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生活保護制度について考える

幸福実現党 大阪府本部副代表 数森圭吾

◆生活保護制度とは

生活保護制度とは社会福祉六法の一つである生活保護法に基づいて施行される福祉制度の一つです。

生活保護法の目的は、「日本国憲法第25条(生存権)に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長すること」(第1条)とされています。

つまり生活保護とは「一時の」最低限度の生活を保障しながら自立を促すための制度であり、また障害を抱える方など働きたくても働くことのできない方々の生活を保障するためにも、現状において重要な制度であるといえます。

しかし他方、この制度が抱える様々な問題をみていくと、この制度が人の弱さを助長している側面があるということも明らかになってきます。

◆生活保護受給率

平成26年の厚生労働省発表データによると、都道府県別に見た生活保護受給率は以下の通りとなっており、受給率の最も高い大阪府と最も低い富山県の差は10倍以上となっています。

大阪市の発表によると、大阪府がトップとなっている背景には「失業率」「離婚率」「高齢者の割合」が高水準になっていることや、全国最大の日雇い労働者のまちへの多亜府県からの流入が多いことなどがあげられていますが、他方で行政側の審査の甘さなども指摘されています。

1 大阪府 3.35%
2 北海道 3.11%
3 高知県 2.79%
4 福岡県 2.56%
5 沖縄県 2.41%
6 京都府 2.31%
7 青森県 2.28%
8 長崎県 2.20%
9 東京都 2.16%
10 鹿児島県 1.93%
47 富山県 0.32%

◆生活保護制度が抱える問題点

2015年度生活保護費の予算は約3兆円。今後も増加していくとみられており、制度が抱える数多くの問題も議論の対象となっています。

・外国人への保護費支給問題

外国人への生活保護費の支給です。2010年のデータで総世帯数と被保護世帯数の割合を比較すると、日本国籍世帯の受給率は2.6%であるのに対して外国籍世帯の受給率は3.6%となっています。

特に韓国・朝鮮籍世帯の受給率は14.2%と非常に高くなっています。また外国人受給者の場合、海外に資産を持っていても、調査に限界があるという点も問題となっています。

実際に資産や所得を海外に隠して生活保護を不定受給していたという事件も起こっています。

・貧困の連鎖

生活保護世帯で育った子供が、大人になって再び生活保護を受けることを「貧困の連鎖」といいます。

関西国際大学の教授が行った実態調査によると、貧困の連鎖の発生率は25.1%というデータも出ています。この実態をみると自立を助ける制度として生活保護が役立っているのか疑問に感じざるをえません。

・国民年金とのバランス問題

また、生活保護で給付される金額が、国民年金の老齢基礎年金よりも多い事が指摘されています。

都市部で支給される生活保護費と国民年金(満額)を比較すると倍以上のひらきが存在します。これは国民年金をコツコツと納めてきた国民にとっては納得しがたい状況であるのも理解できます。

・医療扶助の不適切受給問題

医療扶助は年間約1.5兆円で、生活保護費のおよそ半分を占めています。これは投薬回数や診察回数に関わらず、受給者なら本来の自己負担分はすべて公費負担となるからです。

医療扶助を利用し、不必要な検査や注射を繰り返したり、医薬品を過剰処方することで医療費の増大につながっているという指摘もあります。

このように多くの問題を抱える生活保護制度。制度の理想と実態の乖離や日本の現在の厳しい財政状況から考えると制度の見直しが必要となるのはまちがいないでしょう。

◆福祉が実現すべきは「楽」?「幸せ」?

セーフティーネットとしての福祉制度は非常に重要なものです。しかしそこには落とし穴も存在しており、制度が人間を堕落させてしまう恐れがあることも知らなければならないと思います。

「楽」をしたいという思いがでる、安きに流れるのが人情だと思います。しかし、ただ楽なことが本当に「幸せ」なのでしょうか。何もせずとも楽に生きられる毎日がずっと続いた場合、人間はそれを幸せだと思えるのでしょうか。

人間が人間らしく生きるため、生存権だけでなく憲法13条の幸福追求権を守るためにも、人間の幸福とは何かを深く考え、制度に生かしていかなければなりません。

人間の幸せには「努力」というものが密接に関係するように思います。努力を重ねる先に、心から感じることのできる幸福もあるのではないでしょうか。

もしそれを福祉制度が阻害していしまっているのであれば、それは本来の意味からして福祉と呼べるものではありません。

最低限の生活を守る福祉制度は非常に大切です。

しかし同時に多くの人びとがセーフティーネットを必要とする状況から脱し、努力の先に一つでも多くの成功をつかみ取ることのできる環境をつくることこそ大切な福祉であり、政治が実現すべき重要な仕事であると感じます。

数森圭吾

執筆者:数森圭吾

HS政経塾4期生

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