湾情勢の緊迫化で迫る日本の食料危機【前編】 2022.08.27 https://youtu.be/ugpWvLgFYns 幸福実現党党首 釈量子 ◆ヨーロッパを襲う歴史的干ばつ 世界で広がる異常気象が食料危機に更なる影響を与えそうです。 日本でも記録的な豪雨で農作物などにも大きな被害が及びましたが、ヨーロッパでは逆に深刻な水不足によって大変な事態になっています。 英国を含んだEU地域の実に60%において、干ばつの被害が深刻化していると報じられており、そのうちの4分の1で植物の生育が厳しいほどの水不足が発生しているとのことです。 調査によればEU圏内のトウモロコシ、大豆や、植物油の原料となるヒマワリの生産は8~9%低下すると予測されています。 特に、歴史上最悪の干ばつに見舞われているフランスでは、ベシュ環境相が5日、「100以上の自治体で飲用水が尽きた」と述べ、給水車が出動している緊急事態が続いています。 農作物(レモンやオリーブ)への被害は「壊滅的な状況」とされ、12日には英国・イングランド8地域でも「干ばつ宣言」が発令され、被害の深刻化が懸念されています。 ウクライナ戦争が長引き、世界の穀倉地帯からの食料供給が大打撃を与えるさなか、ヨーロッパでの干ばつによる大凶作は、世界の食料危機を更に加速させそうです。 ◆台湾有事で日本に届かなくなる食料とは 更に、ペロシ米下院議長の電撃的な台湾訪問によって、台湾を巡る情勢が緊迫化の一途を辿っています。 「台湾有事は日本有事」と我々も繰り返し訴えてきましたが、食料自給率(カロリーベース)37~38%しかなく、6割強を輸入に依存する日本はいよいよ死活問題です。 それが、米台中の間での軍事的緊張の高まりに応じて、バシー海峡など日本のシーレーンが中国海軍によって封鎖される可能性が高まっているからです(図)。 もしシーレーンが封鎖されると、石油タンカーや、食料などの物資を運ぶ民間商船の航行が阻害、迂回を強いられ、状況によっては拿捕される恐れも出てきます。 台湾近海のシーレーンが封鎖された場合、日本に入ってこなくなる食料として、穀物を中心に具体的に見ていきたいと思います。 全量を国内で自給できている米は別として、まず小麦です。 自給率は15%程度(2020)ですが、米国(227万トン)、カナダ(180万トン)、豪州(106万トン)の3ヵ国で輸入のほぼ全量を賄っているため、台湾周辺のシーレーンリスクは負っておりません。 一方で、問題なのは大豆(自給率6~7%)とトウモロコシ(自給率0%・スイートコーン除く)です。 大豆輸入の15%、とトウモロコシ輸入の約40%をブラジル産に(おそらくアルゼンチン産も)依存していますが、両品目共にブラジル産の約7割が、サントス港など大西洋側の港から輸出され、南アフリカ喜望峰経由で、インド洋から台湾近海を航行するルートを通ります。 これらがシーレーン遮断の影響を受ける可能性が高くなっています。 割合としては輸入大豆の約1割、トウモロコシの約3割を占め、日本の食料調達に与える被害は甚大だと言えるでしょう。 用途は、輸入大豆の3割が食用、7割が油など、輸入トウモロコシの75%が飼料用、25%がでんぷんなどの加工用です。 更に、戦域の拡大によっては、中国や北朝鮮に囲まれ、ロシアまで敵に追いやった日本周辺の海上路が全て分断される恐れは無きにしもあらずです。 そうなれば、北米や豪州方面からの船舶も日本に寄港できず、全ての穀物輸入が途絶える恐れすらあるのです。 ◆あるべき食料安全保障体制とは? このように、天災や戦争などの外部要因によって、日本と世界を取り巻く食料事情(肥料含め)はかなり厳しい局面を迎えつつあります。 食料を買うお金がいくらあっても、物理的に手に入らなくなる状況がすぐそこまできていますが、日本はそうした局面に全く対応できておりません。 万が一、輸入が全て途絶えても、全国民を食べさせるというサバイバル思考をベースに、あるべき食料安全保障体制を早急に検討する必要性があります。 その一丁目一番地となるのがもちろん「食料増産」です。自給力を高め、有事に対応できる体制を早急に整えるべきです。 特に、生存に直結する穀物の増産は不可欠でしょう。しかしながら、日本農政は半世紀に渡って、真逆の方向に「大きな失敗」を犯し続けてきました。 それは本来日本の強みであり、大きな武器であるはずのコメを減産し続ける政策を採ってきたことです。