Home/ 新着一覧 新着一覧 中韓の情報戦に対抗するために 2014.05.14 文/HS政経塾2期生 服部まさみ ◆米国首都圏で起こっている慰安婦像“設置ラッシュ” 米国で韓国系団体などが、新たにワシントンDC近郊(バージニア州北部が有力)に「慰安婦」碑を、ミシガン州(8月に除幕式)に「慰安婦」像を設置する計画が明らかになりました。(5月5日付産経新聞) 米国ではカリフォルニア州、ニュージャージー州、ニューヨーク州にすでに「慰安婦」像、「慰安婦」碑が設置されています。新たに、ワシントンDC近郊、ミシガン州に設置されれば、合計6基の慰安婦像や碑が米国に存在することになります。 韓国系団体のバックには中国の強力な支援があるといわれています。中韓が仕掛ける米国での“設置ラッシュ”をいかに阻止するか、日本の対応が改めて問われているのです。 ◆中韓の「情報戦」の強み 歴史認識や尖閣諸島、竹島の問題で中国と韓国が真実を捻じ曲げたプロパガンダを世界中に広めていますが、中韓の「情報戦」の強みとその特徴は、官民一体となったいくつもの層を持っていることにあります。また、国家戦略を達成するために、長期的な戦略で攻めてきます。 例えば、米国に対しても、政府の指令を受けた民間団体や(民間といっても中韓の場合、政府と非常に強いつながりがあるが)個人などが票やお金を武器にホワイトハウスや議会など政治の中枢、司法、シンクタンクや大学、大手メディアなどの各層ごとに徹底的なロビー活動を行ないます。 注目すべきところは、それぞれの層の有力な人物にターゲットを明確に絞ってくることにあります。 例えば、従軍慰安婦問題で、2007年に日本を非難する決議案を可決するように動いたマイク・ホンダという下院議員がいますが、この人物に対しても、まだ下積み時代から中国は目を付けて、「抗日連合会」という反日団体を使って動かしていました。 ◆中国のしたたかな手口 特に、中国は昨今、政治家だけでなく、海外メディアやシンクタンクを通じて情報戦を繰り広げています。有識者層の論調は各国の政策決定に直接影響力をもつとともに、世論を一定の方向に誘導する力を持っています。 そのため、中国は莫大な資金を使って欧米のシンクタンクや有識者に働きかけているのです。 海外の研究者やジャーナリストを中国に招待し、豪華な食事や贅沢な中国旅行、美しい女性でこれでもかというほどもてなします。そこで“おいしい”思いをしたジャーナリストや研究者は中国の悪口を書けなくなるという構図が出来上がってしまっているのです。 さらに、中国が徹底しているところは、現地の人をうまく使って、「中国色」を薄めることです。 例えば、中国の国際放送の内容は、北京政府から派遣された幹部が決めるので、プロパガンダと分かるのですが、それを放送するキャスターに元BBC、FOXニュース、CNNの売れっ子を引き抜いて使ったりするのです。 米国のトップ・ジャーナリストを引き抜いて雇い入れることは、米国世論に影響を与える層の中に中国の味方をつくりやすくしています。 また、一般の視聴者にとっても親しみがわきやすく、嘘のプロパガンダだとしても、あまりなじみのない国際問題であれば中国政府の主張をいつのまにか事実として受け入れてしまう可能性が高いのです。 中国政府が国際放送に充てている予算は、2700億円~6100億円以上ともいわれており、米国の580億円、イギリスの322億円、日本の130億円と比較しても圧倒的な違いがあります。 ◆日本は官民の連携強化を それでは、このような中韓のしかける情報戦に対して、日本はどのような対応をしていけばよいのでしょうか。 安倍政権は、中韓が仕掛ける情報戦に対抗するため、「広報の強化」に平成26年度予算を25年度の44億円から65億円に大幅に増額しました。また、官邸内の国際広報室、外務省内の広報文化外交戦略課には一級の人材が投入されました。 しかし、ほとんど中韓の情報戦に追いつかないのが現状です。中国は一党独裁なので、人もお金も政府の思い通りに動かすことができます。 日本のような民主主義が成熟した国家では、政府がどれだけ情報やイメージをコントロールしようとしてももはやできない状況にありますし、プロパガンダ的なものを使うことで相手国の国民の印象を悪くし、信頼を失うというリスクがあります。 政府自身の発信も強化されるべきですが、重要なのは、民間をベースとして、研究者や有識者、NPO、NGOなどが正論を国内外にはっきりと発信し、世論を盛り上げていくことで、政府が動きやすい環境をつくることです。 日本の大学やシンクタンクといった非政府機関からの客観的な発信が必要であり、政府としてその発信を最大限に活用することが重要です。 また、外国の有識者やジャーナリストを日本に招待し、自由に研究や取材ができる環境を増やすことが先決です。元々、親日的な人たちはもちろんのこと、特に、反日的な感情をもっている人たちに等身大の日本を知ってもらうことが重要です。 ◆日本は今、世界のリーダー国家として真実を語る時 しかし、問題なのが等身大の日本の中には、「自虐史観」というくせものがいます。日本に来た有識者やジャーナリストが自虐史観のもとになっている、間違った歴史観を吸収し、自分の国で広げられてしまったら意味がありません。 また、日本近現代史の分野では、自虐史観を批判する教授は、大学で職を得ることができず、学術誌に論文が載せられないのが現状です。そのため、間違った歴史認識をつくり出している「論拠」を見直し、正しいものに変えていかなければなりません。 さらに、英語での発信や、海外の有識者の研究や記事の情報源になるものがきちんと英語に翻訳されている必要があります。 政府として、歴史問題の有識者会議や委員会を立ち上げ慰安婦問題の調査や検証を率先して行なうことが先決であり、国の未来のために良い研究をしている機関への財政面での支援を積極的に行なうことが重要です。 