Home/ 釈 量子 釈 量子 執筆者:釈 量子 幸福実現党党首 ウクライナ戦争から学ぶべき二つの教訓、憲法9条改正と核装備【後編】 2022.05.04 https://youtu.be/8oXLpFXBTOc 幸福実現党党首 釈量子 ◆非核三原則見直しと核装備 前編では、日本がウクライナ戦争から得るべき、一つ目の教訓は、憲法9条改正が必要であることを述べました。 二点目の教訓は、「非核三原則」の見直しと核装備です。 ソ連邦崩壊後、ウクライナは核保有国でしたが、1994年に米国とロシアとの間で「ブタペスト覚書」に合意し、全ての核兵器を放棄することを決めました。 もしウクライナが核放棄せずに、核兵器を保有していれば、今回のようなことは起きなかったかもしれないと言われています。 ウクライナ戦争を機に、日本でも「持たず、つくらず、持ち込ませず」の非核三原則を見直し、米国との核シェアリングが必要ではないかという議論が出てきました。 しかし、日本が核シェアリングするには、粘り強い外交交渉が必要です。 国連の常任理事国は全て核保有国です。しかし、米国は自分の核抑止力は強化するけれども同盟国や他の国に核を持たせないのが基本方針です。 日本と同じ敗戦国であったドイツが米国と核を共有することで、核抑止力を保っています。 ◆ドイツの核シェアリング 1964年中国が初の核実験を行った後、1968年に米国のジョンソン政権は核保有国が広まるのを警戒し、一気に「核不拡散条約NPT」に舵を切ります。 要するに、米国の同盟国である西ドイツや日本には核を持たせないで、「核の傘」で守ることにしました。 ところが米ソ冷戦時代の最中、米国はソ連との最前線にある西ドイツに大量の核を持ち込んでいました。 当時、西ドイツのクルト・キージンガー政権は何とか核使用への関与を強めるために、西ドイツ領内から核を使う場合、西ドイツの意見を聞くよう粘り強く交渉しました。 その結果、西ドイツと米国は核の運用を共同管理する「核シェアリング」が成立したわけです。ドイツの核シェアリングの背景には、粘り強い外交交渉があったわけです。 冒頭申し上げた通り、現在の日本の状況は、冷戦期の西ドイツ以上に厳しいものです。 ◆核シェアリングを否定した岸田首相 岸田首相は3月上旬、非核三原則に反するので「核シェアリングは認められない」と即座に否定しました。 核シェアリングに至るまでには、まず「核を積んだ米海軍艦艇の日本寄港を認めるか」という問題があります。 「核を持ち込ませず」に反するので、大議論になると思いますが、議論を前に進めていく必要があります。 日本が核シェアリング導入に成功した場合でも、核を使用するかどうかの最後の判断を、日本がするのか、米国がするのかという問題が残ります。 米国に最終判断を委ねた場合、米国は報復を恐れて、躊躇するかもしれません。やはり、最終的には、日本は主権国家として自前の核装備をすることが必要なのです。 ◆米国の「核の傘」では日本を守れない 戦後日本の平和は日米安全保障条約によって守られ、その中核に「米国の核の傘」があったのは事実です。 しかし、「米国はワシントンを犠牲にしてまで、核兵器を撃ってくれるのか」という疑問が残っています。 日米安全保障条約の中には、「日本が核攻撃を受けたら、米国が核兵器で報復する」という文言は一言も書かれていません。 例えば、「北朝鮮が日本に核攻撃したら、米国が核で報復する」という見込みがあれば、核の抑止力が成立します。 しかし、北朝鮮はすでに米国本土に到達可能な大陸間弾道ミサイルを保有し、さらに迎撃の難しい極超音速ミサイルを開発しています。中国やロシアも同じです。 ワシントンを危険に曝すことはできないので、米国の大統領次第で、核を使用しないという判断もあり得るわけです。その場合、北朝鮮は日本に核攻撃する可能性が出てきます。 広島的世界平和主義が限界を迎えた今、核なき国ではなく、核を落とさせない国を目指すべきです。 日本は戦後のマスコミや教育がタブー視してきた憲法9条や非核三原則の問題に踏み込み、「自分の国は自分で守る」体制を構築すべきです。 主権国家として「奴隷の平和」ではなく、「正義のある平和」を実現しなくてはなりません。 ウクライナ戦争から学ぶべき二つの教訓、憲法9条改正と核装備【前編】 2022.05.03 https://youtu.be/8oXLpFXBTOc 幸福実現党党首 釈量子 ◆国家存続の危機にある日本 ウクライナで戦争が続いていますが、終結の目処は立ちません。 欧米はウクライナへの軍事支援を強化し、4月24日に米国の国務長官、国防長官までキエフ入りしています。これは、ロシアへの宣戦布告に近い、危険な行動です。 4月27日、プーチン大統領は「電撃的で、素早い対抗措置を取る」と話し、核兵器の使用も辞さない姿勢を示しました。 このままでは、ウクライナ戦争が欧米を巻き込んだ「世界戦争」「核戦争」になる可能性が濃厚です。 岸田政権の動きも極めて危険で、米欧に追随し、ロシアに対して強硬に出たために、日本は一気に「ロシアの敵対国」になってしまいました。 津軽海峡のロシア艦艇通過や、北方領土の軍事演習、ロシアによる北海道侵攻が現実味を帯びています。 中国とロシア、北朝鮮の核を保有した三カ国が連携し、台湾・沖縄侵攻、北海道侵攻、韓国侵攻などの共同軍事行動を取る可能性も高いと言えます。 日本の最大の危機が現れていることに、日本人は気づかなくてはなりません。 ◆憲法9条改正 日本がウクライナ戦争から得るべき、一つ目の教訓は、憲法9条改正です。 幸福実現党は立党間もない段階から『新・日本国憲法試案』を発表し、憲法改正に積極的に取り組んできましたが、その必要性は日増しに高まっています。 