Home/ 釈 量子 釈 量子 執筆者:釈 量子 幸福実現党党首 メディアが隠蔽したバイデン父子とウクライナ・中国との「黒い関係」【後編】 2022.04.09 https://youtu.be/BUdfIJTh_dA 幸福実現党党首 釈量子 ◆メディアとビッグテックの隠蔽工作 前編から続く、二点目の問題点は、「メディアやビッグテックの隠蔽工作」です。 前編で述べた 「ニューヨーク・ポスト」のスクープは2020年10月で、11月の大統領選を目前に控えていた時期です。 そのため、バイデン押しのCNNや「ワシントン・ポスト」などの主流メディアは、このスクープ記事を完全に無視し「信憑性がない」「バイデン候補を貶めるための罠だ」と言って、攻撃しました。 また、ビッグテックと言われる「ツイッター」や「フェイスブック」も、スクープ記事が出てからわずか数時間で拡散されないようブロックをかけました。 スクープ記事を掲載した「ニューヨーク・ポスト」の公式ツイッターアカウントは凍結され、テレビや新聞、SNSなどが足並みを揃えて、情報統制をかけたのです。 さらに、CIAなどの情報機関にいたことのある専門家51人が、2020年10月19日、公式声明として、「これはロシアの典型的な情報工作」と主張し、隠蔽工作の片棒を担ぎました。 この51名はいずれも民主党の支持者ばかりです。 結果、バイデン氏は僅差でトランプ氏に勝利し、大統領に就任しました。 しかし、ある調査によると、バイデン大統領に投票した人の半数以上がバイデンファミリーの腐敗を知らず、そのうちの一割は「もし知っていたら、バイデン氏に投票しなかった」と答えています。 ◆マスコミ権力とは これは、メディアが情報操作を行えば、民主主義の大国と言われる米国の大統領さえ決めることができるということです。 メディアは「言論の自由」を守る守護神を標榜していますが、全く逆の「マスコミ権力」を行使できる立場にあるわけです。 現在、共和党議員の多くが、ハンター・バイデンに関する新たな調査を要求しており、共和党のテッド・クルーズ上院議員は、次のように主張しています。 「バイデンファミリーの腐敗を、ロシアの偽情報として扱った人々(メディアなど)は説明責任を果たすべきだ」 「事実を検閲したビッグテックの経営陣は、宣誓の下、米国議会と米国民に答えるべきだ」 ◆ロシア疑惑と同じ構図 ここで思い出すのが、「ロシアゲート疑惑」です。 ヒラリー・クリントンが大統領選でトランプに負けた後、「トランプがロシアと共謀し、大統領選でトランプを当選させた」と批判しました。 しかし、2019年3月、ロバート・ムラー特別検察官の捜査報告書によって、「ロシアゲート疑惑」のような事実はなかったことが確定しています。 前述のハンター・バイデン氏のパソコンスキャンダルはロシアの偽情報だと主張した51人の専門家の一人、元CIA長官のマイケル・ヘイデン氏は、ツイッターでプーチンをトランプに見立てて批判しています。 ◆真実は無視、反論は圧殺する「マスコミ全体主義」 一方、保守メディアFOXニュースで、人気キャスターのタッカー・カールソン氏が、ウクライナについて次のように指摘しています。 「ウクライナでは、ゼレンスキー氏に反対する政党(つまり野党)が、国内での活動を禁止されたが、どこも報道していない」 日本でも民主主義の英雄のように扱われるゼレンスキー氏が、戦前の大政翼賛会のように、野党の活動を停止して一党体制にしていることはまったく知られていません。 ちなみに、ロシアのテレビ番組で放送中に戦争反対のプラカードを出した女性は、罰金3万5千円程度で済んだそうです。 それを見ると、ウクライナとロシア、どっちが民主主義的なのかわからない気がします。 元CIA長官のヘイデン氏は、カールソン氏のことを「ロシアのスパイ」だと批判していますが、反論や逆の立場からの報道を圧殺していくことは恐ろしいことです。 現在行われているロシアのウクライナに対する軍事作戦についても、ロシアの立場を理解しようとするだけで魔女狩りにあうような雰囲気があります。 日本のメディアもアメリカに追随し、反対意見が出せなくなったら、それは「マスコミ全体主義」です。 こうした視点を持ちながら、ウクライナ問題についても見ていく必要があると思います。 メディアが隠蔽したバイデン父子とウクライナ・中国との「黒い関係」【前編】 2022.04.08 https://youtu.be/BUdfIJTh_dA 幸福実現党党首 釈量子 ◆PCに保存されていた驚愕のデータ 3月16日、「ニューヨーク・タイムズ」が、2019年4月にパソコン修理店に持ち込まれたノートパソコンが、バイデン大統領の息子、ハンター・バイデン氏のものであることを認めました。 このパソコンは期日になっても持ち主が引き取りに来なかったもので、店主が中身を確認したところ、驚愕のデータが入っており、FBIに報告していたものです。 そして、2020年10月14日「ニューヨーク・ポスト」が、そのパソコンに保存された電子メールのやりとりをスクープとして掲載しました。 今回、そのスクープ記事を否定に回っていた大手紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じたことで、その実態が浮き彫りになりました。 ◆バイデンファミリーの腐敗 一点目は、「バイデンファミリーの腐敗」です。 