Home/ 加納 有輝彦 加納 有輝彦 執筆者:加納 有輝彦 岐阜県本部政調会長 戦後70周年――戦後レジームからの脱却の秋(とき) 2015.03.08 文/幸福実現党・岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆ホロコーストとしての「南京大虐殺」 昨年、12月13日、初の国家哀悼日の式典に参列した中国習近平国家主席は「南京大虐殺の事実を否定しようとしても、30万の犠牲者と13億の中国人民、平和と正義を愛する世界の人々が許さない」などと、事件の犠牲者が30万人に上るとの中国側の立場に改めて言及しました。(朝日12/13) また李克強首相は、今月5日開幕した全人代での政府活動報告で、今年が抗日戦争勝利から70年にあたることに触れ、「反ファシズム戦争と抗日戦争勝利の70周年を記念する関連行事を催す」と表明しました。 抗日戦勝記念日の9月3日頃に北京で軍事パレードを実施する見通しです。 この文脈によれば、日本はファシズム国家であり、「南京大虐殺」は、ナチスによるユダヤ人大虐殺(ホロコースト)と同じ歴史的事実であり、これを否定することは、ホロコーストを否定する「歴史修正主義」と同じであり、戦後秩序に対する挑戦、すなわち許されざる大罪であるということになります。 「南京大虐殺」をナチスのホロコースト並みの人道上の罪に仕立て上げ、日本を憲法9条の鎖でしばりあげておくことが、現在の中国の国家戦略であることは明らかであります。(幸福実現党は、南京大虐殺はなかったとする立場です。) これはひとり中国の立場でなく、英米にも見られる立場であると言えます。 ◆海外における皇太子殿下の記者会見報道 本年2月23日の皇太子様の55歳の誕生日に先立ち行われた記者会見において、皇太子さまが戦争の記憶が薄れつつあることに触れ、「謙虚に過去を振り返るとともに、戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に、悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切であると考えています」と述べました。 この会見は、海外において以下のように報道されました。 英ガーディアン紙は、「皇太子、日本は第二次世界大戦の歴史を書き改めてはいけないと述べる」と見出しを付け、副題を「皇太子、戦争での日本の行為を正しく記憶することが重要だとの異例の発言。右翼たちが従軍慰安婦の問題を矮小化しようとする中で」としています。 Japanese crown prince says country must not rewrite history of WW2(The Guardian 2/23) http://www.theguardian.com/world/2015/feb/23/japanese-crown-prince-says-country-must-not-rewrite-history-of-ww2 同紙は、特別に反応しなかった日本の新聞を尻目に、ツイッター等ソーシャルメディアで飛び交った反応を紹介し、殿下の穏やかな口調ながら徹底した意思の表明は、従軍慰安婦問題などを重要視しない右翼主義者たちの中心にいる安倍晋三首相への批判とも受け取られた、と伝えているのです。 BBCも同様の文脈で報道し、最近の安倍政権の動きに加え、日本の歴史教科書は、日本の戦争時の残虐行為をごまかしていると長年批判を受けていると報じています。 Japan’s Crown Prince Naruhito urges ‘correct’ war history(BBC NEWS ASIA 2/23) http://www.bbc.com/news/world-asia-31585492 ◆歴史認識包囲網の中で 海外メディアが、特に反応しなかった日本の新聞報道ではなく、日本のネットユーザーによる「安倍首相への警告を含んでいるのではないか」などと反応した論議を積極的に紹介していることは、日本の保守勢力を歴史修正主義者と断罪するための意図が働いているとも思えます。 このように、戦後70年の本年、中国を先頭に、いわゆる連合国史観、つまり東京裁判史観による歴史認識包囲網が敷かれつつあります。 幸福実現党は、普遍的観点から先の大戦における日本の使命を正当に再評価する必要があると考えています。 すなわち西欧列強の人種差別による植民地支配から、アジアの同胞を解放するため、そして自国民を帝国主義から、共産主義勢力から護るための聖戦、自衛戦争であったという戦後一貫して抹殺されてきた観点です。 ゆえに、日本の歴史の再評価は、ホロコーストを否定する歴史修正主義などでは断じてありません。いや、一般市民を殲滅した東京大空襲をはじめ、日本各地の大空襲、そして広島、長崎への原爆投下こそがホロコーストでなくてなんでありましょう。 米国に対しても自国の歴史に対し真摯に向き合い、反省をして頂く必要があると考えます。これは決して日米同盟を否定するものではありません。 真実の歴史認識こそ、世界平和、未来創造への第一歩と信じます。 歴史認識を糺す運動の一貫として、幸福実現党は現在、中国による「『南京大虐殺』『従軍慰安婦』のユネスコ記憶遺産への申請に抗議し日本政府に万全の措置を求める署名」を行っております。 皆様のご協力をよろしくお願いいたします。(3月24必着) 署名用紙 http://info.hr-party.jp/files/2014/06/MpiuQvKg.pdf 【署名送付先】〒107-0052 東京都港区赤坂2-10-8-6F 幸福実現党本部 TEL:03-6441-0754 家庭教育支援条例の試み 2015.02.22 文/幸福実現党・岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆地方議員立法による「家庭教育支援条例」の制定の動き 本年は、年明け早々より育児放棄、幼児虐待、子供が犠牲となった殺人事件等の報道が相次ぎました。いじめ問題も後を断ちません。 このような子どもを取り巻く厳しい環境下にあって、近年、全国複数の地方議会において議員立法による「家庭教育支援条例」が制定されております。 