Home/ 西野晃 西野晃 執筆者:西野晃 幸福実現党 広報本部チーフ アラブ諸国で進む対立構造の変化――世界平和と真の国際的正義の実現を(後編) 2019.02.20 アラブ諸国で進む対立構造の変化――世界平和と真の国際的正義の実現を(後編) 幸福実現党 広報本部チーフ 西野 晃 ◆エネルギー資源調達の多様化――日ロ協調の道 日本は国内で消費する石油の約7割をサウジアラビアとUAEから輸入していますが、こうしたアラブ諸国内での対立の激化は、日本のエネルギー安全保障においても対岸の火事ではありません。 中東からの石油の供給がストップすれば日本でオイルショックが起こる恐れもあるからです。 また、中東からの石油が通る海上交通路(シーレーン)の確保も重要です。 日本の全貿易船の5割、原油の9割が南シナ海を含むシーレーンを通過していますが、中国の軍事行動によってシーレーンが封鎖されてしまえば、日本に石油が入らなくなります。 エネルギー資源調達の多様化に向けて選択肢の一つとして考えられるのがロシアです。 ロシアの産油量は米国とサウジアラビアに次ぐ世界3位で中東産原油の代替として大きな潜在能力を有しています。 エネルギー資源外交を積極的に展開し、全体の3割程度までの原油・天然ガス・石炭をロシアから輸入したいところです。 また、ロシアとの協商関係の構築を図ることによって、ロシア極東地域を中心としたエネルギー・農業・交通インフラなどへの投資を活発化させて、北海道へのシベリア鉄道延伸を推進し、日露経済交流を促進させたいところです。 その意味で、今進んでいる日本とロシアとの平和条約締結は一日も早く締結するべきです。 ◆くすぶる火種――日本は国際的正義と秩序を示し調停役を 2月14日、米国のペンス副大統領はポーランドで開催された国際会合に出席し中東政策について演説しました。 その中で、イランを名指しして弾道ミサイル開発や周辺国の武装勢力支援を停止するよう要求、ヨーロッパ諸国に対しても経済制裁の強化に向けた共闘を呼びかけました。 会議に出席した欧州の外交官らはペンス氏の演説に反発しており、「われわれはイランを良い結果に導きたいのであって、イランを核コミットメントの外側に押し出したいとは思っていない」と語っています。 同日には、ロシアのプーチン大統領、トルコのエルドアン大統領、イランのロウハーニー大統領が、ロシア南部ソチで会談をしています。 3か国の対米姿勢は温度差があるものの、シリア過激派掃討で連携したい思惑があるのでしょう。 イラン国内においては、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の重要な位置を占めるとして対中接近の強化を主張する意見もあります。 米中新冷戦も始まる中、台湾併合や南シナ海への覇権を強める中国としては、米国の戦力・兵力の分散をさせる必要があるため、イランと米国もしくはイスラエルとの紛争・戦争が起こる状況をつくり出すことを考えているかもしれません。 また、イランそして米国を後ろ盾とするサウジアラビアとの間にくすぶる火種に引火すれば、次なる戦争の引き金ともなりかねません。 昨年に行われた米朝首脳会談によって朝鮮半島の非核化も動き始めていますが、トランプ大統領から北朝鮮に投げられた石は、同時にイランに対するメッセージでもあるでしょう。 世界的宗教を幾つも生み出した歴史ある国であるイランは親日国でもあります。 寛容で多様な文化や宗教観が息づく日本としても、関与出来る余地があるはずです。 幸福実現党では、イスラム教圏そしてキリスト教圏との橋渡しを外交的に進めながら、宗教対立の融和を目指しています。 世界平和と真の国際的正義の実現に向けて引き続き働きかけて参ります。 (参考) ローマ法王、UAEで異例のミサ イスラム指導者面会も(朝日新聞) https://www.asahi.com/articles/ASM260SH2M25UHBI02X.html ローマ法王がUAE訪問(日経新聞) https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40847860U9A200C1EAF000/ ◆オマーンを異例の訪問 イスラエル首相(産経新聞) https://www.sankei.com/world/news/181027/wor1810270002-n1.html ◆サウジとイラン 