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「れいわ新選組」に「ゆりかごから墓場まで」送られたいですか?

http://hrp-newsfile.jp/2019/3662/

HS政経塾スタッフ 遠藤明成

◆過激政策で人を集める「れいわ新選組」

れいわ新選組を立ち上げた山本太郎氏は過激な政策で一目を集めています。

ひたすらに政府がお金を使い、配る政策を並べ、そのために国債を発行することを主張しています。

それで「暮らしがよくなる」と思う方もいらっしゃるようですが、この政策には、以下の3つの問題点があります。


問題点(1):「政府が国民を養う」という「親方日の丸」的な発想

その典型は、一人あたり3万円の「デフレ脱却給付金」や「生活保護基準の引上げ」(年収200万円以下世帯をゼロに)、「戸別所得補償」(自給率100%。第一次産業につけば政府が安定した生活を保障)などです。

何もしなくても200万円が手に入り、家庭の頭数だけで給付金が増えるのなら、働くこと自体が馬鹿らしくなります。

農林水産業者の生活を国が保障するというのは、事実上の国営化と同じです。

この場合、毛沢東時代の中国や旧ソ連のように、生産性が低い体質の中で、不当に高い農産物ばかりが供給されます。

(国が農産物を買い支え、安く売っても、その費用は国民が負担した税金などで賄うことになる)

また、「全国一律の最低賃金1500円を政府が補償する」と主張していますが、これは今の最低賃金の7割増しにあたります。

地域によっては、いきなり二倍になるのです。

そんな費用は中小企業にないし、それを国が負担するのなら、企業経営の自主性が脅かされます。

最低賃金は支払いを義務付けられているのに、企業にそのお金がないのなら、政府にお金を出してもらうしかありません。

この場合、企業は人件費を負担する政府に頭が上がらなくなるのです。

こんなバカげた体制の下では起業家を目指す人がいなくなり、みなが公務員を目指すようになります。

◆問題点(2):民間でできることを政府がやるという無駄

これは「公的住宅の拡大」や「公務員の増加」(介護や保育などの福祉分野)、「奨学金チャラ」(555万人への奨学金徳政令)などです。

住宅建設は民間でもできます。

公的住宅を拡大する必要はありません。

保育や介護などは、規制緩和などで民間の役割を拡大すべきです。

その従事者を公務員化する必要もありません。

また、「奨学金チャラ」で低所得層の教育支援を続ける場合、国が奨学金を負担する以外の道は考えられません。

つまり、大規模な教育無償化と解釈できますが、この場合、私学まで含めて授業料を国が負担することになります。

授業料を通じて私学までが国で賄われ、国から独立した自由な教育を目指すという私学の意義がなくなるでしょう。

私学の自由を貫いた福沢諭吉のような教育人が二度と出てこない社会になるのです。

◆問題点(3):「無限に国債を刷れる」という錯覚

「れいわ」は、財源は国債発行が中心だと言っています。

しかし、国債は、政府に税金や社会保険料といったお金を集める力があることを根拠にしています。

税金や社会保険料を無限に取れない以上、刷れる国債にも限りがあります。

「れいわ」のバラマキ政策にはいくらお金がかかるのかさえわかりません。

正しいかどうかは別として、共産党でも、お金の見積もりは出すのに、れいわには何の見積もりもありません。

「れいわの政策をすべて実施するのに、いくらお金がかかり、そのためにどれだけの国債が必要なのか。そして、物価がどれだけ上がるのか」という見積もりがないのなら、国債で財源を賄えるという主張は、空約束と同じです。