「家庭教育支援条例」制定の流れは、平成18年に「教育基本法」が改正され、家庭教育の独立規定(第10条)が盛り込まれ、「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有する」と親の自覚を促すとともに、「国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない」と明記したことから始まっています。 この「教育基本法」の理念を受けて、地域社会全体で家庭教育を支えていくという機運を盛り上げて、地方行政が、家庭教育支援施策を総合的に推進していくという目的で条例が制定されています。 ◆大阪市議会「家庭教育支援条例案」の蹉跌 平成24年5月に、「大阪維新の会」が大阪市議会へ提出しようとした家庭教育支援条例案の中身は、大変な物議を醸しマスコミでも注目されました。 当条例案で特に批判された箇所は、「乳児期の愛着形成の不足が軽度の発達障害やそれに似た症状を誘発する大きな要因」であり「伝統的子育てによって(発達障害は)予防できる」と断定的に書かれていることに対してでした。 これに関し「親の育て方が原因であるような表現は医学的根拠がない」というのが、批判の最大のポイントとなり、発達障害児を持つ親が精神的に傷ついたと、この条例案は似非科学であると大きな批判を浴びました。 同時に、この条例案を主導したとされた親学推進協会理事長の高橋史朗明星大学教授も批判の対象となりました。 高橋教授は、これらの批判に関し、一部誤解があるとし、緊急声明を出しました。(平成24年5月) 緊急声明の中で、高橋教授は、傷ついたであろう関係者達に誤解を解く努力をされた上で、「親の『人権侵害』だと声高に叫ぶ人たちには、子供にも発達段階に応じて親から保護される権利があり、教育基本法第10条が「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって・・・・・心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする」と明記していることも忘れないでほしい。」と訴えておられます。 家庭教育支援条例案に対する緊急声明 親学推進協会理事長 高橋史朗 http://www.oyagaku.org/userfiles/files/rinnji20120508.pdf 結局、「大阪維新の会」が大阪市議会へ提出しようとした家庭教育支援条例案は、議会に提出されませんでしたが、その後、全国の複数の県議会が、子供たちの健やかな成長を育むために、条例の制定に動き、実現させました。 ◆地方議員の「ささやかな」勇気 直近では、昨年の12月、岐阜県議会の議員提案で、「岐阜県家庭教育支援条例」が制定されました。 内容は、大阪維新の会で批判の対象となった、発達障害等に関する個別の言及を避け、一般論として、少子化や核家族化の進行、共働きやひとり親家庭の増加、地域のつながりの希薄化などにより、家庭の教育力の低下、地域の教育力の低下を指摘し、育児不安、児童虐待、いじめなどが社会問題となっていると問題定義しています。 また特筆すべきは、家庭教育として、具体的に次の九つを上げていることです。 一、基本的な生活習慣、二、自立心、三、自制心、四、善悪の判断、五、挨拶及び礼儀、六、思いやり、七、命の大切さ、八、家族の大切さ、九、社会のルール。 親は、これらの具体的徳目を子供に家庭において教育する第一義的責任を負うという前提を明確にした上で、地域社会、地方行政が、これをサポート、支援していくということです。 実際にこの条例の制定を中心的に主導した県議会議員は、「有権者が選ぶ議員が、このような有権者を上から目線で指導するような条例を制定することはおこがましいと思うが、家庭教育に関しそれほどの危機感を持っている。」とその心情を吐露しました。 教育勅語の「子は親に孝養を尽くし、兄弟・姉妹は互いに力を合わせて助け合い、夫婦は仲睦まじく解け合い・・・」の時代に逆戻りさせる反動的条例との左翼陣営からの極端な批判も聞こえなくはないですが、家庭のあるべき姿を、県議会議員が覚悟を持って県民に指し示すことは、「徳知主義的民主主義」の小さな一歩として、そのささやかな勇気に、宗教政党の党員として敬意を表するものであります。 60年ぶり農協改革の行方 2015.02.08 文/幸福実現党・岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆大詰めに入った農協改革 昨年6月、政府の規制改革会議の決定に端を発した農協改革が、大詰めに入りました。 規制改革会議は、農協組織の頂点に立つJA全中が経営指導で地域ごとの農協を縛る権限をなくし、個々の農協、農家の創意工夫を伸ばす環境に変えることは必須条件だとし、安倍首相は「地域の農協が主役となり、農業の成長産業化に全力投球できるように抜本的に見直す」と明言しました。(日経Web 14/6/16) そして昨日、8日夜、全国約700の農協改革を巡り、政府・自民党と全国農業協同組合中央会(JA全中)の折衝が、大筋決着したと報道されました。(日経Web 2/9) その内容は、規制改革会議の提言通り地域農協を束ねる JA全中の監査・指導権をなくし、2019年3月末までに一般社団法人に転換するということです。(現在、全中は特別民間法人)1954年に始まった中央会制度をほぼ60年ぶりに見直す改革となります。 これらの改革は、今国会に農協法改正案等に盛り込まれ提出される予定です。(農協法、農業委員会法、農地法ほか) ◆農協組織の現状 さて、農協の組合員は969万人(正組合員472、准組合員497、2010現在)。基本的に市町村レベルの地域農協の数は、90年頃には概ね一市町村一農協でしたが、その後合併が進み、現在約700となり、市町村数1719の半分以下となっています。 地域農協は、農業、生活物資の供給、信用(銀行)、共済(保険)などJAグループが行うすべての種類の事業を行っています。 さらに都道府県以上の組織として連合会があり、農業、信用、共済などの機能ごとに組織されています。