対立の構図 スンニ派とシーア派の盟主(日経新聞) https://www.nikkei.com/article/DGXZZO95859040X00C16A1000000/ ◆米副大統領「イスラム国」壊滅まで協力 同盟国に訴え 対イラン共闘も呼びかけ(日経新聞) https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41266050U9A210C1FF2000/ ◆米ペンス副大統領 欧州諸国にイラン核合意の離脱迫る(NHK NEWS) https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190215/k10011815611000.html ◆米副大統領が欧州主要国を非難、中東会議でイラン制裁巡り https://jp.reuters.com/article/mideast-crisis-summit-idJPL3N20A260 ◆石油統計速報(経済産業省) http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sekiyuso/result.html ◆イラン識者「対中接近強化を」 政府腐敗が経済低迷の原因(産経新聞) https://www.sankei.com/world/news/190213/wor1902130021-n1.html ◆日本とロシア、天然ガス・パイプライン構想…日本に多大な恩恵、史上最悪の石油危機を克服(Business Journal) https://biz-journal.jp/2019/02/post_26556.html ◆イラン制裁発動でも弱気相場入りした原油市場 価格下落を防ぐ手だてはあるのか?(独立行政法人経済産業研究所) https://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/fuji-kazuhiko/93.html ◆「世界最悪の人道危機」イエメン内戦、停戦合意の“脆弱性”(WEDGE) http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14972 ◆風雲急!米主導の反イラン連合にロシアが対抗(Newsweek) https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/02/post-11699.php ◆ロシア・イラン・トルコ首脳会談 シリア過激派掃討で連携(日経新聞) https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41273960U9A210C1FF2000/ アラブ諸国で進む対立構造の変化――世界平和と真の国際的正義の実現を(前編) 2019.02.19 アラブ諸国で進む対立構造の変化――世界平和と真の国際的正義の実現を(前編) 幸福実現党 広報本部チーフ 西野 晃 ◆ローマ法王フランシスコのUAE訪問 2月5日、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王はUAE(アラブ首長国連邦)の首都・アブダビを訪問しました。 カトリックの最高位にあるローマ法王がイスラム教発祥の地であるアラビア半島を訪れるのは史上初めてです。 屋外競技場で開催されたミサには、数千人のイスラム教徒を含む約18万人が動員され、3日間の訪問中にはイスラム教の指導者らとも面会しています。 宗教間会合で行った演説では「どんな形であれ暴力は非難される。我々は宗教が暴力やテロリズムを許すことがないよう注視する必要がある」「特にイエメン・シリア・イラク・リビアに思いを馳せている」と、紛争が続く国などでの一刻も早い戦闘終結を訴えました。 地元メディアも「歴史的な訪問」と歓迎、UAEのムハンマド首長はツイッターで「訪問によって寛容の価値と、宗教間の理解を深めることができる」と指摘しました。 昨年にはイスラエルのネタニヤフ首相がオマーンを公式訪問しています。 UAEやサウジアラビアと良好な関係を持つオマーンは、これらの国々同様イスラエルを敵視してきただけに、この訪問は宗教上の対立構造が変化しつつあることを匂わせます。 ◆アラブ諸国内での対立軸の変化――スンニ派とシーア派との抗争 どうやらイスラム教とユダヤ教(そしてキリスト教世界)との宗教対立というものが比較的弱まりつつある一方で、アラブ諸国内での対立抗争の重要度が増しつつあるようです。 中東は現在も様々な対立軸が複雑に絡み合い混迷の最中にあります。 その一つが、イスラム教スンニ派が多数派を占めるサウジアラビアを中心とした勢力と、イスラム教シーア派が多数派を占めるイランを中心とした勢力との対立です。 両者はイスラム教の二大宗派で、世界のイスラム教徒人口のうちスンニ派が約8割、シーア派が1割強を占めています。 「世界最悪の人道危機」と呼ばれるイエメン内戦が両者の代理戦争となっていることは周知の事実です。 少なくともスンニ派陣営にとっては、今回の法王訪問を地域的な影響力拡大のためのツールとして利用しつつ、他宗教の勢力をも味方につけながら、自分たちの正当性を国際社会に向けてアピールしようという思いが透けて見えます。 こうした動きは今後ますます熾烈になっていくでしょう。 サウジアラビアでは、次期国王と目されるムハンマド皇太子が「ビジョン2030」を掲げており、建国以来の大改革に取り組んでいました。 しかし目玉である国有石油会社サウジアラムコの株式上場が中止に追い込まれ、脱石油依存の経済構築という目標は頓挫してしまった感が強くなっています。 皇太子が開始したイエメンへの軍事介入で軍事費は膨らむ一方で、2017年のサウジアラビアの軍事費は694億ドルと世界第3位となっています。 また、強権的手法を多用したことで国内からの資金流出が拡大、王族内で大きな亀裂が生じてしまったとの懸念も指摘されており、ムハンマド皇太子としては何とかしたいところでしょう。 中東・北アフリカ地域では昨年後半から経済状態の悪化に対する抗議運動が広まっています。 中東メディアは2011年に発生した「アラブの春」が再来する可能性を報じており、史上最悪の「石油危機」が起こる可能性も有り得えます。 その状況下で、日本はどのような外交戦略をとるべきか次回述べて参ります。 (つづく) 宇宙産業ビックバン―日本の経済成長を支える100兆円産業へ【後編】 2018.07.27 宇宙産業ビックバン―日本の経済成長を支える100兆円産業へ【後編】 幸福実現党 広報本部チーフ 西野 晃 ◆将来を悲観視する若い研究者たち―研究環境の整備の必要性 日本の経済成長を考える上では、技術力不足・人材不足も課題です。 日本経済新聞の調査では、20代~40代の研究者141人を対象に実施したアンケートで、約8割が「日本の科学技術の競争力が低下した」と回答しました。 同じく、2030年頃の日本の科学技術力の見通しを聞いたところ、約7割が「人材の空洞化が一段と進む」と回答し、将来を悲観視した意見が多数を占めました。 現在、宇宙産業に関わる日本の従業員数は1万人程度、主要ベンチャー企業では合計で260人程度となっています。 一方、大学・大学院の航空宇宙課程からは年間2400人規模の学生が卒業しますが、宇宙産業へ就職する学生は1割未満です。 他産業からの転職組も僅かなため、人材の流動性の低さや最適配置の問題が懸念とされています。 政府は「宇宙ビジネス投資マッチング・プラットフォーム(S-Matching)」などの開設や、宇宙ビジネスアイデアコンテスト「S-Booster」の開催等を通じて、より多くの研究者・企業・アイデアと投資家とのマッチング・事業化支援を図っており、施策の速やかな実行が望まれます。 日本経済新聞の調査・大学「論文の生産性」で世界トップだったシンガポール・南洋理工大学では、人工知能(AI)やバイオなど戦略分野を明確にし、高給を提示して有力研究者を呼び寄せています。 日本も長期的な視野で研究できる環境や研究者の研究時間が確保出来る環境の整備を進め、外国人技術者やインターン(学生)の活用、宇宙研究の広報活動による人材の呼び込み、大学と企業が連携した職業教育システムの構築にも取り組むべきです。 ◆宇宙強国化を進める中国―抑止力となる科学技術力 昨今、国際社会が混迷する中で各国の軍事力が注目される機会も増えてきました。 例えば、中国では2030年までに米国と並ぶ宇宙強国になるという計画を進めており、近年の宇宙進出は目覚ましいものがあります。 2015年には空軍と宇宙開発を統合した空天軍が創設され、中国の宇宙戦略はいよいよ開発段階から実践段階に移行、2016年に中国の宇宙事業60周年を迎えたことを契機に「サイバー空間での軍事的優位を確立するための宇宙戦略」という方針が明らかとなりました。 