Home/ 表奈就子 表奈就子 執筆者:表奈就子 幸福実現党・東京都本部江東地区代表 HS政経塾第5期卒塾生 「私たちの命や暮らしを支える」原発の大切さ――北海道大停電から学ぶエネルギーのあり方 2018.09.26 「私たちの命や暮らしを支える」原発の大切さ――北海道大停電から学ぶエネルギーのあり方 幸福実現党 東京都本部江東地区代表 HS政経塾第5期卒塾生 おもてなつこ ◆北海道地震に伴う大停電 9月6日の「平成30年北海道胆振東部地震」で、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。 また、現地の皆様や、復旧に尽力しておられるすべての方の安全をお祈り申し上げます。 今回のテーマは、地震当日に起きた北海道の大停電についてです。 地震の影響で道内全域が一時停電(ブラックアウト)する、日本初の由々しき事態となりました。 なぜこのようなことが起きたのでしょうか? 原発を止めて火力発電のみに頼っていたことが、大きな理由です。 ◆今回の停電の仕組み 今回の停電の仕組みを説明します。 道内全域の電力需要量(約310万キロワット)のうち、約半分を担っていた苫東厚真火力発電所の近くで、震度7の地震が発生。揺れを検知し同発電所は緊急停止。北海道全体で電気の供給能力は半分になりました。 地震に遭われた住民の方々は、照明やテレビをつけ地震情報を確認しようとし、普段よりも電力需要が増しました。 電気は、需要に対して同じ量を同時に発電しなくては、送電することができません。 半減した供給能力では、増加した需要の負荷に耐えられず、ブラックアウトを起こしてしまったのです。 一方、苫東厚真火力発電所より供給量の大きい、北海道の泊原子力発電所(現在停止中)は、強固な岩盤に直付けされた、耐震性の強固なつくりです。(原子力発電所には、一般の建築物より厳しい耐震性が課せられています。) 「今回の地震では泊原発も外部電源を失った」と報じたメディアもありますが、外部電源が途絶えたのはブラックアウトによるものです。それも、すぐに非常用電源が立ち上がっており、安全性に問題はありませんでした。(※1) 東日本大震災後、国内の原子力発電所は、そのほとんどが運転を停止していますが、泊原発が稼働していれば、苫東厚真の火力発電所が停止しても、原発の出力で補えていた可能性が高いのです。(※2) ◆必要な視点「エネルギーミックス」と「バックアップ電源」 電力は、社会の基盤中の基盤です。 様々な発電方法やバックアップの発電所で、供給が滞らないよう調整されています。 たとえば太陽光などの再生可能エネルギーは、季節や天候によって発電量が左右され、需要に対する供給の調整ができないので、バックアップとして、出力調整が可能な火力発電所などが準備されなくてはなりません。(※3) これまでは、出力の大きい原発が稼働し、もし原発が止まった場合にも、古くなって引退した火力発電所などがすぐさま稼働して不足分を補う、という形になっていました。 「3.11以降、全国のほとんどの原発が停止した後は、上記の『非常時の体制』がずっと続いていた」と言えるでしょう。 ◆原発がない体制の危険性は、ずっと指摘されていた 反原発の根拠として、「原子力発電なしでも電気は足りているではないか」という主張があります。 それに対して、心ある電力関係者各位は、次のように訴えてきました。 「それは、本来バックアップだった電源が代わりに稼働しているからだ。もし電力需要が増えれば、出力が足りなくなる危険性がある。供給能力には常に余分なゆとりが必要なのだ。『原発なしでも電気は足りる』と、安易に考えるのは危険だ。」(※4) 彼らが訴えていたことの意味が、今回のブラックアウトで理解できたのではないでしょうか。 ◆原発のデメリットを克服する様々な施策 原発反対の方からは、原子力廃棄物の処理を問題視する声もありますが、廃棄の技術は年々向上しています。 ロシアなどでは、廃棄物の有害度を下げる期間が100万年から300年と、1/330に短縮され、廃棄物量も1/7に減る「高速炉」の研究が進められています。(※5) また、万一の事故時でも放射能漏れを防ぐ「フィルタベント」の開発も進められています。 原子力エネルギーは密度が高く、原子炉に燃料を入れたら4~5年程度は発電し続けますし、大量の電気を作れます。 エネルギーを作り出す資源が極端に少ない日本(エネルギー自給率4%)にとっては、ありがたい存在なのです。 関係者の方々は、原子力にもデメリットがあることを認め、それでも日本にこの能力が必要だと考えるからこそ、技術を向上させデメリットの縮小に努めています。 「地震を起こす活断層が近くにないことを証明せよ」と、電力会社に無理難題を求める原子力規制委員会や、「原発の放射能で人の命を危険にさらすな」と反原発を訴える方々は、「原発が動いていないことで、生命や生活を危険にさらされる人がいること」に対し、責任を持つべきです。 幸福実現党は、適正に安全性の確認された原子力発電所の再稼働は、我が国の人々が幸福に暮らしていくために必要だと、これからも訴えてまいります。 【幸福実現党】 ・平成30年北海道胆振東部地震 被災者支援募金開始のお知らせ https://info.hr-party.jp/2018/7132/ ・幸福実現党政務調査会エネルギー部会 原子力規制員会に「原子力規制行政の適正化を求める要望書」を提出 https://info.hr-party.jp/2018/7189/ ※1 奈良林直(東京工業大学特任教授)2018.9.12「全道停電は泊原発の停止も一因」 国家基本問題研究所. https://jinf.jp/feedback/archives/23439 ※2澤田哲生2018.09.07「北海道地震、未曽有の大停電は菅直人にも責任がある」 IRONNA. https://ironna.jp/article/10652?p=1 ※3 日本のエネルギー‐2017年度版‐ 経済産業省・資源エネルギー庁 http://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/pdf/energy_in_japan2017.pdf ※4 澤昭裕(2012)『知らないではすまされない、エネルギーの話』WAC. ※5 関西電力HP. 「カリスマ講師細野真宏の 世界一わかりやすいエネルギーの授業」 http://www.kepco.co.jp/energy_supply/energy/teaching/index.html 【参考文献・記事】 ・The Lierty Web 2018.9.8「台風21号と北海道地震は『脱原発』への警鐘か!?