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給付金は「資本主義の精神」を破壊する――守るべきは、近代日本を築いた「勤勉の哲学」【後編】

http://hrp-newsfile.jp/2022/4304/

HS政経塾スタッフ 遠藤明成

◆経産省がスポーツ賭博の解禁を検討?

現政権のいう「資本主義」の中身の疑わしさは、他の例をみてもよくわかります。

6月7日、読売新聞が朝刊一面で「スポーツ賭博の解禁案、経産省議論へ」と題した記事を掲載しました(※読売の独自取材)。

そこでは、「経済産業省が、スポーツの試合結果やプレー内容を賭けの対象とする「スポーツベッティング(賭け)」の解禁に向けて取りまとめた素案が判明した」と報じられています。

同紙によれば、素案には、野球やサッカーなどのスポーツを見ながらスマホなどで試合の勝敗などを賭ける「スポーツ賭博」を解禁し、賭けを運営する業者からお金を取れば、スポーツ業界の収益増につながる、という構想が書かれているそうです。

しかし、それが解禁されれば、ギャンブル依存症患者の増加が懸念されます。

最近は、「試合中に選手が次にどんなプレーをするか」ということも賭けの対象になっているので、それが選手の八百長行為を招きかねません。

そのため、読売は「八百長やギャンブル依存を招きかねないスポーツ賭博には反対論が強く、スポーツ界はじめ各界の猛反発は必至だ」と結んでいました。

こうした政策もまた、資本主義の精神に反しています。

富というものは、「勤勉の上に築かれなければならない」からです(大川隆法著『釈迦の本心――政治編』宗教法人・幸福の科学)。

これは、安倍政権の頃から続く、「公営ギャンブル」の範囲を広げるプランです。

自公政権は、刑法では賭博が禁じられているのに、特別な法律で例外的に認められる競馬や競輪などの「公営ギャンブル」を増やし、経済を活性化させようとしてきました。

2018年には、カジノを含んだ統合型リゾート(IR)施設を整備する「IR推進法」が成立しています。

これに対して、大川隆法党総裁は、次のように批判しました。

「個人の罪のほうを放置して、公のほうがそれを推進するのは、バランスを欠いているのではないでしょうか」

(カジノを)「『違法ではない』とするだけの根拠がありません。公がカジノをしたとしても、個人の破滅につながる恐れがあることでは同じだからです」(大川隆法著『繁栄への決断』幸福の科学出版)。

今回の経産省の「スポーツ賭博の解禁案」も、同じ問題を抱えています。

「お金が儲かり、税収増につながるから、それでいい」というのでは、経済倫理は成り立ちません。

◆「資本主義の精神」があってこそ、経済政策は意味を持つ

岸田首相は「新しい資本主義」を目指し、「分配なくして次の成長なし」と訴えました。

自民党は、給付金の「分配」に力を入れています。

公明党も、立憲民主党も、国民民主党も、共産党も、れいわ新選組も、負けじと分配を叫んでいます。

しかし、資本主義の根本には「勤勉の哲学」がなければなりません。

大川隆法・幸福実現党総裁は、岸田首相が分配のことばかりを考えていることに警鐘を鳴らしています。

前任者(菅首相)は、まだ「自助・共助・公助」と言っていましたが、岸田首相からは「勤勉に働く」という言葉が、まったく出てこないからです。

そして、「勤勉の哲学」を体現した二宮尊徳の生き方のなかにこそ、「資本主義の精神」があると指摘しました。

(以下、大川隆法著『減量の経済学』幸福の科学出版より引用)

(尊徳は)「荒れ地を開墾して菜種を植えて、油を採って、それをまた売ってお金に換えて、自分でゼロから価値を生み出しています。

そして、とうとう背中に薪を背負って、本を読みながら歩いている、小学校によく立っていた二宮尊徳像、あれが「資本主義の精神」なのです。

だから、質素倹約をするところでは質素倹約をしながら、「勤勉の哲学」を失わずに自分の時間密度を高めていく。それから、人間的活動としての付加価値を増やしていく。これが全体の潮流になってくれば、国としては発展して富んでいくことになるわけです」

(引用終わり)

今の日本では、与党も野党も、給付金の分配を公約し、国民の「勤勉さ」を失わせるような経済政策を掲げています。

これは、ひとときのバラマキで票を稼ぎ、国民の未来を奪う、亡国の道です。

我われは、「地獄への道は善意で舗装されている」という格言を忘れてはなりません。

本来、資本主義の根源にあるものは、「時は金なり」という格言を体現したベンジャミン・フランクリンのような勤勉な生き方だからです。

二宮尊徳のように、「質素倹約をしながら、『勤勉の哲学』を失わずに自分の時間密度を高めていく」生き方です。

日本が明治以降、栄えてきたのは、そうした「勤勉の哲学」をもった偉人が数多く出てきたからです。

「天は自ら助くる者を助く」と訴えたサミュエル・スマイルズの『自助論』が翻訳され、ベストセラーになったころ、豊田佐吉は産業報国の志を立て、今のトヨタグループの源流を築きました。

我われが今、豊かな国で生きているのは、当時の人々が、志を立て、刻苦勉励する生き方を、後世の人たちのために残してくれたからです。

そうした伝統を破壊し、分配ばかりを欲しがる人を増やすような経済政策は間違っています。

バラマキ政策が主流になれば、「再配分システムのなかにおいて、個人個人がやる気をなくしていって、真面目に働いた者がバカを見るというような社会」がやってきます。

そうした暗黒の未来を阻止し、日本の未来を拓くためにも、幸福実現党は、小さな政府と安い税金、勤勉革命の実現を訴えてまいります。

【参照】
・大川隆法著『減量の経済学』幸福の科学出版
・大川隆法著『繁栄への決断』幸福の科学出版
・大川隆法著『釈迦の本心――政治編』宗教法人・幸福の科学
・朝日デジタル「コロナ給付金詐欺容疑者、20代以下68% SNSで『安易に加担』」編集委員・吉田伸八 2022年6月15日
・読売オンライン「【独自】スポーツ賭博の解禁案、経産省が議論へ…八百長や依存症懸念で猛反発は必至」2022/06/07

遠藤 明成

執筆者:遠藤 明成

HS政経塾

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