Home/ 2013年 November 2013年 November 「特定秘密保護法の是非 ~日本の「自由」を守るのはどちらの選択か~」 2013.11.30 ◆反対意見続出の特定秘密保護法案 今国会で成立が見込まれている特定秘密保護法への反対意見がマスコミ界はもちろん、法曹界や言論界などからも続出しています。 日本弁護士連合会(以下、日弁連)では26日、山岸会長が日弁連のホームページで「同法案が国民の知る権利を侵害する危険性を有しており、廃案にされるべき」と述べ、12月1日にはJR新宿駅西口において「特定秘密保護法案に反対する緊急街頭宣伝」を主催しております。 また、ジャーナリストの田原総一郎氏や鳥越俊太郎氏なども、11月下旬に同法案に反対する集会に130名以上を集め、廃案を求める要請文を政府に提出したと言われております。 国内と同様、法案可決を歓迎するアメリカを除いた、海外メディア各社も「『知る権利』と『報道の自由』を侵害しかねない」という国内世論の懸念を各国で報じています。 そんなメディアの報道の影響を受けてか、安倍内閣支持率は先月と比べ、2.8%下落し、57.9%に高止まりしております。 ◆特定秘密保護法によって比較すべき法益とは? 特定秘密保護法とは、日本の安全保障に関する情報(防衛、外交、スパイ活動、テロの4分野)のうち「特に秘匿する必要があるもの」を「特定秘密」とし、取り扱う者を適正な評価で規制し、その秘密を漏えいした場合の罰則等を定めた法案です。 一つ目のポイントは「守秘義務違反の厳罰化」であり、現在の国家公務員法においては懲役1年以下、罰金50万円以下であったものを、「特定秘密」を漏えいした公務員に対して、懲役10年以下とした点です。 二つ目のポイントは「秘密を取得する側も罰則対象となる」ことであり、今まで自衛隊法、国家公務員法でも、特定秘密を取得する側への罰則規定がなく、国際社会においては「非常識」と言わざるを得ない状況でありました。 同法案の制定によって漏えいした者と同様、懲役10年以下の罰則に処することができるようになります。 前述したように、世論では特定秘密保護法への懸念が高まっているようですが、科学的根拠のない「脱原発」運動のように、情緒論や空気感に支配された軽挙妄動は慎まなければなりません。 同法案が本当に国民の「知る権利」を奪うのか、または同法案なくして「日本の安全保障体制」を守ることができるのか、どちらの法益を守るべきであるのかを冷静に比較衡量していく必要があります。 ◆特定秘密保護法は本当に国民の「知る権利」を奪うのか? 「知る権利」とは憲法21条で保障される表現の自由の延長線上で認められている権利でありますが、特定秘密保護法によって「知る権利」を侵害するかどうかには2つの観点から疑義を挟まざるを得ません。 第一に、国民の「知る権利」を保障する法律として、すでに「情報公開法」も制定されているという点です。 一方、特定秘密保護法は「公務員の特定秘密へのアクセスを制限する法律」という目的があることを忘れてはなりません。 すなわち、官僚組織内において、防衛や外交など極めて機密性の高い情報を適格な公務員にのみアクセスを許可し、漏えいした場合は厳罰に処するというものであり、どんな会社組織などでも「トップシークレット」があるように、元々国民が知りようもない情報への取り扱いを定めているものなのです。 第二に、既に同法案においてマスコミの「報道の自由」への配慮もされているという点です。 同法第22条では「国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない」と書かれており、国際社会から見ても極めて穏当で、常識に適ったものであるのです。 同法案をもって、マスコミ各社が「知る権利」の侵害と主張するのであれば、「知る権利」には「公平性の担保」が前提であることを認識しなければなりません。 特に歴史認識や原発問題などを巡って、著しい偏向報道をすることで、国民の「知る権利」を損なっていないかを見直すべきであります。 ◆特定秘密保護法なしで本当に日本の安全保障体制を守れるのか? 中国は東シナ海上空に設定した防空識別圏で官制機や主力戦闘機による哨戒飛行を28日から始めたと明らかにし、この哨戒を常態化させると宣言していますが(11/30産経)、これから更に緊迫化する極東情勢の中で、同法案なくして日本をしっかり守っていくことは出来ないと言えます。 その理由としては、まず「スパイ天国」と揶揄され続けるほど、対外的な機密情報の管理がずさんで、情報を取得する側を処罰する法律がなかった点であります。 一方、アメリカの防諜法、イギリスの公務秘密法をはじめ、フランス、ドイツ、韓国などでもスパイ行為を防止する法律は制定されており、アメリカでは死刑にもなり得る重大な犯罪であり、防衛用の暗号や外交上の機密情報などをしっかりと防衛している現状があります。 また、日本の機密情報管理がずさんなために、アメリカなどの同盟国から信用を損なっており、安全保障上、極めて重要であると考えられる情報を得ることが出来ないという弊害もあります。 国内の機密情報をしっかりと防御し、対外的な信頼感を勝ち得る事こそ、憲法9条の足かせによって、自国を主体的に防衛することが出来ない現在の日本にとって必要不可欠なのです。 ◆急がれる法案制定と求められる安倍首相の更なる勇気 同法案が「戦争準備法」と揶揄されておりますが、日本を取り巻く環境は今、応戦準備を怠らないことが必要であり、その為には国際政治の常識に照らした現実主義(リアリズム)的観点から考えていくことが必要です。 また、法律の使命が国民の自由を守ることだとするなら、この法律が制定されることで、国の安全が保たれ、「知る権利」を含めた国民のあらゆる自由が保障されるのです。 安倍首相は是非ともこの法案成立を急ぐと共に、踏込みの足りない憲法9条の改正にしっかりと向き合って、国の善悪の基準を糺し、国民の自由を守る勇気を持って頂きたいと思います。(HS政経塾第1期生 城取良太) 親子の縁、家族の絆……少子化、中絶、特別養子縁組制度 2013.11.29 少子化社会となり、また、幼児虐待が後を絶たず、痛ましい事件も多数報告されています。家族の形態が多様化する中で、今のところ、有効な手立てはなされていません。 ◆実態不明の「人工中絶」 わが国において人工中絶は犯罪です。