中でも重要なことは、電子メールの中に中国やウクライナと、数百万ドル規模のビジネス契約に関する情報があったことです。 ハンター氏が、バイデン副大統領の息子としての立場を使って、海外ビジネスでどのように政治的影響力を利用していたかが報道から明らかになりました。 【ウクライナ】 まず、ウクライナ疑惑です。 「ハンター氏がウクライナのエネルギー企業ブリスマ社の取締役に加わり、月額最大5万ドル(約500万円)の給与をもらっていた」ということです。 また、2015年にプリズマ社幹部からハンター氏へ「あなたの父親と面会する機会をつくってくれてありがとう」というメールがあったことが発覚しました。 バイデン氏は「息子と海外ビジネスについて話したことがない」と否定していたのですが、それが嘘だったわけです。 しかも、副大統領だったバイデン氏は、ウクライナの政府高官に圧力をかけ、プリズマ社に対する汚職の捜査を主導していたウクライナの検察官を解雇させました。 2019年当時、トランプ大統領は、この政治介入を問題視して、ゼレンスキー大統領に調べてみるよう促しましたが断られています。 バイデン氏はゼレンスキー氏に「借り」があるともいえます。 2019年に当選したゼレンスキー氏は、大統領選挙で「腐敗撲滅」を訴えて当選しましたが、汚職は減らず、支持率は41%まで低下していました。 ウクライナとバイデン父子の関係はもっと追及されるべきでしょう。 【中国疑惑】 次に、中国疑惑です。 「2017年、ハンター氏は、中国上海の民間投資ファンド「渤海華美」の株式を10%取得し、取締役に加わっていた」ということがはっきりしました。 ハンター氏は、中国でも海外ビジネスを通して、数百万ドル、億単位の金を得ていたと言われます。 しかも、当時副大統領だったバイデン氏にも、一部の資金が渡っていたという疑惑があります。 3月24日、アメリカのケーブルテレビのニュース番組「FOX BUSINESS」に、バイデン氏の中国疑惑を追及した『RED HANDED』の著者ピーター・シュワイツァー氏が登場し、次のように指摘しました。 「バイデンファミリーは、中国から約31億円、ウクライナから約5億円を得ている」 「パソコンから4人の中国人ビジネスマンが分かっているが、そのうちの一人は中国情報機関の高官だ。これは単なる腐敗ではなく、安全保障上の問題だ」 現在、司法当局は、「どのようにハンター・バイデン氏がウクライナや中国から不正な資金を受け取っていたのか」を明らかにするために、関係者から証言を集め捜査しています。 また最近も、ハンター氏の新たな取引が明らかになりました。 3月29日、共和党上院議員のチャック・グラスリー氏とロン・ジョンソン氏が、中国国有企業「中国華信能源」から、ハンター・バイデンの口座に直接10万ドルが振り込まれていたことを発表しました。 この口座情報は、オバマ政権時代の政府資料から判明したもので、ジョンソン上院議員は、「民主党は、この政府資料をロシアの偽情報だと言って無視した」と指摘しています。 (後編につづく) ウクライナ紛争で核戦争も辞さず。プーチンの覚悟とは? 【後編】 2022.04.03 https://youtu.be/0gkDzQ4tQA0 幸福実現党党首 釈量子 ◆北朝鮮のミサイル発射 アジアに目を転じると、北朝鮮の金正恩総書記が、核兵器の有効性を確信して、ミサイル発射を繰り返しています。 3月24日には、新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)と言われている「火星17型」を発射しました。 高度6000キロメートル、滞空時間70分と言われ、米国に到達可能なミサイル開発が成功したことになります。 今回のミサイル発射には、金総書記の「ウクライナ問題を見ても、米国には核戦争の勇気はないが、北朝鮮はその覚悟がある」というメッセージが込められているように思います。 ◆ウクライナの次は台湾? そして、中国がいま、虎視眈々と台湾を狙っており、トランプ前大統領は、2月22日に出演したラジオ番組で、「次は台湾だ」と警告しました。 3月18日、バイデン大統領が習近平国家主席との電話会談で、「同盟関係強化による対中包囲網を形成せず、台湾独立を支持しない」と述べました。 この電話会談で、習氏は「あなた(バイデン大統領)の表明を非常に重くみている」とクギを刺したと報じられています。 ロシアを制裁するために中国に協力をお願いするようなバイデン大統領を、習氏は足元を見ているわけです。 ◆バイデンは台湾を守るのか ウクライナは独立国ですが、NATOに加盟していないため、NATOは軍事行動をしていません。台湾がウクライナと異なる点は、米国と台湾の間に「台湾関係法」があることです。 しかし、「台湾関係法」には、台湾防衛に必要な戦闘機やミサイルなどの供与は書かれていますが、軍事的関与は、明記はされていません。 ◆蔡英文総統の台湾国防策 一方で、台湾の蔡英文総統は米国に頼るだけではなく、自衛力を強化しています。 台湾では2018年に徴兵制を止め、現在志願制を採用していましたが、少子化などで十分な兵員数を確保できていません。 そこで、志願していない18歳~36歳の男性を対象に4か月の軍事訓練義務を今後、1年間に延長しようとしています。 さらに、台湾政府はハンドブックを作成し、緊急事態やゲリラ戦を想定し、市民の戦争への準備を行う予定です。 