【ザ・リバティキャスト#15】」 https://the-liberty.com/article.php?item_id=14861 ・The Lierty Web 2018.09.09「北海道大停電は全国で起きる 特定の火力発電所に依存する構図は全国共通」 https://the-liberty.com/article.php?item_id=14864 ・ 櫻井よしこ・奈良林直(2017)『それでも原発が必要な理由』WAC. 移民を受け入れ、豊かで魅力ある日本にするために 2018.07.13 移民を受け入れ、豊かで魅力ある日本にするために 幸福実現党・東京都本部江東地区代表 HS政経塾第5期卒塾生 表なつこ ◆減り続ける日本人と、増える国内の外国人 今月11日、総務省が人口動態調査を発表しました。 それによると、2018年1月1日現在の日本人の総人口は、前年より37万4055人減の、1億2520万9603人(0.3%減)です。減少幅は過去最大です。 年齢別では、労働力とみなされる「生産年齢人口」の15~64歳が、初めて全体の50%台に突入しました。 対して、日本人と外国人の合計に占める外国人の割合は増加の一方で、外国人を調査対象に加えた2013年以降で最高の249万7959人となりました。 国内では、人手不足に悩む企業が、海外からの技能実習生や留学生を雇う動きが広がっています。(※1) ◆「外国人材は移民ではない」? 日本の矛盾 先月15日、政府は「経済財政運営と改革の基本方針2018(骨太の方針2018)」を閣議決定しました。 「外国人材の受入れを拡大するための新たな在留資格をつくる」など、外国人材の受け入れを今後も進める方針が明記されています。 ですが同時に、その受け入れ拡大について「移民政策とは異なるものとして」という文言が入っています。 政府は、「労働力として外国人材は受け入れるが、これは移民政策ではない」と主張しているのです。 しかし、国連の定義では、移民とは「通常の居住地以外の国に移動し、その国に12ヶ月以上住む人」とされています。 「移民政策ではない」と政府が言う理由は、政権支持層の多くが移民反対派だからだ、などと指摘されています。 移民政策に詳しい多くの有識者からは、「事実上の移民政策なのに、単なる『労働力』としてしか外国人材を見ていない」「定住を前提にするべきだ」という批判や提言が出ています。(※2) 定住が認められた移民は国内で旺盛に消費してくれますが、認められない外国人は消費を抑えて母国にお金を持ち帰ろうとするために、日本経済への貢献があまり期待できない、という指摘もあります。 ◆他国の失敗・成功事例に学ぶ ここで、ドイツ(大きくは欧州)の移民政策の事例を見ていきたいと思います。 ・失敗(1)定住を想定せず受け入れた 1950年代~70年代、ドイツは深刻な労働力不足に陥り、「ゲストワーカー」という短期の外国人労働者を受け入れましたが、人手不足の常態化によって、外国人労働者は家族を呼び寄せドイツ国内に定住していきました。 しかし、ドイツ政府は「彼らは移民ではない」というタテマエを貫いたため、法的な保護を受けない中途半端な立場の移民が増加しました。 ・失敗(2)「多文化主義」をとりすぎた 今度は、移民の言語や文化を尊重するリベラルな「多文化主義」がとられました。 しかしその結果、移民は自分たちのコミュニティを作り、受け入れ国となじもうとしない、社会の断絶が生まれてしまいました。 ・成功事例 以上の反省から、現在は、「インターカルチュラル(異文化間交流)」政策がとられるようになっています。 これは、移民コミュニティと受け入れ側のコミュニティの間で積極的に交流を行い、相互理解を深めるところが特徴です。 また、移民のもたらす新たな文化を、地域活性化のテコにしようと考える点も特徴的です。 ドイツでは、母国で取得した資格がドイツでも有効、ドイツ語能力の強化支援、生活面のカウンセリング、移民の起業支援などの、社会統合政策がとられています。 異文化間交流が進んでいるイタリアのレッジョエミリア市副市長は、「自分たちと彼ら」ではなく、「われわれレッジョエミリア市民」という一体感が大事だ、と語っています。 また、おもしろい事例としてカナダでは、求める移民の人材像を各州が明確にし、それに合った基準や項目を設けて移民を公募しています。 オンライン上の事前審査で、移住の可否と、申請者に適応した移民プログラムが提示されるそうです。 ◆移民受け入れマインドの醸成を 以上のような他国の事例を見ると、「移民ではなく労働者」という扱いのまま、彼らの母国文化や日本での暮らしのことを考えないでいると、日本もドイツなど欧州がたどった失敗を踏襲してしまいかねない恐れがあります。 日本には、1995年の阪神淡路大震災から生まれた、多文化共生という取り組みがあります。 在外外国人に震災時の支援をすることから始まり、今では多くの自治体がこの取り組みに基づき外国人住民との共生を進めています。 移民は、日本の成長に必要だから来てもらうものです。 移民の受け入れは、親日国から段階的に進めていくべきであり、なし崩し的に受け入れるのでは将来に不安が残ります。 外国人に国内で労働してもらうのなら、日本は腹を括って、「一緒に、豊かで魅力ある日本をつくろう」と、受け入れのマインドをつくるべきではないでしょうか。 【参考文献】 毛受敏浩 (2017)『限界国家』 朝日新書 ※1朝日新聞デジタル2018年7月11日「日本人37万人減、総務省人口調査 外国人は最大の増加」 https://www.asahi.com/articles/ASL7C4DZ0L7CUTFK00C.html ※2 ・ハーバービジネスオンライン2018年6月20日「安倍政権による事実上の移民受け入れ宣言 『骨太の方針』の『骨なし』っぷり」 https://hbol.jp/168632 ・西日本新聞2018年6月18日 「外国人就労拡大『定住前提に支援を』 教授に聞く政府方針の課題」 https://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/425498/ ・現代ビジネス2018年6月13日「日本政府はなぜ『移民政策ではない』という呪文を唱え続けるのか」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56081 2020年以降、発展していく日本をつくるために 2018.04.29 2020年以降、発展していく日本をつくるために 幸福実現党・東京都本部江東地区代表 HS政経塾第5期卒塾生 表なつこ ◆東京オリンピック開催まであと816日 2020年東京オリンピックの開幕まで、あと816日となりました。