Home/ 新着一覧 新着一覧 集団的自衛権とは何か【後編】 2014.05.24 文/岐阜県本部副代表 河田成治 昨日に続き、集団的自衛権について、検討を加えてみたいと思います。 【国際的な集団的自衛権の経緯】 昨日は、日本だけが集団的自衛権をことさら難しくしていると述べました。 では、国際的な集団的自衛権の経緯はどうなっているのかを見てみましょう。 ◆国連憲章の中の集団的自衛権 集団的自衛権は、国連憲章において、国際法としては世界で初めて確立したものです。 しかし、この条文の原型(1944年ダンバートン・オークス提案)には、集団的自衛権は明記されていませんでした。 その理由は、「国際平和と安全は、国連による集団安全保障を主たる手段として維持していく」という方針をとっていたからです。 ところがこの方針は、常任理事国に拒否権が与えられたことにより、無意味になりました。つまり拒否権によって、国連の安全保障が機能しないことが予期されたのです。 そのため、国連に頼らず、多国間での集団的自衛権を固有の権利として認めることになりました。 ◆頼れない国連とアメリカ つまり、理想的には国連の平和維持活動が期待され、実際には、湾岸戦争のように、国連の承認を受けた米国主体の多国籍軍か、もしくは米軍主体の平和維持活動が行われてきました。 今そこにある危機としては、台湾有事やベトナム、フィリピンの権益が中国に侵された場合、国連軍を組織できるのか、またはアメリカがそれを代行できるのかという問題です。 しかし、前記のごとく、拒否権を持つ常任理事国により、国連による集団安全保障は機能せず、また頼みのアメリカも、2014年5月20日現在、南シナ海での中国とベトナム・フィリピンとの紛争に具体的行動の気配すらありません。 【集団的自衛権は、責任ある国家の姿】 ◆無作為の罪にあたる平和主義 もしもアジアの紛争解決のために、国連軍や米軍が派遣できたとして、その兵士の流れる血は、国際的正義のために戦った英雄という尊敬の二文字に変わるでしょう。 加えて我が国周辺でアジアの平和のために戦うことは、地域全体の安定や、日本のシーレーン確保という日本の利益に直結します。 国連の兵士の血が流れるのはかまわないが、集団的自衛権によって我が国の自衛隊員の血が流れることは認めないという論理は、エゴ以外のなにものでもなく、我が国のみが傍観を決め、無責任でいていいはずがありません。 憲法9条を盾にとり、「無作為を平和主義と言っていいのかどうか」。それがこの度の集団的自衛権問題の本質です。 日本は憲法9条で武力の行使を永久に放棄するという、特殊な道を歩んできましたが、それを言い訳に、「国際的道義」を“永久に放棄”していいとは思えません。 「日本は武士道の国ではなかったのか」「日本は、すでに一国の事だけを考えればいい時代は終わったのだ」と訴えたいと思います。 集団的自衛権反対派の不毛な議論をなくすために、憲法9条は一刻も早く改正すべきでしたが、事は急を要します。硝煙の匂いが立ちこめてきた今、憲法改正を待って、事態が起きるわけではありません。 「人間の幸福のために法があり、法のために人間があるのではない」ことを知り、日本は、世界に責任を感じ、神仏の正義を実現する、世界のリーダー国への第一歩を踏み出すべき時だと考えます。 《参考》 「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」 「TREATY OF MUTUAL COOPERATION AND SECURITY BETWEEN JAPAN AND THE UNITED STATES OF AMERICA」 昭和三十五年六月二十三日、条約第六号 1960(昭35)1.19 ワシントンで署名 1960.6.23 批准書交換、発効 日本国及びアメリカ合衆国は、両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、よって、次のとおり協定する。 集団的自衛権とは何か【前篇】 2014.05.23 文/岐阜県本部副代表 河田成治 集団的自衛権について、多角的な視点から、前篇・後編、2回に分けて検討を加えてみたいと思います。 ◆集団的自衛権の定義 まず「集団的自衛権」の定義を一言でいえば、「攻撃を受けた国家への、他国からの援助」となります。従って、個別的自衛権とは明確に区別されるものであり、両者を混同する政党の発言には違和感を覚えます。 さらには、個別的自衛権とならんで独立国が持つ固有の自然権が、集団的自衛権です。 ◆集団的自衛権の目的 日本の立場での集団的自衛権の行使には、以下の目的があります。 (1)日米同盟の維持――米軍を見殺しにすれば、日米同盟破棄につながる。 (2)日米共同作戦の具現化――そもそも日本の防衛力は、米軍とセットでつくられている。 (3)周辺事態への対応――シーレーンの確保や朝鮮半島の安定など、国際的な安全保障問題も日本の安全保障と不可分。 (4)国際的責任――正義に基づいた国際協力。厳密には自衛権とは区別される。 ◆集団的自衛権の歴史的経緯 以上のように、日本にとって重要な意味を持つ集団的自衛権ですが、歴史的経緯を確認しておきたいと思います。 【日本の集団的自衛権の歴史】 ◆はじめは日本も認めていた! 日本の集団的自衛権は、1951年のサン・フランシスコ平和条約で、連合国によりその保有が承認されました。 ※サンフランシスコ平和条約 第五条(c) 「連合国としては、日本国が主権国として国際連合憲章第五十一条に掲げる個別的又は集団的自衛の固有の権利を有すること及び日本国が集団的安全保障取極を自発的に締結することができることを承認する。」 また、1960年(昭和35年)に締結された現行の日米安全保障条約(前文)において、「両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、…」とあります。 当初は日本もその保有を確認しており、この規定が特に問題視されることはありませんでした。