Home/ 新着一覧 新着一覧 反日韓国への効果的な対抗措置 2019.05.24 反日韓国への効果的な対抗措置 HS政経塾第9期生 梅本 茉弥(うめもと まや) ◆次々と起きる反日行動 韓国は相変わらず反日行動を繰り返しています。 これまでに起きた徴用工訴訟の原告人数が959人、訴えられている日本企業は70社を超えています。 また、日本製鉄と不二越の韓国内資産は差し押さえらえており、その金額は約9300万円相当(日本製鉄)、約7300万円相当(不二越)だと報じられています。 これに対し、河野太郎外相は「企業が実害を受ける場合は対抗措置を出す」と警告しました。 ◆効果的な対抗措置は? 現在、安倍政権は約100種に及ぶ対抗措置をリストアップ化していると報じられています。 これに関して、元内閣参事官の高橋洋一氏は「外為法に基づく直接投資規制」が効果的だと述べています。 「対韓直接投資」とは、日本企業が韓国に進出し、韓国でビジネスを行なうことです。 これを規制することで、日本企業の韓国進出を制限、そして今ある在韓日本企業の引き上げが進みます。 実は、すでに日本企業の韓国引き上げは始まっています。 韓国の反日政策をリスクとみて、日本企業は続々と引き上げており、日本から韓国への直接投資は、昨年よりも約3割減りました。 すでに始まっている「引き上げ」を日本政府としても後押しすることで、対抗措置とするべきではないでしょうか。 ◆「外為法に基づく直接投資規制」とは 高橋氏は、自身が旧大蔵省で担当した「外為法」を基に、以下のような対抗措置を提案しています。(注:参照記事 高橋洋一「韓国「日本企業の資産差し押さえ」 有効な対抗策とは」NEWSポストセブン) 外為法には、「対外取引に対し、最小限の管理と調整を行える場合がある」ことが規定されています。 その条件には「国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるとき」が含まれているのです。 徴用工問題に関しては、1962年に結ばれた日韓請求権協定という「国際約束」を誠実に履行する必要があるので、外為法によって、対韓直接投資を管理・調整することが可能です。 現在、日本企業が対外直接投資をする際は、事後報告となっています。日本政府の許可なく、自由に海外に企業が投資できる状態です。 しかし、韓国に限って事前申告制に変更すれば、日本政府が事前にチェックして、是正・中止を求めることや、韓国への投資を遅らせることが可能になります。 この投資規制で、韓国への投資を減らし、企業の引き上げを促進できるはずです。 ◆第2の手段として考えられる「関税引き上げ」 「投資の引き上げ」は効果的な対抗措置となります。 なぜならば、1997年に韓国で起った通貨危機は、海外からの投資が一気に引き上げられたことによって起きているからです。韓国は、その繰り返しを避けたいと考えるのではないでしょうか。 現在、関税の引き上げも検討されていますが、そのためには、法整備が必要なので、時間がかかってしまいます。 対策が急がれる今回の問題に関しては、まず、関税引き上げの準備をしながら、韓国への直接投資を減らし、韓国の出方を見るべきでしょう。 しかし、それでも韓国の対応が変わらない場合は、「関税の引き上げ」も行うべきです。 ◆「無視」だけでは何も解決しない 韓国では、日本による対抗措置は「実現不可」と予想する声が多く聞かれています。 現在、安倍首相は「戦略的無視」をしていますが、「慰安婦問題」について具体的な対抗措置を打たずにいる間に「徴用工問題」が出てきました。 このままでは永遠に騒がれてしまいます。黙っていては何も解決しません。 だからこそ、無視はやめて、真剣に対抗措置を打つ必要があるのです。 参照 高橋洋一「韓国「日本企業の資産差し押さえ」 有効な対抗策とは」NEWSポストセブン https://www.news-postseven.com/archives/20190404_1343364.html 日本銀行 外為法の報告制度について 1-5外為法の取引規制 https://www.boj.or.jp/about/services/tame/t_seido.htm/ 徴用工問題に腹を立てているあなたへ 2019.05.23 徴用工問題に腹を立てているあなたへ HS政経塾第9期生 梅本 茉弥(うめもと まや) ◆ますます過熱する「徴用工問題」 韓国側が、「戦時中に日本が朝鮮人を強制的に徴用し、奴隷労働させられた」と主張し、日本企業に賠償を求めている「徴用工問題」が、新たな局面を迎えました。 徴用工訴訟を支援する弁護団は4月29日、新たに日本企業9社を追加提訴。 さらに、昨年10月に韓国大法院(最高裁)で損害賠償請求権が認められた原告団は5月1日に、日本企業2社(日本製鉄・不二越)に対し、韓国内で差し押さえた資産を現金化する手続きに入りました。 ◆そもそも「徴用工問題」とは この問題については、そもそも歴史の真実を確認する必要があります。 まず、日本政府が朝鮮人を強制的に徴用し、奴隷労働させたという事実はありません。実際には、自らの意志で日本に出稼ぎに来ていた人がほとんどでした。 「国民徴用令」が発令された1939年から4年間、朝鮮では「募集」による徴用が行われました。この間、実際に徴用されたのは約15万人。 徴用とは関係なく出稼ぎのために日本に来た人は約44万人でした。 また、日本に来ることを望む朝鮮人は多く、約2万人もの人が不正渡航者として、「強制連行」どころか「強制送還」されているのです。 終戦時には、在日朝鮮人は約200万人まで増加。そのうち徴用者は約32万人、軍人や軍属は約11万人とされています。 徴用者や軍人・軍属を除くと、約160万人の朝鮮人が何らかの理由で日本に暮らしていました。 では、その人々は何をしていたのでしょうか。 それが、まさに「出稼ぎ」なのです。(西岡力著『日韓「歴史問題」の真実』参照) ◆「徴用者」は奴隷扱いされていたわけではない 1944年9月には、朝鮮でも「国民徴用令」が施行され、実際に徴用された朝鮮人もいました。 当時の朝鮮徴用者の中には、徴用者の部屋の広さは畳二十畳(10人部屋)で、清潔な寝具が用意されているなどの様子を、手記に残している人もいます。(西岡力「朝鮮人戦時動員の関する研究(2)」参照) つまり、朝鮮人が差別され、劣悪な環境で働かされたわけではないのです。 ◆「徴用工」の問題は既に賠償済み これまで日本は、1965年の「日韓請求権協定」で徴用工問題は解決済みと主張してきました。 1962年の日韓国交正常化の際、韓国の李承晩大統領は、日本に対して「対日請求要綱」を提出しています。 そこに載っている徴用工に関する請求には、徴用者への未払い賃金、徴用によって怪我等をした場合の補償などが含まれていますが、これらは「日韓請求権協定」によって全て解決済みなのです。 