Home/ 新着一覧 新着一覧 沖縄・台湾を中国の侵略から守ろう!――玉城デニー知事の「中国・一帯一路構想」入り発言撤回を求める!【後編】 2019.06.05 沖縄・台湾を中国の侵略から守ろう!――玉城デニー知事の「中国・一帯一路構想」入り発言撤回を求める!【後編】 幸福実現党 沖縄県本部 代表 下地玲子 ◆台湾有事ともとれる事態において、玉城デニー知事の一帯一路構想入り発言 玉城デニー知事は2019年4月26日の定例記者会見で、「中国政府が推し進めている『一帯一路』に関する日本の出入り口として沖縄を活用してほしい」と中国の胡春華副首相に提案したことを明らかにしました。 「沖縄がどのように関わっていけるか詳細に提案している段階ではない。情報収集し、沖縄がどのように関わっていけるか模索し、広く中国や台湾、アジア全域への架け橋につながっていけることを期待している」と主張しました。 玉城知事は、日本国際貿易促進協会の訪中団の一員として2019年4月16日~19日、訪中しております。 そもそも一帯一路とは何でしょうか。 それは中国の対外政策で、「(1)平和協力(2)開放と包摂(3)相互学習(4)相互利益とウィン、ウィン」を基本理念としています。 より具体的な枠組みとして(1)共同発展・共同繁栄(2)東アジア・欧州の二大経済圏を繋ぐ(3)陸上・海上の大通路建設(4)沿線各国の開放・協力ビジョン策定が謳われております。 例えば域内のロシアでも、「この構想で利益を得るのは中国だけではないのか」との議論が起きていますし、インドを取り囲むように港湾建設が進んでいることに対する警戒感がとても強くなっております。 2017年5月に北京で開催され130カ国以上が参加した中国主導の「一帯一路国際協力フォーラム」において具体的なプロジェクト案件の取り決めのほか、多数の協力覚書、経済貿易協力取り決めが締結され、資金の拡大が約束されましたが。 その実態は、中国政府が巨額の資金を貸し付け、中国企業が発展途上国や新興国の港湾、道路などの建設を進め、返済できなくなると、中国が施設を使用するという、脅迫外交による覇権拡張です。 現実に、スリランカのハンバントタ港は99年間、中国が租借することになりましたが、軍事的使用が疑われています。 つまり、外交権を持たないはずの玉城知事が、日本政府に対し敵対姿勢を貫きつつ、中国の軍事覇権化に我が国が手を貸すよう導くという、恐るべき越権行為を強行しているのであります。 幸福実現党沖縄県本部は、玉城知事の「中国・一帯一路構想」入り発言が、台湾・沖縄の安全保障を脅かす危機をもたらすものであることを県民にお知らせするとともに、知事に発言の撤回を求めるデモを行ってまいります。 ◆今こそ、台湾の支援を 2010年、尖閣諸島周辺海域にて、中国の漁船がわが国の巡視船に体当たりするという事件が起き、日本国民の抗議の声が高まる中、沖縄の中国からの観光客が激減しました。 台湾においても、蔡総統が就任される直前から、中国からの台湾への観光客が激減しています。親中派の馬英九政権時代には、中国観光客が増え、将来を見越して観光バスを増やした業者が悲鳴を上げている、ということが報じられていました。 蔡総統が独立派だとして、当局より中国国内の観光会社に圧力がかりましたが、このようなことは自由主義国家ではありえないことです。 少なくとも、国策として観光客を送ったり送らなかったりすること自体、自国民の自由を奪っていることにほかなりません。 そのような中、キムタク出演の「 Time for Taiwan~思い立ったが台湾吉日!」というCM(「ミッション:インポッシブル 」、「レッドクリフ」のジョン・ウー監督が手掛けた)は台湾観光の追い風となりました。 台湾の側からは、1年間で200万人もの観光客が日本に訪れます。台湾の人口は2000万人なので、台湾人の約10人に1人が日本に来てくださっている計算になります。 同じ比率で考えますと、沖縄140万県民のうち、14万人が台湾観光をして対等となります。 経済力によって支配を強めようとする国家におもねるのではなく、民主・自由・信仰を共有することのできる国家間での観光振興、経済交流をさらに高めることができれば、国民を守る強い外交ができるのではないでしょうか。 ◆6月16日(日)午前9時45分、沖縄県庁前集合、「沖縄・台湾を中国の侵略から守ろう!」デモ・行進のお知らせ 先日、池上彰さんの「知っているようで知らない、人気の台湾」という番組が放映されました。 その中で、毛沢東軍が台湾を併合せんとして金門島への激しい砲撃を繰り返していたときに、アジアの歌姫と言われたテレサ・テンさんが台湾軍兵士を激励していたことを明かしていました。 兵士とともにヘルメットをかぶり軍服姿で肩を組んでいた写真がとても感動的でした。 我が国においても、尖閣諸島周辺で警備にあたる海上保安官や、自衛隊員に対する感謝の声がもっとあがるべきではないでしょうか。 幸福実現党は、国民の生命・財産を守るため、危険な業務に従事してくださっている皆様を心から感謝・尊敬申し上げております。 同時に、本当に今、私たちは危機の中にある、という事実を共有し、正しい判断のできる一人ひとりにならなければならない、と強く強く願うものです。 来る6月16日(日)、午前9時45分、沖縄県庁前集合にて、デモ・集会を行います。一人でも多くの県民の皆さまがご参加くださいますことを心より祈念申し上げます。 沖縄・台湾を中国の侵略から守ろう!――玉城デニー知事の「中国・一帯一路構想」入り発言撤回を求める!【前編】 2019.06.04 沖縄・台湾を中国の侵略から守ろう!――玉城デニー知事の「中国・一帯一路構想」入り発言撤回を求める!【前編】 幸福実現党 沖縄県本部 代表 下地玲子 ◆中華人民共和国・習近平国家主席が台湾の併合を明言 中国の習近平国家主席は、2019年1月2日に、台湾との「統一」を確実にするための選択肢として「武力行使を排除しない」と明言しました。台湾は最終的に中国本土に統一されることになる、と強調しています。 更に、習近平氏は2日後の1月4日、中央軍事委員会の会議で演説し、「我が国は発展の重要なチャンスを迎えているが、同時に予想が難しいリスクも増えている。危機意識を高め、軍事闘争の準備を着実に進めなければならない」と軍に指示を出しました。 中国人民解放軍軍事化学院の元副院長で、同軍中将の何雷氏は2019年1月9日、中国が武力行使による台湾併合を余儀なくされた場合、台湾の独立支持派は「戦争犯罪人」と見なされると警告しました。 このように中国は、台湾に対する政治圧力を一層強めています。 ◆軍装備面でも台湾併合に向けた動きを加速させる中国 中国は近年、軍装備面でも台湾奪取の動きを加速させ、本気さを露にしています。 1996年、台湾初の民主的な総統選挙前、独立派と目されていた李登輝氏が優勢との観測が流れると、中国人民解放軍は軍事演習を強行し、選挙妨害をしました。 その際に、台湾海峡にアメリカ海軍が空母部隊を派遣し、中国に圧倒的な軍事力の差を見せ付けましたが、その後中国は、「空母キラー」配備でリベンジを目指しています。 