(2018年4月30日現在) 今回は、2020年をポイントに、日本経済について考えてみたいと思います。 今から2020年までの二年間は、政府による2016、2017年の財政出動の影響とオリンピック関連需要の効果で、比較的景気の良い状態になると予想されています。 ですが、オリンピック後は需要の減少のため、過去の開催国では、好景気を維持できた国がほとんどありません。 それでなくとも、日本は1000兆円に及ぶ政府の借金や年金問題など、国内経済の未来に不安が尽きません。 2020年の後も日本を好景気にしていくための取り組みが、大きな課題なのです。 そこで、東京オリンピックをきっかけにもう一度景気を良くすることを目指すと同時に、世界に発信できる中身をつくっていくことが必要だと考えます。 ◆景気を良くするために まず、景気をはかる「潜在成長率」について説明します。 潜在成長率は、その国の成長度合いを計算する指標であり、 (1)企業の設備(資本) (2)労働力 (3)企業の技術進歩や効率化による生産性 という三つの要素から成り立ちます。 ですが、他の先進国と比べても、日本は長らくこの潜在成長率が低いままです。 なぜなら、資本に関しては、長引く不況で経営陣が慎重になっており、企業の内部留保は高いのに設備投資が進んでいないからです。 労働力も、日本は人口減少の状態で、簡単には増加しません。 したがって、(3)の「企業の技術進歩や効率化による生産性」を上げること、つまり、労働に付加価値をつけることが最後の手段になってきます。 実際に、人口は減っていても成功している地域や企業はたくさんあります。(※1) 要するに、景気上昇のためには、生産性を上げるような創造性が不可欠ということです。 行政には、個人の創造性や社会のニーズに対応し、変化していくことが求められます。 個人においては創造性を発揮し、仕事の付加価値を上げることが必要になります。 例として挙げられるのは、1964年東京オリンピックの際の、新幹線の開通や、後のファミレスにつながるセントラルキッチン方式の食事提供などです。 速さ、大量生産などの付加価値で、社会のイノベーションが起こりました。 また、オリンピック後に景気が後退しなかった1996年アトランタオリンピックの際は、IT革命という、オリンピックとは無関係のところで起こったイノベーションが、景気上昇を担ったと言われています。 ◆他国に語るべき中身をつくるために 日本は長らく世界第二位の経済大国であり、世界的に発言権はあったにもかかわらず、他国に語るべき内容を持っておらず、「エコノミックアニマル」と揶揄された時期もありました。 語るべき精神性のない経済成長では他国に見下される、ということを経験したのです。 他国に見下される状態では、安全に問題が起きます。 今、北朝鮮問題など日本を取り巻く国際環境は危機的な状況にあるため、日本の安全保障を考えることが何にもまして重要です。(※2、※3参照) 国内の創造的な活動によって景気が回復し、内閣支持率が高い数字で安定すれば、憲法9条改正に向けた議論にも取り組みやすくなり、日本の安全が向上するというメリットも考えられるでしょう。 そのために思い出していただきたいのが、日本をつくってきた歴史的偉人の存在です。 日本の未来のために警鐘を鳴らす行動をし続け、斬首刑になるも、志を継ぐ維新の志士を多く生み出した吉田松陰。 薩摩と長州という、反目しあっている勢力を結びつけて江戸の無血開城を実現し、近代日本の幕を上げた坂本龍馬。 経済という面では、貧しいながらも、自分で育てた菜種を収入源に、買った油の灯りで勉強し続け、いくつもの藩の財政再建を成し遂げた二宮尊徳などもいます。 どの偉人たちも、その行いの動機には「将来の多くの人の幸福をつくる」という利他の思いがありました。 ◆自分たちで切り拓く力強い未来ビジョンを持とう 私たちは、景気を良くしていくための行動の中に、精神性を入れなくてはいけないと考えます。 それは例えば、自国の偉人たちから学べる「多くの人の幸福を願って信念を貫く」という精神や、「国を良くしていくのだ」「悪事を考える国を増長させてはいけないのだ」という気概だと思います。 武力をもって侵略的態度をとる独裁国家に負けないよう、東京オリンピックの成功をめざし、その後も好景気の明るい未来を、自分たちで力強く切り拓く日本にしてまいりたいと思います。 【参考文献】 岸博幸 (2018)『オリンピック恐慌』 幻冬舎文庫 ※1 The Liberty 2018年5月号「人口が減っても客は増える」 https://the-liberty.com/article.php?item_id=14264 ※2 JBpress 2018年4月25日 小森義久「北朝鮮に騙されるな! 核兵器開発は完了した」 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52937 ※3 朝鮮半島の非核化――対話だけでは解決できない(前編) http://hrp-newsfile.jp/2018/3339/ 朝鮮半島の非核化――対話だけでは解決できない(後編) http://hrp-newsfile.jp/2018/3341/ 核シェアリングによる自国防衛 2017.09.23 核シェアリングによる自国防衛 幸福実現党・東京都本部江東区代表 HS政経塾第5期卒塾生 表なつこ ◆日本上空核ミサイル通過の可能性 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は9月22日、アメリカのドナルド・トランプ大統領の演説に対抗する形で、異例となる国家最高位の「国務委員長」名義での声明を発表しました。 これを受けて北朝鮮外相は、太平洋上での水爆実験の可能性に言及しました。 専門家は、北朝鮮が核ミサイルを撃ち、太平洋上空で爆破させる可能性を指摘しています。その場合は、北朝鮮の核ミサイルが、日本の上空を通過することになります。 日本は主権国家として、北朝鮮のこれ以上の暴挙を許してはなりません。 ◆日本がしなくてはならないこと 幸福実現党は、2009年に行われた北朝鮮のミサイル発射を受けて立党し、8年間継続して、日本政府に対し国防の必要性を訴えてきました。 