また、「協定についての合意された議事録」の中で、この協定については「いかなる主張もなしえないこととなることが確認された」と記されています。 ◆文在寅大統領も「全て解決」に同意済み また、盧武鉉政権が2005年に発足させた「韓日会談文書公開後続対策関連民官共同委員会」は「65年韓日請求権協定の効力の範囲問題」に対する見解を表明しています。 そこでは、「徴用工」に対する補償問題は日本の責任ではなく、韓国政府に責任があるとも記されています。 驚くべきことに、同委員会には、現在の大統領である文在寅氏も所属していました。 文大統領は、徴用工への賠償は韓国政府の責任とすることに同意したのに、日本政府に責任を求めているのです。 韓国側の主張には正当性がありません。 ◆国際広報力が弱い日本 日本は国際社会に歴史の真実を訴えなければなりません。 2015年に韓国で公開された映画「軍艦島」の内容が嘘であることに対抗し、「軍艦島」の元島民が「真実の歴史を追求する端島島民の会」という団体を作りました。 同団体は、You Tubeに、元島民による証言動画を日本語と、韓国語・英語字幕で更新しています。 しかし、民間が声を上げているのに、日本政府は歴史の真実を国際社会に訴えていません。韓国が主張している「徴用工」自体が嘘であることを訴え、真実を世界に伝えなければなりません。 ◆韓国大使館前の抗議行動 そのため、幸福実現党は4月23日に、韓国大使館前で、文在寅政権の反日暴走に対する抗議行動を行ないました。 文在寅政権の反日暴走に対する抗議行動 http://hrp-newsfile.jp/2019/3518/ 今後も歴史認識問題に関して、真実を世界に広めるための活動を続けてまいります。 参照 西岡力著『日韓「歴史問題」の真実』PHP研究所 西岡力「朝鮮人戦時動員に関する研究(2)、手記の検討」『歴史認識問題研究第3号』所収 崔 碩栄著『韓国が「反日国家」である本当の理由』彩図社 松木國俊著『日本が忘れ韓国が隠したがる本当は素晴らしかった韓国の歴史』ハート出版 飛鳥新社『月刊Hanadaセレクション 韓国、二つの嘘 徴用工と従軍慰安婦』 オーストラリアで与党勝利のサプライズ 日米豪の連携強化へ 2019.05.21 オーストラリアで与党勝利のサプライズ 日米豪の連携強化へ HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆豪州総選挙で与党が辛勝 5月18日に行われたオーストラリアの総選挙は、保守連合(国民党+自由党)が労働党に勝利しました。 自由党では2018年に内紛が起き、ターンブル前首相が失脚。スコット・モリソン氏は国民の審判を仰がずに首相となったので、総選挙は厳しい戦いでしたが、続投が決まりました。 労働党に有利な数字が並んでいた数か月の世論調査をくつがえすサプライズが起きています。 親米路線を取り、中国のファーウェイ社(華為技術)排除にもいち早く協力した保守連合が勝利したことは、同じく米国との同盟を重視する日本にとっても朗報だといえます。 ◆注目点(1):豪州の外交路線は親米でまとまる 日本から見た時に、今回の豪州選の最大の注目点は、与野党の外交路線です。 モリソン首相と労働党党首の路線が真逆だったので、政権が交代すれば、外交路線が変わる可能性があったからです。 労働党のビル・ショーテン党首は「中国の台頭を歓迎」しており、その台頭を「脅威」ではなく、「チャンス」と捉えていました(※1)。 そして、トランプ大統領に対しては、2016年に「自由世界の指導者に全くふさわしくない」とまで酷評していたのです(※2)。 しかし、保守連合を率いたモリソン首相はトランプ大統領と連携して中国のファーウェイ社の排除を主導。 カナダと豪州、ニュージーランドがいち早く米国に賛同し、これに日本も同調したことで、米国の影響力が世界に印象付けられたといえます(英国は19年4月に全面排除を撤回)。 米中の経済対決は、双方が賛同する主要国の数を競っているので、このたびの保守連合の勝利には、非常に大きな意義があります。 ◆注目点(2):中国包囲網の「豪州切り崩し」は困難に この保守連合の勝利を悔しがっているのは、中国でしょう。 ファーウェイ排除の厳しい網の目を破るために、中国は「豪州の切り崩し」を狙っていたからです。 豪州の貿易において、中国は輸出の3割(30.6%)、輸入の2割(18%)を占めているので、労働党政権ができたら、これを用いて対中政策をくつがえせる可能性がありました。 (※3:出典は外務省HP「オーストラリア基礎データ」) それが必要だったのは、トランプ政権が5月15日に大統領令で安全保障上の脅威と見なされた企業が米企業に通信機器を販売することを禁止したからです。 ファーウェイ社はその中に含まれただけでなく、製品供給も事実上、禁止されるブラックリストに載せられています。 これが完全に実施されれば、ファーウェイはソフトウェア更新やメンテナンス、ハードウェアの交換ができなくなり、経営危機に直面するはずです。 そのため、中国は英国に続いて「豪州切り崩し」を狙っていましたが、それは、今回の選挙で難しくなりました。 ◆注目点(3):労働党のCO2削減案は予期したほどの支持を得られず 3番目に大きな注目点は、豪州のエネルギー政策です。 今回の選挙では、与党も野党もインフラ投資による雇用拡大を掲げており、経済では意外と共通点がありました。 (※ただ、最低賃金の引上げや低所得者減税、富裕層や大企業への課税強化などを訴える労働党のほうが「格差是正」色が強い) しかし、最も大きな違いが分かれたのは、エネルギー政策です。 石炭の産地である豪州は火力発電が8割を占めているので、保守連合は地球温暖化対策にはやや消極的でした。 (※保守連合のCO2等の削減目標は2030年までに2005年比で26~28%削減) これに対して、豪労働党は2030年までに温暖化ガス排出量を45%(2005年比)削減することを公約したのです。 そのために再生可能エネルギーの拡大をうたったのですが、これを実現した場合、火力発電にブレーキがかかり、再エネ用の設備投資や温暖化対策費がかかります。 これに対して、モリソン首相は「コストを明らかにせよ」と批判していました(※4)。 結局、労働党は予想したほど支持されなかったのですが、「火力で十分なのに、なんで再生可能エネルギーがそんなに要るんだ?」という疑問が出てくるのは、きわめて当然のことでしょう。 ◆日米豪でさらなる連携強化を オーストラリアは、日本にとって欠くことのできない友好国です。 同じ自由民主主義国で、ともに米国を同盟国としているだけでなく、わが国は石炭の7割(71.5%)、天然ガス(LNG)の3分の1(34.6%)をオーストラリアから輸入しています。 日本は原油の9割(86%)を中東から輸入していますが、豪州も、違った意味での資源安全保障上の要地なので、失うわけにはいかない友好国です。 