ジョン・F・ケネディ大統領の下、米国広報・文化交流庁の長官を務めたエドワード・R・マローは、次のような言葉を残しています。「説得力をもつためには、信憑性がなければならない。信憑性を持つためには、信頼性がなければならない。信頼性を持つためには、真実を語らなければならない」。 日本は今、世界のリーダー国家としての信頼を得るために真実を語るべき時がきているのではないでしょうか。 変わりつつある香港の自由~アジアの平和を守れ~ 2014.05.13 文/HS政経塾1期生 兵庫県本部副代表 湊 侑子 ◆香港の自由は本物か 1997年にイギリスから中国に香港が返還されてから、今年で18年目。 「返還後、50年間は資本主義制度を変更しない」という一国二制度の下に、香港特別行政区の設置と高度な自治権による経済の自由を謳歌しているように見える香港。 香港の不動産王と呼ばれ、香港ボンド・グループ総帥のアンソン・チャン氏は2006年「The Liberty」の取材に対して、「香港と中国は一体化している」「自社の中国本土への投資は10年前の数億ドルの10倍に増えている」「北京政府に反対することは賢明ではない」と答えていました。(The Liberty 2006.6 「民主派は香港経済を脅かしている」) 規制の少なさとスピード感、安い税金を売り物にして、中国返還後も多くの投資を集めて来た香港と、中国大陸に大きな投資をしてきた香港企業ですが、ここにきて自由と発展に影が差し始めています。 アジアの大富豪で香港の有力企業家である李嘉誠氏は上海のオフィスビルを1163億円で売却するなどして、中国大陸の資産を次々と処分し、「中国から逃げ出す」動きをしています。 この理由に関して、時事評論家は「香港特別行政府および中国共産党政権への失望」、また李氏本人は「香港は『人治』になってはいけない」と政府への不満を示唆しています。(大紀元日本 12月16日) つまり、今まで存在していた経済における自由がここにきて制限され始めているのです。 更に、明らかなる自由の制限が始まっています。それが言論の自由への圧迫です。 ◆ジャーナリスト問題 今年2月、民主派のTV局の新規免許申請を拒否した香港行政政府を批判した「明報」の編集長劉進図氏は編集長の職を追われた上に、暴漢に肉切り包丁で襲われて重傷を負いました。 この後の編集長は、中国政府寄りの人物がついています。香港メディアによれば、劉氏を襲ったのはマフィア組織の構成員で、一人約1300万円の報酬で雇われていたことが明らかになりました。(2014.3.21 AFP通信) また、日刊紙「香港晨報」の幹部2人は覆面の男4人組に鉄パイプで襲われました。 同紙は、中国本土の干渉を受けないために、発行資金を地元で集めると声明を発表していました。また、「香港の人々を代弁するために力を尽くす」「今の香港には、バランスのとれた信頼性の高い新聞が必要」と宣言していたのです。 行政長官が中国寄りでなければ立候補できないことを見てもわかりますが、普通選挙が行われない香港において、実際に自由を守っているのは政治家ではなくジャーナリストであるとの意見があります。 香港におけるジャーナリストの発言は、日本のものとは比べられないほど重いのです。その彼らの言論が抹殺されたという事実は、社会に大きな衝撃を与えました。これが中国共産党から香港市民への明確なメッセージなのです。 ◆6月4日 天安門記念日に向けて 今年は天安門事件から25年目です。 民主派の有志が記念館建設を目指して募金を集め始めたところ、市民から約1億3千万円(976万香港ドル)が集まりました。これらの寄付により、4月26日に天安門事件記念館(64紀念館)がオープンしています。 場所は、香港市内の繁華街にあるビルの5階。香港にあるこの記念館が、中国統治下での唯一の記念館です。 しかし、このビルのオーナーが記念館の開設に反対して訴訟を起こす動きを見せたり、開館に反対する抗議活動がみられたりと、圧力が多いのです。もちろん中国共産党政府からの圧力です。結局、記念館は6月10日までの期間限定開催となりました。 自由の象徴ともいえる法輪功の活動も、最近香港ではあまり見られないと地元住民は証言しています。法輪功をなくすための組織が作られ、法輪功狩りが始まっているからです。 香港の自由は、中国共産党によって徐々に、しかし明らかに狭まっています。 いま、香港では6月4日の天安門記念日に向けて、自由を求める活動は活発になっています。 一説によれば、香港を自由にさせておくのは、台湾を一国二制度にもっていくためであるということですが、そうであるならば、香港―台湾―日本の安全保障は一体でなければなりません。 南シナ海においても、中国の横暴さは目に余るものがあります。国内問題だけに目を向けておけばよい時代は既に過ぎ去りました。 私たち日本人は、広い視野と未来を見通す目を持ち、世界の平和のため、まずはアジアの平和に責任を持つべき時代に入ったことを知らなければなりません。 MICE誘致で日本に更なる発展を! 2014.05.12 文/HS政経塾第4期生 窪田真人 ◆MICE(マイス)とはなにか? 皆様、MICEという言葉はご存知でしょうか。 MICEとは「Meeting(企業等の会議)」、「Incentive Travel(報奨・研修旅行)」、「Convention(国際会議)」、「Exhibition/Event(展示会・見本市)」の頭文字を集めたもので、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントの総称を指します。 