ただし、母体保護法の14条に医師の認定による人工妊娠中絶として次の二つにあてはまるものは合法としています。 「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」と「暴行若しくは脅迫によって抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの」の二つです。 しかしながら、「経済的理由~」が、いいように解釈されて、人工中絶は事実上、無制限に行われています。合法として届出されている件数は、平成23年(2011年)は約20万件ですが、実際の数はこの10倍とも20倍とも言われていています。 しかも、妊娠12週以降は「死産」としての届出となるために、その実態は不明です。中には10代から中絶を繰り返して、本当に愛する人と巡り合い結婚出産となった時に、もう妊娠できない身体になってしまった例もあります。 わが国の年間出生数は約100万人です。もし、中絶数が発表の10倍あるとしてその数が200万人だったら……出生数は300万人になり、日本の少子化はあっという間に解決しています。 ◆結論から言ってしまえば、対処方法は3つ (1)宗教教育での感化 「あの世があり人間は転生輪廻を繰り返している存在で、生まれる前にそれぞれの人生計画に基づき『親子の約束』をしてくる」という宗教的認識から言うと人工中絶はやはり「殺生」であり、快楽のための刹那的な行動は控えるべきです。 (2)妊娠出産に関する相談窓口の充実 人工中絶はやはりいけないことだということは、程度の差はあれ誰でも感ずることでしょう。カトリック教では中絶を禁止していますので混乱が多数あることは事実です。 宗教的な、人間としての在り方を十分に納得したうえで、それでも妊娠した場合には「救済」という観点から充実した相談窓口をつくるなどのケアが必要です。 (3)「養子縁組」「特別養子縁組」制度の活用 「養子制度」を変えた「菊田昇医師の赤ちゃんあっせん事件」――1973年、宮城県の産婦人科医師の菊田昇医師が「赤ちゃんあっせん」で告発されました。 どうしても子供を産むわけにはいかない女性に、中絶ではなく産むことを勧め、生まれた赤ちゃんを、どうしても赤ちゃんが欲しいけど生まれない夫婦に「実子」として渡していたのです。 この行為は「違法」でした。赤ちゃんをもらいうけた夫婦の子供として「出生証明書」を出していたからです。実母の戸籍に入れることなく、子供が「養子」だと気が付かないように配慮した結果の行為でした。 この菊田医師事件は内外に大きな反響を呼びました。菊田医師のところには遠くからも相談に来る人が激増し、医師は結局1991年に亡くなるまで600人もの幼い命を救いました。 法律的には最高裁で敗訴罰金となりましたが、外国からは勲章が届きました。この事件後に議論が起こり、「特別養子縁組制度」が1987年に作られました。 それまでも養子縁組制度はありましたが、「特別養子縁組」は「子供の幸せ」を第一に考えることが基本となっています。詳細は省きますが、菊田医師がやっていたことと同じことを家庭裁判所が判断して行うものです。 これより先に1982年に愛知県の「矢満田篤二児童福祉士」が取り組み始めた養子縁組が画期的な「愛知方式」と呼ばれ、「特別養子縁組」の基礎となりました。 熊本市の慈恵病院が2007年から始めた「赤ちゃんポスト~こうのとりのゆりかご」の取り組みがありました。 「赤ちゃんポスト」自体はヨーロッパでは結構普通の取り組みです。 このやり方は、犯罪がらみの件もあり賛否両論ですが、一つ特徴的なことは、菊田医師の場合と同じくここでも全国からの相談が激増し、相談専門の職員を置かなければならないくらいとなっています。 また、普通養子縁組で多数の子供を養子にして「家族」を作っている感激の事例も数多くあります。 留意しなければいけないのは、「商業ベース」にならないようにすることです。養子縁組をあこぎな商売にしてはいけません。 子供がどうしても欲しい夫婦をだます悪質な事例もあります。人の弱みに付け込む行為は決して許してはならないのです。 ◆「いらない子」なんていない! 人間は転生輪廻を繰り返し、この世を修行の場としていることを考えると、「生みの親」「育ての親」を絶対とするのではなく、これも自分が立案した「人生計画」ととらえ、その与えられた環境の中で精一杯の人生を生きるという考え方が必要です。 親も子も「修行だ」ということを知らなくてなりません。産みっぱなしで子供を愛せない親が社会問題となっています。 自分が幼少時に愛されなかったことを言い訳にせず、これも「親子の縁」の深さを知らなければならないでしょう。 「産んでくれと頼んだ覚えはない」というセリフがありますが、これも、間違いであることをしらなければなりません。「いらない子」はいません。皆、「仏の子」「神の子」です。この事実を示すことができるのは「宗教教育」しかありません。 妊娠出産に関しては、このほかにも「シングルマザー」「精子バンク」「冷凍卵子」「人工授精」「代理母」など解決しなければならない事柄がたくさんあります。 何を基準に整理するか?――それは仏神の意志です。時代がどのように変わろうとも、その基準は不変であり普遍です。 これは「宗教政治家」にしかできません。物事を「本当の善悪」と「絶対の真理」で判断できるのは幸福実現党でしかありません。(文責・幸福実現党富山県本部副代表 吉田かをる) イラン核開発 6カ国合意は平和への道か、混沌の始まりか 2013.11.28 ◆11月24日の暫定合意 今月24日、国連の安全保障理事会の常任理事国にドイツを加えた6カ国とイランが核開発問題で、合意を果たしました。 イラン側が核兵器への転用が容易な濃縮度5%以上のウランの生産を停止することを主軸として、6カ国側は貴金属や自動車、石油化学分野の禁輸措置を一時停止するなど、経済制裁の一部解除を決定しています。 イラン国内では、2006年から続く経済制裁によって、高インフレと失業が続いています。 国際通貨基金(IMF)の予測では今年の消費者物価上昇率は42%、失業率は13%を上回っているとされ、経済状況の深刻さが伝わってきます。 また、オバマ大統領も、オバマ・ケアへの批判が強くなってきたことを背景に支持率が低迷していることから、外交実績を作りたいという思惑もありました。 「イランが核兵器を製造できないことを検証できる、今より安全な世界へと道を開いた」と、オバマ米大統領は声明で成果を強調していますが、両者に都合良く結ばれた合意には早くもほころびが見え始めています。 ◆アメリカとイランで解釈が正反対の「ウラン濃縮の権利」 それが如実に現れたのが、「ウラン濃縮の権利」に関するアメリカ側とイラン側の解釈です。 合意が結ばれたあと、イランのロウハニ大統領は、「核開発の権利や濃縮活動の継続を認めるものだ」と合意内容を評価しました。また、イランのザリフ外相も「濃縮計画は合意の一部と確信する」と表明しています。 これに対して、アメリカのケリー国務長官は「合意文書のどこにも『イランにウラン濃縮の権利がある』とは書いていない」と反論しています。 しかし、米国家安全保障会議(NSC)が明らかにした「共同行動計画」の内容は、イランの核開発が平和目的と保障されれば、最終的にイランのウラン濃縮活動を認めることを示唆するものでした。 さらに、包括解決によってイランは核拡散防止条約(NPT)の下で「平和目的の核エネルギーの権利を享受できる」と明記されていることから、イラン側からNPTに沿った平和利用であれば「ウラン濃縮の権利がある」と主張されれば、反論するのは難しいのではないでしょうか。 ◆イスラエルが強硬化する可能性 このような事態に危機感を募らせているのがイスラエルです。 イスラエルのネタニヤフ首相は今回の合意を「歴史的な過ちだ」と非難し、イランの譲歩はうわべだけであり、核兵器の開発を続けるだろうとの見方をしています。 イスラエルは自国を守るために、実力行使も辞さない構えであり、イスラエルが納得する形でイランの非核化が進まないようであれば、イスラエル独自で強攻策を取る可能性もあり得ます。 ◆一時的な平和のあとの混沌に備えて 2008年の時点で、幸福実現党の大川隆法総裁は、オバマ大統領はイスラムに対し、妥協型、融和型の政策をとるだろうと予見していました。 そして、その結果「一時的には世界が平和になったように見えるかもしれませんが、世界のリーダーがいなくなる状況が生まれ、中心軸がなくなった結果、世界は混沌状態になっていきます。」と指摘しています。(『救世の法』p.105-106) 今回の合意によって、表面的には平和がもたらされるように見えるかもしれませんが、イスラエルとイランの対立は、さらに深刻になったといえます。 現在の日本は原発が停止している状態で、火力発電に頼っている現状ですが、中東情勢によっては、火力発電を動かす石油価格が高騰する可能性も否定できません。幸福実現党が原発の稼動を求める理由もそこにあります。 日本としては、エネルギー安全保障政策も含め、一時的な平和のあとに来る混沌状態に備え、さらに世界を照らす一灯の光となれるよう力を蓄え、信頼できる国家として国際社会に絆を強めていくことが求められているのではないでしょうか。(文責・伊藤希望) 韓国に伝えたい正しい歴史認識 ~伊藤博文~ 2013.11.27 ◆菅官房長官の抗議は当然 6月の中韓首脳会談において、韓国の朴槿恵大統領が「ハルビン駅に安重根像設置」を要請し、習主席がそれに応じた件について、11月18日、計画が順調に進んでいる事に朴大統領が、中国側に謝意を表明しました。 一説によると、すでに建設が始まっているとも言われています。このニュースは、日韓関係をさらに悪化させるものであり、日本として座視できないレベルにまできています。 菅官房長官も公式に抗議を行いましたが、当然の反応であります。 昨年の李明博大統領(当時)による竹島訪問から、日本に対する風当たりは一気に激しくなっているようにも見えます。彼らは一様に「正しい歴史認識」と言いますが、本当に日本は韓国に対して「搾取」を行ってきたのでしょうか。 私自身も、今本当に必要なのは、韓国側が「正しい歴史認識」を持つことだと感じます。 ◆日本の軍拡は、朝鮮半島の政情不安定が原因 日露戦争がポーツマス条約によって終結した時に、日本にとって大きな問題は朝鮮半島情勢でした。 そもそも、日本が日清・日露戦争を行ったのは、朝鮮半島が不安定で、この地域が元寇の時のように、いつ日本に対して攻撃を仕掛ける軍事基地になるかわからなかったからです。 日本人の多くの血を流して、朝鮮半島におけるロシアの影響はなくなり、国防上の危機は去りましたが、肝心の朝鮮自身が政情不安定で、日本として、安心できる状態ではなかったのです。 そこで、最終的に日本は、韓国を「保護国」としたのです。これは、実質的な外交権を日本が獲得するもので、散々韓国に振り回されてきた国際社会からは、当然のことと思われていました。 ◆伊藤博文は、朝鮮半島の人々を信じていた さて、この時に初代統監として朝鮮に赴いたのが、元老、伊藤博文氏です。 当時、日本国内で、朝鮮半島を併合すべし、との議論が多かったにも関わらず、彼の主張により外交のみ日本が行う「保護国」となったのです。 彼が統監に朝鮮半島を保護化するにあたり、以下のとおり所信を述べています。 「日本は非文明的、非人道的な働きをしてまでも韓国を滅ぼさんと欲するものではない。韓国の進歩は多いに日本の望むところであって、韓国はその国力を発展せしむるため、自由の行動をしてよろしいけれども、ここにただ一つの条件がある。 すなわち、韓国は日本と提携すべしということである。日章旗と巴字旗(韓国旗)とが並び立てば日本は満足である。日本は何を苦しんで韓国を亡ぼすであろうか。自分は実に日韓の親睦を厚くするについては、自分の赤誠を貢献しようとしている。 しかも、日清・日露の両大戦役の間、韓国は一体何をしたか。陰謀の外に何をしたか。戦争中は傍観しただけではないか。諸君は、日本が、にわかに来たって、韓国を亡そうと思うのは、果たして何に基づくのか聞きたいものである。 日本は韓国の陰謀を杜絶するため、韓国の外交権を日本に譲れというた。だが、日本は韓国を合併する必要はない。合併は甚だ厄介である。韓国は自治を要する。 しかも、日本の指導監督がなければ、健全な自治を遂げ難い。これが今回の新協約を結んだ所以なのである」(深谷博治著「明治日本の対韓政策」(友邦協会)より) 以上のとおり、伊藤公は、最後まで韓国の国民を信じ、その自由を最大限保障しようとしていたのです。そして、併合に最後まで反対した一人でもあったのです。 こうした人物を射殺した男を「犯罪者」と言って、何が悪いのでしょうか。本当に正しい歴史認識が必要なのは、韓国側であります。 ◆国際社会が悼む「伊藤公射殺事件」 当然のごとく、この事件を受けて国際社会も大きなショックを受けました。