Home/ 新着一覧 新着一覧 祝・東京五輪招致決定!――リニア開通と消費増税撤回で「ゴールデン・エイジ」を築こう! 2013.09.08 ◆祝☆2020東京オリンピック招致決定! 2020年のオリンピック・パラリンピック東京開催決定、誠におめでとうございます! 東京五輪の招致活動に関わられた皆様の並々ならぬご尽力に対しまして、心より感謝と敬意を表します。 幸福実現党と致しましても、東京五輪開催を機縁として、バブル崩壊以降の停滞ムードを一掃し、日本に再び活気と目標を取り戻し、2020年代を日本の「ゴールデン・エイジ(黄金期)」にして参りたいと存じます。 釈量子党首も早速8日に声明「2020年夏季五輪の東京開催決定を受けて」を発表し、東京五輪開催を日本経済の「第二の高度成長」に向けた起爆剤とするための提言を行っております。⇒http://info.hr-party.jp/press-release/2013/2132/ 特に重要なポイントは「2020年の東京五輪開催に合わせたリニア新幹線の開通」と「消費増税中止」の二つです。 ◆2020年、リニア新幹線の開通を! 1964年の東京オリンピックは、国家を上げた一大プロジェクトとして、東海道新幹線、東京モノレール、首都高速道路等の交通インフラが整備され、高度成長を成し遂げる基盤ができました。 東海道新幹線は、東京オリンピックの開会式(昭和39年10月10日)の9日前に開業しました。 東海道新幹線は昭和34年4月に着工しており、工事期間はわずか5年半という突貫工事で行われました。 3800億円の巨費と当時の最高の技術の粋を集約した新幹線は「世界初の高速鉄道」として、世界中の注目を集め、日本の高度経済成長のシンボルとなりました。 現在、リニア新幹線は来年2014年度中に着工予定で、東京から名古屋までの開業が2027年、大阪までの開業は2045年を予定しています。 新幹線と比べて建設期間が異常に長いのは、新幹線と違ってリニア新幹線の建設は国家予算に頼らず、JR東海が自己負担で開業を目指しているためです。 巨額の資金調達(東京―大阪間の建設工事費は約9兆円)については、「リニア新幹線ファンド(仮)」等を立ち上げ、政府や日銀、政策金融機関等の出資や融資を募り、2020年の東京五輪開催に合わせた早期開業、最低でも部分開業を目指すことを提言します。 リニア新幹線の開業は「日本経済復活の象徴」とも言うべき事業であり、2020年代を日本の「ゴールデン・エイジ」となすための第一歩となるでしょう。 ◆「オリンピック景気」に水を差す消費増税 しかし、ここで懸念すべきは、オリンピックの景気に水を差す消費税率のアップです。 東京で五輪が開催された場合の経済波及効果は約3兆円を見込まれているため、増税推進派からは「消費増税による景気悪化を相殺できる」との論調も出ています。(8/27 ロイター「『東京五輪』招致成功なら3%増税に青信号との見方も」) すなわち、増税推進派としては「東京オリンピック決定!増税するなら今でしょ!」というわけです。 しかし、日本はロンドン・オリンピックを経済浮上の好機に出来なかったイギリスの教訓に学ぶべきです。 イギリスは2008年9月のリーマン・ショック後、日本の日本銀行にあたる中央銀行のイングランド銀行が量的緩和政策として米国を上回る速度でお札を大量に刷り続け、市場のお金を増やすことでポンド安に成功しました。 それによって2010年秋までに景気が回復基調にあったのです。これは、長年デフレが続いてきた日本で安倍政権が量的緩和政策によって市場にお金を投入したことで景気が浮上してきた現在の日本と同じ状況です。 ところが、2012年のロンドンオリンピックでイギリスに経済効果が出なかった理由は、キャメロン政権が「緊縮財政路線」を決め、「付加価値税」(日本の消費税に相当)を17.5%から20%へ引き上げたからです。(【参考】2012/7/29産経「景気無視の増税は必ず大失敗する 五輪効果不発の英国の教訓」田村秀男) 個人の消費意欲を示す「消費者信頼度指数」は、2010年後半から急速に悪化し、皮肉にもロンドン五輪聖火リレーが始まるころから再び下落します。 その後、イングランド銀行がリーマン・ショック時の3.7倍の量的緩和を行っても、英国経済は浮上しなかったのです。 このように、イギリスはロンドン・オリンピックと金融緩和で景気が回復基調に入ったにもかかわらず、「付加価値税」の引き上げで消費が落ち込み、再び景気が停滞しました。 ◆ロンドン・オリンピック景気回復失敗の轍を踏むな! もし、日本が消費税税率をアップさせる方向に舵を切った場合、イギリスと同じように、オリンピックの経済効果が出ないばかりか、その後に再び金融緩和を行っても景気が回復する見込みがなくなる可能性があります。 つまり、安倍首相が消費税率の引き上げを行えば、オリンピックの経済効果に水をさすことになりかねません。 増税で「オリンピック景気」のチャンスを潰したイギリスの教訓から日本は十分に学ぶ必要があるのです。 東京オリンピック招致決定は、その景気浮揚効果から消費増税の後押しになると見る向きもありますが、消費増税が景気の後退を招くことは明らかです。 幸福実現党は安倍政権に対して最後まで消費増税中止を断固として求めて参ります。(文責・政務調査会 佐々木勝浩) 南太平洋を中国による「新・植民地主義」から解放せよ! 2013.09.07 ◆島嶼国首脳会議における中国vs.日米豪 マーシャル諸島で開催されていた島嶼国首脳会議「太平洋諸島フォーラム(PIF)」が6日閉幕しました。 中国は太平洋上の島嶼国に対し、港湾整備支援を本格化させており、日米豪の防衛当局者は、将来的に中国海軍の拠点となる可能性が高いとして警戒を強めています。(9/4 読売3面) 最終日の6日に行われた「PIF域外国対話」でアメリカは気候変動対策や災害対策に対する支援を発表しました。 グアム基地と米太平洋軍司令部のあるハワイを結ぶシーレーンなど、南太平洋の海洋安全保障が国益に直結するアメリカは「オイルシーレーン防衛」に直結する日本に対して、島嶼国への支援強化を呼びかけています。 ◆加速する中国の南太平洋進出 アフリカへの進出と同じく、インフラ投資などの手口で、中国は南太平洋諸国への影響力を拡大し続けています。(参照:4/25 HRPニュース「日本の強みを活かしたアフリカ外交を!」) 具体的には、トンガでは1982年のサイクロンで壊れたままの埠頭を中国が低利融資によって軍艦艇が入港できるよう港湾を修繕しました。 港湾だけでなく、道路や中心街、王宮の改修にも中国の援助が注ぎ込まれており、ここ5年間で借款は合わせて約109億円相当に上っています。 国際通貨基金(IMF)によると、借款総額はトンガのGDPの約3割を占め、「中国は援助を通じてトンガを抱き込み、この埠頭を将来、軍艦の活動拠点とする可能性がある」と指摘する声もあります。 