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中韓の情報戦に対抗するために

文/HS政経塾2期生 服部まさみ

◆米国首都圏で起こっている慰安婦像“設置ラッシュ”

米国で韓国系団体などが、新たにワシントンDC近郊(バージニア州北部が有力)に「慰安婦」碑を、ミシガン州(8月に除幕式)に「慰安婦」像を設置する計画が明らかになりました。(5月5日付産経新聞)

米国ではカリフォルニア州、ニュージャージー州、ニューヨーク州にすでに「慰安婦」像、「慰安婦」碑が設置されています。新たに、ワシントンDC近郊、ミシガン州に設置されれば、合計6基の慰安婦像や碑が米国に存在することになります。

韓国系団体のバックには中国の強力な支援があるといわれています。中韓が仕掛ける米国での“設置ラッシュ”をいかに阻止するか、日本の対応が改めて問われているのです。

◆中韓の「情報戦」の強み

歴史認識や尖閣諸島、竹島の問題で中国と韓国が真実を捻じ曲げたプロパガンダを世界中に広めていますが、中韓の「情報戦」の強みとその特徴は、官民一体となったいくつもの層を持っていることにあります。また、国家戦略を達成するために、長期的な戦略で攻めてきます。

例えば、米国に対しても、政府の指令を受けた民間団体や(民間といっても中韓の場合、政府と非常に強いつながりがあるが)個人などが票やお金を武器にホワイトハウスや議会など政治の中枢、司法、シンクタンクや大学、大手メディアなどの各層ごとに徹底的なロビー活動を行ないます。

注目すべきところは、それぞれの層の有力な人物にターゲットを明確に絞ってくることにあります。

例えば、従軍慰安婦問題で、2007年に日本を非難する決議案を可決するように動いたマイク・ホンダという下院議員がいますが、この人物に対しても、まだ下積み時代から中国は目を付けて、「抗日連合会」という反日団体を使って動かしていました。

◆中国のしたたかな手口

特に、中国は昨今、政治家だけでなく、海外メディアやシンクタンクを通じて情報戦を繰り広げています。有識者層の論調は各国の政策決定に直接影響力をもつとともに、世論を一定の方向に誘導する力を持っています。

そのため、中国は莫大な資金を使って欧米のシンクタンクや有識者に働きかけているのです。

海外の研究者やジャーナリストを中国に招待し、豪華な食事や贅沢な中国旅行、美しい女性でこれでもかというほどもてなします。そこで“おいしい”思いをしたジャーナリストや研究者は中国の悪口を書けなくなるという構図が出来上がってしまっているのです。
さらに、中国が徹底しているところは、現地の人をうまく使って、「中国色」を薄めることです。

例えば、中国の国際放送の内容は、北京政府から派遣された幹部が決めるので、プロパガンダと分かるのですが、それを放送するキャスターに元BBC、FOXニュース、CNNの売れっ子を引き抜いて使ったりするのです。

米国のトップ・ジャーナリストを引き抜いて雇い入れることは、米国世論に影響を与える層の中に中国の味方をつくりやすくしています。

また、一般の視聴者にとっても親しみがわきやすく、嘘のプロパガンダだとしても、あまりなじみのない国際問題であれば中国政府の主張をいつのまにか事実として受け入れてしまう可能性が高いのです。

中国政府が国際放送に充てている予算は、2700億円~6100億円以上ともいわれており、米国の580億円、イギリスの322億円、日本の130億円と比較しても圧倒的な違いがあります。

◆日本は官民の連携強化を

それでは、このような中韓のしかける情報戦に対して、日本はどのような対応をしていけばよいのでしょうか。

安倍政権は、中韓が仕掛ける情報戦に対抗するため、「広報の強化」に平成26年度予算を25年度の44億円から65億円に大幅に増額しました。また、官邸内の国際広報室、外務省内の広報文化外交戦略課には一級の人材が投入されました。

しかし、ほとんど中韓の情報戦に追いつかないのが現状です。中国は一党独裁なので、人もお金も政府の思い通りに動かすことができます。

日本のような民主主義が成熟した国家では、政府がどれだけ情報やイメージをコントロールしようとしてももはやできない状況にありますし、プロパガンダ的なものを使うことで相手国の国民の印象を悪くし、信頼を失うというリスクがあります。

政府自身の発信も強化されるべきですが、重要なのは、民間をベースとして、研究者や有識者、NPO、NGOなどが正論を国内外にはっきりと発信し、世論を盛り上げていくことで、政府が動きやすい環境をつくることです。

日本の大学やシンクタンクといった非政府機関からの客観的な発信が必要であり、政府としてその発信を最大限に活用することが重要です。

また、外国の有識者やジャーナリストを日本に招待し、自由に研究や取材ができる環境を増やすことが先決です。元々、親日的な人たちはもちろんのこと、特に、反日的な感情をもっている人たちに等身大の日本を知ってもらうことが重要です。

◆日本は今、世界のリーダー国家として真実を語る時

しかし、問題なのが等身大の日本の中には、「自虐史観」というくせものがいます。日本に来た有識者やジャーナリストが自虐史観のもとになっている、間違った歴史観を吸収し、自分の国で広げられてしまったら意味がありません。

また、日本近現代史の分野では、自虐史観を批判する教授は、大学で職を得ることができず、学術誌に論文が載せられないのが現状です。そのため、間違った歴史認識をつくり出している「論拠」を見直し、正しいものに変えていかなければなりません。

さらに、英語での発信や、海外の有識者の研究や記事の情報源になるものがきちんと英語に翻訳されている必要があります。

政府として、歴史問題の有識者会議や委員会を立ち上げ慰安婦問題の調査や検証を率先して行なうことが先決であり、国の未来のために良い研究をしている機関への財政面での支援を積極的に行なうことが重要です。

ジョン・F・ケネディ大統領の下、米国広報・文化交流庁の長官を務めたエドワード・R・マローは、次のような言葉を残しています。「説得力をもつためには、信憑性がなければならない。信憑性を持つためには、信頼性がなければならない。信頼性を持つためには、真実を語らなければならない」。

日本は今、世界のリーダー国家としての信頼を得るために真実を語るべき時がきているのではないでしょうか。

服部 まさみ

執筆者:服部 まさみ

HS政経塾2期卒塾生

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