例えば、日本国憲法の前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意した」と書かれています。 これは簡単に言うと、「日本人の生存と安全を、国際社会の善意に委ねる」ということです。中国や北朝鮮、これらの国に日本の命運を委ねたい人はいないのではないでしょうか。 これが戦後日本の空想的平和主義の土台になっています。自分の国は自分で守らなくてはなりません。 ◆自衛隊を国防軍に 憲法9条1項で「戦争放棄」を、9条2項で「戦力の不保持」「交戦権の否認」を定めています。 この条文は、周りの国も一緒に戦争放棄していれば成り立つかもしれませんが、日本の周辺には軍備増強を加速する核保有国ばかりです。 憲法9条2項では「戦力の不保持」を定めているので、日本は本来、戦力を意味する軍隊を持つことはできません。 しかし、自衛隊はすでに存在し、22万人の自衛隊員と巨大な組織、装備を持っています。 世界の軍事力ランキング5位、英語では「セルフ・ディフェンス・フォース」と訳され、海外からは軍隊として扱われています。 幸福実現党としては、憲法を抜本的に改正し、自衛隊を国防軍として明確に位置づけるべきだと思っています。 幸福実現党の大川隆法総裁は、2009年に発表した『新・日本国憲法試案』の第5条で、次のようにと定めています。 「国民の生命・安全・財産を護るため、陸軍・海軍・空軍よりなる防衛軍を組織する。また、国内の治安は警察がこれにあたる」 「軍隊を持てば戦争を始める」という意見もありますが、極論です。世界中の国が軍隊を持っていますが、世界中で戦争が起きているわけではありません。 ◆自民党の「加憲」で国は守れるのか 自民党は安倍政権の時に、憲法9条に「加憲」し、自衛隊の存在を憲法上で認めることを憲法改正案で示しています。 しかし「自衛隊は軍隊ではない」という解釈は同じなので、本質的には何も変わりません。 自民党案は「白馬は馬にあらず」を憲法に書き込むことであり、解釈論と条文の改訂を混同しています。 いずれにしても、国の交戦権を認めず、戦力を保持しないまま、自衛隊が憲法上の存在となるのは、国の主権を考えていない無責任な政治といわざるを得ません。 自衛隊が軍隊になれば、日本の抑止力は、格段に強くなります。 「ウクライナに便乗して、憲法改正するな」という野党の意見も現実離れしていますが、自民党の「加憲」であっても日本の独立を守るためには十分ではありません。 いまこそ、憲法9条を抜本的に改正し、日本の「戦後」に終止符を打つべきです。 (後編につづく) 非接種者が支払う「罰金」制度?怒りの声に「イベントワクワク」見送り【後編】 2022.04.25 https://youtu.be/u3PBOpFvfkY 幸福実現党党首 釈量子 ◆ワクチン接種と経済対策の矛盾 前編に引き続き、「ワクチン接種と経済対策を結び付ける」政策の問題点についてですが、まず、「コロナ感染対策」にはなりません。 ワクチン接種は、感染症対策として万能ではないことは、厚生労働省も、「ワクチン接種後でも新型コロナウイルスに感染する場合はあります」「免疫がついても発症予防効果は100%ではありません」と認めています。 厚生労働省 https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/effect/ ワクチン接種をしても、感染を広げてしまう可能性は十分あるわけです。 ですから、「ブロック割」「県民割」あるいは、ワクチン接種を条件とした「GoToトラベル」は「感染症対策」にはなりません。 さらに言えば、ワクチン接種の目的は「免疫」の獲得です。 それなら、コロナに感染したことで得られた「免疫」の獲得を評価せず、「ブロック割」の条件に認めないのは矛盾しています。 ◆実質、ワクチン非接種者への「罰金」 こうした不条理にもとづく「ブロック割」などは、「国民を分断」します。 ワクチンは体質上、接種できない人もいます。また、自分の判断で「打たない」という人もいます。 命や健康にかかわる問題は、それこそ個人の自由な判断が認められなければなりません。 政府は、「陰性証明も認めている」と政府は弁明するかもしれませんが、PCR検査には数万円の自己負担がかかり、著しい不公平が生じます。 こうしたことに国民の血税が使われるのは、不適切です。 税金はワクチン接種者もワクチン非接種者も支払うものですが、ブロック割やGoToトラベルを使えるのはワクチン接種者のみです。 つまり、大きな目で見れば、ワクチン接種者の「旅行代金」を、ワクチン非接種者が支払ってあげているという制度が、「ブロック割」「GoToトラベル」だということです。 これは、実質的にはワクチン非接種者への「罰金」以外の何者でもありません。 ◆副反応や後遺症の被害 これが、不公平感につながり、国民の分断を招いていきます。それでもなお、接種を推し進めれば、これからは本当に、「強制接種」という状況になっていきます。 今後3回目、4回目を「強制する」ということになれば、自由や民主主義を尊重しているはずの日本において、これは大問題です。 コロナ感染による死亡や後遺症も報告される一方で、ワクチンによる重篤な副反応や後遺症の被害も増加しています。 ある報道番組では、ワクチン接種13分後から10ヵ月以上後遺症に苦しみ続けた女性が登場し、吐き気や頭痛などで苦しみ、医療費やタクシー代は60万円に上ると語っていました。 こうした被害は相次いでいますが、因果関係が認められることはほとんどなく、認められるとしてもかなりの時間がかかります。つまり、救済措置は事実上ありません。 