Home/ 新着一覧 新着一覧 靖国参拝「差し止め訴訟」、安倍首相はひるまずに「再参拝」を 2014.09.25 文/HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆靖国参拝「差し止め訴訟」 昨年12月の安倍首相の靖国神社参拝は、憲法20条に定めた政教分離に違反すると主張し、200人以上が起こした裁判の口頭弁論が9月22日に東京地裁で開始されています。 原告である広島出身の被爆者、関千枝子氏(82)が、集団的自衛権の行使容認なども含めて靖国参拝を批判し、安倍首相が「平和に暮らす権利を保障した憲法に違反」していると訴えたのに対して、首相側では、「参拝で原告の信教の自由などが侵害されたとは言えない。また、今回の参拝は私的に行ったもので、総理大臣の公務として行ったものではない」と反論しました。 ◆過去、繰り返されてきた靖国裁判訴訟 昔にも「中曽根首相公式参拝訴訟」や「小泉首相参拝訴訟」などが行われ、原告の損害賠償請求は棄却されましたが、高裁レベルでは「首相の公式参拝は違憲」という判断が示されています。 大阪高裁においては、中曽根首相の公式参拝は92年に「憲法20条3項や89条に違反する疑いがある」と見なされ、小泉首相の参拝に関しては、05年に違憲判断が出されています。 その後、最高裁は首相の靖国参拝について違憲・合憲を判断しませんでしたので、これらの判決から「公人としての参拝は違憲」と見なされるようになりました。 ◆首相の靖国参拝をめぐる争点 前掲の訴訟では、「政教分離の原則」と「信教の自由」、「歴史認識」が大きな問題になっています。 過去の判例では、「国家神道において宗教と政治が結びつき、信教の自由が脅かされたので、政教分離が必要なのだ」といった論理が立てられており、法曹関係者の中では「先の大戦における“日本の侵略”を繰り返さないためには、A級戦犯が合祀される靖国神社へ首相は参拝すべきではない」という考え方も根強いのです。 政教関係に関わる事案は、国が特定の宗教を援助・助長し、他宗を圧迫する行為を禁止する「目的・効果基準」に基づいて判断されますが、前掲の判例では、公人としての首相の靖国参拝は、他の寺社や宗教団体以上に靖国神社を優遇する行為と見なされています。 (津市が地鎮祭に公金を支出し、政教分離違反に問われた際に、最高裁判決(77年)にて地鎮祭を「社会の一般的慣習にかなった儀礼」と評価し、特定宗教を「援助、助長、促進し又は他の宗教に圧迫、干渉を加えるとは認められない」と判断したことから、この「目的・効果基準」が確立。97年に愛媛県が玉串料に公金を出した行為は最高裁判決で違憲とされた) ◆政府が抱える「慰霊の責任」と「政教分離」との関係 この基準を厳格に解釈すれば、政府は、どのような宗教施設においても慰霊の当事者にはなれません。 しかし、現実には靖国神社以上に戦没者を祀っている寺社はなく(約250万人)、日本政府には、日本のために死んでいった軍人たちを慰霊する重い責任があります。 政教分離に関しては厳しい制約があるにもかかわらず、日本政府は国家予算で神道の「祭祀王」である皇室を支えているのですから、国家の根幹に関わる大きな案件に関しては、小さな案件とは違った基準を考えるべきでしょう。 現実には、歴史上、日本の政治権力に正統性を与えてきた皇室の権威は大きく、占領軍も、「これを廃止した場合には、日本は大混乱に陥る」と考えたため、結局、現行憲法でも政治から皇室を完全に分離できず、政教分離には例外が認められることになりました。 日本政府全体としての「戦没者への慰霊」といった大きな案件と、個々の自治体などと宗教の接点で生じる小さな案件とでは、違ったレベルの判断基準が用いられるべきなのです。 ◆「A級戦犯合祀」への批判は筋が通らない また、A級戦犯の合祀などへの批判もありますが、サンフランシスコ講和条約が結ばれ、A級戦犯の社会復帰が許された後にも、死刑となった人々だけを半世紀以上も延々と追及し続けるのは筋が通りません。 1952年には「戦犯在所者の釈放等に関する決議」(参院)や「戦争犯罪による受刑者の釈放等に関する決議」(衆院)がなされており、国際的にも国内的にも、すでに戦犯問題は終わっています。 日本は、靖国参拝を利用した他国からの内政干渉を拒絶すべきです。戦後70年を迎える2015年に向けて、安倍総理は批判に屈せず、靖国「再参拝」を決行すべきだと言えるでしょう。 拉致被害者救出には「国民の思いの結集」が必要だ 2014.09.24 文/HS政経塾第2期卒塾生 幸福実現党世田谷区代表 曽我周作 ◆拉致被害者のご家族の方々の複雑な思い 9月23日の秋分の日、テレビのニュースでは北朝鮮で開業したという高級ホテルの様子が映し出され、また中国の大連で北朝鮮が投資説明会を開き、北朝鮮への投資を呼びかけている様子が映し出されていました。 罪のない日本国民が多数拉致され、いまだに帰すこともしない、そんな北朝鮮という国に対して投資をすることを呼びかけている様に何とも言えない憤りを覚えました。 拉致被害者や特定失踪者等の調査を行う北朝鮮の特別調査委員会からの最初の報告は、当初9月第2週あたりまでに行われるものと見られていました。 9月13日(土)には日比谷公会堂にて「もう我慢できない。今年こそ結果を!国民大集会」が開催され、その会場に筆者も参加させていただきましたが、間もなく来るはずの調査報告を不安な気持ちと、しかし「今度こそは」「今年こそは」と期待も込めて待ち続ける拉致被害者のご家族の方々の複雑な思いがヒシヒシと感じられました。 しかし、9月24日現在、北朝鮮からの最初の報告は出されておりません。 ◆北朝鮮の制裁解除の問題 そもそも 北朝鮮の宋日昊(ソンイルホ)・朝日国交正常化交渉担当大使は「拉致被害者の安否を含めた日本人に関する再調査について、日本側への最初の結果報告がいつでもできる状況にある」と、共同通信に対して語ったということが9月11日の時点で報道でもなされていました。 