正式には生産調整、また俗に減反と言われるものです。 (中編につづく) 台湾海峡で米中もし戦わば。米軍勝利も、米空母2隻撃沈・戦闘機900機以上が撃墜【後編】 2022.08.26 https://youtu.be/4XwWly_E9Jk 幸福実現党党首 釈量子 ◆台湾を巡る米中戦争のシミュレーション 前編で紹介した「台湾を巡る米中戦争のシミュレーション」は、米軍の元大将や防衛専門家が、米国と中国を示す青と赤の2つのチームに分かれ、9月までに22回のシミュレーションを行うそうです。 両陣営とも戦略を練りながら、空母や戦闘機、潜水艦などの軍事上の配置を示すピースを、チェスの盤面ように、テーブル上に広げられた太平洋の台湾周辺の地図に、交代で打ちます。 実際、台湾の陸上戦を想定し、陸上地図の上で、18回までこのウォーゲームをやってどうなったかが報道されています。 まず中国は、台湾侵攻の際に、先制攻撃を仕掛けます。 それによって、米軍は数十億ドルの空母2隻を沈められます。日本とグアムにある米軍基地も攻撃され、数百機の最先端戦闘機が破壊されるだろうとしています。 次に、人民解放軍は22,000人の兵士を台湾に上陸させ、台湾南部を制圧します。そして解放軍はゆっくりと北進し、滑走路や港湾の確保を目指します。 しかし、中国は徐々に勢いを失っていきます。 米軍と日本の自衛隊によるミサイル攻撃や、潜水艦の攻撃が、台湾攻撃の根元を断つかのように、中国本土の港湾を破壊して、中国の哨戒線(警戒ライン)を突破してくるからです。 人民解放軍の揚陸艦も破壊され、中国は台湾に軍隊を送ることができなくなりました。 米軍の強力な空軍力や海軍力に対抗するには、中国の長距離弾道ミサイルが、決定的に不足していました。 こうしたシミュレーションが繰り返され、9月まで続けて12月に発表することになっています。 今の段階ではほとんどのケースで、米国と台湾は最終的には勝利を収めています。 しかし莫大なコストが発生することがわかり、損失の規模として、米国は900機以上の戦闘機を失い、これはアメリカの海軍と空軍が保有する戦闘機の半分に相当します。 8月4日に中国が軍事演習でミサイルを撃ちましたが、シミュレーションで想定された中国の能力を裏付けるものだったようで、いよいよ現実味を帯びてきているわけです。 日本人が「台湾有事は日本有事である」という現実を受け止め、日本の外交や国防のあり方を考えるための参考になると思います。 ◆米国議会の台湾防衛への決意 米国議会は超党派で台湾防衛を強化するために、従来の「台湾関係法」に基づく台湾政策を見直すために、新たに「台湾政策法2022:Taiwan Policy Act of 2022」の制定に向けて取り組んでいます。 狙いは、米台関係を一層強化し、台湾防衛の意思を明確に示すことにあります。 この法案の最も注目すべきポイントは、台湾を「主要な非NATO同盟国」と認め、日本と同じように、同盟国として扱おうとしていることです。 実質上、日米同盟と同じような米台同盟を目指したものです。 この法案が成立すれば、現行の「台湾関係法」では表立って行うことができない、米台共同軍事演習に道を拓くことができます。 他にも、この法案には、今後4年間に渡って台湾へ45億ドルの軍事支援を行うことや、台湾が国際機関に加盟できるよう推進すること、中国が台湾に制裁した場合に米国が代わりに中国に金融制裁を行使すること、などが含まれています。 中国の反発は必至だと思いますが、米国議会の台湾防衛への決意のほどがうかがえます。 ◆日本は台湾有事への備えを急ぐべき では日本はどうするか。日本も、日台関係強化のために出来ることがもっとあります。 例えば、台湾と中国が昨年秋に表明を行ったTPP加盟について、日本は自由貿易を守る立場から、台湾のTPP加盟支持を表明してはどうでしょうか。 また、日本と台湾の間には正式な国交がありませんので、「日本版台湾関係法」制定に向けて着手すべきだと考えます。 蔡英文総統は、日本に「日台の安全保障対話」を望んでいます。安全保障分野の交流を今こそ実現すべきです。 台湾に近い南西諸島のミサイル配備増強も必要です。他にも、台湾の邦人救出や、中国本土に出ている企業を日本に帰すことなども、同時に必要になってくると思います。 課題は山積ですが、台湾は「自由・民主・信仰」の価値観を共有する日本の運命共同体です。 