また、米国にとっても豪州は秘密情報を共有する五カ国(ファイブアイズ)の一員です。 イギリスとカナダ、オーストラリアとニュージーランドは、米国の同盟国の中で、もっとも親密な国々に位置づけられています。 米海兵隊は豪州のダーウィンに拠点を構え、中国の海洋進出に睨みを利かせています。 グアムと、グアムの北にある沖縄、南にあるダーウィンに米軍が展開することで、東南アジアから日本までのシーレーン(海上交通路)が守られているのです。 (※5:日本の化石燃料の輸入比率は「日本のエネルギー2018」(資源エネルギー庁)を参照) すでに、トランプ大統領からモリソン氏の勝利への祝辞が届いていますが、今後、日米豪が安全保障と経済面で連携を強化し、中国の覇権拡大に対峙していくことが大事だといえます。 【参照】 ※1:ニューヨークタイムズ Bill Shorten Wants Australia to Embrace China. But at What Cost? (By Jamie Tarabay, 2019/5/15) ショーテン氏は“I welcome the rise of China in the world”と述べていた。NYTは he saw China not as a “strategic threat,” but as a “strategic opportunity.”と指摘。 ※2:ガーディアン Australian opposition leader Bill Shorten to declare Donald Trump ‘unsuitable’ to lead US (2016/10/11) 原文は entirely unsuitable to be leader of the free world ※3:2017/18年の「財・サービス」輸入。出典は外務省HP「オーストラリア基礎データ ※4:ガーディアン “Australian election… エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(4)火力発電を戦略的に維持 2019.05.19 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(4)火力発電を戦略的に維持 幸福実現党 政務調査会エネルギー部会 ◆小売全面自由化で価格形成のメカニズムが変わる 電気・ガス・水道・鉄道などのインフラ型産業は総費用に占める固定費の割合が高く、生産量が増加するほど平均費用が低下し、自然独占が生まれやすい性質があります。 このような産業は「費用逓減産業」と呼ばれ、経済学では、一般に限界費用が平均費用を下回ることが知られています。 費用逓減産業においては、政府が独占企業の価格規制を「限界費用」で行うと、価格は下がりますが、企業は固定費を回収できず、政府が赤字を補填することになります。 一方、政府が価格規制を「平均費用」で行うと、独占企業は固定費回収の原資を得て独立採算で黒字経営を維持することが可能ですが、価格は前者に比べて高くなります。(※1、※2) 日本では、1951年に松永安左エ門氏が地域独占・民営の電気事業体制を構築したときから、政府が「平均費用」で価格規制を行い、審査のうえ適正な電気料金を認可する方式を採用しました。 その後、基本的には政府による赤字補填を受けることなく、独立採算で設備投資を行い、完全民営の電気事業が営まれてきました。 しかし、2016年度から始まった小売全面自由化で、電気料金は原則として市場メカニズムで決まるようになり、将来は規制料金が全廃される予定です。 電気には、貯蔵が難しく需要と供給が同時同量でなければならないという制約があるため、自由化された電力市場(kWh市場)では、「限界費用」(※3)で価格が形成されるようになります(※4)。 ◆火力発電は経営困難に 再生可能エネルギーの開発には多額の初期投資を必要としますが、ほぼ「限界費用ゼロ」で無尽蔵のエネルギーを供給できる可能性を秘めています。 しかし、電力市場(kWh市場)で大量の再エネが取引されるようになると、火力発電会社が固定費を回収できないという、厄介な問題が発生します。 例えば、太陽光発電(PV)の余剰買取制度(2012年度に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」に移行)は2009年度の開始から10年が経過するため、いわゆる「卒FIT太陽光」の電気を小売会社が買い集める動きがあります。 これらは既に初期投資の回収が終わっているため、1kWhあたり7~8円程度の安い単価で取引が成立しますが(※5)、今後はこのような低価格の再エネが大量に供給されるため、競争により火力発電にも単価引き下げの圧力が及び、固定費の回収が難しくなります。 その結果、短期的には電気料金を引き下げる効果がありますが、発電会社は火力発電への設備投資を控えるようになるため、安定供給に必要な設備が不足して、長期的には電気料金が上昇する可能性があります。 ◆再エネには火力発電のバックアップが必要 しかし、再エネは天候の変化で大きく出力が変動するため、火力発電が再エネの変動に備えて待機し、再エネを支えているのが現実です。このような火力発電の役割は電力の安定供給に不可欠ですが、小売全面自由化で、発電会社にこれを期待することが難しくなっています。 その傾向が顕著に出ているのがドイツです。ドイツではPVや風力発電が大量に導入され、2018年には電力需要の約38%を再エネで賄っています。国内需要約5,990億kWhに対して、全電源で約6,490億kWhを発電しており、約500億kWhをフランスなど欧州各国に輸出しています(※6)。 しかしこれは、「余った再エネを他国に押し付けている」と見ることもできます。 ドイツでは需要の少ない時間帯には風力発電などの電気が余り、電力価格がマイナスになることもあるため、火力発電の稼働率が大幅に低下し、経営困難となった火力発電の撤退が起きています(※7)。 また、日本でも、自由化以前に大規模災害等に備えて温存していた古い火力発電所が、経済的な理由で次々と廃止されています。 ◆政府の支援で火力発電を戦略的に維持 このように、FITおよび「電力システム改革」の結果として、必要な火力発電を市場原理の中で維持していくことが難しくなっていますが、不安定な再エネを支え、大規模災害など不測の事態に備えるためにも、日本は一定の火力発電を保有し続けなければなりません。 幸福実現党は、政府の支援や効率的な制度設計の導入により、今後も火力発電を戦略的に維持し、電力の安定供給と国益を守ります。 ◎エネルギー部会では、ご意見・ご質問をお待ちしています。ご質問のある方は、energypolicy2019.hrpprc@gmail.comまでご連絡ください。ご質問にはできるだけ本欄でお答えします。 