Home/ 新着一覧 新着一覧 高等教育無償化 2017.07.20 高等教育無償化 HS政経塾6期生 須藤有紀 ◆「みんなにチャンス!構想会議」発足 安倍首相は6月19日、通常国会閉会を受けて官邸で記者会見を行い、「みんなにチャンス!構想会議」を7月に発足させると表明しました。 これは1億総活躍社会実現に向けた人材育成への投資を強化するため、「人づくり改革」を検討する有識者会議であり、担当相も設置すると言います。(6月19日産経新聞Web版) 安倍首相が年内国会提出を目指している憲法改正案のうち、目玉のひとつが「高等教育無償化」です。 この高等教育無償化も「人づくり改革」の一環であり、まさに「みんなにチャンス」を与えるための政策として位置づけられるようです。 ◆STOP!安易な無償化 結論から申し上げるならば、高等教育無償化はやめるべきです。 詳しくは、7月1日発行の和田みな執筆による、「教育の一律無償化は憲法改正に盛り込むべきではない」もご参照頂きたいのですが(http://hrp-newsfile.jp/2017/3217/)、高等教育を無償化するなら、奨学金の拡充をした方が良い、というのが私の意見です。 ◆日本の奨学制度 現在、日本の奨学制度で代表的なのは、日本学生支援機構(JASSO)による奨学制度です。財源は基本的には返還された奨学金ですが、国からの支出によっても賄われています。 JASSOが提示する奨学金には、貸与型(無利息、利息付、利息付で一時増額の3種類)と、今年度から開始した給付型(主に貧困層の学生に対し、月2~4万支給)の大きく2種類があります。 奨学金の返済義務を負うのは学生本人であるため、借りる際には通学している高校での成績や、学習意欲などが考慮されます。 例えば、無利息貸与型奨学金を希望する場合、高校1年生から奨学金申込時までの成績平均が、3.5以上(5段階評価)なければいけません。 また、JASSO以外では、都道府県や自治体が行っている「沖縄県国際交流・人材育成財団」や「東大阪市奨学金」、企業等が主催する「コカ・コーラ教育・環境財団」などの奨学制度があります。 しかし、日本の奨学制度は外国に比べれば、まだまだ多様性に乏しく、利用しやすいものとは言えません。 特に、給付型奨学金は種類や金額が少ない点が指摘されています。 ◆アメリカの奨学制度 それでは、他国の奨学制度はどうなっているのでしょうか。 奨学制度が充実している国として、代表的なのはアメリカです。 日本の奨学金は、多くの場合返済義務や金利のある「loan」ですが、アメリカの奨学金は、普通返済義務がありません。 そして、「どこから支払われるか」で、以下の通り分類されます。 ・federal(連邦政府が提供する奨学金・給付金) ・non federal(連邦政府以外が提供する奨学金・給付金) ・state(各州政府が提供する奨学金・給付金) ・institutional(組織が提供する奨学金・給付金) ・employer aid(雇用者への援助として企業が提供する奨学金・給付金) 連邦政府は「学生経済支援政策」を打ち出しており、ペル奨学金を始めとする大規模な給付奨学金、学生ローンなどの貸与奨学金のほかに、大学内や公共機関でのアルバイトを通じて報酬を出すワークスタディや、内国歳入庁の所轄する教育費の減税措置などを行っているようです。 ◆アメリカの大学の奨学金制度 また、その他に各大学が学内で行っている奨学制度も充実しています。 2008年には、ハーバード大学が年収6万ドル以下の家庭の学部生に対し、年間3.8万ドルの学費を免除することを決定。 年収6万~18万ドルの家庭も、「学費の拠出は最大で年収の10%まで」としました。 また、スタンフォード大学も年収6万ドル以下の家庭の学部生に対し、学費と寮費、計5万ドルを免除。 年収10万ドル以下の家庭には、学費だけ免除する方針を打ち出しています。 各大学は、莫大な寄附基金を資金源に、資産運用を行っています。そのため、「お上頼み」ではない独自の奨学金制度が実現しているのです。 ◆奨学金以外の学費軽減方法 上述した通り多様な奨学制度があるアメリカですが、奨学制度以外に学費を軽減する方法も存在します。 それが、Advanced Placementに代表される「高大接続システム」です。 簡単に言えば高校に通いながら大学の単位を先取りできる制度であり、大学卒業までの期間を短縮することが可能です。 アメリカの高校が単位制を採用しており、飛び級を容認しているために行える事ではありますが、才能ある学生を伸ばす上で有効な手段なのではないでしょうか。 ◆「無償化」ではない「チャンスの平等」を! ただ一律に高等教育を無償化したからといって、皆に平等にチャンスが訪れるわけではありません。むしろ更なる教育の質の低下を招きかねません。 真にチャンスの平等を実現し、才能ある学生を伸ばそうと考えるならば、無償化で3兆円もの予算をバラ撒く前に、給付型奨学制度のさらなる充実や、教育制度の見直しを図るべきではないでしょうか。 日本の更なる繁栄のため、教育の向上は不可欠です。 社会主義的平等主義を捨て、発展的観点から「人づくり改革」を行って頂きたいと思います。 【参考】 米国製エリートは本当にすごいのか? 著:佐々木紀彦 出版:東洋経済新報社 アメリカの才能教育 著:松村暢隆 出版:東信堂 日本学生支援機構HP、調査資料等 「米国の奨学金政策をめぐる最近の動向」国立国会図書館レファレンス 平成27年8月号 著:国立国会図書館調査及び立法考査局次長 寺倉憲一 http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9484228_po_077502.pdf?contentNo=1 G20後の米露関係―関係改善に向けて動き出した両大国 2017.07.18 G20後の米露関係―関係改善に向けて動き出した両大国 幸福実現党・政調会外交部会 副部会長 彦川太志(情報分析担当) 今回のニュースファイルでは、前回に続き、G20での米露首脳会談と、今後の国際情勢について報告したいと思います。 ◆G20での米露首脳会談に世界が注目 G20とは世界の経済大国19か国プラスEUで構成される、グローバル経済を促進することを目的としたグループですが、元々蔵相会議であったものが2008年の金融危機以降、首脳会議も開催されるようになっています。 