「県民割」や「ブロック割」でワクチン接種を推進しても、その後の健康被害に責任を取らず、補助金で経済的利益を釣るという政治の姿勢は、選挙対策のバラマキだとしてもあまりにも無責任で、恐ろしいと言わざるを得ません。 こんな無駄なお金を使うくらいなら、ワクチン被害に遭われた方への救済をもっと真剣に考えてはどうでしょう。 「救済制度はあります」と、政府はワクチン接種を勧め、実際は「因果関係は証明できない」と言って、なかなか動かない。これを世間一般は「だましている」というのです。 リスクの検証が不十分なまま接種を推進し、ワクチン後遺症を招いたことは間違いのない事実です。こうした問題の責任を政府は取るべきです。 ◆政府は中国の責任追及を 政府が責任を持ってほしいのは、コロナ発生源である中国への責任追及です。人民解放軍は、生物兵器の研究を行っており、人工のものである痕跡は専門家からいくつも指摘されました。 ステルス性の高い生物兵器を次々と撒かれるなら、ワクチンでは対抗できないし、コロナ・パンデミックを終わらせることはできません。中国の責任追及こそ、最大の感染症対策と言えます。 これを疎かにして、感染症対策と称して政府の権力を膨らませていけば、中国のような独裁国家・全体主義国家に近づいていくわけで、中国の思うつぼです。 やらなくてよい仕事は減らし、国民の自由を広げる政治を実現するべきです。 その意味でも、GoTo + ワクチン接種というのは天下の愚策だし、無駄な政策そのもので、減量していくべきです。 非接種者が支払う「罰金」制度?怒りの声に「イベントワクワク」見送り【前編】 2022.04.24 https://youtu.be/u3PBOpFvfkY 幸福実現党党首 釈量子 ◆ネットで炎上「イベントワクワク割」 4月に入って、政府は、「コロナ感染症対策」と「経済の両立」を目指して「イベントワクワク割」を打ち出しました。 「イベントワクワク割」は、ワクチン接種や陰性証明を条件に、スポーツなどのイベントのチケット代を割り引く制度です。 ねらいは、なかなか進まない若者の3回目のワクチン接種の推進です。 しかし、4月13日、岸田総理は、「イベントワクワク割」を「現時点で直ちに始めることは考えていない」と、一時的な見送りに追い込まれました。 理由は、世論の声です。 若い世代でも接種が進むとともに、「ワクチン後遺症」で苦しむ人が続出していており、「ワクワク」という名称等に批判の声が高まり、Twitterでも炎上しました。 ◆計画は半年前、すでに実施も 「イベントワクワク割」が、報道されたのは4月6日からですが、計画自体は半年近く前からありました。 「特許情報プラットフォーム」によると、昨年11月18日に、経済産業大臣名で、4種類が出願され「わくわり」「ワク割」「イベントワクワク」「イベントワクワク割」が商標登録申請されていたのです。 この「イベントワクワク割」は、「GoToキャンペーン」の一つで「GoToイベント」にワクチン接種の条件を加えたものです。 実際には、「GoToキャンペーン」の一つである「GoToトラベル」予算で、すでに各県で「県民割」あるいは「ブロック割」として、事実上始まっています。 ◆「県民割」「ブロック割」とは 「県民割」は、GoToトラベルが2020年末に感染拡大を受けて停止してから、「県内の移動であれば大丈夫だろう」と、翌21年4月から始まった補助金政策です。 これが今年に入ったあたりで、ワクチンの2回接種や陰性証明が利用の条件になりました。 今年3月25日には、「GoToトラベル」の再開に先立って、県単位から、近畿や関東などのブロック単位に拡大することを国交省管轄の観光庁が発表し、利用条件も3回接種と陰性証明に、アップデートされました。 「県民割」「ブロック割」は、既に4月1日から4月29日の期間終了まで割引が適用されるのですが、全国の知事たちの熱い要望もあり、政府は5月末までこの制度を延長する方針です。 ですから、ワクチン接種等を条件として、特定の業界にお金を補助する制度は既に始まっているわけです。これも「バラマキ」です。 ◆バラマキ政策の中身 「県民割」「ブロック割」は、行代金の50%を最大で5000円まで国がお金を出してくれます。場合によっては、県がさらに上乗せする場合もあります。 例えば、三重県の「みえ得トラベルクーポン」は、県内旅行の宿泊料金などが最大で実質7000円割引されます。さらにお土産や飲食店で使えるクーポン券2000円。ほとんど無料で旅行にいけます。 こうした、「お得な」サービスを支えるのは、私たちの血税です。 21年4月に「県民割」が始まるとき、「GoToトラベル」予算から3000億円が充てられました。これがどんどん延長されていくので、いずれ予算は尽きます。 足りなくなれば、今年度の「GoToトラベル」予算、約1.3兆円から充当されます。国土交通省の通常の予算は毎年およそ6兆円前後で、1.3兆円は非常に大きなお金です。 しかも、こんな血税を投入しながら、成果を挙げていると言えるでしょうか。 ◆血税投入の経済効果 GoToトラベルには、2.8兆円、あるいは3.7兆円の経済効果があったと言われますが、ホテルや旅館に泊まった人の数がコロナ禍でどう変わっていったのでしょうか。 2020年の1月にコロナ・パンデミックが発生して以降、急激に宿泊者数が減りました。そして、緊急事態宣言が解除してから回復しています。 このときに、7月下旬から始まったGoToトラベルが大きく貢献したとよく言われます。 しかし、緊急事態宣言が完全に解除された6月から既に宿泊者数は急激に回復に向かったのであって、GoToトラベルで、突如勢いが上向いたわけではありません。 GoToトラベルをやらなくても、観光産業は回復していたはずです。 ◆中小ホテルの経営を圧迫 反対に「GoToトラベル」は、割引を使って普段は泊まれない高級ホテルに予約が偏り、「中小の経営を圧迫する」という不条理を生みました。 せっかく回復しても、政府の「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」が適用されると、また元の木阿弥です。 はっきり言えば、GoToトラベルのような政策は、経済政策としては不適切であり、何もしないほうがいいのではないでしょうか。 (後編につづく) ウクライナのネオナチ「アゾフ大隊」とは。ロシアの軍事作戦の正当性はあるのか? 【後編】 2022.04.21 https://youtu.be/pAj1tFBXNr4 幸福実現党党首 釈量子 ◆アゾフ大隊の残虐さ ネオナチ「アゾフ大隊」の残虐さは、国連も調査しています。 国連人権高等弁務官事務所は、2015年の11月から2016年2月にかけて、紛争が起きていたウクライナ東部の現地調査を行いました。 現地住民へのヒアリングから、アゾフ大隊によって、民間人の殺害、拷問、虐待、略奪があったことを報告しています。 例えば、2015年1月28日、マリウポリの男性が「ドネツク共和国を支援している」との理由でアゾフ大隊によって拘束され、2月6日まで、電気ショックや水責めの拷問を受けた事例が載っています。 これは国際法違反であり、ミンスク合意違反です。 ヒューマン・ライツ・ウォッチが発表した2016年のレポートでは、ハリコフやマリウポリなどに秘密の監禁施設があり、親ロ派の住民を恣意的に拘束し、虐待していると指摘しています。 また、2014年5月に起きた「オデッサの虐殺」では、アゾフ大隊が大勢のロシア人を建物の中に追い込み、放火し火炎瓶で焼き殺しました。 これらの報告を見ると、プーチン大統領の指摘通り、親ロ派住民の安全は全く確保されていなかったことが明らかです。 ◆アゾフ大隊の称賛が可能に フェイスブックは2016年、アゾフ大隊を白人至上主義者のKKKやイスラム過激派のISISと同じレベルの危険組織と認定しました。 アゾフ大隊は、フェイスブックを通じて世界中から隊員をリクルートしており、2019年には、その利用が禁止されています。 同時期、米国下院議員40名がアゾフ大隊を海外テロ組織として認定するよう国務省に働きかけを行っています。 ところが、今年2月、なぜかロシアの特別軍事作戦後、アゾフ大隊のフェイスブックの利用禁止が解除され、アゾフ大隊を称賛することも可能になっています。 ◆米欧が隠すアゾフ大隊の「不都合な真実」 3月8日の国際女性デーにNATOの公式ツイッターに、ウクライナの女性兵士の写真が4点アップされました。 その中の1点に、迷彩服の胸にナチスのシンボルである「黒い太陽」の紀章をつけた民兵が写っていたため、NATOは慌てて、削除しています。 「黒い太陽」は、聖書の黙示録の解釈として、中世から提唱されてきた理想の国家「第三帝国」の紋章で、ナチス親衛隊SSが神聖視していたものです。 また、ゼレンスキー大統領が、ギリシャ議会でネット演説した際に、ギリシャ人が数多く住むマリウポリを守る2人のウクライナ民兵を紹介しました。 しかし、そのうちの一人がアゾフ大隊の隊員であることを話してしまい、ギリシャの議員から反発の声が上がりました。 このように、ウクライナを支援する米欧にとって、アゾフ大隊は表に出したくない「不都合な真実」なのです。 ◆ゼレンスキー大統領の責任 2014年以降、ウクライナ東部ではウクライナ政府と、親ロ派住民との内戦で1万4000人以上の死者が出ています。 少なくとも、ウクライナ政府には東部まで統治が行き届かず、大きな責任があります。 この紛争を止めるために、2014年9月にロシアとウクライナの間で結んだ「ミンスク合意」(ウクライナ、ロシア、ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国が調印)があります。 さらに、2015年には「ミンスク2」がフランスとドイツの仲介で結ばれ、ウクライナ東部の2つの共和国に幅広い自治権を認めるという約束がありました。 しかし、ゼレンスキー大統領は、親ロ派の自治権を認めるどころか、更なる攻撃を加え、低迷していた支持率を回復するために利用しました。 プーチン大統領の演説の通り、ウクライナ東部の2つの共和国を守ることを目的とした、「特別軍事作戦」だったことも一定の合理性があります。 ◆バイデン大統領の罪 一方、バイデン大統領は、選挙を控えて、人気取りのために、ロシアをたたき、しかも息子ハンター・バイデン氏がウクライナや中国からお金を得ていたという疑惑を隠蔽しています。 バイデン大統領のロシアたたきは、中国が仕掛けているコロナウイルス戦争の悪事から、世界の目を背けさせています。 世界が非難すべきは、ウイグルやチベット、香港の人権弾圧を行っている中国共産党であることを忘れてはなりません。 ◆日本は独自の外交努力を 日本政府は、ゼレンスキー大統領が「世界戦争の火付け役」だと見抜かなくてはいけません。 幸福実現党としては、岸田政権によるロシアへの追加制裁にも反対です。日本政府は世界大戦を防ぐためにも、ウクライナの中立化に向けて外交努力すべきです。 そして、日本は日露関係をいち早く修復し、中露の離間を図り、ロシアを含めた信仰ある国々で、対中包囲網を築くべきだと考えます。 さもなければ、日本は、中国・北朝鮮・ロシアの共同軍事行動に対処しなくてはならなくなります。 日本の国益を考えた時に、ウクライナよりロシアのほうが日本の将来には大切です。同情だけで人気と票を取ろうとするなら、日本の国を危うくします。 ウクライナのネオナチ「アゾフ大隊」とは。ロシアの軍事作戦に正当性はあるのか? 