しかし、これに対して9月19日に菅官房長官が会見で「現時点では初期段階を超える説明はできない」と北朝鮮側から説明があったと発表しており、明らかな矛盾があります。 「救う会」会長の西岡力氏は「水面下で北朝鮮が調査結果の一部報告の見返りに、日本の独自制裁の追加解除を求め、安倍政権がそれを拒否しているのではないかとみられる」(産経新聞9/20)と述べています。 経済が疲弊し、外貨不足に苦しむ北朝鮮が、制裁の追加解除を期待して調査の結果を出そうとしたけれども、日本としてはとても制裁の追加解除などに応じられるものではなかったのではないかということも言われています。 そもそも、「再調査」が行われることが決まり、日本独自の北朝鮮への制裁は一部が解除されています(【1】人の往来、【2】支払いの届け出義務、【3】北朝鮮籍船の入港禁止、の3項目)。 しかし、中山恭子氏は先に挙げた9月13日の日比谷公会堂での大会におけるスピーチの中で「特に船舶の入港については、北朝鮮側が被害者を帰国されるための行動をとったというが確認されない限り許してはならなかった」と述べています。 また、同大会においては、制裁解除で再入国禁止が解けたことで訪朝した、朝鮮総連の許宗萬議長の再入国許可取り消しを検討すべきだとの声もあげられていました。このような制裁解除の反対の声や、再度の制裁強化を望む声が上がっています。 北朝鮮の対応しだいでは、当然、制裁の再強化もとられるべきでしょう。 ◆国民の総意を集めて拉致被害者の帰国実現を 家族の方々は高齢化が進み、焦る気持ちは当然あるはずです。拉致被害者5人が帰国した2002年、そしてその家族が帰国した2004年。しかしそれ以降拉致問題は進展を見ることができず、その間無念にもご帰天された拉致被害者家族がいらっしゃいます。 しかしその中にあっても、13日の大会では「北朝鮮への妥協をすべきではない」「中途半端な回答はいらない」との声が被害者家族からあげられています。 それは北朝鮮への妥協は拉致被害者の帰国につながらないからであり、北朝鮮は家族の「焦る」心を利用しようと企んでおり、それに付け込まれて中途半端な回答を許してしまえば、結局それも拉致被害者の帰国につながらない、そして日本の国のためにならないとの思いからです。 前述の西岡氏も「途中で何らかの要求に応じれば、すべての拉致被害者救出に失敗する恐れがある」としたうえで、北朝鮮に対して「日本が譲歩すると思ったら大間違いだというメッセージを伝え続けるべきだ」と指摘しています。 そのためにも、やはり必要なことは、ごく普通に日常を送る多くの私達日本国民が、「拉致被害者は絶対に取り戻さなければならない人たちなのだ」という思いを、静かにで良いと思いますが、しかしもう一段強く持つことだと思います。 そして、いまこそ日本は国民の生命・安全・財産を護ることができる国へと生まれ変わるべきであろうと思います。 また、さらに拉致された日本人やその家族等の帰国のみならず、いつの日か、自由を奪われ人権弾圧と貧困の中に苦しみ続ける北朝鮮国民の人たちにも、自由がもたらされ、圧政からの解放の日が訪れるような未来をつくらんという志を持ちつづけたいと思います。 アメリカと中国が交わす新たな「密約」とは? 2014.09.23 文/幸福実現党山形県本部副代表 城取良太 ◆無神論国家VSイスラム教の対立が激化する新疆ウイグル自治区 シリア・イラクのみならず、中国国内でも体制側とイスラム勢力の対立が激化の一途を辿っております。 その原因は、中国共産党政権による、イスラム教徒が多数を占めるウイグル族への「信教の自由」に対する厳しい制限、言語の使用制限や習慣・風習の破壊、ウイグル人女性の強制連行など、許されざる人権侵害がまかり通っていることへの抵抗運動、分離独立運動であります。 一方で政権側から見ると、新疆ウイグルは天然ガスの生産地であると同時に、中央アジアからの天然ガス輸送ルートに当たり、エネルギー安全保障の要衝であるため、その地で分離独立を主張するウイグル族は、国益を脅かす最大級の脅威に当たると言えます。 最近では、ラマダン明けの7月28日、中国の新疆ウイグル自治区のカシュガルで起きたウイグル人による暴動では、「少なくとも2000人以上のウイグル人が中国の治安部隊に虐殺された」と言われております。 *参考「HRPニュースファイル:ウイグルで死者2000人以上――真実を明らかにし、国際社会に正義を問える日本に」 http://hrp-newsfile.jp/2014/1629/ また9月22日、中国の新疆ウイグル自治区バインゴリン・モンゴル自治州において、相次いでウイグル人による自爆行為が起き、2人が死亡し、多数が負傷したと伝えられており、共産党政権はウイグル族への締め付けを更に強化していく見込みです。 ◆対イスラム国でアメリカと中国が交わす「密約」とは? 一方、国際社会では、中国によるウイグル族への人権侵害が世界的な批判の的となりづらい展開になりつつあるのが現状です。 それは、9月7~9日に訪中したライス補佐官と習近平国家主席の間で、イスラム国対策として取り交わされたとされる「密約」が原因です。 具体的には、中国は、アメリカ主導の有志連合による「イスラム国」打倒の動きを支持する一方、アメリカは、新疆ウイグル自治区で、中国当局がウイグル族に対する締め付けを強めることに、あからさまな異論を唱えないという内容です。 アメリカとしても、有志連合の形成を急ぐ中、国連の常任理事国であるロシアとの折り合いが付けられない状況のため、もう一つの常任理事国である中国への支持が必要不可欠であったという苦しい事情があったと言えます。 ◆イスラム国の台頭は中国の国益に大きく資する 一方、中国としても、「イスラム国」から事実上の「ジハード(聖戦)宣言」がなされており、同一の敵に対峙することでアメリカとの信頼関係を深めると同時に、「密約」によってウイグル族弾圧の正当性を得ることができ、ウイグル族に対する「信教の自由」の侵害など、国際的な批判をアメリカの黙認によってかわすことが出来ると言えます。 