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21世紀、日本の宇宙計画【1】――月と火星に植民都市を!

HS政経塾第2期卒塾生 川辺賢一

◆人類の宇宙開発は進んでいるか?

今月9日、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を届ける国産・宇宙輸送機「こうのとり」を積んだ国産のH2Bロケットが打ち上げられます。

今回打ち上げられる「こうのとり」には、ISSにある日本の実験棟「きぼう」から放出される超小型衛星7機やISSの運用に不可欠な国産新型バッテリー等が積み込まれ、まさに日本の夢と希望を乗せて高度400kmの宇宙に飛び立ちます。

日本を始め、こうした宇宙開発のニュースに触れ、胸躍る思いをされる方も多いのではないでしょうか。筆者もその一人です。

一方で、世界中で宇宙開発に関するニュースが日常茶飯事のように流れるなか、果たして私たちが子供の頃に映画や漫画で夢を見た「21世紀には誰もが宇宙旅行に行け、月や惑星に保養や探検に出かけられる」そんな未来が近づいている感じはするでしょうか。筆者にはいまいち感じられません。

これまで宇宙に行ったことがある人は一体、何人でしょうか。

頭数でたったの550人程度(高度100kmの弾道飛行も含む)です。

また月に行ったことがある人は何人でしょうか。

たったの12人です。私たちが一般に知ることができる情報によれば、アポロ計画以来、人類の月面着陸は1度も果たされていないからです。

その点、アポロが月に行き、ボイジャーが太陽系外惑星に旅立った米ソ冷戦期の方が、良くも悪くも、人類にとって宇宙が近づいている感じがしたのではないでしょうか。

かつて世界の理系エリートたちは、宇宙開発を始め、産業科学分野の研究に従事して国家産業の屋台骨を形成しました。

しかし2000年代になると、産業科学分野から離れ、金融マネーゲームの世界に従事する理系エリートたちが多くなりました。

むろん経済の心臓血管である金融業の発展は、今後も経済社会の発展に不可欠でしょう。

しかし、世界の理系エリートたちが過度に金融マネーゲームに偏重した結果が、2008年の金融危機であり、今の金利がゼロに貼り付いた瀕死状態の資本主義経済ではないでしょうか。

今こそ、新しい実業・企業群の勃興に通じる産業科学の発展と、そのための人材供給、資本の投下が必要です。

そこで幸福実現党は、未来産業分野やインフラ分野に今後10年間で200兆円の投資をすべきだと政策提言しているのです。

◆宇宙開発の意義と可能性

なかでも宇宙産業に関しては、市場規模が2005年から2014年までの10年間で、年平均9.6%も成長し(1,767億㌦から3,300億㌦)、新興国経済をも超える成長率を示します。

また、これまでの宇宙開発の結果、私たちの暮らしは格段に便利になりました。

身近な例では衛星測位システムによりカーナビ始め、船舶や航空機、ドローン、建設重機用ロボット等のナビゲーションや自立制御が可能になり、その他様々な人工衛星により、BS等の衛星放送や気象予報、地球観測データの蓄積が可能となりました。

人工衛星以外でも、例えば、宇宙船用に開発された耐熱性材料は、厨房用器具や腕時計、野球スパイク等にも応用され、宇宙観測カメラの駆動技術は医療用・顕微鏡のスタンド技術にも応用され、宇宙技術が民生品にスピンオフした事例は、あらゆる分野に数え切れないほどあるのです。

筆者自身、人工衛星から地球を観測するための特殊な画像取得システムを、医療や製造業、建設業、食品管理、美容、その他に応用可能な計測機器としてスピンオフさせたベンチャーに勤務していた経験があります。

また高度400kmにある国際宇宙ステーションにおいては、無浮遊・無沈降・無対流の微小重力環境を利用して、物理化学や生命科学分野の様々な実験が行われており、材料や医薬分野等で新しい製品開発につながる研究が進められております。

つまり日本が世界を率いて宇宙開発を進めていくことで、瀕死状態の資本主義経済を救い、日本と地球すべての平和と発展・繁栄を導いていくことができるのです。

◆21世紀、宇宙開発の目標――月と火星に植民都市を

では私たち日本人は、どのような目標を持ち、21世紀の宇宙計画を構想すべきなのでしょうか。

幸福実現党の大川隆法総裁は、1995年の講演「愛、悟り、そして地球」のなかで「私は、『21世紀中に、つまり今から百年以内に、月と火星に植民都市を建設する』ということを、日本は国家目標として持つべきだと思います」と述べております。

また、米宇宙開発ベンチャー・スペースX社のイーロン・マスク氏は、早ければ2022年に火星移住を開始し、40~100年かけて火星に100万人が住む自立した文明都市を築く構想を発表しております。

そして人類の未来について、「多惑星に生きる種になり、宇宙を飛び回る文明人になるか」、「1つの惑星にしがみついたまま、何らかの惨事を経て絶滅に至るか」の2つに1つだと訴えております。

火星は人類未踏の地であり、地球に最も近い惑星です。

そして火星には窒素や水素など、月にはほとんどない地球型生命の活動に必要な軽い元素が多く存在すると言われます。

すでにうっすらとした二酸化炭素も大気としてあり、植物が育つ可能性もあります。

その他の惑星や衛星等、人類の宇宙進出の夢は無限に広がっていきますが、まずは人類の他惑星進出のための橋頭保として、人類の火星移住、そのための宇宙輸送手段システムの確立、火星の地球化・都市建設に向けて、日本が主体的に取り組み、21世紀中に成し遂げていくことが必要です。

そのための具体的な課題を一つ一つクリアしていくなかで、宇宙開発に限らず、その他あらゆる産業で応用可能な新しい製品やエネルギー源、そして新しい企業群がいくつも派生してくる可能性があるからです。

次回HRPニュースファイルでは、人類の火星文明建設に必要な課題と現状について報告させて頂きます。

川辺 賢一

執筆者:川辺 賢一

幸福実現党茨城県本部代表(兼)政務調査会経済部会長

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