本年はドイツのハンブルグを開催地とし、7月7日・8日の日程で首脳会議が開催され、米露首脳会談も、この日程の合間に実施されています。 ◆信頼回復の糸口が見えた米露首脳会談 「彼は対話相手の主張に耳を傾ける事ができるオープンな人格の持ち主であり、彼自身が作り上げたテレビの印象と全く違っていた。」 これは米露首脳会談の後で、トランプ大統領の印象についてプーチン大統領が語った言葉です。(※1) 両首脳は身を乗り出して固く握手を交わすと共に、米露関係について「悪化させるには、あまりにも重要すぎる関係」であるとの認識のもと、建設的な対話を進める必要性について合意したことが報道されました(※2)。 首脳会談の開催により、歩み寄りを模索していた両大国は「信頼回復」の糸口を掴んだものとみて良いでしょう。 ◆「過去は棚上げ」から出発する、新たな米露関係 今回の米露首脳会談の成果をあえて「一言」で表すとしたら、「過去については『棚上げ』し、両国の国益を損なわない実質的な解決方法を模索する」(※3)事で合意が得られたと言う事になります。 その姿勢が端的に表れたのが、米大統領選介入問題と、シリア・ウクライナ問題への対応でした。 (1)米大統領選介入問題 ロシアによる「米大統領選への介入疑惑」について、両首脳は40分間を費やしました。 トランプ大統領がプーチン大統領に対して率直に「介入の事実があったかどうか」を何度も問いただし、プーチン大統領は「介入の事実は無い」と返答する、と言ったやり取りが繰り返されたほか、米国や他国の選挙に対する介入が行われないよう、サイバーセキュリティについて「更なる交流を深めることで合意」したと伝えられています。(※4) 「オバマ政権下」で発生した「いざこざ」を掘り下げるよりも、両国の「信頼関係」構築に重点を置く意図が見えてくると言えるでしょう。 (2)シリア・ウクライナにおける緊張緩和 もう一つは、オバマ政権からの「負の遺産」とも言うべきシリア・ウクライナ問題です。 シリアについて、5月10日にホワイトハウスで行われたトランプ大統領と露外相との会談の中で、トランプ大統領は明確に「シリア政府の問題は、ロシアが手綱を取るべき」だと指摘していましたが、今回の首脳会談でも、シリア内戦の当事者に対し、「米露両国がそれぞれに影響力を行使する」事が「合意の核心」であったと伝えられています(※5)。 ウクライナ問題も同様です。G20終了後、トランプ大統領は「プーチン大統領の求めに応じて」対露強硬派として知られるクルツ・ボルカー前駐NATO大使のウクライナ派遣を決定すると共に、ロシアに対しては東部地域の緊張緩和と、停戦協定(ミンスク合意)履行に向けた行動を求めました(※6)。 これらの問題について、暫く予断を許さぬ状況が続くとは思われますが、オバマ政権下では米露が協力する兆候すらありませんでしたので、紛争地域の緊張緩和に向けた交渉が行われること自体、米露関係の改善に向けた動き出した証左と見ていくべきだと考えます。 ◆意見の「若干の違い」が残る北朝鮮・中国問題 以上の様に、2時間15分の首脳会談において「対立よりも前進」を選択した両首脳でしたが、一つだけ、意見に「若干の違い」がある問題があったと、ティラーソン国務長官によって明かされました。それが北朝鮮や中国に関する問題です(※7)。 これは私見ではありますが、北朝鮮・中国問題について「十分な信頼関係を構築できていない」という事を直接的に表現すると、「『アジアにおけるロシアの影響をどの程度認めるのか』と言う問題に話がついていない」と言う事を意味するものと思われます。 例えば、トランプ政権がシリアにおいてロシアとの信頼構築の糸口を見いだせた理由は、トランプ大統領が「シリアの手綱を引け」とラブロフ外相に伝えたように、同地域におけるロシアの影響力を一定程度認めたからに他なりません。 これを北東アジアにおいて当てはめるとしたら、どうでしょうか。その答えを出し、米露の橋渡しができるのは、北朝鮮と中国による「軍拡の危機」に直面している日本しかありません。 北朝鮮問題、即ち「朝鮮半島の非核化」の実現に向けては、北朝鮮の後ろ盾となっている中国に対して、ロシアからの圧力も必要です。そのためには、北方領土の帰属問題を一時「棚上げ」してでも、両国が互いに安全保障上の利益に尊重する事を前提とした、日露平和条約の締結を目指すべきであると考えます。(※8) 【下記セミナーにて、詳細を報告させて頂きます。】 ===================================== ■7/22 (土)13時~ 幸福実現党政調会・外交部会 月例公開セミナーのお知らせ 日々、幸福実現党にご支援を賜り、誠にありがとうございます。 7月22日(土)13時より、ユートピア活動推進館3階大会議室において、幸福実現党政調会・外交部会主催の公開セミナーを開催させていただきます。 今回のセミナーでは、G20サミット以降の米露関係と、国際情勢の展望について報告させて頂きます。 当日ご参加頂きました皆様には、外交部会作成のお持ち帰り資料をご用意させていただきます。多くの皆様の御参加をお待ちしております! テーマ:「G20サミット以降の米露関係・国際情勢について」質疑応答 日時:7月22日(土)12:45開場 13:00開始 場所:ユートピア活動推進館3F大会議室 東京都港区赤坂2-10-8 会費:1000円(持ち帰り資料あり) 主催:幸福実現党政調会 外交部会 講師: 同 副部会長 彦川太志(情報分析担当) ◆お申し込み・お問い合わせ ご参加のお申し込みは、【お名前】、【電話番号】、【所属支部(任意)】を明記の上、下記までメールをお送りください。 ※件名に「7月22日セミナー希望」とご記入ください。 