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なぜ宗教が政治に参加するのか

HS政経塾6期生 坂本麻貴(さかもと・まき)

◆なぜ宗教が政治に参加するのか?

皆さまの意見を聞きながら活動していると、よく「なぜ宗教が政治に参加するの?」といった声や、「政教分離規定に反しないの?」といったご意見を頂きます。

幸福実現党は、「新・日本国憲法試案」の前文で、「われら日本国国民は、神仏の心を心とし、日本と地球すべての平和と発展・繁栄を目指し、神の子、仏の子としての本質を人間の尊厳の根拠とさだめ」と提唱しています。

■大川隆法著『新・日本国憲法試案』幸福の科学出版
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=110

今回は各国と比較しながら、あるべき政治と宗教の関係を考えてみたいと思います。

◆イスラム過激派にみる宗教対立

現代で祭政一致の国と言えば、中東などのイスラム圏があります。

全てではありませんが、イスラム教の一部の過激派組織は、自分たちの聖典の中の「正義」を実現するために手段を選びません。

例えばISISは、2015年初めに2人の日本人を殺害しました。それ以降もフランス、トルコなどでテロ行為を繰り返しています。

彼らはキリスト教圏やその同盟国を狙ってテロを繰り返します。

同じイスラム教でもスンニ派とシーア派は排他的で、長く抗争を続けています。このような「レリジャス・クレンジング(宗教浄化)」の思想が世界中に広がってしまうと、人々が幸せになっていく世界の実現は、非常に困難になってしまいます。

◆フランスの”世俗主義”による宗教排除

一方、フランスには”ライシテ憲章”があります。フランスはムスリム系の移民が多く、彼らと文化や習慣が違うためいろいろな場面で衝突が起こりました。

1987年ごろから、女児生徒のベールをとらなければ授業を受けさせないとした問題などが重なり、公的な場に宗教的なもの(ロザリオや、ベール等)を持ち込んではならないと定められました。(三井美奈著『イスラム化するヨーロッパ』新潮新書 P169)

宗教間の摩擦を緩和するために、公的な場から宗教を排除したのです。

しかし、それで問題が解決するわけではありません。むしろそうした措置が、ムスリムの感情を害し逆に宗教間の摩擦を悪化させています。

◆ドイツ、アメリカの政教関係

世界では宗教を背景にもつ政党は珍しくありません。ドイツのメルケル首相は、「ドイツキリスト教民主同盟(CDU)」という宗教政党の党首です。

アメリカでは、9割以上の国民が神の存在を信じていて、無信仰という人はわずか数%しかいないのです。

※飯山雅史著/中公新書ラクレ「アメリカの宗教右派」P.18、アメリカの宗教HP
http://www.xn--ccks5nkbz150dj5j.net/religeons.html 

そもそも、政教分離とは、政府と教会を分離し、「信教の自由」を守るために制定されたものでした。

それは特定の宗派や教会が、行政権を行使して、司法権や徴税権を利己的に使うことを阻止するものであって、宗教の政治活動を否定するものではないのです。

アメリカは憲法に政教分離を定めていますが、実態は「宗教国家」なのです。

◆戦後、日本の発展を牽引した豊田・松下がもっていた信仰心

こうしてみると、政教分離は本来、信教の自由を守るために定められたということがわかります。

さらに日本は古くから日本神道、仏教をベースとして成立してきた国です。

それを否定することで戦後日本が繁栄したわけではありません。

トヨタ自動車の豊田綱領では、「神仏を尊崇し報恩感謝の生活をすべし」と定められていました。(トヨタ自動車ホームページ「豊田綱領」参照)

松下幸之助は「物心両面が豊かである精神大国実現の具体案を打ち出し、自らの心を養い、高めていくような道を切り開いていきたい」と語っています。(松下幸之助著『遺論 繁栄の哲学』PHP文庫)

日本は、こうしたリーダーがいたからこそ、焼け野原から発展してこれたのです。

◆日本の誇りを取り戻すために必要な「信仰心」

そもそも日本国憲法上は、宗教の政治参加を否定していません。

幸福実現党がめざす宗教立国の本意は、人間の尊厳の根拠をみとめ、造物主の存在を認めるという点にあります。

基本的人権の尊重は現行憲法第十一条に制定されています。

しかし問題は、なぜ人権が侵すことのできない永久の権利なのかという、説明がなされていない点です。

人間はなぜ尊いのかといえば、それは、神仏の子だからです。

神に造られ、神から「幸福を追求する権利」を与えられているということは、『アメリカ独立宣言』にも明記されています(高木八尺他編/岩波文庫『人権宣言集』P.114「独立宣言」)。

こうしたことを踏まえて、宗教者の参政権を守り、人権の根拠を認めることが、さらなる繁栄のために重要だと考えます。

そして政治に信仰心を取り戻すことが、世界のリーダー国として活躍していく前提になっていくのではないでしょうか。

そのため、幸福実現党は「新・日本国憲法試案」を提唱して、国の精神的主柱を立てようとしているのです。

坂本麻貴

執筆者:坂本麻貴

HS政経塾6期生 

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