当時、新聞に掲載された追悼文を最後に紹介させていただき、国際的な常識をお伝えさせていただきます。 ○ドイツの新聞に載ったエルウィン・ベルツ博士 「伊藤公の追懐」 「韓国人が伊藤公を暗殺したことは、特に悲しむべきことである。何故なら、公は韓国人の最も良き友であったからだ。日露戦争後、日本が強硬手段で韓国に臨むが、意外の反抗に逢った。日本居留民の殺傷が相次いで起きた。 その時、武断派及び言論機関は、高圧手段に訴えるべしと絶叫したが公ひとり穏和方針を固持して動かなかった。当時、韓国の政治は、徹頭徹尾腐敗していた。公は時期に適し、かつ正しい改革によって、韓国人をして日本統治下に在ることがかえって幸福であることを悟らせようとし、60歳を超えた高齢で統監という多難の職を引き受けたのである。」 ○ロシアの新聞「ハルピン・ウェストニツク紙」に載った ホルワット少将の話 「思えば思うほど情けない限りである。日露戦争以前に 伊藤公爵が言われたことを、ロシアが聞いていたら、あの悲惨な戦争も、ロシアの敗戦という不名誉もなかった。伊藤公爵のハルピン来訪目的は、わが大蔵大臣との外交上の空しい儀礼的なものでなかったことは誰もが知っていた。 伊藤公は「ロシアは満州から去れ」などという、一点張りの主張をする人ではない。尊敬すべき老大偉人の逝去は、日本の損失であるばかりで なく、わがロシアの損失であり、韓国が大損失をこうむることは必至である。」 以上の通り、伊藤博文は、日本のみならず、国際社会でも大きな敬意を受けており、東アジアの安定には欠かせない人物として見られていたのです。このことを、日韓両国で、しっかり認識しておくべきではないでしょうか。(文責・政務調査会チーフ 小鮒将人) 知る権利を阻害しているマスコミ ~特定秘密保護法案可決~ 2013.11.26 ■特定秘密保護法案衆院可決 機密を漏らした公務員らに厳罰を科す特定秘密保護法案は26日夜、衆院本会議で自民、公明両党やみんなの党の賛成多数により可決されました。与党は今国会成立を図り、27日の参院本会議で審議入りする方針です。(11/26共同通信) 法案は3本の柱からなっています。 1.特定秘密 特定秘密に指定される対象は、防衛、外交、特定有害活動(スパイ活動)の防止、テロ活動の防止の四つの分野です。本法別表に23の対象項目が明記されています。 2.適正評価 特定秘密を扱える公務員(一部民間人も含む)は、犯罪歴、精神疾患などの病歴、飲酒の節度などが調べられ、情報を漏らす心配がないと評価された者だけが管理できます。 3.厳罰化 公務員等で特定秘密を漏らした者には、最高で懲役10年および1000万円以下の罰金が科せられます。特定秘密以外の機密漏洩は、従来通り現行の国家公務員法の守秘義務違反の1年以下の懲役、自衛隊法違反は5年以下の懲役刑が適用されます。 ■主に批判されている論点 1.特定秘密の指定に関しては、法文上「その他」という表現も多く曖昧であり、恣意的に拡大解釈される危険があるとし、民主党は、その他という表現をなくした対案を提出しました。 このように政府側に都合の悪い情報が隠蔽され永久封印される恐れがあると懸念されています。 2.適正評価の調査の過程で、患者の病歴などプライバシー情報の提供を医師が強要される懸念があり、守秘義務のある医師が厳しい立場に立たされることが想定されます。 3.厳罰化により公務員が萎縮して本来は隠す必要のない情報の提供まで拒み、取材活動が制限され、国民の知る権利が阻害される懸念があります。 ■党派を超えた政治家の矜持を垣間見る 今回の法案審議は唐突感も否めないところもあり、批判論点には一定の合理性もあると考えます。26日の衆院本会議の反対討論における民主党の長島昭久氏の主張は傾聴に値するものでした。 長島氏は「安全保障に与党も野党もない、あるのは国益のみ」「この法案を現代の治安維持法と批判する者もいるが自分はそういう立場ではない」と自らの立場を前置し、あと2~3週間あれば合意に達することができたと政府の性急な運営を批判しました。 長島氏は、制度の設計思想に、秘密保護法制の国際スタンダードであるツワネ原則(※1)を適用すべきであると訴え、森雅子内閣府特命担当相はその存在を知らなかったと、その資格に疑問符を投じました。 このように国益を守る観点から重要な議論が不十分であるならば、良識の府参議院で徹底的に議論を尽くして頂きたいと祈念します。 ■知る権利を阻害しているものとは 特に最近の同法案に対する批判は、特定秘密として永久に封印され、主権者である国民の「知る権利」が阻害されるという論点に収斂してきた感があります。 この点に関し、11月19日に衆議院国家特別安全委員会に参考人として発言した評論家の西村幸祐氏は、同法案の真意が国民に理解されないのは、テレビ番組等に反対派しか出さないから国民が理解できない。知る権利を阻害しているのはマスコミであると喝破されました。 幸福実現党大川隆法総裁も、「わが国には左翼言論の自由はあるが、保守言論の自由はない」と言われています。 良識の府参議院において、国民の幸福の為に、党派を超えた政治家の矜持をもって議論を尽くして頂きたいと希望します。(文責:幸福実現党岐阜県本部政調会長 加納有輝彦) ※1【ツワネ原則の重要項目】 1,国民には政府の情報を知る権利がある 2,知る権利を制限する正当性を説明するのは政府の責務である 3,防衛計画や兵器開発、諜報機関など限定した情報は非公開とすることができる 4,しかし、人権や人道に反する情報は非公開としてはならない 5,国民は監視システムについて知る権利がある 6,いかなる政府機関も情報公開の必要性から免除されない 7、公益のための内部告発者は、報復を受けない 8,情報漏洩の罰則は、公益を損ない重大な危険性が生じた場合に限られる 9,秘密情報を入手、公開した市民を罰してはならない 10,市民は情報源の公開を強制されない 11,裁判は公開しなければならない 12,人権侵害を救済するための情報公開はしなければならない 13,安全保障分野の情報に対する独立した監視機関を設置しなければならない 14,情報を無期限に秘密にしてはならない 15、秘密指定を解除する手続きを定めなければならない 21世紀のニューフロンティア政策―宇宙開発への挑戦 2013.11.25 ■ケネディ大統領の「ニューフロンティア政策」 昨今の大きな話題の1つとして、「アメリカの王室」とも言われるケネディ家のキャロライン・ケネディ氏が新駐日大使として日本に赴任することになったことが挙げられると思います。 