【前編】 2022.04.20 https://youtu.be/pAj1tFBXNr4 幸福実現党党首 釈量子 ◆経済制裁でロシアを止められる? 岸田首相は4月9日、記者会見を開き、ロシアからの石炭輸入禁止など、ロシアへの追加制裁を発表しました。 岸田首相からは「平和秩序を護る正念場」という言葉もありましたが、「経済制裁でロシアを止められる」と考えている点は、バイデン大統領と認識が同じです。 ロシアは、中国やインドとの貿易を継続しているため、経済制裁でロシアの妥協を引き出すのは困難です。 逆に、全世界でエネルギー価格や小麦が値上がりし、ペルーやスリランカでは暴動が発生しています。 ここで米国がインフレを抑えるために利上げを急げば、世界経済は大打撃を受けるでしょう。 さらに、ゼレンスキー大統領の「ウクライナへの侵攻は欧州への侵攻だ」との主張は、ロシアとNATOの全面戦争をもたらす極めて危険な考えです。 ◆ロシアに軍事作戦の正当性はあるのか 岸田首相は「ロシアがウクライナの主権および領土の一体性を侵害し、国際法に違反するもので決して認められるものではない」と主張しています。 ロシアのプーチン大統領は2月24日の演説で、ウクライナの「中立化」「非軍事化」「非ナチ化」を理由に挙げて、「特別軍事作戦」を行うと宣言しています。 つまり、ロシアは国家承認した「ドネツク共和国」「ルガンスク共和国」の2か国から軍事支援の要請を受けて、集団的自衛権の行使として「特別軍事作戦」を行っているということです。 国連憲章では、「武力の行使」を原則禁止(第2条)していますが、二つの例外を認めています。 一つ目は、自衛権、集団的自衛権(国連憲章第51条)です。 主権国家である以上、当然のこととして、「自分の国は自分で守る」権利である「自衛権」が認められています。 また、自国の防衛力だけでは守れない場合には、他国と同盟を結びます。これが、「集団的自衛権」です。 二つ目が、国連が決議して進める「集団安全保障」です。 例えば人道的危機が生じた場合、国連の安全保障理事会が、全会一致で決めたら、軍事介入できる場合もあります。 ただ常任理事国の5か国の意見が一致することは難しく機能していません。 ロシアの主張は、ウクライナへの「侵略」ではなく、国連憲章で認められた「自衛権の行使」だということです。 しかし、プーチン大統領が言うような「ウクライナにネオナチなど存在せず、東部のロシア系住民を排斥するような事態はなかった」と反論する人もいます。 ◆ネオナチ「アゾフ大隊」とは プーチン大統領が非難するネオナチとは、ウクライナの「アゾフ大隊」のことで、ウクライナ東部には、アゾフ大隊を含めて約40の極右グループが存在します。 アゾフ大隊の創設者、アンドリー・ビレツキーという人物は、ナチスの信奉者で、白人至上主義者として知られています。 日本の公安調査庁は「国際テロリズム要覧2021」でアゾフ大隊について次のように言及しています。 「アゾフ大隊は、欧米出身者を中心に白人至上主義やネオナチ思想を有する外国人戦闘員を勧誘したとされ、同部隊を含めウクライナ紛争に参加した欧米出身者は約2000人とされる」 しかし、不思議なことに、公安調査庁は4月8日、「この記述が誤解を生むので削除する」と発表しました。 ◆「アゾフ大隊」が頭角を現した背景 2014年に親ロ派のヤヌコビッチ大統領が退陣に追い込まれた過激なデモ(マイダン革命)がありましたが、そこで「アゾフ大隊」は頭角を現しました。 この時、米政権がデモをバックアップしたことが、オリバーストーン監督のドキュメンタリー映画「Ukraine on Fire」に描かれています。 ■ドキュメンタリー映画『Ukraine on fire』全編公開中!【日本語字幕版】 https://youtu.be/pSDZpw1EZsQ その後、ウクライナ東部の民兵として、親ロ派勢力から港湾都市マリウポリを奪還しました。 この功績が認められ、アゾフ大隊はウクライナの正規軍に編入され、正式に「国家親衛隊」になりました。 2019年、米メディア「The Nation」は、「ウクライナは、ネオナチが正規軍になっている世界で唯一の国だ」と指摘しました。 ヤヌコビッチ大統領がロシアに亡命してからは、アゾフ大隊の影響力は政治の世界にも広がり、アゾフ大隊の創立者アンドリー・ビレツキーは2014年に国会議員になっています。 他にも閣僚級を輩出するなど、ネオナチの影響力は軍隊のみならず、政治の世界まで及びました。 ネオナチが国家権力に浸透しているのは、世界の中でウクライナしかありません。 (後編につづく) 倫理観に国家が介入「パワハラ防止法」ハラスメントで裁判沙汰も【後編】 2022.04.17 https://youtu.be/SVRu3pKazlU 幸福実現党党首 釈量子 ◆政府の強権が若者のためになるのか 安倍政権以降、自民党は「パワハラ防止法」を初め、日本人の特に若者の雇用環境を改善するため、「働き方改革」を進め、その関連法も制定してきました。 その結果、確かに長時間労働が減り、離職率も数パーセント下がりました。 パワハラ防止の取り組みも着実に進んでいるようで、「リクルートワークス研究所」の調査によれば、4人に1人が新入社員期に職場の上司・先輩から叱責される機会が一度もありませんでした。 20年前は10人に1人だったということですので、ある意味で改革の効果が出ていると言えます。 ◆「何が社会人として正しいことなのか」を学ぶことの大切さ 問題は、「それが本当に若者のためになっているのか」ということです。 同調査を見てみると、4人に3人以上の今の若者が「不安だ」とストレスを感じています。 これは2000年代と比べると増加しています。 