5月には、ミサイル攻撃を受けた場合の避難訓練も行います。まさに戦争前夜です。 ◆バイデン外交の限界 3月24日、バイデン大統領は訪問先のブリュッセルで、記者からロシアに対する「経済制裁による抑止」は見通しが甘かったのではないかという質問を受けました。 これに対してバイデン大統領は、「経済制裁で、プーチン氏を抑止すると言ったことはない」と語気を強める場面がありました。 「核を落とすぞ」といった強い姿勢があれば止められたのかもしれません。しかしバイデン大統領は「アメリカは軍事介入しない」と早々に言ってしまっています。 バイデン大統領は、アフガンに続いて、ウクライナへの対応についても「失敗した」と見られ始めています。 大川隆法党総裁は3月26日、『金正恩の霊言』の冒頭で、バイデン外交の問題点を次のように指摘しています。 「バイデン大統領が、権威主義VS民主主義の戦いで、独裁者スタイルでやっているところを全部敵に回しているが、勢いだけで煽って、人気を取ろうとした場合、後始末しなくてはいけなくなる。」 バイデン大統領から権威主義国家と見なされたロシアや中国、北朝鮮、イラン、パキスタンなどの国の結束がどんどん強くなり、世界大戦の構図が出来つつあります。 厄介なことに、権威主義国家はどこも核兵器を保有しており、国を護るためには核を撃つ決断ができる国家元首ばかりです。 ◆日本はいかにあるべきか ひるがえって日本の岸田首相は、3月27日、防衛大学校で「事態の展開次第では世界や日本も戦後最大の危機を迎えることになる」と話しました。 核シェアリングを含めた核装備など、戦後日本がタブー視してきた防衛策についても踏み込まないといけません。 ウクライナ問題は、「世界大戦、核戦争を防ぐためにどうすべきか」という大局的な観点から「ウクライナの中立化」を目指すべきだと思います。 最近、ゼレンスキー大統領が「中立化」を受け入れる準備があると報じられましたが、日本はロシアとウクライナが早く合意する方向で努力してほしいと思います。 ウクライナ紛争で核戦争も辞さず。プーチンの覚悟とは? 【前編】 2022.04.02 https://youtu.be/0gkDzQ4tQA0 幸福実現党党首 釈量子 ◆プーチン「核戦争も辞さず」の覚悟 ロシアとウクライナの紛争が長引く中で、「ロシアが核兵器を使用するのではないか」という見方が出ています。 マスコミは、ロシアの軍事介入は国際法違反といった枠組みの報道ばかりですが、プーチンの「核戦争も辞さず」の覚悟を理解しないと判断を見誤ります。 2月24日の開戦前のプーチン大統領が行った演説に、ロシアにとっての「大義」を表明しています。 ◆NATOのユーゴ軍事介入 演説では、冒頭でNATOの東方拡大がロシア国境に迫っていることを指摘した後、NATOや米軍の軍事介入の歴史を振り返っています。 最初に批判したのが、1999年にユーゴスラビアの首都で、ドナウ川の古都「ベオグラードに対する流血の軍事作戦」と「コソボ空爆」です。 「(NATOは)国連安保理の承認なしに、ベオグラードに対する流血の軍事作戦を行い、ヨーロッパの中心で戦闘機やミサイルを使った。数週間にわたり、民間の都市や生活インフラを、絶え間なく爆撃した」 バルカン半島南部のコソボ地方で、地域の9割以上を占めていたイスラム系のアルバニア人が、1998年に自治権を奪われ独立を要求しました。 ユーゴスラビア政府がこれを弾圧したことで、翌1999年NATOが軍事介入。NATOによる空爆は1万回を超え、古都は破壊されました。 ユーゴ側の発表では、民間人1200人、NATO側の発表で兵士5000人が亡くなっています。 ◆米軍のイラク侵攻 次にプーチン大統領は、米軍が2003年に「何の法的根拠もなく行ったイラク侵攻」について次のように非難しました。 「イラクに大量破壊兵器が存在するという、信頼性の高い情報をアメリカが持っているということだった。後になって、それはすべて、デマであることが判明した。イラクに化学兵器など存在しなかったのだ。」 「イラク戦争」では、2011年の米軍撤退までに、イラク民間人11万6000人と多国籍軍兵士4800人が亡くなっています。民間人併せて50万人が死亡したという説もあります。 後にこれがイスラム国台頭のきっかけとなり、イラクでは10万人単位での死者を出しています。しかしアメリカは「戦争犯罪」と非難されることもないというわけです。 ◆米国の傲慢さ さらに、同演説でプーチン大統領は次のように警戒しました。 「米国は気に食わない政権を転覆させるために軍事介入し、民間人も大量に殺してきた。冷戦は終わっているのに、NATOは加盟国を増やし攻撃的だ。ロシアの危機は国境まで迫っている。」 実際、最近バイデン大統領が「プーチン大統領は権力の座にいてはいけない」と思わず本音を言って、慌ててホワイトハウスが「政権転覆の意図はない」と釈明しました。 米国には、こうした傲慢な面があり、アメリカを嫌う国が結構あることを知る必要があります。 ◆戦術核の使用もあり得る 次に、プーチンが最も使う可能性が高いとされる「戦術核」ですが、戦術核は、戦略核である広島の原爆と比較して、威力の小さい核兵器のことです。 プーチン大統領が戦術核の利用を考えるきっかけが、前述の演説で取り上げた「ベオグラードに対する流血の軍事作戦」「コソボ空爆」でした。 