日本とアメリカの外交的紐帯を強める大きなチャンスとして、日米双方から大きな期待の声が寄せられています。 そして、キャロライン氏が来日した今月15日から1週間後の先日22日は、キャロライン氏の父親であるJ.F. ケネディ大統領が暗殺されてから50周年という節目の日でもありました。 ケネディ大統領はアメリカの歴代大統領の中でも、アメリカ国民からの人気が特に高く、その若きカリスマの死を惜しむ声が未だに絶えません。 ケネディ大統領の功績としては、ソ連との核戦争の危機(いわゆるキューバ危機)を平和裏に解決したことや、マーティン・ルーサー・キング牧師などと協力し黒人差別撤廃のための公民権運動を強く支援したことなど様々挙げられます。 もう一つ代表的な功績として、アメリカの宇宙先進国化をその強いリーダ一シップによって牽引したことが挙げられます。 ケネディ大統領が公約として打ち出した「ニューフロンティア政策」の柱の一つが「宇宙開発」であり、ソ連との宇宙開発競争で挫折感を抱えていたアメリカを鼓舞するためにケネディが掲げた国家プロジェクトこそが、月に人類を送り込むという「アポロ計画」でした。 暗殺によってアポロ計画による人類初の月面着陸の成功を見届けることはできませんでしたが、ケネディの大きな構想力とリーダーシップがなければ、人類は未だに月へ足を踏み入れていなかったかもしれません。 今、日本に必要なのは、このケネディの「ニューフロンティア精神」、新たなフロンティアとしての宇宙の開発を国家プロジェクトとして強力に推し進めることではないでしょうか。 ■日本の宇宙開発の現状 日本の宇宙産業市場は現在、約7兆円~8兆円と言われています。宇宙産業の内訳は主に4つに分類されます。 (1)宇宙機器産業(ロケットや衛星、地上設備など) (2)宇宙機器を利用した宇宙サービス産業(NHK、NTT、スカパーなど) (3)宇宙サービスを利用するための民生機器産業(衛星放送チューナーを搭載した液晶テレビ、GPSを利用したカーナビ及び携帯電話など) (4)自らの事業に宇宙サービス・民生機器を活用しているユーザー産業(農林水産業、新聞社、映画館、資源開発など)です。(JAXA産業連携センター) このうち中核をなすのが(1)の宇宙機器産業であり、日本では市場規模約2600億円程度ですが、一方で、アメリカは約4兆円、欧州でも約9000億円と、日本は大きな差をつけられてしまっています。 これはひとえに、日本の政治家のリーダーシップの欠如と縮み思考が原因だと言えます。 実際、2008年に日本の宇宙開発の基本方針を定めた宇宙基本法が制定されてから、予算が増えるどころか、財源不足を理由に宇宙関連予算は年々減少を続けています。 限られた予算を奪い合いあっていては消耗戦になるということで、日本の宇宙産業に関わる民間企業の多くが外需の取り込みのために新興国市場に打って出ています。 実績も少しずつ出始めてはいますが、まだまだ米国・欧州が世界では大きなシェアを握っており、苦戦を強いられているのが現状です。 外需の拡大とともに、政府による研究開発予算の増加や、宇宙関連ビジネスの興隆などの内需の拡大を実現しなければ、日本の宇宙産業が国家を支える基幹産業へと成長することはありえません。 ■政治家は「21世紀のニューフロンティア政策」を打ち出せ しかし、悪いニュースばかりではありません。 最近では、日本のお家芸である固体燃料ロケットの最新機種であるイプシロン(試験機)の打ち上げ成功や、日本人宇宙飛行士の若田光一さんが日本人で初めてISS(国際宇宙ステーション)の船長に任命されるなど、日本の「宇宙力」への評価が世界でも高まってきています。 日本の喫緊の課題は、独自の「有人宇宙輸送システム(有人ロケット、有人宇宙船)」の獲得を成し遂げることです。 宇宙という目的地があっても、日本は宇宙に行く「船」を持っていません。他国の宇宙船に乗せてもらわざるを得なかったために、日本の宇宙開発の黎明期は、他国の事情に翻弄されてきたとも言えます。 しかし、日本は有人宇宙飛行を可能にする技術力をすでに持っています。日本が持つISSに物資を運ぶためのHTV(こうのとり)の技術などは、有人飛行技術の基礎となるものです。その他にも、日本には世界から認められている最高峰の技術が多々存在します。 最終的には、有人宇宙開発に挑戦するか否かは、国の判断、政治家の判断、そして強い意志にかかっています。 かつてのケネディ大統領のように、国家の安全と平和を守るために、そして国民に夢と希望を与えるために、宇宙開発の意義とビジョンを国民に真摯に語り、ニューフロンティアに挑戦する強い意志と決断力を有した政治家の出現が望まれているのです。 幸福実現党は「21世紀のニューフロンティア政策」で、「世界の宇宙開発を牽引する日本」を創ってまいります。(文責・HS政経塾2期生 鈴木純一郎) 日本が絶対に認めてはならない中国の尖閣「防空識別圏」設定 2013.11.24 ■「防空識別圏」とは 「防空識別圏」は、1950年に米国が初めて設定したもので、防衛上の必要性から国際的に採用され、国際法上確立した概念ではありませんが、不審機の領空侵犯に備える目的で領空の外側に設定した空域圏のことです。 航空機が領空に侵入した場合、領土上空に到達するまでわずかな時間しかないため、領空より広い防空識別圏を設定することで、スクランブル対応にするかどうかの基準としています。 圏内に入る航空機には、通過の報告を求め国籍の確認を行います。事前に通過の報告がない場合は、国籍不明機として迎撃戦闘機のスクランブル発進の対象となります。 日本の場合は、1945年にGHQが制定した空域を1969年ベトナム戦争の泥沼化で米国のアジア戦略の縮小を機に、そのまま米国から受け継ぎ、尖閣諸島空域も含めて日本の防空識別圏が設定されました。 ■中国、尖閣に「防空識別圏」を設定 この「防空識別圏」を中国は、23日に東シナ海、尖閣諸島を含む空域に設定しました。(11/23時事ドットコムhttp://www.jiji.com/jc/c?g=int&k=2013112300140) これに呼応して同日23日、中国の「情報収集機など2機」が日本の防空識別圏に入ったことを防衛省が確認、航空自衛隊機がスクランブル発進しています。 