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外国人による家事サービスで女性の応援を!

文/兵庫県本部 副代表 みなと侑子

◆女性の応援が始まった!――特区での外国人家事サービスの解禁

現政権が目指す、一億総活躍社会の中では女性の活用が取り上げられ「2020年までに女性管理職比率を30%にまで引き上げる」「女性の就業率80%」など数値目標が設定されています。

数量的・配分的な目標には男性による押し付け感があり、疑問を感じます。

ただ、働きたいと思う女性が多く存在することは事実です。

経済的理由が最も大きいのですが、仕事そのものが社会とのつながりであり、楽しく生きがいだという声が多いのです。

東京都の舛添知事は国家戦略特区の区域会議で、外国人による家事代行サービスの解禁を検討していると表明しました。(日経新聞 2016.5.10 『外国人の家事代行、解禁検討を表明 都知事』)

解禁されれば、特区制度を活用している神奈川県と大阪市に続いての三例目となります。リタイアされた女性の活用促進など、日本人・外国人それぞれが働く女性を手助けできる流れになりつつあります。

現在、外国人の家事ヘルパーの直接雇用が認められているのは、年収1千万円以上の外国人高度人材および、大使館員の家庭のみ。家事代行会社にて合法的に働いている外国人家事ヘルパーは、夫が日本人の外国人妻などに限られています。

特区内では出入国管理法の例外として、認定事業者が直接雇用できる形で掃除や子育てなどの家事代行サービスに従事する外国人に在留資格を与える規制緩和策を行っています。

特区で認める外国人の家事代行サービスは、炊事・洗濯・掃除・買い物・子どもの世話など。

1年以上の家事支援の経験があり、基本的な日本語能力があることが条件となっています。

事業者はフルタイムで外国人を直接雇用し、日本人と同額以上の報酬を支払う。期間は最長3年です。

◆まだまだ現実的ではない 外国人家事サービス

フルタイム勤務のワーキングママを助ける家事シェアサービスが始まっています。

「タスカジ」は、フィリピン人を初めとする諸外国のハウスキーパーを登録し、日本人よりも安く働いてもらっています。日本人による家事サービスは3000円/hほどします。

最も安いところで単発利用が2500円/h 定期利用で2190円以上するのに対し、タスカジでは1500円から。損害保険加入、身分証明書確認、サポートセンターの充実と実際に使った人によるレビューが読めるなどのサービスを行っています。フィリピン人が来てくれることで、子どもの英語教育にもなるとの声もあります。

ただ、兵庫県の中心の三ノ宮駅に来てくれる人を検索すると、候補者が一人しか出てきません。またこのサービスについて実際に働く女性に意見を聞くと、「まだ高い」「物がなくならないか心配」「日本とフィリピンには言葉も文化も差があるので…」とハードルが高いです。

香港や台湾のようにフィリピン人やインドネシア人が家に住み込み、女性が月12~40万円稼ぐところ月5~6万円(住居・食事込)で働いてくれるならばまた違います。

規制緩和されたといっても、フルタイムでの直接雇用や日本人との同額以上の賃金というのは企業にとって大きな負担であり、利用者にとっては非現実的です。

◆外国人による家事サービスの改善点

香港ではフィリピン人家政婦が悪徳仲介業者に大きな借金をして来港した結果、住み込み家での盗み、売春などの不法行為を行うことが問題となっています。

治安のためにも、悪徳仲介業者防止の規制は必要です。

また家事サービスに従事する外国人の条件を、現在の1年以上の家事支援の経験から、5年以上の経験かつ2か国以上での経験を求めるようにします。

日本での家事経験以前に台湾や香港などで問題なく働いた証明があれば、利用者もある程度安心してサービスを受けることができるようになります。また家事従事者も日本に来ることがステップアップの証明となるため、真面目に仕事に取り組みます。

今の条件であれば難しい日本語を覚えても最長3年間で返されてしまうのはお互いに損失です。何度かの関門は設けつつ、真面目に仕事を続ける外国人は長く日本に住めるような配慮が必要です。

◆お互いに助け合える社会へ

一人の子どもが産まれ育つには、多くの人の協力が必要です。

女性一人ですべてをこなすことは難しく、夫や両親のサポートを得ることができる人はいいのですが、サポートが得られない場合は何かを諦めなければならない状況です。

待機児童の問題も、保育所の問題から働くこと自体を諦めている潜在的な人数を含めると100万人存在します。また介護離職も年間10万人以上となっており、今後ますます増えていくと言われています。

そんな中、この外国人による家事サービスが成功し成長すれば、経産省の試算する6千億円以上の産業になるとともに、お互いに助け合える社会の一助となるのではないでしょうか。

どの女性にも共通する想いは、自分らしい人生を生きたいという願い、それに加えて世の中と繋がり、できれば貢献したいという想いです。

そして女性が生まれてきた喜びを感じると、家庭にも幸せが広がります。家でお母さんがいらいらしているのと、ニコニコしているのでは、お父さんや子どもにとって、雲泥の差なのです。

現代女性は答えのない中で必死にもがきながら、これからも生きていきます。一人ひとりの幸せのために、私たちも一緒に考えていきたいと思います。

みなと 侑子

執筆者:みなと 侑子

HS政経塾1期卒塾生

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