これは重要なポイントです。 ◆変遷する政府解釈 しかし、その後の政府見解によって変質し、1972年に至って「国際法上保有するが、その行使は憲法上許されない」との現行解釈に行きつきました。 つまり、日本は当初から集団的自衛権を否定していたとは考えにくいのです。 世間には、法解釈だけで容認するのは、憲法に対する冒涜であるとの意見も散見されますが、歴史的経緯から見れば逆で、法解釈により制限してきたことがお分かりかと思います。 従って「解釈改憲は憲法ハイジャック:慶応大学の小林節名誉教授」(日刊ゲンダイ)というような発言は、正しくありません。 例えば、防衛大学校安全保障学研究会は、集団的自衛権について、以下のようにと述べています。(「安全保障学入門」より) 「もし仮に、当初から憲法上行使できないのであったとすれば、憲法上行使できない権利をなぜ国際条約類(サン・フランシスコ平和条約や日米安全保障条約)でうたったのかとの疑問に、説得力のある答えを見いだせない」 さらに「個別的自衛権と集団的自衛権の差は、国際的には直接的な「自衛」か「他衛」かの差(河田注:単なる防衛手段の違い)とみなされているのに対して、わが国では、自国防衛のための「必要最小限度の範囲」を超えるか超えないかの差 (量的な差)と理解されている。この点も、解釈として特異である」 以上が、「日本の集団的自衛権の歴史」ですが、日本だけが集団的自衛権を、ことさら難しくしているのです。 後編では、「国際的な集団的自衛権の経緯」から見てみましょう。 集団的自衛権とロシア外交で、「アジア安保」のイニシアチブ獲得を! 2014.05.22 文/HS経塾一期生 彦川太志 ◆集団的自衛権の行使容認が、「戦争の危機」を遠ざける 5月21日付けの産経新聞で、安倍政権の安保政策「安倍ドクトリン」の骨子が固まったことが報道されました。 その内容としては、ASEANの防衛体制を「日米共同で支援する」するものと報道されており、集団的自衛権の行使容認によって開かれる「アジア安保」安定化の第一歩といえます。 中国と緊張の続くベトナムやフィリピンなど、日本企業も数多く進出している東南アジア諸国を「戦火の危機」から守る努力は、わが国にとって決して無意味なものとはならないでしょう。 ◆中国が進める、独自の「アジア安保構想」に備えよ このように、安倍政権が日米同盟を機軸として新しい「アジア安保」を進める一方、中国も独自の「アジア安保」構想を進めています。 「安倍ドクトリン」発表とほぼ時を同じくして公表された、「アジア新安保観」です。これは21日まで開催されていた、「アジア信頼醸成措置会議(CICA)」で発表されました。 参照→HRPニュースファイル1007「中国のアジア新安全保障観」からアジアを救え http://hrp-newsfile.jp/2014/1460/ この「アジア新安保観」は1991年より約10年ごとの発展段階を経て、現在では第三段階にある※ようですが、本質的には「米国中心の軍事同盟の解体」を目的としており、米国を排除した中国中心の軍事的支配を確立する試みに他なりません。 ※(『解放軍報』2014年5月22日「亜州安全観助推命運共同体建設」) 習主席は、この「新安保観」を発表する中で、「中国は国家の領土主権と海洋権益の争いについて、平和的方式による処理を一貫している」と主張していますが、5月8日に世界的ニュースとなった「油田掘削作業に警告するベトナム船への体当たり」のように、「武器を使わない実力行使」がその実態です。 「力による現状変更を許さない」とする日米の立場をしっかりと堅持するためにも、国会にて集団的自衛権の行使容認を速やかに進めていくべきです。 ◆中ロ接近をどう観るか 中国の「新安保観」に加えてもう一つ、わが国の大きな懸念となっているのが、同じくCICAで見られた中ロ接近です。 巨額のガス供給契約や海軍の合同演習、さらには第二次世界大戦の「歴史認識」に対する共闘姿勢の表明など、プーチン大統領は習近平主席の要求に対して“満額回答”で応えていることが報道されています。 特に海軍の合同演習は、尖閣諸島に近い海域で行われることが報じられています。歴史認識を軸とした「中ロ共闘」は、果たして現実のものとなるのでしょうか。 ◆同床異夢の中ロ関係 しかし、中ロ両国のメディアを読み比べると、両国の報道に微妙なズレを感じる点があります。 中国側は今回の中ロ接近について、戦略的パートナーシップの進化について中心的に成果を報じる(※1)一方、ロシア国内の主要紙「プラウダ」(※2)では、今回のプーチン・習会談の「中心的テーマ」は、大型航空機の開発と、中国国内でのMi-26大型輸送ヘリの生産・改良といった航空分野の契約に関する点にあったと報じています。 ※1(新華社通信、2014年5月19日「中露関係再顕“頂層設計”作用」) ※2(『Pravda(英語版)』2014年5月19日「In China, Putin to sign a package of ‘fantastic agreements’」) そうしてみると、プーチン大統領は中国寄りの姿勢をみせることで米国に「牽制球」を投げ、中国に対しては「ロシアがサポートしなければ、国際社会で影響力を発揮できない」ことを露呈させ、存在感を示したと見ることもできそうです。わが国に対しては「反応を伺っている」とみるべきでしょう。 ◆防衛体制の確立と共に、ロシアとの関係強化を そのような見方に立てば、わが国の取るべき外交方針は明確となります。「中ロ関係を“経済”で切り放す」ことです。 報道によれば、今回中ロ間で最も大きな取引となる天然ガスの供給契約については、「30年間で4000億ドル(約40兆円)」と指摘されていますから、年間に直せば約1.3兆円です。この額は、本年2月に日本郵政グループが表明した、今後3年間の投資規模と合致します。 外交戦略を背景とした政府投資であるならば、1.3兆円の投資は決して「雲を掴む話」ではありません。極東ロシアの開発について中国の年間投資を上回る規模の投資プロジェクトを打診し、日露ウィン-ウィンの関係構築を目指していくべきでしょう。