「情報収集機など」の「など」には何が含まれていたのかについて、中国の新華社によると「大型偵察機2機を哨戒機と戦闘機が援護」(11/24毎日)しており、戦闘機が含まれていたことは注目に値します。 なぜなら中国は、最初に「軍の所属ではない」国家海洋局所属の航空機を日本の反応を見るために、12月に初めて尖閣上空で領空侵犯をさせました。 もっと踏み込めると判断した中国は、今度は9月に尖閣上空に「軍所属」の無人機を飛来させた上で、日本側から攻撃された場合は、「戦争行為とみなす」とすべては日本が悪いといわんばかりの脅しをかけています。 中国側国防省が公表した声明や広告によれば、「防衛識別圏を飛ぶ航空機は飛行計画を中国外務省または航空当局に提出する義務を負う」と規定しています。指令に従わない場合は、「中国の武装力が防衛的な緊急措置を講じる」と明記しています。(11/24読売・産経) 今回の尖閣を含む中国の防空識別圏の設定は、同国が尖閣支配に向けてさらに一歩前進させたことになります。中国軍戦闘機が尖閣上空を堂々と領空侵犯する日は、もうそこまで来ています。 今回の一方的な中国の防空識別圏設定に対して外務省は、「わが固有の領土である尖閣諸島の領空を含むもので、全く受け入れることはできない。不測の事態を招きかねない非常に危険なものだ」と抗議しました。 ■尖閣の「空」と「海」をセットで奪う中国 空の動きに合わせて同日23日、尖閣海域では、領海外側の接続水域で21~23日、中国海警局の船4隻の航行が連続で確認されており、21日には、日本の排他的経済水域(EEZ)で同海警局船の乗組員が中国漁船に乗り移り立ち入り検査を行いました。(11/24産経「主張」) EEZは領海・接続水域の外側の200海里内の海域で「国際海洋法条約」によって沿岸国(日本)だけに天然資源の探査、開発の権利、海洋環境の保全のための管轄権を行使することが認められています。 したがって日本の領土である尖閣周辺のEEZでの中国公船による中国漁船への立ち入り検査は国際法違反です。しかし中国は立ち入り検査という「法執行」の事例を重ねることで尖閣諸島は中国領であることを定着させるため巧妙に日本の管轄権を奪おうとしているのです。(11/24産経「主張」) ■問題の本質と解決策 今回の中国による防空識別圏設定の問題の本質は、日本の領土・尖閣諸島に基づいて設定された防空識別圏と、中国側が尖閣諸島の領有を一方的に主張して今回設定した防空識別圏が大きく重なっていることです。 つまり、中国が無通告と認識すれば、自衛隊戦闘機に対して中国軍機のスクランブルの可能性もあり、危険な事態が発生する可能性を意味しています。(自衛隊パイロットは命がけであることを国民は知るべきです) だからと言って中国が主張する防空識別圏に従って、その空域を日本の飛行機が通過する際に中国に通告すれば、尖閣諸島が中国の領土であることを認めることになります。ですから日本が中国に通告する必要はまったくありません。 日本のあるべき対応は、尖閣諸島を日本の固有の領土として主張し、日本の防空識別圏を通過する際は、中国側に報告を求める姿勢を絶対に崩さないことです。そしてこれまでと同じく報告のない無国籍機はスクランブルの対象とすべきです。 ■米国の反応 米政府は23日、中国の防空識別圏設定を受け、外交・軍事双方のルートで「中国に強い懸念を伝え、一方的な行動」と非難しました。 またヘーゲル国防長官も、米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約第5条が尖閣諸島に適用されるとクギを刺し、ケリー国務長官も中国の防空識別圏設定を「東シナ海の現状を変えようとする一方的な行動だ」と断言しています。(11/24時事ドットコム) 米国の発言はありがたいことですが、日本も同盟国米国に感謝をあらわし関係を強化すると同時に、9条の改正を目指し日本の防空識別圏を背景にしながら断固日本を守る覚悟を中国に示す必要があります。(文責・政務調査会 佐々木勝浩) 「経済包囲網」+「勇気ある決断」の合わせ技で中国共産党に引導を渡せ 2013.11.23 ■「脱・中国」経済が世界のトレンド 世界から見放され始め、中国経済は今最大のピンチを迎えています。 中国商務省は19日、2013年1~10月の世界から中国への直接投資額(実行ベース)が前年比5.8%増の約9兆7千億円で、1~9月の伸びに比べ鈍化したと伝えています。 また、2012年の世界からの中国への投資規模は3年ぶりに前年水準を下回り、今年に入っても1ケタ台の伸びが続き、かつての勢いは戻っていないと報じられています。(日経11/20) その要因としては、人件費の高騰をはじめ、投資や税金に関する度重なる法律変動、知的財産権侵害の横行など「チャイナ・リスク」に嫌気がさし、製造業を中心に「脱・中国」を加速させているからです。 お金の流れも2008年のリーマンショック以降は「脱・中国」が顕著であり、中国工商銀行の大株主となっていたゴールドマン・サックスや、UBS、RBSなど欧米系の金融機関が相次いで中国の金融機関の株式を大量に売却している状況です。 ■日中間の「政経冷却」で苦しいのはどっち? 日本では近年まで対中投資を増やし続けていましたが(2011年度は前年比49.6%増・JETRO調べ)、昨年の8~9月に起こった尖閣諸島を巡る大規模な反日デモ以降、日中関係は政治・経済両面で冷え込んでいます。 それでは日中間の「政経冷却」で一体どちらが苦境に立たされるのでしょうか? 日本への悪影響としては、代表的に中国向け輸出の低迷、中国現地法人の売上低迷、訪日中国人の減少が考えられ、確かに日本製品の象徴といえる「自動車産業」などは最も悪影響を受ける産業であると言われております。 しかし、全体的に考えると、約470兆円の経済規模を誇る日本にとって、中国との関係悪化は、微々たる影響しかなく、最悪の場合でも日本の国内総生産を0.2%押し下げる程度の規模でしかありません。 一方、中国にとっての悪影響としては、まず対中国直接投資の減少が甚大となります。 フローベースの対中国直接投資額は香港や台湾を除けば、日本は実質的に世界第一位で年間5000億~6000億円のペースで直接投資が行われており、残高は約6.5兆円に達します。 更に、日本の現地法人は1000万人以上の中国人を雇用しており、日本企業の更なる撤退によって失業者が急増し、治安が一気に悪化することも想定されます。 