一般の観光とは異なり、MICEはグローバル企業や学術系の団体の関係者が世界各地から訪れる為、大型団体による長期滞在に繋がり易く、コンベンション施設や展示ホール、ホテルなどの宿泊関連施設、周辺の観光施設や交通機関など広範囲において、多大な経済効果をもたらす点に特徴があります。 2009年の観光庁の調査によるとMICEの先進国である米国では、その経済効果はGDPの約3%に匹敵する規模(約46兆円)だと言われている程です。 さらにMICEはプロモーション効果が高く開催周辺地域が活性化、国際化するというメリットがあります。 実際に2008年に開催された北海道洞爺湖サミットでは、サミットの様子が全世界に配信され、国内外に開催地の認知度が高まりました。その結果ツアーの催行が相次ぐなど、サミット開催後の国際観光振興に大きな効果を生み出したのです。 まさに多大な経済波及効果を与えるMICEは、これからの地域経済、国家経済活性化の為に重要な役割を担うと言えるでしょう。 ◆日本におけるMICEの実態 2009年の観光庁の調査によると、MICE全体の訪日外客数は年間約100万人、市場規模は9200億円、そのうち訪日外国人の消費額は約1200億円と推計され、全訪日外国人の消費額約1兆600億円の約9分の1を占めるまでに成長しています。 国際会議協会(ICCA)の統計によると、2010年の国際会議の開催状況で日本は世界第7位に位置します。しかし都市別では、国内最多の東京が68件で世界第27位、アジアではシンガポール、台北、北京、ソウル、香港、上海、クアラルンプールに続く第8位という状況です。 さらにここ数年、中国、韓国が大幅に件数を増加しており、日本は遅れをとっています。(DIAMOND ONLINE 2011年12月5日 「MICEの底力」参照) そんな中、2013年6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」において、「2030年にはアジアNO.1の国際会議開催国としての不動の地位を築く」という目標が掲げられました。具体的には、東京をはじめとする国内7都市を世界トップレベルのMICE都市とすべく、マーケティング戦略の高度化、MICE誘致能力・体制の強化などを通し、都市の育成を進めようとしています。 なお国としては国内外へのプロモーション、ステークホルダーの連携促進などの支援を行う予定です。 ◆日本が進めるべきMICE誘致の方法 シンガポールは90年代後半から国家戦略的にMICEを積極的に誘致しており、07年にパリを抜いてMICE開催件数都市別1位に躍り出ました。10年4月には国際会議展示場やホテル、ブティック、カジノなどエンターテインメント施設を含む巨大複合商業施設、マリーナ・ベイ・サンズを開業するなど、ビジネスイベント後の娯楽機能も含めたMICE施設の整備に力を入れています。 また24時間運用のハブ空港を有している点も大きな強みとして挙げられます。こうしたインフラにおける利便性の高さがMICE誘致における大きな強みとなっています。日本はシンガポールのインフラづくりから学ぶべき点が多くあると言えるでしょう。 また日本独自の強みを積極的に世界にアピールすることも重要です。日本には風光明媚な自然や、京都に代表される史跡、豊かな物産や食文化、温泉といったMICEを誘引する質の高い魅力的な要素が数多くあります。 ビジネスイベント後においてこうした観光資源は大変重視されます。実際に山形県、宮城県など地方都市が特色を活かし、MICE誘致を実現している例も見受けられます。 このように日本は積極的なインフラ整備と日本独自の強みによってMICE誘致に積極的に取り組み、地域経済、国家経済活性化に努めていくべきでしょう。今こそMICE誘致を新たなるチャンスと捉え、世界における日本のプレゼンスを高めていくべき時であると考えます。 なぜ日本は負けたのか?――戦史に学ぶ、未来への舵取りと提言《第10回:最終回》 2014.05.11 文/岐阜県本部副代表 河田成治 最終回は、前回のつづきで「日本降伏計画」シミュレーションに関連する、我が国周辺の事態について考えます。 ◆我が国周辺の事態 1.中国の経済的混乱 中国の経済危機の顕在化とともに、その社会不安の増大から、年間10万件もの暴動が発生しています。その規模も数千~1万人に達する場合もあるようです。 経済危機の怖さは、それによって周辺国への軍事的侵攻の可能性を高めることです。暴動や内乱を回避したい共産党政権は、国内の不満をそらす目的から、外部に打開策を求めるでしょう。これが次の2.及び3.です。 2.中国の東南アジア諸国との紛争 南シナ海の島嶼は占領の危機にあります。島嶼部の占領は、中国空軍基地の建造に必要で、中国には、南シナ海の制空権を確保する意図があるでしょう。 制空権が確保できれば、南シナ海は、中国の内海となります。 その海底では、核ミサイル搭載の原子力潜水艦が常時配備されるでしょう。(東シナ海は、一部深いところもあるが、全体的に海が浅いため、原潜の活動にはあまり向かない。) 原子力潜水艦の核ミサイルは、敵国からの報復攻撃でも破壊困難なため、陸上配備とは比べものにならない脅威です。 現状では、南シナ海からアメリカ本土を狙った核ミサイル(SLBM:最新のJL-2)は届かないようですが、この核ミサイルの開発がさらに進み、アメリカ本土を直接狙えるようになれば、その時こそ日米同盟の危機です。 中国の核を恐れるアメリカは、(特にオバマ政権下において)アジア介入を放棄する可能性が高まります。 3.中国の台湾併合 台湾動乱は、初動期において、米軍の行動と日本の集団的自衛権を巡って、台湾を護るかどうかの大騒ぎになるでしょう。 安倍政権は、集団的自衛権の行使を、自衛隊を他国の領土、領海、領空には原則として派遣しない方針として固めましたが(2014.5.3現在)、アメリカの衰退の中、果たして台湾防衛が米軍だけで可能か?