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なぜ日本は負けたのか?――戦史に学ぶ、未来への舵取りと提言《第10回:最終回》

文/岐阜県本部副代表 河田成治

最終回は、前回のつづきで「日本降伏計画」シミュレーションに関連する、我が国周辺の事態について考えます。

◆我が国周辺の事態

1.中国の経済的混乱

中国の経済危機の顕在化とともに、その社会不安の増大から、年間10万件もの暴動が発生しています。その規模も数千~1万人に達する場合もあるようです。

経済危機の怖さは、それによって周辺国への軍事的侵攻の可能性を高めることです。暴動や内乱を回避したい共産党政権は、国内の不満をそらす目的から、外部に打開策を求めるでしょう。これが次の2.及び3.です。

2.中国の東南アジア諸国との紛争

南シナ海の島嶼は占領の危機にあります。島嶼部の占領は、中国空軍基地の建造に必要で、中国には、南シナ海の制空権を確保する意図があるでしょう。

制空権が確保できれば、南シナ海は、中国の内海となります。

その海底では、核ミサイル搭載の原子力潜水艦が常時配備されるでしょう。(東シナ海は、一部深いところもあるが、全体的に海が浅いため、原潜の活動にはあまり向かない。)

原子力潜水艦の核ミサイルは、敵国からの報復攻撃でも破壊困難なため、陸上配備とは比べものにならない脅威です。

現状では、南シナ海からアメリカ本土を狙った核ミサイル(SLBM:最新のJL-2)は届かないようですが、この核ミサイルの開発がさらに進み、アメリカ本土を直接狙えるようになれば、その時こそ日米同盟の危機です。

中国の核を恐れるアメリカは、(特にオバマ政権下において)アジア介入を放棄する可能性が高まります。

3.中国の台湾併合

台湾動乱は、初動期において、米軍の行動と日本の集団的自衛権を巡って、台湾を護るかどうかの大騒ぎになるでしょう。

安倍政権は、集団的自衛権の行使を、自衛隊を他国の領土、領海、領空には原則として派遣しない方針として固めましたが(2014.5.3現在)、アメリカの衰退の中、果たして台湾防衛が米軍だけで可能か?という大問題が起きるでしょう。

万一にも台湾が中国に併合されれば、日本のシーレーンという生命線が、中国に握られ、日本の命運は風前の灯火となります。

このような中で、台湾有事に、日本は台湾を助けるのか、助けないのか?我が国にとって他人事では済まされません。

またアメリカが台湾を護ることができなければ、アメリカの威信が完全に崩壊し、やはり日米安保の重大な危機を招きます。

4.北朝鮮の内乱や暴発、クーデターによる崩壊

この事態は、A:中国による傀儡政権成立のケース、B:朝鮮半島が中国&北朝鮮側勢力で統一されるケース、C:米・韓主導による民主化のケースが考えられます。

AとBのケースは、最悪のシナリオです。

Cのケースでも、日本からの経済的援助が莫大な金額に達する可能性があります。

動乱初期には、在韓邦人の救出、韓国への防衛協力の範囲など、準備のない日本には難問が山積みです。

さらに北朝鮮・韓国からの大量の難民が予想されます。その際、日本海側に流れ着いた難民の対応や、また、その中に大量の工作員やスパイが潜入していた場合、社会不安は極限に達します。工作員やスパイを排除することは困難を極めるでしょう。

5.積極的平和主義の具体化

クリミアのようにチベット・ウイグル等の独立運動が盛り上がった時、日本は支援するのか、しないのか、国際的にどのような態度を取るのか?

これらの課題は、もはや空想ではなく、真剣に検討しなければならない国家の重要事項です。

◆ポスト・パクス・アメリカーナの時代

アメリカは経済的衰退から、世界の警察を降りました。世界はアメリカによる平和(パクスアメリカーナ)の時代から、強国が並び立つ、混沌とした時代へと変わりつつあります。

歴史を振り返れば、こういった時代に、いつも戦争が起きています。

そうならないためにこそ、「地球的正義とは何か」を打ち立てねばなりません。それは、日本が世界のリーダーとして立つべき時代でもあると思います。

そして、21世紀の日米同盟のあり方も、新たな模索がはじまるでしょう。

◆「地球的正義とは何か」を求める時代へ

このような混沌とした時代にあってこそ、私は、日本人は世界のリーダーとして、責任を果たすべき運命にあると信じます。

それは、地球神の正義から始まる、普遍的正義です。

以上、大東亜戦争を振り返りつつ、「失敗の教訓」から、これからの日本を考えてきました。

我が国の諸先輩が創り上げてきた素晴らしき日本を、さらに発展させ、「神国・日本」として世界に貢献する国家となすこと。これこそ、われらが夢、理想として努力してまいりたいと思います。(了)

河田 成治

執筆者:河田 成治

岐阜県本部副代表

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