また、南太平洋諸国の中心的存在、パプアニューギニアへも71億円相当の低利借款供与が決定されており、中国による漁港の拡張工事などが各地で展開されています。 更に今年に入って、パプアニューギニアの国防軍に対しても無償で資金援助を行うことを発表し、装甲車や兵員輸送車などを供与する予定であると言われています。 ◆南太平洋諸国とオーストラリアとの軋轢 このように中国と南太平洋諸国が蜜月の関係を構築する背景には、微妙になりつつある南太平洋諸国とオーストラリアとの関係が挙げられます。 元々、南太平洋地域はオーストラリアが主体的に管理し、ニュージランドがそれを支えるという体制が維持されてきました。 しかし、かつてオーストラリアの植民地下にあった南太平洋諸国では「白豪主義」などへの反発が根強く、そこに中国が「植民地解放の英雄」を気取って入り込み、「脱豪主義」が進行している状況にあります。 反オーストラリアの急先鋒であるフィジーでは、中国だけを念頭においた「ルックノース政策」を掲げており、軍事的にも、経済的にも中国と急速に近づき、援助額は以前の150倍にも上っています。 2010年には習近平もフィジーを訪問し、オーストラリア政府に大きなショックを与えたのも記憶に新しいところです。 ◆中国の狙いは「第二の真珠の首飾り」 中国の南太平洋への進出の狙いは大きく二つあるといって良いでしょう。 一つは、パプアニューギニアを中心に存在する銅や金、天然ガスなど膨大な資源権益、もう一つは、アメリカやオーストラリアが握ってきた南太平洋の海洋権益であります。 既に中国はインド洋沿岸のスリランカやパキスタンなどで港湾整備を支援し、インドを取り巻く「真珠の首飾り」作戦を展開しています。 と同時に、中国は南太平洋海域を中心に、アメリカとの有事を視野に入れた「第二の真珠の首飾り」作戦に取り掛かっているのです。 この南太平洋が中国の手に落ちれば、アメリカの安全保障に重大な支障をきたすのはもちろん、日本にとっても「マラッカ海峡ルート」の有力な代替ルートである「ロンボク-マカッサル海峡ルート」を封鎖される恐れがあり、日本の兵站は絶体絶命の状況に陥るということを知らなければなりません。 ◆存在感の薄い日本、尊敬される戦前の日本軍人 そのような中、日本は南太平洋において存在感を示すことが未だにできていません。 国内では財政規律主義が横行し、政府開発援助(ODA)が頭打ちとなるなか、中国に押され気味となっております。また、日本は戦前の反省からか、オーストラリアの顔色をうかがい、南太平洋への本格的進出に踏み切れないでいます。 しかしながら、この南太平洋諸国は総じて「親日的」であり、特に大東亜戦争で最も過酷な戦域と言われたパプアニューギニアでは、規律正しく、教育熱心で、現地の人々と目線を同じくした日本の軍人に敬意を表し続け、「大の親日国」であるのです。 『日本の南洋戦略 ―南太平洋で始まった新たなる〈戦争〉の行方』(丸谷元人著、 ハート出版)には、彼らの日本人に対する感想が以下のように紹介されています。 「日本が戦争に勝っていてくれていれば、我々はここまで苦しむことはなかった。もっと発展していたはずだ。…しかしここは違う。白人によって引き続き搾取されただけだ。」 「日本軍はこの村を去る時、『自分たちはいつか必ず帰ってくる』と言った。以来、我々はずっとその帰りを待っている。いったい、日本軍はいつ帰ってくるのか…日本人は必ず約束を守るはずだ。」 ◆日本こそが「植民地からの真の解放者」たれ! 今こそ日本はその約束を果たすべき時が来ています。 「植民地主義からの真の解放者、ニッポンが帰ってきた!」 この事実が南太平洋諸国民にどれだけの勇気と希望を与えるのか、その為にも我々の先人たちがはるか南方で積んできた遺徳に深謝し、日本人としての誇りを取り戻し、自虐的な歴史観を一掃することが求められます。 そして、進行する中国の覇権主義に対しては、尖閣諸島のような「点」や、第一、第二列島線といった「線」を超えた、中東やアフリカ、南太平洋など全体を俯瞰していく「面」で考える日本の外交・安全保障政策が求められます。 更に植民地支配の悪弊が消えない現地に対しては、財政規律路線を捨て、積極的投資による経済外交を行い、彼らの未来の発展と繁栄の土壌を創りだすことが必要なのです。(文責・HS政経塾1期生、山形開拓支部長 城取良太) 「シリアの悲劇」を終わらせるために 2013.09.06 ◆G20サミット――シリア攻撃で国際的亀裂 緊迫するシリア情勢が議題となったG20首脳会議は6日、2日間の討議を終え、閉幕しました。(9/6 時事「シリア問題で溝埋まらず=首脳宣言に言及なし-G20閉幕」) プーチン大統領とオバマ米大統領が6日、会談を行いましたが、アサド政権の化学兵器使用を理由に軍事介入の方針を決めた米国と、国連安保理無視の攻撃は国際法違反だと主張するロシアの溝は埋まらず、国際社会の分裂ぶりが浮き彫りになった形です。 安倍首相は、5日に行われた日米首脳会談において、米国と連携する方針を表明しましたが、中国包囲網や北方領土の問題解決等、日ロ関係を強化していきたい思いもあり、明確な「米国支持」を表明できない「板挟み状態」に陥っています。 ◆「シリアの悲劇」 シリアの悲劇は終わることを知りません。シリアの内戦が始まってから、既に2年半以上が経過しています。 人権団体は1日、シリアの内戦で11万人以上が死亡し、そのうち半数以上は民間人で、少なくとも5833人の子どもが含まれていると発表しています。(9/2 ロイター) 国連難民高等弁務官事務所によると、周辺国に脱出したシリア難民の数は200万人に達したと言われており、状況は極めて緊迫化しています。 シリアの内戦は予想以上に長期化しており、内戦による民間人の死者も増え続けている以上、国際社会としても内戦収束に向けた努力を進めるべきです。 そして、内戦で10万人の死者が出ている以上、アサド大統領は潔く身を引き、残された人々が民主的で安定的な政権を打ち立てることを目標とすべきです。 ◆なぜ、アメリカはシリアへの軍事介入を躊躇して来たのか? 注目すべきは、なぜ今頃になってアメリカが介入するのかということです。 シリアの反政府運動は、2011年に始まった中東・北アフリカ地域の「アラブの春」を受けて、「民主化要求運動」として始まりました。 当初の反政府運動は今よりも激しくはありませんでしたが、戦争によって事態を解決したい人々が「自由シリア軍」を組織して以降、穏健に政府を変えていこうとする運動は影を潜め、泥沼の内戦へと突入していきました。 アサド大統領はイスラム教シーア派です。シリア国内のシーア派は全人口の12%しかありません。これに対し、反政府勢力は人口の多数(70%)を占めるスンニ派を中心に組織されています。 