日本は「自分の国は自分で守る」体制を構築すると同時に、台湾有事への備えを急いで、日本を守らなくてはなりません。 台湾海峡で米中もし戦わば。米軍勝利も、米空母2隻撃沈・戦闘機900機以上が撃墜【前編】 2022.08.25 https://youtu.be/4XwWly_E9Jk 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国が台湾統一に向けたリハーサル? 台湾海峡の緊迫度が増しています。 中国は米下院議長のナンシー・ペロシ氏の台湾訪問に反発し、8月4日から数日間かけて実戦さながらの軍事演習を行いました。 中国の官製メディア「環球時報」は8月3日の時点で、「今回の軍事演習は台湾統一に向けたリハーサルであり、今後も引き続き行われる」と報道しました。 軍事演習が始まる前日、まず大規模なサイバー攻撃が行われ、台湾各地のセブンイレブンでは「戦争屋のペロシ、台湾から出ていけ」という文字が大きく映し出されました。 台湾鉄道や地方行政の電子掲示板にも「偉大な中国はいずれ統一される」という文字も表示されました。 台湾国立大学もハッキングされ、「世界には一つの中国しかない」と表示されました。 台湾政府は今回のハッキングについて、中国製のソフトウェアが使用されたことが原因であるとことを突き止めて、公的機関のすべての敷地内で、中国製機器を使用することを即座に禁止しました。 そして、8月4日から始まった軍事演習では、台湾を包囲するように海上封鎖の予行演習を行いました。 海上封鎖の目的は、米国から台湾への軍事支援を断ち、台湾の輸出入を止め、台湾の無血開城を迫ることにあります。 日本にとっても、台湾海峡は中東からマラッカ海峡を経て原油を輸入するための重要なシーレーンの一部です。 実際に「海上封鎖」の予行演習をされたことによって、台湾海峡を航行する予定の数十の船舶が台湾海峡を迂回せざるを得ませんでした。 実際に事が起きれば、迂回で済むかわかりません。拿捕されたり、撃沈される可能性や、またエネルギーや食糧など、日本の安全保障が危機に陥るのは間違いありません。 ◆台湾の半導体も中国の管理下に さらにもう一つの危機は、半導体です。 もし中国が台湾の海上封鎖を行ったら、世界的に有名な台湾の半導体企業TSMCの輸出を、中国が管理するということになります。 半導体は、iPhoneなどスマホやパソコンばかりではなく、自動車など様々使われており、半導体を押さえられたら世界経済は中国に握られることになります。 昨年、アメリカ陸軍戦争大学の雑誌(『PARAMETERS』)で「中国が台湾侵攻をするなら、TSMCを焼き払え」という論文が一番読まれました。 TSMCが無くなれば、中国が台湾侵攻する理由も無くなるだろう、というものです。 現在起きているエネルギーや食糧危機に続いて、半導体危機が現れたら、世界経済は大混乱に陥ります。 ◆中国の弾道ミサイル5発がEEZに着弾 さらに、8月4日は、中国が発射した弾道ミサイル5発が日本の経済的排他水域(EEZ)に初めて着弾しました。 この演習は、より実戦に近い演習を想定し、習近平国家主席自ら判断したと言われています。 これは、台湾に近い南西諸島海域の軍事封鎖は避けられないため、台湾侵攻の際に「日本は介入するな」という牽制の意味があると思います。 石垣市の中山市長は、「台湾を超えて来た中国のミサイルは私たちの島のすぐ近くに着弾した。与那国島の80km近辺にも落ちている。台湾有事は決して他人事ではないという感じだ」と話し、住民の避難体制の整備を政府に要求しました。 ◆台湾海峡で米中もし戦わば こうした深刻な事態を受け、8月上旬、アメリカワシントンD.C.に本部を置く、民間シンクタンク「CSIS戦略国際問題研究所」が、「台湾を巡って米中戦争が起きたらどうなるのか」をシミュレーションし、米国で話題となっています。 今回のシミュレーションは、前提として米国の公式見解では、台湾侵攻の際に関与するかどうかを明言しない「あいまい戦略」を採用しています。 あいまい戦略とは、「台湾が中国に武力攻撃を受けた際に、米国がこれにどう対応するか明言しないでおく」という政策です。 そうすることで中国を挑発せず、また一方で台湾がアメリカの安全保障の約束に自信を持つと、独立を宣言したりしかねないので、中国の台湾進攻の糸口を作らないよう微妙なバランスに配慮したものです。 