Home/ 歴史認識 歴史認識 「朝日新聞 VS 門田隆将氏の論戦」考 2014.06.15 文/幸福実現党 岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆門田隆将氏の魂の告発 朝日新聞社は今月9日、週刊ポスト(小学館)が6月20日号に掲載したノンフィクション作家門田隆将氏による記事「朝日新聞『吉田調書』スクープは従軍慰安婦虚報と同じだ」について、朝日新聞社の名誉と信用を著しく毀損するとして厳重に抗議し、訂正と謝罪の記事の掲載を求めました。(朝日6/10) ことの発端は、朝日新聞が5/20から始めた東京電力の故吉田福島第一原発所長(当時)(2013.7死去)の政府事故調の調べに対して答えた「聴取結果書」(非公開)を入手し、スクープとして連載したことによります。 特に門田隆将氏が問題としているのは、福島第一原発の事故対応で世界的に称賛を浴びたいわゆる”Fukushima fifty”(最後まで残った50人の意:実際の人数は69人であるが時系列で幅がある)を始め、死を覚悟して決死の原子炉建屋への突入を繰り返した東電職員、協力業者等の功績を著しく貶めた点であります。 朝日は、吉田調書を元に、実は日本人(原発職員たち)は福島第一原発から逃げ出していたという記事を発信しました。 5/20の1面トップで「所長命令に違反 原発撤退」「福島第一 所員の9割」と特大の活字で報道しました。 つまり、福島第一原発所長、所員等が最期まで命がけで戦ったという英雄談は、実は、吉田所長も含め69人が福島原発に留まったのは、所員らが所長命令に反して福島第二原発に撤退してしまった結果に過ぎないというのです。 ◆福島原発事故は“日本版セウォル号”だった? この記事の反響は、世界に広がっており「福島原発事故は(船長が船と乗客を捨て真っ先に逃げた)“日本版セウォル号”だった!“職員の90%が無断脱出・・・初期対応できず”」(韓国・エコノミックレビュー)、「福島原発の作業員は危機のさなかに逃げ去った」(英・BBC)という形で世界中に配信されています。 門田氏は、週刊ポストの記事の中で「なぜここまで日本人を貶めなければならないのか」と朝日が報じた所長命令に反して9割の所員が撤退したと書いているのは、「誤報」であると細かく検証しています。 吉田所長ほか関係者100名近い実名証言を基に書かれたノンフィクション「死の淵を見た男~吉田昌郎と福島第一原発の500日~」(門田隆将著:PHP刊)を一読すれば、門田氏の「誤報である」という訴えは、単なる一著者個人の立場から出ているものではありません。 本当に死を覚悟して、原子炉建屋への突入を繰り返した「無名戦士」たち一人一人、そして彼らの家族の苦悩を知る者として、また彼ら作業員の命に責任を持つ吉田所長の苦悩を知る者としてどうしても看過できない魂の叫びに思われます。 ◆死を覚悟していた吉田所長 福島第一原発においては、震災の翌日3月12日には1号機が水素爆発し、14日には3号機が爆発。そして震災から5日目の15日朝、2号機で衝撃音がし圧力制御室の圧力が低下、放射性物質が多量に放出された可能性があり、福島第一原発事故最大の危機だったといっても過言ではない局面を迎えていました。 その時、まだ原発内には職員、協力業者の人々が700名近く残っていました。吉田所長は、死を覚悟しており、多くの人々をいかに避難させるかを考えていました。そして同時に「一緒に死んでくれる人(残ってくれる人)」も考えていました。 これほどの極限状態にあったのです。よって所員の90%が無断撤退というのは、吉田所長から見れば「生きて避難してもらいたかった人々」なのです。調書の言葉尻をとらえて朝日は諸外国に「敵前逃亡」のような印象・誤解を与える見出し、内容としたのでした。 このような意図的とも思える印象操作に対して、門田氏はかつて朝日が慰安婦とは全く関係ない勤労奉仕団体の「女子挺身隊」を、その名の下に戦場に強制連行され慰安婦として働かされたと誤報し、従軍慰安婦問題を捏造した構図と同じものと告発しているのです。 ◆自虐史観を克服する 門田氏著の「死の淵を見た男~吉田昌郎と福島第一原発の500日~」に関しては、吉田所長を使いでのあるアイコンとして物語化し、英雄視する「東電が欲した物語」「東電正当化のための物語」という批判があることは承知しています。 しかし同書を読む過程で、幾度も流した涙は決して東電正当化に与(くみ)するというような安っぽいものでなく、人間の持つ崇高な精神性に対するものであったと信じます。 「門田氏が正しい」、「朝日が間違っている」とはいいません。しかし少なくとも門田氏は暖かい、朝日は冷たいといいましょう。 「日本人を貶めること」これが自虐史観です。反省はもちろん必要ですが、正当な歴史評価も大切です。一つ一つの歴史的事実という水蒸気から、光を照らし虹を描くこともできれば、光を消し暗黒史を描くこともできます。 幸福実現党は、大川隆法総裁の一冊一冊の霊言をもって、今、自虐史観を克服し、壮大な虹を描く作業をしています。子供達に誇りある歴史観を遺してまいります。 「ザ・レイプ・オブ・南京」――「南京大虐殺」は、あったのか? 2014.06.14 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 今回は、中国系アメリカ人アイリス・チャン著『ザ・レイプ・オブ・南京』(1997年発刊)を中心に取り上げます。 南京虐殺に関しては、1980年前後あたりから日本でも保守派や左派からいろんな書籍が出版され話題になっていました。 『ザ・レイプ・オブ・南京』は、日本軍の30万人の虐殺と8万件のレイプ事件を告発したもので、世界でベストセラーになり「日本の南京大虐殺」を世界に広げた書籍です。 