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【公明党の問題点(2)】軽減税率で小売負担は激増 バラマキの財源はどこから?

http://hrp-newsfile.jp/2019/3649/

HS政経塾スタッフ 遠藤明成

◆政策比較:消費税を巡る主張

まず、各党の公約を比較してみます。

・自民党:10%へ増税。用途は教育無償化等
・公明党:同上+軽減税率8%の導入
・維新の会:増税反対。身を切る改革で教育無償化費用を捻出
・立憲民主党:増税反対(民主党時代の増税法案は間違った判断と認めた)
・国民民主党:増税反対(民主党時代の増税への釈明なし)
・共産党:増税反対
・社民党:増税反対
・れいわ新選組:消費税廃止

10%増税への賛成・反対で分かれていますが、公明党はその間に入ることで支持層の獲得を狙っています。

れいわの「消費税廃止」は、一見、09年の幸福実現党の主張に見えますが、政策全般がバラマキ型なので、目指しているものが違います。

政府補助による最低賃金1500円、公的住宅の拡大、奨学金返済不要、公務員の拡大、戸別所得補償、公共投資拡大、デフレ脱却給付金など、共産党も青ざめるような「親方日の丸」社会の建設(ほぼ社会主義経済)を公約しているからです。

比較してみると、幸福実現党の消費税5%への減税以外に、まともな減税政党がない現実に驚かされます。

◆公明党の「軽減税率」とは

公明党が訴えた飲食物などへの「軽減税率8%」はすでに法制化されています。

そして、同党は、飲食料品などの消費税率を低くすれば、負担は軽くなると主張しています。

しかし、それが本年10月に実施されたら、どうなるのでしょうか。

(※標準税率は10%〔消費税率 7.8%、地方消費税率2.2%〕/軽減税率は8%〔消費税率 6.24%、地方消費税率1.76%〕)

◆飲食にかかる軽減税率

国税庁によれば、軽減税率の対象は「酒類・外食を除く飲食料品」が中心です。

(*その中に新聞が入っている。これは、政治家によるマスコミ懐柔の意図を疑うべき)

ここで、何を「飲食料品」とみなすかの解釈は、かなり複雑です。

それを「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」で見てみます。

(以下、出所は「制度概要編」と「個別事例編」)

◆飲食料品への税率:何が8%? 何が10%

「飲食料品」とは、食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除く)のことです。

これは「人の飲用又は食用に供されるもの」が対象なので、工業用の塩などは、範囲に入りません。

同じ「塩」でも「飲用・食用」は8%の消費税ですが、工業用だったら10%の税率です。

また、コンビニやスーパーで売っている「ミネラルウォーター」は税率8%ですが、家庭用の水道水は税率10%です。

ライフラインの水道水が税率10%なのは理不尽ですが、これは「生活用水」を兼ねているため、対象外になるのです。

そして、氷においても似たような神学論争が続きます。

「かき氷」などの食用の氷は8%ですが、保冷用の氷は10%。

さらには、お酒は「酒税法」の基準で税率が分かれます。

たとえば、ノンアルコールビールなら8%、普通のビールなら10%の税率です。

そのほか、添加物は軽減税率の対象となります。

◆「肉用牛」に軽減税率はかかるのか?

