Home/ 木下順子 木下順子 執筆者:木下順子 熊本県本部副代表 スイスの「民間防衛」に学べ 2016.03.12 文/幸福実現党・熊本県本部副代表 木下順子 ◆スイスの「民間防衛」 スイスが永世中立国であることはご存知の方も多いと思いますが、軍事力を放棄し、ただ「平和」を唱えているわけではありません。 スイス政府編による「民間防衛」という本はあらゆる危険から身をまもるために、敵の戦略とその対処方法が具体的にわかりやすく記載されています。 そしてこの本はスイス政府により、全家庭に配布されたものです。 核兵器・生物兵器・化学兵器・心理戦・妨害工作とスパイ・外国の宣伝の力・避難所・燃料の統制・配給・食糧の割当、配給などが事細かに記されています。 ◆避難所の必要性について 人口1,000名以上の自治体については国の法律により、避難所を建設する義務が課されています。 「1,000名以下の場合でも特定の自治体については、州の規則により同様の義務が課されている。」 「これらの自治体では、新しい建物を建てる場合には、少なくとも最低の基準に合った避難所を作らなければならない。」 「このような避難所の建設費用については、連邦、州、市町村が、その約75%を負担する。」 「避難所を建設する義務のない市町村において、現存する建物あるいは、新築の建物にでも、基準に合った避難所をつくる場合には、連邦、州、自治体から、さらに多額の補助を受けることができる。」 とあります。 2006年には、スイスにはおよそ30万の核シェルターが個人の家屋、施設、病院といった場所にあり、5100の公共の防衛施設があり、通算すると、860万人もの人々が避難できます。 これは、当時のスイスの人口比で考えると、114%もカバーできる計算になるようです。 ◆事実を直視せよ 昼間人口13万人の都市の上空600メートルにおいて、20キロトンの爆弾が爆発した場合、準備の程度によって大体、次のような損害がでるでしょう。 ・急襲されたとき(死亡者35%、負傷者30%、助かる人35% 45,500人) ・警報があったとき(死亡者23%、負傷者17%、助かる人60% 78,000人) ・全員が避難所にいるとき(死亡者8%、負傷者2%、助かる人90% 117,000人) 日本を取り巻く諸国は、核保有国であり、大砲、ミサイルなどその他の誘導兵器は、原爆や水爆など、これらの爆弾や弾頭を自由に目的地まで運ぶことができます。 誘導兵器を意のままに使える国は、あらゆる地点からそれを発射させることができ、ですから、われわれが生き延びられるかどうか、被害を小さくできるかどうかは、事前の準備が充分にできているかどうかによるのです。 原爆に対する防禦の用意を完全に行っている民族だけが、核兵器による脅し、圧力に抵抗することができ、最悪、原爆が使用されてもあわてないように、平素からその準備をととのえておくことによって、初めて自分の国を守ることができるのです。 スイスは平時から、戦時に備えて2年間分位の食料、燃料等必要物資を貯え、24時間以内に最新鋭の武器を具えた約50万の兵力の動員が可能という体制で、平和と民主主義を守っています。 戦争に備えず、ひたすら平和だけを唱える我が国、日本もスイス政府に習い、政治、経済、心理面での防衛に、民間防衛および軍事防衛を加えた全面防衛に早急に取り組むべきです。 ※補足 スイスでは徴兵制度が採用されており、男子には兵役の義務があります。また、現役軍人以外は予備役軍人となり30年間務める必要もあります。 これらを全て合わせるとスイス国民の約10%が軍人であることとなるのでスイスの人口は世界銀行のデータによると、2013年の段階で約809万人。つまり、80万人以上が軍人ということになります。 なお、日本の2013年の人口約1億2837万人に日本の自衛官の数は約22万人。 参考 「民間防衛」スイス政府編:原書房 子供の未来のために、今すぐできること――読書の習慣 2015.09.05 文/幸福実現党・熊本県本部 木下順子 ◆子供の頃の読書効果 国立青少年教育振興機構は2013年2月23日、「子どもの読書活動の実態とその影響・効果に関する調査研究」を発表しています。 