この書籍が世界的に日本を貶めることを意図して書かれているとしたら、これは大変なことです。同書が中国による南京大虐殺をユネスコの記憶遺産へ登録申請を後押しする結果になることは間違いありません。 そもそも著者のアイリス・チャン(1968~2004)は戦後アメリカ生まれで、同書は戦後50年以上たってから発刊されました。 「アイリス・チャンの本には、歴史学研究の方法的訓練を経験していないため資料批判の弱さや事実誤認の箇所も少なくない」(『南京事件と三光作戦』笠原十九司著・大月書房)という指摘もあります。 また秦郁彦氏は、アイリス・チャンは「日本語もドイツ語も読めず、チェックしてもらう一流の近現代史専門家との縁もない。」そんな状況で「この大テーマに取り組んだのだから惨憺たる出来栄えになっても不思議ではない」(『現代史争点』文芸春秋)と指摘しています。 ◆南京大虐殺の嘘を暴く「写真検証」「時間検証」 東中野氏は共著『南京事件「証拠写真」を検証する』(草思社)で『ザ・レイプ・オブ・南京』の証拠写真についても検証を加え捏造を暴いています。 たとえば、「影の方向が一致しない」「靴の方向が不自然」「刀を持っている足の出し方が反対」「南京戦は冬でありながら半袖」など「やらせ」「すりかえ」「合成」で南京周辺と推定できるものは一枚もなかったと分析しています。 「時間検証」としては、たとえば日本軍の南京入城は昭和12年ですが、写真に写っている97式装甲車は、昭和15年に熊本に初めて配備されたもので南京では当時生産されていませんでした。 「写真検証」「時間検証」という東中野氏らの検証は、アイリス・チャンに衝撃を与えたのか『ザ・レイプ・オブ・南京』の日本語版の発刊にも影響を与えています。 ◆霊言――新たな視点からの検証 もし亡くなったアイリス・チャン本人に聞くことが出来たらどうでしょうか。本人は今どう思っているのか、いま本人が証言することが出来たら、なんと言うのか聞きたいことはたくさんあります。 大川隆法総裁は、これまでも多数の偉人や聖人などの霊言をとおして、あの世があり人間の魂は永遠であることの証明しています。 そして6月12日、アイリス・チャン本人の霊を降ろしてインタビューしました。アイリス・チャン霊へのインタビューという新たなアプローチです。 【緊急発刊!】 『天に誓って『南京大虐殺』はあったのか』幸福の科学出版 「ザ・レイプ・オブ・南京」著者アイリス・チャンの霊言 http://info.happy-science.jp/2014/10750/ 謎の死から10年、日本人への涙の謝罪――「神よ、どうかお許し下さい」 私は「偽書」を書かされ、政治利用された――『ザ・レイプ・オブ・南京』発刊の背後にあった思惑 アイリス・チャンは本当に自殺だったのか!?――リアルに語られる死の真相 中国が南京大虐殺をユネスコの記憶遺産に登録申請 2014.06.13 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆中国が南京大虐殺をユネスコの記憶遺産に登録申請 中国が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の記憶遺産に南京大虐殺を登録申請するため慰安婦に関する資料とあわせ、今年3月にユネスコに申請書類を提出しました。 新華社は、南京大虐殺記念館などが当時の日記や写真、映画フィルム、旧日本軍の戦争犯罪を裁いた南京軍事法廷の記録文書など11組の資料を選んで申請し、ユネスコが7月に申請内容を公表すると報じています。(産経6/12) ユネスコの記憶遺産は、申請から決定までに通常約1年半かかり、文部科学省によると、登録申請の締め切りは西暦の各偶数年の3月末までで、中国が今年3月末までに申請していたとすれば、申請が認められるかどうかは来年の夏頃に決まる可能性が高いとのことです。 申請後はユネスコによる事務的な審査を経て、奇数年の5~8月に開かれる「ユネスコ記憶遺産国際諮問委員会」の審査を経て、最終的にユネスコ事務局長が可否を決定する。 (産経6/11) 中国外務省の華報道官はユネスコへの申請の目的について、「歴史を心に刻み、非人道的かつ人権を侵害する犯罪行為が、繰り返されることを防ぐためだ」と強調しています。(産経6/10) ◆日本を責める資格もない中国の蛮行 中国は、これまでも日本軍が南京市民30万人を虐殺したと主張してきました。しかし天安門事件でハンストを行い平和裏に民主化要求してきた学生や市民に発砲し戦車で蹂躙した中国に日本を非難する資格はありません。 中国共産党が天安門事件の死者数は数千とも万を超えるとも言われていますが、天安門事件そのものがなかったとし、自国軍が殺害した数字も満足に数えられない国が、なぜ70年前の日本軍による30万人虐殺を数えられるのでしょうか? またチベット、南モンゴル、ウイグルを侵略、大量粛清し、ウイグルの独立を求めた抵抗をテロ呼ばわりするような国の蛮行こそ、ユネスコの記憶遺産に登録申請されるべきです。 「非人道的かつ人権を侵害する犯罪行為が、繰り返されることを防ぐ」との中国外務省の華報道官の発言を、そっくりお返ししたいところです。 ちなみに、「ユネスコへの記憶遺産登録申請」は、政府に加え、地方自治体や民間団体、個人でも可能だそうです。(産経6/11) ◆南京大虐殺は本当にあったのか? では、南京大虐殺は本当にあったのか? 適切な言葉を使うとすれば、「南京戦はありました。戦争ですからそれによって死者もでました。しかし日本軍が南京市民を30万人も大虐殺した事件はありませんでした」ということになるでしょう。 当時、日本が南京を攻めた当初は銃撃戦があったのですが、その後、国民党軍は逃げ惑い、兵士の一部は市民のなかに隠れて「安全区」に逃げ込んだり、市民に化けて日本兵を襲う者もおりました。 