やがて、シリア内戦に外国勢力による介入が始まり、政府側には最大のシーア派国家イランやレバノンのシーア派系武装組織「ヒズボラ」、ロシア等が支援をし、反体制側には、スンニ派の多いサウジアラビア、カタール、トルコ等が軍事面、財政面で支援するようになりました。 更には、反政府勢力に、スンニ派武装組織であるアルカイダ系「アル=ヌスラ戦線」が加わり、内戦が激化して来たのです。 反政府側が勝利した場合、アルカイダ系の過激派組織が戦後政権に影響力を持つ恐れもあり、アメリカとしては一方的に反政府勢力を支援することができない状況があります。 アメリカ国内においては、安全保障の専門家を中心として、この点から「シリアへの軍事介入を思いとどまるべき」という見解も未だ根強くあります。 オバマ大統領が介入を決断したのは、シリアの隣国イスラエルの暴発を抑えるため、さらにはシリアと深い関わりがあるイランへの対処が念頭にあるものと考えられます。 イスラエルは、米国が化学兵器を使ったとされるシリアに「懲罰」を与えなければ、中東での米国の影響力が弱まり、シリアと連携するイランやヒズボラに対する抑止力が低下し、イスラエルが危機にさらされると訴えて来ました。(9/3 朝日) アメリカはこうしたことを念頭に、米空母をペルシャ湾と地中海の双方と展開し、イランを抑止しつつ、シリアへの「限定的」軍事介入を進めていくものと見られます(「限定的」とは、アサド政権の転覆ではなく、化学兵器施設への空爆等を意味します)。 ◆不透明な「戦後」の政権運営 しかし、このような軍事介入は、泥沼の戦後を招く危険があることも事実です。 実際、リビアにおける「オデッセイの夜明け」作戦以後、反政府勢力はリビア政府軍を圧倒するどころか、かえってリビア政府軍の反攻を招いて窮地に陥り、内戦が逆に長引きました。 更に重要なのは、反政府勢力側に将来の政権運営の「ビジョン」が欠けていることと、勢力自体が一枚岩ではなく、様々な勢力の寄り合い所帯であるということです。 戦後の政権運営の「ビジョン」は、オバマ大統領も、「アサド政権は道を譲るべきだ」と語った安倍首相も持っていないように見えます。 これは「戦後」の政権運営に著しい影響を及ぼします。実際、リビアでも戦後の政権が安定しなかったことで国内の治安が悪化、周辺国に武器が流出するなど混乱が生じています。 このリビアから流出した武器は、日本人が犠牲になったアルジェリアの人質拘束事件にも使用されたと言われています。 また、イラクやエジプトの政治的混乱を見ても、中東における安定的政権の樹立は簡単ではありません。 このことからも、今回の米国の「軍事介入」のみでは、本質的な問題は全く解決しないと言えます。 ◆シリアの悲劇を終わらせるために では、日本はどうするべきなのでしょうか? 日本が貢献できることは、シリアへの軍事介入ではなく、シリアの「戦後復興」です。 日本はアラブ諸国から好意的に見られているという利点を利用し、シリアを混乱なく復興させ、民主的な新政権を軌道に乗せ、平和裡に民主化を実現すべきです。 シリアの人々は内戦によって塗炭の苦しみを味わっています。内戦で亡くなった人もあれば、内戦を逃れるために国を捨てた人も多くいます。 日本は、彼らに一筋の希望を見出す機会を与えることができるように努力すべきです。 具体的には、(1)人心の掌握、(2)暫定政府樹立、(3)憲法の制定、(4)政府機構の再編、(5)教育基盤の確立、(6)経済基盤の確立、(7)自由選挙、(8)諸外国からの財政支援の8つのプロセスを辛抱強く行う必要があります。 特に、(1)人心の掌握と(2)暫定政府樹立については、寄り合い所帯である反政府勢力を纏め上げ、テロリストを放逐する必要があり、そのためには仲介者が必要です。 この仲介者はアメリカには務まりません。何故なら、アメリカなどの欧米各国は、過去の中東政策において嫌われているからです。そのため、仲介は日本が行わなくてはなりません。 シリアは緊迫を増すイスラエルとイランの間に位置します。シリアを民主的かつ安定的に復興させることができれば、両国の緊張緩和に良い影響を及ぼすことができるはずです。 そのためには、新しい宗教の息吹を中東に送ることによって、イスラム教とキリスト教・ユダヤ教の「宗教対立」を解消していくべきです。 この問題を解決できるのは、平和裡に世界宗教の融合を目指している幸福の科学だけであり、世界に向けて「自由からの繁栄」を提言することができる幸福実現党のみであります。(文責・政務調査会長 黒川白雲) 消費増税は「金の卵を産む鶏を殺す」――増税撤回なくしてデフレ脱却なし 2013.09.05 ◆浜田宏一氏が「消費増税は歳入にマイナス」と表明 増税判断についての有識者会議は「7割賛成」という結果で8月末に終わりました。 しかし現在、内閣官房参与の浜田宏一氏(イェール大名誉教授)や本田悦朗氏(静岡県立大教授)らが急激な3%増税に反対しており、安倍総理は増税の最終判断を10月1日まで引き延ばしています。 浜田宏一氏は、9月4日に都内で行なった講演で、「税率を引き上げても景気が減速して歳入面ではマイナスになる」と指摘。税率引き上げの1年延長か、税率を来年から毎年1%ずつ引き上げる案を改めて主張しました。(9/4 フジサンケイビジネスアイ「『消費増税は歳入にマイナス』浜田内閣官房参与、改めて主張」) 浜田氏は、先日の有識者会合でも、「まだGDPギャップが2%ぐらいは存在するので、設備が余っている。設備が余っているところに投資が大きく生まれるはずがない」と述べています。(8/27 第2回「今後の経済財政動向等についての集中点検会合」議事要旨) 内閣府の発表によれば、本年の4-6月期の時点で日本経済全体の「供給力」と「需要」との差(※マイナスのGDPギャップ)が約1.9%あり、「年換算すると10兆円程度の需要不足となる」とも言われています。(8/22 日経ネット版) 浜田氏の基本的な考え方は、日本がまだデフレから抜け出していない状況での増税は「金の卵を産む鶏を殺すことになる」というものです。 ◆増税の悪影響をどう見るか 8月9日の日経(ネット版)では、14年4月の増税後の実質経済成長率の見通しが、以下のように報道されていました(13年度と比較した場合の実質経済成長率の見通し)。 ・日銀は14年度に1.5%低下を予測(2.8%→1.3%) ・政府は14年度に1.8%低下を予測(2.8%→1%) ・日本経済研究センターがまとめた40人の民間エコノミストの平均値では、14年度に2.26%低下するという見通し。(2.82%→0.56%) 実質経済成長率は、来年の消費税3%増税の後に2%前後下がると見られていますが、97年4月の2%増税の時には、98年度に2.8%(実質)下がりました。 