それぞれの機能の頂点に、全国レベルの全中、全農、農林中金、全厚連、全共連があります。 ◆JA全中の監査権の廃止 政府・自民党の農協改革議論の中で、今回中心の論点は、JAグループの指導機関とされているJA全中の地域農協に対する監査・指導権の廃止についてでした。 廃止の理由は、「全中の監査・指導が地域農協の自由な経営を阻んでおり、組合長の経営者としての自覚も阻害し、中央集権の弊害が見られる」というもので、地域農協の自由な創意工夫による成長を促すというものです。 現在、農協法37条の2は、貯金200億円以上のJAなどに全中による監査を受けなければならないと全中の監査権を定めています。また、全中は、地域農協から賦課金を徴収する強い権限も与えられています。 全中の監査部門「JA全国監査機構」の人員は、560人で、うち農協監査士が340人、公認会計士は30人。この態勢で約640の地域農協の監査を行ってきました。 改革案は、この監査部門を、社団法人化に併せて分離し、新監査法人を設立します。独自の「農協監査士」が担ってきた監査を民間の公認会計士が行うようにし、依頼する監査法人も各地域農協が選択できるようになります。 ◆農協改革に強烈に反対してきたJAグループ 今回、合意に至りましたが、JAグループは一貫して、改革に反対を表明してきました。 特に、全中の監査・指導が地域農協の自由度を縛っていると政府から度々指摘された事に関し、「根拠のない絵空事」と猛反駁し、日本農業新聞は、全JA組合長に緊急アンケートを施し、1/29日付紙面で以下の通り大見出しを打ちました。 『組合長95%が否定』~本紙全JAアンケート政府認識と正反対~「全中の指導が、JAの自由な経営を阻んでいる」との政府の理由に対し、全国のJA組合長の95%が「そうは思わない」と、全く逆の回答を突きつけた。 これほどの猛反対にも関わらず、全中が合意したのは、政府もそれなりの譲歩をしたと考えられます。 その一つとして、産経は、全中の万歳会長は、農家以外の准組合員の利用制限導入を避けることと引き換えに骨格の受け入れを決めたとみられると報じています。 政府の譲歩が、農協改革を骨抜きにするものでない事を、注視していく必要があります。 ◆農協改革は農政改革 幸福実現党は、現在の農政の最大の課題の一つに、多額の国民負担により、国内米価を高水準に維持し、結果、小規模の兼業農家を滞留させ、意欲ある専門農家の大規模化を阻害していることがあると考えます。 その結果、コストダウンが図れず、国際競争力が持てない、結果、米は特別に関税を必要とするという悪循環から抜け出すことができません。 今回の農協改革が、地域農協の自由性、独自性を開花させ、農業の生産性の向上、食料安全保障の強化、国際競争力の向上に繋がっていくよう、注視していくと同時に、政策研究・提言も行ってまいりたいと考えます。 世界の警察の衰退とイスラム国の台頭 2015.01.11 文/幸福実現党・岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆イスラム過激派のテロ 今月7日、ムハンマドの名誉が汚された事への報復として、フランスの風刺週刊誌の本社が襲撃され、編集者等12名が殺害された事件は、イラクやシリアでイスラム過激派の掃討を進める欧米社会を震撼させ、さらなるテロへの警戒が強化されることは必至の状況となりました。 現在、イスラム過激派の中で、世界の耳目を最も集めているのがイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」です。 現在イスラム国掃討のため、アメリカを中心とする有志連合によりイラク北部への空爆が行われていますが、フランスは空爆参加国の一つであります。 ◆イスラム国台頭の端緒 さて、イスラム国はいかなる経緯で出現したのでしょうか。 オバマ大統領は2011年12月14日にイラク戦争の終結を宣言し、その4日後、イラクから全ての米軍部隊が撤退しました。 同月ワシントンを訪問したイラクのマリキ首相(当時)は、オバマ大統領と共に、米軍の撤退をイラクの自立とアメリカの勝利と呼びました。 しかし、マリキ首相の訪米を機に、イラクの混迷はさらに深まりました。オバマ大統領と会談中に、バグダッドからある情報がマリキ首相に寄せられました。 当時マリキ政権は、イスラム教シーア派が主導権を握っていました。その情報とは、スンニ派のハシミ副大統領(当時)が政権幹部に対するテロ計画に関与しているという内容でした。 マリキ首相は、オバマ大統領にその内容を報告すると、オバマ大統領は国にはそれぞれの法律があり、法の支配を尊重するようにと返答したと言われています。 マリキ首相は、その返答を今後のあらゆる行動を容認すると受け止めました。スンニ派に対して何をやっても構わない、アメリカは邪魔をしないと受け取ったのです。イラクの内政問題だという言質を取ったことになります。 ◆スンニ派への大弾圧 マリキ首相は、帰国後、米軍の撤退が完了したその翌日、ハスミ副大統領の逮捕を命じ、アメリカから自立した事を内外に示しました。 これがマリキ首相のスンニ派への大弾圧の始まりとなりました。大弾圧によりシーア派とスンニ派は完全に分断され、敵対関係となり内戦状態になりました。 その間、イラク駐在のアメリカ大使は何度もマリキ首相を押さえ込む必要があるとホワイトハウスに警告しました。 しかし、オバマ大統領は、イラク戦争は間違っていた、だから戦争を終わらせるだけでいいという考えで いかなる制裁を科すこともありませんでした。 アメリカの不干渉とイラクの内戦による統治の空白、そして隣国シリアの内戦による統治の空白が、当時壊滅状態にあったイラクのアルカイーダの息を吹き返させることになりました。 好戦的なアルカイーダの戦闘員、痛めつけられたスンニ派の部族、権力奪還を狙うバース党員が核となって イラク、シリアの統治空白地帯に勢力を拡大していきました。 ◆イスラム国の誕生 2013年3月には、アルカイーダの黒い旗が現れました。この頃から彼らは、自らをイラクとシリアのイスラム国(ISIS アイシス)と呼ぶようになりました。 