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「経済包囲網」+「勇気ある決断」の合わせ技で中国共産党に引導を渡せ

■「脱・中国」経済が世界のトレンド

世界から見放され始め、中国経済は今最大のピンチを迎えています。

中国商務省は19日、2013年1~10月の世界から中国への直接投資額(実行ベース)が前年比5.8%増の約9兆7千億円で、1~9月の伸びに比べ鈍化したと伝えています。

また、2012年の世界からの中国への投資規模は3年ぶりに前年水準を下回り、今年に入っても1ケタ台の伸びが続き、かつての勢いは戻っていないと報じられています。(日経11/20)

その要因としては、人件費の高騰をはじめ、投資や税金に関する度重なる法律変動、知的財産権侵害の横行など「チャイナ・リスク」に嫌気がさし、製造業を中心に「脱・中国」を加速させているからです。

お金の流れも2008年のリーマンショック以降は「脱・中国」が顕著であり、中国工商銀行の大株主となっていたゴールドマン・サックスや、UBS、RBSなど欧米系の金融機関が相次いで中国の金融機関の株式を大量に売却している状況です。

■日中間の「政経冷却」で苦しいのはどっち?

日本では近年まで対中投資を増やし続けていましたが(2011年度は前年比49.6%増・JETRO調べ)、昨年の8~9月に起こった尖閣諸島を巡る大規模な反日デモ以降、日中関係は政治・経済両面で冷え込んでいます。

それでは日中間の「政経冷却」で一体どちらが苦境に立たされるのでしょうか?

日本への悪影響としては、代表的に中国向け輸出の低迷、中国現地法人の売上低迷、訪日中国人の減少が考えられ、確かに日本製品の象徴といえる「自動車産業」などは最も悪影響を受ける産業であると言われております。

しかし、全体的に考えると、約470兆円の経済規模を誇る日本にとって、中国との関係悪化は、微々たる影響しかなく、最悪の場合でも日本の国内総生産を0.2%押し下げる程度の規模でしかありません。

一方、中国にとっての悪影響としては、まず対中国直接投資の減少が甚大となります。

フローベースの対中国直接投資額は香港や台湾を除けば、日本は実質的に世界第一位で年間5000億~6000億円のペースで直接投資が行われており、残高は約6.5兆円に達します。

更に、日本の現地法人は1000万人以上の中国人を雇用しており、日本企業の更なる撤退によって失業者が急増し、治安が一気に悪化することも想定されます。

また、日本の直接投資が最先端技術の移転など中国の進歩に必要不可欠な点、日本からの部品輸出が止まると、最終製品を作れないといった数多くの弊害が噴出し、中国は苦しくなる一方なのです。

■ASEANとの経済交流拡大による「中国包囲網」の形成

中国経済の苦境を尻目に、第2次安倍政権は発足直後からマレーシア、ベトナム、インドネシア、フィリピンなどASEAN(東南アジア諸国連合)諸国に対して、積極的な外交を行い、経済的交流を深めております。

日本貿易振興機構(JETRO)が2013年8月に発表した「世界貿易投資報告」によると、13年上半期(1~6月)の日本企業の対外直接投資額は、中国向け直接投資が前年比31.1%減の49億ドルでした。

それに対し、ASEAN向けは55.4%増の102億ドル(約9800億円)で過去最高となり、中国への投資額に比べ2倍以上に急激に膨らんでいます。

ASEAN諸国が持つ魅力としては、若年人口の急増による潜在的な成長余地が大きいこと、総じて親日感情が非常に強いことが挙げられ、2012年に行われたある調査によれば、「日本を大好き」または「好き」と答えた割合は実に90%を超えたと言われています。

確かに、交通、電力、水道など公共インフラの脆弱性は玉にキズですが、日本の得意分野であるインフラ輸出も進行しており、TPP交渉の本格化と共に、中国の軍事的進出に脅威を感じているASEAN諸国による実質的な「中国包囲網」が完成しつつあります。

■追い詰められた虎に対して、日本は毅然たる姿勢で引導を渡せ

『中国はもう終わっている』の中で石平氏は「1989年の天安門事件以来、共産党のイデオロギーが崩壊してしまったため、共産党が自らの正しさを主張できる唯一の根拠が経済成長。経済が成長しているからこそ、共産党の指導は正しいと言えるわけです。」と述べているが、その肝心の経済において中国は追い詰められています。

そんな「追い詰められた虎=中国共産党」が再び国民の信頼を集め、受け入れられるためには近隣諸国との軍事的緊張を高めるしかないことを習近平はよく認識しています。

我が国としてはもちろん、尖閣諸島を始めとする南西諸島周辺への中国海軍の進出などには細心の警戒感を持つべきでありますが、「中国にとっての当面の核心的利益は南シナ海である」という意見もあります。

その理由としては、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイなどのASEAN諸国は日本に比べ圧倒的に小国であり、事態を有利に運ぶことが出来ると考えているからであります。

第2次安倍政権が発足した直後からASEAN諸国を回った安倍首相はインドネシアのユドユノ大統領と対談した際に、集団的自衛権の行使、そして国防軍の保持のために憲法改正を行うと踏み込んだ考え方を示し、中国の軍事的脅威に悩むASEAN諸国からは日本の憲法改正、国防軍の創設は大きな賛意を受けています。

いまASEAN諸国は「日本は本当に頼りになるかどうか」を見極めていると言えるでしょう。

安倍政権には彼らの期待をくれぐれも裏切らず、堂々と憲法9条改正を主張することで、自国とアジア全体の平和を保つ力となる姿勢を明らかにし、中国共産党に引導を渡すことを切に願います。(HS政経塾 第1期生城取良太)

【参考文献】
「中国バブル崩壊が始まった」 宮崎正弘
「パッシング・チャイナ」 熊谷亮丸
「中国はもう終わっている」 皓文雄・石平

しろとり 良太

執筆者:しろとり 良太

幸福実現党広報本部

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