「ゆるい職場」でそれなりに上手くやれているけれども、このままで本当に大丈夫だろうかという不安感からきているようです。 結局、「働き方改革」で経営者側も委縮してしまって、言うべきことが言えない状況が浮かび上がってくるわけです。 若いうちに「何が社会人として正しいことなのか」を指導されないことは、間違いなく若者のためにならないでしょう。 若い世代にとっては、会社が快適でも、それが本人のためかどうかと、経営者が「従業員の生活や未来に対する責任感を持っているかどうか」は別のものです。 ◆仕事は命をかけてやるだけの値打ちがある 大川隆法党総裁は経営者向けの書籍『経営戦略の転換点』で、次のように指摘しています。 ・ブラック企業として批判を受けたら、「これは『黒字企業』という意味だな」と思って、「ええ、そのとおりです。うちはブラックです。もう黒字がずっと続いております。『黒字企業』のことを『ブラック企業』というのでしょう?うちはレッド(赤字)企業ではありません。ブラックです。黒字です。」とい言うぐらい、開き直らなくては駄目です。 ・長い目で見たら、自分を鍛え上げ、社会の公器、公の器に変えてくれる企業が、本当は、自分をつくってくれ、世の中の役に立つ人間に変えてくれるのだ」と期待しているところもあるのです。 (引用おわり) ブラック企業と批判されるところに比べて、「自分の会社はすごいホワイトでいいなあ」と思っていても、不況の風で潰れてしまうこともあります。 「仕事をしたい」という気持ちは人間の天分であり、「神様が創造の喜びとして仕事というものを与えたのだ」と言えるし、仕事は命をかけてやるだけの値打ちがあるものです。 ◆富を創るために必要な勤勉の精神 岸田総理が「新しい資本主義実現会議」を行っていますが、資本主義には「勤勉の精神」が密接に係わっています。 道徳を語れる企業人が困難に打ち克ち新しい産業群を次々と立ち上げてきました。 日本が誇る大企業の1つであるホンダの創業者、本田宗一郎氏も「1日は24時間ある。1日8時間と考えれば3日かかるが、24時間なら1日でできる」と言っていました。 また、トヨタや松下電器も、創業して一代で大きくなった会社で、今の定義でいう「ブラックな面」がなかったとはいえないと思います。 こうした、勤勉の精神で富を創っていく企業があったからこそ、日本の経済は焼け野原から立ち上がってきたところはあります。 ◆減量すべき「パワハラ防止法」 では、企業は従業員に何をやっても許されるのかと言えばそんなことはありません。 人権侵害レベルの行為を止める防波堤になるのは、実は「信仰心」です。 経営者が、神様、仏様の目から見て間違いが無いかどうか、「脚下照顧」していれば、何が正しいかを判断できるし、そこから「徳」というものが生まれてきます。 制度をいじって、魂をなくしていくような国の制度が、資本主義の精神を傷つけ、日本の生き方や考え方を台無しにしていくなら、問題だと思います。 幸福実現党は、政府が企業の仕事を簡単に増やしたり、倫理観に口を挟むような「パワハラ防止法」などは「減量」していくべき法律だと考えます。 倫理観に国家が介入「パワハラ防止法」ハラスメントで裁判沙汰も【前編】 2022.04.16 https://youtu.be/SVRu3pKazlU 幸福実現党党首 釈量子 ◆4月全面スタート「パワハラ防止法」とは 4月から、いわゆる「パワハラ防止法」(正式名称:改正労働施策総合推進法)が全面スタートとなりました。 この法律が始まったのが2020年6月からで、このときは大企業のみが義務の対象でしたが、この春からは中小企業へも対策が義務付けられるようになりました。 今回の法律で定められたパワハラの定義とは、以下の3点です。 (1)優越的な関係を背景とした言動 (2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの (3)労働者の就業環境が害される そして上記(1)から(3)までの要素を全て満たすもの 例えば、みんなの前で「辞めてしまえ!」と怒鳴りつければ、これはパワハラと認定される可能性があります。 怒鳴るという行為は「仕事上必要ない」と考えられ、定義(2)の「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」と判断されてしまうわけです。 また、会社の宴会で若手に余興をやらせて、場は大盛り上がりと思っていたら、実は「あんなことはやりなくなかった」と、後でパワハラと断罪されることもありえます。 これは、上司から「やれ」と言われたら断れないということで、特に定義(1)の「優越的な関係を背景とした言動」にひっかかってくるわけです。 実際に、会社の研修会などで、パワハラと認められた裁判事例は出ており、例えば、2015年に大分地裁は、うさぎの耳型のコスチュームを着させたということで、60代女性に対し、20万円の支払いを命じています。 ◆何でもかんでもハラスメントになる時代 ちなみに、「自分は関係ないか」と思う若手の方もいるかもしれませんが、若手の平社員もハラスメントをする可能性があります。 例えば「テクノロジー・ハラスメント」いわゆる「テクハラ」です。 IT機器に弱い目上の先輩たちに「こんな簡単なこともできなくて、よくこれまで仕事ができましたね」などと言ってしまったら、テクハラ認定になりえます。 この他にも、年齢を理由とした嫌がらせをする「エイジ・ハラスメント」(エイハラ)。 恋人がいる人が自分の恋愛や結婚の価値観を人に押し付ける「ラブ・ハラスメント」(ラブハラ)など何でもかんでも「ハラスメント」になる時代です。 ◆厚生労働省が示したパワハラの6つの類型 今回のパワハラ防止法に併せて厚生労働省は、以下の通り、パワハラの6つの類型を示しました。 (1)身体的な攻撃 (2)精神的な攻撃 (3)人間関係からの切り離し (4)過大な要求 (5)過小な要求 (6)個の侵害 こちらは厚生労働省が過去のパワハラ裁判を元に、分類をまとめたものになりますが、非常に広い範囲を対象としているようです。 例えば、専門家は、部下の指導するため机を叩いたり、椅子を蹴ったりすると威嚇をしたということで、(2)の「精神的な攻撃」として、パワハラと認定される可能性があると指摘しています。 また、(6)の「個の侵害」は、要はプライバシーの侵害になるため、部下の女性に対し「子どもはまだ?」と聞くこともNGです。 ちなみに、「30才を過ぎているのに結婚していない人は信用できない」という価値観を披露してもパワハラとなり得ます。 これらのパワハラの多くは、以前から、裁判でパワハラと認定されたことがあるケースです。 ◆パワハラ防止法の問題点 今回の法律の肝は、6つの類型が明記されたこと、企業に対して、パワハラ防止の取り組みを義務付けたことです。 罰則はないのですが、違反した場合、勧告が行われ、それを無視すると会社名が公表されてしまいます。 そして、この法律の問題点は、具体的な取り組み違反の内容は、「指針」という形で、すべて政府に丸投げしているところです。 その結果、厚生労働省は就業規則の改定や相談窓口の設置など、具体的には条文には書いていない10種類の取り組みを企業に対して義務付けました。 これは中小企業には重い負担です。 ほかにも男女雇用機会均等法では「セクハラ」が、育児・介護休業法では「マタハラ・ケアハラ」が同じように指針という形で細かく規制されています。 こういう形の規制は気を付けないと「言葉狩り」のように広がる可能性があります。 何がハラスメントになるかを政府が決めるようになっていくと、中国のような個人個人に「社会信用スコア」をつけて、善悪の基準を管理しようとしている全体主義国に近づいていくと言えます。 (後編につづく) 脱炭素の嘘を斬る――最新研究からわかる海洋汚染の実態 2022.04.13 https://youtu.be/cjtRhJHYXuY 幸福実現党党首 釈量子 ◆プラスチックによる海洋汚染 前回は、4月から施行された「プラスチック新法」の問題点を指摘してきました。 ■違反者は50万円以下の罰金?――天下の悪法「プラスチック新法」 http://hrp-newsfile.jp/2022/4248/ 「プラスチック新法」ができた背景には、気候変動の問題に加え、プラスチックごみによる海洋汚染があります。 プラスチックによる海洋汚染は2000年代に入ってから劇的に増加し、最近では、5ミリ以下のマイクロプラスチックが魚などに蓄積されていることが問題視されています。 自然に分解されず長期にわたって残留する性質が高いプラスチックごみを廃絶するため、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」が2004年に締結し、現在152か国が加盟しています。 ◆日本のサイクルの現状 日本が廃棄している国民1人当たりのプラスチックごみの量は世界第2位、年間32kgに相当します。(※国連環境計画UNEPの報告書2018年より) しかし、日本は「分別収集」においては世界トップクラスで、国連の報告書(2018年)でも「見習うべきだ」とされています。 日本のプラスチックリサイクル率はどうなっているかというと、84%(プラスチック循環利用協会 2016年)ですが、この数字をどう見るかです。 リサイクルの方法は大きく3種類あます。その84%の内訳は、ケミカルリサイクル(4%)、マテリアルリサイクル(23%)、サーマルリサイクル(約57%)です。 「ケミカルリサイクル」は、プラスチックを科学的に分解し油化して、再び製品に戻すリサイクル技術です。 ペットボトルをペットボトルにするなど、「水平リサイクル」とも呼ばれます。 「マテリアルリサイクル」は、プラスチックのまま熱で溶かして形を変える再利用ですが、品質は落ちます。 「サーマルリサイクル」は、燃やした時に発生する熱を回収してエネルギーとして利用することです。 つまり、ゴミを処理場で燃やすときに、一緒に発電し、熱をボイラーや温水プールに使っています。 ゴミ発電は、バイオマス発電に分類されるので、再生可能エネルギーの一種です。 2019年度の実績では、バイオマス発電の38%分、再生可能エネルギーの5%分で、それだけ、石炭や天然ガスの使用量が減ります。 ◆「燃やす」選択肢の妥当性 「脱炭素」に突っ走る欧州では、「サーマルリサイクル」を認めていないため、日本のリサイクル率は低い評価となります。 しかし、ケミカルリサイクルやマテリアルサイクルがサーマルリサイクルと比べ環境に優しいのかと言えば決してそうではありません。 理由は、これらのリサイクルは、リサイクルする間に大量の電気を使うからです。 特にマテリアルリサイクルは、エネルギーの削減効果はサーマルリサイクルの3分の1程度です。 ですから、資源が乏しい日本としては、EUの環境全体主義に負けることなく、主張すべきことは主張して、自国の利益を守るべきです。 サーマルリサイクルは日本の得意分野で、「焼却とエネルギー回収」は加盟国平均20%を超え71%でダントツの1位です。 日本は「燃やす」という選択肢を、断固、維持すべきです。 そもそも、海のプラゴミの大きな割合は漁のアミやブイによるものなので、陸の上でいくら分別しても効果は限定的です。 ◆新たな解決策 また定説として、プラスチックは高分子構造で水が浸み込みにくく、微生物が食物にできないので、分解するのが難しいとされてきました。 