Home/ 中根 ひろみ 中根 ひろみ 執筆者:中根 ひろみ 幸福実現党 愛知県本部副代表(兼)青年局長 保育業界の未来を考える 2016.01.08 文/愛知県本部副代表(兼)青年局長 中根 ひろみ ◆「認定こども園」とは 「子ども・子育て支援制度」が、平成27年4月から本格スタートしました。 新制度では、幼稚園と保育所(園)に加えて「認定こども園」が普及され、小学校就学前のお子様をお持ちの方から、その違いを尋ねられることが多くなりました。 新制度では、保育・教育の場が下記のように増えています。 【幼稚園】「※教育標準時間(1号)認定」のお子様を対象とし、小学校以降の教育の基礎をつくるための幼児期教育を行う学校。 【認定こども園】「教育標準時間(1号)」「※保育(2号)認定」「※保育(3号)認定」のお子様を対象とし、教育と保育を一体的に行う施設。 【保育所(園)】「保育(2号)認定」「保育(3号)認定」のお子様を対象とし、就労などのために家庭で保育のできない保護者に代わって保育する施設。 【地域型保育】0~2才を対象にした小規模保育事業や、事業内保育など、地域の状況に対応した施設。 ※「教育標準時間(1号)」満3歳以上の小学校就学前の子どもであって、2号認定子ども以外のもの。 ※「保育(2号)認定」満3歳以上の小学校就学前の子どもであって、保護者の労働又は疾病その他内閣府令で定める自由により家庭において必要な保育を受けることが困難であるもの ※「保育(3号)認定」満3歳未満の小学校就学前の子どもであって、保護者の労働又は疾病その他内閣府令で定める自由により家庭において必要な保育を受けることが困難であるもの ◆保育の質は向上するのか 「認定こども園」は、教育と保育を一体的に行う施設ということで、「幼稚園と保育園の両方の良さをあわせ持つ」ということが謳われております。 主に私立の保育園では、少子化に伴い、園児を確保するためにも「保育の質の向上」を目指して、切磋琢磨されている園は少なくありません。 私が施設長を務める「保育園」でも、保育内容は幼稚園同様の教育を取り入れ、仏教園ですので「心の保育」にも力を入れています。 また、その逆も然りで、「こども園」だから「保育の質が高い」とは言い切れないのが現状です。 やはり、保育の質を向上させるには、規制を緩和し、新規参入も受け入れていく中で競い合い、切磋琢磨することが大切ではないでしょうか。 ◆利用契約と保育料 新制度においても、保育所(園)の利用のしくみや公費の流れは大きく変わりません。 利用者は市町村に認定申請・入所申請をし、保育料を市町村に納め、保育所(園)は、保育を行うための経費を市町村から委託費として受け取ります。 一方、「認定こども園」では、利用者は認定申請・入所申請を園に直接することができ、保育料も園に直接納めます。 ◆保育バウチャーの提案 私はこの「直接契約」という方式を、園の体系に関係なく、すべての園で実施することで、保育の質を引き上げられるのではないかと考えます。 その方法としては、就学前の保育・教育に対する「クーポン」を保護者に直接支給し、園は、受け入れた園児の数に応じて決定された補助金額を受け取るという「保育バウチャー」政策です。 園はより多くの利用者を集めるために、質の向上を図らずにはいられません。 公費で成り立つ保育業界の改革も、一筋縄では行かない、手ごわい業界ではありますが、補助金がなくてはやっていけない事業に発展は期待できません。 利用者が園を選択し、利用者と園が直接契約をする体制をとることで、「質の向上」に繋がり、利用者から必要とされるところが発展していく「保育バウチャー」の導入から改革を進めていきたいものです。 保育所待機児童の現状と課題について 2015.05.21 文/幸福実現党・愛知県本部副代表(兼)青年局長 中根 ひろみ ◆待機児童の現状 厚生労働省のまとめによると、昨年10月の保育所入所待機児童数は、43,184人で、平成25年10月と比較し934人減少したものの、東京・神奈川・大阪などの都市部では、子どもを預ける先がなく、困り果てる保護者の姿が見受けられます。 保育施設の利用は、秋頃になると次年度の利用申し込みが始まり、2月に選考の結果が通知されます。 残念ながら入所が決まらなかった場合、次は小規模保育施設、その次は認可外保育施設と、預け先を確保するために懸命な施設探しが始まります。 このような地域では、途中入園は不可能に近く、新学期に入園出来なかった場合、次のチャンスは1年後ということになります。 