Home/ 数森圭吾 数森圭吾 執筆者:数森圭吾 幸福実現党 大阪府統括支部長 中国の一帯一路――「闇金方式」で覇権拡大!? 2018.09.15 中国の一帯一路――「闇金方式」で覇権拡大!? 幸福実現党 大阪府統括支部長 数森圭吾 ◆中国が進める「一帯一路」 一帯一路とは中国が進める巨大な経済圏構想です。「一帯」とは現代版シルクロード。中国からヨーロッパへと続く陸の経済圏をさします。 そして「一路」とは、中国から東南アジア、インド、アフリカ、ヨーロッパと続く海のシルクロードと呼ばれるものです。 中国は自国が主役となって世界をつなぎ、一大経済圏をつくろうとしているのです。 ◆荒れるモルディブ リゾート地として有名なモルディブで空港の大規模拡張工事が行われています。 その資金は中国の援助によって賄われ、工事のほとんどを請け負っているのは中国企業です。 なぜ中国がモルディブに資金援助しているのか。それは中国の一帯一路が大きく影響しています。 モルディブは一帯一路の海路である一路における重要な場所に存在するのです。観光以外の産業は漁業や農業しかないモルディブは長年財政赤字に苦しめられています。 そこに中国は目をつけ、資金援助をする代わりに一帯一路への協力を要請しました。これに対しモルディブのヤミーン大統領は中国への全面的な協力を約束したのです。 しかし、中国が行っているこの資金援助は無償ではなく「融資」であり、モルディブにとっては借金となるのです。 その結果、モルディブの対外債務の7割以上が中国に対するものになってしまっています。 ◆闇金のように他国の資産を狙う中国 実は中国はモルディブがこの巨額の借金を返済しきれないことを知っているのです。 それでも融資し続ける目的は、返済が滞った場合に「借金のかた」として現地の土地や港、飛行場などを軍事的な目的も含めて中国が使用できるようにすることだと言われています。 つまり、中国は一帯一路のルートに関係する場所にある財政難国家を資金援助というかたちで自国の影響下に置こうとしているのです。 このような事例はモルディブだけでなく、モンゴル・ラオス・キルギス・タジキスタン・パキスタン・ジブチ・モンテネグロなど、一帯一路の要所となる国々ですでに存在しており、中国はその影響力を強めています。 ◆一帯一路を阻むマレーシア マレーシアは中国の一帯一路において欠かせない重要国です。 同国では一帯一路の要となるタイからクアラルンプールまでをつなぐ「東海岸鉄道」の建設や、港の大規模拡張工事が着工されました。 これらは総工費1兆6000億円以上という巨大プロジェクトで、親中派であるナジブ前首相がすすめたものでした。 しかし今年5月、マレーシアにおいてマハティール首相が誕生します。マハティール首相は前政権が推し進めた、中国が深く関係するインフラ事業の見直しを実行しました。 結果、東海岸鉄道の建設は中止となり中国の一帯一路にとっては大打撃となっています。 マハティール首相は中国マネーの怖さを熟知しており、将来的な国益を考えたときにリスクが大きいと判断したと考えられます。 ◆アジア圏における自由・民主を守るために 現状、日本は残念ながらこれらの中国の動きに対して存在感を発揮することができていません。 日本は今年6月、経済インフラ会議でアジアへのインフラ輸出において中国と連携するという方針を決定しました。 これは日本が中国の一帯一路へ協力することも視野にいれたものとも言われています。 この日本政府の方針の背景には中国の暴走を止めるための策が含まれていることを信じたいところですが、不安感を持たれる方が多いのではないでしょうか。 最近の日中の融和ムードのなかにおいても未来を見据え、自由や民主を守るために日本はアジア諸国との連携を強めていかなければなりません。 いまこそもう一度!企業経営に社会貢献の精神を!! 2017.09.19 いまこそもう一度!企業経営に社会貢献の精神を!! 幸福実現党大阪本部副代表 大阪第5選挙区支部長 数森圭吾 ◆社会貢献を望む若者が急増 内閣府が世代別に「社会貢献をしたいですか?」という世論調査を行っています。 2002年の調査でこの質問にYESと答えた20代は45%ほどでした。 しかし、2012年に行われた調査ではYESと答えた20代が70%まで急増しました。このように、いま若者の社会貢献意欲が急激に高まって来ています。 この高まりの背景には東日本大震災が影響していると言われています。 悲惨な震災の爪跡を目の当たりにし、多くの若者たちが「自分達に出来ることは何か」を考えるようになったというのです。 また、アメリカでも人気就職先の上位にNPO法人が複数入るようになっており、世界的にも若者の社会貢献に対する関心が高まってきていると言えるのではないでしょうか。 ◆日本で静かなブームとなっているボランティアツアー ここ数年「ボランティアツアー」と言われる旅行が静かなブームとなっています。 これは観光と同時に地域に入り学校や孤児院などでボランティア活動を行うというものです。 通常の観光旅行よりも費用が高いものも多いそうですが、学生や20代の社会人など若者から人気となっているそうです。 ◆社会貢献をビジネスに 2007年に設立された「TABLE FOR TWO International」というNPO法人があります。 