ロシアは「コソボ空爆」を見て、NATOの爆撃が非常に精密なことを目の当たりにし、ロシア軍の通常兵力ではNATOに敵わないと思ったわけです。 そこでロシアは軍事方針として、「ロシア軍の防衛力を上回る、通常兵器による攻撃があった場合、戦術核による限定的な攻撃を行って、事態を好転させる」という作戦を立案しました。 当時、プーチン氏はロシアの国家安全保障会議のトップを務めていたのでこの作戦立案に深く関わっていました。 米議会の報告書によると、ロシアの戦術核の弾頭保有数は1000~2000発もあります。米国の保有数は200発強、そのうち100発前後が欧州にあります。 ◆NATOが報復に出る可能性 最近、米国は核兵器の使用を「敵国の核攻撃の抑止」に限定するという見直しを予定していました。 しかし、ウクライナ危機で、米国の核の傘に入っている同盟国から反対もあり、従来通り「先制攻撃」や、大規模な通常兵器による攻撃にも、核兵器で反撃できるという選択肢を残すことになりました。 ロシアが戦術核を使用した場合、NATOが報復に出れば、報復合戦で核戦争が起きてしまう可能性があります。 このように、プーチン氏は米欧の横暴から祖国を守るために「核兵器の使用も辞さない」という覚悟で臨んでいるわけです。 これはキューバ危機ときのケネディと同じ、国家元首としての覚悟です。 (後編につづく) マスコミが報じない「電力需給危機」のなぜ【後編】 2022.03.31 https://youtu.be/2eYPf6vP6LY 幸福実現党党首 釈量子 ◆「電力自由化」の誤り エネルギー政策、第三の誤りは、「電力自由化」です。特に2016年からの小売全面自由化と、2020年からの発送電分離という制度があるからです。 当初、「電力自由化」というと、「電気料金が下がる」ともてはやされました。ところが、日本より前に電力自由化を行ったヨーロッパの国では、電気料金は上昇していました。 そして、日本でもやっぱり電気料金は上がっています。 前述の通り、太陽光発電のような再エネの不安定さをバックアップするために火力発電が必要です。 しかし、「電力自由化・発送電分離」で、発電する会社と送電する会社を分けています。 送電は、旧大手の電力の仕組みのままなので、発電する会社は、稼働率の低い火力などを、いざというときのために残しておくと経営悪化につながるため、切り捨てていきました。 「電力自由化・発送電分離」の前には、電力会社は供給義務を負っていました。 停電を極力させないように十分な設備を維持する一方、そのコストを長期的に回収できるよう、電気料金を国が規制する「総括原価方式」が取られてきました。 これは優れた考えで、「電力の安定供給」と「安い電気料金」の落としどころを探る制度であり、「電力の鬼」と言われた松永安左エ門氏の智慧ともいうべきものです。 ところが、電力自由化・発送電分離によって、発電会社は自由にフリーダムとなり、送電網だけを持つ会社が、供給義務を負うという図式になってしまったのです。 ◆エネルギー政策の見直しを さらに、「脱炭素」の大号令のもとで、太陽光発電などの再生可能エネルギーが急増し、これらを火力発電よりも優先して供給する措置が取られています。 政府が主導して進めた電力自由化・発送電分離で、電力の安定供給に誰も責任を負わなくなってしまったという、究極の「無責任体制」と言っても過言ではありません。 さらに、固定価格買取制度(FIT)で実質的な補助金をばらまき、「すねかじり」のような発電業者をたくさんつくってしまいました。 結局、現在の電力の安定供給を軽視している現状を改めない限り、同じような電力のひっ迫は繰り返し起こり、本当に大規模停電の事態が引き起こされてしまうと思います。 現在、世界は戦争状態であり、エネルギー価格も高止まりしていて、まさに緊急時の状況が続く見通しです。 現在の電力自由化・発送電分離を白紙に戻し、電力体制を見直していかなくてはなりません。 FITなどの実質的な補助金による再エネ優遇を見直し、安定供給を行うため、石炭火力の投資を進め、そして原子力発電を再稼働させるべきです。 ◆ロシアとの関係も重要 また、今回の停電危機とは直接的な関係はありませんが、危機に強い電力体制をつくるという意味では、ロシアとの関係も重要です。 台湾有事などで南シナ海のシーレーンが麻痺すれば、中東などからの石油や天然ガスは入ってこなくなってしまっています。 一方、ロシアのサハリンからの輸入であれば、そうした有事の際も、供給を続けることができます。価格面でもロシアからの撤退は大きな影響が出るようです。 長期契約しているサハリン2から撤退すれば、短期の購入契約しか方法はなくなり、世界のLNG争奪戦に巻き込まれて高いLNGしか買うことはできなくなります。 日経新聞の試算になりますが、サハリン2の撤退によって、21年のLNG輸入額は約4.3兆円が、約5.8兆円となり、35%増えると見積もられています。 日本エネルギー経済研究所の2017年の試算によれば、LNGの価格が10%上昇すると、電気代が2.2%上昇します。 35%であれば、電気代が7.7%上昇することになり、家計のダメージは大きなものとなります。 また安定した供給が止まってしまえば、国家存亡の危機です。政府には、今回の停電危機を単なる一時的な問題で終わらせることなく、抜本的な解決を求めます。 