2018年4月17日、環球時報は、中国の新たな「空母キラー」ミサイルが部隊に配備されたと伝えました。そしてロケット軍某ミサイル旅団が新型ミサイル武器装備品の配備を記念する式典を開きました。 これは同ミサイル旅団が試験段階から、全面的に作戦能力を形成する新しい段階に入ったことを意味しています。 中国は空母も新たに建造。2030年までに4隻の空母打撃軍を運用する計画があることが産経ニュースで報じられています。 2018年4月20日、中国海軍の空母「遼寧」を中心とした空母艦隊が、台湾とフィリピンの間のバシー海峡以東の海域で軍事演習を行いました。 中国は海兵隊の増強も行っております。 米国防省の2018年8月16日、中国の軍事・安全保障分野の動向に関する年次報告書では、中国海軍が2020年までに上陸作戦などを担当する陸戦隊(海兵隊)を3万人以上の規模に拡大するとの見通しであることを示しました。 辺野古移設反対派は、普天間固定化を恐れるあまり、「海兵隊は沖縄には必要ない。普天間は閉鎖するべきだ」と強弁し、沖縄の新聞においてもそのような記事がよく掲載されます。 しかし海兵隊を増強している中国に対する備えについては、まったく言及がありません。 琉球新報によりますと、玉城デニー知事は米軍普天間飛行場の早期運用停止を求める書簡を2019年5月24日、米国政府に送りました。 書簡の内容には「米国は海軍と空軍で中国・北朝鮮問題に対応することができる力を有する国で、トランプ大統領が復活させる『偉大なる米国』は普天間飛行場の運用停止だけでなく、沖縄からの県外・国外移設という賢明な選択をすると信じている」と記しています。 それは、陸・海・空・海兵隊の四軍を効果的に運用、自衛隊と連携することで抑止力の維持を目指す日米政府を混乱させるだけです。 台湾近海は日本のシーレーンでもあり、台湾が中国に併合されるということは、我が国の貿易船、タンカー等が自由に航行できなくなることを意味しています。 台湾を守るということは、我が国国民の生活を守ることでもあるのです。 (つづく) 「天安門事件の真相究明」で日米は連携を 2019.06.03 「天安門事件の真相究明」で日米は連携を HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆中国は「天安門事件」の風化を目論む 共産党が民主化を求める学生らを武力鎮圧し、多数の死傷者を出した天安門事件が起きてから、6月4日で30年となります。 しかし、中国では言論統制が強化され、この事件への言及はいまだにタブーとされています。 この種の「禁止ワード」を削除するために、中国のネット上には「グレート・ファイアウォール」(万里の長城)が築かれ、ついにウィキペディアまでもが遮断されました。 中国共産党は、若い世代が「天安門事件」を知る機会を奪い、この虐殺の記憶を風化させようともくろんでいます。 こうした独裁体制に対して、5月末に米国の国務省から注目すべきメッセージが出されたので、その抜粋を紹介してみます。 ◆米国務省報道官が「天安門事件」をめぐり、中国を批判 5月30日、米国務省のオータガス報道官は記者会見で、天安門事件30周年をめぐる言論統制を厳しく批判しました。 「平和的な抗議者への徹底的な虐殺が行われたことを、我々は忘れてはならない」 「我々は、悲劇的に失われた無実の命を思い起こし、今までと同じく本年も、その遺族のために哀悼の意を表明する」 「米国は、他の国々や国際社会とともに、(中国に)殺された者、拘禁された者、行方不明者を完全に明らかにすることを求めている」 「我々は、天安門広場の記憶を(社会に)存続させようとしたことで投獄された人々の釈放を要求する。そして(天安門の)デモ参加者と家族への継続的な嫌がらせや威嚇を終わらせることをも求めている」 「それは、中国共産党による、組織的で恐るべき虐待であり、我々がこんにち世界で目撃したものの中で、非常に悲しむべき事件の一つだ」 ◆日本政府は「天安門事件30周年」に沈黙を守るのか しかし、日本政府は、天安門事件について、中国に真相究明や運動家の釈放などを求めていません。 それは、18年11月の訪中以来、「日中友好」が強調されているためですが、もっと遡ってみても、政権発足以来、天安門の真相究明を求めたことはありませんでした。 要するに、この問題については、はじめから腰が引けているのです。 安倍首相は、2014年の「雨傘革命」の時も「対話が実現し、それを通じて事態が平和裏に収束することを望んでいる」(2014/10/8、参院予算委)としか言えていません。 今の自民党には、中国の人権問題を批判する勇気を持った政治家はいなくなったようです。 ◆日米で連携し、国際社会と共に「天安門事件の真相究明」を求めるべき 「天安門の真相究明」については、今から四年前(2015年)に、スペインの記者が中国の報道官を詰問したことがありました 「中国は日本に歴史を正視しろと求めています。それでは、中国はいつになったら天安門事件の歴史を正視するのですか」(スペインEFE通信社のパロマ・アルモゲラ記者)。 これは、極めて理にかなった質問です。 こうした中国の人権弾圧に関しては、日本や米国だけでなく、世界各国に憤る人々がいます。 そうした自由民主主義者の声を代弁すべく、日本は声をあげるべきなのです。 ◆主要国が沈黙すれば、独裁国は人権侵害をやりたい放題 国際政治においては、結局、パワーを持つ「大国」以外は無力なので、日本や米国などの主要国が沈黙すれば、独裁国の人権弾圧を止められるものは何もありません。 そのため、世界の先進国には、独裁国の人権侵害に対抗する責務があります。 14年に香港で雨傘革命が起きた頃、最後の香港総督を務めたクリス・パッテン氏は「世界の国々は民主主義と人権で中国に対抗することを恐れてはいけない」と述べていました。 近代化された軍隊を持つ独裁政権を市民が倒したり、人権侵害をやめさせたりするには、大国の支援が必要だからです。 こうした観点から、幸福実現党は、中国の人権侵害に抗議し、国際社会に自由の危機を訴えるべきだと主張してきました。 【参照】 ・USDepartment State”Department Press Briefing May 30, 2019″(MORGAN ORTAGUS, DEPARTMENT SPOKESPERSON) ・NEWSポストセブン「天安門事件を正視しろ」習近平を叱責したスペイン美人記者(2015.6.23) ・産経ニュース「香港デモの平和裏な収束望む」 参院予算委で安倍首相(2014.10.8) ・産経ニュース「人権で中国に対抗を」 最後の英香港総督がメッセージ(2014.11.21) 【NHK料金】国民に解約の自由がないのはおかしい 2019.06.02 【NHK料金】国民に解約の自由がないのはおかしい HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆NHKもTV番組をネットで同時配信が可能に 5月29日、NHKのテレビ番組をネットでも同時配信を可能にすることを盛り込んだ「改正放送法」が成立しました。 