兵士が市民に化けて戦うことは国際法で禁じられています。兵士はヘルメットを被っているため、額が日に焼けていません。日本軍は市民から兵士を見分けて、時には戦わざるを得えませんでした。 こうしたことが市民を虐殺したことと誤解されているのです。 ◆人間離れした日本兵 中国の言い分が真実だとすれば、以下のようになります。 (1)当時南京市民は20万人、日本軍は30万人殺した。つまり「人口以上の市民を殺す能力」を日本軍は持っていた。ユネスコではなく、中国の推薦で「世界珍記録」として登録されるべきである。 (2)当時、南京戦を戦った日本兵は5万人。30万人の市民を大虐殺したとすれば、1人で6人を殺したことになる。しかし、市民は「安全区」に非難しており、市街に人がいないにもかかわらず「あらゆる通りで人々を手当たり次第に射殺」した。 (3)米軍が広島に落とした原爆の死者は10万人。日本軍は30万人を殺戮する原爆3個分に匹敵する秘密兵器を持っていたのか。そんな秘密兵器を持っていたら、そもそも日本は負けるわけがない。 (4)日本軍は戦うだけでなく30万の遺体を一夜の間に片付けることができる能力を持っていた。もしかしたら宇宙人に遺体の回収を頼んだ・・・ (5)日本軍が30万人を虐殺したとすれば南京市内には誰もいないはずであるが、城内の「安全区」には20万人の市民であふれていた。中国人は殺されても生き返るのだろうか? 以上、虐殺数は大きな論点ですが、常識的に考えても30万人の虐殺はあり得ないことです。 中国がどんな資料をユネスコに持ち込んだのか、7月に公表されるとのことですが、中国は世界を巻き込んで日本包囲網を形成しようとしています。しかし中国の嘘は、必ずばれる時がきます! 次回は、世界でベストセラーになり日本の南京大虐殺「ザ・レイプ・オブ・南京」(アイリス・チャン著)等を取り上げながら別の視点で「南京大虐殺問題」を論じてみましょう。 天安門事件から25年――記憶を風化させてはならない 2014.06.03 文/HS政経塾1期生 兵庫県本部副代表 湊 侑子 ◆6月4日を迎えるにあたって 香港での動き 1989年6月4日に北京市の天安門広場にて、数千人から1万人の学生や市民が無差別に殺されました。世界に衝撃を与えてから、今年で25年目を迎えます。 香港では、6月1日に3000人が中国当局に事件の責任追及と民主化、またノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏らの解放を訴えてデモを行いました。 この中には、地元高校生の民主派グループで、中国共産党の押付ける共産党礼賛教育に反対する活動を行う「学民思潮(Scholarism)」から約100名参加し、地元メディアの注目を集めています。 ◆世界初、常設の天安門記念館の果たす役割 天安門事件が25年経ち、人々の記憶から風化して忘れ去られることを恐れ、香港の繁華街の一角のビルのワンフロアに「六四紀念館」がオープンしています。 有志が寄付を集め、今年4月に開館。常設ということでは、世界初となります。 記念館のスタッフに聞いたところ、毎日数百人が記念館に訪れているそうです。香港人だけでなく中国人や日本人観光客に来てもらい、天安門事件のことを知ってもらうことも開設した目的の一つです。 実際にこの博物館を訪れた中国人の中には広東省からきた大学生で事件を大学内の小グループでひそかに研究しているような人も存在しています。(2014.6.1 産経「香港に常設記念館 中国本土から大学生」) 記念館でも天安門事件の映像や資料をDVDやUSBにまとめて頒布しています。これらを通じて中国内に真実を広めることができるでしょう。 私たちが訪問したときには中国人はいませんでしたが、高校生と引率の先生たちが授業の一環として博物館を訪れていました。 先生に来館の目的を尋ねると、「生徒たちに真実を知ってもらいたいため、ここに彼らを連れてきた」と語りました。 生徒たちは「あなたたちと同じ年齢の多くの学生たちは当時、民主のために死にました。しかし、その理想はいまだに実現していません。私たちはそのために、何かができるかを考えましょう」と語るスタッフの説明を熱心に聞き、展示物を見て回っていました。 広島や長崎、沖縄に修学旅行で生徒たちを連れて行き、「日本は悪いことをしたんだ」と自虐史観を植え込むくらいであれば、日本の修学旅行生も香港の天安門博物館に行って、世界の真実に目を向けてもらいたいと思います。 そこには、自由と民主主義を求める学生たちの、心からの叫びが今もまだ存在しているのです。 参考:THE FACT(ザ・ファクト)第10回 「天安門事件25年~中国最大のタブー”大虐殺”の真相~」 http://www.youtube.com/user/theFACTtvChannel ◆中国の香港化をおしすすめよう 香港には今、自由があり繁栄がありますが、これらは香港返還時に制定された香港基本法の第5条に、「香港特別行政区は社会主義の制度と政策を実施せず、従来の資本主義制度と生活様式を保持」すること、この状況を「50年間変えない」ことが制定されており、これらが守られるかどうかを、世界が注目しています。 中国共産党は、なんとか香港の自由や民主主義を奪いたいと考えています。ある意味では、彼らは自由や民主主義が持つ価値を、一番よく知っているのでしょう。 香港の民主化の先頭に立って戦って来られた元政党党首のマーティン・リー氏は、中国共産党と香港民主化との争いに関して、「どんな独裁者も続かないというのは歴史の教訓です。人々の力が必ず勝つと信じます。」とおっしゃっていました。 天安門事件から25年の2014年、今年は今までで行われたデモの中で、もっとも盛り上がるのではないかと言われています。