今回の3%増税の悪影響は低めに見積もられていますが、97年にはアジア金融危機にあったにせよ、たった2%の消費増税で2.8%もの実質成長率の低下があったことを決して忘れるべきではありません。 ◆日本はまだデフレから脱却していない 浜田宏一氏が指摘したように、日本経済全体では約1.9%(年換算で10兆円程度)の需要不足があると見られていますし、日本の消費者物価も低い水準にあります。 総務省が発表した7月の「消費者物価指数(生鮮食品を除く)」では2010年の平均値を0.1%上回ったことが、8月30~31日に各紙で報道されていました。 これはデフレ下にあった2010年と同じ水準に物価が戻っただけであり、日本経済がデフレから脱却したわけではありません(元々、2010年の消費者物価指数の平均値は08年の平均値よりも約2%低い)。 そして、諸外国が金融判断の指標として使う消費者物価指数(食品とエネルギーを除く)で見た時には、今の物価水準は2010年の平均値から1.7%ほど下回っています。 甘利明経済財政・再生相は「総合的に勘案するとデフレから脱却しつつある」と発言しました(8/30)が、変動の激しいエネルギー価格と食品を引いた消費者物価指数で見ると、実際は、地を這っていた数値がやっと上がる兆しを見せた程度の状態なのです。 ※消費者物価指数には1%ほど高めに出る傾向があるので、マイナスからプラスになった状況では、本当はデフレ脱却はなされていない。また、原発停止による原油価格や電気料金の上昇が家計と企業を圧迫している現状では、諸外国と同じようにエネルギーと食品を除いた「消費者物価指数」を見ないと、金融緩和がもたらすデフレ脱却の進行状況を適正に判断できない。 ◆米格付け会社のエコノミストも「増税先送り」を推奨 首相の増税判断を前にして、増税派のエコノミストや新聞記者、政治家からは「増税がなされず、財政再建が遅れれば日本政府は国債の信任を失う。外国人投資家による日本売りが始まる」という主張が出されています。 しかし、それとは真逆の見解を持つ海外の金融関係者もいるのではないでしょうか。 例えば、過去の報道を見ると、格付け大手のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)主任グローバル・エコノミストのポール・シェアード氏は、時事通信社の7月23日のインタビューに応え、増税先送りを推奨していました。(シェアード氏は、日本などの格付けそのものには関与していない) 同氏は、消費増税は消費減退につながることから、「来年4月の実施はデフレ脱却に好ましくない」と述べ、デフレ脱却に失敗すれば、日本の株高を主導した外国人投資家が日本市場から引き揚げ、株価急落などで日本経済は「非常に深刻な逆風」に見舞われると警告しています。(7/24 時事「消費増税、先送りを=デフレ脱却に逆行」) こうした「増税の強行によるデフレ脱却の失敗」のリスクについて、増税派は口をつぐむか、過小評価するかのいずれかで済ませています。 しかし、この本当のリスクに真正面から立ち向かう政党こそが日本経済を甦らせるのです。 幸福実現党の訴える消費税増税の撤回こそが、デフレ脱却のために必要なのです。(文責・HS政経塾 遠藤明成) 増税が万能の解決策ではない。増税を回避するミクロ政策の議論を! 2013.09.04 ◆有識者会議で増税にGOサイン? 現在の日本経済に関する最大の問題点の一つが、来年4月に消費税増税が実施されるか否かでしょう。 政府は有識者会議なるものを開き、8月31日に終了。当会議で7割に当たる44名(増税反対派は6名のみ)が予定通り来年4月に消費税8%引き上げに賛成をしたわけです。 加えて、日銀の黒田東彦総裁は、消費税増税が日本経済の成長を妨げないとの見解も示しており、財務省の増税を支持することを表明しています(7月29日 日本経済新聞参照)。 言い換えれば、増税をすることで国債市場の信任が守られること。金融緩和の効果が増税効果を打ち消すので成長を妨げることはないということです。 黒田総裁の見解は、典型的な財務省の主張ですが、同氏が元財務官僚出身であることを考慮すれば、当然の結論であります。 このように、増税包囲網が完成に近づいており、今回の有識者会議が増税へのGOサインになったと言っても過言ではありません。 増税を延期ないし中止させる最後の望みは、浜田宏一名誉教授のような「増税慎重派」の意見と安倍総理が判断する最新の経済指標しかありません。 ◆「合法的強盗」 増税問題が語られる時は、どうしても経済成長や失業率などのマクロ経済政策ばかりが議論をされますが、それ以外のミクロ的側面も触れておきましょう。 日本国憲法第30条では、納税の義務が定められています。私たちの納めた税金は、道路や港湾などのインフラや一般的な行政サービスに使用されます。国家を維持していくための税金は誰もが否定できません。 しかしながら、増税とは、合法的に国民の財産を巻き上げる「合法的略奪行為」だという側面があります。 私案の段階ではありますが、死亡消費税(東京大学の伊藤元重教授発案)や教育目的税(文科相の下村博文氏の私案)などの導入が検討されているなど、新しい税金が今後も増えていくことが予想されます。 既に、国と地方を合わせて70種類近くの税金が日本に存在します(『増税亡国論』参照)。私たち国民は、年金保険料などを含めると、相当の資金を政府に支払っています。 したがって、これ以上の税負担増は、日本国憲法第13条の「幸福追求権」と第29条の「財産権の侵害」に抵触する可能性もゼロではありません。 アメリカ第29代大統領のカルビン・クーリッジは、「必要以上の税を集めるのは合法的強盗である」という名言を残しました。同大統領の言葉を借りるならば、現在の日本政府は「合法的強盗」行為をしていることになります。 本物の強盗が、盗んだものを遊興で使い果たすように、「強盗」政府が増税で得た資金を正しく使用する保証はありません。例えば、復興税が沖縄に流用されていたように、何に使われるかは極めて怪しいと言えましょう。 ◆「税と社会保障の一体改革」に欠けている論点 2012年8月10に可決された消費税増税関連法案には、税と社会保障の一体改革が盛り込まれていました。基本的には、所得税や相続税の最高税率引き上げ、地球温暖化対策税などが盛り込まれているため、「増税ラッシュ法案」と見て間違いありません。 社会保障などの人命に関わる領域であるため、莫大な税金を使用するのが当たり前と思われています。毎年、社会保障費は一般会計予算で30兆円近く支出されており、年当たり1兆円を超えるペースで増加するとも言われていますが、ここにはカラクリがあります。 社会保障は社会保険方式と呼ばれ、本来ならば社会保険料で運営されなければなりません。年金、医療、介護はほぼ全てそうです。 しかしながら、日本では保険料収入は約7兆円に対して実際の支出は約27兆円です。