今年に入ってからは、緊迫の度合いを増す北朝鮮情勢を受けて、核シェルター設置要請なども含んだ「北朝鮮のミサイルに備えた避難訓練等の実施を求める陳情書」を全国各地の自治体に提出するなど、国民一人ひとりの命を守るための具体的活動を、各地で展開しています。 今の国際情勢を踏まえて日本がしなくてはならないことを、簡単に二点挙げたいと思います。 (1)国民保護の徹底 まず、有事の際に命を守る備えをする事です。今の状況では、いつ、北朝鮮のミサイルが日本に着弾するかわかりません。 スイスでは、災害や戦争、侵略という危機的事態が起こった時、国民が自分の身を護れるように、政府が国民に『民間防衛』という本を配布しています。 日本でもあらゆる事態を想定し、前述した「避難訓練の実施」や「核シェルター」設置に関する法制化などを進める必要があります。 (2)核装備の検討 核兵器は非人道的兵器であり、廃絶することが理想です。 ですが、「核に対抗できるのは核しかない」ということも事実です。 内閣法制局の見解では、日本でも核兵器の保有は否定されていません(※1)。昨年3月の内閣法制局長官の発言で覚えていらっしゃる方も多いと思います。 ただし核兵器保有に関しては、国際条約の縛りがあったり(※2)、国内の法律に反したり(※3)するため、既存の法律との整合性から、日本が自前で開発・配備するには時間がかかると考えられます。 そこで、現時点で日本が自国防衛のための核装備をする方法として挙げられるのが、アメリカとの「核シェアリング」です。 ◆ 核シェアリングとは 核シェアリングは、現在、アメリカとNATO内のベルギー、ドイツ、イタリア、オランダの間で結ばれている条約で、アメリカはこの4か国と核兵器をシェアしています。 シェアされた国は、米軍の核作戦計画策定への参加や、核関連情報の共有が認められます。また核兵器運用について米軍と共同訓練をし、有事の際にはアメリカの合意のもと核兵器の使用権を譲り受けることになります(※4)。 日米間でも、この核シェアリング実現に向け検討作業を進めるべきでしょう。 まずは「非核三原則」を撤廃すること、そして相手国の国土に届く武力を持たない現状を改善し「敵基地攻撃能力」を保有することが必要です。 ◆自分の国は自分で守れ 幸福実現党は、一貫して北の脅威を訴え続けてきました。 しかし日本政府は、北朝鮮という、国家的命令によって日本人を拉致し自国民を虐げてでも核の力を手に入れようとする隣国に対して、有効な手を打たずにきました。 そして今、日本がこのような危機的状況にあるにもかかわらず、自らの政治生命を優先する政治家によって衆議院が解散され、政治的空白が生まれようとしています。 私達幸福実現党は、北朝鮮のような人権を踏みにじる独裁国家が、核兵器で他国を恫喝し、国際社会で地位を得ようとすることを、断じて容認できません。 また、本当に有効な手段を打たず、パフォーマンスとごまかしだけで日本の状況を悪化させていく今の政治のあり方も、断じて変えなければならないと考えております。 幸福実現党は、この国の未来に責任を持ちたいと強く思います。どうか皆様のご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。 ※1 否定されていない理由は、国連憲章51条で、各国には「固有の個別的および集団的自衛の権利」があるとされているからです。「自衛のための必要最小限の武力=核兵器、という判断なら、自衛のためなので持ってもOK」と解釈されます。 ※2 国連常任理事国以外に核を持たせることを禁じた「核拡散禁止条約(NPT)」や「日米原子力協定」など。 ※3 日本の核利用を「平和利用」のみに限った「原子力基本法」など。 ※4 参照:郷友総合研究所編『日本の核議論はこれだ』(展転社、平成21年) 現在の世界情勢から見る日本の現状 2017.08.01 現在の世界情勢から見る日本の現状 幸福実現党・東京都本部江東区代表 HS政経塾第5期卒塾生 表なつこ ◆北のミサイル発射で緊迫する国際情勢 7 月 28 日深夜の北朝鮮による弾道ミサイル(ICBM)発射を受け、トランプ米政権は、国連安全保障理事会において、金正恩氏に資産凍結などの制裁を科すことを検討しています(※1)。 今回のミサイルは、通常の軌道で発射すればアメリカに届く飛距離だと分析されています。さらに米国防情報局(DIA)は、北朝鮮が核弾頭搭載可能な弾道ミサイルを来年には配備できるようになると、見通しを前倒ししました(※2)。 これにより、北朝鮮による「米国の心臓部への核攻撃」が、現実に迫ってきています。 今回は、緊迫する国際情勢の中で日本がどういう状況にあるのか、簡単に整理してみたいと思います。 ◆中国、ロシアの現状 北朝鮮は、朝鮮戦争の際、当時のソ連と中国共産党が支援して誕生した国だと言えます。 中国はアメリカに対し、北朝鮮に経済制裁を行うことを約束しましたが、その後も貿易を続け、中朝間貿易は本年度第1・四半期に約40%増加しました。経済的に北朝鮮を支援しているということです。 中国にとって北朝鮮とは、いくら核開発を行っていても自分たちが統制できる関係ならば、日韓への抑えやアメリカとの緩衝地帯として機能する、有益な同盟国です。この関係はよく「歯と唇」に例えられます。 そして、北朝鮮を放置して、中国は着々と軍備を拡大しています。また経済的には、ユーラシアを東西に貫く経済圏「一帯一路」構想や、香港から紅海への海上交通路「真珠の首飾り」確保実現に向けて、アジアやアフリカへの投資を拡大させてきました。 ですが、投資先のスリランカなどは巨額の融資を返済しきれず、中国の意向に従うほかない状況になっているといいます(※3)。また、「文化大革命」や「天安門事件」、最近ではノーベル平和賞を受賞した民主活動家・劉暁波氏の投獄など、人権への弾圧が行われている国でもあります。 長らく不凍港を獲得することが悲願の、現在のロシアにとっては、朝鮮半島に影響力を持つことは国益に適います。(一年を通して凍らず使える港があれば海上覇権を築くことや貿易にも有益です。)ましてや、クリミア問題に端を発して欧米との関係が悪化している現状では、影響力を行使できる他国を持ちたいのはなおさらでしょう。 これら二国は国連の常任理事国ですが、北朝鮮への制裁には常に慎重姿勢を示し、拒否権を発動してきました。このため、北朝鮮への対応で国際社会の足並みが揃うことはありません。 この二国の反発があるまま北朝鮮へ制裁を行うと、中国やロシアとの戦争になってくる可能性もあるからです。 ◆アメリカの現状 冒頭で申し上げた通り、来年には北朝鮮がアメリカを核ミサイルで狙える未来がやってくる可能性があります。