今まで同時配信できるのは民放だけだったのですが、2020年のオリンピックに合わせて、NHKもこれが可能になりました。 これに対して、民放連(日本民間放送連盟)は、NHKがネットに業務を拡大するのは「民業圧迫」になると反発しています。 民放各局の収入源は、スポンサーからの広告収入等ですが、NHKは法律で支払いが定められた「受信料」で賄われているからです。 そのため、民放連は、NHKのネット業務の範囲に上限(*受信料収入の2.5%以下)を定めるべきだと主張しています。 ◆国会議員もマスコミも公共放送の問題点はスルー 国会では、改正放送法に対して、自民党、立憲民主党、国民民主党、公明党、日本維新の会、希望の党、社民党などが賛成しました。 マスコミは、監査委員会のチェック機能強化(不祥事対策)、情報公開による透明性の確保といった法改正の要旨を報じたものの、公共放送の問題点については、あまり言及していません。 その問題点というのは、現代では「公共放送が必要な理由」が揺らいでおり、料金徴収の仕組みが時代遅れになっているということです。 ◆「公共放送が必要な理由」の根拠は怪しい NHKは、受信料で成り立つ公共放送は、国家に直接支配されず、民放のようにスポンサーに左右されないので、独立した放送が可能だと主張しています。 独立した立場で「公」のための放送を行うことが、公共放送の意義だとされているのです。 しかし、その実態は、建前と一致していません。 例えば、NHKの紅白歌合戦では、広告代理店や芸能事務所と密接な関係が築かれています。 大河ドラマでも、役者は芸能事務所を通じて確保しますし、プロモーションには広告代理店が関わります。 番組を通じて利害関係が生まれるので、実際のNHKは、自分たちが主張するほどには、独立できていません。 「特定の利益や視聴率に左右されず」(NHK)と書きながらも、NHKが毎年、紅白歌合戦や大河ドラマの視聴率を気にしているのは周知の事実です。 (※今年の大河ドラマ「いだてん」は視聴率一桁が続き、年間放映が危ぶまれている模様) また、公的な情報の配信も、大部分は民放で可能です。 例えば、大地震の際には民放でも予定を変更して緊急報道を行っています。 ネット記事や動画、SNS、携帯アプリなどの媒体が増えたので、緊急情報はテレビ以外でも入手できます。 公的な情報の配信は、もはやNHKだけが担っているわけではないのです。 ◆時代遅れな料金徴収システム NHKの受信料については「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」(放送法64条)と定められています。 これは、テレビが広まり始めた頃にできた制度なので、現代では、もう古くなってきています。 1950年代は民放が少なく、主な番組がNHKから提供されていたので、「テレビを設置するがNHKは見ない」という人は稀でした。 しかし、今は多チャンネル化が進み、選択の自由の幅が広がっています。 WOWOWのようにスクランブルをかければ受信料を払った視聴者に限って番組を提供できるので、「受信設備を買ったらNHKと契約しなければいけない」というルールを強要する必要性はなくなっています。 ◆NHKとの契約・解約を自由にしたらどうなる NHKがいう「公共放送が必要な理由」が妥当かどうかは、「契約・解約」を自由に国民が選べるようにすればわかります。 NHKの主張が理にかなっているのなら、多くの国民は契約を維持するはずです。 しかし、納得できなければ、多くの国民がNHKを解約するでしょう。 これは、高度な価値判断が問われるような問題ではないので、国民に選ばれるかどうかで、NHKの主張の是非を判断できます。 放送法を根拠にしなければ存続できないのなら、NHKには、国民を納得させられるだけの「中身」がなかったと考えるべきなのです。 ◆本当に「公共放送」が必要かどうかは、国民に選ばせればわかる NHKは「公共放送」という建前を掲げ、憲法で認められた「契約自由の原則」に対する特別扱いを求めています。 しかし、その業務の多くは民放でも代替できますし、その経営実態と建前の間には、ギャップが生まれてきています。 そのため、今後のNHK改革の方向性としては、まず、NHKに関して、国民に解約の自由を認めることが大事です。 それでNHKが潰れても、民放に対して、非常時に公の放送を優先すべきことを、法律で強く義務づければ済むのではないでしょうか。 (※NHK改革には「民営化」という道筋もありえます。これは、民放と競争条件を同じにして「広告容認+独自コンテンツの活用」で放送局としての独自性を追求するという選択肢です) エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(7)原子力発電所は直ちに再稼働できる 2019.06.01 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(7)原子力発電所は直ちに再稼働できる 幸福実現党 政務調査会エネルギー部会 ◆世界最速で「脱原発」に向かう日本 2010年には全国に54基の原子力発電所があり、日本は米国、フランスに次ぐ世界第3位の原発大国でした。 しかし、2011年の東日本大震災・福島原発事故をきっかけに原発が次々と停止し、2019年6月現在、原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査に合格して再稼働に至った原発は、わずか9基しかありません。 残りの45基のうち、規制委の審査に合格し地元同意など再稼働に向けて準備中のものが6基、規制委が審査中のものが10基(ほか新設2基が審査中)、未申請のものが8基(ほか新設1基が未申請)です(※1)。 一方、損壊した福島第一原発の4基を含む、全国21基の原発が廃炉を決定しています(廃炉の方向で検討中のものを含む)。また、未申請のうち柏崎刈羽原発の5基などは、地元の政治に配慮して廃炉になる可能性も否定できません。 福島第一原発以外は設備が損壊しているわけではないため、技術的には運転継続が可能ですが、廃炉の決定が相次いでいる背景には、2012年に民主党(当時)政権が法律を改正し、原発の運転を原則40年に制限(規制委の認可で1回に限り最長20年の延長も可能)したことがあります(※2)。 このため、運転開始から30年程度が経過した原発は安全対策工事をしても数年しか運転することができず、電力会社は設備投資を回収できないため、早期廃炉を決定せざるを得ない事情があります。 現行の「40年運転制限」のままでは、全国の原発が審査に合格し地元同意を得て再稼働したとしても、早期廃炉が進み、楽観的に見積もっても2030年には25基程度、2050年には10基程度に減少する可能性があります(※3)。 ◆原発の「40年運転制限」を撤廃せよ しかし、日本ではもともと、原発の60年運転を前提とした合理的な検査体系が運用されていました。 