マスコミが報じない「電力需給危機」のなぜ【前編】 2022.03.30 https://youtu.be/2eYPf6vP6LY 幸福実現党党首 釈量子 ◆大停電の背景 3月22日、季節外れの大寒波の中、電力が足りなくなり、あわや200万~300万の大停電かという事態にまで発展しました。 規模でいうと、一時405万戸が停電した2011年の東日本大震災に次ぐ規模でしたが、多くの事業者や個人が節電の呼びかけに応え、今回は最悪の事態を回避できました。 今回の電力不足の直接的な原因は、3月16日の夜遅くに発生した福島県沖地震です。 一時は14基の火力発電所が停止し、新地火力発電所の出力100万kWや広野火力発電所6号機の出力60万kWなど合わせて647.9万kWの電力が失われました。 現場の懸命な作業で8基分が復旧しましたが、22日時点では、334.7万kW分が動かすことができませんでした。 これに加えて、横浜市の磯子火力発電所1,2号機が、地震とは関係のないトラブルで19、20日と相次いで停止しました。 これで失われた発電の供給力は、それぞれ60万kWで合計120万kWです。つまり、合わせて450万kW以上の火力発電が動かない状態となっていました。 電力は地域間で融通し合いますので、東北での停止は東京にも影響します。 こうした背景で、東京電力は、22日の8時から23時に累計で6000万kWhの節電を要請しました。これは想定された需要に対し、10%の節電になります。 ◆「原発再稼働」の声 そこで、「原発再稼働」の声が上がっているわけです。 今回、福島県沖地震は震度6強ですが、原子力発電所は、安全性の観点から地震に非常に強く設計され、東日本大震災以降、よりハイレベルの対策も取られるようになっています。 また、今回の地震のケースでは、新潟県の柏崎刈羽原発は無傷で動かすことができたはずです。柏崎刈羽原発には7つの発電設備があり、総出力は約821万kWです。 今回の東電の節電要請6000万kWhを、単純に8時から23時まで15時間で割れば、1時間あたり400万kWになります。 柏崎刈羽原発が動いていれば、そもそも節電要請自体が必要ありませんでした。 電力は、地域を分散させて、安定して供給できる多様な電源を持つことが大事です。 昨年21年の1月上旬にも大寒波による急激な電力需要の高まりで停電の危機がありました。また21年夏頃からは、エネルギー価格がじわじわと上昇し始めました。 このように、原発再稼働の機会は何度もありましたが政府は動きませんでした。 ◆欧米ではエネルギー政策を見直し 欧米では、ウクライナ危機を通じて、エネルギー政策を根本的に見直しています。 ベルギーも3月18日に2025年までに閉鎖する予定だった原子力発電所2基の稼働を10年間延長することを決めました。 ドイツは今回のウクライナ危機を受けても、結局、原発の復活は難しいという結論になったようです。 これは原発の技術者がいなくなってしまうなど、既に脱原発が後戻りできないレベルまで進んでしまったことが原因です。 ◆「脱原発」の誤り 日本は、今であれば、脱原発の見直しは間に合います。しかし、時間が経てば経つほど、技術の継承は難しくなります。 資源のない日本はこうした観点からも脱原発の撤回を進めるべきです。 しかし、政府は依然として原発の再稼働に及び腰で、3月22日の電力需給ひっ迫では、何とか大規模停電を回避できましたが、次も回避できる保証はどこにもありません。 ◆「太陽光発電」の誤り エネルギー政策の第二の誤りは、太陽光発電を爆造です。 太陽光発電の問題は、真冬のように暖房をつけたくなり、電気が必要になっているときに、雪が降ったり、曇ったりしていて発電量が大幅に下がります。 太陽光発電は、東電管内で仮にフル稼働すれば1600万kW分ですが、冬の最大電力需要は4500万から5000万kWで、3分の1弱くらいです。 実際に、22日の太陽光発電を「貢献度」で見ると、8時から18時から電力供給の全体の実績に対し、太陽光発電からの供給はわずか3%で、いざというときに頼りにならない発電でした。 状況によって発電量が大幅に変わる太陽光発電などの再エネ発電の不安定さをバックアップするためには火力発電が必要です。 今回の大停電は、火力発電が止まったので電力がひっ迫したわけです。 (後編につづく) ウクライナ侵攻、終結の行方は?米欧日を巻き込むゼレンスキー大統領【後編】 2022.03.25 https://youtu.be/xNP88lD_mnk 幸福実現党党首 釈量子 ◆ゼレンスキー大統領の限界 ゼレンスキー大統領は2015年、テレビドラマ「国民の奉仕者」に出演し、高校教師役を演じました。 この教師が政府の腐敗撲滅を叫ぶ様子を生徒が撮影して内緒でネットに投稿したところ、話題を呼び、最後はウクライナ大統領に就任するという内容です。 これで国民の人気を博し、2019年には、実際にウクライナ大統領に選ばれました。ゼレンスキー大統領がポピュリストと呼ばれる所以は、こうした経緯があるからです。 実際に、ポピュリズムの限界が如実に出てきているように感じます。 ◆ゼレンスキー大統領に足りない見識 2014年のクリミア危機以降8年間で、ウクライナ東部では、すでに1万5000人が亡くなっています。 その中、ゼレンスキー大統領は2021年10月、トルコ製攻撃無人機(ドローン)で東部の親露派を攻撃しました。 