アイシスは当初はサウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦等の湾岸諸国に住むスンニ派富裕層の資金援助を頼っていましたが、次第に油田を制圧し資金的にも自立していきました。 そして2014年6月アイシスは、指導者のバグダディーをカリフ(イスラム共同体の最高権威)とし、既存の国境を認めないイスラム国家の樹立を宣言しました。 スンニ派の厳格な一派、サラフィー主義は、ムハンマドの後継者であるカリフには忠誠を誓うことになっています。 7月には、制圧したモスルのモスクの説教壇でバグダディーが説教しました。これはビンラディンも、アルカイーダの指導者ザワヒリも行ったことがない事でした。 この説教の模様はメディアを通じて世界に発信され、新たに数千人の戦闘員が集まりました。 しかし、イスラム国の戦闘員の実態は、カリフ制の維持より、殺人を主要な仕事とする「殺人鬼」の様相を呈しています。 ◆アメリカの介入 8月、イスラム国は、有望な油田地帯のクルド人自治区へ侵攻し、中心部のアルビルに迫りました。アルビルはアメリカと結び付きの強い都市です。 アルビルに脅威が及び、ついにアメリカ政府は介入を決定し空爆を実行しました。同時にマリキ首相が辞任しなければ、次の軍事支援は行わないとし、空爆開始後一週間で、マリキ首相は辞任。アメリカは空爆を強化し、20カ国以上に軍事支援を呼びかけました。 その後、有志連合による空爆が実施され、カリフ、バグダディーが重傷を負ったという情報もあります。 イスラム国の壊滅のためには、デンプシーアメリカ統合参謀本部議長は、地上部隊の派遣の可能性を否定していません。しかし、オバマ大統領は、地上部隊の派遣はしないとの立場を崩していません。 以上、イスラム国に関する経緯を簡単に振り返りましたが、歴代の駐イラク、アメリカ大使等高官は、はっきりとオバマ大統領の不介入の政策は間違いであったと述べています。 2013年9月、シリア問題に関するテレビ演説で、オバマ大統領は「アメリカは世界の警察官ではない」と述べましたが、世界の警察の撤退と、イスラム国の台頭を見るとき、「正義」を掲げ、世界の警察官たる気概を持つ大国の存在の必要性を認識します。 本年、有志連合の支援のもと、イラク政府軍の大攻勢が計画されていると言われますが、引き続きイラク情勢を注視していかなければなりません。 真なる財政再建への道 2014.12.28 文/幸福実現党・岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆信を失った政治家 先の解散総選挙の投票率は、小選挙区選、比例選共に、戦後最低を記録しました。(52・66%、52・65%) 今回の総選挙が、大義なき選挙とも言われ、また一強他弱と言われる政局の中で、盛り上がりに欠け関心が高まらなかったと一般論としては言えるかもしれません。 しかし、根本的には根強い政治不信の問題があります。 街頭インタビュー等でしばしば聞かれる言葉が「どうせ誰がやったって同じ。何も変わらない。」と政治家への期待は何も持たないとする立場です。 政治家は、選挙前は有権者にペコペコし、選挙が終わると公約を公然と反故にしても恬として恥じない、ウソつきは政治家の始まりといわれるほど、政治家の信頼は失墜しています。 2009年の政権交代選挙の際、民主党野田佳彦候補の行った街頭演説は、今に至るまで動画サイトで繰り返し閲覧され話題を呼びました。 「マニフェスト、イギリスで始まりました。ルールがあるんです。書いてあることは命懸けで実行する。 書いてないことはやらないんです。それがルールです。 書いてない事を平気でやる。これっておかしいと思いませんか。」 民主党のマニフェストに書いていなかった「消費増税」を平気で3党合意の上決定した野田首相、民主党が信を失った事は当然で、国民の政治不信は深刻なものとなりました。 ◆血税の重みを感じない政治家、官僚 さらに時を遡れば、消えた年金問題があります。国民は保険料として収めていたつもりでしたが、受け取る国は税金のように使いたい放題、ずさんな管理をしていました。しかし、歴代の社会保険庁長官等、個人責任をとった者はいません。 また、東日本大震災時の復興増税で調達した復興予算19兆円のうち2兆円を超える額が、沖縄の国道整備など、被災地と無縁の事業に流用されていた事は、被災者を思う国民の善意に対する背信行為として批判を浴びました。 現在、税と社会保障の一体改革として、消費税は全額社会保障に使うと言われても国民は無批判に信じることはできません。一度、税金が国庫に入ってしまえば、その先何に使われるのか保証の限りではありません。 政治家、官僚は、税金とあらば、湯水のように使ってしまうという不信があるのです。加えて、国会の定数削減等、自ら身を切る改革は一向に進んでいません。 政府は、2015年度のプライマリーバランス(PB)赤字半減、2020年度の黒字化という財政健全化の目標を国際公約として掲げています。 財務省は、もっぱら増税により財政健全化を計ろうとしていますが、デフレ経済の克服が道半ばの現状で、極めて険しいと言わざるを得ません。 ◆政治家に求められる徳 政治不信の極みにある中、国民は、政治に「高貴さ」「徳」を求めているのではないでしょうか。人が見ていないところでも国民の幸福を願い続ける政治家、人が見ていないところでは、自らの政治生命の延命のため権謀術数をめぐらす政治屋には辟易しているのではないでしょうか。 「徳」に対しては、古来、人は財物の喜捨を厭いません。現代においても、貧富の差なく篤志家は存在し、納税の義務を果たした上で、さらに寄付行為を行っています。 東日本大震災後の復興増税に関して、被災者のためならと国民は増税を受け入れました。 これら国民の絆を見て、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ」(国に危機があったなら自発的に国のため力を尽くし)という教育勅語の精神が現代にも生きていると評した政治評論家もおられましたが、日本人の公共心が失われていないと勇気づけられました。 