つまり、不足分は税金が投入されているわけです(拙著『日本経済再建宣言』参照)。 したがって、社会保障のリストラが必要なのです。専門的には、「選択と集中」と呼ばれています。 政策パッケージとしては、保険料の引き上げ(厚生年金の保険料は引き上げられた)と拠出額の引き下げ、年金支給年齢の引き上げなどを上手に組み合わせることです。 最後の論点は、幸福実現党が主張している「生涯現役構想」そのものです。 さらに言えば、社会保障分野は、現役世代が納めた保険料をもとに、リタイア世代に拠出される賦課方式から積立方式(将来の年金給付に必要な原資を保険料で積み立てていく方式)への移行も検討課題として入れるべきでしょう。 ただ、どれも政治的に難しい課題を抱えているために、短期政権では着手できるものではないことも事実です。 要するに、増税が万能の解決策ではなく、上記の政策を上手に組み合わせて増税を回避することができるということです。 日本国憲法には、主権は国民にあると書いてあります。言い換えれば、課税権を乱用する政府を牽制できるのは、納税者である国民側にあるということを思い出すべきです。 したがって、消費税増税の反対署名や地元政治家への陳情は、消費税増税を止める最後の希望となるのです。幸福実現党は、最後まで消費税増税中止を諦めません!(文責・静岡県本部幹事長 中野 雄太) 消費増税中止を求める署名にご協力を!⇒http://info.hr-party.jp/2013/1971/ 「集団的自衛権」はなぜ重要か?(1) 2013.09.03 ◆集団的自衛権の見直しが始まった 安倍首相と石破幹事長が会談し、石破氏は、集団的自衛権の行使を巡る憲法解釈の見直しについて、今週中にも党の幹部の間で論点整理を始める考えを示しました。(9/3 NHK「自民 集団的自衛権で論点整理」) また、小野寺防衛相は3日の閣議後の記者会見で、米国のヘーゲル国防長官と会談した際、「集団的自衛権行使容認」に向けた日本政府の検討に理解を求めたことを明らかにしました。(9/3 日経「防衛相『集団的自衛権検討に理解を』米長官に求める」) 安部政権は「集団的自衛権」の行使容認に向けて、いよいよ動き始めました。早ければ、今秋の臨時国会で容認を表明する検討に入っています。 この動きは大いに歓迎すべきで、是非とも実現すべきです。しかし、「集団的自衛権の行使容認」に向けた一連の活動を阻止しようとする左翼勢力も勢いを増しています。 このような中、左翼や中国の横槍に屈せず、改めて「『集団的自衛権』とは一体何か」「左翼の批判は的を得ているのか」「この見直しで何が変わるのか」等について、シリーズで考えてみたいと思います。 ◆「集団的自衛権」とは何か 集団的自衛権とは、国連憲章第51条で、加盟国に明確に認められている自衛権のひとつです。 ※【国連憲章第51条】この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。 「集団的自衛権」とは具体的には、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力を持って阻止する権利」のことです。 例えば、尖閣諸島で有事が発生し、日米共同で尖閣防衛を行う際に、中国が米軍を攻撃したら、自衛隊が米軍を守ることができる権利です。 ある意味、当然のことであり、国際法上、「集団的自衛権」を保有していることは当然に認められています。 ◆政府の摩訶不思議な憲法解釈 しかし、「集団的自衛権」に関する政府の公式見解は、「我が国が、国際法上、このような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然であるが、憲法第九条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであつて、憲法上許されないと考えている。」というものです。(昭和56年5月29日「憲法、国際法と集団的自衛権」に関する質問に対する答弁書) 政府は「集団的自衛権」について、「権利は保持しているが、行使できない」「保有すれども行使せず」という憲法解釈に固執し続けてきました。 これは例えば、「近くで家族や友人が強盗に襲われているのに、助ける権利は持っているが、助ける行動を起こしてはいけない」と言っているような理不尽な内容です。 したがって、現在の法解釈では、アメリカの軍艦に飛んできたミサイルは撃ち落とすことはできません。 本当に、このような状態で「日米同盟」を維持していくことができるのでしょうか? ◆米軍が自動的に日本を守ることは定められていない 中には、「日本の防衛は、米軍に任せて日本は何もしなくてもいいのだ」という方がいます。 しかしこれは暴論です。日米の防衛協力行動の指針に、「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」というものがあります。 ガイドラインの「IV 日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」には、「自衛隊は、主として日本の領域及びその周辺海空域において防勢作戦を行い、米軍は、自衛隊の行う作戦を支援する。」と定められています。 すなわち、諸外国からの日本に対する武力攻撃に対しては、自衛隊が主体となって防衛し、米国がこれを補完・支援することになっているのです。 まず、自衛隊が主力となって戦い、次に、米軍が極力、速やかに到着して、自衛隊の作戦を支援するということです。 あくまでも、「日本の能力を超えた部分において、米軍が支援する」というのが米軍の役割です。 しかも、これは「指針」であって、米軍の義務ではありません。つまり「必ず助けてくれる」と言う確約ではありません。これは、日米安保のもろさを示している一例です。 ◆なぜ「集団的自衛権」が重要か? 日本が侵略を受けた際、自衛隊がまず出動し、次に米軍がやって来て共同で防衛することになります。 しかし、その時に、米軍が敵から攻撃されたとして、その時に、自衛隊が米軍を護る援助ができなければどうでしょうか? 第一に、間違いなく、日米関係にヒビが入ります。 日本の「集団的自衛権」の複雑な事情など、アメリカの国民のほとんどは知りません。 米国民が「日本は米軍を見捨てた」と騒げば、それだけで日米同盟は破たんの危機に瀕します。 日米同盟が崩壊すれば、日本単独の防衛力では、中国や北朝鮮の脅威から日本を守ることは極めて難しいのが現状です。 第二に、「集団的自衛権」は「日本の防衛のために不可欠」だということです。 日本の防衛は、そもそも米軍と協力して行う事を前提にしている以上、米軍に降りかかる火の粉を追い払うことを、他人の問題と切り捨てるわけにはいかないからです。 