原発の「40年運転制限」は、震災後の政治的な「空気」の中で、民主党(当時)が主導し自民党・公明党の一部の議員の賛成で決めたものであり、科学的根拠は全くありません。 原子炉等の主要設備はもっと長寿命であり、廃炉の時期は個別の設備の劣化状況に応じて決めるべきであって、一律に40年で打ち切ることに合理的な理由はないのです。(※4、※5、※6) 実際に、日本とほぼ同型の原発が運転されている米国では、大部分の原発が60年運転を許可され(※7)、さらに、一部の原発では80年運転に向けた米原子力規制委員会(NRC)の審査が行われています(※8)。 米国物理学会は、原発の80年運転に技術的障害はないとし、NRCが運転制限を80年まで延長することを提言しています(※9)。 幸福実現党は2016年より、原発の「40年運転制限」の即時撤廃を訴えていますが、少なくとも原則60年の運転を可能とすれば、原発事業の予見性が高まって不合理な早期廃炉が回避されるため、日本の急速な「脱原発」を緩和することができます。 ◆実質的な安全性が確保された原発は、政府の責任で再稼働を 日本の原発は福島事故をきっかけとして、外部電源の喪失や過酷事故への対応が十分になされ、安全性が一段と高まっています(※10)。 一方、このように実質的な安全性が確保された原発の再稼働が遅々として進まない主な原因に、規制委の審査に膨大な時間を要していることがあります。 法律には、原子力の安全の確保は「確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として」行うとあり(※11)、また、これに基づく規制委の任務が規定されています(※12)。 しかし、現状の原子力規制行政は、国家としての大局観を欠いた、技術専門家による「議論のための議論」に陥っており、審査の長期化により莫大な経済的損失が発生し、国民の財産を毀損しているほか、電力の安定供給を阻害し、国民の生命、健康、我が国の安全保障を脅かすおそれもあります。 このため我が党は、2018年9月に規制委に要望書を提出し、原子力規制行政の適正化と審査の迅速化を求めました(※13)。 しかし、より根本的な原因は、規制委の審査への合格が、事実上「再稼働の許可」のように誤認され、それを政府自らが追認していることにあります。 原子炉等規制法は、新規制基準適合性に係る審査の途上にある既設の原発の運転を禁止しているわけではなく、本来は運転を継続しながら原発の安全性を高めていくことが可能です。また、規制委に原発の再稼働を止める権限はありません。(※14、※15) つまり、既存の原発の多くが再稼働できないことに法的根拠はなく、政治的な「空気」によって停止を余儀なくされているというのが実情なのです(※16、※17)。 我が党はこれについても、2018年10月に内閣総理大臣に要望書を提出し、政府の責任において直ちに再稼働を進めることを求めました(※18)。 我が党は、国民の生命・健康・財産を守るため、「脱原発やむなし」の“空気”に負けることなく、今後も原発の再稼働を力強く訴えていきます。 ◎エネルギー部会では、ご意見・ご質問をお待ちしています。 ご質問のある方は、energypolicy2019.hrpprc@gmail.comまでご連絡ください。ご質問にはできるだけ本欄でお答えします。 参考 ※1 「原子力発電の現状」 資源エネルギー庁 2019年5月24日現在 https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/nuclear/001/pdf/001_02_001.pdf ※2 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(原子炉等規制法)第43条の3の32において、「発電用原子炉設置者がその設置した発電用原子炉を運転することができる期間は、当該発電用原子炉の設置の工事について最初に第43条の3の11第1項の検査に合格した日から起算して40年とする。」と規定。 ※3 幸福実現党による推定。 ※4 「“原発40年規制”の根拠は『科学と技術』でなく『政治と空気』 ~ 専門家でない政治家が決めた危険な安全ルール」 石川和男 現代ビジネス 2015年2月25日 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/42231 ※5 「おかしな原発廃炉40年ルール 科学的根拠なし」 GEPR 2015年3月23日 http://www.gepr.org/ja/contents/20150323-03/ ※6 「原子炉規制法 原発の40年制限を見直せ」 産経新聞 2017年3月12日 https://www.sankei.com/column/news/170312/clm1703120002-n1.html ※7 「世界の原発はどうなっているのか?」 経済産業省METI Journal 2018年1月22日 https://meti-journal.jp/p/170/ ※8 「原発、米で80年運転申請 新設コスト増、延命で収益狙う」 朝日新聞 2018年12月14日 https://www.asahi.com/articles/DA3S13810875.html ※9 “APS Report Calls for Extending Nuclear Reactor Lifetimes” American Physical Society, December 2013 https://www.aps.org/publications/apsnews/201312/apsreport.cfm ※10 原子力発電所の安全対策 電気事業連合会 https://www.fepc.or.jp/nuclear/safety/torikumi/taisaku/ ※11 原子力基本法第2条第1項において、「前項の安全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする。」と規定。 ※12 原子力規制委員会設置法第3条において、「原子力規制委員会は、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資するため、原子力利用における安全の確保を図ること(< 略>)を任務とする。」と規定。 ※13 「エネルギー部会は原子力規制委員会に対して要望書を提出いたしました。」 