そうなった場合には、北が核で脅せば、アメリカも日本も何もできずに降伏するしかなくなるとも考えられるのです。 したがって、核開発を加速させる北朝鮮を止めるには、時間的に今が「最後のチャンス」です。北朝鮮の軍事施設を狙い、「短期」かつ「大規模」な攻撃を行って、相手の戦意を喪失させることが必要な時期に来ているのです。 ただし、その前に考慮せねばならないことはたくさんあります。 現在、トランプ大統領の支持率は36%です。大統領就任後6カ月の時点での支持率としては、戦後歴代大統領で最低となっています(※4)。 多くの国民の支持が得られていないこの状況で、北朝鮮に対する攻撃を断行できるか。また、ミサイルは同時に全部破壊できない可能性が高いので、反撃を受ける可能性もあるが、距離的に韓国や日本、ハワイなどを攻撃できる北朝鮮に対して、武力を用いる決断ができるか。こういった決断を迫られている面があります。 ◆私たち日本がこれからすべきこと 日本としても、北朝鮮を止めるにあたって中国やロシアにまで飛び火しないよう、「短期」で終わらせる協力をする必要があります。 以上の状況を考えると、同盟国のアメリカとは引き続き協力し、日本としてもできることは行うべきです。 私たち幸福実現党は、第三の「原爆による悲劇」を防ぐために、現状では日本も核を持つ必要があると考えます(参照:2017.07.29 HRPニュース「北朝鮮の弾道ミサイル発射――政治家に国民を守る気概はあるか?」http://hrp-newsfile.jp/2017/3238/)。それはただ単に戦って人を殺すためにだけあるのではなく、「相手を説得するための一つのバックボーン」になるものだからです。 幸福実現党は宗教政党なので、すべての人が本来は神仏に愛された存在だと考えます。人が各々個人の幸福を侵害することなく、自由な活動を行いながらも、それぞれが自分の属する国や社会の成功も大切にできるような世界を目指しています。 そのために、自国の防衛についても責任を持って主張し、断行し、相手を説得する勇気を持つ必要性を、政治家や日本の皆様に訴えていきたいと考えます。 (※1)2017年7月31日付産経新聞8面 (※2)2017年7月27日CNN.co.jp https://www.cnn.co.jp/world/35104883.html (※3)大紀元「スリランカ、中国「負債トラップ」が露呈 財政難に」 http://www.epochtimes.jp/2017/07/28087.html (※4)ABCニュースとワシントン・ポストの共同調査(7月10日~13日に実施)東洋経済オンライン2017年07月18日 http://toyokeizai.net/articles/-/180856 東京都は豊洲移転を決断し、有事から繁栄国家・日本を守れ 2017.04.25 東京都は豊洲移転を決断し、有事から繁栄国家・日本を守れ 幸福実現党東京都本部江東区代表・HS政経塾第5期卒塾生 表なつこ ◆豊洲移転延期で100億円を浪費する首都・東京 豊洲市場の移転延期に伴って東京都が負担する税金が、現時点で既に100億円近くに上っていることが、18日の都議会特別委員会の審議でわかりました(※1)。 豊洲市場が開場するはずだった昨年の11月7日から、今年4月18日までの約半年間に、業者への移転支援に約18億円、豊洲市場へ約18億円、築地市場へ約8億円の税金がかかり、また、移転延期に伴う市場関係者への補償金として50億円の都税が計上されています。 この補償金の支払いは4月中にも開始されるそうです。 以上を合計して約100億円。さらに市場関係者への補償金は、今後ふくらんでいくとも予想されています。 ◆豊洲市場の安全性、経済性はどうか? 豊洲市場の安全性が法的基準を満たしていることは、小池都知事も認めています(※2)。 環境省が作った土壌汚染対策法の解説書には、「土壌汚染があったとしても、摂取経路が遮断され、健康リスクが管理されていれば私たちの健康に害はない」とされています(※3)。 地下水は市場で使いませんし、土壌はむき出しになって飛散しないように対策がされており、人体に摂取されることはないため、豊洲市場の安全性は保たれています。 豊洲へ移転すると100億円の赤字、とも言われていますが、これは建設費を毎年分割払いするような形の「減価償却費」が含まれているので、会計上赤字になるのは当然と指摘されています。 もっとも、経済効果を上げていくためには、各業者の企業努力が必要になることは言うまでもありません。 ただ、豊洲はIT環境も整えられており、工夫によっては、海外などこれまでになかった販路を拡大できる可能性も高いでしょう。 公営の市場という形ではなく、民営化の可能性も視野に入れ、市場の運営に民間活力を活かすことも考えるべきではないでしょうか。 築地市場改修には当の築地の業界団体からも激しい批判があるのですから、小池都知事と東京都は豊洲への移転を速やかに決定すべきでしょう。 ◆都道府県知事の責任で行う国民保護 国際情勢を考えても、今はこのような問題で内政に時間を割いている時局ではありません。 国連決議を無視してミサイル発射と核実験を繰り返す北朝鮮に対して、トランプ米大統領が北朝鮮への軍事的圧力を強めることによって、北朝鮮はさらに攻撃的な言葉で対応しており、武力攻撃の緊張感が高まっています。 民間人に化学兵器を使用したシリア軍に対し、正義の観点から攻撃を行ったトランプ大統領なので、朝鮮半島有事が起こらない可能性は否定しきれません。 万が一にも日本が攻撃を受けた場合は、国民保護法に基づいて住民保護の措置を実施するのは各都道府県とされています。 これまで、地方自治体による災害やテロに際しての避難訓練は行われてきましたが、日本がミサイルや爆弾を落とされた場合の避難訓練が実施されたのは、秋田県男鹿市の1市のみです。 国家運営の中枢は、首都・東京に集中しています。日本を守るために、東京都としても早急にミサイルを想定した避難訓練を実施すべきでしょう。 豊洲の移転延期問題や国内の政局の行方などに、必要以上の時間や労力をつぎ込むより、急いですべきことがあるはずです。 ◆東京都は豊洲移転を決断し経済成長を目指すとともに、都民に安全保障の考えを醸成すべき 冒頭で申しあげたとおり、報道されているものだけでも100億円の税金をムダにしている、長引かせすぎの移転延期問題は、早々に移転へと舵を切るべきです。 出来上がっている豊洲市場を、今後どのように発展させていくべきかを、運営の民営化なども含め、未来志向で、衆知を集めて考えるべきです。 