ただ今回は、「2026年に中国が台湾に侵攻し、米軍が軍事的に関与する」という前提でシミュレーションが検討されました。 また、日本については「本土が攻撃されない限り、直接的な軍事介入までは至らないが、日本国内の米軍基地の利用を許可する」とされました。 他にも、「核兵器は使用しないこと」や、「2026年までに配備可能な軍事力を前提とすること」などが前提とされました。 2026年という設定は、人民解放軍の創立100周年にあたる2027年までに台湾侵攻を行うということから来ています。 (後編につづく) GX(グリーン・トランスフォーメーション)で日本壊滅。中国だけが得する驚愕の中身とは?【後編】 2022.08.12 https://youtu.be/usNSYF8TXcU 幸福実現党党首 釈量子 ◆GXは壮大なムダ そもそも、政府が思い描いているような、官民合わせて150兆円の「GX投資」が行われたとしても、企業、あるいは国にとっては経済成長につながるどころか、マイナスの方が大きいことは間違いありません。 「グリーン」関連だけは一部儲かるところもあるかもしれませんが、全体的に見れば、企業の利益が増えるわけでもなければ、国の成長につながるわけでもありません。 むしろ、成長を大きく阻害する要因に他なりません。 企業にとっては、確かに、「GXに向けて動いている」あるいは、「環境を意識した投資、いわゆる『ESG投資』の『E』に配慮している」と言えば、今の日本なら、企業イメージの向上につながって、一時的に株価が吊り上がることもあるかもしれません。 しかし、実体のある「富」を生み出さなければ、株価もいずれは下がります。 むしろウクライナ危機以降、欧米金融機関では、ESG投資の見直しを始めており、安全保障を重視して化石燃料の価値を再評価しています。 現在、最も株価が上昇しているのは石油や天然ガスなどの銘柄です。 そもそも、「炭素税」を提唱した米国の経済学者W・ノードハウスは、排出量を実質ゼロにするために必要となるコストは全世界で50兆ドル以上となり、(排出量を実質ゼロにせず)地球の平均気温が3度上昇した時の経済損失の10倍以上になるとしています。 つまり、お金をかけてCO2排出を抑えたところで、経済的な意味は全くないのです。 グリーン投資は全く割に合わないグリーン投資を非効率な投資を、政府が主導することは、まさに「政府の失敗」です。 投資の是非は民間が自由に判断し、政府は脱炭素政策を撤廃して、こんな無駄なお金を使うことをやめ、もっと政府が「減量」しなければなりません。 ◆中国だけが得するGX さらに、GX戦略で想定している脱炭素実現に向けた「10年間で150兆円の投資」を見ると、かなりの資金が中国に流出する点にも言及しなければなりません。 現在、太陽光パネルの中でも最も安価であり、大量に普及しているのが「多結晶シリコン方式」です。 この心臓部にあたる多結晶シリコンの8割が中国製であり、さらにその半分が新疆ウイグル自治区で生産されているのです。全世界で見れば、同シリコンのウイグル産のシェアは約45%と推計されています。 電源の脱炭素化のうち「原子力」だけはサプライチェーンのほとんどが国内にあり、再稼働をするだけで国内の産業に莫大なお金が回り始め、海外からの燃料の輸入を削減できます。 その意味では、最も費用対効果の大きな経済政策は、原発再稼働と言えます。 しかし、太陽光や風力では、中国製品の輸入が進むだけであり、日本の産業にはほとんどお金が回りません。 こうして中国企業の太陽光や風力が国内で増えていき、中国製品が多く接続されることは、サイバー攻撃に対して弱い体制をつくることにもなり、経済安全保障上の重大な問題が懸念されます。 ◆GX で日本壊滅 このように見ましても、温暖化が仮に真実だとしても、グリーン投資やGX戦略は無駄だということがおわかり頂けたかと存じます。 そもそも、CO2により温暖化が進んでいるとする説は、科学的根拠がなく、フェイクとも考えられています。 「気候危機」を叫ぶ環境活動家のグレタ・トゥーンベリ氏が広告塔となって、世界は「脱炭素」一色に染まりました。 「我先に」とグリーン投資の拡大がブームとなっていますが、儲かるのは中国と関連するグローバル金融機関だけであり、日本とそのほかの西側先進諸国は、没落の道に歩むことになります。 そして特に、物価高の今、行うべきは、脱炭素ではなく、原発再稼働に他なりません。 