このような観点から、財政健全化への真なる道は、政治家自身が、徳を積み、国民の信頼を回復することにあると思います。 同時に徳ある政治家は、仁徳天皇の故事の通り、国民が苦しんでいる時は、減税を実施し、国民の苦しみを和らげるのです。であればこそ、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ」の精神で国民は、必要な時には、国のために誇りをもって税金を治めるようになると考えます。 幸福実現党は、宗教政党として、徳ある政治家の理想像を追求して、日本の政界の浄化に貢献してまいりたいと思います。 日本人の国民性と相性の悪い消費税 2014.12.14 文/幸福実現党・岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆アベノミクスのブレーキとなった消費増税 この度の総選挙は、大方の予想通り、自民党の圧勝に終わりました。 10%への消費増税を2017年4まで延期する事に異論はなく、今回の総選挙は事実上、安倍政権信任投票の色彩が濃く、国民の関心は薄く、投票率は戦後最低となりました。 安倍首相は、今回の総選挙をアベノミクス解散と銘打って臨み、この結果を経て、引き続きアベノミクスを推進していくと考えられます。 今回、消費増税を18ヶ月延期した事は、消費増税がアベノミクスのブレーキとなった事を自ら認めた事になります。 ◆正しかった「増税反対」を訴えた少数派有識者 昨年8月、5%から8%への消費増税の是非について有識者の意見を聴く政府主催の「集中点検会合」があり、招聘された60人のうち、約7割の44人が、本年4月に予定通り3%引き上げるべきと主張しました。 ほとんどの有識者が財務省の意向通り増税すべきとした中で、筑波大学宍戸駿太郎名誉教授、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの片岡剛士氏等、一部の少数派が明確に増税に反対しました。 宍戸駿太郎名誉教授は、点検会合参加直後に出演したインターネット情報番組『ザ・ファクト』「消費増税で大不況到来!GDPがマイナス6%に!」(http://youtu.be/fW5LpSpDUo8)において、「アベノミクスの第一楽章は素晴らしかったが、第二楽章で葬送行進曲のようになり、第3楽章は収拾不能 となる」と消費増税がアベノミクスを台無しにすることを明確に警告しておられました。 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの片岡剛士氏も、昨年夏の「集中点検会合」の席上、景気の現状は「本格回復」ではなく、消費増税すれば、2014年度の 実質GDP成長率はゼロ%台と試算、対外経済が悪化した場合、「容易にマイナス成長となる」と危機感を示していました。 しかし、少数意見は掻き消され、財務省の筋書き通り、本年4月、消費税は8%に増税されました。 ◆増税ありきの財務官僚 先月も、来年10月から消費税を8%から10%に増税することの是非を問う政府主催の点検会合が5度にわたって開催されました。 当初、財務官僚主導で選定された会合メンバーの原案からは、昨年夏の点検会合で「増税反対」を明確に唱えた学者・エコノミストは全員が外されていました。つまり正しい見通しを述べた有識者が外されたということです。 メンバーの構成の不公正ぶりに安倍首相は激怒し、「賛成・反対を50対50にしろ」と見直しを急遽スタッフに命じましたが、時すでに遅く、増税反対派の若田部昌澄早大教授、若手エコノミスト片岡剛士氏、そして宍戸駿太郎筑波大学名誉教授を追加するのが関の山だったと伝えられています。 会合では財務官僚の筋書き通り、地方自治体、労働界、財界、中小企業団体、消費者団体の各代表の圧倒的多数が増税やむなしという意見でした。(首相もあきれた御用学者・エコノミストのウソ論法:田村秀男) このような経緯から、今回の勝利は、安倍首相にとっては、あくまで増税を画策する財務省に対し、増税延期を認めさせる最大の説得材料となりました。 ◆倹約・節約を美徳とする日本人と消費税 しかしながら、2017.4には、景気判断条項は付さず、確実に10%に増税するという「増税宣言」は、今後の日本経済に重い足かせとなります。この安倍首相の折衷主義、不徹底が、真なるデフレ脱却を困難とするでしょう。 安倍首相が増税延期を決断した根拠ともなった、本年7-9月期のマイナス1.6%成長は、民間エコノミストの誰もが予想しなかった悪い数値とマスコミ報道されましたが、増税反対を訴えていた有識者の存在を無視した一方的な報道です。 幸福実現党大川隆法総裁も、当初より消費増税により、マイナス成長になると断言しておられました。 また、先月23日に開催された法話「幸福を実現させる成長戦略」においては、「消費税は日本人の国民性になじまない」と説かれました。 増税する度に、不景気となる消費税は、そもそも日本人の国民性と相性が悪いという見解です。 増税されると、財布の紐を締める、倹約、節約に走るという国民性は、一人一人の経済行為としては合理的であり、美徳なのですが、これが日本人というマスの行為となると、消費不況を引き起こすことになります。 政府は、税収を増やす方法は、増税か、歳出削減が、二つしかないといいます。幸福実現党は、経済成長による税収増を選択すべきと考えます。 2017年4の10%への増税宣言が、経済成長のブレーキとなります。引き続き、減税による経済成長政策を発信し、国政に影響を与えてまいりたいと思います。 この度、幸福実現党に尊い一票を託して頂いた有権者の皆様に厚く御礼申し上げると共に、ご期待に応えるべく研鑽を重ねてまいります。引き続きのご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。 自由の大国へ船出しよう! 2014.12.01 文/幸福実現党・岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆違和感の拭えない「代表なくして課税なし」という大義 12月2日、衆院選の公示日を迎え、選挙戦に突入しました。 