しかし、園児は次のクラスに持ち上がるため、新入園児の受け入れ枠は大変狭くなります。 私が施設長を勤める園では、44名の募集に対し、107名の応募を頂き、1~3才の入所倍率は5倍超となりました。 入所の選考はポイント制で行われるのですが、例えば「フルタイムの共働き」等の加算がないと、入所して頂くのは難しい状況です。 以下に主たる課題と、その改善策について取り上げます。 ◆課題(1)――用地確保の難しさ 自治体では新たに認可保育所をつくろうと設置者の公募をしてはいますが、都市部では土地探しに大変苦労します。 地価も高いため園庭のない園がほとんどですし、認可保育所であってもビルの中にある施設も少なくありません。 マンションが建設された場合、居住者が増え、それに伴って待機児童は更に増えることになります。 例えば、マンションを建設する際、託児所を導入する場合、行政が一定の支援を行うという方法もあるかもしれません。 ◆課題(2)――規制と運営資金 認可保育施設の認定を受けるには、国や自治体の基準を満たす必要があります。認可を受ければ運営費や運営補助金が受けられるため、結果として利用者は保育料以上のサービスを受けられることになります。 しかし、認可保育施設でない場合は保育料が高額となり、施設を運営する側にとっても、全て実費となるため、厳しい運営を強いられます。 そもそも、補助金に頼らなければ運営できない業態であることが、課題なのかもしれません。 ところで、託児施設の数を増やすためには、規制を緩和することがポイントになると考えます。 昨年、あるビルのフロアを認可保育施設として使えるか調べたところ、役所の判断は、保育室からトイレに行く際に共有スペース(廊下)を通る必要があるため認可は出来ないという結論でした。 しかし、なぜか「認可外保育施設にするなら大丈夫」ということでした。国から補助金をもらうのだから、条件も厳しくなると考えればよいのかもしれませんが、施設の区分は異なっても、子どもにとっての状況は同じはず。 子どもを守るための制度なのか、国や自治体が責任を回避するための制度なのか、疑問を抱いてしまいます。 「子どもの安全を守る」ための環境づくりという観点から、各種規制を緩和し、スリム化する必要があるのではないでしょうか。 ◆課題(3)――保育士不足 今年度を迎えるにあたり、都市部からも地方からも「例年になく保育士の確保が難しい」といった声が厚生労働省に届いたようです。そのための対応として厚労省は下記の内容を提示しました。 「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条第2項ただし書の規定により、『保育所一につき2人を下ることはできない』とされているところ、一定の条件の中で保育士の確保が特に難しい地域においては、『特例的に、平成27年度の間は、朝・夕の時間帯に児童が順次登所し、又は退所する過程で、当該保育所において保育する児童が少数である時間帯に、保育士1人に限り、当該保育士に代え、保育士でない者であって保育施設における十分な業務経験を有する者、家庭的保育者等適切な対応が可能なものを配置する取扱いもやむを得ないものと考えており、自治体においても配慮をお願いしたいこと。延長保育の場合についても、同様であること。』」 以上の内容が提示されています。 保育士不足を解消するためには、保育士資格がなくても子育ての経験がある方等に活躍の機会を提供することが大きなポイントになると考えます。 例えば「准看護士」同様に、「准保育士」制度を設け、多様な経験を持つ、より多くの方々に保育士になって頂く門戸を開くことで、新たな雇用の機会を提供することになり、保育士が増え、子どもにとっても、より良い保育環境を提供することができるのではないでしょうか。 以上、述べたように、現行制度の枠にとらわれることなく、保育の更なる質の向上を目指し、大胆な保育制度の改革に取り組むべきではないでしょうか。 「子ども・子育て支援新制度」のゆくえ 2014.08.17 文/愛知県本部副代表(兼)青年局長 中根 ひろみ ◆子ども・子育て支援新制度 平成24年8月、自公民3党合意を踏まえ、子ども・子育て関連3法(【1】子ども・子育て支援法 【2】認定子ども園法の一部改正法 【3】児童福祉法の一部改正等関係法律の整備法)が成立しました。 そして、いよいよ来年4月から、「子ども・子育て支援新制度」が本格的にスタートするということで、今年は全国各地で説明会が行なわれ、私も参加しました。 