「集団的自衛権」行使に反対の方が、「我が国は、日本を護るための必要最小限度の防衛しか認められていないから、米軍まで護るという集団的自衛権は憲法違反である」という言い方をします。 しかし、自衛隊に足りない防衛能力を補おうとして米軍は支援してくれるのですから、米軍の存在は「日本防衛の一部」であることは明白です。 したがって、「集団的自衛権」は、憲法9条の「わが国を防衛するための必要最小限度の範囲に入る」と解釈し、行使を容認すべきと考えます。(文責・岐阜県本部副代表 河田成治) シリア問題にみる、米国の影響力低下と、ロシア外交の重要性 2013.09.02 ◆シリアへの軍事介入に見る米英のきしみ 8月27日、ブルネイで米国のヘーゲル国防長官がシリアへの軍事介入について、「われわれの準備は整っている」と述べ、早ければ29日にもミサイル攻撃がなされる可能性が報道されました。 シリアへの軍事攻撃開始は「秒読み段階」と見られ、日本でもマスコミ報道が活発化して来ました。 しかし、軍事行動を共にするとみられていたイギリスでは、8月29日、軍事介入についての是非を議会に諮ったところ、反対が多数となり、キャメロン首相が「国民の意見を反映した議会が、英国の軍事行動を望まないことは明らかだ。政府はこれに従って行動する」と述べ、軍事介入不参加を表明しました。(8/30 朝日夕刊) これに対して、オバマ米大統領が8月31日に軍事介入を決断したことを発表しましたが、これに先立ち、フランスのオランド大統領とは電話会談を行ったのに対して、英国のキャメロン首相は事前に連絡を受けていなかったと言われています。 また、英国キャメロン首相は議会の同意がなくても介入を決断することも可能だっただけに、オバマ大統領とキャメロン首相の信頼関係にも疑問符が残ります。 そもそも、「キャメロン首相は本気で軍事介入に参加する気があったのだろうか」という疑問の残るところであります。 ◆オバマ大統領のシリア攻撃先送りへの批判 しかし、オバマ大統領は8月31日に突如、「軍事介入について決断した」と述べると同時に「議会の承認を求める考え」を示しました。 軍事行動を共にするとみられていたイギリスが不参加を表明し、ロシアが強硬に軍事介入に反対する中、これまで「化学兵器の使用は許さない」と言い続けたオバマ大統領としては、米国のプレゼンス維持のためにも「軍事介入の決断はせざるを得ない」と考えたものと思われます。 しかし、イギリスと同様、軍事介入を行うためには、本来は議会の承認は必要ありませんが、オバマ大統領は、米国世論の半数が軍事介入に反対する中、「議会の承認による後押し」が必要だと考えたのでしょう。 また、化学兵器使用疑惑について調査した国連調査団の報告書が約2週間後に作成される見通しであり、9月5~6日にG20首脳会合がロシアで開催されることもあり、ロシア説得のための時間稼ぎが必要だと考えたのかもしれません。 ロシアは地中海に展開する艦艇を増強する見通しや、情報収集艦1隻を地中海に派遣した事が明らかになるなど、欧米への圧力を強めており、これは米国などに対して非常に大きな「抑止力」になっているものと思われます。 ロシアはシリアのアサド政権に対して対空ミサイルの輸出が指摘されているように、シリアの防空システムの能力向上はロシアの支援で行われてきており、アサド政権とロシアは友好関係にあるため、簡単にアサド政権転覆を許すとは考えられません。 このオバマ大統領の姿勢に対して、1日付シリア政府系紙アッサウラが「米国の歴史的後退の始まりと、世界の指導的立場からの撤退」を意味すると論評するなど、今回のオバマ大統領の決断が、今後の米国の影響力低下を決定的なものにしてしまうかもしれません。(9/1 産経「『米国の歴史的後退』シリア政府系紙が論評」) 米国内でも、オバマ氏の攻撃先送りの決断に対し、共和党のキング下院議員が「軍最高司令官としての責任放棄だ」と非難。民主党関係者も「大統領がこんなにふらふらしてはならない」と述べるなど、非難が高まっています。(9/2 共同「米、シリア攻撃先送り 土壇場の迷走 重圧感じたオバマ氏」) ◆米国の影響力低下を見据えた外交・国防の再構築を! 今後、日本としては、外交・国防を考える上で、オバマ大統領の姿勢と、ロシアの影響力については非常に参考になる事例になると考えられます。 今後、いかなる推移をたどるかは不明ですが、仮に米国議会の承認が得られず、オバマ大統領が軍事介入を断念するような事態になれば、「化学兵器を使用したアサド政権に対しても軍事介入を決断できなかった」ことになり、これはイランや北朝鮮、さらには中国に対するアメリカの「抑止力低下」を意味します。 そもそも、シリアに対しては限定的で短期間のミサイル攻撃が行われるものと見られ、アサド政権を終わらせるための軍事介入は否定されてきました。 これに対して、マケイン米上院議員らが「戦闘の流れを変え、アサド大統領を権力の座から降ろし、この紛争を終わらせるべきだ」という内容の声明を発表し、オバマ大統領の戦略が不十分だと指摘されてきました。 このように、オバマ大統領の「決断力」には非常に大きな懸念を感じざるを得ない状況の中、日本は独自の抑止力強化を急ぐべきです。 また今後、対北朝鮮や、対中国防衛を強化していくにあたり、ロシアが日米の側につくか、それとも中国や北朝鮮と連携するかは、戦略的に非常に大きな影響を及ぼします。 少なくとも「ロシアが日本や米国の敵にはならない」という状況を作っておかなければ、現在のシリア情勢を見る限り、「米国が日本を護ることをためらう」という状況になることが容易に予測されます。 日露外交を活発化し、日露友好を進めていくべきだと考えます。 今後のシリア情勢については、日本の安全保障を考える上でも重要であると考えますが、サリンなどの猛毒の化学兵器などでシリア国民の方々が苦しむ姿が連日報道されております。 一刻も早く、国際社会が団結し、事態が打開されることを願うばかりですが、日本としても、もう一段高い気概を持ち、「地球的正義とは何か」を考え、行動できる国へと成長しなければなりません。(文責・HS政経塾第二期生曽我周作) 進撃の帝国――中国の「戦略的辺疆論」の正体 2013.09.01 ◆「国境」と「辺疆」の違い 世界の国々には、国の境目に「国境線」という概念があります。 しかし、中国はそうした国際ルールを無視した「辺疆」(へんきょう)という概念があります。 「国境」は「境界線(border line)」ですが、中国の「辺疆」は「面(border area)」を意味します。 つまり、国防上、中央から遠く離れた「辺疆」(エリア)を中国の傘下、影響下におくことで、外敵から中央を守る。――これが中華帝国時代から続いて来た伝統的な考え方なのです。 また、「辺疆」の考え方には、国家としての総合力(政治力・経済力・軍事力)が強ければ、どこまでも拡大できるという意味があります。 