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政治家の「ムダ遣い」のツケを支払わされるZ世代。若者に無関心の日本政治、未来を変えるためにはどうすべき?

幸福実現党政調会:西邑拓真

当記事は、下記の動画と連動しています。ぜひ、ご覧ください。
https://youtu.be/zWVT9hHdYpY

◆政府の来年度予算案が衆院で可決

3月2日、2024年度の政府の予算案が衆議院の本会議で可決され、年度内の成立が確実となりました。

今回決まった予算では、一年間で政府が使うお金、歳出額は112兆5717億円と多額にのぼり、昨年度に次ぐ過去2番目の規模となっています。

現在、政府の収入にあたる税収はおよそ70兆円です。歳出額は110兆円ですから、その差は実に40兆円です。

政府はこの差額40兆円を借金、国債で賄っているのです。俯瞰的にみて、およそこの30年は、税収がそれほど増えない中で、歳出は拡大を続け、毎年多額の借金を生み出してきました。

そして、その国債はいわゆる「60年償還ルール」の下で、今の若い世代、また、これから生まれる世代が、そのツケを払うことになります。

政府が歳出を拡大することは、実は、将来世代への負担の押し付けで成り立っているのです。

◆世代間格差を生み出すバラマキ

こうした状況をなくしていくためには、そもそも財政の構造を変えなければなりません。

政府が使うお金の最大の項目は「社会保障」費です(*1)。そもそも、年金や医療などの社会保障給付の財源は、私たちの収入から天引きされる社会保険料ですが、それだけでは巨額の社会保障給付を賄いきれないために、社会保障費に多額の税金が投じられています。

今、少子高齢化が急速に進んでいるため、今後、社会保障給付は拡大し続けていくと予想されています。社会保障のあり方を今、抜本的に見直さなければ、今後、さらに国債を発行する、あるいは大増税、社会保険料の大幅な引き上げに迫られることになります。

こうしたことについて、年金制度を例に見てみましょう。

年金制度ではそもそも、「将来、自分達が高齢者になって受ける年金は、自分達が現役の時に積み立てる」という「積立方式」が採用されていたのですが、1970年代に年金給付の大盤振る舞いを始めて、積立方式が成り立たなくなり、「賦課方式」、つまり、「今、高齢者が受けている世代の年金は、今働いている現役層がこしらえる」という方式に実質的に移行したのです。

現役層の人口が拡大する局面では、こうした賦課方式は成り立つのですが、今はまさに少子高齢化が進んでおり、「支えられる高齢者層」が増える一方、「それを支える現役層」が減少の一途を辿っています。

1950年には、12人の現役層で高齢者1人を支えているという構造でしたが、現在は概ね、現役層2人で高齢者1人を支えている状況となっています。そして、およそ40年後の2065年には、1人の高齢者を1人の現役層で支えるという状況となるのです。

それは、例えば自分の給料が30万円だとすると、この30万円で自分や家族を支えるとともに、社会保障制度のもとで、「見知らぬ、誰かわからない高齢者一人」を養うということを意味するのです。

このように、社会保障の賦課方式が採用されている中で、少子高齢化が急速に進むという、日本では今、「最悪のコンビネーション」が成り立ってしまっているわけです。

鈴木亘教授(学習院大学)は、厚生年金、すなわち、会社などに勤務している人が加入する年金について、若者と高齢者層など、世代間でどのくらいの格差があるかについて試算しています(*2)。

年金の大盤振る舞いの恩恵を受けた世代は、年金の支払う額よりも貰う額の方が多い「もらい得」となっている一方、若い世代は、貰う額よりも支払う額の方が多い「払い損」となっています。例えば、2000年生まれの方は、2610万円の「払い損」になるという試算となっています。

3460万円の「もらい得」となっている1940年生まれの方と比べると、実に、6000万円ほどの開きがあるのです。

そもそも、保険というのは、「加入者同士がお金を出し合い、将来のリスクに備える」ためにあり、年金も「年金保険」というくらいですから、本来は、保険の一つであり、「長生きしすぎて資産がなくなり飢え死にする」というリスクを社会全体でカバーしようとするものです。決して、年金は、世代間での「所得再分配」を行うための道具ではないはずです。