(ロイター2014年 02月 26日「訂正:日本郵政3年で1.3兆円投資」) 集団的自衛権の行使容認によって防衛体制を強化し、そのうえでコンテイニング・チャイナを考えていくべきです。 悲観論に負けない人口増加策を 2014.05.21 文/千葉県本部副代表 HS政経塾 2期生 古川裕三 ◆自治体の消滅~恐怖の予言~ 今月の8日、日本創生会議が発表した試算では、全国の自治体のうち、青森市や秋田市などの県庁所在地を含む、実に896もの自治体が将来的に消滅する可能性があるという“恐怖の予言”がなされました。 その背景として、20~30代の女性が地方から都市部に流入し、出産適齢期の女性の数が減っていくことが指摘されています。つまり、そもそもの女性の数が減少するため、たとえ、合計特殊出生率が改善したとしても、人口が減り続けて消滅する可能性があるというのです。 これに対し、政府の経済財政諮問会議の専門調査会が、人口減少に歯止めをかけるべく、「50年後に1億人」の維持を目指す方針を掲げ、その具体案を来月に策定する「骨太の方針」に盛り込むと表明しました。(産経新聞5/15主張) 政府は、現在1.41まで下がっている出生率を、2030年までに人口を維持するための水準(置換水準)である2.07まで回復させることを目標にしています。その実現に向け、第三子以降への経済的支援の傾斜配分や、女性が働くことを阻害している諸制度の見直しの必要性も提言されています。 目標値を定め、人口減少を食い止めようとする政府の試みはよいとしても、やはり今一つ「希望」が感じられません。 ◆悲観論に負けるな 前回のHRPニュースにも書いたように、男女雇用機会均等法が施行されて以降、女性が活躍してきた反面、経済的な要因や、保育所不足などの社会的な要因も相まって、子供の数が減り続けてきました。しかし、その流れを逆転させるのが幸福実現党です。 わが党は、5年前の立党時から「3億人国家構想」を掲げており、現在は、目標として「1億5千万人国家」の実現を打ち出しています。その根本には、「日本を世界一のリーダー国家に」という志と信念があり、巷の「下山の思想」とは一線を画します。 ◆田中角栄に学ぶ、平成版・列島改造論 かつて田中角栄首相は、『日本列島改造論』を著し、日本列島に高速道路網と新幹線網を整備することで、都市と地方の格差を是正し、「国土の均衡ある発展」を標ぼうしました。 もし田中角栄元首相なら現代の日本列島をどう改造するか、その答えが『景気回復法』(大川隆法著)の「第二章 日本を新たに改造せよ」のなかで明らかにされています。 特筆すべきは、未来産業について、「地方の人口を増やして、雇用を生む」ものが重要と指摘している点です。 具体的には、ものづくりの産業を中心に、地方に工場をつくれば法人減税をするなどの優遇税制により、企業誘致を積極的に行うことを提唱しています。 現在、政府も成長戦略の一環として、様々に特区構想を打ち出してはおりますが、思いきりに欠けます。例えば本当に特区にすべきは、福島第一原発の周辺地域で、まったく健康に害がない放射線量であるにもかかわらず、当時の菅元総理の被害妄想と責任回避のために避難区域に指定され、未だに復興が進まない各自治体などではないでしょうか。 それこそ大胆に、「この先10年は法人税をゼロにします」と宣言し、「ベンチャーを起業するなら東北へ」、「設備投資するなら東北へ」というメッセージを発信すれば新たな起業も増え、大企業も設備投資に積極的になり、雇用が生まれます。 そして、現在の極端な東京一極集中現象が緩和され、若者が地方に戻ってきます。詰まる所、若者が都市に行くのは、地方で仕事がないという点に尽きますから、地元に雇用先が増えれば、そこで結婚し、家庭を築き、生活を営む若者も増えるでしょう。 このように、地方人口が増えれば、「自治体の消滅」は回避でき、冒頭の“恐怖の予言”を乗り越え、希望の未来を到来させることができます。 「なりゆきまかせ」が嫌いで「大きく考える」ことが好きな幸福実現党は、「積極的なアイデアで、どうやったら日本をより豊かで幸福な国にできるか」を発信し続けます。 『ヒト・モノ・カネ』の流れを押さえてダイナミックな富の創造を! 2014.05.20 文/幸福実現党山形県本部副代表 城取良太 ※YoutubeでWebチャンネル「中東熱風録」を配信中!中東の最新情報を分かりやすくお届けします! 是非ブックマークにご登録ください! https://www.youtube.com/watch?v=vxhSjaM3Cu8 ◆ハブ機能の強化を目指す2つの動き 2020年のオリンピック日本開催を見据え、「ヒト・モノ・カネ」のハブ機能を強化していこうという動きが活発化しています。 一つ目の動きとして、羽田・成田両空港に発着できる航空便を大幅に増やすという「航空ハブ機能の強化」です。 国土交通省の検討案によると、2020年までに発着回数を約1割増の83万回、30年代までに最大110万回まで増やし、韓国・仁川空港などに対抗し、アジアのハブ空港を目指すという目標設定がなされています。(日経5/17) そのために必要なのが、東京上空の飛行制限の緩和です。 今まではタブー視されてきましたが、東京上空を飛行できると発着枠が飛躍的に増加する為、低騒音の旅客機の使用などの対策を講じ、規制緩和に踏み切ることになっています。 また二つ目の動きが、海外の銀行や投資家を東京に集積させるという「金融センター機能の強化」です。 16日、邦シンクタンク数社が合同で「東京金融シティ構想」を発表し、税制面での優遇措置やアジア通貨に強いなどの専門性や仕組みを整備していくべきだと指摘しています。(日経5/17) イギリスの民間機関が発表している「国際金融センター指数」によると、法人実効税率が格段に低い香港(3位、税率16.5%)、シンガポール(4位、17%)に大きく差を付けられ、日本は6位と経済規模の割に低評価に止まっています。 