2020年には火星探査機の打ち上げ、2022年には中国版宇宙ステーションの運用開始まで予定されています。 自民党の宇宙・海洋開発特別委員会は今年、宇宙における安全保障の基本方針を定めた「国家安全保障宇宙戦略」の策定を政府に求める提言案を示しました。 その際、宇宙も含めた軍備を進める中国の脅威などを念頭に、自衛隊の対応能力について、「危機的に不足している」と明記しています。 現在、米国が中国に対して行っている関税発動も、中国への最新技術の流出を防ぐ事が理由の一つとされています。同様に日本の技術者の人材流出も心配されています。 日本の人材流出を防ぎ科学技術力を高める事は、同時に国防にもつながります。中国の軍事的脅威に対する抑止力となるものです。 ◆日本は世界の潮流に乗り遅れるな こういった防衛技術は民間に転用する事によって新たな技術革新を生み出し、産業競争力の強化と経済の活性化にもつながります。 巨大航空機メーカー市場を二分するボーイング社の生産拠点がある米シアトルには、航空宇宙産業クラスターが形成されています。 現在では、ワシントン大学が供給源となって、AIの研究開発で世界最先端のビジネス生態系も形成されつつあります。 このボーイング社は先日、マッハ5で飛行する「極・超音速機」の実用化を目指すと表明しました。世界の主要都市に2~3時間で到達出来るとする、非常に野心的な構想を掲げています。 同様にもう一つの巨大航空機メーカーであるエアバス社の生産拠点がある仏トゥールーズには、フランス国立宇宙研究センターがあります。ここはヨーロッパ各国が共同で設立した欧州宇宙機関(ESA)で中心的な役割を果たしています。 日本も戦略的に宇宙産業を集積させた地域的な取り組みが必要です。例えば特区の活用です。 愛知県や岐阜県、三重県など5県にまたがる地域には、国家戦略総合特区「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」があります。 このエリアは、将来的には東京・名古屋・大阪を結ぶリニア中央新幹線の沿線となる地域で、更なる発展が見込まれます。 岐阜大で航空宇宙産業の人材育成に向けた技術センターを設置する動きもありますが、航空・宇宙産業に特化した大学新設も視野に入れながら、「技術立国・日本」の成長・発展を牽引する宇宙産業エコシステムを構想することも可能でしょう。 その際に人口減少化時代を見据えて、世界中の優秀な外国人技術者を大規模に受け入れられる東海道(東京・名古屋・大阪)メガロポリス新都市計画構想案を検討しても良いかもしれません。 前出のマスク氏は「人類を火星に移住させる」と夢を語り、ベゾス氏も「数百万人が宇宙で暮らし働く時代を創る」とビジョンを掲げます。 日本もこの潮流に乗り遅れてはいけません。世界は今、宇宙産業黎明期の真っ只中にあります。私たちはその宇宙時代の幕開けの瞬間に立ち会おうとしているのです。 (参考) ■竹内一正「世界をつくり変える男 イーロン・マスク」 ■石田真康「宇宙ビジネス入門」 ■大貫美鈴「宇宙ビジネスの衝撃」 ■宇宙産業ビジョン2030について―内閣府 http://www8.cao.go.jp/space/vision/vision.html ■内閣府特命担当大臣記者会見要旨―内閣府 http://www.cao.go.jp/minister/1711_m_matsuyama/index.html#press ■ビジネスの“生態系”がもたらす5つの変化―ハーバード・ビジネス・レビュー http://www.dhbr.net/articles/-/3493 ■宇宙ビジネス投資マッチング・プラットフォーム―内閣府 http://www8.cao.go.jp/space/s-net/s-matching/index.html ■スペース・ニューエコノミー創造ネットワーク―内閣府 http://www8.cao.go.jp/space/s-net/s-net.html ■宇宙イノベーションパートナーシップ―JAXA新事業促進部 (http://aerospacebiz.jaxa.jp/solution/j-sparc/) ■アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区―内閣府地方創生推進事務局 