担当:彦川太志 【victory777dh@gmail.com】 ===================================== <参考記事> (※1)2017/7/14 TASS:Putin believes Trump’s most important quality is ability to listen to his interlocutor (※2)~(※5)、(※7)2017/7/8 TASS:US-Russia relations are too important to focus on dispute (※6)2017/7/9 U.S.Department of State:Remarks With Ukrainian President Petro Poroshenko At a Joint Press Availability (※8)2016.12.18「安倍外交はなぜ「完敗」したか【第一回】――オピニオン力無き外交の終焉」2016.12.19「安倍外交はなぜ「完敗」したか【第二回】――「認識の齟齬」を生んだ安倍パフォーマンス外交」 「ロシア-ウクライナ「代理戦争」の様相を呈する、米「ロシア疑惑」問題」 2017.07.15 「ロシア-ウクライナ「代理戦争」の様相を呈する、米「ロシア疑惑」問題」 幸福実現党・政調会外交部会 副部会長 彦川太志(情報分析担当) ◆7月7日、G20サミットが開催 7月7日、ドイツでG20サミットが開催され、初の米露首脳会談に注目が集まりました。トランプ政権の誕生以来、米国内での「ロシア疑惑」の追及のためになかなか関係修復の糸口が掴めなかった両国ですが、事後の報道を見ると、「対立の中の協調」とでも言うべき成果があった事を見て取る事ができます。 今回は、まず米国での「ロシア疑惑」に関して整理した上で、2回に分けて首脳会談後の米露関係について解説したいと思います。 ◆トランプ大統領の「ロシア疑惑」について整理する まずは、トランプ大統領を悩ませる「ロシア疑惑」問題の大枠ついて整理したいと思います。 「ロシア疑惑」問題の発端は、米大統領選が行われていた2016年、数度にわたってヒラリー陣営の内部メールが「ウィキリークス」を通じて暴露された事件にあると言えます。 オバマ大統領はロシア政府によるサイバー攻撃の可能性を疑い、大統領選期間中から「ロシアの介入」を警告する発言を繰り返していました。 さらには退任間近の2016年12月、事実上の報復措置として駐米ロシア外交官35人の国外追放等に踏み切りました。 このような経緯を背景として、「トランプ氏が大統領選に勝利するため、ロシア政府と意思を通じていたのではないか」と言う報道が熱を帯びてきたのです。 トランプ陣営とロシア政府の繋がりを疑う報道の影響は大きく、選挙戦の最中にはポール・マナフォート選対本部長を辞任に追い込み、大統領就任後はマイケル・フリン補佐官を失脚させるなど、実際の政権運営にも実害を与えています。 疑惑の追及も厳しく、当初はトランプ氏とロシア政府の「共謀があった可能性」に関する報道であったものが、解任されたコミーFBI長官(当時)の証言を通じて、トランプ大統領が自身の側近に対する捜査を「妨害」していたのではないかと言う疑惑に発展するに至り、一時は議会による弾劾の可能性まで取り沙汰されることとなりました。 最近では、トランプ氏の長子であるトランプ・ジュニア氏が選挙期間中にロシア人弁護士と会合を行っていたことが問題となりましたが、結局、トランプ大統領とロシア政府の関係を立証する決定的証拠が提示されるには至っておりません。 ◆ヒラリー陣営にもあった!?外国政府との取引疑惑 ところで、ヒラリー陣営にも「外国政府との接触」の問題があることは意外と知られておりません。少なくとも、トランプ氏の大統領就任前後で一度、報道されているのですが、なぜかその後メディアから姿を消し、十分な追及は行われていなかったのです。 ところが、トランプ大統領が新たにクリストファー・レイ氏をFBI長官に指名し、上院でこれを承認するための公聴会が開催されて以降、再びこの問題に注目が集まっています。 それは、「2016年の大統領選当時、民主党全国委員会の関係者であったウクライナ系アメリカ人が、ウクライナ政府からトランプ大統領の不利となる情報提供を受けていた」と言う事実を暴き出す内容です。 つまり、「選挙戦を有利に進めるために外国政府と取引をした」疑いは、ヒラリー陣営にもあると言う事です。 もし米メディアが自国の選挙に対する「外国政府の干渉」問題に取り組むのであれば、ヒラリー陣営とウクライナ政府の「関係」も、「ロシア疑惑」と同様に追及していくべきだと言えるでしょう。 ◆「ロシア・ウクライナの代理戦争」の様相を呈した米大統領選 なお、FBI長官にレイ氏が指名されたことで、日本のメディアは「ロシア疑惑の追及」が加速すると見ていますが、米メディアではまったく逆に、「(レイ氏が)承認されれば、この問題(ウクライナ問題)を掘り下げていくつもりである」ことを公言した(※1)と報道されています。 さらには「次は民主党がFBIの追及に直面する可能性が高い」とも報道されている(※2)ほか、大統領選自体を「ロシアとウクライナの代理戦争(※3)」と表現する記事があるほどです。 ロシア寄りの人選で政権を固める事が予想されていたドナルド・トランプ氏の存在は、ウクライナにとって「危険な存在」以外の何物でもないと映っていた事でしょう。 ◆ウクライナ問題での協調見えた米露首脳会談 レイFBI長官の下、民主党に対する「ウクライナ政府との関係」が追及される事態となれば、トランプ大統領の政権運営や、米露関係の修復にも大きな影響が生じていく事が予想されます。 実際に、G20の米露首脳会談で取り上げられたテーマの一つに「ウクライナ問題」がありましたが、両政府関係者の発言を詳細に分析すると、表面的には対立を演出しつつも、米露が協調してミンスク合意を履行させ、ウクライナ問題を終息させようとする意図が見えてきます。 次回は、以上のような米国内の情勢変化を踏まえた上で、G20以降の米露関係・国際情勢を予測してみたいと思います。 =================================== ■7/22 (土)13時~ 幸福実現党政調会・外交部会 月例公開セミナーのお知らせ 日々、幸福実現党にご支援を賜り、誠にありがとうございます。 7月22日(土)13時より、ユートピア活動推進館3階大会議室において、幸福実現党政調会・外交部会主催の公開セミナーを開催させていただきます。 今回のセミナーでは、G20サミット以降の米露関係と、国際情勢の展望について報告させて頂きます。 当日ご参加頂きました皆様には、外交部会作成のお持ち帰り資料をご用意させていただきます。多くの皆様の御参加をお待ちしております! テーマ:「G20サミット以降の米露関係・国際情勢について」質疑応答 日時:6月17日(土)12:45開場 13:00開始 場所:ユートピア活動推進館2F礼拝室 東京都港区赤坂2-10-8 会費:1000円(持ち帰り資料あり) 主催:幸福実現党政調会 外交部会 講師: 同 副部会長 彦川太志(情報分析担当) ◆お申し込み・お問い合わせ ご参加のお申し込みは、【お名前】、【電話番号】、【所属支部(任意)】を明記の上、下記までメールをお送りください。 ※件名に「7月22日セミナー希望」とご記入ください。 担当:彦川太志 【victory777dh@gmail.com】 <参考記事> (1) 2017/7/12 CNN「DNC denies working with Ukrainian government, but contractor floated anti-Trump material」 (2) 2017/7/12 Washington Examiner「DNC could face investigation into Ukraine ties if Christopher Wray is confirmed」 (3) 2017/1/11 Politico「Ukrainian efforts to sabotage Trump backfire」 日本はどうする?アメリカでささやかれる米中戦争の可能性 2017.07.13 日本はどうする?アメリカでささやかれる米中戦争の可能性 HS政経塾2期卒塾生服部まさみ ◆北朝鮮問題の陰で浮上している米中戦争の可能性 北朝鮮によるミサイル問題の陰で「中国との戦争」という重いシナリオが議論されています。 米中戦争の可能性を指摘しているのは、米ハーバード大学のグラハム・アリソン教授で、昨年から米誌「ナショナル・インタレスト」や著書などで発表し、論議を巻き起こしています。 アリソン教授は過去500年間の欧州とアジアの覇権争いを研究し、「台頭する国家」が「支配する国家」との戦争によって取って代わる可能性があると述べ、米中は、互いに望まなくても数年後に、(1)南シナ海で米中軍艦の衝突、(2)台湾問題の緊張、(3)尖閣諸島をめぐる日中の争奪戦などが引き金となり、激突し、戦争を引き起こすという予測が立てられています。(7月12日付産経新聞14版) アメリカに代わって「世界の覇権を握る」という中国の国家戦略のもと、これらのシナリオが日々、現実味を帯びると共に、北朝鮮問題をめぐって米中の対立が激しくなっているのが事実です。 しかし、米中戦争の危機は今に始まったわけではなく、かつての朝鮮戦争、ベトナム戦争も、本当は米中戦争であり、中国は、「自分が戦ってるとは見せないで、支援している国に武器等の補給をして、パイロットなどを送り込んで戦う」ということをするのが得意だということを忘れてはなりません。 ◆中国が北朝鮮を止められない理由 中国は、北朝鮮の核兵器開発に反対し、米国との協力姿勢も示してきましたが、ここにきて、米国が北朝鮮に対する圧力強化を求めていることについて、「解決の鍵は中国政府の手にはない」とし、北朝鮮問題を巡る「中国責任論をやめ、各国がそれぞれ働きかけるべきだ」と異例の反論を米国に対して行っています。(7月11日ロイター) このような矛盾する中国の態度の背景にある本音とはどのようなものなのでしょうか?中国が北朝鮮を止めることができない理由は大きく3つあります。 一つ目は、北朝鮮が暴発することです。経済状態が悪化することで、資金や燃料不足から追い詰められた北朝鮮が、自暴自棄になって軍事的に暴発することを恐れていること。 二つ目は、北朝鮮が中国のコントロール下から外れてしまうことです。これまでも、中国が強い経済制裁をかけると、北朝鮮はロシアにすり寄ってきました。 中国とロシアはお互いに、自国の安全保障のために重要だと考えているエリアで、相手の影響力が高まることを警戒しているため、安全保障上、重要な位置に存在する北朝鮮を失いたくないのです。 三つ目は、中国の国内事情です。遼寧省などの地域は長期の経済停滞に苦しんでおり、北朝鮮との貿易で占める経済利益の割合が大きく、経済制裁を行うことで、国内にマイナスの影響を与えてしまうためです。 また、大量の難民があふれ出すことも予測されます。中国にとって、北朝鮮が米国との間の緩衝地帯であることの重要性は変わらず、自国の安全保障や経済上のリスクを冒して、中国が米国のために本気で協力するとは考えにくいのです。(参照:『中国が北朝鮮を止められない3つの理由』小原凡司) ◆戦わずして勝つ「トランプ戦略」 かつての朝鮮戦争やベトナム戦争が本当は米中戦争であったように、軍事的覇権をもって世界の大国になろうとし、米国に覇権戦争を挑んできている中国の本音や本質をトランプ大統領は見抜いた上で揺さぶりをかけていると考えます。 表舞台では、中国が北朝鮮に圧力をかけるべきだと要求し、首脳会談などでは、融和的な態度で協力を引き出していく一方で、「北朝鮮に強い制裁を行わない中国」という悪いイメージを作り上げて、批判し、一段と強硬姿勢を転じています。 具体的には、南シナ海の人工島近くで「航行の自由」作戦を再開し、台湾に大型武器を売却、北朝鮮と取引のある中国企業や個人に制裁を発動しました。 これに対して、中国は米韓の合同軍事演習が緊張を悪化していると非難し、韓国に新型迎撃ミサイルTHAAD(サード)を配備したことに神経をとがらせ反発、北朝鮮と取引がある中国企業や個人に制裁を課したことにも抗議しています。 米国も米韓演習は対北朝鮮の防衛力を維持するために必要だと反論し、中国が北朝鮮に更なる圧力をかけないのであれば、鉄鋼やアルミニウムなどの物資の米国への輸入を制限する制裁措置を取ることまでちらつかせています。 北朝鮮に対しては、軍事力行使も辞さないという毅然とした態度を示すと同時に、中国が嫌がることを全て行動で示し、中国の覇権を止めるという「トランプ革命」を一貫して実践しているのです。 G20でのロシアとの2時間以上に及ぶ首脳会談や中国との貿易構造まで変え、中国の利益体質を減らして兵糧攻めまで行おうとしているところは、中国の野望を打ち砕き、米国と戦うことをあきらめさせる、まさに、「戦わずして勝つ」戦略です。 国内外で色々と批判されるトランプ政権ですが、この見事な外交手腕には脱帽です。 大統領就任演説で「生命をかけてあなた方のために戦う」と宣言したトランプ大統領の信念と平和を築きあげるための大戦略がここに垣間見えます。 