その後も、プーチン大統領の度重なる警告にも関わらず、ゼレンスキー大統領は、欧米への急接近を図りました。 NATOの東方拡大は、ロシアの安全保障上、致命的なものです。ロシアは、国が亡びる可能性があり、絶対に認めるものではありません。 アメリカにはキューバ危機がありましたが、ウクライナは、ロシアにとってのキューバになるわけです。そうした政治的な見識をゼレンスキー大統領は持っていないと思われます。 ◆NATO東方拡大に反対していた米国識者 NATOの東方拡大は、歴史的にも欧米外交筋は慎重に扱ってきた問題です。 ソ連封じ込めを立案した元外交官のジョージ・ケナン氏は、1998年5月ニューヨーク・タイムズで次のように警告しています。 「(NATOの拡大に関して)冷戦後の時代におけるアメリカの政策の最も致命的な誤りだ。NATOの拡大は、米露の関係を深く傷つけ、ロシアがパートナーになることはなく敵であり続けるだろう」 また、2008年にブカレストで行われたNATO首脳会議の場で、当時のブッシュ政権がジョージアとウクライナのNATO加盟を公式に進めました。 これについて、元国務長官キッシンジャー氏は「この2つの国をNATOに加盟させず、中立国として残すべきだ」という見解を示しました。 ロシアから見た場合、欧米諸国のNATO東方拡大を現状変更の行為と見る可能性が高かったからです。 ◆ウクライナ問題を解決する道 大川隆法党総裁は3月11日、『ゼレンスキーの霊言』の収録後、日本外交の道筋を次のように提言しています。 「幸福実現党としては、ウクライナの中立化と、戦争への抵抗の砲火を止めて、ロシアと話し合って、親ロシアの大統領を立てて、ロシアとEUと中立の関係で存続できる道を模索すべきである」 緊急発刊『ゼレンスキー大統領の苦悩と中国の野望』 大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.amazon.co.jp/dp/4823303474/ref=cm_sw_r_tw_dp_8J6F6ZBTNHNM705Q7PEJ ウクライナがこれ以上、欧米や日本を巻き込んで戦おうとすれば、ウクライナでの火種は「世界大戦」へと発展します。 米国を呼び込んで、ロシアと戦わせるという戦略は、ゼレンスキー大統領の分を過ぎた戦略です。ウクライナはこうした「越権行為」を改めるべきです。 ウクライナ政府は抵抗運動を止め、傀儡政権と言われるかもしれませんが、新しい親露派政権の下で、ロシアとEUとの間で中立の姿勢を取って存続できる道を探るべきです。 ◆ロシアが日本に軍事的圧力を強める理由 日本は欧米に追随してロシアへの経済制裁を行ってきましたが、防弾チョッキまで提供しました。これは、ロシアから見れば、ウクライナへの軍事協力であり踏み込み過ぎではないでしょうか。 その後、ロシアは3月10日に、ロシア艦隊10隻で津軽海峡を横断、北方領土で軍事演習、さらに14日にはロシアの潜水艦など6隻が宗谷岬付近を航行するなど、日本への軍事的圧力を強めています。 ロシアの原潜基地は、カムチャッカ半島の先端にあるルイバチにあります。オホーツク海を要塞に見立て、核弾頭を搭載した原潜がオホーツク海を潜航していると言われています。 2020年に国後島や択捉島にミサイルを配備しており、北方領土での軍事演習を活発化しています。カムチャッカ半島から北方領土にかけて、ロシアは着々と軍備増強しているのです。 3月2日には、根室上空でロシアのヘリコプターの領空侵犯がありましたが、これは北海道を取り囲む形で、いつでも占領できるぞというメッセージではないかと思われます。 ◆日本はロシアとの関係強化を ロシアには、第二次大戦で北海道を取り損ねたと思っている人もいますが、一方で日露戦争の後、日本に尊敬の思いを抱き、あるいは親日的な人もかなり多くいます。 日本は、中国や北朝鮮に加えて、ロシアが新たな国防上の脅威になりつつあります。対中包囲網の形成を考えた時に日本はロシアと中国を分断する方向に努力を重ねるべきだと思います。 また、エネルギー安全保障の観点からも、日本はロシアとの友好関係を強化する方が国益に適うのは明らかです。 欧米に追随する対露封じ込めの方針を改め、停戦とウクライナの中立化に向けた独自の外交を展開していくべきです。 ウクライナ侵攻、終結の行方は?米欧日を巻き込むゼレンスキー大統領【前編】 2022.03.24 https://youtu.be/xNP88lD_mnk 幸福実現党党首 釈量子 ◆ポーランドを威嚇したロシアのねらい ロシア軍が3月13日、ポーランドの国境から20キロにあるウクライナのリビウ北西の「平和維持安保国際センター」と呼ばれている軍事基地を攻撃しました。 同基地は、米国やカナダの軍事顧問がウクライナ軍を訓練する軍事演習を行う場所で、ウクライナへの軍事支援の輸送ルートにもなっています。 空爆前日の3月12日、米国はウクライナに対する2億ドルの追加軍事援助を発表しており、ロシアは、ポーランドを軍事的に威嚇しつつ、米欧からの武器陸送を防ぐねらいがあったとみられます。 ◆米欧とロシアの軍事衝突の可能性 今回の空爆により、米欧とロシアの軍事衝突の可能性は一気に高まりました。 なぜかというと、米軍は地対空ミサイル「パトリオット」をポーランドに配備しており、ロシア軍のミサイルがポーランド国境に近づくほど、パトリオットで迎撃する可能性が出てきます。 