子どもの読書活動の実態とその影響・効果に関する調査研究 http://www.niye.go.jp/kenkyu_houkoku/contents/detail/i/72/ 独立行政法人 国立青少年教育振興機構 http://www.niye.go.jp/ その結果は、就学前から中学時代までに読書活動が多い中学生・高校生ほど、「未来志向」「社会性」「自己肯定」「意欲・関心」「文化的作法・教養」「市民性」「論理的思考」のすべてにおいて、現在の意識・能力が高いというものでした。 特に、就学前から小学校低学年までの「家族から昔話を聞いた」「本や絵本の読み聞かせをしてもらった」「絵本を読んだ」といった読書活動は、現在の「社会性」や「文化的作法・教養」との関係が強いという結果が出ています。 また就学前から中学時代に読書活動が多い中高生は、体験活動も多く、ボランティア活動に参加したことがある人の割合が多い傾向にあり、この時期の読書活動と体験活動の両方が多い中高生は、ほかに比べて現在の意欲や能力が高いという結果も出ています。 この中では、中学生・高校生21,168人を対象とした青少年調査と、他にも20代~60代までの5,258人を対象とした成人の調査も行われています。子供の頃の読書活動が成長してからの意識・能力に及ぼす影響や効果などについて調査が行われたのは初めてでした。 青少年調査でも成人調査でも、子供の頃の読書活動が多いほど、「できれば、社会や人のためになる仕事をしたいと思う」といった「未来志向」や「電車やバスに乗ったとき、お年寄りや身体の不自由な人に席をゆずろうと思う」といった「社会性」などについて現在の意識や能力が高い傾向が見られました。 ◆「読書の習慣」 読書の習慣は、社会人になってからの仕事能力や精神力にも大きく影響するのでとても大切です。 溢れる情報社会の中、それぞれの傾向性を読み解き、比較し考え抜き、本当に大事なものは何なのか、本当に正しいものは何なのかを判断する力、メディアリテラシーを身につけて行かないと、知らない内に偏った思想に洗脳されかねません。 現代では、さらにインターネットやスマホなどのデジタル機器が、考える力やコミュニケーション能力の成長を著しく阻害しています。 マイクロソフトをつくった、ビル・ゲイツの両親は書物を身近に置き、息子が本好きになるように導き、しかも読書に集中させるため、平日はテレビ鑑賞を禁止していたと言われています。 ビル・ゲイツ自身も自分の子供には、デジタル機器を与えず、繰り返し本を読むことを教え、スティーブ・ジョブズも、自分の子供にデジタル機器は与えなかったそうです。 ◆子供の頃から「読書の習慣」を 最近、「1歳の孫もスマホを使えるよ、おとなしくなるしね」という友人の話を聞き、これから未来を担う子供達の豊かな人生観、人と人との繋がり、愛を与えること、相手の幸福を願うこと、正しい価値観を育んでいくために、私たち大人の責任が、大きいと切に感じました。 子供たちの未来のために、大人が今すぐできることは「読書の習慣」を身につけさせることです。 ※HRPニュースファイル編集部より 「子供」と「子ども」の表現について 「子供」は、「お供え物」を想像させ差別的な表現だとして「子ども」という表現をすべきだとの意見もありましたが、2013年9月に文科省から「子供」は「差別表現でない」として公文書での使用は「子供」で統一するという方針が出ています。 今回取り上げられている「国立青少年教育振興機構」の調査は、文科省の方針がでる前の2013年2月であるため調査の名称自体は「子ども」という表現にしていますが、それ以外の部分では「子供」を使いましたのでご了承ください。 日本で初めて演奏された『交響曲第9番』 2014.10.31 文/幸福実現党熊本県本部副代表 木下 順子 ◆映画「バルトの楽園」 アンジェリーナ・ジョリーが、日本軍に虐待された捕虜を描いた反日映画「アンブロークン」を制作しましたが、みなさんは、映画「バルトの楽園」をご存知でしょうか? この映画は、2006年公開の日本映画。徳島県鳴門市の板東俘虜収容所を舞台とした、日本で初めて『交響曲第九番歓喜の歌』が演奏された真実の物語です。 