参考 ※1 例えば、『ミクロ経済学入門』 奥野正寛 日本経済新聞出版社 ISBN978-4-532-01523-7 ※2 「容量メカニズムの必要性と必然性」 国際環境経済研究所 http://ieei.or.jp/2017/07/special201204062/ ※3 ここでは、追加的に1kWhの電気を発電するためのコスト。 ※4 『エネルギー産業の2050年 Utility 3.0へのゲームチェンジ』 竹内純子ほか 日本経済新聞出版社 ISBN978-4-532-32170-3 ※5 例えば、「関電、家庭用太陽光1キロワット時8円で買い取り 四国電は7円」 日本経済新聞 2019年4月22日 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44047450S9A420C1TJ1000/ ※6 The Energy Transition in the Power Sector: State of Affairs in 2018 Agora Energiewende 4 Jan. 2018 https://www.agora-energiewende.de/fileadmin2/Projekte/2018/Jahresauswertung_2018/Agora-Annual-Review-2018_Energy-Transition-EN.pdf ※7 『限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭』 ジェレミー・リフキン NHK出版 ISBN978-4-14-081687-5 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(3)再生可能エネルギーは高い? 2019.05.17 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(3)再生可能エネルギーは高い? 幸福実現党 政務調査会エネルギー部会 ◆すでに「戦力」となっている太陽光発電 民主党(当時)政権が2012年度から導入した「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」により、太陽光発電(PV)を中心として、再エネの利用が急速に進んでいます。 日本のPV導入量は4,300万kW(2018年末現在)を超え(※1)、既に重要な供給力の一部となっています。 例えば、九州エリアでは、2018年春の最も多い時間帯で需要の約81%をPVで賄い、余った電気を他のエリアに融通しました。夏のピーク需要時には約27%をPVが供給しました(※2)。 また、需要の多い東京エリアでは、2018年春の最も多い時間帯で需要の約36%をPVで賄い、夏のピーク需要時には約11%をPVが供給しました(※3)。 このように、PVは特に昼の需要に対しては「戦力」として機能しており、夏の節電要請が4年連続で見送られていることからも、その効果の大きさがわかります。 一方、再エネを電力量(kWh)の点から見ると、2017年度の日本の発電電力量約1兆602億kWhのうち、PVは約551億kWh(約5%)であり、水力・風力・バイオマス等を合わせた再エネ全体でも約1,700億kWh(約16%)に過ぎません(※4)。 エネルギー源として期待するにはまだ量が足りないといえます。 ◆莫大な国民負担 このように、日本ではFITの導入により、PVを中心とした再エネの爆発的な普及が進みましたが、その代償として国民負担が急増しています。 FITを導入した2012年度には、再エネの賦課金総額(国民負担)は約1,300億円でしたが、2018年度には約2.4兆円に膨れ上がりました(※5)。 電力中央研究所は2017年に、このままでは2030年度の賦課金総額は3.6兆円、累計44兆円に達するとの試算を発表しました(※6)。 この試算はメディアでも取り上げられ(※7)、国民や経済界にも負担増への不満が高まってきたことから、経済産業省は国民負担の抑制のため制度設計を段階的に見直し、2019年4月にはFITの抜本的な改革に向けた検討を始めました(※8)。 ◆民主党(当時)の失政が巨額の国民負担を招いた なぜ、ここまで国民負担が増大したのでしょうか。 実は、再エネのコストは高くないばかりか、海外では急速にコストが低下し、既存の系統電力のコストを下回る例も出てきています(※9)。 また、バイオマス以外の再エネは燃料が不要なため、ひとたび初期投資を回収すれば、ほぼ「限界費用ゼロ」(※10)で電気を供給することができます。 国際エネルギー機関(IEA)によれば、日本でFITが始まった2012年当時でさえ、世界のPVの発電原価は既に急速な下落傾向にあり、1kWhあたり25円程度、入札価格はさらにこれを下回っていました(※11)。 ところが、日本はFITの導入時に、1kWhあたり42円(税込み)という、当時のドイツの2倍近い、世界の相場とかけ離れた非常に高い価格でPVの電気を買い取ることを決めました。 これは、メガソーラー事業への参入を予定していたソフトバンクの孫正義氏が、民主党(当時)の菅直人・元首相に強く要望したことが理由ともいわれています。 このように、民主党(当時)政権が再エネ事業者の過大な利益を誘導したことが、PVの爆発的な普及につながったことは間違いありませんが、再エネ事業者が法外な利益を得る一方で、巨額の国民負担が累積的に増加し、高い買取価格を織り込んで日本ではコスト削減が進まないなど、多くの弊害が出ています。 再エネはもっと安いものですが、日本の再エネをここまで高コストにしたのは、明らかに民主党(当時)の失政が原因です。 ◆FITの速やかな廃止で、再エネはもっと安く大量に導入できる 幸福実現党は、FITを速やかに廃止し、電気料金を原資としない補助金制度を創設することを訴えています。 FITでは買取価格が固定されているため、コスト削減の努力が生まれにくいことから、再エネの開発にあたり、競争入札を広く適用します。 また、陸上におけるPV・風力発電等の開発では、乱開発による深刻な環境破壊が各地で発生していることから、規制を強化し、秩序ある開発によって自然環境・生活環境を守ります。 このような施策により、我が党は国民が安心して再エネを受け入れられる条件を整えて、低コストの再エネの導入を拡大し、広く国民がメリットを享受できるようにします。 ◎エネルギー部会では、ご意見・ご質問をお待ちしています。ご質問のある方は、energypolicy2019.hrpprc@gmail.comまでご連絡ください。ご質問にはできるだけ本欄でお答えします。 