また、変動激しい現在の国際情勢を乗り切るために、日本を支える首都・東京という地方自治体は何をすべきなのか、各地方自治体の手本となるような取り組みをしていただきたいと思います。 今こそ、「国を守る」ということの意義に、多くの方々に気付いていただくことができる時です。 幸福実現党東京都本部は、日本全体をよりよき方向へリードする首都・東京を創ってまいります。 【参照】 (※1)4月18日日テレNEWS24 (※2)3月17日日経新聞http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG14H7B_U7A310C1CC1000/ (※3)Wedgeinfinity築地移転問題が改めて示した「ゼロリスク」の呪縛中西準子(産業技術総合研究所名誉フェロー)http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9429 緊迫する北朝鮮情勢――日本はよりリアルな国防を 2017.03.07 HS政経塾 第5期生 表 なつこ ◆またしても北朝鮮が日本海に向けてミサイルを発射 先日3月6日朝、北朝鮮がまたも日本海に向け弾道ミサイルを発射しました。4発のうち3発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に、残りの1発もEEZ付近に着弾しました。 安倍晋三首相は、今回の発射で北朝鮮が新たな段階の脅威になったと述べました。 今回のミサイル発射の理由は、(1)今月1日から行われている米韓合同軍事演習への対抗、(2)アメリカのティラーソン米国務長官が、北朝鮮の核・ミサイル問題を「差し迫った脅威」と認識し、日中韓との連携強化を目的として各国を訪問することに対するけん制、の二点があると言われています。 ◆北朝鮮の国際的環境は悪化 各国の北朝鮮への視線は厳しさを増しています。 北朝鮮は、先月12日の日米首脳会談直後にもミサイルを発射しました。日米をけん制する狙いだったと考えられますが、かえって両国の結束と対北朝鮮への強硬姿勢を強めました。 また、同13日には金正男氏暗殺の報せが世界に衝撃を与えました。暗殺の現場にされたマレーシア政府は北朝鮮との国交を断絶する動きも見せています。 ひいては、北朝鮮と比較的友好的関係にあった東南アジア諸国も北朝鮮の扱いを見直す議論を始めています。 またこの事件を受けて、トランプ大統領は北朝鮮をテロ支援国家に改めて指定する検討を始めていました。 ◆北朝鮮内部も情勢悪化 一方で北朝鮮内部も混乱していると見られます。 金正男氏殺害の容疑者と見られる複数の人物が所属している、北朝鮮の国家保衛省(政治警察)において、5人以上の幹部が高射銃で処刑されたと、先月27日に韓国の国家情報院が明らかにしました。 人民は金正恩氏に忠誠心を持っておらず、体制に不満を持つ高官の脱北が相次いでいます。末端の地方保衛部員らは、現政権崩壊後に自分たちが人民にリンチされることを恐れている、といいます。(参照:西岡力 http://ironna.jp/article/3960) ◆トランプ政権の対北政策 トランプ大統領は2月23日、ロイター通信のインタビューで、大統領就任後初めて核戦力について明言し、「私は核のない世界を誰よりも見たいと思っている。しかし核保有国があるなら、核について他国に劣るつもりは決してない」と、核戦力増強の意向を示しました。 このインタビューの中で北朝鮮については「非常に怒っている」、金正恩委員長との直接会談の可能性については「遅すぎる」と語りました。 アメリカは、北朝鮮のミサイルから韓国を防衛するために、年内に地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)を在韓米軍に配備する予定ですが、THAADの迎撃の精度は不透明であるため、北朝鮮がミサイル発射実験をしようとした際に軍事施設を攻撃するほうが確実性は高いと考えています(3月4日付日本経済新聞)。 また、アメリカは金正恩委員長を別の指導者にすげ替える構想も検討しています。 ◆日本はどうするか アメリカは現在の北朝鮮の混乱状態から、核実験や弾道ミサイルの発射を一段と予測しにくくなったと認識しています。 この度(3月6日)のミサイル発射も、事前予告もなく日本の排他的経済水域に着弾しており、「漁船等が操業している可能性もあり、きわめて危険な行為」(3月6日安倍首相発言)です。 日本では現在、この北朝鮮情勢の悪化を受け、危機が差し迫った際には相手国のミサイル攻撃基地を先制攻撃できる「敵基地攻撃能力」の保有を検討しています。 これは国際法上も認められている能力であり、先に紹介した「THAADよりも軍事施設攻撃の方が精度は高い」というアメリカ側の考えにも一致するものです。 ただ、憲法9条の解釈から、国防のあり方を「専守防衛」と規定してきた日本はこの能力を持たずにきたため、実現には5~10年かかるとされています。 したがって北朝鮮の暴走から確実に日本を防衛するためには、アメリカの核を日本に配備し抑止力にするニュークリアシェアリング(核共有)などについても、同時並行的に議論し交渉していくことが求められていると言えます。 日本は、緊迫している周辺の国際環境を受け、より現実的に安全保障を考える必要があるでしょう。 現在の国際情勢から考える日本の核装備について 2017.01.17 HS政経塾 第5期生 表 なつこ ◆いよいよ、より自立していくべき日本の国防政策 今月20日、ついにトランプ新大統領が誕生します。 公益財団法人「世界平和研究所」(会長・中曽根康弘元首相)は12日、「米国新政権と日本―新時代の外交安保政策―」を発表し、日本政府に提言しました。 同提言は、トランプ新政権は「より自立した日本を求める可能性が少なくない」とし、日本には「日米同盟を機軸とした政策路線を堅持」し、「独力でできることは可能な限り実行していく」安全保障上の取り組み姿勢が求められるとしています。 ◆「世界平和研究所」の安全保障提言内容 同提言は、核開発を進める北朝鮮と、海洋進出を進め軍事力でアメリカに迫りつつある中国という周辺状況を念頭に、日本の安全保障政策を以下のように提言しています。 ・提言A:国家安全保障戦略と防衛計画の大綱を改定すべき ・提言B:日本は、通常戦力による「反撃能力」を段階的に整備すべき ・提言C:我が国の防衛力を強化すべき 注目したいのは提言Bの「通常戦力による『反撃能力』を段階的に整備すべき」という点です。 提言は、日本が武力攻撃を受けた場合には相手国の基地を攻撃するという「敵基地攻撃能力」を持つことを日本政府に求め、それを国内外に周知させておくことを求めています。 ◆敵基地攻撃に関する政府の認識 政府は、自衛のための敵基地攻撃能力は憲法上認められるという立場です。 1956年には鳩山一郎首相が「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」と、敵基地攻撃を自衛の範囲にあると答弁、2013年には安倍晋三首相も「保有することは現時点では考えていないが、憲法上は許される」と答弁しています。 敵基地攻撃用の打撃力として、日本でこれまで議論されてきたのは主に、(1)GPSで精密誘導される「トマホーク」などの誘導ミサイル、(2)ステルス性のある航空機による対地攻撃、などです。 同提言は、「敵基地攻撃能力」を持っていることを国外にも知らせれば相手国をけん制できるので、いっそう効果的に防衛体制を構築できるとしています。 ◆日本の国防の現状 日本は現在、ミサイル攻撃に対して、これを打ち落とすミサイル防衛システムを採用し、地上配備型の地対空誘導弾「PAC3」を配備しています。ですがPAC3は飛距離が短く、十分な防衛措置ができません。 昨年2月に北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2」改良型を発射したときに、PAC3が対応できなかったことを覚えている方も多いと思います。 稲田朋美防衛大臣は13日、PAC3よりも高高度の目標を迎撃する「THAAD」(高高度ミサイル防衛システム)を米空軍基地で視察し、導入についてはひとつの選択肢として検討したいと述べましたが、同提言はこれ以上の能力を保有することを訴えています。 日本の安全保障環境が悪化するなか、反撃能力保有の具体的検討が進むことは非常に大事であり、よいことだと思います。 ◆核兵器の脅威にはどう対応するのか? ただ、今回の提言で不足している部分があります。 同提言は、トランプ政権下で日本が求められる可能性のある自国防衛の自立の度合いについて考えたものですが、他国が兵器の精度を上げることが想定されていません。 つまり、北朝鮮が核兵器の使用をちらつかせてきた場合の対処です。 「テポドン2」は、実用化されればアメリカ東海岸を射程に収めるものです。これは、現在日本の安全保障上、頼みの綱であるアメリカが、北朝鮮に核で脅される未来もありうることを意味します。 そうなった場合アメリカは日本を見捨てるかもしれません。そのとき自分の国をどのように守るのか、ここを検討する必要があります。 核兵器を使わせないようにするには、核兵器を持ってするしかありません。政府の見解としても、防衛上必要最低限度のものであれば核兵器の保有は禁止されていません。 ◆日本は高尚な誇りを持って核装備を検討せよ 幸福実現党は宗教政党です。過去、広島長崎に落とされた原爆の犠牲者の方々には心から哀悼と慰霊の気持ちを持っていますし、二度と戦争を起こしたくないと考えています。 だからこそ、横暴な振る舞いで国際社会の秩序を乱す国を放置はできません。核兵器の最大の効用は、「相手に核兵器を使わせないようにすること」なのです。 核装備をする国には、高尚な誇りが必要とされるべきでしょう。私たち幸福実現党は、憲法13条に保障されているとおり、国民が生命、自由、幸福追求を阻害されない安全な国をつくります。 また、日本を、「不当な侵略主義から他国を侵略・植民地化させないための平和と正義の守護神」にすることを目指しています。 核兵器のない世界は追求すべきですが、日本の安全と世界の幸福のために日本の核装備を検討する必要性のある時期もあると、重ねて訴えてまいりたいと思います。 日本はトランプ・プーチンと手を結び、強靭なエネルギー政策を確立せよ【後編】 2016.12.11 HS政経塾第5期生 表なつこ 前編では、日本のエネルギーを取り巻く現状をお話ししました。後編では、日露・日米関係から見る、日本のエネルギー政策のあり方についてお話しします。 ◆ロシアとのエネルギー資源外交を強化せよ 幸福実現党は、一貫してエネルギー資源調達の多様化を主張しており、特にロシアからのエネルギー資源の輸入を、現状よりも増やすべきであると考えています。 日本は2014年度に、原油の8.4%、LNGの9.6%、石炭の8.7%をロシアから輸入しています(※1)。現状では1割にも満たないですが、南側のシーレーンを経由しないことから、安全保障上はとても重要な意味を持っています。 ロシアに依存し過ぎると、ウクライナや欧州のような危機が心配になりますが、ロシアから2、3割程度のエネルギー資源を輸入しても、9割を南側のシーレーンに依存している現状に比べて、むしろリスクは低減すると考えられます。また、地政学的な観点からロシアは中国の侵略が大きな脅威であり、日本とは安全保障上の利害がある程度一致します。 今月15日には日露首脳会談が予定されています。現在は、資源・エネルギー開発や都市整備など8分野で、日本とロシアの経済協力に向けた協議が進んでいます。 ただ、ロシアのプーチン大統領は先月20日、日露間で平和条約が結ばれていない状態は「時代錯誤であり、両国関係の発展を阻害している」と述べつつも、「平和条約締結への道は簡単でもない」と語り、北方領土については「国際的文書によって、ロシアの主権が確認された領土だ」と発言しました。また、同22日には、ロシアが北方領土にミサイルを配備したこともわかりました。 以上の事実から、ロシアとの交渉は一筋縄ではいかないことがわかります。 プーチン氏はアメリカの次期大統領トランプ氏と電話で協議し、米露の関係改善で一致しました。 これは日本にとっても、アメリカに配慮しロシアとの関係改善に進めなかった状況を変えられるチャンスと捉えられますが、同時にロシアが日本などの他国を必要とせず世界的立場を回復できる状況になったとも言えます。 日本も強い外交方針を打ち出さないと、アメリカとロシアとの関係が強まり日本の存在感が薄くなる可能性もないとは言えません。今後は、より各国の情勢を読み取る能力と、自国の舵を取っていく外交的手腕が求められることになるでしょう。 ◆トランプに倣い、日本の国益を最優先して強靭なエネルギー政策を ところで、11月にトランプ氏が次期大統領に決定したことにより、アメリカのエネルギー政策は大きな転換期を迎えると考えられます。 トランプ氏は「国内エネルギー生産の拡大」と「エネルギー自給の確立」を掲げ、OPECに加盟する産油国やアメリカに敵対する国からの輸入を不要にすると言っていることから、中東地域へのアメリカの関与が弱まり、不安定になるのではないかとの予測もあります。