構想の中心となった日経センターの杉田会長は「アジアの金融センターにする構想は以前からあった。デフレ脱却やオリンピック開催で追い風が吹く、今が最後のチャンス」と強調していますが、まさに政府が具体化に向けてどれだけ本気で取り組めるかが、成否のカギを握っています。 ◆ただの砂漠を大都会に変貌させた3つのハブ機能:ドバイの発展に学べ ドバイといえば、今でこそ「世界の大富豪が集まる街」というイメージを彷彿とさせますが、ほんの30~40年前は砂漠で覆われたアラブの田舎の港町という雰囲気でした。 短期間でドバイをただの砂漠から大都会へと進化させたことこそ、3つのハブ構想です。 第一に、中東最大の港湾ハブを形成し、「モノの流れ」を押さえた点です。 1960年代末からジュベル・アリという地区に大規模な先行投資で人工港湾施設と経済特区の整備を行った結果、世界最大の人工港湾、そして中東最大のハブ港湾・コンテナターミナルにまで成長し、2011年に世界で9位(中東では1位)の貨物取扱量を誇っています。 第二に、ドバイを国際空港化させ、「ヒトの流れ」の拠点を作った点です。 ドバイ国際空港では、24時間体制で乗り継ぎが便利なこともあり、年間の空港利用客数は増え続け、本年第1四半期の国際旅客数が1800万人(ドバイ人口192万人)を超えて、英ヒースロー空港を抜いて世界一となっています。 第三に、ドバイに金融センターを設け、「カネの流れ」を集めたことが挙げられます。 元来、中東の金融センターはバーレーンが担ってきましたが、2004年に国際金融センター(DIFC)を金融フリーゾーンとして設立し、その後は巨額なオイルマネーの獲得を目指して、世界中の金融機関が殺到したと言えます。 このように、「ヒト・モノ・カネ」の流れを押さえた結果、19世紀後半には4000人しかいなかった港町が、2001年には103万人、2011年3月時点では192万人にまで膨れ上がっています。 こうした激増する人口が、ドバイの好況と雇用の創出を象徴していると言えるでしょう。 ◆ドバイが成功した理由は何か? その背景には、ドバイ首長国の親子2代の事業家的な才覚と強いリーダーシップが存在したことは確かです。 ドバイは産油国の中では原油埋蔵量が少なく、将来性が乏しかったため、早期から資源依存型経済からの脱却が図られたことが功を奏し、ハブ港湾、国際空港の整備と世界に通用する航空会社の創設を行い、最優先で海路と空路を押さえた先見力があったと言えます。 そして、何よりも税制と規制の少なさが世界中の企業を惹きつけるポイントと言えます。 ドバイでは所得税はなく、法人税は一部の業種を除いて、課税されておりません。 その一部の業種に含まれる外資銀行についても、国際金融センター(DIFC)では(1)100%外国資本で金融機関を設立できる、(2)利益・配当送金が自由、(3)法人・個人とも50年間は所得無課税、(4)外国人雇用が自由、などのメリットが享受でき、規制緩和は年々進んでいます。 また、UAEはアラビア語圏であるにもかかわらず、英語が幅広くビジネス言語となっており、英語圏の企業はもちろん、世界中の企業が言葉の壁を感じずに進出できる利点もあります。 ◆日本発!ダイナミックな富の創造を! もちろん日本とドバイの実体経済の規模は全く異なり、ドバイのようにハブ機能を強化するのみで、日本の未来の発展を後押しできるとは思いません。 むしろ、ドバイから学ぶべきことは成功をもたらした2つの中身です。 大きな構想を短期的に実現したリーダーシップ、そしてその構想を成功させるために大胆に自由の領域を創りだしたことでしょう。 特に、法人税減税が議題に上がっておりますが、所得税や日本に数多く存在する税制の簡素化を図ることが世界から「ヒト・モノ・カネ」そして「情報」という富を集積させる一里塚だと考えます。 また、日本に蔓延る数多くの規制も議論が進まない領域ではありますが、国際標準と言える規制緩和を行うことが富の集積を促進させるために必要です。 ハブ機能を充実させ、世界中からの富の集積が促進できれば、安全保障的にも、日本に対する軽々しい軍事行動などは難しくなり、自ずと日本が守られることにもなります。 既に日本には、世界的にもトップクラスの技術力、人材、産業インフラがあります。 世界中からあらゆる富が集まることで、ダイナミックなイノベーションが創発され、世界をリードする富の創造がなされるのは間違いありません。 ※YoutubeでWebチャンネル「中東熱風録」を配信中!中東の最新情報を分かりやすくお届けします! 是非ブックマークにご登録ください! https://www.youtube.com/watch?v=vxhSjaM3Cu8 中国の「アジア新安全保障観」からアジアを救え 2014.05.19 文/HS政経塾 第3期生 和田みな ◆中国が提唱する「新安全保障観」 今月20、21日の両日、アジア信頼醸成措置会議(CICA) が中国・上海で開催されます。 この会議には、ロシアのプーチン大統領をはじめ、15ヶ国の首脳や国連の潘基文事務総長も出席し、議長国である習近平国家主席との首脳会談も予定されています。このCICAで習近平が提唱しようとしているのが「アジア新安全保障観」です。 中国による「新安全保障観」は1997年に初めて提唱されたものです。それが、先月開かれた「中国・中央国家安全委員会」の第1回会議において、「中国の特色ある国家安全保障を提示し、それに向かって歩み出す」と習近平国家主席が述べたことで、再び注目を集めています。習氏のこの発言は、オバマ大統領の来日直前のことでした。 ◆「新安全保障観」の内容 中国が提唱する「新安全保障観」を簡単に要約すると以下のような要旨になります。 ・中国の安全の夢は、世界の安全の夢と同義である ・米国型の第三国を排斥し、仮想敵に的を合わせるような、二国間同盟体制を乗り越えるものである ・「アジアの安全保障・経済は米国頼み」というパラドックスを乗り越えるものである 中国はこの「新安全保障観」をアジア各国に広めることで、「アジアのことはアジアで十分解決できる。