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日本の誇りを取り戻す広報文化外交を

文/HS政経塾2期卒塾生 服部まさみ

◆「武器なき戦い」はすでに始まっている

8月15日、米国サンフランシスコに「抗日戦争記念館」が開館します。9月には、中国でプーチン大統領らを招いて「抗日戦争勝利記念日」軍事パレード、ユネスコ記憶遺産の登録発表など、日本を貶める「歴史戦争」が次々に仕掛けられています。

国会前で「「戦争反対」と声高に叫ぶ人たちは、日本の誇りと名誉が傷つけられている「武器なき戦い」はすでに始まっていることを知るべきです。「子供たちが戦場に送られる」という妄想ではなく、自虐史観によってたやすく洗脳され、謝罪ばかり続ける精神的奴隷になろうしている現実に向き合うべきです。

米国カリフォルニア州では、新たに中国系の反日団体が慰安婦像を設置しようと市議会に働きかけ、テキサス州の博物館に対して、中国政府関係者が第二次大戦の展示記述を書き換えるように圧力をかけるなど、反日プロパガンダの勢いは増しています。

このような動きに対して、日本はもう一段、国際世論を味方にする積極的なアプローチが必要です。

◆国際世論を味方にするために普遍的価値のある「メッセージ」を発信せよ

国際世論を味方にするためには普遍的価値のある「メッセージ」を発信していく必要があります。普遍的価値とは、日本は成熟した民主主義国家であり、自由主義社会であり、法の支配や人権の尊重、世界の平和に貢献してきた国家であるということです。

なぜ、普遍的価値のあるメッセージを発信しなければならないのでしょうか。それは、国際世論を味方にするためには「一般市民の琴線に触れる働きかけをすること」と、「戦勝国の論理を打ち破ること」という2つが重要だからです。

現代において、国際世論を左右するのは一部の政治家だけではありません。CNNやBBCなどの国際メディアであり、シンクタンクの研究員であり、それらの意見を見たり、聴いたりする多くの一般市民なのです。

また、国際世論に影響を与えている国際メディアの価値観の基準は、第二次大戦の戦勝史観に基づいています。この価値観を変えない限り、日本は外交でも不利な立場に置かれたままです。

国際世論を味方にするためには、民主主義、自由主義、基本的人権などの普遍的価値に基づき、一般市民が理解しやすく、琴線に触れるもの、さらには戦勝史観を打ち破るメッセージが必要なのです。

◆ 6つのマトリックスを巧みに操る中国

メッセージを効果的に伝えるためには、6つのマトリックスに分けた働きかけが重要です。ターゲットは自国内、対立国、第三国で、働きかける対象は、エリート層と一般市民に分かれます。これを巧みに行っているのが中国や韓国です。

中国の「上手さ」とは第三国である米国のエリート層に対しては、「米中はお互いに重要な貿易パートナーであり、世界最大の米国債保有国である中国を軽く見たり、刺激したりするのは国益にかなわない」と言い、民衆にはいかに日本が残虐的なことをしてきたかというメッセージを送っています。

最近は、ハリウッド映画界が中国シフトを加速させています。例えば、中国人女優を起用し、ロケ地に中国を入れ、中国企業と連携したり、旧日本軍による重慶爆撃を描いた中国映画のコンサルタントにハリウッドの俳優や映画監督が就任し、有名俳優が出演するなど中国との関係を強めています。

また、メトロポリタン美術館では、年に一度、ファッション界のアカデミー賞ともいわれる「MET GALA(メット・ガラ)」開催され、ハリウッド・スターやスーパーモデル、著名人たちが大集合しますが、今年のテーマが「中国」。中国の著名人が招待されたことが世界中に報道されました。

米国の主要な美術館では近年、中国美術の特別展が開催され、中国がアジアの偉大な国であることをPRしています。このように第三国の一般市民への発信力を強めるために、中国は莫大な資金力で寄附や人材を投入し、映画やファッション、文化まで活用しています。

対立国の日本に対しても、エリート層には中国と付き合っていくことがいかに「利益」にもたらすかを友好的にアピールし、「お上」や「空気」に従う民衆に対しては、直接的な働きかけは行っていません。

中国国内のエリート層には、「反日プロパガンダが中国の国益になる」と言い、民衆に対しては「国民の怒りは我々がぶつけるんだ」というように、6つのマトリックスで内容を変えているのです。

それに比べて、日本は6つのマトリックス全てで同じことを発信してしまっています。

◆日本が具体的に取り組むべきこと

日本が国際世論を味方にするためになすべきことは何でしょうか。それは、反日プロパガンダを「論破すること」だけではなく、「日本は素晴らしい国なんだ」という感動を与えることです。

(1)日本は世界史の中の奇跡であるという文化的アプローチ

日本には「統一王朝が二千数百年の長きにわたって現在まである」ということや、ギリシャ以前に「神による民主主義」が行われていたことなど国自体が世界遺産そのものです。日本は、第二次世界大戦で敗れてから発展したわけではありません。

日本の本当の素晴らしさを伝えるものは国宝や重要文化財としてきちんとのこっています。海外の主要な博物館や美術館と連携して、特別展を開催したり、シンポジウムを開いたり文化的アプローチを数多く行っていくべきです。

連綿と続く、日本の歴史の真実をみれば、「日本は悪魔の国だ」と思って原爆を落とした米国の論理や、「民主主義国家対全体主義国家の戦いだった」という戦勝国史観も崩れていくはずです。

(2)人材育成

そのためには、自国の文化を海外に対して外国語で十分に説明できる人材を育成していくことが急務です。

また、日本の歴史や文化を正しく伝える書籍なども十分に翻訳されておらず、日本にある「人類史のなかの宝庫」のような部分を世界の人は知らないままです。

日本語の本や雑誌を諸外国の言語に翻訳する機関を立ち上げ、翻訳した本や雑誌を世界中の政府や大学、図書館に送ることも国家プロジェクトとして取り組むべきです。

(3)予算の確保

予算の問題がありますが、現在、脱原発によって全国の原発が停止していることで、一日に100億円の燃量代がかかっています。今年の広報外交予算が約700億円ですので、1週間分の燃料費と同じです。

原発を1日でも早く再稼働させれば、100億円の燃料費の流出を止めることができ、年間3兆6千5百億円を別なところに使うことができるのではないでしょうか。

日本には、国際世論を味方にするための普遍的価値のあるメッセージや誇るべきものを数多く持っています。日本から様々な考え方や意見を世界に発信し、世界の人々に「あるべき姿」や指針を示すことこそ、私たちが目指すべき未来なのです。

服部 まさみ

執筆者:服部 まさみ

HS政経塾2期卒塾生

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