トランプ政権は、北朝鮮が米国本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)を保有することを「レッドライン」として警戒してきましたが、7月4日、米国の独立記念日に、アラスカやハワイを攻撃できるICBMの実験を成功させました。 いよいよ北朝鮮に対して、軍事力行使の可能性が高まり、米中戦争の可能性まで含めたこの現実を、「アメリカ頼み」の日本はどう受けとめ、今後、どのように対応していくのかが問われています。 政局争いを繰り返すことばかりが政治ではありません。当たり前のことを、当たり前のこととして真剣に議論し、この国を守り抜く決断をする政治を実現していきたいと思います。 バウチャー制度の導入で、「質」のいい保育所がつくれる 2017.07.11 バウチャー制度の導入で、「質」のいい保育所がつくれる HS政経塾第6期生 山本慈(やまもと・めぐみ) ◆待機児童はますます増加している 最近では、保護者層を中心に「保活(子どもを保育所に入れるために保護者が行う活動)」という言葉が定着しつつあり、都市部での待機児童問題が大きくとりあげられています。 厚生労働省は平成27年4月時点で、待機児童数が全国で45,315人に達し、平成28年には東京だけで8,466人に上ると発表しています。また入園申請をしていない等の「隠れ待機児童」も存在し、実際の待機児童数は45,315人以上いるとされています。 ◆保育所に預けられるかは、家庭の死活問題 出産後、生活費のために社会復帰する女性が多い中、保育所に子どもを預けられず、再就職できない人もいます。 なかには、保育所に子どもを預けるため、引っ越しを繰り返したり、(戸籍上)離婚したりする家庭もあります。 それほどまでに、子どもを保育所へ預けなければ家庭をやりくりできないという事情が明らかとなっています。 ◆保育所の増設だけではダメ こうした現状に対し、与野党は保育所を増やす政策を打ち出しています。 厚生労働省は平成28年3月28日に認可保育園の定員数を増やす規制緩和を盛り込みました。 しかし、定員数増と同時に保育士の待遇改善に触れなかったことで、保育士の労働環境は更に厳しいものになりました。 保育所を増設したり、児童受入れの定員を増やしたりするだけでは、保育所の「質」の低下と、多額の税金が費やされるだけで、待機児童問題の根本的な解決にはなりません。 ◆サービス向上に力が入らない理由 保育所のサービス向上を妨げているものは、補助金の手続きやおかしな規制です。 保育園経営者のなかには、補助金の仕組みが複雑なため、書類づくりに手がいっぱいになり、サービス向上や事業拡大に専念できないという意見もあります。 また保育所が認可されるには、さまざまな条件が壁となり、新規参入が難しいともいわれています。 ◆バウチャー制度の導入 保育所の「質」を維持・向上させつつ、待機児童問題を解消していくには、バウチャー制度を導入すべきでしょう。 バウチャー制度は「国や自治体などが目的を限定して個人を対象に補助金を支給する制度(※)」で、バウチャー(引換券)を渡すことで、公共サービスを受けられるというものです。 つまり、今よりも保護者が預けたい保育所を自由に選べるようになります。 子どもを預けたい保育所にバウチャーを渡せば、その保育所に補助金がおりる仕組みとなっているので、経営者は補助金の手続きに苦心する必要が無くなります。 (※)コトバンクより引用 ◆よりよい保育がのぞめる バウチャー制度導入により、バウチャーが保育所に渡される分だけ、補助金が入るようになります。 これにより、一定の補助金の限度が撤廃されたことで、限界なく保育士を雇えるようになります。十分な保育士を雇えることで、保育の「質」を維持・向上することがでるでしょう。 (参考) ●2016年4月29日付 Part 1 「保育園落ちた」をなくす方法 – 愛してるから、黙ってられない。 女性が損をしないための3つの政策 http://the-liberty.com/article.php?item_id=11236 ●2016年4月11日付 政府は本気で待機児童問題に取り組む気があるのか~保育中の事故で子供を亡くした母親が訴え「保育士を大切にしないと子どもの命は守れない」~私たち声をあげます!大作戦 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/296124 オバマケアと医療保険 2017.07.08 オバマケアと医療保険 幸福実現党・岡山県本部代表 たなべ雄治 ◆オバマケアの廃止は決まらず アメリカでは、医療保険制度改革法(オバマケア)廃止に向けての共和党の代替法案が話題となっています。 オバマケアの廃止は、トランプ大統領の公約の目玉の一つでした。 5月に、オバマケアの代替法案は僅差で米下院を通過しました。 ところが先月末、上院での過半数獲得が見込めず採決が延期となりました。 今、アメリカの医療サービスに何が起きているのでしょうか。 ◆アメリカの医療制度 アメリカでは、医療保険制度の大部分を民間に任せています。先進国では例外的です。 公的医療保険制度もあります。高齢者・障害者向けの「メディケア」と、低所得者向けの「メディケイド」で、人口の3分の1の方がこの制度に加入しています。 上記以外は民間保険であり、多くの米国民は雇用先を通じて民間医療保険に加入しています。 ところがアメリカの医療費が非常に高いこともあって、民間医療保険の保険料も高額になっています。 保険料が払えない中低所得者などを中心に無保険者は10%を超えており、医療費の支払いに起因する破産などの問題がおきていました。 オバマケアとは、上述の問題を解決すべく、国民皆保険を目指して2014年から導入された医療保険制度です。 国民には医療保険への加入を義務付けて、民間保険会社には国民の保険加入を断れないなどの規制を設け、財政支援も加えました。併せて、メディケイドの条件を広げ、加入しやすくしました。 こうすれば、確かに無保険者は減っていくはずです。 ◆オバマケアの評価 では、オバマケアは成功したのでしょうか。 確かに、医療保険の加入率は上がりました。 一方で、保険料が平均25%も値上がりし、オバマケアを提供する保険会社が相次いで撤退するなど、見通しの明るいものではありません。 その原因は、公営の社会保険ではなく、民間保険だからです。 民間保険の場合、リスクの高い人には高い保険料を求めますし、場合によっては加入を断ることもできます。 