実際に、9.11の同時多発テロ以降、中国は新疆ウイグル自治区に、イスラム過激派アルカイダの勢力が浸透していると主張し、当時のブッシュ政権はイスラム系独立派勢力の「ETIM」をテロ組織に指定するなど、反イスラム過激派を切り口にして同様の「約束」が交わされた過去もあります。 そして何より、しばらくアメリカは中東に釘づけにならざるを得なくなり、アジアへのリバランス戦略は有名無実化することは間違いありません。 中国はアメリカを取り込みつつ、国内における人権弾圧の批判をかわしながら、アメリカ不在のアジアで軍事的な拡張行動を行いやすくなるため、敵対関係にあるはずの「イスラム国」の台頭は、結果的に中国の国益に大きく資することになっていくと考えられます。 ◆日本の鉄則は「自主防衛の確立」と「中国における自由の革命」にあり 翻って、日本は今回のイスラム国への対応として、避難民援助など総額約55億円の中東支援を表明する見通しで、アメリカ主導の有志連合を支持する姿勢を強調するに留まっております。 確かに、国内にイスラム教徒を多くは抱えない日本としては、中東周辺国やヨーロッパ、中国などと比較して、イスラム国の脅威は感じにくいですが、既にオーストラリアなどでも、イスラム国関連のテロ計画が露見されるなど、世界中で見えない驚異が進行しているとみてよいでしょう。 また近い将来、中国によって来たるべきアジア有事において、自国民やアジア諸国を守ることが出来る自衛体制をいち早く確立しなくてはなりません。 更に、アメリカが目を背ける今、ウイグルで起こっていることは、イスラム過激派による単なるテロリズムではなく、無神論国家・中国に対して、信教の自由をはじめとするあらゆる自由の抑圧への抵抗運動(レジスタンス)であるということを、我々日本人こそが正しく理解する必要があります。 事実無根の「南京大虐殺」ではなく、現在進行形で起こっている「ウイグル大虐殺」の真実へと世界中の目が向けられ、ウイグルで弾圧される人々を救済する具体的な力となることこそ、日本の使命であると考えます。 *The FACT「よく分かる中東問題」に出演中です。こちらもよろしくお願い致します! 【第2回】「イスラム国はアメリカによって作られた!?」 https://www.youtube.com/watch?v=coT549z3X6U&list=PLF01AwsVyw33VAiV9OENVfi0W-wSMUBez 「特別の教科 道徳」設置と次なる課題 2014.09.22 文/HS政経塾 第3期生 和田みな ◆「特別の教科 道徳」 文部科学省の中央教育審議会の道徳教育専門部会は今月19日、10回目の審議を開き、最終答申案をまとめました。 今回の答申でまとめられた内容は、以下のようなものです。 道徳の時間を「特別の教科 道徳」(仮称)として格上げし、学校教育全体を通じて行なう道徳教育の要として位置づけ、理解と実践のための内容の充実を図ること。 それに伴い、目標・内容を明確にし、指導方法を改善すること、検定教科書と評価の導入、教員の指導力及び免許や教員養成課程の改善を行なうことなどです。 ◆現状の「道徳の時間」の問題点 「道徳の時間」は昭和33年に創設され、週に1時間確保されてきましたが、「教科」ではありませんでした。 平成18年、教育基本法が60年ぶりに改正され、その内容を反映するために道徳の学習指導要領も改訂されました。 その中で、道徳教育の充実を図るため「学校における道徳教育は、道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うもの」であると明記され「道徳教育推進教師」が位置付けられます。 しかし、効果には地域差があり、現場の教師に理念が浸透せず、結果として他教科に比べ軽んじられてきたことが問題視されていました。 ◆「特別の教科」への格上げの意味 このような現状から、今回の答申では、道徳教育は「道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うもの」という理念の浸透と、具体的な取り組みを推進するために、道徳の時間を単なる「教科」とするだけではなく、「特別の教科」に格上げすることがまとめられたのです。 「道徳教育」は学校教育全体で行う根源的なものです。「特別の教科 道徳」はその道徳教育の要を担う時間であり、他の教科や特別活動は道徳教育の実践の場であるという位置づけになります。これが「特別」の意味です。 この重要な意識改革を現場の先生方はもちろん、国民にも促すことができるかどうかが、今回の大きなポイントです。 ◆教育の目標「人格の完成」と道徳教育 道徳教育を「根源的なもの」と強く述べた理由は、教育とは何を目指しているものなのかという「教育の目標」に関係しています。 教育基本法では、第一章第一条に「教育の目標」は「人格の完成」にあることが述べられています。 そして今回の答申の冒頭ではこの目標を示した上で、「人格の基盤となるのが道徳性であり、その道徳性を育てることが道徳教育の使命である」と明記されました。 この点から、教育の目標を達成するための基盤が道徳教育にあるということは明らかです。 ◆道徳教育と宗教教育 「道徳」は、私立学校においては「宗教」と置き換えることが許されてきました(学校教育法施行規則の第50条「宗教をもって前項の道徳に変えることができる」)。つまり道徳教育と宗教教育は、同じく人格の完成の基礎を成すものであるということです。 また、昭和22年、文部省に設置された教育法令研究会がまとめた『教育基本法の解説』では、次のように記載されています。 「宗教的信仰が将来の国民の道徳的向上のために必要なこと、ことにそれが人格の完成及び民主主義的、平和主義社会の建設に貢献するところが大であることが認められなければならない」 この解説からは、教育の目標である「人格の完成」には、道徳教育、さらにその根源には宗教教育が必要であると読み取れます。 ◆教育界が抱える「宗教=タブー」というジレンマ 今後の道徳教育の深化には、道徳の根源にある「宗教性」を教えられるかが鍵となるでしょう。 