Home/ 新着一覧 新着一覧 憲法改正に必要なのは高く貴い理想―今こそ、「新・日本国憲法試案」を世に問う【後編】 2017.05.07 憲法改正に必要なのは高く貴い理想―今こそ、「新・日本国憲法試案」を世に問う【後編】 幸福実現党兵庫県本部たつの市地区代表 和田みな ◆「新・日本国憲法試案」 我が党は、2009年5月の立党から約1か月後、「新・日本国憲法試案」を発表しました。 この憲法によって成し遂げたいことは「自由の創設」です。 平和・繁栄・自由を基本理念とした国家を創り、未来型の国家を創りたいと考えています。憲法の議論が加速している今こそ、「新・日本国憲法試案」の理念を世に問いたいと思います。 1.平和 「新・日本国憲法試案」の第一条は、「国民は、和を以て尊しとなし、争うことなきを旨とせよ。また、世界平和実現のため、積極的にその建設に努力せよ。」から始まります。 日本国民は、聖徳太子の十七条憲法以来、「和を以て貴しと為す」ことを基本理念に、平和で寛容性のある国家を建設してきました。 東京大学の名誉教授である平川祐弘氏が3月15日付の産経新聞「正論」の中で、この「和の精神」である寛容の素晴らしさに触れ、「今度、日本が自前の憲法を制定する際は、前文に『和ヲ以テ貴シトナス』と宣べるが良くはないか。(中略)日本発の世界に誇り得る憲法理念ではあるまいか。」と述べておられます。 日本国の憲法に最も相応しい理念が「和の精神」なのです。 また、聖徳太子の憲法では「和の精神」を大切にしながらも、6条には、善を推し進め、悪をみては必ず正せ、という勧善懲悪の理念も入っています。 平和を愛さず、自国民を苦しめ、他国を侵略しようとしている国に対して弱い態度を示すことは悪を増長させ、さらなる大きな悪を侵させてしまうことになります。 日本の真の平和主義はそのような見せかけの「平和主義」であってはいけません。 2.繁栄 「新・日本国憲法試案」の第11条には「国家は常に、小さな政府、安い税金を目指し(以下略)」とあります。 財産権を守ることは、近代憲法の最も大切な部分、近代立憲主義の本来の目的でもあります。 「新・日本国憲法試案」はスリムながらも、近代憲法の核心部分が成文化されており、現在の政治家のように票のための増税をする「バラマキ政治」から国民を守り、憲法に増税の防波堤をつくることが目的です。 そして、これによって個人が自由に繁栄するチャンスを得ることができるのです。 3.自由 「新・日本国憲法試案」の前文には「われら日本国国民は、神仏の心を心とし、日本と地球すべての平和と発展・繁栄を目指し、神の子、仏の子として本質を人間の尊厳の根拠と定めここに新・日本国憲法を制定する。」とあります。 この部分は初代神武天皇以来の日本建国の精神を現しています。 天上界の理想を地上界に実現するために天から降りてきた存在である私たちが、天上界にあるような理想の国を地上界に実現することが日本建国の理念でした。 天皇陛下はその肉体子孫であり、その日本国民の崇高な精神の象徴です。 一方で、世界には生まれながらに罪の意識を背負って人生を送っている人々や様々な差別や唯物論国家の中で苦しんでいる人が多くいます。 だからこそ、日本国民は「神仏の子としての自由と尊厳」を人間の尊さの根拠として明確に謳い、崇高な理想をもう一度掲げるべきです。 そして、一人一人が神仏の子として尊重され、自由からの発展を体現することが世界の人々への福音となるのです。 今、世界中で苦しんでいる多くの人々がその想いを共有することができれば、日本は精神的に世界のリーダー国家になることができるのです。 ◆今こそ「新・日本国憲法試案」を世に問う 「新・日本国憲法試案」は、日本の歴史や伝統、文化に基づきつつ、近代憲法の要点を押さえ、人間の神仏の子としての自由と尊厳を守る新しい時代の憲法です。 安倍首相は自分の総理在籍中に憲法改正をする、ということが目的になり、憲法改正の高い理念や志を失っています。戦後初の憲法改正は力のいる大きな仕事になるでしょう。 支持率の高い安倍首相であっても容易なものでなく、妥協せざるを得ないという気持ちもわかります。 しかし、だからこそ、憲法改正には高く尊い理想が必要なのではないでしょうか。 その理想が国民の心を動かした時、憲法改正への動きを後押しする力になるはずです。2020年に憲法を改正し、日本を世界に輝く理想国家にするために、「国民の心を打つ」正々堂々とした憲法議論が必要です。 参考: 「新・日本国憲法試案」https://hr-party.jp/policy/constitution/ 平川祐弘「正論」(2017年3月15日付「産経新聞」より)http://www.sankei.com/column/news/170315/clm1703150005-n1.html 憲法記念日にあたって(党声明)https://info.hr-party.jp/press-release/2017/4402/ 安倍首相による憲法改正発言を受けて(党声明)https://info.hr-party.jp/press-release/2017/4415/ 憲法改正に必要なのは高く貴い理想―今こそ、「新・日本国憲法試案」を世に問う【前編】 2017.05.06 憲法改正に必要なのは高く貴い理想―今こそ、「新・日本国憲法試案」を世に問う【前編】 幸福実現党兵庫県本部たつの市地区代表 和田みな ◆憲法施行から70年目のGW 今年のゴールデンウイークは、朝鮮半島情勢がかつてないほど緊迫化するなか、緊張感をもって過すことになりました。 そのような中で安倍首相が、70回目の憲法記念日である5月3日に読売新聞や改憲派の集会において発信したメッセージは非常に情けないものでした。 憲法9条の1項、2項を残したまま、自衛隊を憲法に明記する意向を表明したからです。 この首相の発言からは、「とりあえず自衛隊を合憲のものとしたい」との意向が読み取れます。 一見、現在の政府解釈を憲法に明文化するだけのようにも見えますが、これでは「自衛隊は軍隊ではないが存在は合憲」ということを憲法に明記することになりかねません。 ◆安倍首相の改憲発言の問題点(9条) 自衛隊は国際的にも立派な軍隊であり、自衛のための活動を行っています。交戦権もなく、戦力でもない自衛隊を憲法上の存在とするとは、逆に自衛隊の軍隊としての活動を縛ってしまうことにもつながります。 憲法の中に矛盾するものを書き込むことになれば、憲法の権威そのものを貶めることになるとともに、「自衛隊は戦力ではない」ことを憲法に明確に宣言することにもなりかねません。 安倍首相は、これまで憲法が簡単に改正できないため、状況変化に対応するために仕方なく行ってきた「解釈変更」を憲法に加えようとしていますが、解釈論と条文の改定を混同しており、このような「加憲」では、今より状況が良くなるはずがありません。 ◆安倍首相の改憲発言の問題点(教育無償化) また、安倍首相が憲法改正の大きな柱であると触れた「教育無償化」も大きな問題です。これは、同じ改憲勢力である日本維新の会との協調のために欠かせない項目でしょう。 維新の会の橋下徹法律政策顧問は、この財源を相続税の増税でと検討しているようです。 教育の無償化は「教育格差是正」「未来のための投資政策」という、一見、聞こえのいい理念であるため、現在では民進党や共産党、小池都知事に至るまで多くの政党や候補者が選挙前に公約に掲げているトレンド政策となっています。 しかし、教育内容に触れられることはほとんどありません。現在の教育政策に必要なのは質の向上です。残念ながら質の低い公教育を無償化したところで、子供たちの未来が拓けるはずがありません。 また、塾に通わなければよい学校に進学できない現在の教育内容では、教育格差が埋まるはずもありません。意欲ある、優秀な学生には奨学金制度の充実を図ることで教育格差の問題は解決できると考えます。 日本の教育政策に必要なのは、無償化ではなく自由化です。無償化することによって国家による学校教育への介入は大きくなり、質の低下、社会主義化が進む恐れがあります。 また、そもそも相続税の増税は憲法29条の財産権の侵害であり、政治家による票のための増税とバラマキ政策の禁止こそ憲法に盛り込むべきものです。 加憲ではなく、堂々と憲法9条を改正しよう。 2017.05.04 加憲ではなく、堂々と憲法9条を改正しよう。 HS政経塾 担当チーフ 古川裕三 ◆9条は守って、自衛隊は明記? 3日の憲法記念日には、読売新聞一面に「憲法改正 20年施行目標」と題し、憲法改正に向けて意欲を示した安倍総理のインタビュー記事が掲載されました。 首相は「東京五輪が開催される2020年を新しい憲法が施行される年とし、その柱は憲法9条に自衛隊を明確に位置づけることだ」と発言しました。 憲法の平和主義は守り、「戦争放棄」(1項)と「戦力の不保持」(2項)を規定した9条を残したまま、自衛隊の存在を明記する、「加憲」の議論を展開しています。 2012年に自民党が作成した憲法草案には「国防軍」の保持と明記されていますので、首相は態度をやや軟化させた格好です。 ◆野党の批判をかわす目的 9条は改正せずに、自衛隊の存在を明記だけするという主張は、野党・民進党の幹部もかつてしたことがありましたので、野党の反発を最小限に食い止め、現実(妥協)路線で、まずは憲法改正を実現させたいというのが首相の思いでしょう。 しかし、妥協でよいのでしょうか。 ◆「戦力」と「実力」 日本の自衛隊は、1950年の朝鮮戦争の勃発をきっかけとして、GHQからの要求により、7万5千人からなる警察予備隊が組織されたことから始まりました。 のちに自衛隊に改組されるわけですが、政府は「自衛隊は自衛のための必要最小限度の実力」であるとして、憲法9条で禁止されている「戦力」ではないという解釈を採ってきました。 ただ、「軍隊とは、組織体の名称は何であれ、その人員、編成方法、装備、訓練、予算等の諸点から判断して、外的の攻撃に対して国土を防衛するという目的にふさわしい内容をもった実力部隊を指します。 この解釈を一貫させていけば、現在の自衛隊は、その人員・装備・編成等の実態に即して判断すると、9条2項の「戦力」に該当すると言わざるをえないであろう。」(『憲法』第五版 芦部信喜著)という指摘どおり、どこからどう見ても自衛隊は「陸海空軍その他の戦力」です。 そもそも、憲法前文及び98条には憲法の趣旨に反する法律は無効であると規定されていますから、自衛隊法は形式的に違憲であることは間違いありません。 平和主義を基調としながらも「侵略戦争はこれを放棄し、防衛のみに専念する」(9条1項)、「そのための戦力は、固有の権利として、これを保持する」(9条2項)と条文を改正し、自衛隊法の根拠を明確にすべきです。 ※参考:『幸福実現党宣言』大川隆法著 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=113 ◆正直な議論を つまり問題の本質は、9条を正直に改正し、自衛隊を軍隊として明確に位置付けて、国防を強化し、「他国の軍事的脅威から国民の生命を守ること」です。 9条をいじらずに自衛隊の存在を明記する条文を加えるとなると、「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。ただし、前項の目的を達するためではない自衛隊という実力は保持する」という趣旨になるでしょう。 北朝鮮から飛んでくるミサイルから国民の生命を守るためには、防衛軍が必要なのですから、正直に9条を改正しましょうというのが我が党のスタンスです。 ◆現在の自衛隊の限界 「自衛戦争を認め、防衛軍は必要」という変更を加えなければ、自衛隊の動きにくさは全く変わりません。 改憲ではなく加憲で自衛隊の存在を明記したとしても、実際に国民を守る行動はとれない、ということであれば意味がないのです。憲法は国民を守るためにあるのです。 国際標準では、軍隊の権限規定はネガティブ・リストが採用されており、あらかじめ禁止されたこと以外は原則自由に行動ができます。 一方で警察はポジティブ・リストが採用されており、法的根拠がないと動くことができません。 