すなわち、中国のパワーが強大になれば、影響を拡大して「辺疆」を自国の傘下に組み入れても良いと考えているのです。 ですから、中国は自由に国境線を越えて自国のパワーを拡大し、どんどん他国の領土に踏み込んで来ています。 モンゴル自治区、チベット自治区、新疆ウイグル自治区(「新疆」とは、新たに手に入れた「辺疆」という意味)も、この「辺疆」の考え方に基づいて中国のパワーがその地域を支配した結果です。 元防衛研究所研究室長の平松茂雄氏は「毛沢東の中国は、『グレーゾーン』である『辺疆』に居住する非漢民族の地域までも新中国の領土に組み入れて、かつての『中華世界』を再興する意図を建国当時から持っていた」と指摘しています。(平松茂雄著『中国は日本を併合する』講談社インターナショナル) この「辺疆」を海に展開させると、尖閣諸島で起きているように大量の公船を投入し、支配海域を拡張させる行為に繋がっていくのです。 ◆「戦略的辺疆論」とは何か 「辺疆」を現代戦争の戦略として進化させたものが「戦略的辺疆論」です。 これは1987年、三略研究院高級顧問の少将・徐光裕が中国軍機関誌に発表したものです。 「戦略的辺疆論」に基づいて、陸ではなく海に展開したのが下記の「海軍発展戦略」です。 【第一段階】2000~10年:「第一列島線」(鹿児島~沖縄~尖閣諸島~台湾~フィリピン~ボルネオを結ぶ線)の内部の制海権確保。つまり「南シナ海、東シナ海」を支配する。 【第二段階】2010~20年:「第二列島線」(伊豆諸島~小笠原諸島~グアム・サイパン~パプアニューギニアを結ぶ線)の内部の制海権確保。つまり「西太平洋」を支配する。 【第三段階】2020~40年:太平洋、インド洋で米軍と制海権を競う。つまり、南シナ海、東シナ海、そして西太平洋を段階的に「中国の海」にしていく戦略です。 現在、【第二段階】の西太平洋の支配の段階に入っています。 中国は2008年より、西太平洋上の沖ノ鳥島周辺海域で海軍の軍演習を行いましたが、その回数は年々増え、中国は今後、同海域での軍事演習を定例化すると発表しています。 こうして中国は、日本を含めた西太平洋を新たな「辺疆」にしようとしているのです。 こうした戦略を実現するために、数年内に西太平洋で中国空母艦隊の軍事演習が行われることは間違いありません。 これまで中国海軍の西太平洋進出は空母艦隊の陣形を取っていることから容易に予測できます。 ◆「中国艦艇の日本一周航海」の意味 先日のHRPニュースファイル「中国艦艇が日本一周航海――中国海軍の太平洋侵出と日本列島の危機」の中で、7月に中国の海軍艦艇が日本を一周する形で航行したことをお伝え致しました。⇒http://hrp-newsfile.jp/2013/888/ 6月の米中首脳会談で習近平は、オバマ米大統領に「太平洋には米中両大国を受け入れる十分な空間がある」と語りましたが、これは「中国とアメリカとで太平洋を分割して支配しよう」とアメリカに提案した形です。 その行動の手始めとして、中国艦艇が日本一周航海をすることによって、「尖閣・沖縄のみならず、太平洋側を含む日本列島は既に中国の支配ターゲットに入っている」ことを意思表示したわけです。 日本は、これまでも沖縄近海を航行し、西太平洋・沖ノ鳥島海域で行われた中国海軍の軍事演習を「公海上であり、問題がない」として、全く抗議すらしていません。 しかし、中国の「戦略的辺疆論」を知れば、日本が抗議しなければ、日本は暗黙の内に、中国の「辺疆」に組み入れられることを了承したと受け取られかねません。 日本の独立と尊厳を守り抜くためにも、安倍政権は中国の太平洋侵出に抗議すべきです。(文責・政務調査会 佐々木勝浩) 北極海航路開拓への挑戦と北の守りの強化を! 2013.08.31 ◆新たなるフロンティア、北極海航路 北極海の夏季の氷が年々薄くなっています。 アメリカ連邦政府は3~5年後の夏季には、北極海が全く氷結しなくなる可能性があるという予測をしてます。 現在は、北極海航路が利用できるのは7月から10月までの4ヶ月前後というのが定説ですが、古い氷が積み重なった多年氷に代わり、砕きやすい一年氷が増えれば、通年の航行も可能となるとも言われています。 これにより、アジアとヨーロッパを結ぶ最短ルートが注目を集めています。 こうした地政学的変化を受け、各国はロシア沿岸の北極海を横断する「北極海航路」の重要性を位置づけ直し、新たな戦略を作成しています。 ロシアのプーチン大統領は、北極海航路をスエズ運河に比肩する世界の大動脈に発展させる方針を示し、インフラ整備に力を入れるよう、2年前から関係当局に発破をかけています。 さらに、ロシアは原子力潜水艦の建造を急いでいます。北極海の海上アクセスを活用したロシアの北方艦隊強化の動きに警戒が必要です。 また、アメリカは「融氷した北極海における海軍作戦」の立案を急いでいるようです。 ◆日本にとっても重要な北極海航路 8月16日、ナフサ(粗製ガソリン)を積んでノルウェーを出発したタンカーが水島コンビナート(岡山県)に到着しました。実際にナフサタンカーが北極海を航海したのは初めてのことです。 スエズ運河を通る南回り航路では40日かかるところ北極海航路では25日程度で、日程を4割短縮しました。 運航コストにおいて砕氷船のチャーター料金は発生しますが、「スエズ運河の通航料や海賊対策の武装コストと変わらない」(旭化成ケミカルズ)とし、運航日数が短い分、2割程度安くなっています。(8/16 日経「北極海航路資源に『近道』旭化成など、北欧からナフサ 機動的調達可能に」) 現在使われている南回り航路には、不安定要素が数多く存在します。 ソマリア沖の海賊問題をはじめ、エネルギー輸入の大部分を頼る中東の不安定な政治情勢、中国の覇権拡張主義に脅かされる南シナ海、併合へのカウントダウンが始まろうとしている台湾近海などです。 ただ、日本は現在、原発を再稼働できないことから、石油や液化天然ガスなどほぼ全てのエネルギーをタンカーで輸入せざるをえません。 中国によるシーレーン封鎖などに対するリスク分散として、北極海航路の更なる活用は当然であり、ナフサのほか、液化天然ガス輸入も検討されています。 国としては国交省が昨年8月に北極航路の利用に向けた検討会を立ち上げましたが、諸外国と比べてあまりに後れを取っている状態です。 ◆東シナ海、南シナ海に続いて北極海を狙う中国 特に中国は、自国が「北極に近い国」であると称し、北極海での権益確保にかなり積極的に乗り出しています。 北極評議会(米・露・カナダ・デンマーク・ノルウェー・アイスランド・フィンランド・スウェーデンの北極圏に関して直接的な利害を得るとされている8カ国で構成)がOKを出した会議にしか参加できないアド・ホック・オブザーバーの立場であった中国は、オブザーバーの地位を狙って外交を展開。 