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/sogotoc/toc_ichiran/toc_page/k5_koukuuutyuu.html ■科学技術「競争力低下」8割、若手研究者アンケート、研究時間と予算が不足(ニッポンの革新力)―日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30138080V00C18A5EA2000/ ■土壌を鍛えろ(1)日本苦戦、100位内に4校、大学「論文の生産性」、アジア勢と差拡大(ニッポンの革新力)―日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO31313440T00C18A6TJC000/ ■防衛省 宇宙統括部門を 「自衛隊の対応力 不足」 自民委が提言案―読売新聞 https://news.infoseek.co.jp/topics/20180426_yol_oyt1t50016/ ■ボーイング「極・超音速機」はマッハ5、相次ぐ開発構想―日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33175540Z10C18A7X11000/ ■岐阜大で航空宇宙産業の人材育成を―朝日新聞 https://www.asahi.com/articles/CMTW1807202200001.html 宇宙産業ビックバン――日本の経済成長を支える100兆円産業へ【前編】 2018.07.26 宇宙産業ビックバン――日本の経済成長を支える100兆円産業へ【前編】 幸福実現党 広報本部チーフ 西野 晃 ◆新たな宇宙開発の潮流が始まった―世界を驚嘆させたイーロン・マスク氏 タイ北部で、洞窟に閉じ込められていた13人の少年たちが7月10日に無事救出されました。救助活動が困難を極める中、協力を名乗り出て世界中で大きな話題となった人物がいます。 アメリカの実業家、イーロン・マスク氏です。電気自動車会社のテスラモーターズ社や、国際宇宙ステーションへのロケット輸送を担っているスペースX社のCEOとしても有名です。 マスク氏が作った宇宙ロケットは、NASAが作るロケットの10分の1ほどの費用で製造されています。通常のロケットは燃料がなくなると切り離されて地球に落下しますが、スペースX社のファルコン9ロケットは回収が可能で、最低でも10回は再利用出来る設計となっています。 そのため、大きなコストダウンに成功したのです。民間企業による宇宙進出を大きく前進させたマスク氏の偉業に世界中が驚嘆しました。 このような、「New Space」とも言われる新たな宇宙開発の潮流が世界で始まっています。 ◆各国で進む宇宙産業への支援体制 この大きな流れが始まったのが2005年のアメリカ政府による政策変更です。 スペースシャトルの後継機の開発を民間に任せて、NASAは一顧客として民間ベンチャーから打ち上げサービスを購入するという大転換を行いました。 国家事業から民間主導へと進み始めた事により、商機を見出した投資家や事業家達によって市場が拡大し始めます。 米国の場合、ベンチャー企業が成長出来る素地があります。例えば、冒頭のマスク氏が呼びかければ、マスク効果と呼ばれるような、多くの資金や技術者が集まります。 起業したばかりのスタートアップ企業に対して、投資会社(VC)やエンジェル(個人投資家)による支援体制が整っているからです。 宇宙ベンチャー企業への投資額も全世界で伸びており、2014年に約500億円だったのが、2016年には約3000億円へと拡大しています。 アマゾン設立者のジェフ・ベゾス氏は、自身が設立した航空宇宙企業米ブルーオリジンに毎年1000億円の投資を行うと発表しました。 欧州・ルクセンブルクは、既に巨額のリスクマネーを供給し、法整備や規制環境などを整えて企業誘致を積極的に展開中で、今年には同国初となる宇宙機関の創設を計画しています。 石油依存型経済から脱却し投資収益と知識集約型産業に基づく国家建設を目指しているサウジアラビア政府は、宇宙旅行サービスを目指す米ヴァージン・ギャラクティックに1000億円の投資を行う予定で、宇宙エンターテイメント産業を構築することも視野に入れております。 オーストラリアでも宇宙機関が発足し、今後4年間で同機関の活動や国際協力のために約45億円の予算が計上されました。