このエントリーをはてなブックマークに追加

ブレグジットでよみがえる日英同盟、英国「脱中国」で「世界国家」回帰へ【前編】

https://youtu.be/RHaT0q4F5jo
(4月3日収録)

幸福実現党外務局長 及川幸久

◆イギリスの新たな国家戦略

今回のテーマは、「ブレグジットでよみがえる日英同盟」です。

3月15日、「POLITICO(ポリティコ)」イギリス版で、ポリス・ジョンソン首相が「イギリスの世界戦略、アジアへ」という新たな世界戦略を発表したことを報じました。

この新たな国家戦略は「グローバルブリテン」と名付けられ、その中身は、これまでの「EU(ヨーロッパ大陸)」から「インド太平洋」に軸足を変更するものです。

そして、この「グローバルブリテン」には、イギリスが世界国家に回帰するというコンセプトがあるのです。

◆「グローバルブリテン」を支える要素

しかし、今のイギリスはGDP も軍事力も大きいわけではなく、覇権国に戻るというわけではありません。

そうではなく、大陸から海洋の方に軸足を置き、それに伴って100年ぶりに日英同盟を復活させるというのが、グローバルブリテンの中心的な要素です。

3月17日、イギリスは空母クイーン・エリザベスを日本、東アジアに派遣することを決めました。

インド太平洋にあるオーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、インドは、イギリスの植民地だったところで、いわゆる英連邦です。

日本と縁の深い地域でもあり、インド太平洋は今や世界の経済成長の中心地でもあり、イギリスは経済がこれから伸びていく地域が中国やロシア側に回らないように先手を打って戦略を進めているのです。

ポスト・ブレグジット後にイギリスが最初に自由貿易協定を結んだ国も日本でした。

◆伝統的「スエズ以東」戦略の復活

イギリスには元々伝統的な欧州大陸に依存しない「スエズ以東」と貿易をする外交戦略があります。

イギリスからしてみると、スエズ運河は大変便利な航路で、アフリカ大陸を回っていかなくてもショートカットでインド太平洋に行くことができるわけです。

スエズ運河を長年管理していたのはイギリスでしたが、アメリカをバックにエジプトにスエズ運河の管理権が移り、1960年代「スエズ以東」の戦略ができなくなりました。

それで仕方なく イギリスはEUに加わりました。しかし、ブレグジットで、欧州大陸に依存しない、伝統的な「スエズ以東」の戦略に帰ったのです。

イギリスは、TPP に参加することを決定しています。TPP 11カ国の中で6カ国は英連邦です。

さらにはインド太平洋には「クアッド」があります。

「クアッド」は、日本・アメリカ・オーストラリア・インドの4カ国による軍事協力体制ですが、本音は中国包囲網にあります。

イギリスが参加すると、「クアッド」ではなくなりますが、イギリスが参加すれば、まさに「太平洋版 NATO」になります。

ヨーロッパのNATOは対ロシアですが、「太平洋版 NATO」は、対中国です。

◆イギリスにとって日本は最大のパートナー

私がイギリスのロンドンの150年ぐらいの伝統のある金融機関で仕事をしていた時、日本のビジネスにも精通していたイギリス人の上司に言われたことがあります。

「サムライ精神は、まさにイギリスの伝統のジェントルマンの精神と本質的には一緒だ」と。

イギリスという国はどこの国とも同盟関係を持たない国でしたが、世界で唯一同盟を結んだのが日本でした。よほど日本に対して信頼を置いたのだと思います。

2月27日、イギリスの保守系新聞「Daily Express(デイリー・エクスプレス)」が、ポリス・ジョンソン首相が学校の教室の机に座る姿を写真入りで記事にしています。

ここでジョンソン首相は、日本の国旗とフランスの国旗をバックに、グローバルブリテン構想という新たな国家戦略の下、「子供たちに縮小していくヨーロッパ大陸の言語を教えるよりも、偉大な国家の言語を教えるべきだ」と論じています。

この「偉大な国家」とは日本のことを指しています。

また、ジョンソン政権のドミニク・ラーブ外相やリズ・トラス国際貿易大臣も、「日本は重要なパートナーである」との旨を述べているのです。

ここには、さらに深い意味があります。

(後編につづく)
~・~・~・~・~・~・~
幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!!
https://hr-party.jp/newspaper/application/
※配信頻度:毎月2回程度

及川幸久

執筆者:及川幸久

page top