若い世代はいわば、「加入すれば必ず損する保険」に、強制的に入らされている状況にあると言えます。こうした年金制度の歪みを、無視し続けるわけにはいきません。年金をあるべき姿に戻すために、本来の年金制度のあり方について、徹底的な議論を行うべきでしょう。

◆シルバー民主主義の横行は、若者の未来は暗くさせる

幸福実現党・大川隆法総裁は『地球を救う正義とは何か』において、少子高齢化がもたらす政治的問題について、「今後、『シルバー民主主義』といって、高齢者たちが選挙民として増えてきます。高齢者の場合、投票率が高く、だいたい六十数パーセントの人が投票します。一方、若者は三十数パーセントしか投票しません。二倍ぐらい違うわけです。そうすると、政治家としては『年を取った方の票を集めたい』という気持ちになるのです」と述べています。

2022年7月に行われた参議院選挙における年代別投票率(*3)を見ると、60歳代(65.69%)、70歳代以上(57.72%)と高い水準にある一方で、10代(35.42%)・20代(33.99%)は、少子化で有権者数自体が少ないにも関わらず、投票率も高齢層に比べて、半分程度に止まっています。

こうしたことから、今の政治において、相対的に若い年代の声が届きにくくなっているのが事実でしょう。

これまでの政治において、社会保障のあり方を見直そうという動きが、出ていないわけではありません。

しかし、結局のところ、その場しのぎとして制度の微修正にとどまってしまい、制度を根本的に変えるというところまでは到達していません。

それは、有権者の多くを占めるのがシルバー層であり、こうしたシルバー層の利益を優先する政治が行われてきたからにほかなりません。臭いものに蓋をし、制度改革の先送りを続けてきたこれまでの政治こそが、「シルバー民主主義」が横行してきた証明と言えるのではないでしょうか。

◆若者が「政治参加」しない限り、未来は変えられない

関東学院大学・島沢諭教授が『教養としての財政問題』などでも触れていますが、政治学の中で、シルバー民主主義の脱却に向けて、若者の声を政治に届けるための新しい選挙制度のアイデアが、様々提案されています。

例えば、投票権をまだ持たない子供を養う親に、子供の人数分の選挙権を付与する「ドメイン投票制度」、「20代選挙区」「60代選挙区」など、年代別の選挙区を設ける「年齢別選挙区制度」、あるいは、人間の限界の余命を例えば、125歳とした時に、90歳なら125-90=35票、20歳なら125-20=105票を付与するなどして、若いほど自分が持つ票数が増える「余命投票制度」というものがあります。

こうした奇抜なアイデアがあるわけですが、結局のところ、高齢者が多数を占める「シルバー民主主義」の下では、高齢者が損失を被るような制度改革の実現は難しいと言えるでしょう。

幸福実現党は、上記のような選挙制度の変更を唱えているわけではありませんが、若者にとって希望の持てる未来を到来させるには、年金など社会保障のあり方を真っ当なものに変えることは必要と考えています。また、これからの世代にツケを回す、バラマキをなくさなければなりません。

日本の政治を変えるには、特にZ世代の皆さんの政治参加が必要不可欠です。幸福実現党は、若い世代、Z世代の皆さんとこれまでの日本を創り上げてきた世代の方との架け橋になるような政策提言を行っていけるよう、今後とも努めてまいります。

(*1)財務省「令和5年度一般会計予算歳出・歳入の構成」など参照。
(*2)幸福実現党2022年4月主要政策、鈴木亘『年金問題は解決できる!』(日本経済新聞出版社)参照。
(*3)総務省「参議院議員通常選挙における年代別投票率(抽出)の推移」参照。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000646811.pdf
(*4)全体の投票率は、52.05%。

西邑拓真

執筆者:西邑拓真

政調会成長戦略部会

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