幸福実現党政務調査会エネルギー部会 2018年9月20日 https://info.hr-party.jp/2018/7189/ ※14 「原発はなぜ再稼動できないのか」 池田信夫 アゴラ 2018年9月22日 http://agora-web.jp/archives/1629639.html ※15 「原発のテロ対策工事で運転を停止する必要はない」 池田信夫 アゴラ 2019年4月25日 http://agora-web.jp/archives/2038638.html ※16 「『安倍首相が再稼働を表明すべきだ』 安念潤司中央大学教授に聞く、『空気主権がむしばむ原発行政』」 井本省吾 JBpress 2014年6月13日 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40936 ※17 「原子力規制委員会と法治主義」 安念潤司 GEPR 2015年9月7日 http://www.gepr.org/ja/contents/20150907-01/ ※18 「内閣総理大臣宛てに『全国の原子力発電所の早期再稼働を求める要望書』を提出」 幸福実現党政務調査会エネルギー部会 2018年10月17日 https://info.hr-party.jp/2018/7397/ 日米貿易交渉を契機に農政の大転換を 2019.05.31 日米貿易交渉を契機に農政の大転換を HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆日米経済協議の中で農業は重要分野 5月に訪日したトランプ大統領は、日米貿易交渉の結果について、「8月に発表ができると思う」と述べました。 この交渉が本格化するのは参院選後となる見込みですが、そのなかで、日本の保護農政のあり方は、大きな争点の一つになっています。 日本では、自由に競争が行われている農産物と、高関税などで保護される農産物との差が大きいので、特に後者が問題視されているのです。 ◆米国が交渉を急ぐ背景 米国の通商代表部(USTR)は、日本には、牛肉や豚肉、コメ、小麦、砂糖、かんきつ類などに「貿易障壁」があると批判しています。 --- 【米国から見た「貿易障壁」の例】 ・コメ:輸入分のほとんどが加工・飼料用や食料援助用となり、消費者に提供されない ・小麦:小麦輸入は国家貿易 ・豚肉:差額関税制度(国内販売価格より輸入価格が安い場合、差額分が関税扱いとなる) --- 米国はTPPを離脱したため、現状ではFTAの恩恵を受けられず、TPP11の国々よりも高い関税がかかっています。 例えば、米国産牛肉には36%の関税がかかりますが、TPPに加盟している豪州・カナダ・ニュージーランド・メキシコの牛肉は27.5%です。 そのほか、日欧FTAも発効したので、欧州の農産品も関税削減が始まっています。 結局、現状は米国農産品に不利なので、トランプ政権は交渉を急いでいるわけです。 ◆日米協議についての安倍政権のスタンス 米国はTPPよりも有利な条件を勝ち取るために、TPPを離脱しました。 「(米国は)TPPに参加しておらず、縛られていない」(トランプ大統領 5/27) しかし、安倍政権は一方的にTPPを離脱した米国を他国よりも優遇できないと考え、「TPPと同水準」で日米貿易交渉をまとめようとしています。 安倍政権は、選挙で農業票を失いたくないので、「コメや麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖」などの関税は譲れないと考えているのです。 ◆減反と高関税でコメの消費者負担は重くなる しかし、高関税は輸入品の値段をあげ、消費者に負担を強いるので、国民全体の利益を損なっています。 農政アナリストの山下一仁氏は、生産量を減らす「減反」と「高関税」でコメの値段が上がり、年間6000億円もの国民負担を生んでいると指摘しています。 マスコミ報道では、「安倍政権が減反を廃止した」ことになっていますが、この種の補助金は、違った形で支払われています。 減反補助金と、2010年度に始まった戸別所得補償を足すと、年間で4000~5000億円の規模になっていました。 この補助金の配分が2013年に変わり、普通のコメのかわりに飼料米などをつくる農家への補助金が強化されたのです。 農政の体質は変わっていません。 (2019年予算では「水田活用の直接支払交付金」 が3215億円。これに他のコメ農家支援の項目が追加される) 山下一仁氏は、4000億円以上の補助金に高米価がもたらす6000億円の消費者負担を足すと、国民は毎年、1兆円以上の負担を強いられていると試算していました。 ◆保護農政の結果、主業農家は農地規模を十分に拡大できず 減反が始まった1970年に農地は580万ヘクタールありましたが、2017年には444万ヘクタールにまで減りました(23%減)。 1968年に1445万トンあったコメの生産量は、2017年には782万トンにまで下げられています(46%減)。 本来は、自由競争の中で農産物を増やし、余った分を輸出すべきなのに、コメ農政はその逆になっています。 この政策は「自給率の向上」を目指す農林水産省の方針とも矛盾します。 自民党や公明党は、農業だけでは食べていけない兼業農家の票を得るために、補助金行政を続けてきました。 その結果、自由競争に任せれば農業をやめて土地を貸し出す層までが保護されたので、主業農家は農地を十分に拡大できなかったのです。 ◆コメ農政の大転換を 農業では、「規模を大きくして生産コストを下げる」という規模の経済が働きます。 しかし、日本では、そのメリットを活かせませんでした。 そのため、幸福実現党は、生産調整に伴う補助金を廃止し、主業農家の生産量を増やそうとしています。 生産量が増えれば、農産物の価格が下がるからです。 また、輸出できるほど農産物を増やせば、非常時に輸出分を自国消費に回せるので、食糧安全保障は強化されます。 日本は、トランプ政権との日米交渉を契機に、農政の大転換を行うべきです。 幸福実現党は、立党以来、生産調整(減反)の廃止と大規模化の推進を訴えてきました。 家計を楽にするために、生産を増やし、安いコメが買える農政を実現してまいります。 【参照】 ・外務省「2019年 USTR外国貿易障壁報告書(日本関連部分概要)」 ・農林水産省「平成29年度 農林水産白書」 ・農林水産省「米をめぐる関係資料」(平成30年7月) ・山下一仁著『日本農業は世界に勝てる』(日本経済新聞出版社) エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(6)自給率を高めるには再生可能エネルギーが不可欠 2019.05.30 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(6)自給率を高めるには再生可能エネルギーが不可欠 幸福実現党 政務調査会エネルギー部会 (本稿では、読者の皆さまからいただいたご意見・ご質問にお答えします。) ◆原子力発電だけで経済成長を支えられるか 幸福実現党は、2050年頃までに日本の一次エネルギー自給率をフランス並みの50%以上に高めることを目標としています(※1)。 この目標を達成するために、再生可能エネルギーの主力電源化ではなく、原子力発電をさらに推進してはどうかというご意見があります。 我が党は原発の再稼働・新増設を訴えており、現在原子力規制委員会が新規制基準への適合性審査を進めている新設2基(※2)に加えて、合計13基(計画・構想段階の原発9基および我が党独自の提案分4基)の軽水炉の新増設、さらに高速増殖炉等の開発を目指しています。 