しかし、ウクライナ危機以降、欧米先進国の議論もかなり変わり始めていて、「脱炭素」の看板は下ろせないものの、脱炭素一辺倒から安全保障重視に変わりつつあります。 また、投資家もグリーンだけでは儲けられなくなり、化石燃料株が見直されています。いまこのタイミングで「グリーン」に固執する日本の政府は、かなりの周回遅れとも言えます。 日本が奈落の底に落ちる前に、今こそ、軌道修正を図るべきではないでしょうか。 GX(グリーン・トランスフォーメーション)で日本壊滅。中国だけが得する驚愕の中身とは?【前編】 2022.08.11 https://youtu.be/usNSYF8TXcU 幸福実現党党首 釈量子 ◆GXとは何か 今回は、現在、政府が進めるGX(グリーン・トランスフォーメーション)戦略について考えて参ります。 7月27日、政府は岸田総理を議長とする「GX実行会議」の初会合を開き、GX実行推進担当大臣として、萩生田光一経済産業相を担当大臣に任命する人事も発表されました。 「GX」とは、2020年10月の臨時国会で「脱炭素社会の実現を目指す」と宣言して以降、市場で注目を集めるようになった言葉です。 2050年までの脱炭素、カーボンニュートラルの実現に向けて、温室効果ガスの排出につながる化石燃料などの使用を、再生可能エネルギーなどに転換することで、社会の変革を目指すと理解されています。 世界が脱炭素に向かう流れは避けられないと考え、政府や経団連は、CO2を減らすことを成長の機会ととらえて、官民連携で成長戦略の柱にしようとしています。 このGXは、岸田政権が目指す「新しい資本主義」の目玉政策にもなっています。 しかし、脱炭素には莫大なコストがかかります。政府が言うように産業構造を根底から作り変えれば、自動車はじめ製造業の方々は失業するのではないかと戦々恐々としています。 基幹産業を潰し、新たな雇用を生み出すことができるのかは切実な問題です。 ◆増税につながるGX 岸田政権は、GXの実現には、今後10年間で官民合わせて150兆円規模の投資が必要としています。これはGDPの3分の1弱くらいですので、かなり大規模になります。 政府は20兆円の資金を財源に、「GX経済移行債」、いわゆる「GX国債」を発行するとしています。 日本には既に1200兆円を超える政府の借金があるのに、さらに新しい国債を発行しようとしているわけです。 GX実行会議のメンバーの一人、経済学者・伊藤元重東大名誉教授は、民間企業の投資を引き出す「呼び水」として、「GX国債を発行した分は増税などで償還する仕組みをつくる」と述べています。 民間投資を引き出す「呼び水」というのは、官民連携の際に公的支出を正当化する、いわば政府の「決まり文句」です。 脱炭素が本当に経済成長につながるなら、公的支出などなくても、民間企業は勝手に投資してどんどん脱炭素が進むはずです。 しかし、おそらく脱炭素に130兆円もの民間投資を引き出すことは不可能で、「GX国債」を追加で発行して、政府債務がさらに膨らむことになりかねません。 当然、債務を返していくために、「GX実行会議」でも、いわゆる「大型炭素税」の導入も議論に上がっていました。 炭素税というのは、その名の通り、石炭・石油・天然ガス等の化石燃料にCO2の含有量に応じて払わされる税金です。 現在でも、「炭素税」に当たる税金は存在します。化石燃料に石油石炭税が課税されており、その中に炭素税に当たる「地球温暖化対策のための税」、いわゆる「温対税」が平成24年10月1日から導入されています。 1トンのCO2あたり289円、税収約2,600億円の規模です。このほかに、自動車の燃料には揮発油税が課税されています。課税規模は約2.1兆円です。 こうした「炭素税」に加え、化石燃料などに対する税金がさらに上積みになることになります。 このように課税が増えていけば、電気料金の高騰はもちろんのこと、鉄鋼、セメント、石油化学、自動車など、日本の製造業の全てにそのコストが重くのしかかり、日本の製造業を直撃します。 政府は「GX国債」を呼び水にして、経済成長を期待しているようですが、こんなに高コストでは日本の製造業は海外に移転してしまい雇用も失われ、日本経済は崩壊してしまいます。 インフレで生活必需品等、物価が高騰し、さらに生活がより厳しくなるのは避けられません。 (後編につづく) 電力危機列島ニッポン、原発再稼働が進まない3つの理由【後編】 2022.07.31 https://youtu.be/OgpA5T1Lk_I 幸福実現党党首 釈量子 ◆法的根拠なく停止している日本の原発 日本では福島原発事故後の2013年に、世界で最も厳しいとされる「新規制基準」が導入され、既存の原発にも遡って適用されました。 本来、法律というのは遡らない不遡及の原則があります。しかし、電力会社は、既存の原発も含め新規制基準に適合するよう、安全対策の工事を行い、原子力規制委員会の安全審査に合格しなければいけなくなりました。 本来は一度許認可を受けて運転されていた原発が、規制基準が見直されたから原発を止める必要はありませんでした。 しかし、止まった理由は、民主党政権のとき、当時の菅直人首相が浜岡原発を「依頼」お願いで止めたことが前例になってしまったからです。 またその後、原子力規制委員会の田中委員長が私的に書いたメモ、いわゆる「田中私案」も根拠になっていると言われています。 「依頼」も「メモ」も当然、法律的なものではないので、原発を止める筋合いはなかったのです。外国でも、このような不合理な運用をしている国はありません。 原発の規制基準は、今後も新しい知見を採り入れて見直される可能性が当然あるわけですが、規制基準が変わろうとも、原発を運転しながら対策工事や審査を行うのが、本来のあるべき姿です。 そもそも、「新規制基準」があまりに厳しすぎることや、審査が遅いことも、大きな問題です。 原発を再稼働させるためには、テロや大規模な自然災害が起きた場合に、十分対応できる施設を備えなければならなくなりました。 例えば津波に耐える防波壁、耐震補強、電源喪失時の予備電源の設置、消防車の高台へ常備され、とにかく過酷な事故に対応した安全対策が盛り込まれています。 これ自体は、過剰な設備とは言えないところもありますが、ただ、10万年前の断層など、過剰と思われる想定もあります。 ◆遅々として進まない原子力規制委員会の審査 もう一つが、原子力規制委員会の審査が、遅々として進まないことを挙げられます。 例えば、北海道電力は、2013年7月、「泊原発」の新規制基準への適合性審査を申請しましたが、申請からおよそ8年も経過しているにもかかわらず、原子力規制委員会は「適合性」があると認めていません。 理由としては、「約12~13万年前の断層」をあげています。そこには「耐震設計上重要な施設を設置できない」とする基準を原発に適用しています。 泊原発は、世界最高水準の安全対策を施しているにもかかわらず、非科学的な理由で適合性を認めず、冬の北海道を危機にさらしています。 ◆政府が本来やるべきこと 政府は今、「節電」を呼びかけており、プログラムに参加した家庭に2000円相当のポイント、中小企業に20万ポイントを付ける対策を検討しています。 しかし、政府の本来やるべき仕事は本来、経理課長レベルの「節電」の呼びかけではなく「発電」を押し進めることにほかなりません。 安全性が格段に高まっているにもかかわらず、原発が今止まってしまっているのは、新規制基準を元々ある原発に当てはめる際に稼働を停止するという、不合理な運用を行っていることに原因があります。 諸外国では規制基準を見直す場合であっても、原発を運転したままその変更を行うとの対応が取られてきました。やはり、審査は稼働中のまま行えば良いのです。 さらには、厳格すぎる新規制基準の見直しとともに、審査の迅速化を進めなければなりません。 資源のない日本は、ひとたび戦争が起きれば安全保障の環境が激変します。燃料が途絶えれば国民の生命と財産が脅かされます。 それが現実化しているのに、政府は危機感がなさすぎるのではないでしょうか。今は特に、ゼロリスクの追求ではなく、いかに安定的な電力供給を確保するかを考えなければなりません。 また、審査が長期化すれば莫大な経済的損失が発生し、国民の財産が損なわれるほか、電力の安定供給を阻害し、国民の生命、健康、わが国の安全保障を脅かすおそれもあります。政府は規制委員会に対し、審査を迅速にさせるべきです。 原子力エネルギーは国家の独立と安全保障の基盤です。政府は、法的根拠のないような縛りで止まっている原発に関しては、責任を持って、今ある既存の原発の速やかに再稼働させるべきです。 また、新増設や、建て替え、つまり廃炉する原発を新しいものに入れ替えることなどの方針を早期に明示することで、中長期的な観点からも電力の安定的な供給を図るべきと考えます。 