ウクライナ領空で迎撃すれば、ロシアが米欧の軍事介入と見て、直接対決、全面戦争に発展する可能性もあり、まさに一触即発の状況です。 ただ、今のところ、米欧は経済制裁や金融制裁は行うけれども、「核戦争」「世界大戦」にならないようロシアとの軍事的衝突を避ける判断をしています。 ◆ゼレンスキー大統領のNATOに対する要求 ウクライナは、EUに対し早期加盟を求めていましたが、ポーランドやバルト3国などの東欧諸国は積極的でした。 しかし、ドイツやフランス、オランダなどの主要国は慎重で、ウクライナの早期加盟は難しい状況です。 これに対して、ゼレンスキー大統領は、「EUはもっと強くなれ」と発言、NATOに対して、ウクライナ上空に「飛行禁止空域」を設けるよう求めていました。 ウクライナ領空に「飛行禁止空域」を設ければ、NATOはロシア軍の戦闘機を撃墜しなくてはならず、ロシアとの全面戦争になってしまいます。 そのため、NATOは、「地上でも、領空でも、ウクライナに進出するつもりはない」と答えましたが、これに対して、ゼレンスキー大統領は、怒りを込めて次のように非難しました。 「飛行禁止空域の拒否は、ロシアがウクライナの都市に空爆を行ってもよいと、NATOが許可したことを意味する。今日以降、殺された人たちはNATOのせいで死ぬことになる。NATOが弱気なせいで、戦争が終わらない」 そして、3月14日には再度、「飛行禁止空域」を設けるようNATOに求めています。 ◆バイデン大統領「米国はウクライナで戦わない」 また、ゼレンスキー大統領が「ウクライナのパイロットが操縦に慣れているミグ戦闘機がほしい」と米欧に要請したところ、ポーランドは「保有する全てのミグ戦闘機を渡す用意がある」と発表しました。 ポーランドは早速、自国が参戦したことにならぬようドイツのアメリカ空軍基地経由でウクライナに渡す計画を立てました。 しかし、米国はこれを拒否。アメリカ空軍基地から戦闘機が飛び立てば、NATOが参戦したように誤解を与えるからです。 3月11日、バイデン大統領は、民主党内に「ウクライナに対して戦闘機を提供すべき」との声があることを踏まえて、「甘く考えるな。攻撃的な装備を送れば、それは『第3次世界大戦』だ」と釘を刺しました。 そして、「米国はウクライナでの戦争は行わない」と改めて強調しました。 このように、米欧はロシアとの全面戦争を避けるために、極めて慎重に、明確な一線を設けており、「世界大戦」を防ぐための賢明な判断ではないかと思います。 一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、何とか米欧を参戦させてロシアと戦わせようとしていますが、大変危険なことです。 後編では、ゼレンスキー大統領はどのような大統領なのかという視点から、今回の問題を考えてみたいと思います。 (後編につづく) ウクライナ侵攻で原油価格高騰、エネルギー安全保障への影響【後編】 2022.03.19 https://youtu.be/4rtIRpJVTcc 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国を利する日本のシベリア事業の引き上げ 日本は、現在投資しているロシア極東の資源開発事業の「サハリン1」と「サハリン2」などからの投資を引き揚げすべきかどうかをめぐって経済界が二分されています。 3日の記者会見で、日本商工会議所の三村明夫会頭は、こうした資源開発事業から日本が撤退しても「LNGは中国に行くのではないか。ロシアを困らすことにはならず、日本のユーザーが大変なことになる」と述べました。 日本がロシアから引き揚げたとしても中国資本が入るだけで、味をしめるのは中国です。海外にエネルギーを頼る日本にとって、日本企業の権益で資源開発ができることは非常に重要です。 ですから、政府は、ロシアでの権益を維持する方針のようですが、ロシアでの燃料事業から撤退すべきでないという方針を明確に打ち出すべきです。 また、米エクソンや英シェルが撤退するなら、その権益は中国でなく日本が譲り受けるよう、国として動くべきです。 ◆脱炭素政策を撤回し原発再稼働を そして、政府は、2050年カーボンニュートラル、2030年46%削減などの脱炭素政策も、ドイツと同様に、安全保障を理由に、政策の見直しを進めるべきです。 まず、石炭火力の廃止の見直し、海外での資源開発の投資を継続すべきです。さらに、止まっている「原発を即時再稼働」させれば、現在ただ今の危機に一定の対応はできます。 ロシア軍のウクライナ侵攻で、チェルノブイリ原発の電源喪失が大きくクローズアップされましたが、国際原子力機関IAEAは、現時点で「安全性への致命的な影響はない」とする見解を示しています。 原子力委員会の元委員長代理である鈴木達治郎教授もNHKの取材に対して、次のように答えています。 「廃炉となって長時間経過していることから使用済み核燃料から出る熱の量は低く、電力が復旧できないとしてもすぐに大事故につながるとは考えにくい」 (チェルノブイリ原発 電源喪失 IAEA「安全性に致命的影響なし」) https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220309/k10013523381000.html ウクライナ側に立ち、エキセントリックに煽るような報道ばかりですが、ここは冷静にならないといけないと思います。 