併せて宇宙利用の予算として同国の地球科学局にも約288億円が割り当てられています。 ◆日本経済の主力エンジンに 2018年4月のIMFによる見通しでは、世界経済の成長率は2018年・2019年共に3.9%に達する見込みです。 一方、宇宙産業の世界での市場規模は、2010年に27兆円だったのが、2016年には38兆円へと拡大しており、成長率は5年間で5%に達します。このペースで進めば2030年代には約70兆円以上に達すると言われています。 100兆円市場に向かって成長する宇宙産業ですが、同規模の市場と言えば自動車産業やIT産業など様々です。 非常に大きな経済効果を発揮する産業が新たに誕生すれば、日本の経済成長を一段と加速させるチャンスでもあるため、日本も負けてはいられません。 日本では、2009年6月に策定された「宇宙基本計画」の中で、宇宙政策を「研究開発主導から高い技術力の上に立った利用ニーズ主導に転換」することが明示されました。 それを受けて、官僚システムの中心が、文部科学省から経済産業省に移管したことによって、ベンチャー企業やこれまで宇宙と関係のなかった異業種企業の参入が本格的に加速しています。 日本の宇宙関係の国家予算は3550億円、対して米国の予算は約5兆円と10倍以上の差があります。 国内市場規模は1.2兆円となっており、各種インフラ・金融・医療・物流などと比較するとまだ小規模と言えます。 日本政府は2018年度から5年間、日本政策投資銀行や官民ファンドの産業革新機構を通じて、1000億円規模のリスクマネーを民間宇宙ビジネスに投入する方針を明らかにしました。 宇宙産業に関わる日本のベンチャー企業は現在20社程度ですが、ボトルネックであった資金調達の環境も改善されつつあります。 日本の自動車メーカーや航空事業者・玩具メーカーといった「非宇宙系企業」が、スポンサーシップやパートナーシップ等で参画するといった日本独自の動きも起こり始めています。 国債の発行などによって宇宙産業への投資を集中的に行うとともに、国は一定程度を支え、民間主導の産業振興が行われる環境整備を急ぐべきです。 幸福実現党では、高付加価値の未来産業に対して、10年以内に100兆円を投資し、振興を図ることを提案しております。宇宙産業もその一つです。日本経済の主力エンジンの一つとして期待される成長産業として積極的に取り組む必要があると考えます。 (参考) ■竹内一正「世界をつくり変える男 イーロン・マスク」 ■石田真康「宇宙ビジネス入門」 ■大貫美鈴「宇宙ビジネスの衝撃」 ■平成29年度宇宙関係予算案について―内閣府 http://www8.cao.go.jp/space/budget/h29/fy29yosan.pdf ■宇宙産業ビジョン2030について―内閣府 http://www8.cao.go.jp/space/vision/vision.html ■世界経済見通し―IMF https://www.imf.org/ja/Publications/WEO/Issues/2018/03/20/world-economic-outlook-april-2018 ■内閣府特命担当大臣記者会見要旨―内閣府 http://www.cao.go.jp/minister/1711_m_matsuyama/index.html#press ■成功者が語る「米国ベンチャー企業の必達条件」―PRESIDENT Online http://president.jp/articles/-/13885 ■「マスクがやるなら」 リスクに乗る者たち―日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31604420R10C18A6000000/ ■宇宙政策、ビジネス重視に 政府の工程表見直し―日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31816140V10C18A6TJM000/ ■宇宙ベンチャー、成功する?-奥平和行編集委員―日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32489600S8A700C1I10000/ 地域貢献――地方議員が地域のお困りごとを解決! 2018.06.02 地域貢献――地方議員が地域のお困りごとを解決! 