また、日本の直接投資が最先端技術の移転など中国の進歩に必要不可欠な点、日本からの部品輸出が止まると、最終製品を作れないといった数多くの弊害が噴出し、中国は苦しくなる一方なのです。 ■ASEANとの経済交流拡大による「中国包囲網」の形成 中国経済の苦境を尻目に、第2次安倍政権は発足直後からマレーシア、ベトナム、インドネシア、フィリピンなどASEAN(東南アジア諸国連合)諸国に対して、積極的な外交を行い、経済的交流を深めております。 日本貿易振興機構(JETRO)が2013年8月に発表した「世界貿易投資報告」によると、13年上半期(1~6月)の日本企業の対外直接投資額は、中国向け直接投資が前年比31.1%減の49億ドルでした。 それに対し、ASEAN向けは55.4%増の102億ドル(約9800億円)で過去最高となり、中国への投資額に比べ2倍以上に急激に膨らんでいます。 ASEAN諸国が持つ魅力としては、若年人口の急増による潜在的な成長余地が大きいこと、総じて親日感情が非常に強いことが挙げられ、2012年に行われたある調査によれば、「日本を大好き」または「好き」と答えた割合は実に90%を超えたと言われています。 確かに、交通、電力、水道など公共インフラの脆弱性は玉にキズですが、日本の得意分野であるインフラ輸出も進行しており、TPP交渉の本格化と共に、中国の軍事的進出に脅威を感じているASEAN諸国による実質的な「中国包囲網」が完成しつつあります。 ■追い詰められた虎に対して、日本は毅然たる姿勢で引導を渡せ 『中国はもう終わっている』の中で石平氏は「1989年の天安門事件以来、共産党のイデオロギーが崩壊してしまったため、共産党が自らの正しさを主張できる唯一の根拠が経済成長。経済が成長しているからこそ、共産党の指導は正しいと言えるわけです。」と述べているが、その肝心の経済において中国は追い詰められています。 そんな「追い詰められた虎=中国共産党」が再び国民の信頼を集め、受け入れられるためには近隣諸国との軍事的緊張を高めるしかないことを習近平はよく認識しています。 我が国としてはもちろん、尖閣諸島を始めとする南西諸島周辺への中国海軍の進出などには細心の警戒感を持つべきでありますが、「中国にとっての当面の核心的利益は南シナ海である」という意見もあります。 その理由としては、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイなどのASEAN諸国は日本に比べ圧倒的に小国であり、事態を有利に運ぶことが出来ると考えているからであります。 第2次安倍政権が発足した直後からASEAN諸国を回った安倍首相はインドネシアのユドユノ大統領と対談した際に、集団的自衛権の行使、そして国防軍の保持のために憲法改正を行うと踏み込んだ考え方を示し、中国の軍事的脅威に悩むASEAN諸国からは日本の憲法改正、国防軍の創設は大きな賛意を受けています。 いまASEAN諸国は「日本は本当に頼りになるかどうか」を見極めていると言えるでしょう。 安倍政権には彼らの期待をくれぐれも裏切らず、堂々と憲法9条改正を主張することで、自国とアジア全体の平和を保つ力となる姿勢を明らかにし、中国共産党に引導を渡すことを切に願います。(HS政経塾 第1期生城取良太) 【参考文献】 「中国バブル崩壊が始まった」 宮崎正弘 「パッシング・チャイナ」 熊谷亮丸 「中国はもう終わっている」 皓文雄・石平 小泉元首相の「原発即ゼロ」を糾す! 2013.11.22 ■「脱原発」へ突き進む、小泉元首相 「原発即ゼロ」を掲げて、小泉純一郎元首相が、現在「活躍」しています。 首相在任時は、自民党内での反対も多い中、マスコミを巻き込む巧みな手腕で郵政民営化を訴え、「小さな政府」に向けた政策実現をなされたことは一定の評価ができるものでした。 そんな功績を持っておられる小泉氏が、大変残念なことに、日本の将来に大きな影を落とす、「脱原発」の主張を盛んにされております。 ■「トイレなきマンション」の論拠だけで決めてはならない「日本のエネルギー政策」 小泉氏が「原発即ゼロ」を考える契機となったのは、今年の夏に行かれたフィンランドで、岩盤を深さ400mまで掘った地下の高レベル放射性廃棄物処分場を見学してからです。 「原発即ゼロ」を訴える小泉氏の論拠は、原子力発電で生じる高レベル放射性廃棄物の最終処分場が決まっていないことにあるようです。「10年以上かけて1つも見つけられない」と批判されています。(11/14産経新聞) いわゆる「トイレなきマンション」と言われるように、原子力発電の放射性廃棄物処理の問題が十分に解決できていないことは事実です。 この問題は、日本の国家全体の問題として、また世界の問題としても、問題解決に向けて取り組んでいかなければなりません。 しかし、放射性廃棄物処理が十分できないことを論拠に、日本で「原発即ゼロ」にする主張は、やはり無責任な主張であると考えます。 現状の日本のエネルギー政策を、エネルギー安全保障、国家安全保障、市場経済への影響、日米間や国際情勢など様々な面から考えたならば、私は「日本に原発は必要」であり、「原発の早期再稼働」を急ぐべきだと考えます。 ■「脱原発」を進めたドイツの失敗 小泉氏の目指す、「脱原発」そして「再生可能エネルギー推進」路線を世界に先駆けて進めた国としてドイツがあります。 一部メディアはこの姿勢を賞賛しますが、負の側面はあまり伝えられていません。ドイツの電気料金は過去10年間で、再生可能エネルギーの買取制度等の影響があり「1.8倍」も跳ね上がっています。 ドイツでは、脱原発の電気料金上昇が低所得者層の生活と産業界を直撃しており、買取制度のあり方が連邦議会(下院)選挙の争点になるほどとなりました。(「脱原発」が地方を滅ぼす) ■隠された「不都合な真実」→ 2倍で済まない電気料金 また、2012年9月、支持率低迷にあえいだ当時の民主党・野田首相は、「脱原発」による支持者回復を狙い、2030年代の原発ゼロシナリオ「革新的エネルギー・環境戦略」を検討していました。 この動きの中で、政府のエネルギー・環境戦略会議に提出された経済産業省資料に、「原発ゼロを完全に実施するならば、家庭の電気料金は10月の平均月9,900円から最大で2万712円に跳ね上がる」(「脱原発」が地方を滅ぼす)という電気料金に関わる重大な試算がありました。 しかし、政府は、この不都合な真実を積極的に説明しませんでした。