人間の善なる力が悪に屈し続けることはありえません。 日本からも、香港の民主化を守るため、そして中国の民主化を進めるための声を上げ続けていきたいと思います。 宗教的本質を尊重した皇室の拡充を 2014.05.28 文/徳島県本部副代表 小松由佳 ◆女性宮家の議論が再燃する可能性 27日、高円宮典子さまのご婚約内定という慶事がありました。現在、安倍政権では、憲法改正に向けた準備が進んでおり、国防面の議論が急がれていますが、天皇や皇室のあり方についても、議論を深めていく必要があります。 現在の皇室は、天皇陛下をはじめ22人で、うち未婚の女性皇族が、典子さまを含め8人です。皇室典範により、女性皇族が皇族以外の男子と結婚した場合は皇族ではなくなるため、典子さまも皇族を離れることになります。 皇族減少への危惧から、「女性皇族は結婚後も皇室に残るべき」という、女性宮家の創設を唱える議論が再燃する可能性もあります。 しかし、天皇の本質は、天照大神の男系男子の子孫として3000年続く皇統を守りつつ、日本神道の最高神官としての役割を果たしてきたことにあります。そのため、やはり女性宮家の創設ではなく、男系を守りつつ皇室を拡充していくことが望ましいと言えます。 ◆祭祀者としての皇室の弱体化 そもそも、戦後、皇室の弱体化が問題となってきたのは、政教分離規定の下、宗教者・祭祀者としての天皇の役割を、公の場から排除し、制限しようとしてきたことが原因です。 戦前は、皇室の親戚筋が華族として天皇の周りを固め、中でも歴代天皇の男系子孫が当主である宮家、つまり皇族が多く存在し、天皇家に男子が誕生しなかった場合、天皇を出して皇位継承の伝統を支えることのできる重要な存在として、天皇を支えていました。 皇室予算についても、国家予算の一定額が皇室に奉納され、使い道は皇室の自由とされ、株式投資や土地所有など皇室独自の経済活動も行われ、その収入も莫大でした。 しかし、現行憲法により、490家の華族が爵位と財産上の特権を失い、皇室資産は全て国有となり、皇室独自の経済活動は禁じられました。皇室は従来の経済規模を維持できなくなり、3宮家以外の11宮家51名が皇籍を離脱し、そのいくつかは既に断絶しています。 また、天皇の側近であった内大臣府は解体され、宮内省は宮内府へと格下げされ、行政の管理下に置かれ、規模も縮小しました。 その後、宮内府は宮内庁となりましたが、その長官はじめ幹部は、旧内務省系官庁や外務省からの出向者に占められ、必ずしも皇室の事情や伝統に精通し、皇室を支えようとの意識を持つ人々が選ばれているわけではありません。 このため、宮内庁は、皇室を守る組織ではなく、あくまで皇室を管理・監督する組織となっており、近年、宮内庁関係者が職務上知り得た秘密を漏らす、天皇家に対するマスコミの名誉棄損になるような批判にも何ら反論しない、などの弊害も起きています。 さらに、本来、皇室への公費支援をするのであれば、天皇の本質的な役割である祭祀にこそなされるべきですが、政教分離の下、政府見解では、宮中祭祀をはじめとする宗教的行為は、公費支出の対象である「国事行為」や「公的行為」には含まれず、私的行為である「その他行為」とされています。 昭和後期には、祭祀の簡略化や廃止を目指す動きも出始め、昭和天皇の大喪の礼の際に鳥居が途中で撤去されたり、毎朝の御代拝の侍従衆の服装が束帯姿から洋装に変更されたり、祭祀を手伝う内掌典の任期制が導入されたりするなど、祭祀の伝統が歪められました。 こうした動きに対し、今上天皇(きんじょうてんのう)は、簡略化された四方拝を元に戻すなど、熱心に努力されてきたといいます。 ◆皇室の伝統を正しく守るために よって、天皇の宗教者としての本質を尊重しつつ、皇室を拡充するには、まず、憲法の政教分離規定を削除する必要があります。これにより、表立っては行えなかった皇室への公費支援も可能となるので、祭祀の充実が図られます。 そして、天皇の地位については、多くの保守団体の主張や、自民党の憲法試案では、元首とすることが提言されていますが、歴史上、天皇が実質的な政治権力を握っていなかった時期も長く、天皇元首制が必ずしも伝統に適っているとは言えません。 また、天皇が元首となれば、対外的にも戦争責任などを問われることとなり、地位や生命も危険に晒されます。天皇は、国民から広く選ばれ交代が可能な首相や大統領とは違い、皇位継承者の数も限られているため、天皇制の存続自体が危うくなりかねません。 また、世襲制である天皇を元首とすることは、本来、国民主権や民主主義には合致しません。 さらに、天皇元首制は、日本神道を国教とすることに等しいですが、神道における教義や普遍性の不足は否めず、歴史的にも多くの天皇が仏教に帰依するなど、より普遍的な世界宗教である仏教に依拠してきた面が強いため、神道のみにそれだけの高い地位を与えることには、一定の疑問が付されるでしょう。 今後も、皇室への公費支出を含めた支援を行うこと自体は望ましく、日本神道を一種の公的宗教として扱うこととなりますが、それほど強い政治的権限を与えるのでなければ、伝統に適う範囲内だと言えます。 よって、天皇についての現行憲法上の曖昧な規定は削除し、皇室典範に「天皇の権能と内容」といった項目を新たに加え、主な権能を「日本神道の最高神官としての祭祀」などとし、政治的権力は行使しないことを定める、といった措置が望ましいと考えます。 また、皇室の自由な経済活動を可能とし、独自の資産運用や国民からの寄附によって収入を拡充することが望ましいと言えます。 これにより、皇室が独自に職員を雇用するなど、行政から一定の独立を保ちつつ、皇室を守る組織を創ることも可能になります。宮内庁についても、皇室の事情に精通している人物を幹部に選ぶなどの改革を行うべきです。 