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成長戦略インサイト(3)「中国国内外を揺るがす新型ウイルス」

本日は、成長戦略インサイト(3)「中国国内外を揺るがす新型ウイルス」(2020年2月7日号)をお送りします。

成長戦略インサイト(3)「中国国内外を揺るがす新型ウイルス」(2020年2月7日号)

http://hrp-newsfile.jp/2020/3813/

幸福実現党成長戦略部会長 西邑拓真
――新型コロナウイルス感染症が中国を中心に感染が拡大している 

6日9時時点で、感染者数は合計で28,248人に及び、そのうち中国国内の感染者数は28,018名(そのうち死者は563名)、日本国内の感染者は21名となっています。
 
中国湖北省・武漢市では連日、新たな患者が1,000人超規模で確認されていますが、現地では、病床、医療人員の不足など、医療体制が追いつかない状況が続いています。治療が十分に行われていないこともあり、武漢市での感染者の致死率は4.9%と、中国本土全体(2.1%)に比べて倍以上に及んでいます。

ウイルスの感染拡大をめぐっては、中国当局による情報統制により、拡大阻止への初動が遅れたと見られています。

肺炎の危険性にいち早く警鐘を鳴らしていた武漢市の医師・李文亮氏が、自らも感染症に感染し、7日、同肺炎のため亡くなりました。

李氏は昨年末、SNS上のグループチャットにおいて、「海鮮市場で7件のSARS(重傷急性呼吸器症候群)に似た肺炎が確認された」との書き込みを行ったのに対し、武漢市の公安当局が「事実でない情報を流布した」として、李氏に訓戒処分を言い渡していました。

その他、李氏の事案以外にも、中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」へのウイルス感染に関する書き込みについて、投稿の削除が相次いで確認されており、このことからも当局が情報統制に躍起になっている状況が伺えます。

先月20日、習近平国家主席はようやく「重要指示」を出し、「迅速な情報開示」などを命じましたが、これをかけ声倒れに終わらせては、国際社会が許さないでしょう。これを機にして中国政府は、言論に対する統制のあり方そのものを根本的に見直すべきであり、国際世論も喚起されるべきです。

武漢市内では今、駅や高速道路等を封鎖する措置がとられていますが、武漢市にいる1100万人のうち、500万人はすでに、武漢市外へ移動したとも言われています。今後の感染拡大は予断を許さない状況です。

――中国経済への影響も大きい

中国はまさに、米中貿易戦争と新型コロナウイルス感染症のダブルパンチを受けて人・モノの動きに制限がかけられ、経済的に大きな打撃を受けた状況にあります。

こうした中、中国人民銀行は3日、金融市場に対し1兆2千億元(約18兆7千億円)を供給する公開市場操作を実施しました。ただ、経済活動そのものに制限がかけられている以上、資金供給を行ったとしても、効果は限定的とも見られます。

中国経済の不調は今後、世界経済へも大きく波及すると懸念されています。 

韓国の現代自動車は4日、中国からの部品供給が滞ったことが原因となり、韓国国内にある全工場の稼働を停止すると発表しました。このように、中国に生産拠点を置く企業は今、サプライチェーンのあり方について、方針転換を迫られているのです。 

翻って日本政府はこれまで、インバウンド消費の拡大を推進してきましたが、感染症の拡大で、その流れに影を落としています。いずれにせよ、これを機に改めて「チャイナリスク」を見つめ直し、日本政府としても内需拡大と、製造業の国内回帰を推進すべきでしょう。

――太平洋の島嶼国であるミクロネシア連邦とツバルは、日本からの入国を制限する措置を取った

日本が「感染国」との烙印を押されたのは、日本政府による対策の不徹底によるところがあると言わざるをえないでしょう。

日本政府はすでに、在留邦人のうち希望者に対し、チャーター便で帰国させる措置を取っていますが、第一便での帰還者のうち2人が一時、検査を拒否するなど、水際対策の不徹底が露わとなりました。

それに対して、米国政府は先月31日、同感染症をめぐって「公衆衛生の緊急事態」を宣言し、湖北省から帰還する米国人を2週間隔離したり、中国に滞在歴のある外国人を入国拒否とするなど、徹底した対策を行っています。

日本政府は1日、同感染症を「指定感染症」とする政令を施行しましたが、その指定は、患者の強制入院等を可能とする「2類」に留めています。本来は、「無症状病原体保持者」に対して「検査」や「隔離」措置などを行える「1類」指定を行うべきでしょう。

いずれにしても、今回の感染症に対する日本政府の対応は、危機管理能力の脆弱性が改めて浮き彫りとなった形です。 

また、中国・習近平国家主席の国賓待遇での訪日が、同感染症の流行によって延期されるとの見方もありますが、「延期」では本来十分ではありません。 

習氏の国賓待遇については、日本政府として、中国政府による強まる人権弾圧、覇権主義に鑑み、全面見直しをすべきです。 

(参考)高橋洋一「新型肺炎、対応が遅すぎる日本政府! 頭使わぬ厚労省に呆れ…遅すぎた『感染症指定』の施行日 中国配慮?のWHOの動きも鈍く」(夕刊フジ, 20年2月5日付)
以上

西邑拓真

執筆者:西邑拓真

政調会成長戦略部会

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