そもそもロシアにとって、ウクライナは黒海にアクセスする重要なルートであり、そこを汚染することはメリットがないことです。 ですから、ロシアの目的は原発への攻撃ではなく、制圧であることは明らかです。 原発は、使用済み核燃料から放射性物質を取り出せば、核兵器は作れなくても、「核テロ」を行うことができるので、これを防ぐため、原発を制圧するのは定石通りです。 ゼレンスキ―大統領もNATOや日本を巻き込んで、戦争をさせてロシアをつぶそうとしていますが、これはやりすぎであり、分を過ぎています。 ウクライナのために「世界大戦」を起こすわけにはいきません。ウクライナにはロシアとEUの中立化に向けて、落としどころを模索すべきです。 いずれにせよ、現時点で、日本にとって電力を安定して供給でき、しかも南シナ海や台湾有事に強い原発の必要性を検討すべきなのではないでしょうか。 エネルギー問題に限らず、中国の脅威を考えれば、ロシアとの友好関係をとった方が、日本の国益は大きなものとなります。 また、日本としては、ウクライナの戦争を止めるためにも、ロシアと話し合って、ウクライナが、ロシアとEUと中立の立場で、存続できる道を模索するべきではないでしょうか。 ウクライナ侵攻で原油価格高騰、エネルギー安全保障への影響【前編】 2022.03.18 https://youtu.be/4rtIRpJVTcc 幸福実現党党首 釈量子 ◆原油価格の高騰 現在世界では、ウクライナ危機の影響もあって、ガソリンや天然ガスの値段が高騰しています。 経済産業省「石油製品価格調査」によると、日本では3月7日時点で、レギュラーガソリンの値段が9週連続の値上がりし、全国平均1リットルあたり174円60銭になっています。 これは、2008年のリーマン直前の高騰以来、約13年半ぶりの高値で、これも補助金で抑えた価格であり、実際は180円を超えていると思います。 ヨーロッパの状況はもっとひどく、ロシアへの依存度が高い天然ガス相場が、ロシアのウクライナ侵攻前後で2倍以上になったという話もあります。 こうした状況から、世界は、「やっぱり、エネルギー安全保障は重要である」という方向に向きつつあります。 ◆エネルギー政策を転換したドイツ ドイツでは、昨年9月の総選挙で政権交代が起き、環境保護を掲げる「緑の党」が政権与党入りしました。 連立政権は、2030年までに石炭火力発電を全廃することを検討していましたが、これを棚上げし、さらに、年末で廃止予定だった3基の原子力発電所の延命まで検討しています。 ドイツは、気候変動対策の急先鋒の国でしたが、なぜ、こうした動きになったかと言えば、ドイツのエネルギー供給があまりにもロシアに依存していたからです。 2020年の統計では、ドイツの天然ガスの55.2%、石炭の48.5%、石油の33.9%がロシア産です。 シュルツ首相は、2月27日の声明で「責任ある、将来を見据えたエネルギー政策が、我々の経済や気候だけでなく、安全保障にとっても極めて重要」と述べました。 ◆アメリカも「脱炭素政策」を見直しへ アメリカでも今回のウクライナ侵攻を受けて、「脱炭素政策」を見直すべきだという声が高まっています。 3月8日、バイデン政権は、発足以来消極的だった、国内での原油や天然ガスの増産を容認する方向へと舵を切りました。 同日、全米商工会議所は、声明でバイデン政権が規制している政府管理地の開発禁止措置を撤回するよう求めました。 バイデン政権は、ロシアからの原油や天然ガスなどのエネルギー資源の輸入を禁止する大統領令に署名し、即日発効しましたが、これも同じく3月8日の出来事です。 アメリカがロシア産エネルギー資源の輸入を禁じることができるのも、自国内で十分な資源を賄えるからです。 いずれにしても、各国は、今回のウクライナ侵攻を受け、自国の安全保障を考えてエネルギー政策の見直しを始めています。 ◆日本もエネルギー政策の見直しを 日本では9日、岸田文雄総理が、アメリカの原油や天然ガスへの禁輸措置に関して「安定供給と安全保障を国益としてG7をはじめとする国際社会と連携し、しっかり取り組んでいきたい」と述べ、アメリカの追加制裁にただちに追随することはしませんでした。 これ自体は正しい判断かと思います。 エネルギー安全保障でいうと、ヨーロッパのエネルギーはロシア依存で、日本の場合、石油は中東依存です。 LNGの調達先はある程度分散しているものの、大部分の燃料が日本の海上輸送の大動脈である南シナ海を通って来ます。 ロシアからエネルギー資源を禁輸してしまうと、日本が輸入している1割程度のエネルギー資源がロシアから入ってこなくなり、裏を返せば、南シナ海ルートへの依存度が高まります。 つまり、中国の脅威を抱える日本にとっては、南シナ海や台湾近海の有事に備え、ロシアからの輸入を増やすことが、リスク低減になります。 ですから、簡単にロシアからのエネルギー資源の輸入を禁止しなかったことは正しかったと思います。しかし、これだけでは十分ではありません。 後編では、日本が投資しているロシア極東の資源開発事業から見て参ります。 (後編につづく) すべてを表示する « Previous 1 … 9 10 11 12 13 … 25 Next »