しかし、2021年10月、スウェーデン・チャルマース工科大学の研究チームは、世界各地で「プラスチックを分解する細菌」が出現していることを発表し、注目されています。 地中海や南太平洋など汚染が深刻な場所に、多くのプラスチック分解酵素が存在することがわかったということです。 他にも、プラスチックの海中での分解は、地上の百倍、千倍かかると言われてきましたが、世界で初めて日本の企業「カネカ」が海中でも分解できる素材を開発しました。 ◆日本の産業を守るために 経済全般に無理な目標を押しつけることで、産業そのものを破壊していくことは断固反対です。 脱炭素も、異論・反論を許さないという風潮がありますが、同様の現象が、ここにもあるように思います。 幸福実現党としては、こうした要らない法律は、今すぐ無くして、やらなくてよい仕事を「減量」していくべきだと考えます。 日本経済を「脱炭素地獄」に続き「脱プラ地獄」に突き落とさないためにも、冷静になって、プラスチックを目の敵にするような空気をつくってはなりません。 違反者は50万円以下の罰金?――天下の悪法「プラスチック新法」 2022.04.12 https://youtu.be/HFX_vkuXjVY 幸福実現党党首 釈量子 ◆4月1日施行の「プラ新法」とは 4月1日から「プラスチック資源循環促進法(プラ新法)」が施行されました。 同法は、プラスチックの過剰消費の抑制や、環境問題への意識付けを目的としたもので、事業者や自治体に、製品の設計からプラゴミの処理まで、プラスチックの量を減らす取り組みを促すものです。 2020年6月から、「容器包装リサイクル法」に基づき、「レジ袋の有料化」が始まりましたが、今回の新法は、「プラスチック」という素材そのものをターゲットに削減を促す法律です。 プラスチックの世界の生産量は、1950年は200万トンでしたが、2015年には3億8,100万トンで、70年で200倍近くも増加えており生活に根付いています。 日本政府は、2030年までに使い捨てプラスチック製品を累積で25%排出抑制するなど、野心的な現実離れした目標を掲げました。 指定のプラスチック製品を5トン以上、無償で提供する企業は、削減に取り組まない場合は最悪、社名が公表され、50万円以下の罰金となります。 もちろん、5トン以上指定のプラスチックを提供しない業者も削減に取り組むことが求められます。 有料化の対象として、フォーク、スプーン、マドラー、歯ブラシ、ハンガーなど12品目のプラスチック製品を規制しています。 ◆企業の負担拡大 企業は、有料化するか、プラスチックの使用量が少ない製品に替えるなど、とにかくプラスチックの使用量を削減しなければいけません。 某大手ホテルチェーンでは歯ブラシやクシ、ひげ剃りなど、プラ製の使い捨てアメニティを客室に置くのをやめて、希望者には竹製のハブラシやヒゲソリなどを有料で売るそうです。 某大手飲食店は、植物由来のバイオマス配合のプラに切り替えも考えていますが、しかしプラ製のものと比べてコストは2倍以上かかります。木製に切り替えれば負担はさらに重くなります。 コンビニは、持ち手に一部穴を開けてプラスチック使用量を削減した軽量スプーンと併用し、木製に一部切り替えるという、苦肉の策で対応するところもあるようです。 ◆政府の規制拡大 この法律の問題は、規制する具体的な内容が政府の命令で決められるというところで、今回対象となったプラスチック製品12品目は今後拡大する可能性大です。 罰金の対象となる「5トン以上」も、法律ではなく、政府が決めています。 法律を通すのは時間がかかりますが、政令は法律に決められた範囲内ならば、政府の指先一つでルールが決められます。 ちなみにレジ袋有料化の際にレジ袋製造大手企業は、有料化前後で売上高が激減し、今年の1月に希望退職者を募るという報道がありました。 今回、プラスチックという素材が対象となると、業界や日本の産業、消費活動にもレジ袋とは比較にならない影響があるでしょう。 他にも同法律は、プラスチック削減の確認するために企業に報告を求めたり、倉庫や事務所に立ち入り、帳簿や書類などを検査することができます。 このような政府が経済を強く規制するようなやり方は警戒が必要だと思います。 ◆炭素全体主義 日本で消費した原油のうち、プラスチック生産に使われたのはわずか2.7%で、ほとんどは、自動車や火力発電所で使われています。 ちなみに、2019年の日本の温室効果ガスの内訳を見ると、農林水産業によるものが3.9%あり、その内訳は牛などのメタンガスを含むゲップ(家畜消化管内発酵)です。 原油比2.7%のプラスチックで規制するなら、農林水産業を対象にして、ゲップが少ない牛への品種改良を義務付けて、ゲップの量を報告させる新しい法律ができても文句は言えません。 つまり、地球温暖化を名目に、国民の自由をどんどんと縛ろうとする「炭素全体主義」と言うべき動きが進んでいるわけです。 これが、「プラ新法」の正体と言えます。 ◆壮大な無駄 こうした法律は、無駄な仕事をどんどん増やしていきます。 「プラ新法」の運用のめに、監査や立ち入りなどをする人員が増え、事実上、環境省の雇用対策のための法律ではないかと言わざるを得ません。 また今回の法律と合わせて、「グリーンライフ・ポイント」なる環境配慮の行動にポイントを与える制度が4月から始まり、101億円の予算が投じられます。 更に、この法律に対応するための設備投資や実証実験に今年と昨年の補正予算で136億円が費やされています。これも壮大な無駄でしょう。 以上、今回は脱炭素の観点から、プラスチック新法の問題点を述べました。次回は「海洋ゴミ削減」の観点から見ていきたいと思います。 すべてを表示する « Previous 1 … 8 9 10 11 12 … 25 Next »