電力危機列島ニッポン、原発再稼働が進まない3つの理由【前編】 2022.07.30 https://youtu.be/OgpA5T1Lk_I 幸福実現党党首 釈量子 ◆岸田首相が「原発稼働」方針 先日、岸田首相が記者会見において「原発最大9基を稼働する」という方針を発表しました。これで、国内消費電力の約1割の電力を確保するとしています。 当初は、ネットなどで「岸田さん、ようやく決意してくれた」という喜びの声があがり、東電の株価も上がったものの、すでに稼働する予定の原発について触れただけだということが分かりました。 電気事業連合会の池辺和弘会長は「(原発を)きちんと冬に運転できるように、工事や検査に取り組みなさいという叱咤激励だと思う」とは言うものの、岸田首相の「指示」だけでは、冬の電力逼迫解消にはつながらないのというのが実態です。 ◆予想される電力逼迫 昨今、石油、石炭、液化天然ガス(LNG)などの燃料の調達が世界的に厳しくなり、ウクライナ危機以降はエネルギー危機に拍車がかかっています。 特に、電力については、経済産業省が令和4年度の夏季・冬季について非常に厳しい需給の見通しを公表しています。 供給予備率(電力需要のピークに対し、供給力にどの程度の余裕があるかを示す指標) で、この冬については、令和5年1、2月には全国7エリアで安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できず、特に東京エリアでは1月で1.5%、2月で1.6%と、極めて厳しい見通しです。 真冬に電力が使えなければ、多くの生命が失われる事態にもなりかねません。(※1) (※1)電力需給対策について 2022年 6月30日 資源エネルギー庁 https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/051_03_01.pdf ◆今後の予定を説明しただけの岸田首相の記者会見 そこで岸田首相の「エネルギーの安定供給のために、最大で9基の原発の稼働を経済産業相に指示した」という発表に期待が集まったわけです。 しかし、実態は、すでに、10基は原子力規制委員会の安全審査に合格し、地元の合意を経て、一度は再稼働を済ませています。 10基のうち、先日発電を再開した大飯原発4号機を含め、6基が運転中です。 運転中の九州電力・玄海原発4号機については、9月から来年2月まで定期検査で止まる予定です。 現在止まっている4基(関西電力・美浜原発3号機、高浜原発3,4号機、九州電力・玄海原発3号機)については、定期検査が済めば、7月下旬から順次、運転が再開される予定となっています。 つまり、岸田首相はもともと予定されていた9基の再稼働を「しっかりやれ」と指示したのであって、別の原発を新たに再稼働するという指示ではなかったのです。 尚、高浜原発3号機では、検査中にトラブルが発生して一時的な停止を余儀なくされています。 他の原発の運転についても、実際にスケジュール通り進むかどうかは不透明ですが、それでも、9基が同時に稼働するのは、来年1月下旬〜2月中旬のわずか一か月にも満たない期間となっています。 だから「最大」9基と言っているのです。 そして、ここからが大変大事な部分ですが、先般発表された電力の需給見通しは、この9基が再稼働することが織り込み済みになっているために、今回の首相の指示では、電気事業連合会の池辺会長も述べたとおり「安定供給の改善にはならない」ということが重要です。 例えば、柏崎刈羽原発が稼働すれば東電は5%以上の予備率にたしますのでこれ安定供給には届きます。しかし、これができないわけです。 ◆原発はなぜ再稼働できないのか 東日本大震災が起こる前の2010年には、全国に54基の原子力発電所があり、日本は米国、フランスに次ぐ世界第3位の原発大国でした。 そして今、「廃炉が決まっていない発電所だけで30基近く、3000万キロワット分くらいあるにもかかわらず、電気が足りないと言って喘いでいる国は他にない」と言われる状況です。 福島第一原発以外は設備が損壊しているわけではないため、技術的には運転継続が可能ですが、全国の原子力発電所の再稼働が遅々として進んでおりません。 ではなぜ原発は再稼働できないのでしょうか。 (後編につづく) すべてを表示する « Previous 1 … 4 5 6 7 8 … 25 Next »