先に自衛隊の前身が警察予備隊であることを確認したとおり、自衛隊はポジ・リスが採用されており、法律に書かれていること以外、行動できないという制限のもとにおかれています。 憲法に軍隊と明記し、権限規定をポジからネガに変更することが必要なのです。 今こそ、国民が目覚め、嘘をつかない正直な政治家を選択し、戦後体制の呪縛を打ち破って「自分の国は自分で守る当たり前の国」をつくっていかねばなりません。 北朝鮮の危機への「温度差」――「玉虫色」の政権が日本を弱くする! 2017.05.03 北朝鮮の危機への「温度差」――「玉虫色」の政権が日本を弱くする! 広島第二選挙区支部長 水野よしひろ ◆不安定な情勢のままGWへ 4月29日午前5時半ごろ、北朝鮮からまたも弾道ミサイルが発射されました。 今にでも北朝鮮が暴発しそうな状況の中で、日本でも東京メトロや北陸新幹線も一部区間で運転を見合わせるなど、日に日に緊張感が高まっています。 しかし一方で、日本ではGWに入り、海外への旅行客は止まらず、韓国への旅行に行かれる方もいらっしゃるようです。 やはり、日本では危機は感じるものの、どこか他人事のようになっているのかもしれません。 ◆広島県の地方自治体の反応 これは、地方自治体のレベルでも散見されることでした。 現在、幸福実現党は、全国の地方自治体へ「北朝鮮のミサイルに備えた避難訓練等の実施を求める要望書」を提出しています。 先日は、広島県知事と市長に伺いました。 広島県庁の危機管理課の職員の方で、「できることはやっていくが、国がしっかりリーダーシップをとってくれなければ自治体では限界がある」と、現政権への本音を語られていました。 驚いたのは、広島市の危機管理課の方でした。 その方は、「広島市としては、北朝鮮の核ミサイルに対しては、核廃絶で対応します」といい、「個人的な見解ではありますが」と前置きをしながら、「今もし、ミサイルが飛んできたら、対応できることはほとんどない」ということを語られていました。 この時、率直に「広島市に核廃絶を高々と掲げられ、広島市民の生命の安全は全くもって保証もされていない状況であるのだ」と感じ唖然となりました。 ◆現政権の「玉虫色」の国防推進 このような状況になってしまったのは、現政権の責任でもあります。 自民党政権は、よく保守で国防を進めてきているとみられていますが、幸福実現党から見れば、全くもってそのようには見えません。 例えば、安倍首相は、トランプ大統領の動きを支持するといっていますが、側近の岸田外務大臣においては、オバマ大統領の方針の名残を受けた「広島宣言」(「核兵器なき世界」に向けた決意)を、いまだにG7(先進国7か国)へ求める(今年4月)など、矛盾した行動をとっています。 核廃絶を訴えるなら、北朝鮮へ一番に言わなければならないにも関わらず、核を保有する国の善悪の判断ができないために、「核廃絶」だけが一人歩きをして、北朝鮮の核兵器廃絶への何の効果も見いだせない結果となっています。 現在の政府は、国民からガッポリと税金を取ろうとしていますが、国民の生命・安全・財産も守る責任を果たさずして、「税金泥棒」としか言いようがないように感じます。 ◆安倍政権下での「憲法改正」の不安視 先日、憲法施行70年を迎えるにあたり、共同通信社によって、憲法についての世論調査を行われました。(「中国新聞」朝刊4/30より) 憲法9条改正については、必要49%、必要ない47%で、憲法9条を改正した方がよいという世論が多く、北朝鮮の状況も踏まえて、憲法9条改正への気運が少しずつ高まっているように感じます。 しかし一方で、安倍政権の下での改憲については、反対51%、賛成が45%となっており、現政権下での改憲は世間では慎重になっています。 ここに、今の政権の「玉虫色」の政権運営で、筋を通せない弱点があるように思えます。 ◆日本としてのスタンスを示せ! しかし、今は、自分たちの立場がどうなるかという事は関係なく、国民の皆様の一人一人の安全を保障する事こそ、国家としての責務であります。 もちろん、単に危機を煽るだけでは意味がありません。 しかし、国民の生命に関わる重大な事であるならば、北朝鮮情勢を踏まえて、避難経路の確保や避難訓練など、先ずできるところから政府がリーダーシップを示して取り組まなければなりません。 広島県庁の危機管理課の方も仰っていたように、国が責任を持ちリーダーシップを示していく事こそ、地方自治体を動かす一番の特効薬であると感じます。 また、これからは、今回の北朝鮮の動向も踏まえて、日本としての国防体制を見直し、主権国家として抜本的な改革を推し進めていく必要があります。 憲法9条改正の議論からも逃げることなく、なぜ必要なのかを野党と討論をして、国民の皆様に納得していただけるようにしなければなりません。 そうした、真っすぐで逃げない姿勢で取り組んでいく政治家、政党こそ、危機の時代に求められるのだと思います。 米、北朝鮮への攻撃、間近?!――日米連携でアジアに平和を 2017.05.02 米、北朝鮮への攻撃、間近?!――日米連携でアジアに平和を 幸福実現党政調会・外交部会 彦川太志 北朝鮮に核・ミサイル開発計画を放棄させるため、中露等の大国を巻き込みつつ経済・軍事両面から圧力をかけていたトランプ大統領でしたが、遂に軍事行動の実施が「秒読み段階」に入りつつあるようです。 今回のニュースファイルでは、4月25日の建軍節(北朝鮮の軍隊創立記念日)以降の米朝関係の緊張の高まりを踏まえつつ、軍事衝突が秒読み段階にある事を検証し、半島有事への対応を政府に求めていきたいと思います。 ◆核開発計画の放棄を求め、北に「本気」を見せた米国 まず4月25日、北朝鮮が建軍記念日に合わせて核実験を強行するのではないかと懸念されておりましたが、実際には大規模な砲撃訓練の実施に止まりました(※1)。 同日、米国はトマホークミサイルを発射可能な攻撃型原潜「ミシガン」を釜山港に入港させています。(※2) 翌26日には韓国でTHAADミサイルの配備が始まると共に、米国では日本時間27日より、韓米統合防衛対話が二日間にわたって開催されました。 