食品のうち「肉類」に関しては、複雑な問題が発生します。

「肉用牛」「食用豚」「食鳥」等の生きた家畜を販売した場合、その時点で食用にはならないので、畜産業者が肉用牛を販売しても、「軽減税率8%」は適用されません。

肉用牛が解体され、「肉」としてスーパーなどで並んだ時に8%の税率が適用されます。

畜産業者が聞いたら怒りそうですが、軽減税率の基準は役所が決めるので、幅広いジャンルの取引に、こうしたお役所的な判断が加えられるのです。

なお、牛や豚等の家畜の飼料は「食品」に該当せず、10%の税率というルールになっています。

◆栄養ドリンクやサプリは「医薬品等」に含まれるのか

不思議なことに「医薬品等」は軽減税率の対象になりません。

そのため、栄養ドリンクは成分を調べて「医薬品等」に該当したら税率10%、しなければ「飲食料品」なので8%、という区分けをしなければいけません。

これは栄養サプリメント等でも同じです。

この場合、リポビタンDの税率はどちらになるかという問題が浮上します。

サプリメントを扱うファンケル等も大変です。

その判断一つで製品の売上が左右されてしまうからです。

◆「店内」と「テイクアウト」の区別

今の制度だと、ファストフードなどで「テイクアウト」の場合は、軽減税率の対象になります。

店内で食べたら10%、家に持ち帰ったら8%になります。

最近ではコンビニでも店内で食べられるので、食べ物を買うたびに「店内ですか? お持ち帰りですか?」という確認が必須になるのです。

昼休みのコンビニの待ち行列はもっと長くなります。

税率8%のテイクアウトが増えれば、持ち運びに便利な「軽いもの」が好まれるので、一食あたりの「食べる量」が減り、結局、売上高が減ることになりそうです。

◆「包装材料等」はどうなる

そのほか、飲食物の包装品も軽減税率の範囲に含まれます。

普通のビニールや紙等で包装している場合は税率8%です。

しかし、贈答用の包装など、包装材料等につき別途対価を定めている場合は、税率10%です。

包装品自体が単独で商品価値を持つような場合は話が違ってくるようです。

◆1兆円の「負担軽減」の代価は大きい

ここまで見れば、売り子の負担を激増させる制度だということがわかります。

商品の数が多い、コンビニやスーパー等では、その判断が大変です。

軽減税率で1兆円程度の税負担が減るとも言われていますが、これが全国にもたらす事務負担は膨大な規模になります。

また、軽減税率が認められる商品が有利になるので、どの業界も政府に軽減税率の適用を求めるようになります。

そして、役所がそれを認めるかで企業の存亡が左右されます。

その結果、役所の権限が大きくなり、口ききする政治家に、企業は頭を下げなければいけなくなるのではないでしょうか。

◆労働者が「買い手」であると同時に「売り手」となりうることを忘れた制度設計

買い手の側からみると、税率が8%のままだったら助かるのは事実です。

しかし、国民の多くは企業で働いているので、「買い手」であると同時に「売り手」でもあります。

コンビニやスーパー等で、自分が小売の現場に立った時には、大変なことになります。

売る時に、いちいち、8%なのか10%なのかを確認しなければなりません。

自分が売り手として働く時のことを考えると、軽減税率は、負担を倍増させる仕組みにみえてきます。

事務負担の費用が企業にかかり、円滑な商売が難しくなります。

その負担を迫られた時、とても、税率が軽減された気はしないでしょう。

◆軽減税率と大判振る舞いのマニフェストの矛盾

さらに、公明党は軽減税率を掲げながら、バラマキ型の福祉政策を並べています。

・0歳から5歳までの幼児教育無償化の実現
・年収590万円未満の私立高校授業料の実質無償化
・所得の少ない低年金者に最大月額5000円(年6万円)を上乗せ
・介護保険料の軽減

公明党の幼児教育無償化は、保育所と幼稚園の違いを無視し、その全部を無料化します。

そうなれば、保育園や幼稚園を利用したい人が増えます。

しかし、現状では保育所が足りないので、さらに政府がお金を出して保育施設を拡大しなければなりません。

こうした福祉を拡大しながら軽減税率を進めた場合は、どこかで「さらなる増税をお願いします」と言わなければいけなくなるのではないでしょうか。

◆正攻法は「消費税5%への減税」

制度の全体像を見ると、軽減税率のデメリットは、かなり大きいことがわかります。

税率軽減と同時に企業の事務負担は倍増。

買い手が楽になっても売り手の負担が増します。

さらには、軽減税率の許認可を握る役所の権限が拡大し、企業はそれを忖度しなければいけません。

こうしたデメリットまで含めて見た時、軽減税率には、とても賛成できません。

そのネーミングは、制度の実態を隠し、国民をあざむいています。

やはり、正攻法が大事です。

幸福実現党は「小さな政府、安い税金」を目指し、消費税5%への減税で国民負担を軽減することを目指します。

【参照】

・国税庁「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編)」
・国税庁「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」
・「公明党政策集 Manifest2019」

※軽減税率に伴う消費税の減収計算例

(小黒一正「混迷する軽減税率の制度設計」世界経済評論IMPACT、2015.11.24)。

この論文での試算によれば、「酒を除く飲食料品」に軽減税率をかけると、税収増は4.1兆円(=5.4兆円-1.3兆円)に減る。著者は、24%税収が減るので、同じ5.4兆円の消費税
収を得るためには,消費税率を10.6%(=8%+2%÷(1-0.24))まで引き上げる必要があると指摘している。
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■幸福実現党「夢は尽きない123の政策」
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遠藤 明成

執筆者:遠藤 明成

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