これが実現すると、2050年の原発による発電電力量は3,000億kWh以上となりますが、それでも過去最高だった1998年度の原発による発電電力量(※3)を超えることは厳しい状況です。 我が党は、減税、規制緩和、大規模なインフラ投資などの成長戦略により、実質経済成長率3%程度を実現することを目指しており、これに基づく2050年の最終エネルギー消費は約1.7倍、電力需要は約3倍(いずれも2016年比)と推定しています(※4)。 2050年における電力需要は約2兆8,000億kWhとなり、このうち原発で供給できる電気は約10%しかありません。 ◆エネルギー自給率を高めるには再エネが不可欠 したがって、残りの90%の電力供給を火力発電と再エネで分担することになりますが、一次エネルギー自給率を50%以上に高めるには、電源のうち再エネの比率を80%程度まで高め、火力発電の比率を10%程度とする必要があります。 ここで、発電用の燃料のうち液化天然ガス(LNG)の一部は、日本近海に豊富に賦存するメタンハイドレートに置き換わることを想定しています。 再エネ比率80%は非常にチャレンジングな目標ですが、日本は海洋・地熱等の未開発の豊富な再エネ資源に恵まれ、先行している太陽光発電についても、システムの低価格化が進んでいます。 大川隆法・幸福実現党総裁は2009年2月の講演(※5)で、時代が脱石油文明にシフトしていくとの見通しを示していますが、実際に2010年代には、世界で再エネに関する技術革新が飛躍的に進み、低炭素技術や化石燃料を削減する技術の普及が一段と進んでいます。この「新文明」の潮流はもはや止まらないと考えられます。 再エネに投資を行い国産資源として活用することは、日本の安全保障を高め、低廉なエネルギーが潤沢に供給される社会の基盤をつくり、政策を誤らなければ投資の大部分を国内経済に還流することも可能なため、国家としての総便益はきわめて大きいといえます。 ◆仮に原発だけで自給率50%以上を目指すなら 仮に、自給率を50%以上に高めるために原発だけを使うとした場合には、現時点で国内最大級の原発(1基あたり138万kW)を250基以上新増設する必要があります(※6)。 日本のような民主主義国で、わずか30年間に250基の原発を新増設することは非現実的ですが、中国のような共産党一党独裁の全体主義国家であっても、ほぼ不可能でしょう。 なお、現在の経済状態が2050年まで続き、エネルギー需給構造や電力需要が変わらないと仮定した場合には、火力発電を全て廃止して原発と再エネに置き換えれば、一次エネルギー自給率は50%程度になります。 その場合にも、再エネを利用しない場合には原発を80基以上新増設する必要があり、現実的ではありません。 ◆エネルギー政策にはバランスが重要 特定のエネルギーに偏る政策は、それが実現しなかった場合の代替エネルギーの確保を困難にするため、リスクが大きいといえます。原発に過度に期待すると、それが実現しなかった場合には、結局は化石燃料への依存から脱却できないことになります。 我が党は、原子力を重要なエネルギー源として位置づける一方、太陽光・陸上風力などの在来型再エネ、洋上風力、潮力、海洋温度差、次世代地熱(EGS)などの新しい再エネに加え、メタンハイドレートの新規開発も進め、石油、石炭、LNGなどの在来型の化石燃料も戦略的に維持することを目指しています。 エネルギーに関するあらゆる可能性を否定せず、情勢の変化に柔軟に対応できるエネルギー供給体制を構築し、日本の独立と繁栄を守ります。 ◎エネルギー部会では、ご意見・ご質問をお待ちしています。 ご質問のある方は、energypolicy2019.hrpprc@gmail.comまでご連絡ください。ご質問にはできるだけ本欄でお答えします。 参考 ※1 「エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(1) 総論」 HRPニュースファイル 2019年5月12日 http://hrp-newsfile.jp/2019/3534/ ※2 電源開発の大間原発1号機と、中国電力の島根原発3号機 ※3 エネルギー白書2018 資源エネルギー庁 1998年度の原発による発電電力量は3,322億kWで、電源比率は36.8%と、ともに過去最高。 ※4 「エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(5) 原子力発電はなぜ必要か」 HRPニュースファイル 2019年5月26日 http://hrp-newsfile.jp/2019/3558/ ※5 『創造の法』 大川隆法 幸福の科学出版 ISBN978-4-86395-014-6 ※6 改良型沸騰水型原子炉(ABWR)で想定。出力138万kW、設備利用率85%とすると、1基あたり年間約103億kWhの発電電力量となる。 公務員平均給与は678万円 民間平均は432万円 この差は何? 2019.05.29 公務員平均給与は678万円 民間平均は432万円 この差は何? HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆増税を予定しながら、自公政権は5年連続で公務員の給料を増やした 2019年には消費税10%への増税が予定されていますが、不思議なことに公務員の給料は伸び続けてきました。 18年11月には、平均年収を約3万円増やし、678万3000円とする改正給与法が成立しています。 これで、5年連続の給料増となることが決まりました。 ◆平均給与「公務員VS上場企業」の結果は? 政府の言い分は、好景気が続いてきたので、公務員も「民間並み」に昇給したということです。 しかし、その説明に納得できる人がどれだけいるのでしょうか。 東京商工リサーチによれば、2018年3月決算をもとに計算した上場企業(1893社)の平均年間給与は620万8000円です。 今の公務員は、厳しい上場基準をクリアした企業よりも、1割ほど高い給料をもらっていることになります。 さらに、民間の平均給与をトータルで見ると、2017年は432万円でした。 (*民間給与実態統計調査〔平成29年度〕。現在、17年の値が最新) これは、正規・非正規と男女の双方を含めた約4900万人の平均値です。 4900万人の23%が非正規社員なので、金額は低めになる分は割り引いて考えるべきですが、公務員とは250万円近い差がついています。 ◆「赤字続きで昇給」というのは、民間ではありえない 今の日本は「財政赤字を増やし続け、国民に増税をお願いしながら、公務員の昇給を続ける」というおかしな政治が続いています。 「中央政府と地方を足すと、1100兆円もの赤字がある。だから、増税が要るんだ」 「子供や孫の世代に国の借金の負担を先送りしてはいけない」 それが増税の理由だったのに、安倍政権は、5年連続で公務員の給料をあげています。 