幸福実現党 広報本部チーフ 西野 晃 ◆幸福実現党の党公認地方議員は21名に 幸福実現党は2009年の立党以来、既成政党では言えない「国防問題」や「経済政策」などの国政レベルの政策提言を行ってまいりました。 その一方で、地域貢献にも力を入れ、現在21名の党公認の地方議員がいます。所属議員も含めると約30名です。 幸福実現党の公認地方議員のご紹介 https://hr-party.jp/member/types/local/ 国会では、「政治分野における男女共同参画推進法」が成立(※1)し、選挙の際に男女半々になるよう各政党に自主的な努力を求めていまが、幸福実現党の女性議員は現在21名中16名で、8割が女性です。 その中には小学校・中学校の教師や保育士、看護・介護などの福祉系の仕事に携わってきた女性議員が多くいます。 ◆地域のお困りごとに耳を傾け、一つ一つ解決 今回は、幸福実現党の地方議員が行ってきた地域のお困りごとに耳を傾け、一つ一つ解決してきた活動について4名の議員の活動を紹介します。 ●北ミサイルに対する避難マニュアルの作成、頒布 ――長崎県新上五島町 谷口るみ子議員 新上五島町は、長崎県最西端の五島列島に位置しています。 韓国も近いため、ミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮の脅威に備えて、町民を守るための有事対策が必要でした。 ところが新上五島町には、万が一の有事の際にどう行動すればよいかを示す「避難行動マニュアル」がなかったのです。 そこで谷口議員は、北朝鮮のミサイルが着弾した場合の「避難行動マニュアル」の作成を議会に提案、さっそく、マニュアルは回覧板で町のすべてのお宅に回覧されました。 さらに「このマニュアルを自宅に備えて、いつでも見られるようにしたい」というお声が寄せられ、町内広報に掲載するかたちで全戸に配布されました。 ●点字ブロック修繕とバスの案内板を設置 ――埼玉県宮代町 野原ようこ議員 野原町議は、「行ってみたい町、住みたい町、夢ある町 宮代へ」をスローガンに、地域のお困りの声を聞き、宮代町の「公共施設の設備などを修繕してほしい」といった声を行政に届け、問題解決に取り組んでいます。 その活動の中で劣化していた町の歩道の点字ブロックの修繕、使用できなくなっていたバス停留所のポールの移設やバスの案内板の追加設置を実現しました。 「野原ようこ」ブログ http://noharayoko.blog.fc2.com/page-1.html ●子供の安全のためにガードレール・反射板を設置 ――長野県駒ケ根市 塩澤康一議員 塩澤議員は、地元の高校生が帰宅途中自転車ごと道路脇の排水溝に落ち、腕の骨を折る大怪我をしたことをお聞きし現場の状況をすぐに確認。 そこにはカーブした歩道の脇には深さ約1メートルの排水溝がありましたが、防護柵もありませんでした。 このままでは、また怪我する方がでるかもしれないと判断し、すぐにガードレールの設置を市の建設課に提案し、一週間ほどでガードレールが設置されました。 地元の方からも感謝の声をいただいています。 ●日本の未来を見据え「原発推進」を提言 ――鹿児島県薩摩川内市 松澤力議員 川内原子力発電所は、東日本大震災以降、最初に稼働した原子力発電所です。松澤議員は、再稼働の三年前から、原発推進を訴えてきました。 原発停止によって地元では電気料金が、最大12%も上がり、また原発停止中は、数千人の原発開発業者の流入が途絶え、地元のホテルや飲食店が大打撃を受けたと言います。 マスコミが原発のリスクばかりを報道するなか、松澤議員は、原発が止まった時の経済的影響も考慮したうえで、どうしたらリスクを抑えられるか。 また地域の発展と日本の将来を見据え、より安全な原発の建て替えや有事の際の避難道路の整備を議会に提案するなどの活動を続けています。 「まつざわ力」ブログ https://ameblo.jp/matsuzawaisao/ ◆地域に貢献する政治 今後も、幸福実現党は、地域のお困りごとの解決や地域の発展のために、お一人、お一人に耳を傾け、地域に貢献する政治を実現し、着実に地元有権者の皆様の心に寄り添う政治を目指して参ります。 ※1「政治分野の男女共同参画推進法成立」(5/17毎日新聞) https://mainichi.jp/articles/20180517/ddm/001/010/149000c すべてを表示する