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重大な分岐点が迫るロシア・ウクライナ戦争――停戦交渉の道を拓くべき【後編】

重大な分岐点が迫るロシア・ウクライナ戦争――停戦交渉の道を拓くべき【後編】

http://hrp-newsfile.jp/2022/4315/

HS政経塾スタッフ 遠藤明成

◆泥沼化を避けるためには、停戦交渉が必要

今、欧米は、「どこまでウクライナへの武器支援を続けるのか」という問題を突き付けられています。

戦争を長引かせ、犠牲者が増えるだけとみて、支援を打ち切るのか。それとも、戦局が変わることを期待して、延々と支援を続けるのか。

この問題に、落としどころを示したのが、冒頭で紹介したキッシンジャー氏の提言だと言えます。

キッシンジャー氏は、アメリカがベトナム戦争を終わらせた時の大統領補佐官でした。同氏は、戦争は、どこかで終わらせなければいけないことを知っています。

しかし、ゼレンスキー大統領は、戦争をどこで終わりにしたらよいのかが見えていません。

現在、東部の帰属は戦争の結果で決めるしかなく、7月初の時点ではロシアが優勢です。

市民を民兵として動員するウクライナの戦い方は、敗勢に回った場合、多くの犠牲者が出るので、本来、ゼレンスキー大統領は、交渉が可能な間に「落としどころ」を考えなければいけません。

武器支援の中心を担う米英は、自分たちの血は一滴も流さずに、ウクライナに代理戦争を行わせ、ロシアを弱体化させようとしています。

支援なしには戦いを続けられない国は、はしごを外されたら終わりなので、キッシンジャー氏の忠告通り、「落としどころ」を考えるべきなのです。

ロシア・ウクライナに停戦を呼びかけたキッシンジャー氏は、ロシアと中国を同盟関係に追い込むことが、最も危険だと考えています。

フィナンシャルタイムズ紙のインタビューでは、以下のような大局観を述べています。(※3)

「ウクライナ戦争が終わった後、世界の地政学的状況は大きな変化を経験する」「すべての問題について、中国とロシアが同一の利害を持つのは、不自然なことだ」

「戦争後の状況では、ロシアは、最低限ヨーロッパとの関係や、NATOに対する姿勢を見直す必要が出てくる」「アメリカも、特にヨーロッパも、そうする必要がある」

「だから、2つの敵対国に対して、彼らを連携させるような形で、敵対的な立場を取るのは賢明ではない」「総合的な戦略からすれば、これからの時代、ロシアと中国を一体のものとして扱うべきではない」

今回、ウクライナをめぐって、欧米と日本がロシア叩きを続けた結果、中露が結託して動くことが増えてきました。

しかし、世界大戦の危機を避けたいのなら、中露の分断のための大戦略が必要です。

国際政治学者のミアシャイマー氏も、日本は、ウクライナ戦争の早期終結に向けて、米国に働きかけるべきだと論じました(『文芸春秋2022年6月号』)。

「ロシアではなく中国が本当の脅威であり、長期的にはロシアと協力するほうが合理的であることを、米国政府に理解させなければなりません。そのためにも、まずは日本が米国に対して、ウクライナ戦争を早期に終結し、全力で軸足を東アジアに向けるよう進言すべきです」

今まさに、中露を同盟関係に追い込み、そこに他の反米国がつらなって第三次世界大戦が起きることを防ぐための努力が必要なのです。

◆この戦争の着地点はどこか?

そうした大局観をもって、幸福実現党は、停戦とウクライナの中立化に向けた独自外交と、中露分断の必要性を訴え、3月以降、声明を出しています。

『日本はウクライナの中立化に向けた外交努力を(党声明)』(令和4年3月11日)
https://info.hr-party.jp/press-release/2022/12477/
『ロシアに対する追加制裁の撤回を求める(党声明)』(令和4年4月9日)
https://info.hr-party.jp/press-release/2022/12565/

幸福実現党は、バイデン政権のように「民主主義国家vs専制国家の戦い」という枠組みで国際社会を捉え、ロシアを敵視する路線では、中国の暴走は止められないと考えています。

「信仰ある国家vs無神論国家」という見方で捉え、信仰を理解するロシアを対中包囲網に参加させる戦略が必要だと訴えています。

我が党は、ウクライナの火種が次の世界大戦へと広がることを防ぐべく、力を尽くしてまいります。

(※3)
フィナンシャルタイムズ紙のキッシンジャーのインタビュー
Henry Kissinger: We are now living in a totally new era | FT
https://www.youtube.com/watch?v=6b89jcNqgJo&t=279s

遠藤 明成

執筆者:遠藤 明成

HS政経塾

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