アメリカに代わって、アジアを支配するのは中国で、それがアジアの安全を守るものだ」ということを示すとともに、アメリカ・日本の日米同盟を軸としたこれまでのアジアの安全保障体制を牽制する意図があるのです。 ◆全世界に影響を与える中国の新安全保障観 中国共産党の機関紙「人民日報」の日本語版サイトは4月17日付けで「全世界に影響を与える中国の新安全保障観」と題する論説を掲載しました。この「新安全保障観」がどのように世界に影響を与えるというのでしょうか。 前述したCICAにおいて中国は2016年まで議長国を務めます。また、今年の秋にはAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議が北京で開催される予定です。中国は、この2つのアジア会議を最大限に活用し、中国主導の「新安全保障観」をアジアに広めるつもりなのです。 中国の外交部は、3月16日の記者会見でも「CICAの最大の大義は『アジアの問題はアジア主導で解決すべきであり、アジアの安全保障もまずアジア諸国自身の協力強化を通じて実現するべきだし、それは完全に可能だ』との声を共同で世界に発することを望んでいるということだ」と述べました。 中国は自身の「新安全保障観」をまず示すことで、各国にも「新安全保障観」の確立を推進し、「アジアの安全保障の協力と新しいメカニズムを積極的に検討することを望んでいる」と発信しています。 この「新安全保障観」は、アメリカのリバランス政策の一環である日米によるTPP推進、安全保障での協力強化などの、対中圧力に対抗するものです。 中国は、アメリカ型の安全保障観の欠点を指摘し、アジアの安全保障は中国主導で行うという強い意思表示を示しました。これからアジア各国は、地域の安全保障について中国主導か日米主導かを迫られることになるでしょう。 ◆中国主導の安全保障体制の危険 今月、南シナ海で起きた中国の公船とベトナム船の衝突は、この中国の「新安全保障観」の危険性を露わにしました。アジアにおいて、中国主導の安全保障体制が強まれば強まるほど、中国による強硬な領土・領海侵略が行われる可能性が高まることを世界に示すことになったのです。 このような中、東南アジア諸国連合(ASEAN)は11日、ミャンマーの首都ネピドーで首脳会議を開き、南シナ海情勢などについて協議し、関係国に自制と武力の不使用を求めることを盛り込んだ「ネピドー宣言」を採択しました。 しかし、ここでも中国を直接非難することは出来ず、議長国のミャンマーを含め、中国と緊密な関係を持つ多くの加盟国に配慮したものになってしまいました。 ◆日本に求められるリーダー国家としての「公の精神」と具体的な行動 このように、国際社会は中国の野望に対して有効な手を打てないでいます。これまで実質的にアジアの盟主であったアメリカも財政難から国防予算を減らさざるを得ない状況が続き、中国がこれに代わろうと具体的に行動を始めているのです。 昨年10月、ASEAN首脳と安倍首相との会談で安倍首相が、中国の強引な海洋進出を批判しつつ、日本として集団的自衛権の政府解釈見直しや国家安全保障会議(日本版NSC)の創設などの取り組みを紹介したところ、参加国から「日本が世界の平和のために貢献することを支持し、期待する」との声が上がりました。 アジア各国は中国に対抗するために、日本に対して具体的な行動を期待しているのです。 日本には、日米同盟を堅持しながらも、責任を持って地域の安全を守れるだけの早急な法整備や外交戦略が求められていますが、日本の政治家やマスコミの多くには、「世界の平和に貢献しよう」というリーダー国家としての「公の精神」が全くありません。 しかし、私たちは、国際社会の状況や要請を踏まえて、一国平和主義、利己的平和主義で満足するのではなく、集団的自衛権の行使、憲法9条の改正の問題に取り組むべきです。 また、中国の軍事力の脅威からアジアの平和を守ることなしに、日本一国の平和を守ることなどできないことを一人ひとりが自覚しなければなりません。 ◆日本の行動が世界を救う 更に日本には、中国の「新安全保障観」に対して、「より多くの国々の自由を守り、共に発展できるアジアをつくる安全保障観」のビジョンをアジア各国に提示していく必要もあるでしょう。 私たち幸福実現党は宗教政党です。「国民を護り、世界の平和に寄与する」という精神を大切にし、「悪を押しとどめ、善を推し進める」という宗教的正義において、国防強化の重要性を訴えています。 日本人がこの精神を理解し、世界の平和と発展のために具体的に行動を開始した時、戦後失ってしまった「日本の誇り」を取り戻すことができるでしょう。そのような日本人の行動が世界を救うことになるのです。 集団的自衛権行使の本質を問う 2014.05.18 岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆20年前の警告が今現実に 今を遡ること20年前、朝鮮民主主義人民共和国を建国した金日成の死去(1994.7.8)より4日後の7.12に東京ドームで開催された講演会「異次元旅行~仏法真理のもとに地球を一つに~」にて幸福の科学グループ・大川隆法総裁は、北朝鮮の核保有疑惑に関し、「これは疑惑ではなく、北朝鮮はすでに核兵器を保有しております。」と警鐘を鳴らされました。 また、中国の軍事的拡張主義、覇権主義の脅威にも言及され「このあとに来る軍事的拡張主義が恐ろしい。」「ベトナム沖の油田、その他、経済的利権になる所に対し、触手をのばすことが危険である。」と同じく警鐘を鳴らされました。 今、その警鐘が現実のものとなりました。 大川総裁より警鐘が鳴らされた20年前より我が国が対北朝鮮、中国の軍事的拡張主義に対し、しっかり対応していれば、「集団的自衛権」に関し議論が紛糾して喧々諤々たる現在の国内状況はなかったのではないかと悔やまれます。 事実は、当時の村山政権から時代が逆回転をし、阪神大震災、オウム事件、民主党政権の迷走、東日本大震災、自虐史観の蔓延等々、20年の停滞を経験し、未だ脱出していない状況が続いています。 ◆南シナ海の危機的状況 ここにきて南シナ海における中国とベトナム、フィリピンの衝突がにわかに頻発し、ベトナムでは反中デモが開かれ、中国人の死者が出るなど事態は緊迫しています。 中国のベトナム、フィリピンへの挑発行動は、先月4月のオバマ大統領の日本を含めたアジア4か国訪問の直後に起こっています。 オバマ大統領は、同盟・友好国にアジア重視の政策は不変であり、安心して欲しいと保障するためアジア4か国を訪れました。 しかし、行く先々で「我々の目標は中国に対抗することではない。中国を包囲することでもない。」と中国を気遣う姿は、尋常なものでなかったと田久保忠衛氏(杏林大学名誉教授)が産經新聞の正論(5/16)で述べておられます。 大川総裁は5月17日、静岡県浜松市にある中部正心館で行った法話「愛が時代を動かす」の中で、中国はアメリカが何もできないところを世界に見せて、この海域を実効支配できるところをPRしていると分析しました。 月刊ザ・リバティ 大川隆法総裁 法話レポート http://the-liberty.com/article.php?item_id=7844 そして中国とベトナム、中国とフィリピンの戦争が差し迫っている、いつ戦争が始まっても不思議でないと警告を発されました。 ◆戦争勃発の危機 これに関しては、同日夜のTBS「新・情報7daysニュースキャスター」に出演した藤原帰一東大教授も、中国とベトナム、フィリピンの間に戦争の危険が高まっているとコメントしていました。現役東大教授のコメントとしては踏み込んだもので、それだけ危機的状況にあることが分かります。 また、15日に官邸で行われた安倍首相の集団的自衛権行使に関する記者会見を受け、翌日の東京新聞が朝刊で『「戦地に国民」へ道 』と赤旗新聞顔負けの大見出しを一面に打ちました。 しかし行使反対を鮮明にした東京新聞の長谷川幸洋論説副主幹も、18日に関西の人気民放番組に出演し、集団的自衛権に関して、日米同盟それ自体が集団的自衛権の発動であると、その必要性を認識していると発言し、東京新聞の論説と一定の距離を示していました。 このように中国とベトナム、中国とフィリピンの戦争の危機が現実となった今、個別的自衛権では対処できない集団的自衛権の必要性が認識されてきます。15日の安倍首相の記者会見の説明は、邦人保護の説明が中心であり、必ずしも集団的自衛権の必要性を説明できていないと容認派、反対派双方から批判が出ています。 ◆集団的自衛権問題の本質 問題の本質は、例えば、中国とベトナムが戦争状態になった時、日系企業も多いベトナムの「助けて下さい」という要請を全く無視し、アメリカまかせで済むかという事です。 植民地を解放してくれたと未だにアジアの人々から尊敬されている日本が、果たして「無視」「見殺し」にできるのか。私たちの先輩が命をかけて勝ち得た「尊敬」を、私たち子孫が反故にしてしまってもよいのでしょうか。 17日の講演で大川総裁は「全体主義とは、人々を愛する神仏の心を無視した国家の暴走」と定義付けられました。 さすれば、集団的自衛権を戦争に巻き込まれると忌避し、己の安全のみを考え、第三国の紛争に知らぬ存ぜぬを貫くことは、これまた人々を愛する神仏の心を無視した利己主義という横暴に他ならないのではないでしょうか。 時の政権の解釈で憲法が変わってしまうとすれば、「立憲主義」を破壊するものであると手続き論でいろいろ批判されていますが、こうした批判について、大川総裁は「法律のために人間があるのではなく、人間のために法律がある」と指摘されました。 憲法の遵守や、その改正手続きにこだわって、日本人の生命、安全やアジアの平和を危機に陥れてしまえば、元も子もありません。現状は、憲法改正の手続きを踏んでいては間に合わないほど緊迫した状況にあります。 大川総裁は、結語として「『国民を護り、世界の平和に寄与する』という一点を貫くべき」であり、「愛の行為が、同時に神仏の願う正義とも一致していくよう、努力すべき」と主張しました。 厳格な法律論・手続き論に拘泥し、国民の生命を危機に陥れることのないよう幸福実現党は、引続き、安倍首相が公明党に遠慮して言えない正論を訴え続けてまいります。 国民の生命を守る政治家の気概とは 2014.05.17 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆戦争に巻き込もうとしているのは日本ではない 5月15日、安倍首相は、記者会見で「集団的自衛権」の行使を容認する憲法解釈変更の検討を表明しました。 朝日新聞は、「近づく戦争できる国」と、「安倍首相が示した方針が現実になれば自衛隊が他国の戦争に加わり相手を殺すこともある」(朝日5/16)と述べ、すぐにでも日本が外国人を殺す戦争が始まるような報道をしています。 しかし戦争に巻き込もうとしている国は、今年になっても複数回ミサイルを日本海などに打ち込んでいる北朝鮮や、南シナ海で勝手に資源を掘削しはじめベトナム船に自分から衝突させておきながら、ベトナムが先にぶつけたと主張している中国の方ではないでしょうか。 さらに中国は、2012年からフィリピンの排他的経済水域にある暗礁を勝手に埋め立て滑走路建設工事を始め、話し合いのテーブルの席に着くこともなく、力でフィリピンの権益を侵し暗礁を自国に組み入れようとしているのです。 ◆政治家としての責任 南シナ海は、日本のシーレーンでもあり、日本の経済にも影響を与えます。一国平和主義で、日本のことだけ考え他国がどうなろうと関係ないという態度ではベトナムやフィリピンからの信用も失ってしまうでしょう。 ベトナムやフィリピンには、たくさんの日本企業があり、邦人が住んでいます。もしベトナムやフィリピンが紛争や戦争に巻き込まれた場合、現在の日本は自衛隊も派遣できません。 朝日新聞では「偶発的に引きずられるのが戦争」(朝日5・16)と述べていますが、外国の紛争地に残された邦人をどうやって救出するのか、何の解決策も示していません。 