さらに、男系男子の皇統を維持するには、皇族・旧皇族とその子孫から養子をとることを認めると共に、旧11宮家を皇族復帰させることが有効だと考えます。 このように、宗教的本質を正しく理解した上で、皇室を守り発展させていくことは、日本の伝統を守り、国家としての誇りを取り戻すことにも繋がるでしょう。 参考文献: 竹田恒泰・八木秀次『皇統保守』PHP研究所 渡部昇一・中川八洋『皇室消滅』ビジネス社 中韓の情報戦に対抗するために 2014.05.14 文/HS政経塾2期生 服部まさみ ◆米国首都圏で起こっている慰安婦像“設置ラッシュ” 米国で韓国系団体などが、新たにワシントンDC近郊(バージニア州北部が有力)に「慰安婦」碑を、ミシガン州(8月に除幕式)に「慰安婦」像を設置する計画が明らかになりました。(5月5日付産経新聞) 米国ではカリフォルニア州、ニュージャージー州、ニューヨーク州にすでに「慰安婦」像、「慰安婦」碑が設置されています。新たに、ワシントンDC近郊、ミシガン州に設置されれば、合計6基の慰安婦像や碑が米国に存在することになります。 韓国系団体のバックには中国の強力な支援があるといわれています。中韓が仕掛ける米国での“設置ラッシュ”をいかに阻止するか、日本の対応が改めて問われているのです。 ◆中韓の「情報戦」の強み 歴史認識や尖閣諸島、竹島の問題で中国と韓国が真実を捻じ曲げたプロパガンダを世界中に広めていますが、中韓の「情報戦」の強みとその特徴は、官民一体となったいくつもの層を持っていることにあります。また、国家戦略を達成するために、長期的な戦略で攻めてきます。 例えば、米国に対しても、政府の指令を受けた民間団体や(民間といっても中韓の場合、政府と非常に強いつながりがあるが)個人などが票やお金を武器にホワイトハウスや議会など政治の中枢、司法、シンクタンクや大学、大手メディアなどの各層ごとに徹底的なロビー活動を行ないます。 注目すべきところは、それぞれの層の有力な人物にターゲットを明確に絞ってくることにあります。 例えば、従軍慰安婦問題で、2007年に日本を非難する決議案を可決するように動いたマイク・ホンダという下院議員がいますが、この人物に対しても、まだ下積み時代から中国は目を付けて、「抗日連合会」という反日団体を使って動かしていました。 ◆中国のしたたかな手口 特に、中国は昨今、政治家だけでなく、海外メディアやシンクタンクを通じて情報戦を繰り広げています。有識者層の論調は各国の政策決定に直接影響力をもつとともに、世論を一定の方向に誘導する力を持っています。 そのため、中国は莫大な資金を使って欧米のシンクタンクや有識者に働きかけているのです。 海外の研究者やジャーナリストを中国に招待し、豪華な食事や贅沢な中国旅行、美しい女性でこれでもかというほどもてなします。そこで“おいしい”思いをしたジャーナリストや研究者は中国の悪口を書けなくなるという構図が出来上がってしまっているのです。 さらに、中国が徹底しているところは、現地の人をうまく使って、「中国色」を薄めることです。 例えば、中国の国際放送の内容は、北京政府から派遣された幹部が決めるので、プロパガンダと分かるのですが、それを放送するキャスターに元BBC、FOXニュース、CNNの売れっ子を引き抜いて使ったりするのです。 米国のトップ・ジャーナリストを引き抜いて雇い入れることは、米国世論に影響を与える層の中に中国の味方をつくりやすくしています。 また、一般の視聴者にとっても親しみがわきやすく、嘘のプロパガンダだとしても、あまりなじみのない国際問題であれば中国政府の主張をいつのまにか事実として受け入れてしまう可能性が高いのです。 中国政府が国際放送に充てている予算は、2700億円~6100億円以上ともいわれており、米国の580億円、イギリスの322億円、日本の130億円と比較しても圧倒的な違いがあります。 ◆日本は官民の連携強化を それでは、このような中韓のしかける情報戦に対して、日本はどのような対応をしていけばよいのでしょうか。 安倍政権は、中韓が仕掛ける情報戦に対抗するため、「広報の強化」に平成26年度予算を25年度の44億円から65億円に大幅に増額しました。また、官邸内の国際広報室、外務省内の広報文化外交戦略課には一級の人材が投入されました。 しかし、ほとんど中韓の情報戦に追いつかないのが現状です。中国は一党独裁なので、人もお金も政府の思い通りに動かすことができます。 日本のような民主主義が成熟した国家では、政府がどれだけ情報やイメージをコントロールしようとしてももはやできない状況にありますし、プロパガンダ的なものを使うことで相手国の国民の印象を悪くし、信頼を失うというリスクがあります。 政府自身の発信も強化されるべきですが、重要なのは、民間をベースとして、研究者や有識者、NPO、NGOなどが正論を国内外にはっきりと発信し、世論を盛り上げていくことで、政府が動きやすい環境をつくることです。 日本の大学やシンクタンクといった非政府機関からの客観的な発信が必要であり、政府としてその発信を最大限に活用することが重要です。 また、外国の有識者やジャーナリストを日本に招待し、自由に研究や取材ができる環境を増やすことが先決です。元々、親日的な人たちはもちろんのこと、特に、反日的な感情をもっている人たちに等身大の日本を知ってもらうことが重要です。 ◆日本は今、世界のリーダー国家として真実を語る時 しかし、問題なのが等身大の日本の中には、「自虐史観」というくせものがいます。日本に来た有識者やジャーナリストが自虐史観のもとになっている、間違った歴史観を吸収し、自分の国で広げられてしまったら意味がありません。 また、日本近現代史の分野では、自虐史観を批判する教授は、大学で職を得ることができず、学術誌に論文が載せられないのが現状です。