日本が原発を失えば、原油やLNGを安価で大量購入できる保証もありません。「完全に足元を見られる」ことになり、中東をはじめ石油産出国に対する価格交渉力は著しく低下します。 また、ペルシャ湾‐インド洋‐マラッカ海峡を結ぶシーレーンは周辺に政情不安定な国が多く安全保障上のリスクは絶えません。 これに伴い、石油備蓄や資源権益確保などエネルギーセキュリティーにも莫大なコストがかかります。これら試算に考慮されていないコストが追加されれば、電気料金は試算の2倍を超える可能性が十分にあります。 ■「原発」が無くなれば国民の安全・命が守られるのか? 私のような「原発推進論者」に対して、「脱原発論者」の方々から、「国民の命より経済・産業を優先している」という御批判をいただくことがあります。 私がその時に考えることは、「原発」や「放射能」が無くなりさえすれば、本当に国民の安全や命が守られるのかということです。 原発ゼロの実現で、その後、電力の安定供給ができなければ、夏の大変暑い日に、御自宅で熱中症により亡くなる方が出る可能性が高まります。 また、電気料金が上がれば、会社の経営が苦しくなり、倒産して失業し、自殺してしまう方が増える可能性もあります。 このように、国民の「命」と「エネルギー」の関係を考えるときには、社会全体の影響も考慮しなければならないと考えます。 ■世界共通の「原発問題」は、日本の技術力によって解決を目指せ! 日本が抱えている「原発問題」は、世界各国の共通の問題でもあります。 技術大国・日本が世界に期待されていることは、福島の原発事故を経験した教訓を生かして、日本の技術力によって、世界の「原発問題」を解決してほしいということだと考えます。既に京都大学原子炉研究所・山名元教授の研究では、放射能の寿命を短くする技術研究なども進められております。 小泉氏は、国民に人気があり、影響力を持つ方です。だからこそ、現在主張されている「原発即ゼロ」政策が、日本の将来にとって本当に正しい選択であるのか、国民のために、今一度考え直していただくことを強く求めます!(文責・幸福実現党鹿児島県本部副代表 HS政経塾4期生 松澤力) 経済好調でも貿易収支赤字を拡大する「原発の停止」 2013.11.21 ◆原発停止による貿易収支赤字の拡大 11月20日に発表された10月の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は、1兆907億円の赤字となりました。 赤字額は比較できる1979年以降で3番目の大きさとなり、赤字が16ヶ月連続で過去最長を更新しました(11/20 朝日夕刊2面、11/20日経夕刊1面)。 アメリカ向けの自動車を中心に好調で、輸出額は伸びているにも関わらず、なぜそれ以上に輸入額が増えているのか。 その理由は、「燃料輸入」の増加です。原子力発電所の停止により、液化天然ガスや原油など火力発電に必要な燃料需要が増加しており、さらに円安の影響で、輸入額が拡大しているのです。 日本は、対外直接投資や証券投資の収益である所得収支が大きいため、貿易収支が赤字となっても、今のところ経常収支は黒字です。 経常黒字の積み重なった結果、日本は、世界一の対外純資産は296兆円を保有しています。 これは、日本が世界一のお金持ち国であり、日本がすぐに破綻するハズがないといえる論拠の一つですが、原子力発電所の停止がさらに続き、貿易収支赤字が拡大することは日本経済にとっても悪影響となります。 来年4月には、消費税が8%に増税される予定となっていますが、燃料代もさらに重なるとなれば、消費マインドが冷え込み、購買意欲が減退し、企業の売上に直撃します。 それ以外にも、電力の高コスト化、不安定化は、工場など、企業の設備投資の意欲も冷え込ませることに繋がります。 日本経済が縮小すれば、税収も減少します。増税するにもかかわらず、財政はいつまでたっても健全化しないという状況に陥りかねません。 原子力発電所の再稼動は、日本経済をさらに活性化するためにも不可欠なのです。 ◆原発を推進していた小泉元首相 小泉元首相は、「政府は、原発ゼロの方針を出すべき」と主張しておられますが、首相在任時の判断を変えた経緯をはっきりと述べるべきではないでしょうか。 2005年10月に「原子力発電は基幹電源として着実に推進していく」という原子力政策の基本方針を定め、そのアクションプランとして「原子力立国計画」2006年6月に策定されました。これらを推進したのは、小泉首相在任時でした。 さらに12日、日本記者クラブの記者会見では、「政治で一番大事なのは方針を出すこと。そうすれば必ず知恵が出てくる」と発言し、環境技術をリードする日本のハイブリッド車の可能性について言及しておられました。 しかし自動車のエネルギー消費割合は、最終エネルギー消費内の約14%であり、電力問題の本質的な解決に繋がりません(経済産業省エネルギー資源庁http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2011energyhtml/2-1-2.html)。 1973年の石油ショックを機に、代替エネルギーを開発する目的で1974年にサンシャイン計画が打ち出されました。 当初は、国内総エネルギーの20%を新技術によって充足することを目指していましたが、大きな成果は出ませんでした。 そうした中、日本のエネルギー供給体制を安定的なものとするために、原子力発電所の建設が進められてきた背景があります。 首相在任時と判断を変えた理由や、石油ショックを機に原子力発電が推進されてきた背景について何ら触れることなく、原発ゼロというのは、あまりに強引といえます。 ◆放射性廃棄物の最終処分場の決定へ 20日、経済産業省の作業部会で、放射性廃棄物の最終処分場の選定について、国が主導する方針が表明されました。長年の課題であった、最終処分場についての方針が示されたという意味で、評価できます。 「原発ゼロ」を求める小泉元首相を牽制すると同時に、これを逆手にとって、放射性廃棄物の最終処分場の選定も進めることで、原子力発電にまつわる長年の課題を解決し、原子力発電を活用しやすい環境を整え、日本経済をさらに成長させるチャンスとするべきです。 (HS政経塾部長兼政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ) すべてを表示する 1 2 3 Next »