「人を殺す暴力装置の自衛隊を海外に派遣するな」という意見もありますが、では在アルジェリア邦人に対するテロ事件と同じことが起こった場合はどうするのでしょうか。 「日本は戦争をしない」と言うことは簡単です。自衛隊は派遣できないというなら、誰が救出に向かうのでしょう?他国に救出をお願いすることもできない、だから在アルジェリア邦人の悲劇は起きたのではないでしょうか。 この問題について国民の生命を守るために真剣に考えているのが政治家の立場です。真の政治家であるなら、邦人が命の危険に晒されているのを黙ってみているわけにはいかないのです。 この国民の命を預かる政治家の責任の重さを考えたことがあるでしょうか。アルジェリアで仕事をしていた邦人を救えなかった安倍首相は、それを真剣に考えたからこそ、いま「集団的自衛権」の行使を容認する憲法解釈変更を検討しているのです。 邦人を救うために、自衛隊が暴力装置だからと言って丸腰の国民にお願いして救出に向かわせるわけには行きません。自衛隊にお願いする以外にないではありませんか。 政治家という立場は、自分の命令で自衛隊員を命の危険に晒すことになるかもしれません。それでも邦人を見殺しにすることは出来ないのです。あえて自衛隊員に救出の命令を出さねばならない時もあるのです。 ◆憲法を守って国民を守らず 外国で命の危険に晒されている方の家族に対して、「日本の憲法は、自衛隊の海外派遣を禁止しています。自衛隊は戦後一人も外国人を殺したことはありません。自衛隊がテロの犯人を殺すことになるかもしれませんから、あなたの家族が死んでも自衛隊は派遣できません」――とでも説明するのでしょうか。 心ある政治家であれば、法を守って国民の生命を危険に晒すわけには断じていきません。だから国民の生命を守るために法を改正、もしくは解釈して緊迫する情勢に間に合わせようとするわけです。 また国民の生命を守るためには、自国のみではなく米国などの協力も必要です。そのための集団的自衛権容認が必要なのです。一国のみならず、複数国の軍事力の結集は、中国への抑止にもなります。自分より強ければ中国も簡単に手を出すことはできません。 以上、政治家として国民の生命.を守る立場を真剣に考えているからこそ、幸福実現党は、「集団的自衛権」の行使を容認する憲法解釈変更に賛成します! ■集団的自衛権の行使容認に向けた安倍首相会見を受けて(党声明) http://info.hr-party.jp/press-release/2014/3055/ 【高齢者と農業】――高福祉国家を超えて「生涯現役社会」への一試案 2014.05.16 文/幸福実現党石川県本部副代表 宮元智 ◆高齢者は農作業がお好き? 「世界最速」で進んでいると言われる日本の少子高齢化。 このままであれば、社会保障制度が破綻することはもとより、国家そのものが消滅してしまうかも知れません。 子供は急に増やせません。また、働いて稼げるようになるまでには20年以上かかります。早晩移民を受け入れざるを得ないとしても、長年単一民族主義で来た日本人にはにわかには受け入れられないでしょう。 ならば、高齢者の方々を、戦力外にしておくのではなく、国富増大のための重要な戦力になっていただきましょう。 仕事をリタイアした高齢者の方々は、ボランティア活動も含めて意外と働いています。つまり、様々な形で付加価値を創造しています。 地方の場合ですが、高齢者の方々は、村が“限界集落”と化しても、都会へ出た息子たちの所へは行かず、身体が元気なうちは不便でも長年住み慣れた土地に暮らすことを選ぶ人が多いようです。 また、高齢者の方は、意外と農作業が好きな人が多いようす。農業を通して、創造の喜びを味わっておられるのかもしれません。 ◆高齢者を“戦力”に 一方、日本の農業に目を向ければ、少子高齢化とも絡んで、後継者不足、膨大な耕作放棄地、補助金漬け、食糧自給率の低さなどの諸問題を抱えています。 高齢者を日本の農業の“戦力”に変えることができるならば、農業の復興と、社会保障費の抑制に貢献できます。まじめで責任感の強い高齢者にとって、生き生きと、余生を完全燃焼できる道となるでしょう。 ◆パワードスーツと植物工場で生産性を高める ただ、農業は、基本的に、重労働です。 農作業好きの高齢者も、自分の体力や能力に応じた範囲でしかできないので、ほとんどの場合、趣味に毛が生えた程度で終わります。生産性や付加価値の面がボトルネックとなります。ゆえに、それをサポートする施策が必要です。 例えば、重労働から解放するために、農作業用“パワードスーツ”の開発なども必要でしょう。 筋力を機械的にサポートするパワードスーツは既に実用化のレベルになっています。医療・介護・軍事だけでなく農業でも応用できれば、よりマーケットは広がり、大量生産により安価になるでしょう。 また、植物工場、野菜工場などで農作物が栽培されるようになれば、農業は今より遥かに生産性の高い産業に変わっていくでしょうし、空調の効いたビルの中での作業ならば、熱中症などの心配もいりません。 さらに、農業が、通常の会社勤務のようなスマートな職場になれば、農業を継ごうと思う若者も村に帰ってくるかも知れません。こうして、高齢者による農業の復興は、過疎や限界集落、後継者不足、耕作放棄地の問題の解決にもつながります。 ◆食糧危機の解決と国富増大への貢献 地球の人口爆発の時代を迎え、人類は食糧危機の問題に直面しています。 安価な食糧を、大量に増産しなければいけません。そうした使命感をもって、日本の高い農業技術を、さらに進化させなければなりません。 さらには、「ルビーロマン」(一房数十万円もする石川県産の高級ブドウ)のような高付加価値の農作物を開発し、世界の富裕層に提供することができたならば、国富増大にも大きく寄与できます。高齢者は、その貴重な担い手になりえます。 ◆未来型国家の条件―愛と自由 世の中に何も貢献することなく、ただ年金を貰って、日々を送るだけの人生は虚しいものです。高齢者も自ら働いて富を得て、かつ税金を納められるような社会は、国家社会主義型の高福祉国家に対するアンチテーゼであり、新しい国家モデルの提示でもあります。 