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止まらない円安スパイラル。日本経済の信用を取り戻すために必要な一手とは?

*当記事は動画サイト「TruthZ」に連動しています。
下記の動画を併せてご覧頂き、チャンネル登録もよろしくお願いいたします。
https://youtu.be/bTZgWzhypRI

幸福実現党政務調査会 西邑拓真

◆生活に直撃している円安

円安・ドル高水準が続いています。円相場は一時、1ドル=160円台にまで下がり、34年ぶりの円安ドル高水準となりました。

円安は輸入物価の上昇で、生活必需品となる食品の値上がりを招いており、私たちの生活を直撃しています。

34年前、1ドル=150円台の水準に達したのは、円安から(アメリカのドル高を是正する)プラザ合意を経て)円高に向かう流れであり、今は反対に円高から円安方向に突き進んでいます。

円が安くなることで、日本がだんだん貧しくなっている状況にあると言えます。34年前の米国の物価は日本の半分だった一方で、現在は2〜3倍になっていると言われています。

円安の影響で、今のGW(ゴールデンウイーク)の旅行先についても、「国外に行きたいが、円安が進みすぎているため、行くなら国内(*1)」といった声も出ており、円安を理由に海外旅行を敬遠する動きも現に見られます。

◆円安・ドル高の傾向に影響を与える要素とは

円安・ドル高の傾向に大きく影響を与えている要素が、日米の金融政策の方向性の違いです。

例えば、日本国債よりも米国国債の方が、金利が高い場合、高い運用益を得られるとして投資家などによる円売り・ドル買いの動きが進みます。このように、日米の金利差の大きさが為替相場に大きく影響を与えているのは事実でしょう。

米国は特に2022年6月以降、金融引き締めをして政策金利の引き上げを行っている一方、日本は今年3月にマイナス金利を解除したとはいうものの、本格的な利上げまでには至っていません。

政府・日銀は円安是正のため、ドルを売って円を売る為替介入を、4月29日には5兆円規模で、2日にも3兆円規模で行ったとされています。一時、円高方向に動いたものの、円安基調が変化しているとまでは言えず、為替への影響は限定的で、焼石に水と言えるでしょう。

日本時間の2日未明、米国FRBの連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれ、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利を5.25-5.5%に据え置くことが決められました。早期に利下げが行われるという観測が後退し、やはり当面は円安・ドル高基調が続くとみられます。

もちろん、金利で為替の全てが決まるわけではありません。この30年、日本経済はゼロ成長が続き、財政状況も悪化の一途を辿り、政府の債務は1200兆円超にのぼる状況です。今、円が売られているということは、日本経済に対する期待、信用が失われていることをも意味します。「強い円」に戻るには、日本は健全財政の下、「正しい政策」で力強い経済を取り戻さなければなりません。

◆円安・ドル高を抑えるために本来必要となる「減量」

さて、当面の円安傾向に歯止めをかけるには、何が必要なのでしょうか。日銀が利上げすれば良いかといえば、そう簡単なことではありません。

日銀が利上げを行い、国債金利の上昇を許容すれば、これは政府にとっては利払費が増え、財政のやりくりが今よりさらに厳しいものになることを意味します。日銀が金利を上げたくても上げられないのは、やはり政府の財政状況が悪いという側面があるのです。

やはり、少なくとも、金融政策に自由性を持たせるためには、政府は無駄な仕事をなくす「減量」を徹底的に行い、歳出の見直しをかけなければなりません。

一方、米国の場合、政策金利が高止まりしているのは、米国でしつこいインフレが継続し、それを鎮圧しようとしているに他なりません。

しかし、FRBが金利を上げれば、インフレは本当に収束するのでしょうか。

一時15%程度の物価上昇をも記録した、80年代初頭に米国で生じたグレートインフレーションに対し、当時のポール・ボルカーFRB議長は強烈な金融引き締めで対応しました。

BNPパリバ(エコノミスト)の河野龍太郎氏は、石油ショックを機に顕になった当時の米国でのインフレは、実はジョンソン政権、ニクソン政権における拡張財政路線が大きく影響を及ぼしており、インフレを鎮めたのは実は、「小さな政府路線」を掲げ、社会保障費を大きく抑制したロナルド・レーガン大統領によるところが大きい、との旨述べています(*2)。

インフレが収まらない米国で、今後もさらなる金融引き締めを余儀なくされれば、今度は、景気が大幅に悪化して、インフレと景気後退が同時に生じるスタグフレーションが本格的に到来するかもしれません。

◆日米ともに、「減量」しか道はない

今、日米ともに、財政インフレーションの側面から「しつこいインフレ」に喘いでいますが、いかに経済・財政のクラッシュを避けて、経済成長路線へと向かわせるかが両国にとっての共通課題となっています。

トランプ前大統領は先月23日、34年ぶりの円安・ドル高水準について、米国の製造業にとって「大惨事だ」と述べており、これまでも、民主党バイデン大統領による放漫財政をはじめとする政権運営や、FRBの金融政策の方針について、疑問を呈してきました。

今、日米両者に必要となっているのは、かつての米国レーガン政権のように、「小さな政府」路線をとることです。

大川隆法党総裁は『危機に立つ日本』の中で、「『小さな政府』を目指し、政府として必要最小限のところに税金の使い途を絞らなくてはなりません。また、民間の力を抑えているもの、民間の活動を規制し、抑えている法律や条例などがあったら、これを取り除いて、民間の活力を呼び戻すことが必要です。」と述べています。

行きすぎた社会保障の見直しなどによる歳出削減や不要な規制の撤廃など、今こそ、政府の無駄な仕事の「減量」を行うことが必要ではないでしょうか。

(*1)TOKYO MX(2024年4月29日)「GWの過ごし方も変化…国内旅行が人気 歴史的な円安の影響で」より。

(*2)河野龍太郎, 『グローバルインフレーションの深層』(慶應義塾大学出版会、2023年)より。

西邑拓真

執筆者:西邑拓真

政調会成長戦略部会

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