そのため、間違った歴史認識をつくり出している「論拠」を見直し、正しいものに変えていかなければなりません。 さらに、英語での発信や、海外の有識者の研究や記事の情報源になるものがきちんと英語に翻訳されている必要があります。 政府として、歴史問題の有識者会議や委員会を立ち上げ慰安婦問題の調査や検証を率先して行なうことが先決であり、国の未来のために良い研究をしている機関への財政面での支援を積極的に行なうことが重要です。 ジョン・F・ケネディ大統領の下、米国広報・文化交流庁の長官を務めたエドワード・R・マローは、次のような言葉を残しています。「説得力をもつためには、信憑性がなければならない。信憑性を持つためには、信頼性がなければならない。信頼性を持つためには、真実を語らなければならない」。 日本は今、世界のリーダー国家としての信頼を得るために真実を語るべき時がきているのではないでしょうか。 なぜ日本は負けたのか?――戦史に学ぶ、未来への舵取りと提言《第10回:最終回》 2014.05.11 文/岐阜県本部副代表 河田成治 最終回は、前回のつづきで「日本降伏計画」シミュレーションに関連する、我が国周辺の事態について考えます。 ◆我が国周辺の事態 1.中国の経済的混乱 中国の経済危機の顕在化とともに、その社会不安の増大から、年間10万件もの暴動が発生しています。その規模も数千~1万人に達する場合もあるようです。 経済危機の怖さは、それによって周辺国への軍事的侵攻の可能性を高めることです。暴動や内乱を回避したい共産党政権は、国内の不満をそらす目的から、外部に打開策を求めるでしょう。これが次の2.及び3.です。 2.中国の東南アジア諸国との紛争 南シナ海の島嶼は占領の危機にあります。島嶼部の占領は、中国空軍基地の建造に必要で、中国には、南シナ海の制空権を確保する意図があるでしょう。 制空権が確保できれば、南シナ海は、中国の内海となります。 その海底では、核ミサイル搭載の原子力潜水艦が常時配備されるでしょう。(東シナ海は、一部深いところもあるが、全体的に海が浅いため、原潜の活動にはあまり向かない。) 原子力潜水艦の核ミサイルは、敵国からの報復攻撃でも破壊困難なため、陸上配備とは比べものにならない脅威です。 現状では、南シナ海からアメリカ本土を狙った核ミサイル(SLBM:最新のJL-2)は届かないようですが、この核ミサイルの開発がさらに進み、アメリカ本土を直接狙えるようになれば、その時こそ日米同盟の危機です。 中国の核を恐れるアメリカは、(特にオバマ政権下において)アジア介入を放棄する可能性が高まります。 3.中国の台湾併合 台湾動乱は、初動期において、米軍の行動と日本の集団的自衛権を巡って、台湾を護るかどうかの大騒ぎになるでしょう。 安倍政権は、集団的自衛権の行使を、自衛隊を他国の領土、領海、領空には原則として派遣しない方針として固めましたが(2014.5.3現在)、アメリカの衰退の中、果たして台湾防衛が米軍だけで可能か?という大問題が起きるでしょう。 万一にも台湾が中国に併合されれば、日本のシーレーンという生命線が、中国に握られ、日本の命運は風前の灯火となります。 このような中で、台湾有事に、日本は台湾を助けるのか、助けないのか?我が国にとって他人事では済まされません。 またアメリカが台湾を護ることができなければ、アメリカの威信が完全に崩壊し、やはり日米安保の重大な危機を招きます。 4.北朝鮮の内乱や暴発、クーデターによる崩壊 この事態は、A:中国による傀儡政権成立のケース、B:朝鮮半島が中国&北朝鮮側勢力で統一されるケース、C:米・韓主導による民主化のケースが考えられます。 AとBのケースは、最悪のシナリオです。 Cのケースでも、日本からの経済的援助が莫大な金額に達する可能性があります。 動乱初期には、在韓邦人の救出、韓国への防衛協力の範囲など、準備のない日本には難問が山積みです。 さらに北朝鮮・韓国からの大量の難民が予想されます。その際、日本海側に流れ着いた難民の対応や、また、その中に大量の工作員やスパイが潜入していた場合、社会不安は極限に達します。工作員やスパイを排除することは困難を極めるでしょう。 5.積極的平和主義の具体化 クリミアのようにチベット・ウイグル等の独立運動が盛り上がった時、日本は支援するのか、しないのか、国際的にどのような態度を取るのか? これらの課題は、もはや空想ではなく、真剣に検討しなければならない国家の重要事項です。 ◆ポスト・パクス・アメリカーナの時代 アメリカは経済的衰退から、世界の警察を降りました。世界はアメリカによる平和(パクスアメリカーナ)の時代から、強国が並び立つ、混沌とした時代へと変わりつつあります。 歴史を振り返れば、こういった時代に、いつも戦争が起きています。 そうならないためにこそ、「地球的正義とは何か」を打ち立てねばなりません。それは、日本が世界のリーダーとして立つべき時代でもあると思います。 そして、21世紀の日米同盟のあり方も、新たな模索がはじまるでしょう。 ◆「地球的正義とは何か」を求める時代へ このような混沌とした時代にあってこそ、私は、日本人は世界のリーダーとして、責任を果たすべき運命にあると信じます。 それは、地球神の正義から始まる、普遍的正義です。 以上、大東亜戦争を振り返りつつ、「失敗の教訓」から、これからの日本を考えてきました。 我が国の諸先輩が創り上げてきた素晴らしき日本を、さらに発展させ、「神国・日本」として世界に貢献する国家となすこと。これこそ、われらが夢、理想として努力してまいりたいと思います。(了) 戦勝国史観という壁を破るために必要な努力 2014.05.08 文/HS政経塾第2期卒塾生 曽我周作 ◆日米首脳会談の成果 先日、日米首脳会談が行われました。