2013年に616万円だった平均給与が、19年には678万円にまで上がるのです。 しかし、民間では、赤字を積み重ねながら毎年昇給を続けるような経営を続けていたら、悲惨な未来が待ち受けています。 ◆政府に「経営の思想」を入れたら、どうなるのか この問題について、幸福実現党・大川隆法総裁は、20年前から人件費の拡大と不採算部門の肥大化に警鐘を鳴らしていました。 「財政赤字の場合、公務員は、ボーナスや退職金をもらえたり、年功序列で給料や地位が上がったりすることを、当たり前と思ってはならないのです」 「財政を再建するためには、将来的にも税収が見込める分野に予算を重点的に配分する一方で、将来的には成長が見込めず、単に税金のたれ流しになっている分野を縮小していくことが必要になります」 (※『繁栄の法』幸福の科学出版刊 この発言は1998年1月) ◆「小さな政府、安い税金」で民間が自由に使えるお金を増やす 大川総裁の考えは一貫しており、5月22日にも「消費税をあげていくなら、省庁を一つずつ減らすなど、目に見えるかたちにしてくれないと、納得がいかない」と政府を厳しく批判しました(「令和元年記念対談」)。 (※詳細は「幸福実現NEWS 2019年5月23日 特別号」を参照) それは「小さな政府、安い税金」を実現し、民間が自由に使えるお金を増やしたいと考えているからです。 「政府が国民からお金を集めて使うよりも、国民や企業が自分で稼いだお金を使ったほうが、有効な使い道になる」というのが、自由主義経済の基本です。 幸福実現党は、この精神に沿って、消費税5%への減税や政府のスリム化(組織や事業の見直しや公務員給与の適正化など)を進めてまいります。 【参照】 ・時事ドットコム「改正給与法が成立=国家公務員、年収3万円増」(2018/11/28) ・東京商工リサーチ「2018年3月期決算『上場企業1893社の平均年間給与』調査」(2018/8/3) ・国税庁企画課「平成29年分民間給与実態統計調査結果について」(平成30年9月) ・J-CASTニュース「公務員給与の削減終了 わずか2年、『身を切る姿勢』はどこにいった」(2013/11/30) ・大川隆法著『繁栄の法』幸福の科学出版刊 ・幸福実現NEWS「大川隆法党総裁・釈量子党首〈幸福実現党立党10周年・令和元年記念対談〉『君たちの民主主義は間違っていないか。』を開催」(2019年5月23日特別号) エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(5) 原子力発電はなぜ必要か 2019.05.26 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(5) 原子力発電はなぜ必要か 幸福実現党 政務調査会エネルギー部会 ◆原子力発電の推進を一貫して訴えてきた幸福実現党 2011年の東日本大震災・福島第一原発事故後、民主党(当時)の菅直人元首相による法的根拠のない要請で浜岡原発が停止して以来、被災していない全国の原発が相次いで止まり、再稼働ができなくなりました。 当時の世論やマスコミの多くが「脱原発」に傾く中で、幸福実現党は震災直後から、全国の原発の再稼働を強く訴えてきました。 我が党は、エネルギー資源に乏しい日本が液化天然ガス(LNG)や石油等の化石燃料に過度に依存することは、安定供給と経済性の両面で問題があるため、一貫して原発の再稼働や新増設を主張しています。 ◆世界の流れは原発推進 日本ではしばしば、「世界の流れは脱原発」と言われます。韓国、台湾、ドイツ、ベルギー、スイス等での脱原発の動きや、日立製作所による英国原発事業の中断(※1)、再生可能エネルギーの急速な拡大などがある一方で、日本のマスコミは脱原発を強調し、世界の原発推進の動きをあまり報道しないため(※2)、そのような印象があるのかもしれません。 しかし、米国、フランス、中国、ロシア、インド、英国、カナダ等は今後も原発を推進する方針であり、UAEやサウジアラビア等は新たに原発の利用を計画しています。 また、脱原発を表明した前述の国でも、代替エネルギーの目途が立たないため、実際には脱原発が難航しています(※3)。 世界の流れは、明らかに原発推進に向かっています。その最大の理由は、世界の国々が豊かになり、エネルギー需要が大幅に増大することにあります。 国際エネルギー機関(IEA)が2018年に発行した報告書(※4)によれば、エネルギー効率を野心的に高めた「新政策シナリオ」でも、2017年から2040年にかけて、世界のエネルギー需要は25%以上増加すると予測しています。 また、エネルギーの電力化が大きく進み、世界の発電電力量は約57%増加し、再エネの大幅な増加(約2.6倍)を織り込んでも、さらに原発は約41%増加すると予測しています。 ◆日本だけは経済成長しないのか 一方、「人口減少・少子高齢化・低成長の日本ではエネルギー需要の大幅増加は見込めないため、原発がなくても再エネで十分」という、“下山の思想”のような主張があります。 しかし、米国トランプ政権下で景気が好転したように、米国のような成熟国であっても、政策次第で3%程度の経済成長率になることは珍しくありません(※5)。 日本の「失われた30年」の低成長は、バブル期以降の相次ぐ財政・金融政策の失敗、消費税の増税、高い法人税、低い生産性を温存する諸制度、企業活動を制約する不合理な規制等によるものであり、国民がこれらを前提とした低成長を当然視して自縄自縛に陥っている、世界でも特殊な状況にあるといえます。 したがって、これらの政策を変えれば、3%程度の経済成長が実現しても何ら不思議はありません。 ◆経済成長で電力需要が大幅に増える 我が党は、減税、規制緩和、大規模なインフラ投資などの成長戦略により、実質経済成長率3%程度を実現することを目指しています。 経済成長とエネルギー消費には強い正の相関があることが知られており、経済成長に伴いエネルギー消費は増加します。また、経済成長と電力需要には、特に密接な関係があります。 このため、経済成長率を平均3%程度とすれば、2050年の最終エネルギー消費は約1.7倍、電力需要は約3倍(いずれも2016年比)と推定されます(※6)。 電力需要の伸びが特に大きいのは、電力化率(※7)が高まるためです。 これは、国民がより便利な生活を求めて電化製品、IoT(モノのインターネット)機器、ロボット等が増えること、電気自動車(EV)、ドローン、「空飛ぶクルマ」などの交通の電動化、リニア新幹線など高速鉄道の充実、再エネの急拡大、省エネルギーの要請でエネルギー効率の高い電気に転換が進むことなどが理由です。 ◆原子力利用は国家の独立と安全保障の基盤 経済成長には電力の安定供給が不可欠ですが、他国の支配を受けずに安定供給を確保するには、化石燃料への依存を減らし、原発と再エネの利用を進めなければなりません。 そして、今後の電力需要の増大を考えれば、今世紀中に原発が世界の主力電源の座から降りることは絶対にありません。