例えば今年4月アイスランドとFTAを締結し、自国への輸出を前年の40%以上増加させ、友好国を増やす外交を展開。 その結果、今年5月に行われた北極評議会の会合で、カナダやロシアの強い反対にもかかわらず、中国は閣僚級会議以外のすべての会議に参加できるオブザーバーの地位を得ました(日本、韓国も同様)。 現在は、世界最大の砕氷観測船「雲龍」を保有。過去5回にわたり北極観測航海を行っている他、新たな砕氷観測船を建造中です。 また、ノルウェーに観測所を設けており、アイスランドにもオーロラ観測基地をつくる計画があり、相当の先行投資を行っています。 東シナ海、南シナ海に続き、世界の未発見のガスが30%、原油が13%眠るとされる北極海を手に入れるため、着々と計画を進めているのです。 ◆今後、熱くなる北極海航路に伴う守りを十分にせよ 一方で日本には中国、韓国が持っている砕氷船すらまだありません。今後は、砕氷船の建造・取得と共に、北極海航行用船舶の整備や専門技術を持つ船員の育成の課題なども出てきます。 また、北極海航路の利用が増えるにしたがって必要となるハブ港に、中国の大連港や韓国の釜山港が名乗りを上げていますが、本来であれば、北東アジアで一番北極海航路に近い位置の日本の苫小牧港がその役割を果たすべきです。 更には「北のシーレーン」防衛の問題が発生します。中国は20年には海上貨物の最大15%を北極海経由にする計画を持つとされています。 今年7月、中国海軍の艦艇5隻が宗谷海峡を通過したのが初めて確認されましたが、宗谷海峡は中国が海運拠点として有望視する北朝鮮の豆満江(とまんこう)から北極海に向かう「北のシーレーン」上にあります。 「北極海航路の重要性が増すにつれ、日本北方海域での各国海軍の動きはますます活発になる」と日本の防衛省関係者は指摘しています。(8/28 日経「『航路の利用進む北極海』=軍事機密、共通海図阻む=」) 中国は今後日本の宗谷海峡、加えて北極海への最短ルートである津軽海峡を頻繁に通過するようになるでしょう。津軽海峡の真ん中は、現在、公海となっています。 公海を通行しても日本が何もしてこないということを知っている中国が、この海峡を重要かつ脆弱なポイントとして認識していることは明らかです。 日本は今後、これら公海を含む海峡の定義の見直しと管理を強化し、中国を牽制しつつ国防を強化すると共に、新たなフロンティアである北極海航路開拓に向けて、積極的に打って出る必要があります。(文責・湊 侑子) 財務省の「つぶれるつぶれる」詐欺 2013.08.30 ◆財務省の脅し――増税しなければ、株価・国債大暴落? 麻生財務相は30日の記者会見で「消費増税を見送れば、日本は財政再建を先送りしたとして株価や国債価格が下落する可能性がある」と懸念を表明しました。(8/30 ロイター「消費増税見送り、財政再建先送りと取られかねず=財務相」) 麻生財務相は「消費増税をしなかった場合、日本は財政再建をする気はないと取られて、株を一斉に売り浴びせられる」「国債が下がることも考えられる」と語り、消費増税しなければ「財政破たんリスク」が高まり、株価や国債が暴落する危険性があると警告しました。(同上) この「消費増税しなければ、財政破たんを懸念する海外投資家が株や国債を売り浴びせ、暴落する」というのは「悲願の消費増税」を強行しようとする財務省の常套句です。 財務官僚は、政治家やマスコミが「財政破たん」や「国債暴落」といった“脅し文句”に弱いことを熟知しているのです。 ◆財務省の「つぶれるつぶれる」詐欺 このことについて、産経新聞社特別記者・編集委員兼論説委員の田村秀男氏は、「オオカミが羊を襲いに来たぞ~!」と大声で脅す「オオカミ少年」に喩えて、財務省「オオカミ少年」論を展開しています。(田村秀男著『財務省「オオカミ少年」論』産経新聞出版) 田村氏は同著で「『増税しなければ財政破綻』は真っ赤なウソ」「経済というものは『財源がないから増税する』といった単純な“北風の論理”だけではうまくいくようにできていない。」 「経済は生き物である。増税すればその分、人々はおカネを使わなくなり、日本の産業は衰退し、企業業績は落ち込み、従業員の給料も減って、いくら増税しようが税収自体が減ってしまう」と批判しています。 そして、「税収自体を増やすために何をすべきかは明々白々である。景気をよくするしかない」「政府が税収を上げる最も効果的な方法は増税などではなく、景気を浮揚させ、名目GDPを増やすことである」と結論付けています。 田村氏の主張は、まさしく幸福実現党が立党以来、主張し続けて来た「消費増税すれば、景気が悪くなって税収が減る」「増税ではなく、経済成長を!」という経済政策と軌を一にするものであります。 ◆景気が良くなって税収が増えている! 実際、2012年度の国の税収は43兆9314億円となり、アベノミクス効果によって、見積もり額より1兆3244億円も上回りました。(7/3 産経「12年度の税収1.3兆円上ぶれ アベノミクスで法人税収増」) 税収が上ぶれた理由は、アベノミクスに伴う円安によって企業業績が改善し、法人税収が増加したことや、株高によって、所得税収が増えたこと等によります。 事実上、2012年度内で「アベノミクス効果」が影響したのは、第4四半期(2013年1~3月)の3ヶ月間のみです。年間に置き換えれば、単純計算で税収が5兆円も上ぶれる計算です。 名目GDPの伸びで税収がどれだけ増えるかを示す値として「税収弾力値」というものがあります。 元大蔵官僚で、嘉悦大学教授の高橋洋一氏は「直近の10年間の税制改正なしの税収弾性値は3.13である」と算出しています。(8/19 現代ビジネス「消費税増税の前に政府が抱える巨額な金融資産と天下り先特殊法人を処分すべきだ」) すなわち、名目GDP成長率3%を達成できれば、税収は3.13倍の9.4%、約4兆円増えると試算できます。3%成長が3年間続けば、今よりも税収は約12兆円増えます。 消費税を10%に増税すると、消費税収は約10兆円増えると見積もられていますが、消費増税せずに、3%成長を3年間、堅持した方が税収がはるかに多くなるのです。 前出の田村氏は「税収が減る恐れのある消費増税よりも、名目成長率を引き上げるアベノミクスを徹底することのほうが、財政再建見通しを確かにする」と述べています。(田村秀男著『アベノミクスを殺す消費増税』飛鳥新社) 幸福実現党は、豊かで強い日本を築くべく、増税ではなく、経済成長により、財政再建を実現して参ります。(文責・政務調査会長 黒川 白雲) 参考:「ストップ!消費増税」特設ホームページ⇒http://special.hr-party.jp/stop-tax-hike/ すべてを表示する « Previous 1 … 177 178 179 180 181 … 253 Next »