説明会に参加している理事長や園長は、まず何が変わるのかを理解することから始まりますが、正直なところ最たる関心事項は「公定価格はどうなるのか」ということです。 保育業界は、国からの予算なしには成り立たない業界になっていると、私自身、認可外保育施設の立ち上げに携わった後に、社会福祉法人の保育園園長を務める中で実感しているところです。 ◆公定価格と保育業界 「公定価格」とは、政府が経済統制を目的として決定する価格です。自園もこれにより決まった予算をもとに保育運営を行っています。 保育業界における公定価格の骨格に関しては、内容が複雑なためここでは触れませんが、公定価格は、社会主義国家の計画経済の下で行われるものが代表的です。 今の保育業界は、規制緩和により株式の参入が行われるなど「自由経済」の兆しが見えつつありますが、根本的には経済統制のもとに存在し、民間の自由な経済活動が制限されています。 ◆保育所の成り立ち 初めて児童福祉法が制定されたのは、戦後、昭和22年で、保育に欠ける児童を保育することを目的とした児童福祉施設である「保育所」が国の制度として誕生しました。 その後、ベビーブームによる出生数の増加に対応し、保育所の量的拡充が課題となったことに加え、高度経済成長の時代には、既婚女性の就業者数が増加したことから、保育所の整備促進が必要とされました。 しかし、現在はその逆で、不景気の影響で、子育てに専念したくても働かざるをえない既婚女性が増加したことから、保育にかける児童が増えている状況です。 待機児童の問題は、園を増やしたり、認定こども園など制度を複雑にしなくても、景気を悪化させる「消費税の増税」をやめ、経済を成長させることで、多くの保護者の悩みが解決します。 ◆新制度のための予算 ところで、「子ども・子育て支援制度」は、幼児期の学校教育、保育、地域の子ども・子育て支援の「質の向上」と「量の拡充」を図ることが目的ではありますが、この新制度を実施するための予算がどこからくるのか、ご存知でしょうか。 「社会全体による費用負担」つまり「消費税引き上げによる増収分から、毎年7,000億円程度が充てられる」ということになっています(実際には、0.7兆円程度を含めて、1兆円超程度の追加財源が必要)。 しかし、消費税率8%への引き上げの影響を受けた4~6月期の実質GDP(国内総生産)は、年率換算で6.8%のマイナスとなりました。 ◆子どもたちの未来のために 幸福実現党は、「社会保障と税の一体改革」の先にあるのは、国民の富を「税金」として大量に吸い上げ、「富の再配分」を行う「社会主義国家」であると、警鐘を鳴らし続けてきました。 「社会保障と税の一体改革」と称し、それが財政を圧迫し、更なる増税が要求され、経済が徐々に疲弊し、働かざるを得ない保護者で溢れ、家計も心もゆとりがなく、虐待にも繋がりかねません・・・これは国民にとっても、子ども達の未来にとっても幸福なこととはいえません。 「量の拡充」のためにできることは、前述の通り「消費税の増税」をやめ、待機児童を減らすことです。「質の向上」に関しては、規制を緩和し民間に委ねてゆけば、競争原理の中でより質の高い保育サービスを受けることができます。 「子ども・子育て支援新制度」は、「消費税の10%への増税」と共に、今後、見直しが必要であると考えます。 保育業界に市場原理を 2013.12.13 子どもがいれば必ず利用する保育園や幼稚園。しかし、保護者も保育士も、意外に知らないことが多いようです。 それもそのはず、保育業界の始まりは今から約140年前といわれていますが、時代の変化とともに子育てスタイルも様々になり、国として対策を講じるうちに複雑になってきました。 ◆保育園の種類 保育形態は大きく「施設保育(特定の場所に施設を設けて保育をする)」と「在宅保育(保護者や保育者の自宅で保育をする)」に分類できます。 [施設保育]の中には、国の認可制度に基づいて設置する「認可保育所」と、認可していない「認可外保育所」があります。 [認可保育所]の運営形式は、主に「公立(公設)」と「私立(民設)」に分類されます。(その他「21世紀事業団による事業所内託児施設」や、「都道府県による認定こども園」等もある)。 更に、[公立]は「公設公営」と「公設民営」に分類され、[私立]は「民設民営」で、その多くは「社会福祉法人」、その他(「宗教法人」「株式会社」「NPO法人」など)の運営があります。 国以外の制度としては、東京都の「認証保育所」や、横浜市の「横浜保育室」、「保育ママ」など自治体独自の制度があり、基準を満たし認証を受ければ補助金も受けられます。 ◆認可外保育所の現状 「認可外保育所」は、2001年までは設置届けの提出義務がなく「環境が悪い」というイメージが強かったと思いますが、現在は都道府県や市町村の監査を受け、認可外保育施設指導監督基準(※)に則った運営が行われています。 特徴としては、認可保育所に比べ自由度が高く、24時間型の託児所や、教育に特化した教育型、習い事機能を兼ね備えた保育園など様々な事業モデルがあります。 「ベビーホテル」「事業所内保育所」など、認可保育所に入所できなかったお子様や、認可保育所では対応できない時間帯・曜日に仕事をしている保護者のお子様を預かるなど、近年はその役割も増えていますが、多くの施設が経営的に厳しいのが実情です。 ◆保育市場の新規参入が難しい 厚生労働省が発表した「認可外保育施設の現状取りまとめ」によると、2012年の廃園件数は全国で523ケ所(全体の7%)、新設園は758ケ所です。 全体的には増加しているため需要が高まっているように感じますが、保育収入だけで売上が構成され、人件費が60~100%を占めている園が多く、人件費しか賄えない、人件費すらも賄えないという園も少なくありません。 私自身、認可外保育施設の立ち上げから携わっておりますが、認可保育所に比べ保育料を高額にせざるを得ない認可外保育所は、園児を集めるにも一苦労。 入園するお子様の多くは、認可保育所に入れなかった0~2歳児となり、「認可外保育施設指導監督基準」における人員配置基準が、認可保育所同様に1人の保育士につき「0歳で3人まで」「1~2歳児で6人まで」と決まっています。 ですから採算が合わず、3歳以上が集まらないと事業として成立しません。 更に、園庭がなく小規模の託児所では幼児になると転園し、4月になると園児が減少するため、「園児が安定的にいない」という状況になり、とてもリスクが高く、新規参入が難しいのが実情です。 もちろん「経営努力」や「マーケティング」が重要なのは当然のことです。 中には、保育料が10万円にも関わらず、「英語や運動教育」「施設規模」などの面で人気が高く、定員100名程の園に1,000人以上の希望者が集まるという認可外保育所もあるそうです。 しかし、認可を受ければ自治体から多額の補助金を受けられる認可保育所と比べると、経営状態に天と地ほどの差が出ています。 ◆市場原理を導入し、「質の高い」保育園へ 待機児童の問題を解決するためにも、規制緩和と共に、補助金で守られてきた保育業界への、「市場原理の導入」が必要だと考えます。補助金がなくてはやっていけない事業に、発展は期待できません。 今、子ども・子育て関連3法による新たな制度が始まろうとしており、消費税引き上げによる財源として認定こども園等への新たな給付も盛り込まれていますが、消費税増税により財源が増えるという保障はなく、消費増税により迎えるであろう不況の中、市場原理を導入せずに、国が責任を持ってサポートし続けるというのも、不可能だといえます。 「保育もまたサービスである」と考え、優れたサービスを提供し、納得できる料金設定がなされていれば、あとはすべて市場が決めてくれる、つまり、よい保育園は残り、そうでなければ淘汰される。それは必ず「保育の質」の向上にもつながります。 利権に振り回されることなく、子ども達の未来のために、保育業界における大きな変革が必要だと考えます。 (幸福実現党 愛知県本部副代表(兼)青年局長 中根ひろみ) ※認可外保育施設指導監督基準(一部抜粋) 1 保育に従事する者の数及び資格 (1) 保育に従事する者の数は、主たる開所時間である11時間(施設の開所時間が11時間を下回る場合にあっては、当該時間)については、概ね児童福祉施設最低基準(以下「最低基準」という。)第33条第2項に定める数以上であること。ただし、2人を下回ってはならないこと。また、11時間を超える時間帯については、現に保育されている児童が1人である場合を除き、常時2人以上配置すること。 待機児童解消と「保育の質」向上に向けた保育制度改革を! 2013.04.27 「待機児童ゼロ」を目指した改革 わが国の現行の保育制度は、需要量に対して供給量が圧倒的に不足しているという構造的問題があり、少子化対策や女性の社会進出の妨げとなっています。 現在、都市部を中心に保育所に入りたくても入れない待機児童の問題が深刻化しており、平成24年10月時点での待機児童は46,127人となっています。