という大問題が起きるでしょう。 万一にも台湾が中国に併合されれば、日本のシーレーンという生命線が、中国に握られ、日本の命運は風前の灯火となります。 このような中で、台湾有事に、日本は台湾を助けるのか、助けないのか?我が国にとって他人事では済まされません。 またアメリカが台湾を護ることができなければ、アメリカの威信が完全に崩壊し、やはり日米安保の重大な危機を招きます。 4.北朝鮮の内乱や暴発、クーデターによる崩壊 この事態は、A:中国による傀儡政権成立のケース、B:朝鮮半島が中国&北朝鮮側勢力で統一されるケース、C:米・韓主導による民主化のケースが考えられます。 AとBのケースは、最悪のシナリオです。 Cのケースでも、日本からの経済的援助が莫大な金額に達する可能性があります。 動乱初期には、在韓邦人の救出、韓国への防衛協力の範囲など、準備のない日本には難問が山積みです。 さらに北朝鮮・韓国からの大量の難民が予想されます。その際、日本海側に流れ着いた難民の対応や、また、その中に大量の工作員やスパイが潜入していた場合、社会不安は極限に達します。工作員やスパイを排除することは困難を極めるでしょう。 5.積極的平和主義の具体化 クリミアのようにチベット・ウイグル等の独立運動が盛り上がった時、日本は支援するのか、しないのか、国際的にどのような態度を取るのか? これらの課題は、もはや空想ではなく、真剣に検討しなければならない国家の重要事項です。 ◆ポスト・パクス・アメリカーナの時代 アメリカは経済的衰退から、世界の警察を降りました。世界はアメリカによる平和(パクスアメリカーナ)の時代から、強国が並び立つ、混沌とした時代へと変わりつつあります。 歴史を振り返れば、こういった時代に、いつも戦争が起きています。 そうならないためにこそ、「地球的正義とは何か」を打ち立てねばなりません。それは、日本が世界のリーダーとして立つべき時代でもあると思います。 そして、21世紀の日米同盟のあり方も、新たな模索がはじまるでしょう。 ◆「地球的正義とは何か」を求める時代へ このような混沌とした時代にあってこそ、私は、日本人は世界のリーダーとして、責任を果たすべき運命にあると信じます。 それは、地球神の正義から始まる、普遍的正義です。 以上、大東亜戦争を振り返りつつ、「失敗の教訓」から、これからの日本を考えてきました。 我が国の諸先輩が創り上げてきた素晴らしき日本を、さらに発展させ、「神国・日本」として世界に貢献する国家となすこと。これこそ、われらが夢、理想として努力してまいりたいと思います。(了) 消費増税1ヶ月、日本経済の行方は 2014.05.10 文/政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆増税の影響は統計から見ても明らか 4月1日に消費増税が始まり、1ヶ月が過ぎました。新聞報道の論調はあまり消費に影響を与えたようには見えませんでしたが、統計の速報値を見る限り、以下のとおりすでに影響が出ている分野があります。 (1)新車の売り上げ台数の統計では、常に上位を保っていたトヨタの「プリウス」が10位圏内から脱落するなどトータルでも5.5%の減少。 (2)マクドナルドでは既存店の売り上げが前年同月比3.4%ダウン。 (3)百貨店大手3社の4月速報値では、伊勢丹7.9%、高島屋13.6%、Jフロント(大丸・松坂屋・パルコ)15.3%マイナス。 (4)内閣府が9日に発表した「景気先行き指数」は、2.2ポイントの低下。 幸福実現党は、消費増税の悪影響に対して、厳しく警鐘を鳴らして参りましたが、実際にまだ1ヶ月しか経過していないのですが、すでに景気悪化の兆しが見え始めています。 ◆企業はどのように増税を迎えたのか 企業においては、消費増税は経営にも大きな影響を与えるものとなりました。それは、少なくとも商品の価格にどのように反映させるかということで、その経営哲学が分かります。私自身、特に印象深かったのは「牛丼」チェーン各社での対応で、分類すると以下のような形となりました。 (1) 表示を税抜きとして、増税分だけ値上げ (2) 違うメニューで付加価値をつけて値上げ (3) 価格据え置き (4) 逆に価格値下げ 結果として、単純な価格競争からは脱却したように見えますが、この現象は政府・日銀、マスコミには「デフレ脱却」とは呼んでほしくはないものです。 4月の速報値を見る限り、牛丼チェーン各社とも売り上げ減少という結果となりましたが、その減少幅は、数パーセントで収まっており、それほど大きなものではありませんでした。 一方、深刻な経営危機がやってきているのは、中小企業です。 業界によっては、消費増税が導入されているにも関わらず、末端の小売価格が変わらず据え置きになっている業界もあります。そうした分野においては、増税分について、何らかの形で利益を削って負担しているのです。 大手企業では、ある程度耐えることができるはずですが、すでにこのデフレ下の激烈な競争の中で、厳しい経営を続けてきた中小企業の中で増税分の負担に耐えることができない会社がでてきてもおかしくはありません。 このように、それぞれの業界において、増税に対してどのような経営判断が下されるのかが問われ、大変重要な局面に差し掛かったことは間違いありません。 ◆昨年から「KY」の日銀黒田総裁 以上のような実態の中、相変わらず日銀は「KY」(空気が読めない)ぶりを発揮しています。 日銀黒田総裁は、4月30日に行なわれた政策決定会合後の記者会見において「景気は緩やかに回復」との認識を示し、さらなる金融緩和について、その実施が見送りになった事をあきらかにしました。 4月に消費増税が始まったことを受け、少しでも金融緩和の措置を講じることが期待されていましたが、残念な判断になりました。 