今回の道徳部会で主査を務めた押谷由夫教授も、道徳教育の再検討を研究していく中で次のように道徳教育における宗教の重要性を述べています。 「宗教の道徳教育が果たす役割について考えざるを得なくなり」、「最も深く人間としての在り方や生き方を、自らに問いかけ実践しつつ追い求めた人々は、世間でいわれる宗教者です」、「人間として生きることの探求には、人間の力を超えたものとの対話が不可欠」(「学校における『宗教にかかわる教育』の研究1」) 一方で、今回も宗教教育は「重要な課題」であると認識され、何度か意見が出たにも関わらず、最後まで踏み込んで話し合われることはありませんでした。 教育界は、「宗教性」が重要だとは認識しつつも、「宗教教育」触れられないという「宗教=タブー」というジレンマから抜け出せずにいるのです。 ◆課題は「宗教=タブー」の払拭 ある調査では、日本人の約70%が「無宗教」であると答えていますが、一方で70~80%が「宗教心は大切だ」述べています( 橘木俊詔著『宗教と学校』)。 80年代、政教分離の米国においてレーガン大統領が、教育の荒廃と道徳の乱れを改善するため「教室に聖書と祈りを復活させる」と言ったことは有名です。 このように、「教育の中で宗教性を教えることは大切だ」と多く人が認めています。 子供たちの人格の完成、人生にとって本当に大切なものを教えられる道徳教育にするために、日本の教育界は「宗教=タブー」という凝り固まった意識を払拭し、議論すべきです。 東電悪玉論を検証する 2014.09.21 文/岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆朝日新聞の化けの皮? 朝日新聞の誤報記事の撤回、謝罪に端を発し、喧々囂々たる非難が渦巻いています。 朝日新聞側は言い訳に終始し、あたり障りのないチェック体制の甘さ等に原因を求めていますが、大方の批判の論調は、朝日が日本をおとしめるために、ある事実は取り上げ、ある事実は捨象し、恣意的に事実を捻じ曲げ、捏造したのだと見ています。 とりわけ、福島第一原発吉田昌郎所長(故人)の命令に違反し、9割の所員が現場から撤退したという「吉田調書スクープ」に関しては、後に公開された「吉田調書」を精読した上で、あのような記事が書けるという事は、意図的に「日本をおとしめる」という目的なくしてあり得ないと識者は口を揃えます。 NHK経営委員の百田尚樹氏は、九州「正論」懇話会(9/20)の席上、「(朝日新聞が)『検証した結果、誤っていた』という説明は大嘘で、政府が吉田調書の公開に踏み切らなければ、絶対に黙っていた。公開されたら嘘がばれるので、慌てて謝った」との見方を示しました。 ◆東電悪玉論という空気 特に、福島第一原発事故発生後、東電責任論が追及され、その他の電力会社に対しても厳しい視線が向けられることになりました。 東電悪玉論の空気が日本に醸成されていたと言っても過言ではありません。このような空気の中で、政治家からも感情的な発言もしばしば見られました。 例えば、自民党河野太郎衆議院議員は、昨年末自身のブログで「経産省によるボッタクリ」と題して、2012年から始まった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で、私たち消費者の電気料金に上乗せされている再エネ賦課金のうち1000億円以上が、そのまま電力会社の懐に入っている!すなわちボッタクリと批判しました。 これに関し、識者は電力事業者が私腹を肥やしているわけでもなんでもないと理論的に反論しています。 (再エネ全量固定価格買取制度の回避可能費用をめぐる迷走http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4206) この議論の中で注目すべきは、電力会社が、原価が上昇すれば電気料金上昇につながると指摘した事に関し、河野氏は、以下のように指摘します。 例えば「トヨタが、原価が上がったから当然に自動車の販売価格が上がります、というだろうか。モノの値段が市場価格で決まっているマーケットでは、原価が上昇したからといって、当然には価格は上がらない。電力会社は、まず、水膨れしたコストを削らなくてはならない」と電力会社のさらなる経営努力を要求していることです。 ◆河野太郎氏の矛盾 河野氏がこれを言うのであれば、消費増税により仕入れ価格が上昇し、原価が上昇したので小売価格を上げますという企業に対しても、消費増税も価格に転嫁せず経営努力で吸収せよ、と主張しなければ辻褄が合いません。 なぜなら、電力会社は、再生エネルギーに関しては、全量固定価格で買い取ることが法律で義務付けられており、在庫調整できる消費税より厳しい条件となっているからです。仕入れを減らすということも出来ないわけです。 消費税に関しては、政府は、「転嫁対策特別措置法」を成立させ、消費税の転嫁、すなわち値上げを推奨サポートしているのです。 消費税よりある意味強制力の強い、「再生エネルギー特別措置法」においても、電力会社に対して、原価上昇に見合った電気代値上げを推奨する立場になければ辻褄が合いません。 そこには、東電悪玉論という空気の中で、河野氏の「ボッタクリ」発言になっている面も否めないと思います。この他、河野氏は東電に対し、「東電の嫌がらせ」「東電の暴挙」という言葉を使って批判を続けています。 ◆空気に支配されないための勇気 電力会社に対する一定の批判の正当性を全て否定するものではありません。しかし、東電悪玉論が支配していた中で、幸福実現党大川隆法総裁は、「東電こそ東日本大震災の最大の被害者であるとも言える」と一定の文脈の中で発言されました。 多くの優秀な人材が東電を離れていった中で、この大川総裁の言葉に支えられ、東電に踏みとどまっている方も実際に存じ上げております。 日本をおとしめることを目的とした朝日新聞が、また東電悪玉論の発信源の一つであったことを振り返れば、私たちは空気に支配されない「勇気」を持つことが大事であると認識されます。 