参考 ※1 固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト https://www.fit-portal.go.jp/PublicInfoSummary ※2 九州電力 系統情報の公開 http://www.kyuden.co.jp/wheeling_disclosure.html これによると、2018年4月29日(日)12:00頃、エリア需要793万kWのうち646万kWをPVが供給。2018年7月26日(木)14:00頃、エリア需要は1,601万kWのピークに達し、そのうち432万kWをPVが供給。 ※3 東京電力パワーグリッド エリアの需給実績公表について http://www.tepco.co.jp/forecast/html/area_data-j.html これによると、2018年5月20日(日)11:00頃、エリア需要2,616万kWのうち952万kWをPVが供給。2018年7月23日(月)14:00頃、エリア需要は5,653万kWのピークに達し、そのうち611万kWをPVが供給。 ※4 平成29年度(2017年度)エネルギー需給実績(確報) 資源エネルギー庁 2019年4月12日 https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/total_energy/pdf/stte_025.pdf ※5 日本のエネルギー2018 資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/pdf/energy_in_japan2018.pdf なお、買取費用から電力会社の回避可能費用等を減じたものが、賦課金の額となる。 ※6 「固定価格買取制度(FIT)による買取総額・賦課金総額の見通し(2017年版)」 電力中央研究所 2017年3月 https://criepi.denken.or.jp/jp/serc/source/pdf/Y16507.pdf ※7 「再生エネ買い取り5年 国民負担は電気代の1割に拡大 論説委員・井伊重之」 産経新聞 2017年7月2日 https://www.sankei.com/premium/news/170701/prm1707010025-n1.html ※8 「経産省、再エネ固定価格買い取り制度を抜本見直しへ」 日本経済新聞 2019年4月25日 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44175090V20C19A4000000/ ※9 Renewable Power Generation Costs in 2017, International Renewable Energy Agency https://www.irena.org/publications/2018/Jan/Renewable-power-generation-costs-in-2017 ※10 限界費用: ここでは、追加的に1kWhの電気を発電するためのコスト。 ※11 「再生可能エネルギーの主力電源化に向けた今後の論点~第5次エネルギー基本計画の策定を受けて~」 資源エネルギー庁 2018年8月29日 https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/007_01_00.pdf エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(2)電気事業の「ゲームチェンジ」 2019.05.15 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(2)電気事業の「ゲームチェンジ」 幸福実現党 政務調査会エネルギー部会 ◆現政権による「電力システム改革」 2011年の福島第一原発事故後、日本の電力業界のリーダーであった東京電力の国有化を契機として、電気事業への政府の関与が強まっています。 政府は2013年4月に「電力システム改革に関する改革方針」を閣議決定し、第1弾=広域系統運用の拡大(2015年4月施行)、第2弾=小売全面自由化(2016年4月施行)、第3弾=発送電分離(2020年4月施行)という3段階の改革のための電気事業法改正案を、2015年までに国会で成立させました(※1)。 このうち第1弾は、東日本大震災の教訓を踏まえて、原則として地域ごとに行われてきた電力需給の管理を、新設した「電力広域的運営推進機関」(※2)が地域を越えて行い、安定供給を強化するものです。 大川隆法・幸福実現党総裁は、震災直後の2011年4月の講演(※3)で、緊急時に電力を広域融通できる仕組みの強化を訴えており、この施策は我が党の考え方とも合致します。 また、第2弾の小売全面自由化については、電力会社の経営が短期志向になるものの、サービスの向上など一定の効果が期待できるため、現政権の方針を静観してきました。 ◆発送電分離は、松永安左エ門氏による戦後の電気事業体制の解体 一方、第3弾の発送電分離は、送配電事業者を公的管理下に置く事実上の「電力国家管理政策」であることから、我が党はこれを見直し、発電・送配電・小売の一体経営(垂直統合)を維持したまま大規模化を図るべきと訴えてきました。 もともと日本の電気事業は、「電力の鬼」と呼ばれた松永安左エ門氏などの起業家による民営事業として、明治時代に始まりました。その後、1938年の国家総動員法に続く電力国家統制により、発電・送電は特殊法人の日本発送電に接収され、政府の管理下に置かれます。 戦後、松永氏は9電力会社への地域分割・民営化・垂直統合を強く主張し、日本発送電による全国独占体制の維持や発送電分離を主張する勢力と激しく対立しました。 しかし、最終的にGHQが反対派をねじ伏せる格好で、1951年に民営の9電力(その後、沖縄電力が加わり10電力)体制が発足し、現在に至ります。 松永氏は、送電部門を分離すれば必ずそこに政府が介入し、民間による自由で効率的な経営ができなくなることを見抜き、断固として発送電分離に反対しました。 よって、発送電分離は、日本の電気事業体制の約70年ぶりの大きな方向転換となりますが、さまざまな弊害も指摘されています。 例えば、電力会社はこれまで、発電と送電の設備の建設時期をずらし、キャッシュフローを融通することで巨額の長期投資を行ってきましたが、発送電分離により、供給義務を負わない発電会社は短期的な利益で投資を判断するため、安定供給に必要な発電設備が不足します。 また、送電会社はこれまで以上に公共インフラとしての役割を求められるようになり、より政治的な理由で投資を判断するようになります。 その結果、供給安定性の低下と電気料金の上昇が起きる可能性がありますが、実際に、電力自由化と発送電分離を実施したフランス以外の欧州各国では、こうした傾向が見られます。 このような理由で、我が党は発送電分離の見直しを訴えてきました。 ◆「ゲームチェンジ」を受け入れ、電力システムを強化 しかし、もはや「電力システム改革」は後戻りできないところまで来ています。