黒田総裁は、昨年の8月に記者会見で、あたかも消費増税が必要であるかの印象を与える記者会見を行なってから、日本経済の実際を本当に理解しているのか、大いに疑問を抱かせる発言が続きました。 その結果、上昇のトレンドを続けてきた日経平均株価も、逆に下落に向かうこととなり、印象としてやや重くなってきたようでもあります。元々財務省の出身として知られている方であることが影響したのかもしれません。 今の時期に必要なのはさらなる金融緩和であったのではないでしょうか。 ◆さらなる増税を阻止し、経済成長を実現しよう! さて、これから、8%から10%というさらなる消費増税の判断が今年中にやってくることになります。 昨年の状況を見ると、消費増税の判断の時期が近づくと、マスコミ各社から「景気・雇用が回復」などと、およそ実態からかけ離れた報道が出始め、日銀なども同様の認識が続き、政府の統計もそれを裏付けるものが出てきて、安倍総理は「増税しても問題なし」という判断となる流れでありました。 今年についても、同様の流れとなる可能性が大いにあります。すなわち、日本経済が表面的に深刻な状態でなければ、増税ありきで話が進んでいく事が大いにありえます。 その証拠として、10日の新聞報道では「東証1部3月期決算、営業利益43%増」などと好景気が続いているかの報道がある一方、「国の借金残高過去最高を更新」と言って、あたかも増税しなければならないかのような印象を見せています。 ちなみに、財務省は「増税しなければ、財政破綻して国債が暴落する」と主張していますが、今回、過去最高を更新した「国の借金残高」の要因は「国債」が増加した事によるものです。 もし、「暴落する」という予測があるのであれば、このような事態は起きないはずなのですが、財務省はどのような言い訳をするのでしょうか。ぜひ伺いたいものです。 幸福実現党は、税収不足は、経済成長による税収増によってまかなうべきであることを再三訴えて参りました。そして、それは昨年度の国家の財政状況でも実際に起こった事で、これはまだまだ民間企業の力があることを意味しています。 増税する必要はなく、本来は、逆に規制緩和や減税など、自由な経済活動の余地を増やすことが政府の役割であるのです。 中国の国防費は日本の五倍以上――今こそ防衛予算を倍増せよ! 2014.05.09 文/HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆安倍NATO演説とその後の中国 安倍首相は5月6日に、ベルギーのブリュッセルにて、中国が不透明な軍事費を26年間で40倍に拡大させ、近隣の国々を脅かしていることを批判しました。(NATO〔北大西洋条約機構〕本部での演説) この数字は、防衛省が本年に初めて一般公開した資料と一致しますが、その資料では14年度の中国の公表国防費を約12.9兆円(日本の約2.7倍)と見積もり、「中国の公表する国防費には、外国からの兵器調達等の費用が含まれておらず、実際の国防費は公表額の約1.3~2倍との指摘(米国国防省報告書)がある」と述べられています。(「中国の2014年度国防予算について」) 中国側は、「日本の指導者は、外部の脅威を宣伝することで、日本を軍事大国にしようとしている」(産経ネット版5/7)と安倍首相に反論しましたが、その当日(7日)に、80隻以上の中国艦船を油田掘削のためにベトナムのEEZ(排他的経済水域)内に送り込み、ベトナム艦船との衝突事件を起こしました。 中国側の主張は、自国の蛮行を棚に上げた言いがかりだと言わざるをえません。 ◆不透明な中国軍事費の実態とは? 共同通信社は2010年に「中国軍事費は公表の1・5倍 軍幹部、初めて認める」と題した記事を配信しています。(7月8日付。以下、要約) ・中国軍幹部が09年秋にまとめた内部報告書の数字では、本当の「軍事費」は公表の「国防費」の約1.5倍 ・その報告書は「軍事費」が「10年後にほぼ倍増し、20年後には3倍増となる」と予測している ・当時の中国の表向きの「国防費」はGDPの1.4%程度だが、その報告書は、真の「軍事費」をGDPの約2.5%と見積もっていた。 これは「中国筋」の話ですが、国際政治アナリストの伊藤貫氏は、西側の軍事専門家は中国の真の軍事予算は公表値の2.5倍程度で見積もっていると述べています。 伊藤氏は、その中に、「人民解放軍の衣食住コスト」「人民武装警察部隊コスト」「ミサイル戦力コスト」「軍と武装警察の医療費コスト」「輸入兵器の金額」「軍経営の企業予算の軍転用分」「宇宙戦争予算」等が含まれていないことを危険視しているのです。(『中国の核戦力に日本は屈服する』P147~151) ◆今こそ、防衛予算の倍増を 中国の本当の軍事予算が実際の2倍だと仮定すると、本年度に、中国は日本の5.4倍の軍事予算を使えることになります。(公表値が日本の2.7倍のため) 「自衛隊の装備や練度のレベルは中国よりも高い」と言われますが、毎年、中国が5倍以上の軍事予算を使えるならば、戦力比で見た時に、日本が年を追うごとに不利になることは避けられません。 やはり、今こそ、幸福実現党が主張する「防衛予算の倍増」が必要なのです。 日本の防衛予算はGDP比の約1%ですが、アメリカの同盟国や友好国を見ると、2013年のGDP比で見た防衛費は、「イギリス:2.3%、フランス:2.2%、韓国:2.8%、インド:2.5%」となっています。(“SIPRI Fact Sheet April 2014”) そして、アメリカはウクライナ危機の後、NATO加盟国に国防費増額を要請しました。(読売朝刊5/4) 米国で国防予算の削減が始まった以上、今後は同盟国や友好国が防衛費の負担を増やさざるをえません。日本は、今こそ、財政難のアメリカに替わり、アジアの自由を守る責任を果たすべく、防衛予算倍増に向けて勇気ある決断を下すべきなのです。 ※「年間1ミリシーベルト以下」を目指した除染事業など、無駄な事業を廃止し、その予算を国防のために使うべきでしょう。例えば、SAPIO(2014年4月号)記事は、そのための除染予算は2459億円(11年度)→4924億円(14年度)と増加し、「これまでの総額は1兆8899億円」となっており、「専門家の間では1ミリシーベルトにするにはさらなる期限の延長が必要との見方もあり、産業技術総合研究所のグループは除染にかかる総額を5兆円以上と試算した」とその膨張ぶりを批判しています。 戦勝国史観という壁を破るために必要な努力 2014.05.08 文/HS政経塾第2期卒塾生 曽我周作 ◆日米首脳会談の成果 先日、日米首脳会談が行われました。その会談で尖閣諸島についても日米安全保障条約が適用されることがオバマ大統領自身から明言されました。これについては日本国内外から賞賛の声が多く上がっています。安全保障の問題に関しては、非常に大きな成果を上げた会談であったと思います。 日米関係の強化が東アジアの安全保障にとって必要であり、アメリカ国内の言論等にも会談を評価し、日米のパートナーシップの重要性を強調するものも目にします。 ◆日本の「自虐的歴史観」と欧米の「戦勝国史観」 ただ、アメリカやイギリスの言論の中で気になるのは、安倍首相について「修正主義的歴史観を持つ」とか、「国粋主義」などのレッテルを貼る言論もやはり見受けられることです。 また、いわゆる「従軍」慰安婦の問題について、河野談話作成の過程を検証するということについて非常に強い批判があり、安倍首相が「河野談話を見直さない」としたことについて評価の声が上がるといった状況があります。 日本に「自虐的歴史観」が蔓延しているのと同時に、欧米の戦勝国には「戦勝国史観」というべきものが厳然として存在し続けています。 「どうして、日本だけが欧米の植民地を侵略したことを、謝罪しなければならないのか。東京裁判では、『世界で侵略戦争をしたのは、どちらだったか』いうことに目を瞑って、日本を裁いた。それは侵略戦争が悪いからではなく、「有色人種が白人様の領地を侵略した。」 「白人が有色人種を侵略するのは『文明化』で、劣っている有色人種が白人を侵略するのは『犯罪』であり、神の意向に逆らう『罪』であると、正当化した。」 これは元フィナンシャル・タイムズの東京支局長等を歴任したヘンリー・ストークス氏が著書『英国人記者が見た 連合国戦勝史観の虚妄』の中で語られている、西洋の戦勝国がもつ歴史観です。 私たちにすれば、彼らこそ極端で誤った歴史観をもっていると感じざるを得ません。 ◆「戦勝国史観」を教える日本の教育 しかし、例えば現在私が住む世田谷区内の中学校で使用されている教科書にも、「日本の敗戦は、第二次世界大戦における反ファシズム勢力である連合国側の最終的な勝利」(清水書院 『新中学校 歴史 日本の歴史と世界』)だったと記載されているなど、戦勝国史観そのままを子どもたちに教え込んでいる状況が続いており、日本の子どもたちから祖国に対する誇りを奪い続けていますし、先人達の誇りを傷つけ続けています。 つまり、日本は「戦勝国史観」と戦わなければなりませんが、同時に日本国内との「自虐史観」の払拭という大きな課題もあります。 ◆日本の大義を主張すべき 確かに歴史観というものは、全ての国で同様のものを持てるものではないでしょう。しかし、少なくとも日本国として主張すべきは主張しなければなりません。 先の大戦における日本の大義は何であったのかを主張し、西洋諸国の問題点も指摘すべきだと思います。 また、特に、現在問題になっている「河野談話」の問題点については、しっかりと検証し、「真実」を白日の下にさらすべきです。河野洋平氏の国会招致も含めて政府・与党は対応すべきですし、日本国民がいわれのない罪を着せられ続けた汚名、先人たちの無念を晴らさなければなりません。 たとえ「歴史観」は違えども、真実は真実であり、「歴史認識」云々以前の問題であります。 ◆しかし日米関係の悪化は避けよ ただ、だからといって日本にとって一番重要な同盟関係である、アメリカとの関係を悪化させるべきではありません。非常に粘り強い努力や智慧が必要ですし、本当に大変な仕事になるでしょう。 だからこそ、広報外交や民間レベルでの広報活動等が非常に重要になると思います。 中国や韓国などは反日的な外交姿勢を続け、諸外国において日本を執拗に非難し、事実に基づかない一方的な主張を繰り返しています。これに対して適切な反論を粘り強く日本側からも発信し続けなければなりません。 反論しなければ、それは国際社会では事実であると認めたことになります。 今こそ日本は戦後レジームを脱して、自らの国の誇りを守るため、そして自らの国の安全・平和を守るために立ち上がらなければなりません。 そして、アメリカが誤った歴史観の元で中国・韓国と組み、日本包囲網を築くというような最悪のシナリオをなんとしても回避し、「自由」や「神のもとの正義」を大切にする国同士の同盟関係として、世界の平和と繁栄を作る「世界の希望」になれる日米両国関係を築いていくべきであると思います。 沖縄振興策にもう一段の未来志向を――現地調査レポート 2014.05.07 文/HS政経塾第2期卒塾生 川辺賢一 ◆沖縄振興策の現状 「この地域を発展させる方法を考えてほしい」――。ゴールデン・ウィーク、観光客で賑わう沖縄を訪れて筆者が最も印象を受けたのが、現地で働く知人から言われたこの言葉でした。 安倍政権の成長戦略では国家戦略特区として「国際観光拠点」に指定され、昨年末には基地問題解決の見返りというかたちで毎年3000億円の補助金が7年間支給されることが決定しましたが、果たしてこれまで行われてきた「沖縄振興策」はどのように評価されるべきでしょうか。 