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21世紀、日本の宇宙計画【2】――月と火星に植民都市を

幸福実現党・茨城県本部代表/茨城第1選挙区支部長/経済部会 川辺賢一

◆人類のフロンティアとマルチプラネット化

前回のニュースファイルでは、宇宙産業の成長性(年率9%超)や宇宙技術のスピオンオフが身近な暮らしを大幅に改善してきたこと等を記載いたしました。(参照:http://hrp-newsfile.jp/2016/2992/

本稿では、より具体的に日本が持つべき宇宙開発の目標について提示したいと思います。

さて昨年末、幸福実現党・大川隆法総裁の講演「繁栄への決断」でもあったように、昭和の末には50億人程度だった地球人口はいまや70億人を超え、世界では急速な人口増が進み、地球上のフロンティアは消失しつつあります。

「繁栄への決断」「トランプ革命」と日本の「新しい選択」
大川隆法 著/幸福の科学出版
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1785

果たして、この先、地球人口が100億を超えようとするなかで、何が起こるでしょうか。

戦争の危機や食料エネルギー問題、地球環境の汚染、感染症の流行など、現実的な危機は高まりつつあります。

また人類の歴史を振り返れば、ときに命がけで、川を上り、海を渡り、他人種との交流交易を進め、常に自らの世界を広げることで生存の条件を確保してきたように、フロンティアを求め続けること自体が、人間本性に深く根ざした根源的な欲求だと考えられます。

ゆえに、人類にとって、フロンティアが消失した地球にしがみついて生きていくのは、何らかの惨事をきっかけに人類が滅亡する現実的なリスクを抱えるというだけでなく、人間本性に対する反逆だと言えるのです。

私たちは、21世紀中に宇宙に窓を開き、多惑星間を活動できる人類のマルチプラネット化を果たさなければなりません。

マルチプラネット化するということは、他惑星に自立的な文明を築いたり、火星生まれの地球人が誕生したり、人類が惑星間をまたいで活躍できるようになるということです。

そのための橋頭保として、日本は21世紀の国家目標として月と火星に植民都市を建設し、まずは早期に独自技術による月や惑星の有人探査を可能にしなければなりません。

特に人類未踏の地とされる火星への有人探査を2020年代には達成し、100万人規模の人類の火星移住計画を強く推し進めていくべきです。

◆化学燃料を使ったロケットの限界

さて1960年代に人類が初めて宇宙に飛び立って以来、半世紀以上が経過しております。

その間、宇宙開発は様々に日進月歩を続けて参りましたが、人類の宇宙進出にとって決定的に重要でありながら、ほとんど進歩の見られなかった分野があります。

それがロケット技術、すなわち宇宙への物資打ち上げと宇宙空間を推進する技術です。

実際、現在も主なロケットの推進原理は、半世紀前と大きく変わらず、化学燃料を酸素で燃やしてノズルから噴射させるしくみのままで、現在最良のロケットでも、宇宙空間で出しえる最高速度は、1962年にアメリカの宇宙飛行士が地球軌道を周回した時のアトラスロケットとほとんど変わらないのです。

現在、このような化学燃料を使ったロケットで火星に行く場合、1番近いルートでも片道数ヶ月はかかり、しかもこの場合、宇宙船は火星近くで飛行士を降ろすだけで、火星から帰還するためには別の宇宙船の到着を待たなければなりません。

地球と火星の公転のタイミングから最もメジャーなルートで考えると、地球と火星の行き来でそれぞれ8ヶ月、火星滞在期間が1年3ヶ月と、全行程は約2年半となります。

こうした現状を考えれば、化学ロケットを使った地球-火星間の移動は早晩、限界に達するだろうし、人類の本格的な宇宙進出やマルチプラネット化に至っては夢のまた夢と言わざるをえません。

◆次世代ロケットの開発を

ゆえに日本は新しい宇宙推進技術の開発に、もっと資本を投下しなければなりません。

実際、NASAでは化学ロケットに代わる推進原理として、本格的なプラズマ推進ロケットであるヴァシミールを開発中です。

プラズマ推進ロケットを化学ロケットと比較した場合、化学ロケットに対して10倍以上の比推力を持つという利点があります。

比推力とはロケットの性能を示す指標の一つで、一度、宇宙に出てから、どれだけ高速で宇宙空間を飛行できるかを示します。

そしてヴァシミールを使って火星に向かった場合、なんと片道39日で、火星に到達できるとされます。

他方、プラズマ推進ロケットの特徴として、ロケットの別の指標である推力、つまり地上から重い物体を宇宙に押し上げる力は、化学ロケットに比べて極めて低い点が挙げられるため、何らかのハイブリットを考えなければなりません。

いずれにせよ、お隣の惑星と言えど、最短で約5500万kmもある地球から火星間の距離を行き来するためには、日本においてもヴァシミール型のプラズマ推進ロケットを始め、新たな推進原理や動力の開発が不可欠です。

(つづく)

川辺 賢一

執筆者:川辺 賢一

幸福実現党茨城県本部代表(兼)政務調査会経済部会長

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