ところがオバマケアの規制により、リスクの高い国民の加入も断れなくなったため、保険給付が増え、その分を保険料の引き上げで補う必要が出てきたわけです。 さらに、収益を見込めない保険会社が撤退し始めました。 2018年には全米の約半数の州で、オバマケアの保険商品を提供する保険会社が1社以下になるという予想も出ています。 1社だと競争原理が働かず、保険料のさらなる値上がりも懸念されます。 オバマケアは成功とは言えません。 ◆オバマケアの代替法案 対して、共和党によるオバマケア代替法案とは、以下のようなものです。 ・国民への加入の義務付けを外す。 ・保険会社は、リスクの高い人の加入を断ることができる。保険内容に関する規制も緩和する。 ・拡大したメディケイドは、段階的に元に戻していく。 完全にオバマケア以前に戻すわけではありませんが、かなりの部分で規制が緩和されることになりそうです。 しかしこの代替法案が可決されると、再び無保険者が増加していくという分析があります。 上院では共和党の中にも代替法案に反対する議員が現れ、冒頭で述べた採決延期につながりました。 ◆医療保険のあり方 多くの先進諸国で、医療を含む社会保障が財政を圧迫しています。 医療のように、自由化して市場原理に任せればよいと単純には言えない分野が存在します。 まだどの国も、医療保険のあるべき姿を見つけ切れていないのではないでしょうか。 これからも様々な社会実験をしていくことになるでしょうが、方向性を示すことは可能だと思います。 それは、「公共の資源を食いつぶさない」という「インセンティブ(動機)」を与えることです。 日本では安くて高品質な医療サービスがいつでも受けられます。 しかし、私たちが窓口で支払う診察料の2倍以上の額が、国民の税金から支払われていることを忘れてはなりません。(自己負担3割) 「保険診療を無駄遣いしない」という「インセンティブ」が望まれます。 その一例として、岡山県総社市の「総社市国民健康保険 健康推進奨励金制度(総社市国保「健康で 1万円キャッシュバック」)」を挙げます。 一年間保険診療を使わず、かつ健康診断を受けている世帯に対して、1万円を還付するという制度です。 また、夕張市のような事例もあります。 http://hrp-newsfile.jp/2017/3209/ あるいは、保険診療の利用額が少ない人に、年金給付を増額して還付する方法も考えられます。これらは、生活習慣改善へのインセンティブにもなることでしょう。 正しいインセンティブを与えつつ、効率化は市場原理にゆだねる。これが医療保険のあるべき姿だと考えます。 都市開発の新しいフロンティア「空中権」【その1】 2017.07.06 都市開発の新しいフロンティア「空中権」【その1】 幸福実現党政務調査会 都市計画・インフラ部会長 曽我周作 ◆「容積移転」「空中権」とは アメリカでは「空中権」という制度があり、「土地の上部空間を水平的に区画して建築的に利用する権利」とされ、土地の所有権の構成要素の一つとされています。 都心においては、土地の高度利用の観点からできるだけ収益性をたかめる商業施設や事務所ビルを建設しようという力が働きます。 しかし、容積率の制限が存在し、もっと容積率の高い建物を建てたいという需要があります。 一方、ある土地に対して容積率を制限限度まで利用して建築物を建てている場所ばかりではありません。 また、将来にわたっても容積率を余らせることが予見される場所があります。例えば歴史的建造物や寺院、また公園などもそうです。 開発競争の中で神社仏閣や歴史的建造物、オープンスペースを確保する公園、また美術館など文化施設が失われるのは町にとっても損失ですし、守り、残さなければならないものがあります。 未利用の容積率を開発権とみなして移転できるようにするということが発生するのは、「おなじ都心地域のなかにあっても未利用の容積率を残したまま新たな建築更新の必要のない地権者がいる一方で新たに建替えの希望のある地権者が基準容積以上の容積を得たいと考える場合」があるということ、「民間事業の側からは都心の土地利用の有効・高度利用の需要があり、行政からは都心の町の魅力を高める必要性」があるからであるといわれます。(『建築空間の容積移転とその活用』p9より) 容積率を譲り渡したい側と、容積率を譲り受けたい側が、それを取引できるようにするということが行われるのが容積移転であり、「空中権」の取引などと表現されます。 ◆日本とアメリカの容積移転制度 ・アメリカのTDR制度 アメリカのTDR(Transferable Development Rights)制度は1961年にG.ロイドによって提唱されたといわれ、その理念は以下のように指摘されています。 「彼は、都市の開発においては開発密度の調整が必要であり、一定以上のオープンスペースを確保しながら開発は進められるべきであるとし、オープンスペースの土地所有者は、高密度開発が認められている地区の土地所有者に開発権を譲渡し、高密度開発地区の土地所有者はこの開発権を購入しなければならないと提案した。この考え方の中には、都市開発を推進していくうえで、オープンスペースの確保が必要であり、このオープンスペースを強制的に確保させるためには、財産権の補償としての開発権の移転を土地所有者に与えようとする姿勢が見られる。」 つまり、この制度の性質として、開発が規制された土地の所有者に対しての財産保障と、それによってオープンスペースを確保しようという狙いが、まず一つあきらかです。 現在、このTDRは2008年時点で186の自治体で採用されており、オープンスペースの確保の他に、歴史的建築物の保全、農地保護、森林保護、環境保護、低所得者用住宅確保などの目的も果たしています。 また、場所によってはCO2削減などの目標も含まれているように、公益性の目的のために用いられている面があります。 この制度においては、空中権の出し側と、受け側の需要が同時にあることが必要であったため、TDR bankというものが設けられるようになりました。 例えばニューヨークのサウスストリート・シーポート特別地区は歴史的建築物の保全と再開発の推進を目的として地区として位置づけられ、ここでは歴史的建築物の所有者が未利用容積を開発権として、受け地に直接売却するか、仲介者を介することもできます。 この仲介者にあたるのがTDRbankであり、ニューヨーク商業銀行の連合体で組成されました。 