11月18日の記者会見において、安倍総理は、「代表なくして課税なし」というアメリカ独立戦争の大義を引用し、民主主義の原点は税制であり、これを変更するのであれば、国民に信を問うのは当然とし、今回の解散総選挙に大義ありとしました。 「代表なくして課税なし」という大義は、イギリスが植民地のアメリカに対して勝手に関税を課したことに抗議し、入植者達が政治参加を求めて立ち上がった時のものであります。 「税率は支配者が一方的に決めるのではなく、国民が(代表者が)民主的に議論し決めるのである」確かに税制とは、民主主義の根幹であります。 しかし、今回の解散の大義を説明するものとして安倍総理がこれを掲げることにはどうしても違和感があります。 そもそも8%への増税、10%への再増税は、民主党野田政権下で、民主党の公約「4年間消費税は増税しない」を反故にする形で、国民の合意のないまま、自民党、公明党の3党で合意され法制化されたものです。 今回、自民党が自党で決めた増税で、景気が悪くなった、ゆえに再増税を延期する。しかし、次は万一不景気であろうが必ず10%に増税するという、事実上の「増税宣言」である今回の自作自演劇の大義に、民主主義の根幹であり国民の抵抗権を象徴する「代表なくして課税なし」を使って欲しくないと思うのです。 事実上の増税宣言をした安倍首相は、逆に重税で、苦しむであろう国民の「抵抗権」を受ける側の権力者の立場であります。 ◆増税翼賛体制下における戦い 現在、官僚、自民党、公明党、民主党等主な政治家、朝日、日経を筆頭に大手新聞社、点検会合に招かれた財務省寄りの各界を代表する増税派等で、現代日本は増税翼賛体制が敷かれています。 大きな政府を志向する増税翼賛体制下にあって、2009年立党時より一貫して増税ではなく減税を訴え、そして小さな政府をはっきりと志向してきた政党は、幸福実現党が筆頭であると考えます。 今回の総選挙の重要な争点の一つが、増税翼賛体制の下、大きな政府に突き進むのか、幸福実現党の訴える小さな政府を志向するのか、があると考えます ◆大きな政府VS小さな政府 大きな政府は、国民に重税を課し、税金を吸い上げ、国民に再分配する配給型社会主義です。 老後を保障するといいながら、私有財産が没収され、家庭が崩壊し、よしんば肉体生存が維持できたとしても、それは孤独な収容所と大差ない不自由な生存となりかねません。 しかし、小さな政府は、安い税金で、国民の自由が最大化され、空前の好景気を産み、富の蓄積がなされ、私有財産は守られ、家庭が守られ、地域社会が守られ、豊かな人間関係の中で、老後の幸福も増進されます。 ◆自由の大国こそ、日本のあるべき姿 そもそも本当に、まるごと国から面倒を見てもらわなければ、私たち人間は、生存できないのでしょうか。 この問いに答えるためには、人間とは何のために生まれてきたのか?という人生の目的と使命に答えなければなりません。 幸福実現党は、宗教政党として人生の目的と使命を踏まえ、政策を紡ぎ出しています。 自由の大国こそ、日本のあるべき姿です。自由が保障された国では、正しい宗教も繁栄し、指導者の徳が高まり、国民の幸福感も一層高まります。 大きな政府、重税国家は、社会主義、共産主義の体制に近づき、唯物論が蔓延り、指導者の徳が無くなり、正しい宗教が弾圧され、国民の命がないがしろにされます。 今回の選挙は、日本が自由の大国へ向かうのか、貧しい配給制の社会主義国家に向かうのか、その岐路に立つ、それほど重大な局面にあるのだと考えます。 <参考文献> リバティ2015年1月号「『自由』を勝ち取るための戦い」 http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1364 民主主義を成熟させる公器としての「霊言」 2014.11.22 文/幸福実現党岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆毎日のように収録されている公開霊言 幸福の科学大学の開学申請が、大川隆法総裁の『霊言』について、科学的根拠を持って一般化・普遍化されているとはいえず、学問の要件を満たしているとは認められないとして文科省により不認可となった事がじわじわと波紋を広げています。 当該霊言は、毎日と言っても過言ではない尋常ならざるペースで収録され、今や収録翌日書籍として発刊され、月刊誌「アー・ユー・ハッピー?」(幸福の科学出版)12月号において「霊言300冊完全ガイド」が特集されるなど、空前絶後の質、量を誇っています。 昨年10月都内で行われた『大川総裁の読書力』出版記念パーティー 公開霊言シリーズ200冊突破記念の席上、上智大学渡部昇一名誉教授は、次のように挨拶され霊言の価値を認めておられます。 「総裁は、霊言という他に類を見ない新ジャンルを開かれたと思います。今後、ぜひ大成してほしいと思っています。」 このように霊言発刊は、日本屈指の碩学も認める現在進行形の社会現象であり、とどまる事を知りません。 そこで霊言発刊の政治的意味の一側面を考察してみたいと思います。 ◆断ち切られた縦の民主主義 イギリスの小説家、評論家チェスタトンは「民主主義において現在生きている人々の意見を取り入れる民主主義を横の民主主義という。それにたいして、死んだ人々(祖先)がどのように考えるかを考慮に入れる民主主義が、縦の民主主義である」と述べています。 また、評論家の江藤淳氏は、「生者だけが物理的に風景を認識するのではない。その風景を同時に死者が見ている。そういう死者の魂と生者の魂との行き交いがあって、初めてこの日本という風土、文化、伝統が成立している」と日本における縦の民主主義の伝統を説いておられます。 戦後、日本は、戦前の完全否定から出発しました。つまり縦の民主主義の伝統が断ち切られたのです。 そして、現在、先の戦争の体験者であり、実際に従軍した大正生まれの日本人が、徐々にこの地上から姿を消しつつあります。 実際の戦争体験者の存在が防波堤となって、中国や韓国の行動は抑制されていた面もあったのですが、いまや戦争体験者が少なくなったことをいいことに、中国や韓国は、歴史認識で日本に情報戦を挑んできています。 