防衛対話の共同声明によれば、米国は北朝鮮の脅威に対して、通常戦力やミサイル防衛はもとより、核装備をも含んだ抑止を提供し、万一、北朝鮮が核攻撃を実施した場合には、「効果的かつ圧倒的な」反撃を行う事が明言されています。(※3) このような声明に盛り込まれた米国の姿勢を裏付けるかのように、米空軍はミニットマン lll大陸間弾道ミサイルの発射テストを実施しています(日本時間27日)。(※4) 次いで日本時間29日、ニューヨークにおいて国連安保理の閣僚級会議が開催され、ティラーソン米国務長官から「ソウル、東京に対する北朝鮮の核攻撃の脅威は現実のもの」であり、軍事的手段を含むすべての選択肢が用意されているとの発言がなされています。(※5) そして米韓合同演習の最終日に当たる4月30日には、カール・ビンソンを中核とした空母打撃群が日本海に到着しておりますので、北朝鮮に核・ミサイル開発を放棄させるためには、「通常戦力による軍事行動から、核攻撃に対する報復まで」、全ての段階において米国は対応していくという意志表示をしたものと考えられます。 ◆「ミサイル発射」で、核開発放棄に応じない意志を強調した北朝鮮 このような軍事的圧力が加えられる最中、北朝鮮は29日に一発の弾道ミサイルを発射しました。 ミサイル自体は北朝鮮の上空で爆発したと報道されておりますが、これは北朝鮮の技術力の低さに起因する失敗と言うよりも、領空内で意図的に「空中爆発させる」ことにより、「軍事的行動」と断定されないギリギリの線を狙って、「核・ミサイル開発計画の放棄はありえない」と言う意志を強調したものと見るべきでしょう。 また、30日にはロシアの駐北朝鮮大使が北朝鮮副外相と会談を行っていますが、ロシア大使は北朝鮮側に対して自制を求めると共に、緊張を高める行為を行わない様、強く求めたと報道されています。(※6)北朝鮮側にも、暴発の兆候がある事を示唆しているようにも見えます。 ◆軍事行動は時間の問題。「自由の創設」を大義に掲げ、日米連携を確実にせよ 北朝鮮情勢を巡り、トランプ政権が中国やロシアとハードな交渉を行ってきた事実に鑑みれば、北朝鮮が核・ミサイル開発の放棄に応じないからと言って、そう簡単にプレッシャーを解いていくとは考えられません。 事態は、もはや外交や経済的圧力で解決するというレベルをとうに超えて、「北が核を捨てるか、それとも米国が軍事行動を開始するか」のチキン・レースに入っている可能性があります。 このような段階に至っては、北朝鮮側に残された手段は、米国と日本・韓国の結束を狂わせる「後方攪乱」程度しか残っておりません。 部隊運用における日米韓の連携を堅持する事はもちろん、トランプ大統領が主導する軍事行動が単なる「侵略行為」などではなく、「北朝鮮の核・ミサイル開発や自国民への圧政を終わらせ、政治的自由をアジアに広げる」という「自由の創設」を大義としているという事実を掲げていくべきだと考えます。 現在、幸福実現党は、半島有事を念頭に置いた避難訓練の実施を求める陳情を全国の地方議会に提出する他、政府に対しても実効ある国民保護体制の構築を求めています。 米軍による軍事行動はすでに「秒読み段階に入った」ものと見て、ミサイル防衛や邦人保護、難民対策等に関する、実効ある対策を策定するよう、政府に対して強く求めて参ります。 (参考・出典) ※1 NHK 4月26日 北朝鮮軍創設以来最大規模の攻撃訓練行ったと発表 ※2 朝鮮日報日本語版 4月25日 米原子力潜水艦「ミシガン」韓国・釜山に入港 ※3 Department of Defense 11th Korea-U.S. Integrated Defense Dialogue Joint Press Statement ※4 Air Force Global Strike Command 2017.4.26 F.E.Warren tests MinutemanⅢ missile with launch from Vandenberg ※5 Department of States 2017.4.28 Remarks at the United Nations Security Council Ministerial Session on D.P.R.K ※6 Tass 2017.4.30 North Korea’s senior diplomat holds talks with Russia’s ambassador 「リニア四国新幹線」の整備で四国をゴールデン・アイランドに 2017.04.29 「リニア四国新幹線」の整備で四国をゴールデン・アイランドに 幸福実現党・徳島県本部代表代行兼徳島第2選挙区支部長 福山まさとし ◆誘致運動が進む四国の新幹線 九州新幹線、北陸新幹線、北海道新幹線など、いわゆる「整備新幹線」の建設が進み、新幹線が開業した地域では経済の活性化や交流人口の増加が起きている中で、四国でも新幹線の誘致運動が行われています。 これまでにも、四国4県、四国経済連合会、四国商工会議所連合会等が誘致運動を進めてきましたが(※1)、鉄道のない沖縄を除き、四国は日本で唯一、新幹線のない地方になってしまったことから、危機感を抱く地元の青年会議所等が中心となり、新幹線の誘致のための署名活動を進めています(※2)。 また、衆議院決算行政監視委員会において、四国新幹線に関する質疑が行われました(※3)。 九州の大分市でも、愛媛県と大分県を隔てる豊予海峡を海底トンネルで結ぶ構想について、四国との間に単線の新幹線を通すことが最も費用対効果が高いとする調査報告書をまとめました(※4)。 ◆四国における新幹線の基本計画 四国ではもともと、全国新幹線鉄道整備法に基づく1973年の告示により、四国新幹線(大阪市・大分市間)と四国横断新幹線(岡山市・高知市間)の基本計画が定められています。 このため、淡路島と徳島県鳴門市を結ぶ大鳴門橋、岡山県倉敷市と香川県坂出市を結ぶ瀬戸大橋は、高速道路の下に新幹線を通す2層構造で建設されています。 一方、神戸市と淡路島を結ぶ明石海峡大橋は、当初は高速道路と新幹線の併用橋として計画されていましたが、建設費の削減のため道路専用橋に変更され、新幹線を通すことは不可能になりました。 ◆四国に閉じた誘致運動の限界 現在、四国で行われている誘致運動では、瀬戸大橋経由で岡山と高知を結ぶ四国横断新幹線と、四国新幹線の徳島から松山までの区間を、整備計画に格上げすることが要望されており、海峡を横断し大阪と大分に至るルートは半ば諦められているようです。 しかし、大阪・大分と直結しない新幹線を整備しても、四国を起終点とする利用に限られ、費用対効果は大きくありません(※5)。 「四国のこれ以上の地盤沈下を防ぐ」、「四国と他の地方との格差を縮小する」という発想だけでは、誘致運動への共感を得ることは難しいかもしれません。 ◆Think Big! リニア新幹線で四国を通る第二国土軸を形成せよ 幸福実現党は、リニア新幹線の全国整備による「第二国土軸」の形成、すなわち、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・四国・大分・福岡をリニア新幹線で結び、ヒトとモノの移動時間を縮める「交通革命」を起こすとともに、現在の新幹線のルートを多重化して災害に強い国土をつくることを提案しています(※6)。 これにより、東京と札幌・福岡の各都心は2時間~2時間半程度で移動できるようになり、日本の各都市が強力に結び付いて、高い経済成長を遂げることが期待されます。 【図】幸福実現党 新幹線網改定案 このうち「リニア四国新幹線」は、中央新幹線を新大阪駅から関西国際空港方面に延伸し、紀淡海峡と鳴門海峡をトンネルで抜け、徳島市、三好市、松山市を経由し、豊予海峡をトンネルで抜けて大分市に至るものです。 大分市では「リニア東九州新幹線」に乗り入れ、博多駅に至ります。 三好市では鉄道方式の四国横断新幹線と接続し、高知市、高松市、岡山駅方面と結ぶ計画です。 現行の基本計画における四国新幹線は徳島市・高松市・松山市を結ぶルートとされていますが、幸福実現党の改定案では、四国新幹線をリニア方式で建設することで大幅な時間短縮が図れることから、三好市での四国横断新幹線への乗り換えにより、高松市へのアクセスを確保します。 これらの計画が実現すれば、徳島市、高松市、松山市、高知市から新大阪駅までの所要時間は、それぞれ25分、50分、53分、55分程度となります(※7)。 【図】幸福実現党 四国新幹線・四国横断新幹線(改定案) なお、「リニア四国新幹線」(新大阪・大分市間)と「リニア東九州新幹線」(大分市・博多駅間)を合わせた建設費は約8兆円と試算されます(※8)。 詳細な費用便益分析は別途行うとしても、建設による経済波及効果、時間短縮効果、新産業創出効果等を合わせれば、少なく見積もっても20兆円を超えると考えられるため、国家プロジェクトとして実現する意義は非常に大きいといえます。 ◆四国を無限の富を生み出すゴールデン・アイランドに 四国はこれまで、交通の便の悪さが原因となって、他の地方に比べて発展が遅れてきたことは否めません。 しかし、幸福実現党が提唱する「リニア四国新幹線」を整備すれば、四国は交通至便の地となり、付加価値の高い産業が多数進出することが可能になります。 これには、幸福実現党が提唱する減税・規制緩和、エネルギーコストの削減などを同時に進める必要がありますが、条件が整えば四国ほど環境のよい場所はありません。 「リニア四国新幹線」の整備によって、四国は無限の富を生み出すゴールデン・アイランドになります。 幸福実現党は、日本の「交通革命」と国土強靭化を目指す国家プロジェクトとして、「リニア四国新幹線」および四国横断新幹線の整備計画への格上げと、速やかな建設開始を訴えていきます。 ※1 四国鉄道活性化促進期成会 四国の新幹線実現を目指して(http://www.pref.kagawa.jp/kotsu/shikoku_shinkansen/) ※2 2017年1月28日付 産経新聞 ※3 衆議院決算行政監視委員会 議事録 2017年4月17日(http://kokkai.ndl.go.jp/) ※4 2016年12月 大分市 「大分市豊予海峡ルート調査業務」の結果についてお知らせします(http://www.city.oita.oita.jp/www/contents/1485078675058/) ※5 四国鉄道活性化促進期成会 四国の新幹線実現を目指して 調査結果の概要(http://www.pref.kagawa.jp/kotsu/shikoku_shinkansen/result/)によれば、費用便益比(B/C)は1.03となる。なお、新幹線(鉄道方式)で大阪・四国・大分を結んだ場合のB/Cは0.31と、さらに低い。 ※6 幸福実現党 『日本ファースト123の政策』(新幹線網改定案23頁)(http://publications.hr-party.jp/files/policy/2017/002/origin/all.pdf) ※7 中央新幹線の計画に基づき幸福実現党が試算。 ※8 想定ルート・延長と中央新幹線の設計断面より幸福実現党が試算。車両費を除く。 日本と海外の絆――ペルー編 2017.04.27 日本と海外の絆――ペルー編 幸福実現党・大阪第五選挙区支部長 数森圭吾 今回は南米に位置するペルーと日本との絆をご紹介したいと思います。 ◆揺るがない観光人気を誇るペルー 天空都市マチュピチュ、ナスカの地上絵などで有名なペルー。日本からは年間3~4万人の観光客がペルーを訪れています。 ペルー国土は日本の3倍以上ながら人口は約1900万人となっています。鉱物資源や水産資源が豊かで、銀や銅は世界トップクラスの産出量、漁獲量も中国についで世界2位となっています(外務省発表)。 ◆南米で初めて日本人移民が渡った国 ペルーは南米で日本が初めて国交をもった国であり、日本が南米初の移民を送った国でもあります。日本とペルーには100年以上の絆があり、現在ではペルーに約10万人もの日系人が生活しています。 明治維新以降、人口が急増していった日本。生活困窮から海外へ移住する日本人が出始めました。当初はアメリカやハワイへの移民が多かったのですが、アメリカで1924年に「排日移民法」が施行され、1899年にペルーへの日本人移民が開始されます。 