また、アメリカでは空中権が土地所有権の構成要素とみなされています。条例で容積率移転の事実を公示することが義務付けられています。(『都市再生を目指して』p17より) 一方、日本では先ほど指摘したように、未利用分の容積が所有権の対象となっていません。 そのため、空中権の取引を制度的に確立するにあたっては第一に権利関係の法的確立が課題になります。 (「法的性格としては、直接土地に及ばない不安定な権利であること、当事者間でのみ有効な債権的権利であること、物権としての公示方法がない」『都市再生を目指して』p17より) (つづく) 「坂の上の雲」を超えた国家ビジョンを目指せ 2017.07.04 「坂の上の雲」を超えた国家ビジョンを目指せ HS政経塾第6期生 坂本麻貴 ◆国の税収が減収 日本経済がリーマンショックの影響を受けた2009年から、今年で8年がたちますが、国の2016年の税収が前年度を下回り、55兆5千億円程度となりました。 これは7年ぶりの前年割れで、所得税、消費税、法人税といった税収全体の8割を占める「基幹3税」がそろって減収となっています。 さらに消費税収は2015年度の1兆4千億円を数千億円下回り、これは2014年4月の消費税率引き上げが絡んでおり、経済成長頼みの財政運営は転機をむかえているといいます。(6月30日付日本経済新聞) ◆社会保障の充実を名目に引き上げられた消費税 2014年に消費税率は8%へ引き上げられました。その少し前の民主党政権かで、社会保障の財源のために消費税率をあげるという法案を通し、それをベースに引き上げられ、また2019年からは10%まで引き上げられます。 しかし、高齢化が進む日本において、消費税の税収を社会保障にあてても、今以上に充実していくことは極めて難しいと言わざるを得ません。 そもそも、消費税制を始めて日本に導入した際、当時の竹下登首相は、「景気が回復し、国の借金を返すまでの間導入する」と私たちに約束しています。その年の税収は60兆円ほどでした。 しかし、その後景気はいっこうに回復せず、27年間、一度もこの60兆円の税収を超えたことがないのです。 1997年には5%へ引き上げ、これによってさらに景気は悪化。その後8%に上げたことの影響が、今になって現れてきたといえます。 消費税の増税では、景気は回復しないということがいよいよ明確になってきました。 ◆鍵を握る企業の国内回帰 今回の減収の要因の一つとして、企業のグローバル化についても指摘されています。 日本企業が海外に進出し現地で雇用したりすることで、日本に法人税や所得税が入らず減収したということです。 ここから、海外に進出している企業が、再び日本国内に立地していく必要があり、そのためには大幅な法人税の減税が必要です。 また、企業が魅力に思う人材を教育によってつくっていくことも重要です。 ◆坂の上の雲を超えた国家ビジョン 戦後日本は坂の上の雲を目指して経済成長してきました。それがここ30年は坂を登りきり、下り始めたかのようになってきています。 日本では、経産省を筆頭に日本の技術力に注目し、「モノづくり」を推進してきました。 戦略を階層で考えるというものがありますが、技術力というのは最下層にあたります。 「技術」→「作戦」→「戦略」→「大戦略」→「政策」→「理念・世界観」(奥山真司氏講義より所収)と進むにつれ上の階層になっていきますが、下の階層でどんなに素晴らしくても、より上の階層が強い方が勝ってしまいます。 今、日本には、世界の中でどのような存在なのかという理念や、世界の中でどういうビジョンを持ち、どの方向へ舵を切るのかという世界観が必要です。 幸福実現党のもつ、「より多くの人を幸福にする」という理念や「世界をリードする日本」といったビジョンが必要なのではないでしょうか。 教育の一律無償化は憲法改正に盛り込むべきではない 2017.07.01 教育の一律無償化は憲法改正に盛り込むべきではない 幸福実現党たつの市地区代表 和田みな ◆今年の夏は憲法改正議論が熱い 2020年の憲法改正にむけて、永田町の動きがあわただしくなってきました。 安倍首相は自民党改正案の年内国会提出を目指す意向を示しており、自民党憲法改正推進本部は9月にそのたたき台をまとめたい考えです。 ◆教育の無償化は憲法改正の主要4項目 自民党憲法改正推進本部は、これから、主要4項目を中心に議論を進める方針ですが、その中で、最も各党の合意が取りやすい項目は「教育の無償化」です。 先月、政府がまとめた「骨太の方針」にも「幼児教育・保育の早期無償化」や「高等教育の改革」が盛り込まれる形となりました。 民主党政権時に高校の授業料無償化に反対した自民党としては大きな方向転換ですが、改憲勢力として重要なポジションにある日本維新の会を取り込みたい安倍首相にとって、維新が強く主張する「教育の無償化」が重要な論点となっていることがわかります。 現在、日本国憲法第26条において、義務教育は無償と定められています。また、2010年度からは、高校の授業料についても全額または一部が無償となりました(「高校無償化法」)。 「教育の無償化」議論は、就学前教育や高等教育までこの範囲を拡大しようとするものですが、憲法に明記し、一律に無償化する必要があるのか甚だ疑問です。 ◆高等教育の無償化も問題点 「高等教育の無償化」にはどのような問題点があるのでしょうか。 日本の大学の教育支出に占める私費負担の割合は65%と非常に高く、学生と家族に重い経済的負担が問題であると言われています。 このような現状に対して、日本維新の会などは「無償化は教育の機会均等、少子化対策にも資する」「教育投資は成長戦略である」と主張しています。 一方で、定員割れの私立大学は全体の4割強に達しており、授業料を無料にすれば、無料であることのみを理由に進学する人が増えることが予想できます。 また、学割や様々な学生サービスを利用したいがために、学ぶ意思のない人が進学するケースも懸念されます。 このような学生の増加は、定員割れに苦しむ大学にとっては、非常にありがたい施策であるかもしれませんが税金を支払っている国民にとっては、許せることではありません。 やる気のない学生の授業料を税金で賄うことが、投資として本当に有効であるとは思えません。 本来、大学も他の企業同様、市場原理の下で、学生に必要な教育の質を確保し、競争力を維持できるよう、努力するべきです。そのために、国は授業内容や授業料などを自由に設定できるようにすべきです。 