その理由は、再生可能エネルギーの急速な普及と低コスト化にあります。 今後は自由化された電力市場(kWh市場)に大量の再エネが流れ込んでくるため、このままでは火力などの大規模発電所は固定費が回収できなくなり、経営が困難になります。 仮に小売全面自由化と発送電分離を撤回したとしても、再エネを排除しない限り、大規模発電所の置かれた厳しい状況は変わりません。 しかし、低コスト化が進む再エネを排除して大規模発電所の経営を守ることは本末転倒であり、再エネを生かしつつ、供給安定性と経済性を確保できるよう、適切な制度設計によって電力システムを強化するしかないのです。 我が党は、このような電気事業における「ゲームチェンジ」をいったん受け入れ、2050年頃までは政府がこれまで以上に電気事業に関与することによって、再エネの大量導入と電力の安定供給を両立する体制を構築することとしました。 ◎エネルギー部会では、ご意見・ご質問をお待ちしています。ご質問のある方は、energypolicy2019.hrpprc@gmail.com までご連絡ください。ご質問にはできるだけ本欄でお答えします。 参考 ※1 電力システム改革について 資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/system_reform.html ※2 電力広域的運営推進機関 https://www.occto.or.jp/ ※3 「『震災復興への道』講義」 大川隆法総裁 2011年4月24日 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(1)総論 2019.05.12 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(1)総論 幸福実現党 政務調査会エネルギー部会 ◆新しい「主要政策」におけるエネルギー政策 幸福実現党は、「夢は尽きない123の政策―2019年5月主要政策」を発表しました。 これは、昨今の社会・国際情勢の変化を踏まえて2017年10月版の主要政策を見直したもので、政務調査会が2019年2月に発表した「政策提言集2019」がもとになっています。 特にエネルギー政策については大幅な変更を行ったため、その内容について政務調査会エネルギー部会が解説します。 新しいエネルギー政策では、我が党が従来から訴えてきた原子力発電の推進やエネルギー資源調達の多様化など、日本の安全保障と経済成長に寄与する強靭なエネルギー供給体制を目指す基本方針は変わりません。 しかし、エネルギーを取り巻く情勢は大きく変化しており、難しい問題が山積する一方、新しいチャンスも生まれています。 このため、我が党は概ね2050年までの変化を見据えてエネルギー政策を再構築し、今後約30年間で実行すべき施策を提案することにしました。 ◆エネルギー自給率を高めて安全保障を強化 日本の一次エネルギー自給率は9.5%(2017年)で、OECDの35か国のうち34位と、きわめて低い水準にあります(※1)。 2010年の自給率は20.2%でしたが、2011年の福島第一原発事故後に全国の原発の再稼働が進まず、液化天然ガス(LNG)や石油等の化石燃料に大きく依存した結果、自給率が低下しました。 化石燃料は、南シナ海を含むシーレーンを通って日本に届きますが、海洋進出を進める中国が台湾や南シナ海で軍事行動を起こせば、供給が止まる可能性があります。 日本が将来にわたって国家の独立を守るうえで、自給率の低さは致命的です。 これを解決するため、我が党は自給率をフランス並みの50%以上に高めることを目指して、原発の再稼働・新増設だけでなく、再生可能エネルギーの主力電源化、国産メタンハイドレートの開発等を推進します。 従来の日本の再エネ開発は太陽光や陸上風力が中心でしたが、これに加えて、より大量のエネルギーを得るため海洋温度差、潮力、洋上風力、次世代地熱(EGS)等の開発を進めます。 再エネは開発に多額の初期投資を必要としますが、燃料が不要なためランニングコストが非常に安く、ほぼ「限界費用ゼロ」(※2)で無尽蔵のエネルギーを供給できる可能性を秘めています。 ◆送配電ネットワークを再構築 ところが、再エネのほとんどは分散型電源であり、大規模発電所のために建設された既存の送配電ネットワークでは、再エネを十分に受け入れることができません。 また、再エネは需要の変化に合わせて供給をコントロールできず、出力変動も大きいため、十分な調整力がなければ有効活用できません。 このため我が党は、再エネに適した高圧直流(HVDC)送電線(※3)を全国の海岸線に沿って新設するなど、公共インフラとして日本の送配電ネットワークを抜本的に再構築します。 また、電気自動車(EV)の普及を支援し、電力系統に接続されたEVを需給調整に活用するとともに、走行中にEVに充電できる道路インフラ(※4)を整備します。 これにより、EVが電力システムの一部となり、道路交通の石油依存度が低下し、エネルギーとモビリティ(交通)が融合して大きく変化します。 ◆国家の独立と繁栄は「強い電力システム」から 日本の電力化率(※5)は25.7%(2016年度)(※6)ですが、この値は経済成長と強い相関があり、日本では1960年代から現在まで、ほぼ直線的に増加してきました。 今後も再エネの大量導入、EVの普及、省エネの要請等により、エネルギーの電力化が一段と進むことは間違いありません。 我が党はエネルギー政策の中でも特に電力を重視し、原子力利用の堅持と電力システムの抜本的な強化で、国際情勢の変化に対応したエネルギー自給体制を確立し、日本の独立と繁栄を守ります。 参考 ※1 日本のエネルギー2018 資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/pdf/energy_in_japan2018.pdf ※2 限界費用: ここでは、追加的に1kWhの電気を発電するためのコスト。 ※3 例えば、「三菱電機、再エネと連係容易な『直流送電』参入へ」 日本経済新聞 2018年11月16日 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37833300W8A111C1000000/ ※4 例えば、「The UK is testing out roads that charge electric cars as they go」 Mashable Aug.18, 2015 https://mashable.com/2015/08/17/electric-car-charging-uk/ ※5 電力化率: ここでは、最終エネルギー消費に占める電力需要の割合。 ※6 エネルギー白書2018 資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2018html/2-1-1.html 中国に「爆買い」される日本の領土――法整備による対策を 2019.05.09 中国に「爆買い」される日本の領土――法整備による対策を HS政経塾第9期生 笠原 麗香(かさはら れいか) ◆外国資本による買収が進む現状 林野庁によると、2006~2017年の間に外国資本が買収した日本国内の領土は、森林が計5789ヘクタールに上ります。 この面積は、東京ドーム1231個分、あるいは山手線内側面積の約9割に相当する広さです。 ただ、これはほんの一部にすぎません。 森林以外の土地買収は政府への報告が必要ないため、今どれだけの土地が買われているのか、正確な数値を把握できていないのが現状です。 ◆水源地付近の農村地帯ばかりを狙う買収――北海道の事例 産経新聞の宮本雅史記者によると、北海道では2495ヘクタール(東京ドーム530個分)もの森林地帯が外国資本によって買われているそうです。 さらに、森林や農地に加え、リゾート地、ゴルフ場なども買収されており、公表数値などから見積もると、これらの合計は4万ヘクタールに及ぶと推計されています。 しかも、その買い手のほとんどが中国とつながりのある企業、法人であることが分かっています。 買われている土地にも共通点があります。山の麓で、水源地付近に位置し、自己完結的に生活ができる農村地帯という点が挙げられます。 なかには、ほぼ村ごと買われている地域もあり、中国人の自治区ができるのではないかという不安の声も上がっています。 (※参考書籍:宮本雅史(2017)『爆買いされる日本の領土』角川新書) ◆中国総領事館建設のための民有地買収――新潟県の事例 北海道の他にも、土地買収の進んでいる地域があります。 私が活動させていただいている新潟県では、県庁付近にある4500坪の民有地が中国政府によって買収され、そこに中国総領事館が建設される計画が持ち上がりました。 本来、領事館はビザの発行業務が主であり、これだけ広大な土地を取得する必要はありません。 もし中国の公館が建設されたとき、そこに治外法権が適応され、館内で何が行われようと日本政府は手が出せなくなります。 事実上、中国領土ができるということになります。 ◆外国人による土地所有に規制がないのは日本だけ 領土が無制限に外国資本によって買われている現状は、看過できないレベルに来ています。 しかし、現在日本では外国人の土地所有に関する規制がありません。 戦前に制定された「外国人土地法」という法律がありますが、内容が古く、現代には適用が困難です。 第1条では、相互主義に基づいて、「外国人の土地取得に制限をかける」、第4条では、「国防上必要な地域は外国人の土地取得を禁止、あるいは制限する」としています。 しかし、これまで規制する政令が制定されたことはなく、法律は機能していません。 ◆早急な法整備を 国籍を問わず、誰でも自由に土地を購入できる状態を早急に改善しなければなりません。 アメリカでは、2019年の国防権限法のなかで、外国人が土地を取得する際に、政府が事前審査することを義務づけました。安全保障上重要な地域が外国資本に購入されている日本でも、同じような法整備が必要ではないでしょうか。 まず、防衛施設や港湾などの周辺地域、水源地や森林地帯などの所有者を明確にする実態調査を進める必要があります。 そして、「外国人土地法」を現代で適応できる法律に改正するか、あるいは外国資本による土地買収に制限をかける法律を新たに制定するべきです。 幸福実現党では、2018年6月に法整備を求める署名を北海道庁に提出いたしました。これからも土地買収問題に対する危機意識を高めてまいります。 ■6月18日(月)「外国人による不当な目的の土地買収等を規制するための署名」を北海道庁に提出 幸福実現党・北海道本部統括支部長 森山佳則 https://info.hr-party.jp/2018/6563/ 令和の新時代に、麗しき国つくりを 2019.05.04 幸福実現党 山口県本部代表 かわい美和子 平成も終わり令和の時代となりました。 私は4月1日の新元号の発表を聴いたとき、本当に美しい言葉の元号だなと感じるとともに、令和の「れい」の響きに「麗」という漢字もイメージしました。 和をもって麗しき国を創る。そんな令和の新時代になることを期待しております。 日本は、神武天皇の時代から実に2600年以上にわたって、天皇と臣民によって麗しき国つくりに努めてきました。和や礼節も重んじてきました。 2600年以上の世界最長の歴史をもつ日本の皇室は、世界の多くの国から尊敬を集めています。 ◆日本には、世界の繁栄と平和のために貢献する尊い使命がある 日本には、「世界の繁栄と平和のために貢献する尊い使命」があるのだと、いつも思っています。 そのための第一の条件が日本の経済繁栄です。それも自国の繁栄のみならず、また中国が提唱する一帯一路とも異なる、真に世界の繁栄と平和にもつながるような大きな経済繁栄が必要です。 和や礼節を重んじる日本が大きな経済力を持てば、必ずや世界の繁栄に貢献できると確信しております。そして、世界の紛争解決の一助になるとも信じています。 日本は、平成初期の空前の好景気のとき世界一の経済大国、世界のリーダーになれる大きな機会がありました。ところが、当時のバブル叩きのなか、政府や日銀の政策の失敗により景気は一気に失速しました。 その後、長期のデフレ不況となりますが、それも政府や日銀の政策の失敗があります。私の二人の娘たちは平成に生まれましたが、彼女たちの世代は好景気の時代を知りません。 「さとり世代」とも呼ばれて未来に希望や夢を持てていない子供たちも少なくありません。子供たちの未来に希望や夢を与えるためにも、日本の経済繁栄が絶対に必要です。 そのため、幸福実現党は、金融緩和と減税による経済成長をずっと訴え続けてまいりました。 金融緩和により長く続いた不況からの脱出の目途がみえましたが、その後に実施された消費税の8%への増税が景気回復の足かせとなってしまいました。 日本のGDPの約6割は消費支出によるものです。実際、政府の統計によると、消費税の増税が実施された2014年4月以降、家計からの消費支出が減少し、長い期間にわたって回復しませんでした。 安倍政権は10%への消費税の増税を予定しているようですが、本当に愚かな話です。その一方で、アメリカでは、トランプ政権が行った減税が経済成長に寄与しました。日本の国を創られてきた神々が見られたらどう思われることでしょうか。 幸福実現党は、3月28日と4月26日に総数53,896筆の「消費増10%への「増税中止」を求める署名」を、内閣総理大臣宛てに提出しました。 これで幸福実現党が過去に提出した「消費増税中止を求める署名」の累計は、306,842筆となりました。これからも日本の経済繁栄のための政策を訴えてまいります。 ◆自分の国を愛するアイデンティティーを持つため、歴史教育・偉人教育の重要性 日本が世界の繁栄と平和のために貢献する尊い使命を果たすため、自分の国を愛するアイデンティティーを持つ人材の教育も必要です。真の国際人を育むためにも必要だと思っています。 いま世界で起きている戦争や紛争は、お互いが信じる宗教の考え方の違いによって起こっているものも少なくありません。 それは宗教が悪いということではなく、お互いを理解できないために起きているということです。 神道と仏教を主体として国つくりをしてきた日本は、和と礼節を重んじて、欧米に比べて頻繁に大きな戦争を起こしませんでした。 神道と仏教以外の世界宗教にも寛容な精神を持っており、日本を信頼する国が世界には数多くあります。 私の生まれ育った山口県周南市の偉人に児玉源太郎がいます。児玉源太郎の偉業は数多くありますが、特に台湾総督として経済・鉄道・医療などで様々な改革を行い、台湾の発展のために貢献しました。 台湾では「児玉神社」ができるほど慕われています。児玉源太郎以外にも、他国の繁栄のために尽くした日本人が数多くいます。先の大戦も敗戦こそしましたが、欧米の植民地支配から解放された諸国が数多くありました。 和と礼節の精神、寛容な心、そして他国の繁栄や平和のために尽くした偉人を数多く輩出した日本を、私たちはもっと誇っていいと思います。そのためにも、歴史教育と偉人教育がとても重要です。 4年ほど前に、私は、「自分の国を誇れる健全な愛国心を育む、歴史教育の重要性」、「日本の誇りを取り戻す-歴史教育と偉人教育、教科書採択の重要性」と題する寄稿をいたしました。(詳細は参考URLをご参照下さい) 今年は、4年に一度の「教科書採択」の年に当たります。 各採択地区(各自治体)においては、文科省の検定を合格した教科書のなかから、住民の意見なども聴取しながら、専門家による議論などを経て、来年度から4年間使用する教科書が採択されます。 文部科学省のホームページによると、6月14日から14日間、教科書展示会が各教育委員会等において開催されます。この展示会では、実際に候補となる教科書のサンプルを見て、意見を出すことができます。 ちなみに、2015年の採択では、自虐史観を排した中学の歴史教科書や公民教科書を採択する採択地区(自治体)が増えました。 この寄稿をご覧の皆様、どうか教科書展示会に足を運ばれて、皆様のご意見をお出し頂けたら幸いです。 <参考URL> 1.自分の国を誇れる健全な愛国心を育む、歴史教育の重要性 http://hrp-newsfile.jp/2015/2073/ 2.日本の誇りを取り戻す――歴史教育と偉人教育、教科書採択の重要性 http://hrp-newsfile.jp/2015/2270/ 3.「日本の誇りを取り戻す」教科書採択を進めるために http://hrp-newsfile.jp/2015/2229/ 教員免許制度の改革で、発展する教育界の実現を 2019.05.03 教員免許制度の改革で、発展する教育界の実現を HS政経塾8期生 柄澤悠(からさわ ゆう) ◆進む教員不足 現代日本では、「教員不足」が進んでいます。 2018年の文科省調査によれば、11自治体を累計すると、小学校で316人、中学校で254人の教員が不足していることが分かりました。 少子高齢化の影響や、第二次ベビーブームに合わせて増えた教員の定年退職も重なり、教員採用試験の倍率は年々低下しています。 さらに、転職が盛んになり、教育関係業の離職率(3年目までの離職)は46.2%もあります。 国は、退職した教員を臨時採用するという対策を講じましたが、これで新たな人材は確保できないので、その効果は限定的でしょう。 ◆多様化する教育内容 加えて、現代の教育は多様化が進んでいます。グローバル化に対応するための「国際教育」、プログラミングやタブレット等を使った「IT教育」、高校普通科の見直しによる「教育の専門化」等が必要とされているのです。 こうした変化には、今までの教員採用システムでは対応しきれません。 まず、教員養成カリキュラムの再編成が必要でしょう。 しかし、それだけではなく、免許を持たない新しい教育人材に対して、門戸を開くべき時期が来ているのです。 ◆教員の採用規制を緩和する このように、現在の公教育で、人材不足の中で多様化が進んでいます。 こうした状況に対応するには、どうすれば良いのでしょうか。 その対策は、「特別免許状制度の廃止」と「免許の有無を問わない臨時採用」です。 本来、特別免許状とは「一定の社会経験や専門知識が認められた者に授与される免許状」ですが、実際は、あまり活用できていません(約30年間で、累計1101件。33校に1人しかいない)。 そうなるのは、非常勤講師でカバーした方が人件費が安く、特別免許状を取ろうとする程の「なり手」が不足しているからです。 そのため、「免許がなければ教員にはなれない」という常識を、今こそ覆す必要があるでしょう。 免許制度ができる以前には「代用教員制度」というものがありました。 これは、免許を持たない人であっても教員になることができ、かつ、一定の経験と簡単な研修によって、代用教員から正規の教員になることも可能という制度です。 この制度は、GHQの教職追放等で急激に減った教員の補充にも、大きな効果を発揮しました。 免許がなくとも、質の高い教育ができる人材は数多くいます。 免許の取得は、採用後でも構わないのです。 ◆不適格教員の排除で、教員の質を保証 しかし、教員の門戸を広げれば、同時に質が落ちるのではないかという意見もあるでしょう。 そこで活用されるべきは、「免許更新制」です。 現在の免許更新は、数万円の費用を払い、ただ研修を受けるだけの制度です。これでは、はっきり言って「無駄」です。 免許更新の際に、不適格教員の排除も可能にできるよう、しっかりと教員の評価を行っていく必要があるでしょう。 教員になる「チャンスの自由」を保障し、採用後の「振るいの強化」を行うことで、「量」と「質」の両立を目指すことができます。 そして、教員免許制度の改革は、「教員免許」そのものの存在意義を考え直す機会にもなり、大学における教員養成プログラムの見直しにまで、影響は広がっていくのです。 <参照> ・『教師は生まれ変わる 教育現場を変える新しい考え方』(森口朗著、幸福の科学出版) ・「小中学校で「先生が足りない」理由」NHKニュースおはよう日本2017年7月4日(火) https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2017/07/0704.html ・「文部科学統計要覧(平成28年版)」文部科学省 http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/002/002b/1368900.htm すべてを表示する « Previous 1 … 53 54 55 56 57 … 253 Next »