◆れいわ新選組の目指すものは「親方日の丸社会」の建設

「れいわ」は景気対策の公共投資も掲げているので、ケインズ政策に福祉拡大を合わせたような案になっています。

ケインズ政策に福祉を組み合わせ、「ゆりかごから墓場まで」という標語を掲げたのは第二次世界大戦後のイギリスでした。

その結末は「英国病」といわれる慢性的な経済の斜陽化でした。

れいわの政策が実施されれば「日本病」が延々と続き、日本経済そのものが「墓場」に送られてしまうでしょう。

その行き着く先は、国民のほとんどが政府に養われる「親方日の丸」社会です。

その中身は「社会主義経済」の実現と大差なく、昔の英国のように、企業は活力を失い、優れた国民は海外に逃亡する未来が待っています。

要するに、ストライキばかりしていた国鉄のような状態が日本各地に実現するということです。

◆なぜ、幸福実現党は「消費税廃止」から「5%の維持」に転換したのか

山本氏がいう「消費税廃止」に関しては、09年に幸福実現党も訴えたことがあります。

しかし、民主党政権の成立後、政府が構造不況を長引かせ、財政赤字を増やす路線を採ったので、経済の根幹が破壊されると見て、消費税廃止に替わるプランを打ち出しました。

その経緯は、大川隆法党総裁の『危機に立つ日本』に書かれています。

「二〇〇九年夏の段階であれば、消費税の廃止によって消費景気を起こし、景気の浮揚、拡大に入れるチャンスがありました。しかし、公共投資をあれだけ中止していけば、確実にゼネコン不況が始まります」

(民主党政権は)「銀行不況を引き起こしかねないような金融モラトリアム法を制定しようとしました(最終的には、罰則を伴わない内容の「中小企業金融円滑化法」が制定された)。

「経済の根幹の部分がどんどん詰まってくるので、大きな構造不況が起こり、消費税を廃止するぐらいでは救えないレベルまで突入する」

その結果、経済の基盤を立て直すために政府が力を発揮しなければいけなくなるので、幸福実現党は、財源として消費税は5%は維持する路線に転換しました。

「積極的な、あらゆる策を講じないかぎり、いったん沈んだ“タイタニック”を引き揚げることは至難の業」だという認識のもとに、現在の経済政策が出てきたわけです。

◆幸福実現党とれいわ新選組の前提は違う

経済の根幹が破壊される政策と同時に、消費税廃止を並べることはできません。

れいわ新選組の言う通りにすれば、日本全体が「親方日の丸」社会となり、企業の競争力は損なわれていきます。

その結果、日本経済が凋落し、税収が下がり、国債を担保することもできなくなるでしょう。

その先にあるものは、国家の破たんです。

「れいわ」は「大企業は悪。内部留保を貯め込むだけで国民に還元しない」と言っていますが、日本の競争力を高め、自由の大国を築くためのプランがないのです。

パイを切って配ることには関心があるのですが、経済のパイそのものを大きくするための戦略がありません。

◆安全保障は完全崩壊

「れいわ」は、安全保障に関して「辺野古基地建設の中止」や「普天間基地の即時運用停止」、「在沖海兵隊にはカリフォルニア等への移転」等を掲げています。

これは、鳩山内閣で「県外移設」に失敗したことから何も学んでいません。

そして、「対等な同盟関係」を築くと言っていますが、自衛隊が米軍を代替するプランなしに、一方的な要求を並べても「NO」という返事しか返ってくるはずがないのです。

これは、融通が利く国内政策とは違い、同盟は、日本が自由にできない主権国家を相手にしていることを無視した政策にすぎません。

それが分からなかったのが、民主党政権の限界でした。

「れいわ」は「原発即時禁止」を打ち出し、「エネルギーの主力は火力」(自然エネも拡大)と言っていますが、そもそも原発をつくったのは、中東有事や台湾有事などで燃料断絶が起きるリスクへの備えでした。

ホルムズ海峡で緊張が高まる中で、火力依存でよいと言うのは、国民に対して無責任です。

その通りにすれば、日本をエネルギー断絶のリスクにさらすことになります。

◆まともな減税政党は幸福実現党のみ

既成政党は「増税中止」は言えても、消費税5%への減税は言えません。

れいわの消費税廃止は、日本の「親方日の丸化」がセットなので、破綻しています。

現時点では、やはり、消費税5%への減税を唱える幸福実現党以外に、まともな減税政党はないのです。

【参照】

・大川隆法著『危機に立つ日本』(幸福の科学出版)

・れいわ新選組HP

遠藤 明成

執筆者:遠藤 明成

HS政経塾

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