命がけでペルーに渡った人々は劣悪な労働環境や人種問題、風土病に耐えて現地社会に根付き、日本式の稲作を伝え、ペルーの食文化にも大きな影響を与えたといわれています。 現在では日本の醤油がペルー料理の定番調味料として受け入れられています。醤油味のソースを使用した鳥料理を提供する日本人が経営するレストランが大好評となっており、急速なチェーン展開をおこなっているそうです。 ◆日本人チームが発見した新たな地上絵 2016年に山形大学の調査チームが新たな地上絵を発見しています。 新たに発見された地上絵は八本足で舌を出したような生物が描かれており、この生物の正体はよくわかっていませんが、近年における大発見といわれているそうです。 同チームはこのほかにも24点の地上絵を発見。この成果がペルー政府に大きく評価され、ナスカ遺跡に立ち入り調査できる世界唯一の調査チームとなっており、日本人チームに厚い信頼がおかれているのです。 ◆天空都市と日本の絆 「一生に一度は行きたい世界遺産」第一位にもなっているマチュピチュ遺跡のふもとにあるマチュピチュ村。人口は約3000人で遺跡観光の拠点となっている村ですが、この村の初代村長は野内与吉という日本人でした。 野内与吉氏は1917年に移民としてペルーに渡り、何もなかった地域のインフラ整備に大きな貢献を果たしています。 その他にもホテル建設、温泉開発など、現在でも観光誘致の目玉となる施設開発も行い、野内氏は現在でも地元住民から尊敬をあつめています。 世界各地からの友好都市締結依頼を断ってきたマチュピチュ村でしたが、この縁によって現在では福島県大玉村と友好都市となっており、現村長も「日本人に家族のような親近感を抱いる」と語っています。 ◆昨年行われた大統領選挙 また、ペルーといえば日系2世のアルベルト・フジモリ氏が大統領となったことで、日本との外交も積極的におこなわれるようになりました。 2016年のペルー大統領選ではフジモリ氏の娘であるケイコ・フジモリ氏が出馬するも、アルベルト・フジモリ氏政権時代のイメージを反対派が利用し、敗戦を喫しました。 しかし、現在でもフジモリ派の政治的影響力は依然として大きなものがあるといわれています。 ペルーのように政治の中枢に関わるほど日系人のプレゼンスが高い国はまだ少ないのが現状です。親日国家であるペルーはブラジルとともに今後の南米外交にとって連携すべき重要なパートナーとなるのではないでしょうか。 東京都は豊洲移転を決断し、有事から繁栄国家・日本を守れ 2017.04.25 東京都は豊洲移転を決断し、有事から繁栄国家・日本を守れ 幸福実現党東京都本部江東区代表・HS政経塾第5期卒塾生 表なつこ ◆豊洲移転延期で100億円を浪費する首都・東京 豊洲市場の移転延期に伴って東京都が負担する税金が、現時点で既に100億円近くに上っていることが、18日の都議会特別委員会の審議でわかりました(※1)。 豊洲市場が開場するはずだった昨年の11月7日から、今年4月18日までの約半年間に、業者への移転支援に約18億円、豊洲市場へ約18億円、築地市場へ約8億円の税金がかかり、また、移転延期に伴う市場関係者への補償金として50億円の都税が計上されています。 この補償金の支払いは4月中にも開始されるそうです。 以上を合計して約100億円。さらに市場関係者への補償金は、今後ふくらんでいくとも予想されています。 ◆豊洲市場の安全性、経済性はどうか? 豊洲市場の安全性が法的基準を満たしていることは、小池都知事も認めています(※2)。 環境省が作った土壌汚染対策法の解説書には、「土壌汚染があったとしても、摂取経路が遮断され、健康リスクが管理されていれば私たちの健康に害はない」とされています(※3)。 地下水は市場で使いませんし、土壌はむき出しになって飛散しないように対策がされており、人体に摂取されることはないため、豊洲市場の安全性は保たれています。 豊洲へ移転すると100億円の赤字、とも言われていますが、これは建設費を毎年分割払いするような形の「減価償却費」が含まれているので、会計上赤字になるのは当然と指摘されています。 もっとも、経済効果を上げていくためには、各業者の企業努力が必要になることは言うまでもありません。 ただ、豊洲はIT環境も整えられており、工夫によっては、海外などこれまでになかった販路を拡大できる可能性も高いでしょう。 公営の市場という形ではなく、民営化の可能性も視野に入れ、市場の運営に民間活力を活かすことも考えるべきではないでしょうか。 築地市場改修には当の築地の業界団体からも激しい批判があるのですから、小池都知事と東京都は豊洲への移転を速やかに決定すべきでしょう。 ◆都道府県知事の責任で行う国民保護 国際情勢を考えても、今はこのような問題で内政に時間を割いている時局ではありません。 国連決議を無視してミサイル発射と核実験を繰り返す北朝鮮に対して、トランプ米大統領が北朝鮮への軍事的圧力を強めることによって、北朝鮮はさらに攻撃的な言葉で対応しており、武力攻撃の緊張感が高まっています。 民間人に化学兵器を使用したシリア軍に対し、正義の観点から攻撃を行ったトランプ大統領なので、朝鮮半島有事が起こらない可能性は否定しきれません。 万が一にも日本が攻撃を受けた場合は、国民保護法に基づいて住民保護の措置を実施するのは各都道府県とされています。 これまで、地方自治体による災害やテロに際しての避難訓練は行われてきましたが、日本がミサイルや爆弾を落とされた場合の避難訓練が実施されたのは、秋田県男鹿市の1市のみです。 国家運営の中枢は、首都・東京に集中しています。日本を守るために、東京都としても早急にミサイルを想定した避難訓練を実施すべきでしょう。 豊洲の移転延期問題や国内の政局の行方などに、必要以上の時間や労力をつぎ込むより、急いですべきことがあるはずです。 ◆東京都は豊洲移転を決断し経済成長を目指すとともに、都民に安全保障の考えを醸成すべき 冒頭で申しあげたとおり、報道されているものだけでも100億円の税金をムダにしている、長引かせすぎの移転延期問題は、早々に移転へと舵を切るべきです。 