受けて立つ日本の政治家は、縦の民主主義の伝統を断ち切った左翼政治家であり村山談話、河野談話に結実しました。そして戦争を知らない2世議員によりその継承がなされています。 美しい日本、日本を取り戻すとした安倍首相にして村山談話、河野談話を継承している始末です。 つまり、死人に口なしをいいことに、先祖がいかなる屈辱的扱いをうけても知らぬ存ぜぬで、現在生きている人間のその時々の政治的妥協を優先させてきたのです。 これは、江藤淳氏のいう「その風景を同時に死者が見ている。」という想像力、形而上の認識、信仰心の欠如のなせる業でありましょう。 しかし、いまや霊言によって「その風景を同時に死者が見ている」事実が、これ以上ない形で証明されています。もはや死人に口なしではなくなったのです。 ◆縦の民主主義を復活させる霊言 月刊誌「アー・ユー・ハッピー?」誌上、読者が最も印象に残った霊言として、戦後、軍国主義の象徴として永らく忌避された東條英機元首相の「東条英機 『大東亜戦争の真実を語る』」が挙げられていました。 この霊言は、戦後70年近い沈黙を破って現代日本人に発された氏の「肉声」の感があります。300万人の英霊に花一本たむける気持ちを持たなかった戦後日本人に対する無念と憂国の情が溢れ、氏の舌鋒火を吹き、まさしく肉声に他なりません。 このように死者の霊言は、日本の伝統でもあった縦の民主主義を復活、強化させるものでもあると考えます。 ◆横の民主主義に寄与する守護霊霊言 また、生きていいる人の守護霊霊言は、ある意味、横の民主主義を強化する性質もあると考えます。 今回、下村博文文科相が、大川総裁が発刊した下村氏自身の守護霊霊言の内容に腹を立て、その私怨で幸福の科学大学の開学を不可とした事がほぼ真相として確実になってまいりました。 幸福の科学大学としては、極めて甚大な被害を被ったわけですが、この霊言によって横の民主主義に対して大きな貢献をしたのではないでしょうか。 霊言が、縦の民主主義、横の民主主義双方を強化し、日本に徳治主義的民主主義を根付かせる原動力となること、またその具体的推進を幸福実現党が担っていることを知って頂けたら幸いでございます。 税金で養ってもらっているにも関わらず泡沫のごとく生まれ、消える政党と一線を画し、幸福実現党は、日本の真実の繁栄のために、今回の総選挙、全ブロックの比例区に候補者を擁立し、戦ってまいります。 参考 月刊誌「アー・ユー・ハッピー?」(幸福の科学出版)12月号 http://www.irhpress.co.jp/are_you_happy/ 東条英機、『大東亜戦争の真実を語る』 http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=955 文部科学大臣・下村博文守護霊インタビュー(2) http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1226 在宅医療への不可避の流れの中で 2014.11.02 文/幸福実現党岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆自宅で最期を迎えたい わが国は、急速な高齢化に対応して、訪問医療、訪問看護、訪問介護による在宅医療体制にシフトしていく流れにあります。救急患者、重症患者を優先する病院で慢性期の長期入院は困難な状況になっています。 爆発的に増大する老人医療費を抑制する意味でも、在宅医療へのシフトが望ましいと考えられています。 このような流れから、必然的に在宅で最期を迎える人が増えていくと予想されます。 わが国は、1976年を境に、自宅で亡くなる人より病院で亡くなる人が増え、現在では、85%が病院診療所等で亡くなり、自宅で亡くなる人はわずか13%に留まっています。(厚労省人口動態調査) 国際長寿センターの調査によれば、最期の日々を過ごす場所として自宅を理想とした人は、79.2%、同時に理想通り自宅となると答えた人は、わずか8.2%と、理想と現実のギャップが非常に大きい現実が浮き彫りになりました。(理想の看取りと死に関する国際比較研究 報告 平成23年度) 当面、高齢化社会の主役は、団塊の世代と言われています。2025年には、全ての団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となり、全人口に占める75歳以上の割合が18%となります。 このような背景から、にわかに日本人の「死に方」と「看取り」について関心が高まり、最近テレビ、雑誌等で特集される機会が増えているようです。 本年8月5日にEテレで放送された「みとりびと 看取りの時間に伝えあうこと」に大きな反響があったようです。 「みとりびと 看取りの時間に伝えあうこと」 http://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/calendar/2014-08/05.html ◆自然な最期を選択する村(東近江市永源寺地区) 舞台は滋賀県東近江市、永源寺地区。山に囲まれた農村です。人口はおよそ6,000。高齢化率(全人口に65歳以上が占める割合)は30%を超えています。亡くなる高齢者の半数以上が、病気になっても最先端の医療を求めることなく、いわゆる自然な最期を選択する村としていくつかの家族の看取りが紹介されました。 ごはんが食べられなくなって数週間、点滴や医療機器のない、いつもの部屋で村の人たちは静かに枯れるように亡くなっていきます。 看取る家族は、最期の時間に目を背けず寄り添うことで、死と向き合います。子供達も、大好きな祖父母等の死に自宅で立会います。 肉親の死を目の当たりにして、子供達も、命の尊さを学びます。 この地区の在宅医療を支えているのが地元の医師、ケアマネジャーや看護師、薬剤師など8人です。村の80人の高齢者を24時間体制でサポートするチームを組んでいます。 専門家のサポートを受けながら、自宅で家族に看取られて逝く、人間の本来の「死に様」について大きな示唆を与えてくれた番組と思います。 ◆横須賀市の取り組み 上記の事例は、農村の事例ですが、横須賀市も在宅医療に積極的に取り組んでいます。