その会談で尖閣諸島についても日米安全保障条約が適用されることがオバマ大統領自身から明言されました。これについては日本国内外から賞賛の声が多く上がっています。安全保障の問題に関しては、非常に大きな成果を上げた会談であったと思います。 日米関係の強化が東アジアの安全保障にとって必要であり、アメリカ国内の言論等にも会談を評価し、日米のパートナーシップの重要性を強調するものも目にします。 ◆日本の「自虐的歴史観」と欧米の「戦勝国史観」 ただ、アメリカやイギリスの言論の中で気になるのは、安倍首相について「修正主義的歴史観を持つ」とか、「国粋主義」などのレッテルを貼る言論もやはり見受けられることです。 また、いわゆる「従軍」慰安婦の問題について、河野談話作成の過程を検証するということについて非常に強い批判があり、安倍首相が「河野談話を見直さない」としたことについて評価の声が上がるといった状況があります。 日本に「自虐的歴史観」が蔓延しているのと同時に、欧米の戦勝国には「戦勝国史観」というべきものが厳然として存在し続けています。 「どうして、日本だけが欧米の植民地を侵略したことを、謝罪しなければならないのか。東京裁判では、『世界で侵略戦争をしたのは、どちらだったか』いうことに目を瞑って、日本を裁いた。それは侵略戦争が悪いからではなく、「有色人種が白人様の領地を侵略した。」 「白人が有色人種を侵略するのは『文明化』で、劣っている有色人種が白人を侵略するのは『犯罪』であり、神の意向に逆らう『罪』であると、正当化した。」 これは元フィナンシャル・タイムズの東京支局長等を歴任したヘンリー・ストークス氏が著書『英国人記者が見た 連合国戦勝史観の虚妄』の中で語られている、西洋の戦勝国がもつ歴史観です。 私たちにすれば、彼らこそ極端で誤った歴史観をもっていると感じざるを得ません。 ◆「戦勝国史観」を教える日本の教育 しかし、例えば現在私が住む世田谷区内の中学校で使用されている教科書にも、「日本の敗戦は、第二次世界大戦における反ファシズム勢力である連合国側の最終的な勝利」(清水書院 『新中学校 歴史 日本の歴史と世界』)だったと記載されているなど、戦勝国史観そのままを子どもたちに教え込んでいる状況が続いており、日本の子どもたちから祖国に対する誇りを奪い続けていますし、先人達の誇りを傷つけ続けています。 つまり、日本は「戦勝国史観」と戦わなければなりませんが、同時に日本国内との「自虐史観」の払拭という大きな課題もあります。 ◆日本の大義を主張すべき 確かに歴史観というものは、全ての国で同様のものを持てるものではないでしょう。しかし、少なくとも日本国として主張すべきは主張しなければなりません。 先の大戦における日本の大義は何であったのかを主張し、西洋諸国の問題点も指摘すべきだと思います。 また、特に、現在問題になっている「河野談話」の問題点については、しっかりと検証し、「真実」を白日の下にさらすべきです。河野洋平氏の国会招致も含めて政府・与党は対応すべきですし、日本国民がいわれのない罪を着せられ続けた汚名、先人たちの無念を晴らさなければなりません。 たとえ「歴史観」は違えども、真実は真実であり、「歴史認識」云々以前の問題であります。 ◆しかし日米関係の悪化は避けよ ただ、だからといって日本にとって一番重要な同盟関係である、アメリカとの関係を悪化させるべきではありません。非常に粘り強い努力や智慧が必要ですし、本当に大変な仕事になるでしょう。 だからこそ、広報外交や民間レベルでの広報活動等が非常に重要になると思います。 中国や韓国などは反日的な外交姿勢を続け、諸外国において日本を執拗に非難し、事実に基づかない一方的な主張を繰り返しています。これに対して適切な反論を粘り強く日本側からも発信し続けなければなりません。 反論しなければ、それは国際社会では事実であると認めたことになります。 今こそ日本は戦後レジームを脱して、自らの国の誇りを守るため、そして自らの国の安全・平和を守るために立ち上がらなければなりません。 そして、アメリカが誤った歴史観の元で中国・韓国と組み、日本包囲網を築くというような最悪のシナリオをなんとしても回避し、「自由」や「神のもとの正義」を大切にする国同士の同盟関係として、世界の平和と繁栄を作る「世界の希望」になれる日米両国関係を築いていくべきであると思います。 なぜ日本は負けたのか?――戦史に学ぶ、未来への舵取りと提言《第9回》 2014.05.05 文/岐阜県本部副代表 河田成治 ◆素晴らしき日本人の道徳観 日本人は世界を見渡しても、賞賛すべき道徳観を持っています。 東日本大震災は不幸な出来事でしたが、この中にあって、世界のマスコミは、日本人の驚嘆すべき道徳観を報じています。例えば、アメリカのマスコミは、次のようでした。 「東日本大震災で、多くの金庫が海岸に打ち上げられたが、日本人はこの金庫のほとんど(約5700個!)を警察に届け、その合計は約37億900万円に達した。また、その内の85パーセントにあたる約31億円が持ち主に帰った」(「The Huffington post」 2011.8.11) このニュースを見たアメリカ人は「もしアメリカ人なら、絶対に金庫をこじ開ける。日本人は信じられないくらい誠実で、倫理観が高い」と言っていました。 また、「おもてなし」は流行語にもなりましたが、すでに英語の単語になっている「omotenashi」を、ニューヨーク・タイムズ(1997.4.20)は、次のように説明しています。 「日本人の「おもてなし」は、単純に英訳できない、心遣いや献身、きめ細やかな心配りである」このような、誠実で他人を思いやる美しい心が、日本文明ではないでしょうか。 私の前回の論考「零戦と日本人」でも論じましたが、誇り高き武士道を持っていたのが日本人でもありました。 