これが中東にエネルギー資源輸入を頼っている日本にとってマイナスに働くのではないかとの見方もあります。 また、トランプ氏はオバマ政権が進めてきた「地球温暖化対策」のための諸政策を撤回し、その資金をインフラ整備に投資することを公約しています。国連主導の温室効果ガス削減の国際枠組みであるパリ協定を「キャンセルする」と発言しており、紆余曲折は予想されるものの、アメリカのエネルギー政策は、温室効果ガスの削減よりも安全保障と経済成長を優先する方向に抜本的に変わることが予想されます。 日本は、温暖化対策を重視するオバマ政権との外交関係を重視して、厳しい温室効果ガス削減目標を国連に提出し、経済統制によって産業の発展や国民生活を犠牲にしかねない「地球温暖化対策計画」を閣議決定しました。しかし、トランプ氏によって、アメリカのエネルギー政策が安全保障や経済成長を重視する本来の姿に戻ることは必至であり、このままでは日本だけが苦しめられ、国益を犠牲にする結果となるでしょう。 アメリカをはじめとする世界情勢の変化に備える意味でも、日本が今後発展し空前の経済成長を成し遂げる基盤を確保するという意味でも、日本は各国との交渉を有利に進めるタフな外交力を持ち、毅然とした態度で国益を守っていく必要があります。 幸福実現党は、“原発依存度低減”と“地球温暖化対策”を基調とする現行のエネルギー政策を抜本的に見直し、安全保障と経済成長を支える強靭なエネルギー政策の確立を訴えてまいります。 以上 日本はトランプ・プーチンと手を結び、強靭なエネルギー政策を確立せよ【前編】 2016.12.10 HS政経塾第5期生 表なつこ アメリカの次期大統領にトランプ氏が決まり、ロシアのプーチン大統領の訪日も迫るなど、日本を取り巻く国際情勢はますます変化しています。この観点から日本の生命線であるエネルギー政策を考えてみたいと思います。 ◆日本のエネルギー事情と中国の海洋進出 日本のエネルギー自給率はわずか6%(2014年度)で、そのほとんどを輸入に頼っています。全原発が停止していた2014年度の一次エネルギー供給の構成比は、水力・再生可能エネルギー8%、天然ガス25%、石油41%、石炭26%であり、実に92%を化石燃料に依存しています。(※1) その化石燃料は、原油の8割以上、LNG(液化天然ガス)の3割程度を中東に依存しており、これにオーストラリア、インドネシア等からの輸入を加えると、原油・LNG・石炭の9割程度が(※1)、南シナ海など南側のシーレーン(海上交通路)を経由して日本に輸入されています。 ※1 経済産業省「エネルギー白書2016」 現在、南シナ海では中国が一方的に領有権を主張し、人工島を建設するなど軍事拠点化を進めていますが、今後もし中国が南シナ海を実効支配した場合には、日本へのエネルギー供給は、ほぼ完全に中国に支配されることになります。 アメリカは、中国の軍事拡張を問題視し、定期的に米軍の艦船や航空機を派遣する「航行の自由作戦」を行っています。中国は、これに対抗して、「アメリカの介入によって南シナ海の問題は過熱し、複雑・拡大した」とアメリカをけん制、自国を正当化しようとしています。 日本もアメリカや東南アジア諸国と協調して、中国の不当な海洋進出を阻止するために毅然とした対応を取るべきですが、少なくとも日本の安定したエネルギー供給を考えると、このような政情不安定な地域だけに生命線を置いておくべきではないでしょう。 ◆原子力は命綱 そのための方策として、まず、ひとたび核燃料を装荷すれば長期にわたって国内でエネルギーを生産できる原子力発電の比率を、大幅に増やすことです。 日本の発電電力量に占める原子力の比率は、東日本大震災前の2010年度には29%でしたが(※2)、民主党政権の原発停止政策によってゼロまで落ち込み、自民党政権に戻ってからも、原子力規制委員会の厳しい新規制基準により、再稼働がほとんど進んでいないのが現状です。 ※2 電気事業連合会 「電源別発電電力量の推移」 また、原発立地県で原発再稼働に慎重な知事が当選し、再稼働の障害になっています。鹿児島県の三反園知事は川内原発を停止することができず、再稼働を事実上容認しています。 しかし、新潟県の米山知事は前任の泉田知事と同様に原発再稼働に反対の姿勢を崩しておらず、世界最大の原発(総出力約820万キロワット)である東京電力・柏崎刈羽原発が全く動かず、首都圏の電力コストが高止まりする異常事態が続いています。 幸福実現党は、国の安全保障に深く関わる原子力政策に地方の首長が介入することを防止するため、原子力政策への地方の関与のあり方を見直す必要があると考えています。 政府は地方の選挙結果によらず、エネルギー安全保障と経済成長の両面から原発が必要であることを国民に明確に発信し、国の責任において原発の再稼働を進めていく必要があります。 ◆化石燃料も絶対に手放せない しかし、残念ながら、原発を全て再稼働し計画中の原発を新増設したとしても、日本のエネルギー供給には不十分です。電気の約3割が原発で供給されていた震災前の2010年度でも、日本の一次エネルギー供給に占める原子力の比率は、わずか11%しかありませんでした。(※3) ※3 経済産業省「エネルギー白書2012」 これは、エネルギー資源は工業生産の原料や輸送用燃料(国防を含む)など、さまざまな場面で使われており、電気として消費されているエネルギーは一部に過ぎないことが原因です。 経済成長とともにエネルギー消費の「電化」が進む傾向にありますが、最も基本的なエネルギー使用の形態である「燃焼」は、今後数百年経ってもなくならないでしょう。 よって、現在の日本には原油・LNG・石炭など化石燃料の輸入を確保することが不可欠であり、南側のシーレーンに過度に依存しないよう、多様なエネルギー資源の輸入経路を持つ必要があります。 【後編】へつづく ※お知らせ ■及川外務局長インタビュー記事が3紙に掲載! トランプ米大統領の誕生で世界がどう変わるかが注目されている中、及川局長がインタビューに応じ、スポーツニッポン(12/3)、夕刊フジ(12/4)、サンケイスポーツ(12/10)に掲載されました! ぜひ、ご覧ください。 幸福実現党・及川外務局長、トランプ次期米大統領選出で「ドル高円安に」 http://www.sanspo.com/geino/news/20161210/pol16121005000004-n1.html 【主な内容】 アメリカで受け入れられたトランプ氏の政策とは? 日本への影響は?経済への余波は?など 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