(厚生労働省「保育所待機児童数(平成24年10月)」) 政府試算によれば、潜在的には全国で100万人規模の供給不足が存在していると推定されています。(内閣府「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議(2007)) こうした実態を受けて、待機児童増加を「社会問題」と捉え、「新たな保育の仕組み」を導入する作業が進められています。 4月26日、政府は、子育て支援制度の具体策を検討する「子ども・子育て会議」の初会合を開き、待機児童の解消に向けた取り組みをスタートさせました。(4/26 NHK「待機児童解消 施設基準検討へ」) 5年前、自民党政権は「待機児童ゼロ作戦」を打ち上げ、認可保育園で保育を受ける0~2歳児の割合を、当時の約20%から5年後に29%、10年後に38%まで引き上げる目標を設定。10年間で保育園への入園児を約2倍近く増やす目標を打ち出しました。 以来、保育園と学童保育の量的拡大を目指したプランが続々と出されて来ました。 待機児童増加の背景 確かに、保育園の定員枠を増やすことは現代社会のニーズではありますが、待機児童の増加については、その背景にある、いくつかの大切な視点が見落とされています。 例えば、待機児童増加の背景には、長引く不況があります。景気回復や経済成長こそが、家庭の経済事情を改善し、子育てしやすい環境をつくるのです。 私、中根裕美は、かつて地元自治体が設置する子育て支援センターで相談補助員をしていたことがあります。その際、忘れられない経験をしました。 一歳児の子どもを育てておられるお母様が、「自分で子育てをしたいけれど、自分も働きに出なければ生活が厳しくてやっていけなくなった」と、涙ながらに話されました。 子どもを保育園に預ける家庭の中には、望んで共働きをしている家庭もあれば、ダブルワークを余儀なくされている家庭もあります。 子どもを保育園に預け、昼間は仕事、夜はパチンコ店の清掃をしている、お母様の声も聞いたことがあります。 最近、私は民間託児施設の立ち上げに参画し、保護者のニーズに応えることができる事業計画を練っていますが、料金設定では頭を抱えてしまいます。 働きに出ている母親の給料が、保育料金だけで飛んでしまうのではないかと。 実際、保育現場で感じることは、保育園に子どもを預けることを「積極的な選択」として選んだわけではない家庭があります。その背景には、必ずと言って良いほど、経済的問題があるのです。 消費増税による景気悪化は不幸な家庭を増やすことになり、絶対に消費増税はストップすべきです。 規制緩和で保育制度の改革を! 現在、待機児童解決の方法として、認可保育園を建設・増改築(公的資金を投入)し、定員を増やすことが議論されていますが、現在の自治体の財政悪化を鑑みると厳しい現実があります。 そこで、保育制度の規制緩和を提案したいと思います。 保育業界では、依然として「官業の民業圧迫」が続き、競争原理も働いておらず、著しい非効率が見られます。 今こそ、保育の公的仕組みを抜本から見直し、「利用者が保育園を選択する仕組み」「市場原理」「民間企業の活力」を取り込み、保育分野の規制緩和、準市場化を推し進めるべきです。 財源不足下でも待機児童解消と弱者救済が両立する保育制度改革の一つの案として、保護者と園が直接契約をする「保育バウチャー制」が挙げられます。 「バウチャー」とは、保育目的に利用できるクーポンのことで、例えば、市町村が保育園利用者に「バウチャー券」を年に12枚支給。保護者は好きな園を選択して、保育料の支払いに利用します。自分で努力して育てる人には保育費が還付される仕組みです。 バウチャー制によって、園児獲得のために保育園間の競争が促進され、「保育の質」の向上を図ることができます。 これにより、小さな規模の保育施設であっても質の良い保育を提供している園であれば、利用者が増え、更に事業を拡大することも可能となります。 子どもにとって良い園が増えていくことは、保護者にとっても嬉しいことです。 乳幼児期に必要な保育・教育の「あるべき姿」 また、保育園における「保育の質」については、商業ベースでの「学校教育の先取り」のような形のものではなく、「生きていく力」「徳育」など、この時期にこそ体得すべきものを尊重していくべきです。 保育制度改革においては、待機児童問題のみならず、乳幼児期に必要な保育・教育について、「教育のあるべき姿」とは何かという、根本的な課題にも目を向けるべきです。(文責・愛知県参議院選挙区支部長:中根裕美) すべてを表示する