ここでは世界の肥満人口と飢餓人口の不均衡を是正すべく、様々な企業の社員食堂やレストランで低カロリーの健康食を提供し、その代金のうち20円を使い発展途上国の子供達に食事を提供しています。 このように社会貢献を持続可能なビジネスとして行なうNPO法人が増えているのです。 この「TABLE FOR TWO International」は今年3月には支援食数5000万食を突破。数千万円の利益も出しており、社会的信用も得て参加団体も広がっているようです。 ここで、NPO法人がお金を儲けていいの?と思われる方もいらっしゃると思いますので、以下で説明します。 ・ボランティア・NPO法人の違い 【ボランティア】 [資金]寄付金か自己負担 [収益]目的としない [スタッフ給与]なし 【NPO法人】 [資金]寄付金・助成金・事業収入 [収益]目的とする(出資者への配分なし) [スタッフ給与]あり 上記のように、NPO法人は利益を出すことが認められています。 しかし株式会社などとは異なり、利益を出資者へ配分するのではなく、スタッフの給与や活動資金に使うことができるのです。 ただ、制度を悪用したり、資金管理がずさんな団体もあるようで、活動内容や資金用途のチェックの必要性が高まっているといわれています。 ◆社会貢献を理念としていた大企業の経営者 過去日本において、このような強い社会貢献意識をもって創業され、大きく成長した企業がありました。 有名なところでは、「水道哲学」でも知られるパナソニック創業者の松下幸之助氏。同氏は「事業を通じて生活の向上に貢献する」という理念を強く持っておられました。 また、ホンダ創業者の本田宗一郎氏も「世のため人のために自分たちが何かできることはないか」と常々問われていたようです。 これらの戦後の大起業家が持っていた精神性は、戦後日本と高度経済成長期を支えた重要なものであったのではないでしょうか。 しかし残念ながら、バブルを経てこれらの誇り高い起業家精神は次第に薄くなってきているように感じます。 現在の若者たちの社会貢献意識の高まりを追い風にし、NPO法人が新たな社会貢献ビジネスを展開していくだけでなく、より多くの「企業」が社会貢献という価値基準を持ち、企業の存在価値が新たな側面からも評価される必要があるのではないでしょうか。 経済や安全保障など様々な問題を抱える東アジア。単純な拝金主義に陥らず、今一度、誇り高い理念を掲げ、日本の未来を支えていく企業が一つでも多く生まれてくるためには何が必要なのかをあらためて問わなければならないと感じます。 日本と海外の絆――ペルー編 2017.06.18 日本と海外の絆――ペルー編 幸福実現党・大阪第五選挙区支部長 数森圭吾 今回は南米に位置するペルーと日本との絆をご紹介したいと思います。 ◆揺るがない観光人気を誇るペルー 天空都市マチュピチュ、ナスカの地上絵などで有名なペルー。日本からは年間3~4万人の観光客がペルーを訪れています。 ペルー国土は日本の3倍以上ながら人口は約1900万人となっています。鉱物資源や水産資源が豊かで、銀や銅は世界トップクラスの産出量、漁獲量も中国についで世界2位となっています(外務省発表)。 ◆南米で初めて日本人移民が渡った国 ペルーは南米で日本が初めて国交をもった国であり、日本が南米初の移民を送った国でもあります。日本とペルーには100年以上の絆があり、現在ではペルーに約10万人もの日系人が生活しています。 明治維新以降、人口が急増していった日本。生活困窮から海外へ移住する日本人が出始めました。当初はアメリカやハワイへの移民が多かったのですが、アメリカで1924年に「排日移民法」が施行され、1899年にペルーへの日本人移民が開始されます。 命がけでペルーに渡った人々は劣悪な労働環境や人種問題、風土病に耐えて現地社会に根付き、日本式の稲作を伝え、ペルーの食文化にも大きな影響を与えたといわれています。 現在では日本の醤油がペルー料理の定番調味料として受け入れられています。醤油味のソースを使用した鳥料理を提供する日本人が経営するレストランが大好評となっており、急速なチェーン展開をおこなっているそうです。 ◆日本人チームが発見した新たな地上絵 2016年に山形大学の調査チームが新たな地上絵を発見しています。 新たに発見された地上絵は八本足で舌を出したような生物が描かれており、この生物の正体はよくわかっていませんが、近年における大発見といわれているそうです。 同チームはこのほかにも24点の地上絵を発見。この成果がペルー政府に大きく評価され、ナスカ遺跡に立ち入り調査できる世界唯一の調査チームとなっており、日本人チームに厚い信頼がおかれているのです。 ◆天空都市と日本の絆 「一生に一度は行きたい世界遺産」第一位にもなっているマチュピチュ遺跡のふもとにあるマチュピチュ村。人口は約3000人で遺跡観光の拠点となっている村ですが、この村の初代村長は野内与吉という日本人でした。 野内与吉氏は1917年に移民としてペルーに渡り、何もなかった地域のインフラ整備に大きな貢献を果たしています。 その他にもホテル建設、温泉開発など、現在でも観光誘致の目玉となる施設開発も行い、野内氏は現在でも地元住民から尊敬をあつめています。 世界各地からの友好都市締結依頼を断ってきたマチュピチュ村でしたが、この縁によって現在では福島県大玉村と友好都市となっており、現村長も「日本人に家族のような親近感を抱いる」と語っています。 ◆昨年行われた大統領選挙 また、ペルーといえば日系2世のアルベルト・フジモリ氏が大統領となったことで、日本との外交も積極的におこなわれるようになりました。 2016年のペルー大統領選ではフジモリ氏の娘であるケイコ・フジモリ氏が出馬するも、アルベルト・フジモリ氏政権時代のイメージを反対派が利用し、敗戦を喫しました。 しかし、現在でもフジモリ派の政治的影響力は依然として大きなものがあるといわれています。 ペルーのように政治の中枢に関わるほど日系人のプレゼンスが高い国はまだ少ないのが現状です。親日国家であるペルーはブラジルとともに今後の南米外交にとって連携すべき重要なパートナーとなるのではないでしょうか。 日本と海外の絆――ペルー編 2017.04.27 日本と海外の絆――ペルー編 幸福実現党・大阪第五選挙区支部長 数森圭吾 今回は南米に位置するペルーと日本との絆をご紹介したいと思います。 ◆揺るがない観光人気を誇るペルー 天空都市マチュピチュ、ナスカの地上絵などで有名なペルー。日本からは年間3~4万人の観光客がペルーを訪れています。 ペルー国土は日本の3倍以上ながら人口は約1900万人となっています。鉱物資源や水産資源が豊かで、銀や銅は世界トップクラスの産出量、漁獲量も中国についで世界2位となっています(外務省発表)。 ◆南米で初めて日本人移民が渡った国 ペルーは南米で日本が初めて国交をもった国であり、日本が南米初の移民を送った国でもあります。日本とペルーには100年以上の絆があり、現在ではペルーに約10万人もの日系人が生活しています。 明治維新以降、人口が急増していった日本。生活困窮から海外へ移住する日本人が出始めました。当初はアメリカやハワイへの移民が多かったのですが、アメリカで1924年に「排日移民法」が施行され、1899年にペルーへの日本人移民が開始されます。 命がけでペルーに渡った人々は劣悪な労働環境や人種問題、風土病に耐えて現地社会に根付き、日本式の稲作を伝え、ペルーの食文化にも大きな影響を与えたといわれています。 現在では日本の醤油がペルー料理の定番調味料として受け入れられています。醤油味のソースを使用した鳥料理を提供する日本人が経営するレストランが大好評となっており、急速なチェーン展開をおこなっているそうです。 ◆日本人チームが発見した新たな地上絵 2016年に山形大学の調査チームが新たな地上絵を発見しています。 新たに発見された地上絵は八本足で舌を出したような生物が描かれており、この生物の正体はよくわかっていませんが、近年における大発見といわれているそうです。 同チームはこのほかにも24点の地上絵を発見。この成果がペルー政府に大きく評価され、ナスカ遺跡に立ち入り調査できる世界唯一の調査チームとなっており、日本人チームに厚い信頼がおかれているのです。 ◆天空都市と日本の絆 「一生に一度は行きたい世界遺産」第一位にもなっているマチュピチュ遺跡のふもとにあるマチュピチュ村。人口は約3000人で遺跡観光の拠点となっている村ですが、この村の初代村長は野内与吉という日本人でした。 野内与吉氏は1917年に移民としてペルーに渡り、何もなかった地域のインフラ整備に大きな貢献を果たしています。 その他にもホテル建設、温泉開発など、現在でも観光誘致の目玉となる施設開発も行い、野内氏は現在でも地元住民から尊敬をあつめています。 世界各地からの友好都市締結依頼を断ってきたマチュピチュ村でしたが、この縁によって現在では福島県大玉村と友好都市となっており、現村長も「日本人に家族のような親近感を抱いる」と語っています。 ◆昨年行われた大統領選挙 また、ペルーといえば日系2世のアルベルト・フジモリ氏が大統領となったことで、日本との外交も積極的におこなわれるようになりました。 2016年のペルー大統領選ではフジモリ氏の娘であるケイコ・フジモリ氏が出馬するも、アルベルト・フジモリ氏政権時代のイメージを反対派が利用し、敗戦を喫しました。 しかし、現在でもフジモリ派の政治的影響力は依然として大きなものがあるといわれています。 ペルーのように政治の中枢に関わるほど日系人のプレゼンスが高い国はまだ少ないのが現状です。親日国家であるペルーはブラジルとともに今後の南米外交にとって連携すべき重要なパートナーとなるのではないでしょうか。 反日から親日へ!モンゴルの今 2017.02.25 大阪第5選挙区支部長 数森圭吾 ◆危機に瀕するモンゴル経済 モンゴルの人口は306.1万人。首都ウランバートルには134.5万人が暮らしています(2016年外務省発表)。名目GDPは約7200億円で日本のGDPの約0.14%という経済規模となっています。 モンゴルといえば、「遊牧民」や「草原」、移動式住宅の「ゲル」など牧歌的なイメージを思い浮かべられる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。 しかし近年、モンゴルに埋蔵された莫大な鉱物資源が世界から注目され、2010年以降は鉱物資源分野の発展により急激な経済成長がおこりました。 2011年にはモンゴルの経済成長率は17.29%を記録しています。 しかしその後、モンゴルの輸出品のうち約7割を占める石炭の価格が暴落し、経済は停滞。2016年の経済成長率は0.04%にまで落ち込み、資源バブルは崩壊したといわれています。 ◆日本にとって地政学的に重要なモンゴル モンゴルはロシアと中国の間に位置し、日露中の三国の関係のなかで重要な役割を果たす国として考えられています。 対中包囲網や中露関係への楔として重要なモンゴルが、政治的にも経済的にも自立し、日本との関係を深めることは非常に重要な問題であるのです。 ◆反日国だったモンゴルがアジア有数の親日国へ モンゴルは人口1000人に対して5人が日本に留学しており(2016年)、この比率は世界で断トツのトップとなっています。 実は日本とモンゴルは1939年のノモンハン事件において、満州国とモンゴル人民共和国という形で紛争を経験しています。 しかし、当時反日だったモンゴルがその後、親日へと変わっていったのです。 終戦後、シベリアでソ連軍の捕虜となり、約1.4万人の日本人がモンゴルで抑留されたといわれています。 ソ連の影響下で1924年~1992年までモンゴルでは社会主義政権が続き、日本人抑留者の情報は政府が一切公表していなかったそうです。 しかし1992年に日本人抑留者に関する文献をもとにして、「渡り鳥の還る秋」というモンゴル映画が製作され、モンゴル国内に日本人抑留者の存在が広く知られるきっかけとなりました。 この映画は当時のモンゴルで大きな反響をよぶことになります。 それまでモンゴルでは日本人は「敵」「残酷」「軍国主義」などと教わっていたそうですが、映画に描かれた日本人の「正義感」や「礼儀正しさ」が日本人のイメージを大きく変え、両国の距離を縮めたといわれています。 ◆親日度を深めた日本のODA 2004年に在モンゴル日本国大使館が実施した世論調査では、「最も親しくすべき国」として日本が第1位に選ばれるという結果からもモンゴル国民の親日ぶりがうかがえます。 このようにモンゴルの親日度が深まった理由の一つに日本のODAがあります。日本はこれまで交通インフラ整備などモンゴルに対して定期的なODAを行ってきています。 今年5月に開港予定の「新ウランバートル国際空港」も約650億円の日本のODAで実現したものです。 このプロジェクトには三菱商事など多数の日本企業が多数参加しており、日本への信頼はより深まってきているといわれています。 ◆深まる両国の経済関係 日本からモンゴルへの輸出品は8割が自動車となっており、反対に輸入品は鉱物資源が8割を占めています。そんななか、昨年6月には日本とモンゴルの経済連携協定(EPA)が発効しました。 この協定はモンゴルにとって初めての二国間経済協定でした。これによって自動車など日本の主な輸出品への関税が下がるほか、サービスや投資の自由化が促進される見通しとなっています。 また、2010年に尖閣諸島沖で発生した中国漁船衝突事件で、中国が対抗措置としてレアアースの対日輸出制限を行うという事態がありました。 これによってハイテク技術に不可欠なレアアースの価格が急騰し、日本のハイテク産業に大きな影響を出すこととなりました。 このレアアースやレアメタルといった希少性の高い鉱物資源はモンゴルでも採掘されています。モンゴルとの経済関係を強めることは日本にとっても資源確保のリスク分散になるというメリットもあるのです。 ◆アジアに自由を確立するため 未来に向けて種を蒔くべき国「モンゴル」 今モンゴルは経済的不安定さや官僚の汚職などの問題を抱えながらも、民主化路線を進んでいます。 中国がカネと武力で周辺国への影響力を強めているなかにおいて、自由を重んじる国が自立・発展し、またアジアのリーダーとなるべき日本の安全保障や経済的発展を確保・維持していくためにも、未来に向けて強い絆を生む「種」を蒔くべき重要な国の一つがモンゴルではないでしょうか。 IR推進法は浪費推進法!?――賭博で日本を豊かにできるのか? 2017.01.01 幸福実現党・大阪第5選挙区支部長 数森 圭吾 ◆IR推進法とは 2016年12月15日の衆議院本会議で自民党や日本維新の会などの賛成多数で「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」、いわゆるIR推進法が成立し、カジノ合法化への道が開かれることになりました。 このIRとはIntegrated Resortの略で統合型リゾートを意味しています。 この統合型リゾート施設とは、地方自治体の申請に基づいて、カジノの併設を認める区域を指定されて設置される国際会議場・展示施設やホテル、商業施設、レストラン、劇場・映画館、アミューズメントパーク、スポーツ施設、温浴施設などと一体になった複合観光集客施設をさしています。 この説明ですと、IR推進法が地域にエンターテイメント性や商業性の向上をもたらし、人もお金も集まってくる良いイメージを持つ方もいるのではないかと思います。 このIR推進法の主なメリットとしてあげられているのは、「国内外からの観光客の誘致やMICEの振興」「カジノ税収入など新規財源の創出」「地域での雇用促進や経済波及効果」などです。つまり政府は「消費促進にともなう経済効果」「新たな財源(税収)」を狙ってカジノを合法化しようとしているといえます。 ◆刑法185条 賭博の禁止 しかし日本では刑法185条によって賭博が禁止されています。これは、賭博を放置すると国民の勤労意欲が失われ、さらに賭金の獲得や借金の返済のために窃盗や強盗など他の犯罪が誘発されることなどが懸念されるためであり、賭博罪とは、風俗ないしは経済倫理・秩序に対する罪であるとされています。 