私は、日本こそがリーダーシップを発揮して、世界の平和・繁栄に貢献すべきだと思っています。日本はそろそろ自虐的な歴史観から脱皮し、世界に責任を負うリーダー国へと、自己認識を変えるべき時なのではないでしょうか。 そのためにこそ、国家戦略は必要です。 ◆大きな国家戦略を 大東亜戦争では、戦略がなかった事をお話ししましたが、現代にも拡大するならば、“国家の志”とも言うべき、世界のリーダーを目指す国家戦略を持ちたいものです。 ただ、国家戦略は、国家防衛を切り離して考える事はできません。 他国の侵略に備えて、我が国の「集団的自衛権」と憲法九条“適用除外”による国防の強化は、待ったなしです。日本を取り巻く状況はたいへん切迫しています。 しかし、国防の強化だけでは不十分で、周辺国の動向を考えねばなりません。 ◆国防戦略と指針の策定 以下は一例ですが、さまざまな対策を策定しておくべきです。 第一には、我が国の島嶼部への侵攻と、それに続く「日本降伏計画」ですが、この最悪の事態は、検討を排除すべきではありません。このポイントは、日米同盟の未来だと思います。 かつて日英同盟が破棄され、換わって日米英仏の四ヵ国条約(1921年)になったことが、大東亜戦争の根本原因でした。 同盟が意味を持つのは、2ヵ国間の場合のみです。連帯責任は無責任と言われるように、多国間の同盟は無責任同盟になると国防論では教わります。 この同盟の原則に立つならば、最も恐るべきことは、日米中(韓)同盟の締結です。アメリカの経済的後退と、中国の資金力を背景とした米中の歩み寄りが、万が一にも日米中(韓)同盟となるならば、最悪のシナリオです。 なお、「日本降伏計画」シミュレーションは、膨大なレポートになるので、別の機会に譲ります。 次回はそれに関連する、我が国周辺の事態に触れるに留めます。(つづく) なぜ日本は負けたのか?――戦史に学ぶ、未来への舵取りと提言《第8回》 2014.04.27 文/岐阜県本部副代表 河田成治 ◆零戦はベンチャーだった ベンチャーとは、創造とか革新を表す言葉です。 零戦が登場したのは、昭和15年(1940年)でした。その数年前まで、日本は自力で戦闘機を作る能力がなかったのにもかかわらず、わずかな間に世界最強の戦闘機を作り上げ得たことに、世界は驚嘆しました。 零戦の最も優れていた点は、卓越した格闘戦能力と長大な航続距離を両立したことで、これは外国の戦闘機と比べれば、信じられないことでした。 たとえば、ドイツの名戦闘機メッサ-シュミット109は、ヨーロッパの空の征服者と言われる程強かったのですが、この戦闘機を設計したメッサ-シュミット博士は、「格闘戦に優れた機体と、長い航続距離の機体は、設計上矛盾する」と述べ、当時は、両立は不可能だと思われていました。 航空機後進国の日本が、わずか数年で、この矛盾する戦闘機を作り上げたのは、まさしく革新であり、創意工夫とチャレンジング精神に富んだベンチャー精神そのものの発揮であったのです。 ◆「零戦」が戦争を変えた 航続距離が飛躍的に伸びたことが、日本軍の初期の破竹の連勝につながりました。この頃から、戦争の帰趨を決めるのは「制空権」であり、空を支配した側が戦争に勝利する時代になっていたからです。 航続距離が圧倒的に長いという利点は、制空権の範囲を一気に拡大し、戦争を根本から変える力を持っていました。 ◆現代に息づくベンチャー精神 近年でも小惑星イトカワへの探査機の成功などは、まさしくベンチャー精神でしたし、STAP細胞の研究は、医療の世界を根本から変える革新となるでしょう。 このような新しいチャレンジ精神は、まさしく“零戦精神”であり、日本にベンチャー精神が息づく証拠だと思います。 しかし、日本は零戦で勝ち、零戦で負けたといっても過言ではありません。零戦の悲劇は、次世代機ができなかったことにあります。 あまりに零戦が素晴らしかったために、次世代機の開発が遅れたのです。零戦も戦争中盤からは、まったく歯が立たなくなってしまいました。 ◆天才を認めない風土? 日本には、秀才を認めても、天才は認めない風土があるのでしょうか。 例えば、イトカワで有名になった日本ロケットの父、糸川博士は、ジェットエンジンの原理を世界に先駆けて発見した方でしたが、会社側から理解されず、強引に研究を中止させられて開発を断念しています。 もし、糸川博士がジェットエンジンを成功させ、新戦闘機ができていたら、戦争はまったく違った結果になったかもしれません。 糸川博士のジェットエンジン理論は卓越していて、戦後、ドイツのジェット戦闘機の資料を見た糸川博士は、「ドイツはそれほどでもない」と語ったと、小室直樹氏は記しています。(小室直樹著「日本の敗戦」) 零戦の開発を、現代のステルス戦闘機に置き換えるなら、当時のジェットエンジンの開発は、現代にUFOを開発しようとするぐらいの奇妙奇天烈さに見えたのかもしれません。 素晴らしい発明ができる日本人ですが、しかし余りに時代を飛び越す天才的発明には理解が及ばない日本人気質もあります。 STAP細胞を今までの常識ではあり得ないとし、小保方博士の業績を抹殺しようとする雰囲気は、iPS細胞という零戦で満足し、新機種開発を怠った、過去の失敗と重なって見えます。小保方さんの天才的業績は、絶対に護らなければなりません。 同様に、反重力装置の原理が、国内○○大学から発表されたとしても、学界はベンチャー精神で謙虚に受け止めるべきでしょう。 ベンチャー精神は現代にとって、極めて重要です。人類100億に向かう今、新エネルギーの開発、食料増産技術、環境技術など、様々な革新が必要です。 幸福実現党は、未来産業、新技術の育成に力を入れていきます。(次回につづく) すべてを表示する « Previous 1 … 17 18 19 20 21 … 30 Next »