横須賀市も現在高齢化率約28%で、数年で30%になるという超高齢社会となっています。 平成25年度に横須賀市は65歳以上の介護認定を受けていない市民の方を対象にアンケートを実施しました。「あなたが病気などで人生の最期を迎えるときが来た場合、最期はどこで過ごしたいと思いますか」という設問に対し、自宅での療養を希望される人の割合は60%でした。 この結果を受けて、住み慣れた場所で最期を迎えたいと在宅医療を望む市民に、「最後までおうちで暮らそう」という冊子を検討材料として配布しています。 「最後までおうちで暮らそう」 http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/3120/zaitaku/documents/zaitakuryouyouguidebook.pdf 今後、爆発的に増える医療費、介護費の財政負担の問題は、内政の最大懸案事項です。このような在宅医療の方向性は不可避のものと考えます。 ◆老年医学における宗教の意義 日本応用老年学会理事長の柴田博氏は、日本の老年医学に関する学会の研究は、哲学、宗教、文学など人文学を排除する形となっており、この分野の研究発表が皆無に近い状態であると、人文学の成果を老年医学に取り入れる必要性を説かれています。 在宅医療の推進にあたっては、専門家の技術のサポートと共に、死生観等、宗教、哲学の必要性も増して来ると考えます。 幸福実現党は宗教政党として、総合人間学としての宗教の救済力と政策を融合させ、超高齢社会における幸福な理想の最期を追求してまいりたいと考えます。 家計を直撃した消費税増税 2014.10.19 文/岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆消費税増税の目的――社会保障の安定財源確保? 最新のNHK世論調査によると予定通り来秋消費税を10%にあげるべきが23%、時期を遅らせるが35%、取りやめるが38%となっています。73%が来年の10月の増税は見送るべきと、消費者の厳しい家計を反映した意見となっています。 これら家計の窮状に対し、政府は経済状況を注意深く見ていくとしながら、消費税増税は、社会保障の安定財源確保のために必要不可欠であり、国民に還元されるものであると認識を変えることはありません。 ◆青天井の社会保障給付費 今や社会保障給付費(年金、医療、介護福祉等)は年間100兆円を突破しており、本年は予算ベースで115.2兆円となっています。現在、社会保障給付費の財源は、おおまかにいって3分の2が保険料、3分の1が税負担となっています。 国税負担分31.1兆円は、本年の一般歳出のなんと54%を占め、平成2年の29.4%と比べると、いかに社会保障費が増大してきたかが分かります。 そして団塊の世代が全て75歳以上となる2025年は、75歳以上が全人口の18%となり、必要な社会保障給付費は、148.9兆円に跳ね上がると厚労省は試算しています。 ◆10%では終わらない消費税増税 社会保障の安定財源が消費税とすると、一体、どこまで消費税は上がるのでしょうか。 政府は、引き上げることが決まっている5%分の消費税のうち4%分を社会保障の安定化(毎年の財政赤字で賄っていた部分を埋めること)に充て、社会保障の充実へは1%分を充てると説明しています つまり10%に引き上げたとしても、底が抜けて水漏れしている分に4%分が使われるわけです。10%でも実は全然足らないのです。 大和総研のシュミレーションによれば、高齢者1人当たり給付(年金・医療・介護の合計)を現在より15%大胆に抑制し、消費税率を25%にしたとしても、政府の基礎的財政収支は黒字化しない(2030年代半ば)と日本がこれから経験しようとしている高齢化がいかに厳しいかを示しています。 社会保障のすべてを政府が担うという発想から脱却しなければならない時期が来ています。 ◆80%以上の高齢者は自立している 「孤独死」「無縁死」「老老介護」「老人漂流社会」「大介護時代」等々高齢者に対するイメージは非常に重たいものがあります。もちろん、こうした事実から目を背けてはならないと思います。 ただ、一方で、日本の高齢者は非常に若返っており元気であることも事実です。世界保健機関が提言する健康の定義「高齢者の疾病の有無ではなく、生活機能の自立度で判定する」基準をモデルにすると、日本の高齢者は80%以上が自立しているというデータがあります。 ◆後期高齢者は「好機」高齢者 有名な徳島県上勝町の葉っぱビジネスでは、いわゆる後期高齢者が、パソコンを駆使し受注業務をこなし、年収1000万円を稼ぐ方もおられます。町の老人ホームは廃止され、一人あたりの老人医療費は徳島県内24市町村で最も少ない額といわれています。 適切な仕事さえあれば高齢者の健康は増進され、所得を産み、税金を納める側になります。 葉っぱビジネスを立ち上げた横石社長は、「後期高齢者制度には腹が立ちます」と言っています。「後期」は、実は「好機」チャンスであるんだと、まだまだ発展のチャンスはあるという明るい高齢者のイメージを持っておられます。 ◆人間観の革命で「大増税社会」を阻止しよう また新しい老化モデルでは、人間は、死の直前まで健康を維持することができるとされています。長生きが長患いで寝たきりという負のイメージもありますが、実は、長生きは、長く健康生活を楽しめるという意味となります。 日本の高齢者は若返っており、80%以上は自立をしており、適切な仕事があれば長寿を健康で全うでき、国や地域社会に貢献し続けることができるということが真実です。 支援を必要とする高齢者に対しても、元気な高齢者が支援する側に立つことができます。老老介護という負のイメージではなく、死ぬまで社会貢献、社会奉仕ができるという明るいイメージが大切と思います。 高齢者に対する暗いイメージを、明るいものにする「考え方」の変革をもって、元気な高齢者自身が、社会保障給付費の削減の起爆剤となり、増税ではなく、人間観の革命で社会保障のすべてを政府が担うという発想から脱却する端緒とできると確信します。 すべてを表示する « Previous 1 2 3 4 … 12 Next »