IR推進法の成立によって、今後日本でカジノの法制化がすすめられるにあたり、この刑法で定められた賭博罪との矛盾を乗り越えることは非常に難しい問題です。 個人で賭博をした場合には犯罪となるにも関わらず、国が関わるカジノは合法となることには疑問が残ります。 ◆「賭博が国を滅ぼす」と考えた歴史の為政者たち 歴史を振り返ると、日本初の賭博禁止令を出したのは689年の持統天皇で、その対象となったのは「すごろく」でした。 また戦国時代には武士たちが陣中などでも賭博に熱中したことから、「賭博」が士気に関わる懸念材料の一つとなっていたそうです。そのため徳川家康が天下統一を果たすと、賭博常習者を厳罰に処したとされています。 歴史的にも為政者にとって「賭博は国を滅ぼす」と認識されることが多かったと言えます。しかし反対に、今の政府はこの賭博を合法化しようと考えているのです。 ◆カジノ解禁によるデメリット カジノ解禁によるデメリットとして、「反社会的勢力の活動の活発化」や「ギャンブル依存症問題」などが懸念されています。 カジノ解禁によって暴力団やマフィアが介入する可能性が高まり、反社会的勢力の資金源を増やすことになる。またマネーロンダリングにカジノが利用される可能性もあるといえます。 またカジノが身近にできることによってギャンブル依存症となる人の増加が見込まれるともいわれています。 ◆IR推進法によって促進されるのは消費?浪費? IR推進法は消費促進にともなう経済効果と新たな財源を狙ったものです。政府の思いは「なんとしても国民に金を使わせたい」というのが正直なところでしょう。 刑法にある理念や倫理を無視してまで行われる消費推進はいつのまにか「浪費推進」になっていくのではないでしょうか。これでは国民の堕落を招きかねません。 ここ最近の政府の他の動きをみると、10年以上使われていない預金を政府が回収する「休眠預金法案」や、月末の金曜は15時退社を推進する「プレミアムフライデー」がすすめられています。 財源確保や消費促進のためなら私有財産没収を行い、民間企業の就労スタイルにまで口をつっこむ政府は「国民が消費するためなら手段は選ばない」という次元にまできているのではないでしょうか。 この考え方を極端にしていくと「理想実現の為なら暴力革命も厭わない」という共産主義的発想に通じるような怖さもどこかで感じてしまいます。 政府は自由主義・資本主義の精神に基づいた政治理念について考え直し、減税など、健全な消費を促す政策を実行し、経済発展に伴う税収の確保を第一とすべきではないでしょうか。 生活保護制度について考える 2016.10.29 幸福実現党 大阪府本部副代表 数森圭吾 ◆生活保護制度とは 生活保護制度とは社会福祉六法の一つである生活保護法に基づいて施行される福祉制度の一つです。 生活保護法の目的は、「日本国憲法第25条(生存権)に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長すること」(第1条)とされています。 つまり生活保護とは「一時の」最低限度の生活を保障しながら自立を促すための制度であり、また障害を抱える方など働きたくても働くことのできない方々の生活を保障するためにも、現状において重要な制度であるといえます。 しかし他方、この制度が抱える様々な問題をみていくと、この制度が人の弱さを助長している側面があるということも明らかになってきます。 ◆生活保護受給率 平成26年の厚生労働省発表データによると、都道府県別に見た生活保護受給率は以下の通りとなっており、受給率の最も高い大阪府と最も低い富山県の差は10倍以上となっています。 大阪市の発表によると、大阪府がトップとなっている背景には「失業率」「離婚率」「高齢者の割合」が高水準になっていることや、全国最大の日雇い労働者のまちへの多亜府県からの流入が多いことなどがあげられていますが、他方で行政側の審査の甘さなども指摘されています。 1 大阪府 3.35% 2 北海道 3.11% 3 高知県 2.79% 4 福岡県 2.56% 5 沖縄県 2.41% 6 京都府 2.31% 7 青森県 2.28% 8 長崎県 2.20% 9 東京都 2.16% 10 鹿児島県 1.93% 47 富山県 0.32% ◆生活保護制度が抱える問題点 2015年度生活保護費の予算は約3兆円。今後も増加していくとみられており、制度が抱える数多くの問題も議論の対象となっています。 ・外国人への保護費支給問題 外国人への生活保護費の支給です。2010年のデータで総世帯数と被保護世帯数の割合を比較すると、日本国籍世帯の受給率は2.6%であるのに対して外国籍世帯の受給率は3.6%となっています。 特に韓国・朝鮮籍世帯の受給率は14.2%と非常に高くなっています。また外国人受給者の場合、海外に資産を持っていても、調査に限界があるという点も問題となっています。 実際に資産や所得を海外に隠して生活保護を不定受給していたという事件も起こっています。 ・貧困の連鎖 生活保護世帯で育った子供が、大人になって再び生活保護を受けることを「貧困の連鎖」といいます。 関西国際大学の教授が行った実態調査によると、貧困の連鎖の発生率は25.1%というデータも出ています。この実態をみると自立を助ける制度として生活保護が役立っているのか疑問に感じざるをえません。 ・国民年金とのバランス問題 また、生活保護で給付される金額が、国民年金の老齢基礎年金よりも多い事が指摘されています。 都市部で支給される生活保護費と国民年金(満額)を比較すると倍以上のひらきが存在します。これは国民年金をコツコツと納めてきた国民にとっては納得しがたい状況であるのも理解できます。 ・医療扶助の不適切受給問題 医療扶助は年間約1.5兆円で、生活保護費のおよそ半分を占めています。これは投薬回数や診察回数に関わらず、受給者なら本来の自己負担分はすべて公費負担となるからです。 医療扶助を利用し、不必要な検査や注射を繰り返したり、医薬品を過剰処方することで医療費の増大につながっているという指摘もあります。 このように多くの問題を抱える生活保護制度。制度の理想と実態の乖離や日本の現在の厳しい財政状況から考えると制度の見直しが必要となるのはまちがいないでしょう。 ◆福祉が実現すべきは「楽」?「幸せ」? セーフティーネットとしての福祉制度は非常に重要なものです。しかしそこには落とし穴も存在しており、制度が人間を堕落させてしまう恐れがあることも知らなければならないと思います。 「楽」をしたいという思いがでる、安きに流れるのが人情だと思います。しかし、ただ楽なことが本当に「幸せ」なのでしょうか。何もせずとも楽に生きられる毎日がずっと続いた場合、人間はそれを幸せだと思えるのでしょうか。 人間が人間らしく生きるため、生存権だけでなく憲法13条の幸福追求権を守るためにも、人間の幸福とは何かを深く考え、制度に生かしていかなければなりません。 人間の幸せには「努力」というものが密接に関係するように思います。努力を重ねる先に、心から感じることのできる幸福もあるのではないでしょうか。 もしそれを福祉制度が阻害していしまっているのであれば、それは本来の意味からして福祉と呼べるものではありません。 最低限の生活を守る福祉制度は非常に大切です。 しかし同時に多くの人びとがセーフティーネットを必要とする状況から脱し、努力の先に一つでも多くの成功をつかみ取ることのできる環境をつくることこそ大切な福祉であり、政治が実現すべき重要な仕事であると感じます。 ASEAN物流の要「ラオス」を守るのは日本しかない! 2016.09.03 幸福実現党・大阪府本部副代表 数森圭吾 ◆急成長するラオス 敬虔な仏教国である「ラオス人民民主共和国」。 2015年には満足度世界一の観光地にも選ばれています。 日本が青年海外協力隊を初めて派遣した国ラオス。1965年に派遣して以来、756人が現地で活躍してきました。 また、ラオスにとって日本は最大の援助国となっており、その支援額は25年間日本がトップとなっています。 ASEAN10ヵ国のなかで最も経済発展が遅れているといわれていたラオスがいま、急成長国家へと変わってきています。 2008年以降ラオスの経済成長率は8%前後を推移しており、周辺国のタイやベトナムと比較しても急成長を遂げているのがラオスなのです。 ◆ラオス進出に必死な中国 このラオスに対して、いま影響力を拡大しているのが隣国の中国。中国のラオス進出が加速しているのです。 ラオスの首都ビエンチャンでは中国資本によって大型開発が行われており、ラオス最大の高層ビルも中国資本によって造られています。 また、ラオス・ミャンマー・タイの国境を含む地域は経済的な地理的重要性から「ゴールデントライアングル」と呼ばれています。 この地域のラオス側国境沿い約3000ヘクタールという広大な土地を、中国人投資家がラオス政府から99年間借り受けるという契約が結ばれました。 ◆中国によるラオス支援の裏側 中国はラオスへの支援を拡大していますが、そこには裏があるといわれています。 ラオス国立競技場にある巨大なスタジアムは中国が無償で建設したもの。しかしこれは完全な支援ではなく、中国は建設の見返りとして首都近くにある1600ヘクタールの土地を50年間開発する権利をラオスに要求しました。 結果、地域住民の生活基盤となっていた湿地帯などが中国資本によって埋め立てられ、経済特区がつくられようとしています。 完成後には5万人の中国人が移り住む巨大なチャイナタウンが出現する予定となっています。 ほかにも中国の昆明からビエンチャンまで走る長距離鉄道の建設もはじまっています。 この大プロジェクトの総事業費は7400億円と巨額になっていますが、なんと建設費用の70%を中国政府が負担し、ラオス負担の残り3割についても中国が低金利で融資するというラオスにとって非常に有利な条件となっているのです。 この背景には中国の習近平が進める巨大計画があります。将来的に中国からシンガポールまで3000㎞におよぶ長距離鉄道を建設し、「21世紀のシルクロードを造る」という計画の一環となっており、ラオスはその要になっているのです。 つまり新たな物流ライン建設においてラオスは中国にとって押さえるべき要所となっているのです。 さらには、2015年11月にはラオス初の通信衛星が中国によって打ち上げられ、これを機に中国はラオスの通信事業進出も狙っているといわれています。 中国がラオスにここまで進出する背景にはラオス国内に眠っているボーキサイトやカリウムなどの資源獲得も大きな理由の一つと言われています。 このような状況の中で、ラオス政府も国民も中国への警戒感を強めています。ラオスのトンシン・タムマヴォン首相は中国に対する危機感を示し、日本政府や日本企業に強い期待を持っているといわれています。 ◆日本企業への期待 過去、電力不足に悩んでいたラオス。ラオス国内では内戦が続き、政治的にも経済的にも不安定な状況でした。 そんななかラオス政府の依頼で日本企業がラオス国内にダム建設を行います。当時内戦中だったラオスにおいて10年以上の年月をかけてダムは完成しました。 その建設ノウハウを生かし、現在では38カ所もの水力発電所が建設され、近隣諸国に電力を輸出も行っていることから「東南アジアのバッテリー」と呼ばれるまでになっています。 そんななか、いま新たにラオスにおいて日本との巨大プロジェクトが進んでいます。関西電力が中心となり、ラオスに「第二のくろよん」建設がはじまっているのです。 その規模は黒部ダム貯水量の10倍にのぼります。さらにラオスには2020年までに80ヵ所のダム建設が計画されています。 これまでASEANのなかでもあまり注目されてこなかったラオスですが、これからはインドシナ半島の物流や電力のハブとなることが予想されます。ラオスへの日本企業進出は2011年から2015年で32社からか78社に急増しています。 長年ラオスへの最も多くの支援を続けてきた日本であるからこそ、日本の技術力を生かし、官民一体となって中国の拡大に対抗していかなければならないと考えます。 日本と海外の絆 ――スリランカ編 2016.05.28 文/幸福実現党 大阪府本部副代表 数森けいご ◆インド洋の真珠 スリランカ インド南東に位置する島国であるスリランカ民主社会主義共和国。 国土は北海道の80%ほどと狭い国土にもかかわらず、スリランカにはお釈迦さまの歯が納められているという「仏歯寺」やオランダ統治時代に建造された城壁の町「GALLE FORT」など8つの世界遺産が存在しています。 米紙ニューヨークタイムスが2010年に「行きたい観光地」の1位に選んで以来、観光客が多く訪れる観光国としても有名になっています。 ◆近代的な首都コロンボ 首都コロンボでは有名ホテルも多く進出しており、ゴミもほとんど落ちていない綺麗な街並みが存在します。 スリランカは1983年から26年間にわたって内戦が続いていました。しかし2009年の内戦終結後は外国からの投資も増え、急速な経済成長をとげているのです。 このスリランカの経済発展には日本のODAが大きく貢献しています。 高速道路などのインフラや国会議事堂が日本のODAによって造られており、現地の人々の日本への感謝も強く、非常に親日的な国となっています。 ◆日本を分割統治から救ってくれた初代スリランカ大統領 日本とスリランカの関係は単純に経済的支援を行う側と受ける側ということではなく、同国の親日ぶりも近年に始まったことではありません。 両国の間には過去の絆があり、それは特に日本人が知っておくべき歴史であるのです。 実は戦後の日本を救ってくれた恩ある人々の1人がスリランカの初代大統領 ジュニウス・リチャード・ジャヤワルダナ氏なのです。 1951年のサンフランシスコ講和会議にて連合国は莫大な賠償を日本に請求しただけでなく、日本の分割統治を検討していました。 アメリカの統治案では、沖縄から九州・中国地方までがイギリス、四国は中国、中部から新潟・宮城周辺までをアメリカ、北海道・東北地方をソ連が統治するというものでした。 この会議において、当時、旧セイロン大蔵大臣であったジャヤワルダナ氏がスピーチを行っています。その内容は以下の通りです。 「日本から賠償をとるべきでしょうか。我々は権利を行使するつもりはありません。憎しみは憎しみでは消えず、愛することによってなくなります。」 会場は大きな拍手に包まれ、会議の方向性が変わり、日本は分割統治から免れたと言われています。 このジャヤワルダナ氏の対応に対し、当時の総理大臣であった吉田茂氏は「日本人はこの大恩を後世まで忘れてはならない」と語っています。 ◆日本を愛し続けたジャヤワルダナ元大統領 その他にもジャヤワルダナ元大統領がいかに日本を愛していたかがわかるエピソードが残されています。 ジャヤワルダナ氏は1996年に亡くなられたのですが、その際に元大統領が「自分の右目の角膜はスリランカ人に、左目の角膜は日本人に送ってほしい」と述べられ、亡くなられてから2年半後、群馬県の女性に角膜移植がおこなわれています。 ここには元大統領が「自分はスリランカと日本の両方の国を見ておきたい」という想いが込められていました。 なぜ元大統領はここまで日本を愛してくれたのでしょうか。 そこには、欧米列強と戦った勇気ある国である日本とその国民に対して並々ならぬ敬意があったからだと言われています。 ◆インド洋経済圏の中心に位置するスリランカ 東南アジア10か国から成るASEANが擁する人口が6億人であるのに対し、スリランカやインドなど8か国が加盟するSAARC(南アジア地域協力連合)の人口は17億人にのぼります。 スリランカはこの巨大なインド洋経済圏の中心に位置しているのです。このスリランカとの関係を強固にし、経済的連携を強めながら、中国の海洋進出など不安定要素の多いアジアにおいて日本が貢献できることは多くあるはずです。 ジャヤワルダナ元大統領がサンフランシスコ講和会議において勇気あるスピーチをされたように、日本は「正義とは何か」を考え、国際社会にはっきりと打ち出していくべき時期にきているのではないでしょうか。 憎しみを超えて、愛を取るべく、日本がリーダーシップを発揮しなければなりません。 