例えば沖縄本島における経済流通の動脈であり、観光する上でも欠かせないのが沖縄自動車道です。その沖縄自動車道は混雑(需要)の割りに料金が安いことで知られ、首都高速道路等と比べると距離に対して2分の1から3分の1の安さです。 むろん高速道路の料金は安いに越したことはなく、経済流通を活発化させるという観点からは無料化こそ理想であることは言うまでもありません。 しかし地方行財政を一つの経営体とみて、高速道路を流通サービスにおける付加価値として捉えるならば、需要に応じた利益をしっかり上げることで、中央から支給される補助金の額を減らすことが可能だと考えることもできます。 また全国チェーンを展開するファースト・フード店等を見ても、本土と比べて価格帯が安く設定されているところがみられました。むろん物価が安いことは生活者の視点からは良いことですが、それは付加価値・利益がのせられていないこと、所得水準が低いことの裏表でもあります。 どれだけ巨額の補助金がばらまかれても、「高い付加価値を付けて利益を出す」という資本主義的な発想がなければ、県民所得が向上し、本当の意味で繁栄することはできません。 ◆経済問題と政治問題 さて、これまで自民党も民主党も沖縄振興策を続けてきましたが、沖縄の地域振興策は単なる経済問題を超えて政治的な意味を持ちます。 例えば、国会をデモ隊が取り囲み、革命前夜とも言われた安保闘争や学生運動も1960年代の高度経済成長後は下火となりました。この事実は泥沼化していく政治的信条における対立や闘争も、経済的繁栄が享受されることで解決されていくということを示しております。 経営学者として有名なP・F・ドラッカーも政治信条や宗教、イデオロギーの異なる移民が一つの国家を創り出したアメリカ合衆国を例に出し、このように述べております。 「経済はそれ自体の問題領域をはるかに超えた政治的な役割を果たす」「歴史上、アメリカは政治問題を経済化することによって亀裂を避けてきた。経済化した問題は、金の問題として妥協が可能である」「政治家たる者は政治的目的のための経済的な手段の使い方を知らなければならない」(参照『すでに起こった未来』) 沖縄の地域経済を真に繁栄させ、県民所得を向上させることこそ、基地問題や安保問題など、政治的・イデオロギー上の問題を解決し、日本を一つにしていく重要な手段であるということができます。 ◆沖縄振興策にもう一段の未来発想を! では沖縄経済を繁栄させるためにどのような施策が考えられるでしょうか。 沖縄は中国が虎視眈々と狙っていることからも地政学的に要衝の地であることがわかります。地政学的な要衝の地であるならば、本来、政策次第では経済的・商業的に要衝の地として、シンガポールや香港等と同じ程度に繁栄させていくこともできるはずです。 まず沖縄を経済特区として法人税をシンガポール並みの10%台に実験的に引き下げ、日本だけでなく、アジアや世界の企業や企業の保養地を誘致していくべきです。 所得税の減税や相続税の撤廃を実験的に進めると同時に、カジノ誘致や那覇港の整備、さらなるリゾート開発をアジアや世界からお金を集めて行い、中国や台湾、欧米の富豪にリゾートを所有させることができれば、中国政府も国際世論の反発を恐れて手を出せないでしょう。 自民党・民主党型の単なるバラマキ予算から脱却し、未来の繁栄につながる投資を行っていくことで、沖縄の経済問題、そして政治的な問題を解決していくべきです。 台湾の「脱原発」事情 ――日本は原発推進で日台関係を強化せよ! 2014.05.06 文/HS政経塾3期生 森國 英和 ◆台湾で盛り上がる「脱原発」の運動 中台サービス貿易協定の交渉に反対する学生の立法院の占拠で話題になった台湾で、「脱原発」の動きが加速しています。 台湾は、石炭40%、天然ガス30%、原子力18%の発電割合で国民の電力消費を賄う島国。金山・国聖・馬鞍山の3か所6基の原子力発電所を稼働させています。 福島第一原発事故をきっかけに再燃した「脱原発」は現在、国内4か所目となる第4原発「龍門発電所」の是非に焦点を当てている。完成間近の龍門発電所を巡り、建設停止を強く求めています。 今年に入り、3月8日には台北市を中心に、10万人以上(主催者発表)が参加したデモが行われました。また、4月22日からは、民進党の林義雄・元主席が、ハンガーストライキを行って、馬英九政権の原発政策に異を唱えています。 さらには、「原発反対のために立法院に戻るべき」という声が学生の中でも大きくなり、立法院の再包囲に向かう動きも見られたようです。 それに対して、馬英九総統(国民党)は、「龍門発電所が完成するまで、国民投票はしない」として、建設停止を許すまいと踏ん張っています しかし27日、脱原発の世論に押し切られる形で、「国民投票の結果が出るまで、当発電所の建設を停止する」との方針を決定しました。「脱原発」の世論を押し返そうにも、台湾内の政権支持率は10%前後に留まっており、政権の「足場」は不安定なのです。 ◆脱原発に傾けば傾くほど、エネルギー・リスクは高まる 台湾は、日本同様、エネルギーの輸入依存度が非常に高く、エネルギー自給率は1%を切っています。「龍門発電所の建設を中止すれば、台湾はエネルギー不足に陥る」という馬政権の説得は、至極全うな意見です。 台湾政府経済部(日本の経産省)は、先日、「全ての原発が稼働停止になれば、電気料金が約40%上昇する」との予測を発表しています。もし脱原発に傾けば、原発稼働停止後の日本のように、電力価格の度重なる引き上げ、貿易赤字の拡大に直面するでしょう。 さらには、中国海軍によるシーレーン封鎖で「ガス欠」になるリスクも、日に日に増しています。中国・人民解放軍が、今年に入ってから、台湾や日本向けの商船が通過する海域に進出して、軍事演習や周辺諸国への威嚇行為等を行っていたことを思い出すべきです。 ◆日本は台湾の脱原発を説得せよ 台湾の脱原発の盛り上がりには、福島第一原発事故の後の、事故原因や放射能被害の不十分な説明、不適切な避難措置も影響していますが、それ以外にも、日本が台湾の脱原発に拍車をかけた要因があると思われます。 例えば、昨年9月の菅直人・元首相の台湾訪問です。菅元首相は脱原発・反原発イベントに参加し、事故の経過やその後の取り組み、原発の悲惨さについて講演をしました。福島第一原発事故当時の日本のトップからの「脱原発」の訴えは、間違いなく、龍門発電所の即時建設停止の世論に追い風となりました。 また、今年4月11日に安倍内閣が閣議決定した「エネルギー基本計画」。原発再稼働や「もんじゅ」の継続に転換したものの、与党内での審議を通過する中で、「原発推進」の色が薄められてしまいました。 今年の夏場に向けた再稼働も、昨年の申請以来滞ったままです。馬総統としては、「福島の原発事故を経た日本が、再度原発推進に舵を切った」と言いたいところですが、日本国内のこの状況では、台湾内の「脱原発」を押し切る力にはなりにくいと言えます。 やはり日本は、原発の早期再稼働などを通して、台湾の「脱原発」の流れに歯止めをかけるべきです。特に、建設中の龍門発電所の原子炉や発電機は、三菱重工業、日立製作所や東芝が製造しています。日本として、自国の原発技術の信頼を高めることで、台湾住民の説得に寄与することはできるのではないでしょうか。 ◆日本と台湾の「絆」を深めよ 地方選を今年11月末に控える台湾では、国論が割れることを恐れ、原発利用政策に舵を切ることが難しい状況です。 2012年1月の台湾総統選挙の際、世論の流れの影響を受け、現在稼働中の原発の稼働年限の延長を認めず、期間終了と共に廃炉する方針を発表したように、馬政権が、今年もさらに「脱原発」に譲歩することになれば、台湾のエネルギー危機は現実化するでしょう。 同時に中台が、台湾海峡にパイプラインを建設し、天然ガスを中国から輸入するように動いたならば、台湾は中国に、安全保障上の弱みを握られることにもなりかねず、将来的に、中国による台湾併合が起こる可能性も高まると推測されます。そうすれば、日本の国防上の危険も増すことになります。 安倍政権は、国内のエネルギー事情、世論にだけ注視していてはなりません。日本に対して非常に高い好感度を抱いている台湾との間で、「原発推進」を柱として、日台関係を強化することを考えるべきです。 なぜ日本は負けたのか?――戦史に学ぶ、未来への舵取りと提言《第9回》 2014.05.05 文/岐阜県本部副代表 河田成治 ◆素晴らしき日本人の道徳観 日本人は世界を見渡しても、賞賛すべき道徳観を持っています。 東日本大震災は不幸な出来事でしたが、この中にあって、世界のマスコミは、日本人の驚嘆すべき道徳観を報じています。例えば、アメリカのマスコミは、次のようでした。 「東日本大震災で、多くの金庫が海岸に打ち上げられたが、日本人はこの金庫のほとんど(約5700個!)を警察に届け、その合計は約37億900万円に達した。また、その内の85パーセントにあたる約31億円が持ち主に帰った」(「The Huffington post」 2011.8.11) このニュースを見たアメリカ人は「もしアメリカ人なら、絶対に金庫をこじ開ける。日本人は信じられないくらい誠実で、倫理観が高い」と言っていました。 また、「おもてなし」は流行語にもなりましたが、すでに英語の単語になっている「omotenashi」を、ニューヨーク・タイムズ(1997.4.20)は、次のように説明しています。 「日本人の「おもてなし」は、単純に英訳できない、心遣いや献身、きめ細やかな心配りである」このような、誠実で他人を思いやる美しい心が、日本文明ではないでしょうか。 私の前回の論考「零戦と日本人」でも論じましたが、誇り高き武士道を持っていたのが日本人でもありました。 私は、日本こそがリーダーシップを発揮して、世界の平和・繁栄に貢献すべきだと思っています。日本はそろそろ自虐的な歴史観から脱皮し、世界に責任を負うリーダー国へと、自己認識を変えるべき時なのではないでしょうか。 そのためにこそ、国家戦略は必要です。 ◆大きな国家戦略を 大東亜戦争では、戦略がなかった事をお話ししましたが、現代にも拡大するならば、“国家の志”とも言うべき、世界のリーダーを目指す国家戦略を持ちたいものです。 ただ、国家戦略は、国家防衛を切り離して考える事はできません。 他国の侵略に備えて、我が国の「集団的自衛権」と憲法九条“適用除外”による国防の強化は、待ったなしです。日本を取り巻く状況はたいへん切迫しています。 しかし、国防の強化だけでは不十分で、周辺国の動向を考えねばなりません。 ◆国防戦略と指針の策定 以下は一例ですが、さまざまな対策を策定しておくべきです。 第一には、我が国の島嶼部への侵攻と、それに続く「日本降伏計画」ですが、この最悪の事態は、検討を排除すべきではありません。このポイントは、日米同盟の未来だと思います。 かつて日英同盟が破棄され、換わって日米英仏の四ヵ国条約(1921年)になったことが、大東亜戦争の根本原因でした。 同盟が意味を持つのは、2ヵ国間の場合のみです。連帯責任は無責任と言われるように、多国間の同盟は無責任同盟になると国防論では教わります。 この同盟の原則に立つならば、最も恐るべきことは、日米中(韓)同盟の締結です。アメリカの経済的後退と、中国の資金力を背景とした米中の歩み寄りが、万が一にも日米中(韓)同盟となるならば、最悪のシナリオです。 なお、「日本降伏計画」シミュレーションは、膨大なレポートになるので、別の機会に譲ります。 次回はそれに関連する、我が国周辺の事態に触れるに留めます。(つづく) すべてを表示する « Previous 1 … 153 154 155 156 157 … 253 Next »