出来上がっている豊洲市場を、今後どのように発展させていくべきかを、運営の民営化なども含め、未来志向で、衆知を集めて考えるべきです。 また、変動激しい現在の国際情勢を乗り切るために、日本を支える首都・東京という地方自治体は何をすべきなのか、各地方自治体の手本となるような取り組みをしていただきたいと思います。 今こそ、「国を守る」ということの意義に、多くの方々に気付いていただくことができる時です。 幸福実現党東京都本部は、日本全体をよりよき方向へリードする首都・東京を創ってまいります。 【参照】 (※1)4月18日日テレNEWS24 (※2)3月17日日経新聞http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG14H7B_U7A310C1CC1000/ (※3)Wedgeinfinity築地移転問題が改めて示した「ゼロリスク」の呪縛中西準子(産業技術総合研究所名誉フェロー)http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9429 世界第2位の農産物輸出国オランダに学ぶ 2017.04.22 世界第2位の農産物輸出国オランダに学ぶ 幸福実現党 宮城県本部代表 HS政経塾第5期卒塾生 油井哲史(ゆいてつし) ◆国際交渉の大きなテーマである「農業」 地方経済の核である「農業」は、国際交渉における大きなテーマとなっています。 米国が離脱した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関して政府は、米国抜きによる協定発効を模索する方向で舵を切りましたが、農産物の関税が争点の的となっていました。 一方、米国のトランプ大統領はTPPからの離脱を宣言し、二国間の自由貿易協定に向けた協議を加速しており、日本へ更なる市場開放を求めています。その際の注目する市場として、農業分野をあげています。 ◆日本の農業分野に市場開放を迫る米国 米国は農産物輸出国であり、多くの農業関係者や団体はTPPによる日本の市場開放を期待していただけに、TPPからの離脱は大きな波紋を呼び、落胆や懸念を表明しました。 米国食肉輸出連合会は「TPPを完全に受け入れてきた。市場アクセス利益が実現しなければ、深刻な競争不利状況が残る」と表明。 米国小麦協会と全米小麦生産者協会は「競争相手にTPP地域の市場シェアを奪われる」と懸念を示し、他の農業関係団体も反対のコメントを発信しています。 これらの意見を受けて、トランプ大統領はTPP交渉以上に農産物輸出の拡大に向けた市場開放を求めることが予想されます。 米通商代表部(USTR)代表に指名されているライトハイザー氏は、米議会上院の公聴会で農業分野の市場開放について「日本が第一の標的になる」としています。よって、日本はそれに立ち向かうためにも、農業の国際力強化は必須事項であります。 ◆世界第2位の農産物輸出国オランダに学ぶ 農業の国際競争力を強化するためにオランダから学ぶべきです。なぜなら、オランダは日本の九州とほぼ同じ国土と人口ですが、世界第2位の農産物輸出国です(日本の農産物輸出額第60位)。 このように世界を代表する農産物輸出国になった背景として国の農業政策における明確なビジョンがあったことと具体的な戦略を実践したことがあげられます。 オランダは1950年代に政府や産業が協力して土地の集約化に取り組みました。 農家1戸当たりの耕地面積は27ヘクタール(日本は2.3ヘクタール)となり、生産性は飛躍的に向上しました。 また、国家プロジェクトとして食品や農業に関連する企業や研究機関、食や農の関連組織の一大集積拠点(フードバレー)を整備し、産官学の連携で情報や人材交流を進め、新商品開発や新しい付加価値を生み出すことに成功しています。 世界の農業科学分野において大きな存在感を示すとともに高い競争力を保持し、高度専門人材の育成にも繋がっています。 さらに、1990年代に今後10年で「世界で競争力を有するべき産業」を選定し、その筆頭に「施設園芸」が掲げられています。 この中で、国家戦略作物として主要生産品目(トマト、パプリカ、キュウリ、ナス等)を選出し、研究開発を集中していきました。その結果、これらの商品競争力は世界トップレベルです。 ◆農業の仕事はオフィスで経営管理すること オランダの農業は最先端分野に位置づけられています。 経営コンサルタントの大前研一氏はオランダの農業は農業を経営することであり、農業の仕事はオフィスで経営管理していると分析しています。 その主な業務内容として従業員の指導、労務管理、コスト管理、生産管理、販売管理などであり、このようなスキルは一般的な企業経営と同じです。 パソコンで気温や湿度、生育状態、集荷状況やコストなどモニタリング、データ管理しているのです。 ◆農業は最先端分野/スマート農業、農業×「カイゼン」 実際に今の農業は様々な最新技術が導入されています。これまでの匠の技が情報通信技術によって、「見える化」され、他の農業者や新規参入者に継承されています。 また、農業ロボットや農業用ドローン、自動運転の農機などロボット技術や情報通信技術を活用し、省力化や高品質生産を進める新しい農業としての「スマート農業」が注目を集めています。 産業との協業も進んでおり、長野県はトヨタ自動車と連携し、農業の効率化を図っています。 トヨタが自動車製造で培った「カイゼン」のノウハウを農業に転化して作業を効率化する事業が進行しており、すでに導入実績がある愛知県の農業法人では労働時間が15%、苗の作りすぎも3割も削減する成果をあげています。 このように農業は時代の流れに合わせて高度化し、変化しています。産業と農業の連携は進み、新しい付加価値を生みだしています。 日本の農業の「伸びしろ」は大きい。農政改革を推進させることで、さらに農業は魅力あふれる産業になり、地方経済も活性化していくのです。 政府が先導役となり農業の最先端化や産官学連携を強化させて、国際競争に負けない強い農業を作っていくことが求められています。 