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憲法記念日に考える「日本の国家ビジョン」

昭和22年(1947年)5月3日に日本国憲法が施行され、本年で66回目の憲法記念日を迎えます。

憲法記念日は、今後の「日本の国家ビジョン」を考える大切な一日です。参院選を控え、今年は例年にも増して、憲法改正の論議が高まっています。

その議論の焦点は「憲法96条の改正」です。憲法96条は、日本国憲法の第9章「改正」にある唯一の条文で、憲法の改正手続を以下の通り、規定しています。

「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。」

現在、安倍首相は、衆参各院の「3分の2以上」の賛成を必要とする96条の発議を「過半数」の賛成で発議できるように改正の必要性を訴えています。

憲法改正に向けた各政党のスタンス

読売新聞が、国会議員に対して実施した「憲法に関するアンケート調査」によると、憲法96条を改正すべきだと答えたのは、自民党96%、日本維新の会98%、みんなの党96%でした。(5/2 読売)

一方、民主党25%、公明党11%は留まり、憲法改正への姿勢の違いが、政党間で鮮明になりました。

政権与党でもある公明党の「護憲」姿勢は際立っており、「政権内のねじれ」が生じています。

改憲に慎重な政党からは「憲法改正の中身を考えずに、96条のみを先行して改正するのはおかしい」という意見も出ています。

しかし、憲法改正の中身が先と言いながら、憲法9条に対する見識を何ら示してこなかったのは、何故なのでしょうか。これでは「反対のための反対」と言わざるをえません。

憲法96条改正の先にあるべき国家ビジョン

こうした批判に応えるためにも、安倍首相には、憲法96条の改正を通じて、日本が向かうべき国家ビジョンを力強く示して頂きたいと思います。

憲法学の権威でもある芦部信喜・東京大学名誉教授は、近代憲法について次のように述べています。

「近代憲法は、何よりもまず、自由の基礎法である。それは、自由の法秩序であり、自由主義の所産である。・・・このような自由の観念は、自然権の思想に基づく。この自然権を実定化した人権規定は、憲法の中核を構成する「根本規範」であり、この根本規範を支える核心的価値が人間の人格不可侵の原則(個人の尊厳の原理)である。」(『憲法』新版 芦部信喜 岩波書店)

憲法は「個人の尊厳」に寄与するもの、国民の幸福に奉仕するべきものです。

だからこそ、憲法改正を通じて、国民の幸福をどのように増進していくのか、総理大臣はそのビジョンを示すべきではないでしょうか。

道州制の危険性

また、日本維新の会は、地方自治について規定している憲法第8章を改正し、「道州制」を憲法に明記するとしています。(4/26 読売「維新の会、憲法改正素案に道州制を明記」)

しかし、「道州制」は日本を危うくします。国家の外交・安全保障の根幹に関わる沖縄県の米軍基地の辺野古移設を反対している仲井真知事はその最たる例です。

また、与那国島に陸上自衛隊「沿岸監視部隊」を配備する計画に対して、外間町長が市町村協力費として10億円を求めて、用地取得が暗礁に乗り上げ、自衛隊の配備計画が白紙に戻ろうとしている現状もあります。

獲得票数619票で選出された町長が、日本の安全保障の根幹に大きな影響を与えているのが現状です。

知事のみならず、町長までも日本の安全保障政策が影響を受けてしまう現状において、主権を道州に移譲する「道州制」「地域主権」を導入して果たして日本は大丈夫なのでしょうか?

この「国難」の時期に、道州制を推進するのは、無責任で不見識と言わざるを得ません。

憲法守って国滅ぶ

「最大多数の最大幸福」を実現するためにも、政府は「国民の生命・安全・財産」は守らなくてはなりません。

北朝鮮は、長距離ミサイルと核兵器をチラつかせて、虎視眈々とアメリカと韓国の腰砕けを狙っています。

中国は4月23日、尖閣諸島周辺の中国の海洋監視船「海監」8隻の侵入と共に、中国軍の戦闘機など40機以上を尖閣周辺に飛来させました。

さらに、4月26日の中国外務省の定例会見では「尖閣諸島を核心的利益」と発言しています。

日本国憲法の前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とありますが、今の日本を取り巻くアジア情勢を考えれば、憲法の前提が当てはまらないことは明白です。

このまま、GHQの日本占領政策として作成された「自分の国を自分で守る」ことを禁じる憲法9条を把持し続けるならば、日本という国家は間違いなく消えて無くなるでしょう。

今こそ、日本は「自分の国を自分で守る」普通の国へと脱却すべきです。

明確な国家ビジョンと打つ手を示してきた幸福実現党

幸福実現党は2009年の立党以来、憲法9条の改正を柱として「自分の国を自分で守る」防衛を訴えてきました。また同年、「日本のグランド・デザイン」として、「新・日本国憲法試案」を発表しました。

さらに、2010年からは、憲法改正では間に合わないからこそ、即応力ある日本の国防を実現するために、日本に対して危害を与える国に対しては、憲法9条の適用除外宣言をするべきであると訴えて来ました。

憲法改正をはじめ、日本の国難を突破するための政策をブレずに提言し続けて来ました。

今、日本の政治に必要なのは「見識」です。幸福実現党は「確かな見識」で、日本に必要な正論を断固貫いて参ります。
(HS政経塾部長兼、政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ)

吉井 利光

執筆者:吉井 利光

HS政経塾部長(兼)党事務局部長

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