逆に、無償化によって経営状態のよくない大学を国が支援する形になれば、「定員割れ」の大学は努力する必要がなくなり、結果として、大学教育の質の低下を招きます。これでは、意欲のある学生が大学に進学するメリットも薄れてしまうということになりかねません。 ◆就学前教育の無償化 様々に問題がある高等教育の無償化に対して、就学前教育の無償化については、肯定的な意見が多くみられます。 経済学的な観点からは、「年齢が低いほど人的資本投資の社会的収益率が高い」とする、米ノーベル経済学者のJ.ヘックマンの研究を引用し、幼児教育や保育への投資が正当化されてきました。 さらに、社会保障的な視点からは、自民党の小泉進次郎氏などが主張するように、今の時代は「子どもは社会全体で育てるもの」であり、高齢者向けの社会保障費の増加に比べて、子ども向けの施策の少ないアンバランスな構造を是正するために、就学前の子育て支援の必要性が述べられてきました。 しかし、日本の場合、4歳で幼児教育施設に通っている比率は95%であり、すでにほとんどの子供が幼児教育を等しく受けている現状があります。さらに、保育対象の子供たちの内、全国で2万3000人が待機児童となっており、受け入れる器がない状態です。 待機児童問題が解決されない中、就学前教育が無償化されれば、今預ける必要のない子供たちまで、保育園への入園を希望するようになることは明らかです。 そうなれば、更なる保育園不足が問題となる可能性が高く、これによって保育の質の低下も懸念されます。 ◆憲法に教育無償化を盛り込むことは単なるバラマキ どのような家庭環境にある子供にも、教育を受ける機会を保障することは大切ですが、「教育の機会均等」のためというのであれば、教育内容にも議論が及ぶべきではないでしょうか。無償化によって質の低下を招いては意味がありません。 憲法改正には賛成ですが、教育の無償化を書き込むことには反対です。「教育の無償化」を憲法に明記するとなれば、義務教育と同じように、親の収入や子供の数に関係なく、一律に無償化されることになるでしょう。 これは単なるバラマキであり、ポピュリズム政治です。 教育は一律に無償化するのではなく、経済的に苦しい家庭に対しての、保育料や授業料の減免や教育バウチャー制度の導入、奨学金の拡充などで対応すべきです。 給付型奨学金制度に今よりも多くの予算を割き、能力ややる気のある学生を支援することも、無償化より有効な教育投資になると考えます。 「幼児教育無償化」は選挙対策か? 2017.06.29 「幼児教育無償化」は選挙対策か? HS政経塾 担当チーフ 古川裕三 ◆政府が掲げる「幼児教育、保育の早期無償化」について 政府が先月発表した、骨太の方針の素案では「幼児教育、保育の早期無償化」が謳われています。 しかし、無償化に必要な年間7000億円にも上る巨額な財源についての具体案は示されていません。 一応は、財源について、年内に結論を出す方針とのことで、(1)財政の効率化、(2)税、(3)新たな社会保険の3つの案が示されています。 (1)財政の効率化は、日本の経済成長と密接にかかわる分野であり、すぐに効率化できて財源をねん出できるわけではありません。 (2)の税と、(3)新たな社会保険(「こども保険」)というのも、要するに消費税の増税か、社会保険料の値上げ、ということになりますので、結局、国民の負担を強いるということになります。 ◆無償化の是非 無償化について、教育経済学的な立場では、「人への投資は収益率が高い」という点をあげて賛成する人が多くいます。 特に最近は、ノーベル経済学賞受賞者のヘックマン氏の著書『幼児教育の経済学(原題『GIVING KIDS A FAIR CHANCE』)が引き合いに出され、賛成側の論拠のひとつともなっています。 本書の英語の原題である、「恵まれない子供たちへ公平な機会を与えること」という趣旨には賛成ですが、一律にすべての子供を対象に無償化させることには反対です。 政府は、幼児教育無償化について、「すべての子どもに質の高い幼児教育を保障すること」を目指す、としています。 すでに現在もひとり親家庭や多子家庭に対する無償化への取り組みは始まっていますが、セーフティネットとしての機能は必要ですが、無償化対象を「すべての子供」にまで拡大させる必要はありません。 ◆日米の違い 6月28日付日経新聞のオピニオン欄に掲載された慶応大学教授の赤林英夫氏の寄稿(「幼児教育『無償化』意味がない」によると、ヘックマン氏の主張では、主に50年前のアメリカを事例として、教育機会に恵まれない就学前の子供に質の高い教育を施したときの効果がデータとして示されますが、アメリカは先進国のなかで就学前教育(4歳まで)の普及が最も遅れている国であると指摘しています。 さらに、OECD統計では、4歳で幼児教育施設に通っている比率は68%でも、日本は95%にも達しており、日本国内においては4歳から5歳の子供の就園率を上昇させる余地はほとんどないことを指摘したうえで、無償化させることは、いままでは親が自ら進んで出していた教育費を税金で肩代わりすることにすぎないと論破しています。 つまり、政府は、消費税や社会保険料を上げて国民を苦しめつつも、「無償化」を謳うことによって人気をとり、税金の「バラマキ」対象を増やして票を買いたいという「選挙対策」がその本質です。 お上中心主義というか、全体主義的というか、どうしても現政権は「上からの革命」を企図しているようにみえます。(参考:『政治の意味』大川隆法×大川裕太著) ◆「しらかし貴子」氏、保育の規制緩和を訴える 幼児教育の無償化は必要がない、ということについて論じてきましたが、今、喫緊の課題は、やはり東京都を中心に、大都市部が抱える「待機児童」の解決ではないでしょうか。今も全国で2万3000人もの待機児童がいるというのは異常事態です。 現在、小規模認可保育園の園長を務める「しらかし貴子」氏は、保育業界の規制緩和を訴えています。 参考:リバティWEB http://the-liberty.com/article.php?item_id=13143 現場に身を置き、多くのママたちの悩みに接し、改革の必要性を心底感じている「当事者」にこそ、行政を変える真のパワーがあるのではないでしょうか。 すべてを表示する « Previous 1 … 69 70 71 72 73 … 253 Next »