当面は、原発が大量の電気を安定して発電できる最も効率的なシステムだからです。 さらに、原子力関連の技術は原発に役立つだけでなく、医療、新素材の製造、放射性物質の無害化など、多分野の有用な技術につながるほか、次世代原子炉の開発や核融合炉の実用化に向けた技術開発にも役立つものです。 また、日本に向けて核ミサイルを配備する全体主義国家が存在する現状にあっては、潜在的核抑止力としても重要な意味を持っています。再エネがいかに普及したところで、原子力技術およびその利用の重要性は変わりません。 我が党は、今後も国家の独立と安全保障の基盤である原子力エネルギーを堅持し、原子力の利用を着実に推進します。 ◎エネルギー部会では、ご意見・ご質問をお待ちしています。ご質問のある方は、energypolicy2019.hrpprc@gmail.comまでご連絡ください。ご質問にはできるだけ本欄でお答えします。 参考 ※1 「日立、英原発事業を中断 2000億円規模の損失計上へ」 日本経済新聞 2019年1月11日 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39897670R10C19A1MM0000/ ※2 「『脱原発』は世界の流れに逆行する メディアが報じない欧米・アジアの大半が『原発推進』という現実」 石川和男 JBpress 2019年4月30日 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56257 ※3 「原子力をめぐる“世界の潮流”」 竹内純子 国際環境経済研究所 2019年4月22日 http://ieei.or.jp/2019/04/takeuchi190422/ ※4 World Energy Outlook 2018, International Energy Agency https://www.iea.org/weo/weo2018/secure/ ※5 Gross Domestic Product, US Bureau of Economic Analysis https://www.bea.gov/data/gdp/gross-domestic-product ※6 幸福実現党による試算。 ※7 電力化率: ここでは、最終エネルギー消費に占める電力需要の割合。 「大義なき自公」「反対のみの野党」には任せられない 2019.05.25 「大義なき自公」「反対のみの野党」には任せられない HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆「大義」の中身を語れない自民党 菅官房長官は、5月17日に続き、20日の会見で、内閣不信任案の提出は解散の大義になりえると述べました。 ――― 「(会見の質問は)内閣不信任決議案が提出された場合に解散の大義になるか、ということだった。私は当然なり得るだろうと話した」(時事通信 5/20) (それは)「制度上の問題だから、当然ではないか」「首相が解散すると言えば、解散する。しないと言えばしない…まさに首相の専権事項だ」(日経電子版5/20) ――― この発言を見ると、解散に至るまでの「制度」を説明しただけで、「大義」の中身は述べられていないことがわかります。 本来、政治家にとっての大義は、国民のための政策実現を意味するのに、菅長官は何も政策を語っていないからです。 「増税延期が解散の大義になる」という方もいますが、今年は参院選で民意がわかるので、解散の必要はありません。 「増税延期」を参院選で訴え、結果を見た後に是非を決めることができるからです。 そのため、昨今の解散風は「野党が劣勢である間に議席を確保したい」という自民党の事情から生まれてきたものだといえます。 結局、自民党は、国民に必要な政策の議論なしに「解散」を進めたいという下心を「大義」という美しい言葉で隠しているのです。 ◆「野党候補の一本化」=「談合」による候補者の決定 いっぽう、支持率低下が目立つ野党は戦々恐々としています。 NHK世論調査(5/10~12調査)によれば、政党支持率は自民党と公明党で38%あるのに、反安倍政権を掲げる勢力は10%以下です。 ――― ・自民党は35.2%、公明党は3.1%。中間勢力の日本維新の会は2.9% ・立憲民主党は4.8%、国民民主党は0.7%、共産党は3.2%、社民党は0.6% ――― そのため、野党は候補者の一本化を進めています。 5/21には、共産党が参院選で20人の候補予定者を取り下げる方針を固めました。 そうすることで、立憲民主党や国民民主党などとの連携を進める体制をつくっています。 この「一本化」によって、野党の支持者は「違い」を選べなくなります。 「共産党は嫌だ」と思っていても、「安倍政権を許さない」というだけの理由で統一候補に票を入れるしかなくなるわけです。 これは、「議席を減らしたくない」という野党の事情で、有権者に「思想・信条の自由」に沿った投票を行う選択肢を奪っています。 共産党などの左派陣営は、自民党を土建屋と密着した「談合政治」だと批判してきましたが、自分たちは「談合」によって有権者の投票先を減らしているのです。 野党連合が目指す民主主義では、談合で有権者の選択肢を減らしても構わないのでしょう。 それは、候補者と有権者の思想や信条などはどうでもよく、党利党略だけで有権者の投票先が決められる政治なのです。 ◆幸福実現党が示す「新しい選択」とは 今の与野党は、選挙を自分たちの党利党略を実現する場ととらえています。 しかし、幸福実現党は「大義なき解散」や「政党の談合による候補者選び」で勝者が決まるような政治でよいとは考えていません。 幸福実現党は、日本に「自由・民主・信仰」といった価値観を打ち立て、本物の民主主義を実現したいと考えているからです。 幸福実現党は、あくまでもこの大義を尊び、この価値観に反する政党とは手を組みませんでした。 また、立党以来、消費税増税に反対し、今は5%への減税を訴えています。 北朝鮮の核ミサイルや中国の軍拡にも、立党の時から警鐘を鳴らしてきました。 立党から10年の間、変わらぬ理想と政策を訴え続けてきたのです。 それは、大義も政策も見えない政治の中に「新しい選択」を示すための試みでした。 「大義なき解散」をはかる与党でも、「反安倍」しかメッセージのない野党でも満足できない方の受け皿であり続けてきたのです。 幸福実現党は、立党10年の今年も、減税と国防強化を訴え続け、国民に「新しい選択」を訴え続けてまいります。 【参照記事】 ・時事ドットコム「菅官房長官、解散『大義』再び発言=内閣不信任案提出なら」(2019/5/20) ・日経電子版「不信任案提出は解散大義 菅氏『制度上、当然』」(2019/5/20) ・「NHK世論調査 政党支持率」(NHK選挙WEB 2019年5月) ・毎日新聞「共産が20選挙区で取り下げへ 参院選1人区 野党候補を一本化」(2019/5/21) すべてを表示する « Previous 1 … 52 53 54 55 56 … 253 Next »