その底流を流れる考えは、「自分以外の他者に対して、何らかのお役に立つことを喜びとする心」であり、宗教的には、「与える愛」と呼ばれます。 「生涯現役社会」の背骨となる思想は、すなわち「愛の思想」なのです。「福祉国家」の美名の下に重税を課す国家の行き着くところは、国家社会主義型の「自由のない社会」です。 私たち幸福実現党の目指す社会は、抑圧や恐怖によって支配される社会ではなく、愛と自由に満ちた繁栄する社会です。 その未来型国家モデルを示すことがリーダー国家・日本の使命でもあります。ただ社会保障費を削るために高齢者にも働いてもらうという発想ではなく、「愛と自由」、「繁栄」という観点から、「生涯現役社会」も構築されていくべきと考えます。 「経常収支」に一喜一憂せず、世界規模での富の創造を! 2014.05.15 文/HS政経塾1期生 伊藤のぞみ ◆比較できるなかで最少の経常黒字 財務省は12日、2013年度の国際収支を発表しました。そのなかで、2013年度の経常収支が7899億円となり、比較できる1985年度以降で過去最少となりました。 経常収支とは、海外と国内の取引で海外にどれだけお金を払ったか、海外からどれだけお金が入ってきたかを表す指標です。 海外からお金が多く入ってくると経常収支は黒字になり、国内からお金が多く出て行くと経常収支は赤字になります。 海外に物を売ってお金が入ってきたり、買ってお金が出て行った場合は「貿易収支」、海外に投資したり、海外の子会社から配当金が入ってきた場合は「所得収支」、発展途上国に援助をした場合は「経常(資本)移転収支」、海外旅行でお金を使ったりする場合は「サービス収支」として集計されます。 経常収支は、東日本大震災後の2011年度から、7.6兆円(2011年度)、4.3兆円(2012年度)と連続して減少しており、昨年度はとうとう1兆円の大台を割り込みました。 最大の要因は貿易収支の赤字です。原発停止により液化天然ガス(LNG)など燃料の輸入が増大していることに加え、消費税増税前の駆け込み需要が発生したことにより、貿易赤字は10兆円に達しました。 ただ、海外の子会からの配当は増え、所得収支の黒字は16兆円と最大となったため、経常収支は黒字になったのです。 ◆海外旅行に行ったり、iPhoneを購入することは悪いこと? 2013年度は辛うじて経常収支は黒字になりましたが、経常収支が赤字になったらどうなるのか、不安に思う方もいるかもしれません。 ただ、経常収支がどういった原因で起こるのか、具体的に考えると「経常赤字は良くない」とはいえません。 私たちが海外旅行にいくと、そのお金は「サービス収支」で日本から出て行くお金と集計されます。また、iPhoneを購入した場合も、「貿易収支」のマイナスとしてカウントされます。 物やサービスを購入するときには、お金を支払わなければいけません。その対価が海外に出て行くか、国内にとどまるかは二次的な問題で、ほとんどの人は自分にとって必要だから、大切だから、好きだから、その商品を購入したり、サービスを受けるのではないでしょうか。 最近では、発展途上国の支援をするために、アフリカなどで生産されたコーヒー豆を購入する人もいます。逆に、日本企業を応援するために、国内で縫製されたジーンズを購入する人もいるでしょう。 どちらも尊重すべき判断であり、「経常収支が赤字になるから悪い」「黒字になるからいい」ということはできません。 ◆「あなたの所得」は「誰かの消費 」 経済取引は一面から議論できるわけでなく、一つの面があれば、もう一つの面が存在します。商品を購入する人がいれば、その商品を販売してお金を受け取った人がいます。 つまり、「あなたの所得」は「誰かの消費」であり、「あなたの負債」は「誰かの貯蓄」です。これを国際収支で考えると、日本の経常黒字は、他国の経常赤字になります。 少し話はずれますが、経済取引で大切なことは、お金を支払う側も受け取る側も双方が満足できるかどうかです。 「経済における正義とは等価交換である」。これは経済における示唆に富む言葉です。 物・サービスを売る側も買う側も、差し出したものと同等の、あるいはそれ以上のメリットを得ることができるから経済取引は成立するのです。この原理に反する企業は自然と淘汰されていきます。 ディズニーランドへ行って6000円取られたといって怒り出す人はいません。ディナーに行って5000円を払って損をしたと思った人が多ければ、そのお店が経営を続けるのは難しくなってくるでしょう。 経常収支の黒字が続いているとことは、日本企業が良いサービス、良い製品を提供し続けているということであり、経常赤字が発生しているということは、良いサービス、良い製品を海外から輸入しているということなのです。 ただ、日本は他国から購入するより、提供することのほうが多いというだけです。アメリカやイギリス、カナダ、オーストラリア、デンマークなどでは、経常収支はよく赤字になっていますが、それで何か問題が起こっているわけではありません。 ◆「経常収支」に一喜一憂せず、世界規模での富の創造を 前述したように、海外旅行へ行く人が増え、海外に対する投資が増えれば経常黒字は縮小します。しかし、それは企業や個人の判断を集計した結果であって、一喜一憂する問題ではありません。むしろ、経常収支が赤字になったとしても、発展途上国へ投資を増やし、製品の輸入を増やすことは、世界から貧困を駆逐していく大きな力です。 また、日本にとっても、海外子会社から配当がもたらされるだけでなく、発展途上国がアメリカやヨーロッパの国々と同じように経済成長することで、日本の製品を多く買ってくれるようになります。 そういった企業を後押しするには、海外子会社からの配当にかかる税金を低く抑えるということも有効でしょう。 これからも、一つの経済指標に振り回されるのではなく、日本と世界の繁栄を目指した経済政策を提案して参ります。 すべてを表示する « Previous 1 … 152 153 154 155 156 … 253 Next »