約1800億円増えた年金予算 年金制度維持のため国民の生活は破綻?
http://hrp-newsfile.jp/2021/4058/
幸福実現党政務調査会長代理 小川佳世子
◆過去最大の社会保障費を盛り込んだ令和3年度予算
一般会計の総額が106兆円を超える、令和3年度予算が成立しました。
これは当初予算(補正予算を含まない予算)としては過去最大の規模です。
昨年度はコロナ対策のため、補正予算を含んだ予算総額が175兆以上と過去最大に膨らみました。
今年度の予算には、すでに5兆円のコロナ対策予備費が含まれていますが、今後さらに補正予算が組まれると見込まれます。
補正予算の内容や是非については、また改めて意見を発信していきたいと考えていますが、今回は、令和3年度予算で最も大きな割合を占める社会保障関係費に注目します。
令和3年度予算の社会保障関係費は35兆8421億円。昨年度比1507億円増となり、過去最大です。
内訳を見てみると、「年金」が昨年度比1773億円増の12.7兆円。「介護」が824億円増の3.5兆円。少子化対策や雇用保険、生活保護等が含まれる「福祉」の項目が784億円増の7.6兆円となっています。
「医療」は、コロナ感染を恐れた人々が病院に行かなくなる「受診控え」が起き、医療費が減ると見込まれた結果、1875億円減の12.1兆円となりました。
◆「ステルス値上げ」される保険料
社会保障に多額の税金がつぎ込まれれば、将来の増税につながってしまいます。
政府は「少子高齢化による自然増加分に納めました」として、必要な社会保障を行いつつも国民負担を増やさないようにすることをアピールしています。
しかし、社会保障は35.8兆円の一般会計予算だけで賄われているわけではありません。
年金、医療、介護については、各自の収入に合わせて「社会保険料」が徴収されています。
さらに、医療や介護には各地方自治体の公費(地方税など)も使われています。
年金の負担について見てみると、サラリーマンや公務員などが加入する「厚生年金保険」の場合、給与に応じて決まる「標準報酬月額」に18.3%を掛けた額を毎月払います。
半分は会社など雇用主が払ってくれますが、たいていの人は給与の1割弱を天引きされることになるわけで、かなりの負担です。
この保険料率は2004年は13.93%でしたが年々上昇し、2017年には18.3%まで上がりました。
今のところ18.3%で固定し、足りない分は国家予算(税金)で補うルールになっているのですが、少子高齢化によって保険料を負担する人は減り、年金関連の予算は増える一方です。
そこで、目立たないような形で負担を増やしています。
昨年9月には、年収約800万円台以上の人の厚生年金保険料負担が増えました。
さらに昨年成立した「年金改革法」によって、パート・アルバイトなどの短時間労働者が、より多く厚生年金加入の対象になることが決まりました。
現在、短時間労働者は従業員501人以上の企業に勤めている場合のみ厚生年金加入の対象となっていますが、2022年10月から従業員101以上の企業、2024年10月からは従業員が51人以上の企業に勤めている短時間労働者も厚生年金の対象となります。
「将来もらえる年金が増える」とアピールしていますが、これは小さな企業にとっては非常に大きな負担増になります。短時間労働者にとっても目先の手取りが減ることになります。
要は、保険料が足りないので「ステルス値上げ」をしているのです。
このように年金制度を維持するという名目で負担を増やしていけば、現役世代の生活が破綻してしまうでしょう。
◆支給される年金は減っていく
このように、国税や地方税や社会保険料等などのかたちで負担は増える一方、もらえる年金は減っていきます。
小泉内閣のもとで行われた2004年の年金改革では、約20年間で2割程度、支給される年金をカットする方針が決まりました。
ただ、これは高齢の有権者の反発を恐れて、さまざまなカットの条件を付けた結果、当初の想定通りに進んではいません。
そこで、昨年成立した「年金改革法」では、年金受け取り開始の年齢を少しでも遅らせるようにしました。
2022年4月から、受け取り開始年齢を遅らせると年金月額が増えるようにして、受け取り開始の年齢を60歳から75歳の範囲で選べるようにしたのです(現在は60歳~70歳の範囲)。
75歳から受け取る場合の年金月額は、65歳から受け取り始める人と比べて最大84%増えることになります。
例えば毎月15万円の年金をもらえる人が、75歳から受け取り始めた場合、毎月27万6千円の年金を受け取れます。
ただし、87歳まで生きなければ、受け取る年金の総額は65歳から受け取り開始した場合と比べて減ります。
日本人の平均寿命は84.21歳なので、受け取り開始年齢を遅らせることで年金支給額を少しでも減らそうという意図が垣間見える施策といえます。
◆大増税の前に方向転換を
こうしてみると、負担は増える一方、もらえる年金額は徐々に減らされていく未来がやってくることは明らかでしょう。
「年金制度」を維持するために、増税や年金保険料のアップが繰り返されれば、生活破綻がやってきます。「国民滅びて年金制度あり」となれば、何のための社会保障なのか分かりません。
社会保障の財源は、誰かが負担しているということを忘れてはならないのです。
こうした未来を避けるためには、自助と共助が基本です。すなわち、75歳前後まで元気に働ける社会を目指しつつ、働けなくなった場合は家族で助け合うという社会保障の原点に返ることです。
もちろん、万が一の場合のセーフティネットとして、最低限の公的社会保障は整備する必要があると考えます。
そうでなければ、老後に最低限度の生活を送るために、現役世代から重税や社会保障負担に苦しむ社会になるしかありません。
どちらの社会もあり得ますが、既成政党は、年金維持のため、若い時から大増税に苦しむ社会という選択肢しか示していません。
働いて得た収入はなるべく個人が自由に使えるようにし、人生の最後まで生きがいを持って働き、家族の絆を大事にする社会を目指しているのは、幸福実現党ただ一つなのです。
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