親日国ポーランドの重要性 2016.02.16 文/HS政経塾4期生 幸福実現党 大阪本部副代表 数森圭吾 ◆経済成長 真っただ中にある「ポーランド」 作曲家のショパンが生まれた国であり、文化においても有名なポーランドですが、近年、首都ワルシャワには近代的な建物や商業施設が次々と建てられています。 同国は2013年時点で21年連続プラス成長という経済成長の真っただ中にある国なのです。 ◆地政学的にも重要なポーランド ポーランドは過去、ワルシャワ条約機構という旧ソ連を中心とした軍事同盟に参加する旧共産圏の一員であり、東側の拠点となっていました。 しかし1989年に民主化され、その姿は急激に変化しています。同国は現在EUに加盟していますが、ドイツ・ウクライナ・ロシアなどの国の中間あたりに位置し、地政学的にも重要な意味を持った国となっています。 ◆日本ブームに沸くポーランド このポーランドでは剣道など日本の武道がブームとなっており、日本語を勉強している人が増えているそうです。 ポーランドの名門大学であるワルシャワ大学で最も人気のある学科は「日本学科」。この学科に入るための倍率は30倍を超えるそうです。 日本の食文化も広く受け入れられ、「AJINOMOTO」や「NISSIN」が販売している日本語表記の即席麺が大人気となっています。 また日本企業のポーランド進出も進んでおり、企業数はこの10年余りで3倍にもなっています。 ◆日本とポーランドの絆 1795年から1918年までポーランドは帝政ロシアの支配下にありました。このとき10万人ともいわれるポーランド人がシベリアに送られました。 その後1917年にロシア革命がおこり、ロシアは内戦状態に突入。シベリアに残された多くのポーランド人は極寒のなかで命を落としていったといいます。 この過酷な状況のなかで多くの孤児が生まれました。ポーランドはこれらの子供たちを救うべく、アメリカやイギリスなどに、助けを求めるための救命嘆願書を出しましたが各国からの返事はありませんでした。 そんななか、唯一返事を返した国が日本だったのです。結果、765人の孤児が日本へ運ばれ、大阪や横浜に2年間滞在することとなったのです。 ◆ポーランド孤児が忘れない「日本のおもてなし」 当時の日本は大正時代。決して豊かといえる状況ではなかったと思います。 しかし、シベリアの衛生状態の悪い環境で過ごしていた孤児たちは日本において適切な医療を受け、民間からはお菓子や文房具、玩具がたくさん送られほか、慶應義塾の塾生たちが孤児たちのために音楽会まで開催したそうです。 さらに日本全国からは寄付がよせられ、その額は現在の5億円に上りました。 これらの「日本のおもてなし」によって、2年後、孤児たちがポーランドに帰国するときには765名だれ一人欠けることはなく、泣いて別れを惜しみ、出港する船の上では日本の国旗を振りながら、全員で君が代を斉唱したそうです。 その後ポーランドに戻った孤児たちは、1929年にワルシャワで「元孤児の会」を結成。日本での出来事を語り継ぎ、日本への感謝を忘れなかったといいます。 2002年に天皇皇后両陛下がポーランドを訪問された際、高齢となった元孤児たちがお迎えに駆けつけ、日本への感謝を述べてくれたそうです。 このように90年以上の昔の出来事が現在も日本とポーランドをつないでくれているのです。 ◆恩返しをしてくれたポーランド その後、日本に対して恩を感じてくれていたポーランドは第二次世界大戦において、極秘情報を日本に提供してくれます。 1945年、連合国のトップがヤルタ会談にて戦後の世界秩序について話し合いました。 この会談でソ連が日本に侵攻することが決定されたのですが、この極秘情報をソ連と同じ連合国側であったポーランドが入手し、敵国側である日本に秘密裡に教えてくれたのです。 また、阪神淡路大震災のときには、被災した日本の子供たちをポーランドに招待してくれたというエピソードなどもあります。 ◆ポーランド外交の重要性 親日国ポーランドとの関係性をより深めることは、今後の日本にとって非常に重要であると考えます。 ポーランドは歴史的にドイツ・ロシアと深い関係をもっており、日本が持っていない情報や人脈があると考えられます。 ドイツはEU経済を支える主要国であり、ロシアは北方領土などの日露問題を抱える相手国であると同時に、様々な世界情勢に大きくかかわる国です。 この二国との関係性を密にするためにポーランドは非常に重要な役割を果たしてくれる可能性があるのです。 また、意外なことにポーランドが北朝鮮問題に対して力を発揮してくれる可能性があります。 もともと共産圏であったポーランドは北朝鮮と国交がありましたし、昨年まで北朝鮮のポーランド大使だった金平一(キム・ピョンイル)は金正日前総書記の異母兄弟でもあるように、両国には浅からぬパイプが現在も存在しているといわれています。 先日、安倍首相は北朝鮮による日本人拉致の再調査中止を発表しましたが、ポーランドは「北朝鮮による拉致問題の解決で日本を支持する」と表明してくれていました。 今後、ポーランドとの関係を深めることによって、日本が抱える北朝鮮問題解決への糸口が見えてくるかもしれません。 今後、国際社会のなかで日本がリーダーシップを発揮していくためにも、ポーランドは日本がパートナーとすべき重要な国の一つであることは間違いないでしょう。 すべてを表示する 1 2 3 Next »