「南京大虐殺」の虚構――日本に仕掛けられた「宣伝戦」 2014.09.20 文/政務調査会課長代理 佐々木勝浩 ◆蒋介石が第一次大戦でつかんだ教訓 国民党軍の蒋介石は、第一次世界大戦が終わった時にある教訓を得ていました。それが「宣伝戦」です。 第一次世界大戦では、イギリスとフランスがドイツと戦いましたが、このときイギリスはドイツの残虐行為を捏造して新聞で報道しました。 イギリスの新聞『ロンドン・タイムズ』は、日本でいえば今の『朝日新聞』のように多くの人が読んでいる新聞です。 その『ロンドン・タイムズ』が、「ドイツ軍はイギリスやフランスの兵隊を煮て、そこから油をつくっている」という宣伝報道を行ったのです。 他にも『ニュースクロニクル』というロンドンの新聞が、「ドイツ軍はフランスやイギリスの兵隊を切り刻んで豚のえさにしている」と報道しました。この報道でイギリス国民はドイツ軍の残忍さを信用してしまいました。 ◆蒋介石が日本に仕掛けた「宣伝戦」 蒋介石は、この第一次大戦のイギリスがやったと同じ「宣伝戦」を日本軍との戦いで駆使したのです。 一例として、支那事変が始まり1ケ月が経ったころ、上海南駅を日本軍が爆撃しました。その時の日本の攻撃で生き残った赤ちゃんが独り座っている写真が掲載され報道されました。 日本軍は民間人に犠牲者が出ないよう爆撃したのですが、この報道によって日本軍は民間人を狙った、とんでもない攻撃したという印象を与えました。 この写真をアメリカの『ファウスト』という新聞の系列が一斉に報じたため「なんて日本人というのは残虐な民族だ」ということがアメリカで一斉に広まりました。 極め付きは、『ライフ』という雑誌にこれが報道されたのです。これを1億3千600万人のアメリカ人が見たと報じました、これが昭和12年8月で、日本軍が南京に入城する4か月前です。 ところがその翌年、『ライフ』のライバル紙がこの報道の真相を明らかにしました。 上海南駅を日本軍が爆撃したのは確かですが、その写真を見ると、これを撮ったのはウォンという中国系アメリカ人で、何人かが爆撃後に赤ん坊を抱えて連れていく写真を掲載したのです。その報道で、この赤ん坊の写真は、仕組まれた「やらせ写真」だということがわかりました。 しかし、その事実が分かっても後の祭りで、『ライフ』の報道で1億3千万人のアメリカ人が見てしまった後です。その真相を載せた雑誌は部数も少なく、結局は反日感情を煽る「宣伝工作」を打ち消す効果はありませんでした。 ◆蒋介石の宣伝戦に協力した外国人 こうして蒋介石・国民党軍側は、同じような宣伝工作を外国人や外国のメディアを使ってやっていたわけです。当然、ここには外国人の協力者がいました。 その一人がティンパーリーという『マンチェスター・ガーディアン』というイギリスで2番目に大きい新聞社の記者です。ティンパーリーは、日本が取った行動を針小棒大に本国に記事として送っていました。その記事が、後に東京裁判で「南京」が注目される根拠になっています。 ティンパーリーは、後に国民党中央宣伝部の顧問に就任した人物であり、公正・中立な第三国人を装い、さらに「反日」を広めようとしました。 ティンパーリーは、南京にいる宣教師たちと連絡を取り合い、反日の材料になる話がないか、あったら送ってもらい、昭和13年の7月に『戦争とは何か――外国人の見た日本軍の暴行』として出版しました。 同書は、東京裁判にも大きな影響を与え、これが日本の「大虐殺」の虚構のルーツともいえるものです。 このようにして第一次世界大戦でイギリスがドイツに対してやったことと同じように蒋介石・国民党軍は「反日宣伝」を行ったのです。 これを裏付ける資料として国民党軍国際宣伝処処長の曾虚白は、「お金」を出してティンパーリーとスマイス(『スマイス報告』)に日本軍の南京における虐殺の「目撃録」を書いてもらったと『曾虚白伝(上)』で記しています。 つまり日本は「南京戦」では勝ちながら、しかし「宣伝戦」に敗れたということが言えるかもしれません。 ◆松井石根大将の霊が証言 さて、話は変わりますが9月17日、大川隆法総裁が、南京攻略戦の司令官・松井石根大将を招霊し、当時、南京で何が起こったのか取材を試みました。 これは、「松井石根大将の霊に話をお聞きする」という普通ではあり得ない「奇跡」を実現したものです。 写真や文献として検証では、これまでも多くの識者によって「南京」の真相が明らかにされてきましたが、当時の当事者である松井石根大将を招霊することは大川隆法総裁にしかできないことです。 ■9/19(金)発刊! 『南京大虐殺と従軍慰安婦は本当か—南京攻略の司令官・松井石根大将の霊言—』 http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1272 「南京大虐殺論争」に終止符を打つ当事者の証言! 「虐殺など、断じてありえない。誇り高き国に、もう一度なっていただきたい!」 世界に誇るべき「大和魂」について考える 2014.09.19 文/埼玉県本部副代表 佐々木 まさこ ◆日本人の心「大和魂」にある二つの精神 先日、朝日新聞のスクープである「吉田調書」と合わせて「慰安婦報道」の誤報について、朝日新聞木村社長が謝罪会見を行いました。 この二つの誤報によって発された記事が、いかに日本の誇り、名誉を傷つけ、貶めたか、その損害は計り知れません。自虐史観が日本を覆い、「日本は悪い国」という誤った観念が、政治、経済、外交、教育、ありとあらゆる場面で、日本の国益を損ねてきました。 今回はあえて、「日本人の心」ともいうべき「大和魂」について、考えをはせてみたいと思います。 阪神大震災、東日本大震災の際、驚くべき日本人の姿勢として海外に報道されたのが、強奪も起こらず、助け合いの精神で、苦境に耐え抜く日本人の姿でした。「社会的秩序」「人間の連帯」と、悲劇の中、世界的賞賛を受けたことは記憶に新しいところです。 日本が世界に誇るものは、学術、技術、文化、歴史、美しい自然、そして不屈の経済力と多々あります。しかしその中でも特筆するべきは「大和魂」ではないでしょうか。 「大和魂」で、思い浮かぶのは、本居宣長の下記の和歌です。 