1914年、第一次世界大戦で日本軍は3万人の大軍を送り込み、ドイツの極東根拠地、中国・青島(チンタオ)を攻略しました。 この戦いに敗れたドイツ兵4700人は、捕虜として日本に送還され日本各地に設けられた俘虜収容所に振り分けられました。捕虜達は、1919年(大正8年)ヴェルサイユ条約締結まで長期に渉り収容されました。 1917年、全国12カ所にあった収容所が6カ所に統合されました。環境が劣悪な収容所で過酷な2年を過ごした捕虜達は、「この先どんな地獄が待ち受けているのだろう」と不安を抱えながら渦潮の海を越え、徳島県鳴門市にある板東俘虜収容所に移送されます。 ◆捕虜たちに寛容な待遇をした松江豊寿大佐 しかし、この板東俘虜収容所の所長、松江豊寿大佐は、捕虜に対し人道的な扱いを心がけ、捕虜達全員に次のように訓示しました。 「諸君は祖国を遠く離れた孤立無援の青島で、最後まで勇敢に戦った。しかし、利あらず日本軍に降伏した、私は諸君の立場に同情を禁じえない。諸君は自らの名誉を汚すことなく、秩序ある行動をとってもらいたい。」 捕虜たちに寛容な待遇をし、地元民と捕虜との融和を図ろうとする松江所長の指導の下、硬く心を閉ざしていた捕虜達は、少しずつ心を開くようになるのです。 ドイツパンを焼き、新聞を発行し楽器を演奏すること、そしてビールを飲むことさえ許された収容所生活で、捕虜達は生きる喜びを見出していきました。まさに「楽園」だったのです。 松江大佐は、地元の青年たちが西洋音楽を習いたいという願いを聞き、エンゲル・オーケストラのリーダー、パウル・エンゲル(音楽教室で日本人を指導してオーケストラを作ったのはエンゲルのみ)を紹介し音楽教室を開くことになりました。 やがて解放され、自国に戻る事を許されたドイツ人達は、松江所長や地元民に対する感謝の思いを込めて、日本で初めてとなる『交響曲第九番 歓喜の歌』を演奏することになりました。 ムスターラーゲル(模範収容所)が存在した奇跡の2年10カ月は、なぜ生まれたのでしょうか。 それは、松江豊寿大佐の生い立ちにある、松江豊寿は旧会津藩士、松江久平の子として1872(明治5)年に現在の会津若松市で生まれました。 ◆松江豊寿大佐を育んだ会津の教育 明治維新直後の戊辰戦争で敗者となり廃藩、その後、藩は復活しましたが、下北半島の未開の地といえるような荒れた土地で、飢えと戦いながら生き延びました。このような苦労が、敗者に対するいたわりの心が生まれる基盤となったと思われます。 また、会津藩は朱子学を藩学として学問を奨励し、6歳になると「什(じゅう)」と呼ばれるグループに入り「什の掟」を訓示します。 日常の生活習慣などを始めとする教育から始まり、10歳になると「日新館」に入学し論語などの中国の古典を教科書として学んだり、「日新館の心得」をしっかり学習することで藩士の子弟としての心構えや誇りを身につけていました。 人間は教育によって徳ある人物へと育成することができ、さらに多くの人々を幸福にすることができるということを深く感じます。 ◆四方の海みな兄弟なり 最後、松江大佐の「命令遵守に感謝する」という言葉に対し、日本を去ることになったドイツ人で日本語教師を務めたクルート・マイスナーは、このように答えました。 「あなたが示された寛容と博愛と仁慈の精神を私たちは決して忘れません。そしてもし私たちより更に不幸な人々に会えば、あなたに示された精神で挑むことでしょう。『四方の海みな兄弟なり』という言葉を、私たちはあなたとともに思い出すでしょう」 「四方の海」は、明治天皇の御製(ぎょせい)です。 (※御製とは、天皇陛下の詩歌や絵画などの作品のことで、特に和歌を指して使われます) 四方の海 みな同朋(はらから)と 思ふ世に など波風の 立ちさわぐらむ 「四方の海はみな同胞(兄弟)と思うこの世になぜ波風が立ち、騒ぎが起こるのであろう。」欧米列強がアジアを侵略し、ロシアが日本を虎視眈々と狙っている頃に明治天皇はこのようにお詠みになられたのです。 来年は戦後70年を迎えます。神国日本を守るために命をかけて戦われた先人たちの思いに報いるため、そして未来の日本を受け継ぐまだ見ぬ青年たちのために、これからも日本の誇りを取り戻す活動に力を尽くしていく所存です。 すべてを表示する