【参考】 野村アグリプランニング&アドバイザリー 佐藤光泰「地方創生に向けた『地域型農業輸出モデル』の構築」2015.10 大杉武博 「米農業団体は猛反発、新体制の本格始動は半年後・・・「トランプ流」通商政策の今後を読み解く3つのカギ」産経WEST2017.1.30 大前研一 大前研一の特別講義「『スマートアグリ』の最前線」「温室よりもPC操作。オランダ農業がスマートアグリである理由」 2016.9.7 朝日新聞2017.3.15 WEB版 日本経済新聞2017.4.5 WEB版 緊迫する朝鮮半島情勢を読むーートランプ外交と日本の指針 2017.04.20 緊迫する朝鮮半島情勢を読むーートランプ外交と日本の指針 幸福実現党政調会・外交部会 彦川太志 ◆緊張高まる朝鮮半島 4月初旬の米中首脳会談後、トランプ政権が空母打撃群を朝鮮半島沖に派遣する決定を行ったことで、北朝鮮情勢を巡る緊張が高まっています。 国際社会の注目は、北朝鮮が通算6度目となる核実験を強行するかどうか。また、トランプ大統領がこのような挑発に対して「先制攻撃」をも視野にいれた軍事行動に踏み切るかどうかという点に集まっていましたが、 15日時点では、両国の間に大きな衝突は見られませんでした。 まるで米ソ冷戦の「キューバ危機」を思わせるような緊張状態ではありますが、様々な報道から分析すると、今回の空母打撃群派遣等のトランプ大統領の強行姿勢は、「北朝鮮やその支援国である中国を交渉のテーブルにつかせるプレッシャー」としての側面が強かったようです。 ◆トランプ大統領の強行姿勢に対する、各国の反応 例えば、ロシアのタス通信は、AP通信の記事を紹介する形で、「米国は軍事的手段による北朝鮮の非核化は行わない」とする記事を掲載しました。(※1) その論点としては、以下の通りです。 ・米国の最終目標は「北朝鮮の非核化」にあり、これを実現するため、北朝鮮最大の交易パートナーである中国をも巻き込んだ形で、北朝鮮にプレッシャーを与える。 ・もし北朝鮮が核・ミサイル実験を実施するならば、これを主導した人物に対する国連の経済制裁を中国・ロシアと共に実施していく。 ・米国が軍事的手段に訴えるのは、韓国や日本、米国自身に対して攻撃が行われた時である。 以上のような内容です。 ◆「北朝鮮の非核化」で一致した、米露外相の認識 そのような見方を裏付けるかのように、4月12日に開催された米露外相会談においては、「北朝鮮の非核化」で両外相の見解が一致したことが報道されました。(※2) 「史上最低の米露会談」とも評される、ティラーソン国務長官とラブロフ外務大臣による外相会談でしたが、両国の主張がすれ違っているのはシリアのアサド政権の扱いの問題に関してであり、北朝鮮問題に関しては利害が一致している様子が浮かび上がったと言えるでしょう。 ◆「北朝鮮の非核化」への同意を迫られる中国 一方、米中首脳会談の直前、トランプ政権は記者発表を通じて北朝鮮問題解決に向けた「答え」の一つを提示しています。 具体的には、「北朝鮮問題を平和的に解決したければ、同国の対外貿易の90%を占める中国が影響力を行使すべきである」と言う政府高官の発言です。(※3) 既に平壌行きの中国航空便が17日から全便停止(※4)となっていますので、トランプ政権が目論んでいる通り、中国をも巻き込みつつ、「北朝鮮の非核化」が進められようとしているのかもしれません。 そうした状況を反映してか、中国政府系メディアである「環球時報」の英字版、「Global Times」において、「中国の関与があれば、北朝鮮は核を放棄しても危険にはならない」とする論考が掲載されました。(※5) 北朝鮮に対して経済的影響力を行使し、核ミサイル開発の放棄へ誘導しようとしている、中国政府の様子が垣間見えるのではないでしょうか。 ◆冷静かつ大胆、「二つの武器」を駆使するトランプ外交と歩調を合わせるべき 以上のような観点を踏まえれば、空母打撃群の派遣を中心としたトランプ大統領の決断が、単なる軍事的冒険主義でない事は明らかです。 ロシアや中国を巧みに巻き込みつつ、軍事・経済の「二つの武器」を駆使して北朝鮮の暴走に歯止めをかけようとするトランプ大統領の手腕には、学ぶべき点が多くあります。 北朝鮮の「暴発」による偶発的戦争の危機に備えるためには、自衛権の行使に関する憲法解釈を変更し、主権国家として国民を守るための当たり前の行動ができるよう、法整備を進めていくことが重要でしょう。 北朝鮮のような全体主義国の「脅し」に屈しないためには、軍事力における優越はもちろん、時には先制攻撃も辞さない「気概」を示す事が重要となります。 同時に、中国に進出した日本企業の「国内回帰」を促す経済政策を講じることを交渉の材料として、中国を北朝鮮包囲網の形成に巻き込んで行くよう、米国と歩調を合わせていくべきだと考えます。 (※1)AP: США не будут применять военные методы для денуклеаризации КНДР (AP: US will not use military methods to denuclearize DPRK) (※2)2017/4/12 TASS Lavrov-Tillerson meeting round-up (※3)2017/4/4 Whitehouse Background Briefing by Senior Administration Officials on the Visit of President Xi Jinping of the People’s Republic of China (※4)2017/4/14 時事通信 中国航空大手、平壌便の運航停止=経済的圧迫の見方も (※5)2017/4/13 GlobalTimes With China’s help, it is not dangerous for DPRK to abandon nuclear weapons and open up すべてを表示する « Previous 1 … 72 73 74 75 76 … 253 Next »