敷島の大和心を人問はば 朝日に匂ふ山桜花 山中に凛として咲く桜花という、心象風景として謳った和歌ですが、「大和心」を具体的に定義することは難しいものです。 しかしあえて、その精神性を分析するとしたならば、「和を以って尊しとなす」の和の精神と、「尚武の気風」の武士道精神の二つに分けることが可能かもしれません。 私は埼玉に移り住んで25年、大宮(現在はさいたま市大宮区)の武蔵一ノ宮氷川神社に、毎年の初詣、また子供たちのお宮参り、七五三、入学祝い等、家族揃って鳥居をくぐり、手を合わせてきました。 境内にたたずむと、その静寂が心に沁み渉るのと同時に、神代の時から連綿と続いてきたであろう、その「神域」自体に、心が揺さぶられます。 神社は不思議なもので、普段は神寂びた「神域」そのものでありながら、ひとたび「祭り」ともなると一大活況を呈して、荒ぶる神々の競い立つ場ともなります。 この神々の「静」と「動」の両面の姿こそが、「和」と「尚武」という大和魂そのもの、日本民族の特質を体現しているのかもしれません。 常日頃は、「和」の清明な心で自然とも、他者とも調和し、道徳心に富み、平和そのものでありながら、ひとたび決然として立てば、断固として鬼神も避ける「尚武」の武者振りを示す、この大和魂こそが、世界に誇る日本の精神性ではないでしょうか。 ◆荒魂と和魂 平成の二つの大震災で示した被災者や救援隊の精神性と道徳性。そして大東亜戦争で示された特攻隊の献身と自己犠牲。世界を感奮させた、この「大和魂」は、日本神道における、神の霊魂には二つの側面があります。 この二つの側面、「荒魂(あらたま)」、そして「和魂(にぎたま)」という考え方に、日本人の精神性の源流があるのではないかと思います。 「荒魂」とは、天変地異や争い、時には祟りとも言うべき現象を起こす、神の持つ荒々しい側面を表しています。「和魂」とは、雨や日光の恵みなど、神の優しく平和的な側面を表しています。 成功、勝利、発展、繁栄するもの、例えば戦争の功労者を神社に祀り(東郷神社、乃木神社等)、また、天照大神のように、穏やかな女性の神を主宰神として祀っていることを思うと、日本神道には二面性があり、それが日本人の精神性を培っていると考えられます。 ◆日本1万年の歴史 ところで記紀の以前の日本の天地創造の歴史書に当たる古文書に「竹内文書」があります。他にも「ホツマエタヱ(秀真伝)」という古文書があり、これは「古代文字」で書かれています。 「ホツマエタヱ」は、中国から入ってきた漢字は使っておらず、「漢字以前の文化が日本にあった」ことを示しています。 この「ホツマエタヱ」には、記紀で日本最古の神と書かれている「天御中主神」より古い神「天御祖神」という造物主、天地創造の神が記述されています。 つまり、「中国5000年の歴史」より古い「日本1万年の歴史」がある可能性がある、ということであり、天地創造の神の記載があることからも日本神道は、民族宗教を超えた、世界宗教の要素を有しているともいえます。 「漢字、稲作、宗教、文化、すべて中国大陸から日本に入ってきている」という、中韓の押し付けがましい考え方も、また自虐史観の元になっていること考えると、これから学術的にも真相を明らかにする必要があるでしょう。 ◆「埼玉」の語源は「幸魂」 先ほど述べた「和魂」をさらに分霊したものには「幸魂(さきみたま)」と呼ばれるものがあり、この「幸魂」が「埼玉」の語源になっています。 私も、埼玉の地で政治活動を続けながら、幸福とは何かを考え、そしてそれを具現化し、埼玉に発展繁栄、幸福を実現する使命を果たしていきたいと思っています。 どうなる?スコットランド独立を問う住民投票~日本は何を学ぶべきか 2014.09.18 文/HS政経塾部長 兼 政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ ◆本日発表、スコットランド住民投票の結果 スコットランドの独立を問う住民投票が始まっています。開票結果は、本日の午後3時頃までに判明する予定です。果たしてどのような結果となるのでしょうか? 8月以降、独立賛成側が支持を伸ばし続け、今や世界中がその結果に注目しています。スコットランドの主要な三つの世論調査(16日時点)では、反対が4ポイントリードしていますが、約1割の態度未定者があり、依然として賛成と反対が拮抗しています(9/18東京、9/18毎日)。 スコットランドの独立側が勝った場合、2016年3月までに独立への具体的なプランを協議していくことになりますが、確かな見通しはあるのでしょうか。 ◆スコットランドの独立の厳しい見通し 独立を選択した場合、その道は険しいものとなりそうです。4つのポイントを挙げたいと思います。 1)使用する通貨が決まっていない 独立した場合に、どの通貨を使用するのかが決まっていません。独立推進派は、ポンドを使用できる通貨同盟を提案していますが、今のところイギリス政府は反対しています。したがって、独自通貨にするか、ユーロを使用するかの選択をすることになりますが、いずれも道のりは簡単ではありません。 ◇独自通貨導入の場合 通貨の信用を保つことは簡単なことではありません。当面は十分な外貨準備が不可欠ですが、スコットランドが独立を決めた場合、大手の金融機関は、本社をイギリスに移すことを宣言しており、大規模な資金流出が予想されます。 ちなみに、大規模な資金流出によって、通貨が下落してあっという間に国の財政破綻に陥ったことは、かつてアルゼンチンやアイルランドでも起きたことです。 ◇ユーロ導入の場合 ユーロを使用するとした場合は、自分で金融政策をおこなうことができません。 北海油田の収入に頼ろうとしていることからも、これといって経済を牽引する産業がスコットランドにはないので、厳しい財政規律を課せられて、経済が停滞する可能性は高いといえます。 2)債務の利率が上がる 財政面では、政府債務をイギリスとスコットランドで分け合うことになると言われています(9/18毎日8面)。独立したスコットランドへの信用が高まることは考えにくく、債務の利率が上がり、利払い費が上がり、想定よりも社会保障に資金が回らない可能性もあります。 3)当てにしすぎるのは危ない北海油田の収入 北海油田の収入を、財政再建に当てようと考えているようですが、「油田埋蔵量を大幅に水増しして見積もっている」という指摘もあります。 仮に油田埋蔵量が豊富にあったとしても、シェールガスの台頭や、メタンハイドレードの開発も進んでおり、将来的に油田収入がどうなるかは不透明です。 資源国からの収入への過度な依存から脱却しようとしているのがトレンドでもあるので、この点から見ても、油田への過度な期待は危険ではないでしょうか。 4)安全保障上の不透明な見通し スコットランドには、イギリス海軍の核戦力が配備されており、独立側は2020年までに撤去すると主張しています。 これはイギリスだけの問題ではなく、北大西洋条約機構(NATO)の安全保障にも影響を与える議論となります。独立派は、NATOへの加盟を想定していますが、加盟そのものがスムーズに進まない可能性があります。 ◆日本にとっての影響は? 当然のことながら、イギリスは経済面でも安全保障面でも日本にとって大切な国です。 2012年4月の日英の共同声明では、日本の安保理常任理事国入りを支持することを表明していますし、今年の5月の安倍首相の訪英でも防衛装備品の共同開発の推進や、安全保障の協力推進などを確認しています。 日本がとやかく言うべきことではないかもしれませんが、スコットランドが独立することで、イギリスの国際的なプレゼンスは下がることは、日本にとっては望ましいとはいえないと思います。 ◇イギリスにも、経済活性化への大胆な構想が不可欠 スコットランドは、伝統的に労働党の支持基盤であり、北欧型の高福祉社会を志向する傾向がありましたが、不満が高まっているのも、経済が停滞している点に原因があります。 キャメロン首相は、独立をしない場合は、スコットランドに対して大幅な権限移譲をすることを提案していますが、それだけではなく、イギリス全体の経済成長を促進する構想が必要ではないでしょうか。少なくとも、金融サービス以外の産業を育てることを早急に検討するべきです。 スコットランドは、経済学の祖アダム・スミスを輩出している地でもあります。 イギリスが、ピンチをチャンスに変えて、21世紀の国富論を実現する方向へと舵を切ることを期待したいと思います。 日本としては、イギリスの苦しみを教訓として、新産業の構想や法人税を大幅減税(小出しではなく)するなどの経済成長政策を推し進めるべきではないでしょうか。 中東問題でも存在感を示せる日本へ 2014.09.17 文/徳島県本部副代表 小松由佳 ◆「イスラム国」への本格的空爆開始 米オバマ政権は、イラクとシリアで勢力を広げるイスラム教スンニ派過激派組織「イスラム国」の打倒を目指し、8月8日からイラク内の同組織拠点などへの空爆を行ってきました。 米政府は当初、空爆の目的を自国民や避難民の保護に限っていましたが、今月10日に「イスラム国」打倒を最終目標とする新戦略を示し、「イスラム国」と対決するイラク政府軍の支援や、「イスラム国」の本拠地であるシリアも空爆対象に含めることを表明しました。 そして、14・15日、米軍はバクダッド南西部とイラク北部で計2回の空爆を実施し、8月8日以来の空爆は計162回となりました。米調査機関ピュー・リサーチセンターが15日に発表した米国内世論調査では、回答者の53%がオバマ政権の軍事行動を支持しています。 オバマ大統領は、地上部隊の派遣は否定していますが、米制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長は16日、「脅威が米国に迫れば、そのときは大統領に進言する。進言には、地上部隊の使用も含む可能性がある」と議会で証言しました。この発言が波紋を広げていますが、自国を守るためにあらゆる可能性を考慮すること自体は、当然のことでしょう。 ◆国際社会の協力体制 各国も協力体制を築きつつあり、9月初めに同問題についての閣僚級会合が開かれ、米、英、仏、独、カナダ、オーストラリア、トルコ、イタリア、ポーランド、デンマークの10カ国を中心に、同月下旬の国連総会までに「有志国連合」を発足させる方針を確認しました。 15日には、パリでも国際会議が開かれ、シリアやイランは不参加だったものの、ロシアや中国をも含む約30カ国・機関の外相らが参加し、イラク政府を支援すべく「適切な軍事支援を含め、必要なすべての措置をとる」との共同声明を発表しました。 イラク上空で偵察飛行を行っているフランスや、UAEへの戦闘機派遣を発表した英国やオーストラリアなども、軍事介入を行う可能性が出ていますし、紛争当事国への武器供与を自粛してきたドイツすらも、長年の外交方針を転換し、イラク北部で「イスラム国」と戦うクルド自治政府への武器供与を表明しています。 ◆シリア問題先延ばしのツケ このように、イラクでの作戦に対する協力体制は整い始めていますが、米国が同様に空爆準備を進めるシリアについては足並みが乱れ、同声明でも言及されませんでした。 「イスラム国」の壊滅のみを目指すなら、イラク同様、シリアの政府軍と協力するのが効果的ですが、米欧や周辺国の大半は、独裁下で自国民を弾圧・虐殺してきたアサド政権とは対立してきましたし、当然ながら協力するわけにはいきません。 かといって、シリア内の穏健派反政府勢力は、米軍と協力して戦えるほど有力な勢力にはなっていません。オバマ政権はこれまで、内戦の火に油を注ぐとして、彼らと距離を置いてきましたが、シリア問題を放置してきたツケが回ってきたと言わざるを得ません。 そこで、米政府は、空爆の準備と並行して、これら穏健派勢力への武器供与や訓練も急いでおり、今後1年間で約5億ドルを投じる計画を立て、議会に早期承認を求めています。サウジアラビアなどの湾岸諸国も、これらの勢力への資金供与を行うと見られています。 ◆より一層の国際貢献を目指して 一方、日本は、集団的自衛権についての7月1日の閣議決定においても、「武力の行使」を認めていない現行憲法の下では、他国の「武力の行使との一体化」が起きないよう、他国が「現に戦闘行為を行っている現場」での支援活動は、実施しないことを定めています。 菅官房長官も今月16日、「イラク政府や各国政府によるテロとの戦いを支持したい」としつつも、「日本としては、軍事行動はできないから、人道支援を実施するほかない」と述べました。政府は、6月までに行った計780万ドルの緊急無償資金協力に加え、新たに1千万ドルを大幅に上回る資金の拠出方針を固めましたが、使途は人道支援に限るとしています。 こうした中、日本時間の17日には国連総会が開幕し、安倍首相も出席を予定していますが、24日には、首脳級の安全保障理事会が5年ぶりに開かれ、オバマ大統領が議長を務める予定で、最大のテーマは「イスラム国」対策になると見られています。 資金援助であれば、米政府も12日、シリア近隣諸国への約5億ドルの人道支援を表明しています。「テロとの戦い」という国際社会の課題において、日本は十分な役割を果たしていると言えるでしょうか。「イスラム国」には、日本人も拘束されており、日本は当事者でもあります。やはり、先の閣議決定に満足することなく、「世界の警察官」たる有志国連合に加わるべく、憲法9条改正に向けたさらなる世論喚起が必要です。 ましてや日本は、来年で創設70周年となる国連改革に向け、安保理常任理事国入りを目指しています。そうであるならば、集団軍事行動を決定する権限を持つ安保理のメンバーとしてふさわしいだけの資格を備えていると、国際社会に示さなくてはならないのです。 スコットランド独立問題から考える国家の在り方 2014.09.16 文/兵庫県本部副代表 湊 侑子 ◆9月18日 スコットランド住民投票 英北部のスコットランド独立の是非を問う住民投票が9月18日に実施されます。 キャメロン首相はスコットランド引き止めを強く訴えることに加え、自治権の拡大や税制の優遇を約束。政治に関して中立を保つエリザベス女王も「人々は将来のことを慎重に考えてほしい」と発言し、話題を集めています。 住民投票では、「スコットランドは独立国家になるべきか」の1問のみが問われ、「賛成」「反対」をスコットランド530万人のうちの16歳以上の有権者が実施します。 最低投票率は設定されていないため、賛成が過半数を超えれば2016年に独立となります。現状の世論調査では、独立賛成派と反対派の勢力は拮抗しています。 ◆スコットランド独立の問題点 スコットランド独立を願う要因は様々にあるでしょうが、大きな原因の一つは税金です。 キャメロン首相が提案した自治権の拡大の中には徴税権の譲渡も含まれているように、イギリスによる重税に苦しんできた歴史は長く、現在は北海油田を擁しながらも年間8000億円以上の税収を支払っていることが住民の大きな不満です。 独立賛成派は、北海油田の完全なる所有権を主張し、これらの税金で福祉や社会保障が充実した社会主義国家(北欧型国家)をつくる事を目指しているようですが、独立するならばポンドを使わせないとイギリスから通告されるなど先行きは不透明で、思い通りになりそうにはありません。 一方、イギリスにとってもスコットランドの独立は大きな痛手です。自国内をまとめることもできないということでEU内での影響力が低下、ウェールズ地方も独立を言い出すなど混乱が広がることが予想され、通貨価値も下落するでしょう。 なによりも国防面に関して大きな問題を抱えています。イギリスの核兵器は、すべてスコットランドのクライド海軍基地に配備されています。 スコットランドは核兵器を安全に廃棄し、永久に領内に持ち込みを禁ずるとの公約を発表しているため、これらの核兵器の移動と今後の運用をどうするかの問題が発生します。 スコットランド独立運動は、11月に住民投票を控えるスペインのカタルーニャ自治州をはじめ、スペインのバスク自治州やイタリアのヴェネチアなど欧州各地での分離独立運動を刺激することになります。 EU各国の中央集権の力が弱まる一方で、自治区が独立し、国が増加。これらがEUに加盟すれば、今以上にリーダー不在の小国の集まりとなります。 イスラム国への対応など難しい問題を解決しなければいけないにも関わらず、さらなる機能不全に陥ることが懸念されます。 ◆自治区問題と国家との関係性 自治区独立運動を警戒する中国は、ウクライナや欧州の独立運動を警戒しつつも、日本の沖縄の独立運動を応援するなど、自国に都合のよい矛盾した行動をとっています。 香港では、中国共産党の後押しによる“親中派”デモが先月初めて行われ、10万人が参加しました。デモに参加させるため、中国大陸から大量の中国人を運んできたバスにより、道路は大渋滞したようです。 中国支配の強化に反対する香港市民が今月14日、1千メートルの黒い布を持って香港中心部でデモを起こし、来月1日にも金融街において大きなデモを行う予定です。 世界各地における自治区の独立運動は、国家とは何か、ということを私たちが考え直さなければならない時期に来ていることを教えています。 イギリスのサッチャー元首相は、イギリス国民が元来の美徳である節制や勤勉、責任感や義務感を失い、自嘲的で怠惰なイギリス病にかかり国が凋落していこうとしているのを、15年以上かけて克服しました。 その信念は、“偉大なるイギリスは復活する”という確信と、“国は国民の将来に義務を負っている”という責任感でした。 今もとめられているのは、国の理想像を明確に示し、その目標に向かって国民を率いながら、国民一人一人の可能性を最大限に発揮できるような国であり、その指導者ではないでしょうか。 重すぎる税金を課し、私有財産や自由の侵害をしたり、生命を奪うような国家は間違った国家であることが明らかです。 国家目標を明示して国民をまとめつつ、奪うことではなく、自らができることは何なのかを考える国民を増やす教育を行うことも重要です。 日本は新しい国家像を世界に提案できる国を目指さなければならないと考えます。 すべてを表示する « Previous 1 … 140 141 142 143 144 … 253 Next »